JP3845676B2 - 花などの植物がよく育ち、水やりが少なくてすむコンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は植物の花の咲くまでの期間を短縮して、その開花を多くし且つ植物全体の生育を良好にさせることが出来る内鉢を一体的に有する栽培容器(鉢、プランター、ポット等)の構造、および栽培容器の内部土中に埋設して用いる単独の独立内鉢の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な栽培容器は、陶器製、あるいは大量生産可能なようにプラスチックの成型品が多く、且つ流通や販売店で効率よく密着して積み重ねることができるように、上部開口部を底部に比べてやや大きくしたデザインの物が多い。またプラスチック素材についても、比較的硬質なプラスチック素材を用いた成型品の鉢やプランター、或いは薄い軟質なプラスチック素材を用いた苗用のポット等、多種多様な栽培容器が数多く市場に出回っている。これらの鉢やプランターは、数個或いはそれ以上を積み重ねたり、あるいは苗用のポットの場合は例えば100個、200個といった単位で積み重ね、排水用の小穴に紐等を通し結束して効率よく流通させている。
【0003】
従来の一般的な栽培容器にあっては、上述のように多量かつ安価に販売させるために、栽培容器内の構造は植物を植え込むための単一の容器空間だけを形成するものが殆どであり、植物の花の咲くまでの期間を短縮して、その開花を多くし且つ植物全体の生育を良好にさせる観点よりの特別の工夫がなされていないのが現実である。
【0004】
一方、花の咲くまでの期間を短縮して、その開花を多くし且つ植物全体の生育を良好にさせるための重要な指摘がガーデニングの専門雑誌に開示されている(非特許文献1参照)。
【0005】
すなわち同雑誌44ページには、花を咲かせるコツとして、「花が咲かない原因はいろいろあります。食物は水と肥料をたっぷり与えていれば健全に生育し、開花すると思うのは、大きな錯覚です。上手に開花させるには、鉢土を乾かし気味にしたり、施肥をやめたりして株を少しいじめ、株を老化させることも必要です。」と開示されている。また同雑誌99ページには、「野生植物も園芸植物も、庭や花壇で楽しむ場合は、大地の一部に植えつけるので地下に制限がなく、根は広く深く張り、植物は可能な限り大きく育ちます、この「育つ体」の状態を栄養成長といい、この時は花は咲かないので庭植えは、鉢植えより開花が遅れます。鉢植えの場合、容器の中の限られた量の土で栽培しますから、根もこの範囲にしか張ることができず、植物は庭植えのように大きくは育ちません。また、根の伸長が制限されるため株の老化が早まり、「咲く体」である生殖成長に移行するので、庭植えよりも早く花が咲きます。」と開示されている。さらに同雑誌101ページには、「根は鉢壁にぶつかると、そこで枝分れして育っていく性質があります。小苗を小さな鉢に植えれば、早く鉢壁にぶつかって根が枝分れするので、根が鉢全体に配置されます。この状態で大きな中鉢に植え替えて、同様に枝分れさせて根を増やし、さらに大鉢へと植え替えていきます。こうして育てた鉢は根の量が多い、しっかりとした株になります。」と開示されている。
【0006】
すなわち上記の花を早く咲かせるコツは要するに、1)鉢内の根を少しいじめ、株を老化させ、2)根を容器の中の限られた量の土で栽培して、育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ移行させ、3)鉢内で根を早く鉢壁にぶつからせて、根を枝分れさせる、ことである。しかしながら同雑誌は、上述のように花を早く咲かせるコツを開示するのに止まり、その具体的な手段までも開示するものではない。
【0007】
一方、植物栽培容器の構造に関し、鉢植え植物の根元に充分で新鮮な空気を供給するために、底部の中央より中空の多孔空気流通体の膨出部を鉢上方に向けて設け、この多孔空気流通体を底面上に直線状に配列した構造を開示したものがある(特許文献1)。この先行引例によれば、根元に充分な空気が供給されて、生育を促進させる効果を有する。しかしながら本考案においては、単に根に対する空気供給を主眼とするものであり、上述のような花を早く咲かせるコツである、1)鉢内の根を少しいじめ、株を老化させ、2)根を容器の中の限られた量の土で栽培して、育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ移行させ、3)鉢内で根を早く鉢壁にぶつからせて、根を枝分れさせる、構造とはなっていない。すなわち同引例では、空気流通体と、その隣の空気流通体の間には、根が自由に伸長する充分大きなスペースが存在し、そのスペース内で植物の根は自由に伸長してしまうので、上記花を早く咲かせる3つのコツに対応した構造とはなっていない。
