JPH0427312Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主に鉢花や観葉植物等のハンギング
造りに使用すると好適なプラスチツク製、素焼き
製等の栽培装置に関するものである。

（従来の技術） 古くは、栽培鉢である植木鉢に培養土を入れ、
これに植物を定植して吊持する比較的単純な吊り
鉢造りが、また、近時には、鉢を使わないで手製
や市販の針金製、竹製等のハンギングバスケツト
やモスステイク等を利用した吊り鉢造り、即ち、
ハンギング造りが盛んに行なわれている。

例えば、その手法としては、適宜形状のハンギ
ングバスケツトと称する花籠をベースに、ビニー
ルシート、水苔等で培養土を包み込み、その適宜
位置に株を植え込み、この株と株の間に水苔を厚
く挟み込んで隙間を塞いで鉢壁部分を形成する等
の作業を繰り返して造り上げている。

これを屋内外の適所に吊り下げたり、壁に掛け
たり、花台に据え付けり、或いは、立体花壇とす
れば、その鉢花や観葉植物等が成育して繁茂する
につれて鉢全体がそれらで覆われた状態の空中花
壇とでも称すべきものが得られる。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、ハンギング造りした鉢花や観葉植物
等に水遣りを小まめにせねばならないが、その株
と培養土は水苔を主株に支持されている為、再々
の水遣り等で土部分が水苔部分から滴り落ちて流
出することがある。また、ハンギング造りにはハ
ンギングバスケツトと培養土以外に比較的多量の
水苔を必要とし、また、モスステイクの場合に
は、ハンギングバスケツトに代えて適宜大の金網
とその適所を切り込む金挟を必要とし、株を水苔
等に上手に包み込んでハンギングバスケツトの外
周部分に植え込むに、ハンギング造りが上手にな
る上での熟練を必要とする。

また、斯様な手法を通例とする所以は、プラス
チツク鉢、素焼き鉢、駄温鉢等の場合には、鉢体
上部の開口部分以外の、例えば、鉢体の鉢壁部分
を定植部所として利用する此種のハンギング造り
に向かない為であり、それ故、鉢体全面を可能な
限り利用してハンギング造りが手軽に楽しむこと
のできる栽培装置が臨まれていた。

（問題点を解決するための手段） そこで、本考案では、鉢花や観葉植物等のハン
ギング造りに有効な栽培鉢として、それが逆円錐
台形状のプラスチツク鉢、素焼き鉢又は駄温鉢、
或は、断面半球状又は球状のボウル鉢や壁掛け
鉢、円筒状又は角筒状のポール鉢、断面角錐台状
等の鉢体１であつて、その胴部の鉢壁３部分に、
円形状又は多角形状の定植孔打ち抜き用薄肉溝７
を多数個形成し、当該薄肉溝７を鉢壁３の厚みに
比して1/2〜2/3程度の溝深さに薄肉化し、当該薄
肉溝７で囲まれた蓋部８を打ち抜き自在としてな
り、当該蓋部８を取り去つた定植孔９に、鉢花Ｂ
のビニールポツト苗を嵌合してなり、当該ビニー
ルポツトＤは、その下端部を楔状、逆台形状等の
メツシユ構造とすると共に、当該ビニールポツト
Ｄの鉢壁１３部分には、前記定植孔９に嵌合する
環状又は螺旋状等の係合突起１４を突設してなる
栽培装置を提供したのである。

以下、本考案の実施例を添付図面に従つて説明
する。

（実施例） １は栽培容器として標準的な形状、構造のプラ
スチツク鉢、素焼き鉢又は駄温鉢等の鉢体であつ
て、縦断面が略逆円錐台形状を呈し、その上部開
口外周縁の桟２と、胴部分の鉢壁３と、底面の鉢
底４と、鉢底４の鉢穴５と、鉢底４外周部の水切
り用足６等からなり、その大きさの割合として
は、鉢底４の直径が口径が約2/3程度、鉢体１の
高さは口径の約4/5から同じ長さの程度としてい
る。７は鉢壁３部分の適宜位置に多数個形成した
定植孔打ち抜き用薄肉溝であつて、直径が10〜30
mm程度の大きさの円形状又は多角形状で、当該鉢
体１がプラスチツク鉢の場合には、第２図ａに示
すように鉢体１の一体成型時に溝断面をＶ字状に
凹設され、また、鉢体１が素焼き鉢又は駄温鉢の
場合には、第２図ｂに示すように当該鉢体１の成
型後にその溝断面を凹字状に刻設している。この
定植孔打ち抜き用薄肉溝７は、鉢壁３本来の厚み
に比して１／２〜２／３程度の溝深さに薄肉化し
ている。８は定植孔打ち抜き用薄肉溝７で囲まれ
た蓋部、９は蓋部８を取り去つて形成される円形
状又は多角形状の定植孔である。