【0008】
また別の先行引例には、鉢本体の底部に含水内鉢を設けた構造が開示されている。これは植物の根に充分な水分を常に供給するために含水内鉢を設け、これにより毎日の水やりの手間を省くことが出来る構造となっている(特許文献2)。しかしながら本引例も上述の特許文献1と同様に、この含水内鉢は水分保持のためのものであり、含水内鉢は比較的浅いため根の伸長を制限するものではなく、従ってこれも上記花を早く咲かせる3つのコツに対応した構造とはなっていない。さらに本引例は含水内鉢が鉢本体の底部から垂立しているために、鉢を積み重ねる際に、その含水内鉢が邪魔になり数多くの鉢を効率よく積み重ねる構造にはなっていない。従って鉢の積み重ねが効率よく出来ない構造では、流通コストがかかり、園芸用の鉢、特に営利栽培業者が多量に用いるポットでは、鉢の単価を厳しく抑える必要があるため現実的な鉢とは言い難い。
【0009】
さらに別の先行引例にも同様に、植木鉢の内部に水分保持のために、中空円筒を設けた植木鉢を開示したものがある(特許文献3)。しかしながらこの引例においても、上述の含水内鉢を設けた特許文献2と同様に、水分保持の目的という観点から構成されており、上記花を早く咲かせる3つのコツに対応した構造とはなっていないし、鉢の積み重ねが効率よく出来る構造とはなっていない。
【0010】
【非特許文献】
「別冊NHK趣味の園芸、土、肥料、鉢」(1998年10月15日発行)
【特許文献1】
実願平5−23403号(実開平6−72337号)
【特許文献2】
実願詔63−130229号(実開平2−52553号)
【特許文献3】
実願平5−49160号(実開平7−11129号)
【0011】
すなわち上記のいずれの先行引例も、早く立派な花を咲かせるために、鉢内の根を少しいじめ、株を老化させたり、根を容器の中の限られた量の土で栽培して、育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ移行させ、かつ鉢内で根を早く鉢壁にぶつからせて、根を枝分れさせることを目的としたものではなく、単に鉢内の根に充分な空気や水分を与えるための改善策に過ぎない。これらの引例の構成では、苗は充分な空気と水を与えられるために苗の成長は早められるが、それが必ずしも早く花が咲くことと同義とは言えない。すなわち引例の栽培容器では、植物の苗を植え込んでから花が咲き始めるまでに時間がかかり、また栽培にあたって、こまめな維持管理をしても、葉や株は旺盛に生育するが、なかなか花が充分に咲かない。又咲いても開花数が少ないため、特に営利栽培業者にとっては、その開花までの時間が無駄となりコスト的にも不利であり、また花が小さいと審美的にも競争力を失うことになる。さらにまた温室やビニールハウスを使っての営利栽培では、暖房、肥料、水等のコストと時間がかかり、結局は価格競争力を弱体化させるという重大な問題点を有していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従前からの課題を解決するためのものであり、本発明の第1の目的は、従来の栽培容器と同じ栽培方法や手順で、苗を育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ早く移行させて、苗の植付けから開花までの時間を従来の栽培時間より短縮させることが出来る構造を有した栽培容器を提供することである。
【0013】
本発明の第2の目的は、鉢内で苗の根を容易に鉢壁にぶつからせて根を枝分れさせ、強くて立派な苗を栽培できる構造を有した栽培容器を提供することである。
【0014】
さらに本発明の第3の目的は、上述のような開花時間を従来の栽培時間より短縮し、かつ強くて立派な苗を栽培するために、鉢土中で使用する独立内鉢を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、植物栽培用の栽培容器であって、栽培容器内の底面から垂直方向に垂立する内鉢を有し、該内鉢は垂立する仕切板により区画された複数の根部収納室を有し、該根部収納室は栽培植物の根部の伸長に伴い伸長した根部を収納可能な位置に配置され、かつ該伸長した根部を充分に収納可能な容量を有していることを特徴とする栽培容器を開示する。