（作用） 而して、栽培鉢１が素焼き鉢又は駄温鉢の場合
には、当該鉢体１に培養土Ａ等を入れ、その鉢壁
３部分の適宜位置の定植孔打ち抜き用薄肉溝７を
木槌等で叩いて、その部所の蓋部８を打ち抜いて
取り去り、また、プラスチツク鉢の場合には、当
該鉢体１の薄肉溝７の部分を親指等で押し込んで
蓋部８を取り去り、これにて形成された円形状又
は多角形状の定植孔９に、第３図に図示するよう
に、別途専用のポリプロピレン製ビニールポツト
（ポリポツトともいう）Ｄで予め育苗して発根さ
せた鉢花Ｂの苗を、当該ビニールポツトＤごと定
植孔９に密に嵌合して第５図のように定植固定す
ることで、打ち抜かれた定植孔９に対する閉栓作
業と定植作業が併せて行われる。その上、此等の
鉢体１の上部の開口部にも定植する等のことで、
当該開口部分のみならず鉢壁３部分の所望の位置
にも種々の鉢花Ｂを点在させた状態を形成し、こ
れを屋内外の適所に針金や紐Ｅ等にて吊り下げた
り、壁に掛けたり、花台等の上に据え付けて成育
すれば、当該鉢花Ｂ等の成育に連れて鉢体１全面
が鉢花Ｂ等で繁茂して覆われた状態となり、その
鉢花Ｂの鑑賞に供される。

尚、前記の実施例では、標準的な形状、構造の
素焼き鉢、駄温鉢、プラスチツク鉢等の栽培鉢１
について説明したが、第６図に示すような断面半
球状（球状でも可）のボウル鉢（同図ａ）、壁掛
け鉢（同図ｂ）、円筒状（角筒状でも可）のポー
ル鉢（同図ｃ）、断面角錐台状の鉢（同図ｄ）等
の種々の形状、構造の鉢壁３部分等に定植孔打ち
抜き用薄肉溝７を形成し、所望の蓋部８を必要に
応じて開口形成し得るようにすることもできる。

また、前記の第３図や第５図に示すビニールポ
ツト苗は、第４図に図示するように、育苗箱１０
内にプラスチツク製育苗ベツド１１を嵌め込み、
即ち、格子位置に多数の円形状又は角形状のポツ
ト穴１２を形成してなる育苗ベツド１１を嵌ね込
み、当該ポツト穴１２に本考案独自の鉢体１の鉢
壁３部分に嵌合支持されるビニールポツトＤを落
とし込み、このビニールポツトＤに培養土Ａを入
れた上で種を蒔いて育苗される。

その際の使用に好都合なビニールポツトＤの構
造としては、先ず、第１に、ビニールポツトＤの
下端部を楔形状、逆台形状等に形成している為、
鉢壁３部分の定植孔９や鉢体１の上部開口部分に
その儘差し込んで定植できる。

その上、当該楔形状の先端部分をメツシユ構造
としている為、当該メツシユ部分からの発根作用
を阻害しないようにしている。

更に、ビニールポツトＤの鉢壁１３部分の上部
外周部分には、１条又は２条程度の係合突起１４
が環状又は螺旋状に突設されており、この係合突
起１４が栽培鉢１の鉢壁３部分に穿設した定植孔
９に安定的に嵌合支持されるようにしている。