【0016】
すなわち本発明に係る栽培容器に栽培された植物は、根が伸長すると根の多くの部分が根部収納室内に自然に入り込む。それらの根の伸長は、根部収納部の壁面と底面で制限されるので内部で渦巻状に生育する。根部収納室内の限られた量の土で根が生育するので、根部収納室内の根は少しいじめられストレスを与えられることになり、結果として早く立派な花を咲かせることが可能となる。また伸長した根は根部収納室の壁面と底面にぶつかるため、根が枝分れしてしっかりとした植物が生育することになる。
【0017】
なお前記内鉢の上部開口部の形状は、円形、或いは多角形でもよく、この内鉢内で前記根部収納室を形成する前記仕切板が、平面板、同心円板、曲面板で形成されるか、或いは垂立する複数の仕切柱で形成してもよい。
【0018】
さらに上記の植物栽培用の栽培容器は、栽培容器内の底面から垂直方向に垂立する1または複数の内鉢を有し、該内鉢は伸長した栽培植物の根部を収納する根部収納室として機能し、該根部収納室は前記栽培植物の根部の伸長に伴い伸長した根部を収納可能な位置に配置され、かつ該伸長した根部を充分に収納可能な容量を有し、さらに前記栽培容器の底面外側には該栽培容器を密着積み重ね可能とする差込口を有し、かつ前記栽培容器はプレス加工で成型可能な形状を有する栽培容器でもよい。
【0019】
すなわち内鉢が根部収納室として機能し、かつ多数の同一形状の栽培容器を密着して積み重ねられるように底面外側に差込口を持たせ、かつプレス加工可能な形状とすることで、安価に大量生産が可能となり、さらに流通コストの軽減も可能となる。
【0020】
また本発明の基本的な概念である内鉢自体を、単独の内鉢を独立内鉢として既存の内鉢を有しない栽培容器内の土中に埋設して使用することも可能である。この独立内鉢は上述の栽培容器と同様に陶器あるいはプラスチック等で構成してもよい。ただし根の生育と共に独立内鉢は苗の根部中に埋設してしまい取り出すことが困難な場合があり、また独立内鉢を取り出す手間を省くためにも、この独立内鉢を苗の移植後に根部中に放置すると所定期間経過後に自然溶解するような素材で作ってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0022】
図1は本発明の第1実施例に係る内鉢付の栽培容器100の外観図、図2はA−A’線での断面図、図3は栽培容器100の上部から見た平面図である。この栽培容器100内には底のほぼ中央に内鉢110が設けられており、この内鉢110は垂直な仕切板112で4等分されている。従ってこの仕切板112、内鉢壁111、および底面120とで4個の根部収納室113を形成している。なお栽培容器100の底面120には、必要に応じて複数の排水口121を設けてもよいし、また図示しないが根部収納室113の底部にも根腐れを防止するために排水口を設けてもよい。
【0023】
図2に示す栽培容器100の底面120から内鉢110の内鉢壁面までの深さDは、栽培容器100の深さに比べて浅く設定し、鉢内に苗を植えた際にその根部が、内鉢の上部に位置する程度の深さに設定する。また内鉢の各根部収納室の上部開口部の大きさと容量は、伸長した栽培植物の根部を充分に収容できるように設定する。なお他の構造として図4に示すように、鉢底の中央部を高くして内鉢全体を鉢底から高さHの位置に上げ、内鉢の上部が根部の直下に位置するようにしてもよい。これにより移植後、図5に示すように苗の根部が生長するに従い、その根部の先端部は内鉢110の根部収納室113内へ伸長する。この場合、根部の成長は、根部収納室113の内鉢壁111と底面120で制限され、内鉢110が無い状態に比べて、より多くの根部が鉢壁にぶつかることになる。従って内鉢壁にぶつかった根部はさらに分根しながら、根部収納部113内を渦巻くように伸長する。これにより渦巻き状の根部は、少しいじめられて株を老化させられる。この場合、根部収納室113内の限られた量の土内での根部に対する“いじめ”により、苗は育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ移行させ、早く開花することになる。
【0024】