これにて、ビニールポツト苗ごと本考案の栽培
鉢１に形成した定植孔９等に直接差し込んで手軽
に定植し得るようにしている。

（考案の効果） 本考案は、前記のように栽培鉢が逆円錐台形状
のプラスチツク鉢、素焼き鉢又は駄温鉢、或は、
断面半球状又は球状のボウル鉢や壁掛け鉢、円筒
状又は角筒状のポール鉢、断面角錐台状等の鉢体
１であつて、その胴部の鉢壁３部分に、円形状又
は多角形状の定植孔打ち抜き用薄肉溝７を多数個
形成し、当該薄肉溝７を鉢壁３の厚みに比して1/
２〜2/3程度の溝深さに薄肉化し、当該薄肉溝７で
囲まれた蓋部８を打ち抜き自在としてなり、当該
蓋部８を取り去つた定植孔９に、鉢花Ｂのビニー
ルポツト苗を嵌合してなり、当該ビニールポツト
Ｄは、その下端部を楔状、逆台形状等のメツシユ
構造とすると共に、当該ビニールポツトＤの鉢壁
１３部分には、前記定植孔９に嵌合する環状又は
螺旋状等の係合突起１４を突設したことを特徴と
する栽培装置を提供したので、鉢花や観葉植物等
のハンギング造りが、ハンギングバスケツトやモ
スステイツクを造らなくても本考案の鉢体の鉢壁
部分を有効に利用して手軽に楽しむことができ、
主に、ハンギング造り用の吊り鉢として使用する
と頗ぶる利便であるのみならず、通常の鉢体とし
てもその儘利用することもできる。その上、蓋部
を取り去つた定植孔に対して、ビニールポツトご
と鉢花の苗を安定的に嵌合して定植する為、当該
定植孔に対する閉栓作業と定植作業を併せて行う
ことができ頗る重宝である。また、ビニールポツ
トの係合突起が定植孔に嵌め込まれて固定される
ので、栽培装置の全体が吊り下げられた上で揺す
られるような場合にも、ビニールポツト苗が抜け
落ちて落下するようなこともない。また、定植後
における鉢花の生育に際しては、ビニールポツト
からの発根を阻害しないメツシユ構造ともしてい
る等の実用的諸効果をもたらす。

【図面の簡単な説明】

第１図は栽培鉢の斜視図、第２図ａ，ｂは鉢壁
部分に形成した定植孔打ち抜き用薄肉溝を示す拡
大断面図であつて、その内、図ａはプラスチツク
鉢の場合を、また図ｂは素焼き鉢又は駄温鉢の場
合を夫々示している。第３図は蓋部を取り去つた
定植孔にビニールポツトごと鉢花の苗を嵌合支持
した状態を示している。第４図はビニールポツト
の育苗状態を示す断面図、第５図は鉢壁部分にビ
ニールポツト苗を嵌合した状態を示す図、第６図
ａ〜ｄは種々の形状の鉢体外表面に円形状、多角
形状等の多数個の定植孔打ち抜き用薄肉溝を形成
した状態を示す正面図又は斜視図である。 符号表、１……鉢体、２……桟、３……鉢壁、
４……鉢底、５……鉢穴、６……水切り用足、７
……定植孔打ち抜き用薄肉溝、８……蓋部、９…
…定植孔、１０……育苗箱、１１……育苗ベツ
ド、１２……ポツト穴、１３……鉢壁、１４……
係合突起、Ａ……培養土、Ｂ……鉢花、Ｄ……ビ
ニールポツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 栽培鉢が逆円錐台形状のプラスチツク鉢、素焼
   き鉢又は駄温鉢、或は、断面半球状又は球状のボ
   ウル鉢や壁掛け鉢、円筒状又は角筒状のポール
   鉢、断面角錐台状等の鉢体１であつて、その胴部
   の鉢壁３部分に、円形状又は多角形状の定植孔打
   ち抜き用薄肉溝７を多数個形成し、当該薄肉溝７
   を鉢壁３の厚みに比して1/2〜2/3程度の溝深さに
   薄肉化し、当該薄肉溝７で囲まれた蓋部８を打ち
   抜き自在としてなり、当該鉢壁３部分の蓋部８を
   取り去つた定植孔９に、鉢花Ｂのビニールポツト
   苗を嵌合してなり、当該ビニールポツトＤは、そ
   の下端部を楔状、逆台形状等のメツシユ構造とす
   ると共に、当該ビニールポツトＤの鉢壁１３部分
   には、前記定植孔９に嵌合する環状又は螺旋状の
   係合突起１４を突設したことを特徴とする栽培装
   置。