なお本実施例の内鉢110は、垂直の仕切板112で4等分されて根部収納室113を形成しているが、上述のようにこの根部収納室113は、苗の根部を少しだけ、いじめるためのものであり、4等分に限らず3等分でも2等分でもよい。さらに根部の伸長を制限するためであるので、平面的な仕切板で等分されている必要はなく例えば図6に示す栽培容器600のように、根部の伸長に伴い根部先端が当接するような同心円状の仕切板を内鉢610内に複数個設置して、複数の根部収納室613を構成してもよい。さらに別の構成として図7に示す栽培容器700のように、直線または波状の仕切板712で、内鉢710を複数個の根部収納部713に分割して構成してもよい。さらにまた別の構成として図8に示す栽培容器800のように、内鉢810をクラスター状の複数個の小内鉢812で構成し、各小内鉢を根部収納室813としてもよい。また別の構成として図9に示す栽培容器900のように、仕切板でなく複数の仕切柱912を内鉢910内に垂直に設け、この仕切柱912および内鉢の壁面に苗の根部先端を当接させる根部収納室913を構成してもよい。なお上述の例では全ての栽培容器を円形の鉢を例にして述べたが、本発明はこれに限らずに如何なる形状の栽培容器についても適用可能である。例えば長方形のプランターの場合であれば、内鉢もそれに合わせて長方形のものとして、植物の根を収容できる程度に内鉢内を仕切板で区切るように構成してもよい。
【0025】
上記のいずれの構成においても、苗の根部先端は根部収納室113、613、713、813、913内で伸長が制限されて、分枝し根部が適度にいじめられる。その際、苗の根は根部収納室の中の限られた量の土で栽培することになり、結果として本栽培容器内の苗を、育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ移行させ、結果として早く花を咲かせるという顕著な効果を有する。
【0026】
次に図10および図11は、本発明の第2実施例に係る栽培容器1000、1100を示す。この実施例では、特にプラスチック等のプレス加工で栽培容器を製造する場合、効率よく流通販売させるために底面1020、1120を差し込み構造として、複数個の栽培容器を密着して積み重ねることが可能な構成を示している。すなわち底面1020、1120の下部には、内鉢1010、1110の壁面に対応する差込口1030、1130が設けられているために、栽培容器を密着して積み重ねることが可能である。なお内鉢1010、1110内の根部収納室1013、1113は、第1実施例と同様の仕切板等で複数個の根部収納室に区画してもよい。また内鉢の深さDと底面からの高さHは、鉢内に苗を植えた際にその根部が内鉢の上部に位置する程度の深さに設定するか、発芽用のポットの場合には、栄養成長時の根部が内鉢の上部に位置する程度に深さDと高さHを設定する。このように内鉢の栽培容器内の位置を設定することにより、苗の根部先端が伸長するに伴い、根部収納部に入り込んだ根部は、根部収納部内部で効率よく渦巻状に成長することになる。なおまた図示しないが根部収納室1013、1113の底部にも根腐れを防止するために排水口を適宜設けてもよい。
【0027】
さらに第3実施例として、上述の実施例1および実施例2に示す内鉢を栽培容器とは独立して製造して、図12または図13に示すように独立内鉢1200、1300とし、内鉢の無い従来の栽培容器の内部に図14に示すように載置して用いてもよい。すなわち従来の内鉢の無い栽培容器に鉢土を入れる前、または少しだけ鉢土を入れた後に、この独立内鉢を所定の高さで載置し、さらにその独立内鉢を被うように鉢土を入れる。この独立内鉢は栽培植物の根部の大きさや特性に応じて、鉢土中のどの高さに載置するかが使用時に決められる。鉢内に独立内鉢を埋設した後は、苗の伸長に伴い第1実施例に示したように、苗の根部はこの独立内鉢内で渦巻状に伸長し分枝しながら苗を、育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ移行させて早く花を咲かせる。なお栽培容器が発芽用のポットの場合には、発芽後に苗として充分成長し、その苗の移植時にはポットを逆さまにして苗全体を取り出す。この際、独立内鉢は苗の根部中に埋設してしまっており取り出すことが困難であり、また独立内鉢を取り出す手間を省くためにも、独立内鉢は苗の移植後に根部中に放置すると自然溶解するような素材で作ってもよい。例えば厚手の紙製または土中へ自然溶解する有機質材料である圧縮ピートを用い、所定期間経過後、例えば栽培植物が咲く体である生殖成長へ移行する頃までには、自然溶解するように構成してもよい。自然溶解する期間は一つの期間に限定せず、植物の特性に対応して数種類の期間を設定した数種類の独立内鉢を製作してもよい。なおこの独立内鉢には、小さな排水口を設けてもよい。また流通、販売時には多数の独立内鉢を一括して、排水口を通した細いワイヤーで結束して一まとめにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明の第1実施例および第2実施例に係る内鉢を有した栽培容器、または実施例3に係る独立内鉢を用いることにより、鉢内の根を適宜にいじめ、株を老化させ、根を容器の中の限られた量の土で栽培して、育つ体である栄養成長から、咲く体である生殖成長へ移行させるので、苗の植付けから開花時期までの時間を短縮させることが可能となる。また鉢内で根を早く内鉢の壁および仕切板にぶつからせて、根を枝分れさせるので、より多くの根が伸長することになり、丈夫な苗の育成が可能となる。すなわち早く立派な花を咲かせることが可能になるので、特に育苗業者にとっては時間的コストの低減となり価格競合力の増大という顕著な効果を有することになる。
【0029】
すなわち本発明に係る栽培容器に植えられた植物の根部を内鉢に埋設された根部収納室の壁面にぶつからせて、その根の自然な広がりを防いだり、根の周囲を囲んで行き場を無くさせたりすると、環境が悪くなって、根に強いストレスが加わり老化が始まる。これにより葉や茎、根が育つ「栄養成長」から、花の咲く体である「生殖成長」に移行し、本発明の栽培容器を用いることにより早く花を咲かせることが出来るという顕著な効果を有する。また鉢土を乾かし気味にして、根を少しいじめた状態にしても、前記の生殖成長に移行し、又、根は根収納室の壁面および底面にぶつかると、そこで枝分れして育つ性質があり障壁が多いほど根の量が増して、しっかりとした株にすることが出来るという効果を有する。
【0030】
また特に実施例2に示す差込口を有する構成を、特に育苗用のプラスチックポットに応用した場合には、上述のように花を早く咲かせる効果の他に、ポットから取出した苗の根塊中に、差込口に対応する内鉢壁面による山形の空間が形成されるため、従来よく経験する根が増え過ぎて堅くなり、定植後の活着が遅いという不具合が解消する。さらに定植後その根塊中の空間に新鮮な空気と水分が通り易くなり、堅くなった根がほぐれ易くなって、元気になるために、定植後の根の活着が早いという効果を有する。
【0031】
また密集して堅くなった根を、一旦ほぐしたり、少し広げてから定植する場合があるが、空間に指を入れることによって、やり易く、特に大量に定植する場合には、そのほぐしと、広げによる従来の指の力の労力を減ずることが出来るという効果を有する。
【0032】
またポットは多数の積み重ねをする場合が多いが、ポット同士を積み重ねた際に、一方の内鉢が、隣接するポットの差込口に差し込むことができ、ぐらつかず、余分なスペースをとることがなく、収まりのよい積み重ねをすることが出来る。特に内鉢の形状が左右対形の例えば環状であれば、どの方向からでも一度で引っ掛かることなく上下からの積み重ねが可能なために、多数積み重ねする場合の作業能率がよいという効果を有する。
【0033】
なお本発明に係る内鉢を有する栽培容器と従来の内鉢を有しない栽培容器を実験比較すると、本発明による栽培容器では、花の苗を植えてから、開花するまでの期間を平均10日前後から20日程短縮することができることが殆どの種類の苗で実証されている。また開花した数でも、約2倍から3倍増以上多く咲かすことができ、また花の大きさも従来の花と同じであったことが実証されている。さらに本発明に係る栽培容器に植えた花のもちが、従来の栽培容器に植えた花と比較して約2倍から3倍ほど長く保つことができ、花の色が従来より鮮やかであるという効果を有する。
【0034】
また同実験では、日当たりが良くない室内で当発明の栽培容器と従来の栽培容器とで花の苗を育てた場合、当発明の栽培容器による花の苗の方が生育が良好である。さらに従来の栽培容器による花の栽培では、花の苗を植えてから開花し、萎んで落下する周期が1回で終わるが、当発明の栽培容器を用いて生育した複数の苗を大鉢に寄せ植えした場合、前記一回の周期を終えてから、少し間を置いてから1回目と同じ花の有様でもう一回咲き始めるという2回咲きの場合があるという効果を有する。
【0035】
また従来の栽培容器における栽培では、花の苗を植えてから、花が咲き始めるまでに期間がかかるため、その間、枝の上部についた葉が下部についた葉よりも大きく育ってしまうことがあり、そのために、植物全体の見栄えや栽培容器との美的調和が悪くなるという問題点があったが、当発明の栽培容器では、花の苗を植えてから咲き始めるまでの期間が短いため、葉の大きさが平均に育つ。又葉の色が従来のように開花した花に栄養分を取られて黄色く変色したり、縮れた葉になることがなく、花、葉,茎の全体がバランスの良い生育をするという効果を有する。
【0036】
また当発明の栽培容器は従来の栽培容器と比較して、使用方法、手順がおなじであるために、異なった取り扱いをする必要がなく、使いやすい。栽培容器における構造上、製品として安価な量産化を図ることができる。特に第3実施例による独立内鉢を用いれば、特に安価に量産可能であり、いかなる種類の従来の栽培容器中でも使用可能であるという効果を有する。
【0037】
なお第3実施例に係る独立内鉢を栽培容器とは別個に販売して、内鉢を有しない栽培容器内に載置して用いれば、安価かつ多量に販売することも可能であり、実施例1および実施例2に係る栽培容器と同様な効果を有する。
【0038】
さらに鉢の中にこの独立内鉢を載置する高さを栽培植物に応じて変えられるので、効率よく伸長した根部を独立内鉢の中に誘導することが出来るという効果を有する。またこの独立内鉢は土中へ自然溶解する材質で作られるので、使い捨ても可能となる。さらにまた植物の特性に応じて、所定期間経過後は自然溶解するように材質を選択すれば、自然に優しい独立内鉢とすることも可能であるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る栽培容器の外観図である。
【図2】 本発明の第1実施例に係る栽培容器のA−A’線での断面図である。
【図3】 本発明の第1実施例に係る栽培容器の上部平面図である。
【図4】 本発明の第1実施例に係る他の栽培容器の断面図である。
【図5】 本発明の第1実施例に係る栽培容器を用いた時の、根の張り具合を示す断面図である。
【図6】 本発明の第1実施例に係る他の栽培容器の上部平面図である。
【図7】 本発明の第1実施例に係る他の栽培容器の上部平面図である。
【図8】 本発明の第1実施例に係る他の栽培容器の上部平面図である。
【図9】 本発明の第1実施例に係る他の栽培容器の上部平面図である。
【図10】 本発明の第2実施例に係る栽培容器の断面図である。
【図11】 本発明の第2実施例に係る他の栽培容器の断面図である。
【図12】 本発明の第3実施例に係る独立内鉢の外観図である。
【図13】 本発明の第3実施例に係る他の独立内鉢の外観図である。
【図14】 本発明の第3実施例に係る独立内鉢を、内鉢無しの従来の栽培容器内に載置した時の根の張り具合を示す断面図である。
【符号の説明】
100 栽培容器
110 内鉢
111 内鉢壁
112 仕切板
113 根部収納部
120 底面
121 排水口
Claims (5)
- 植物栽培用の栽培容器であって、栽培容器内の底面から垂直方向に垂立する内鉢を有し、該内鉢は垂立する仕切板により区画された複数の根部収納室を有し、該根部収納室は栽培植物の根部の伸長に伴い伸長した根部を収納可能な位置に配置され、かつ該伸長した根部を充分に収納可能な容量を有していることを特徴とする栽培容器。
- 前記内鉢の上部開口部の形状が、円形、或いは多角形であり、該内鉢内で前記根部収納室を形成する前記仕切板が、平面板、同心円板、曲面板で形成されるか、或いは垂立する複数の仕切柱で形成されていることを特徴とする請求項1記載の栽培容器。
- 前記栽培容器の底面外側には複数個の該栽培容器を上下方向に密接して結束可能とする差込口を有し、かつ前記栽培容器はプレス加工で成型可能な形状を有することを特徴とする請求項1記載の栽培容器。
- 植物栽培用の栽培容器内の土中に埋設して用いられる独立内鉢であって、該独立内鉢は底面から垂立する仕切板により区画された複数の根部収納室を有し、該根部収納室は栽培植物の根部の伸長に伴い伸長した根部を充分に収納可能な容量を有しており、かつ該独立内鉢は栽培植物の特性に合わせて栽培土中の任意の位置に埋設して用いられることを特徴とする独立内鉢。
- 前記独立内鉢が、紙または一定期間経過後に土中へ自然溶解する有機質材料で構成されていることを特徴とする請求項4記載の独立内鉢。
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