JP3845508B2 - サイドウォール型スプリンクラーヘッド - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災発生時に水を散布して消火を行うスプリンクラーヘッド、特に壁面や壁際に横向きにして取り付けるサイドウォール型スプリンクラーヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
スプリンクラーヘッドとは、火災が発生したときに水を散布して消火を行うものである。一般にスプリンクラーヘッドは、天井面に垂直に取り付け、上方から火元に向けて水を散布するようになっている。しかしながら、天井からシャンデリアのような照明器具を吊した場合は照明器具がスプリンクラーヘッドからの散水の邪魔になり、またルーバーのような装飾天井にした場合はスプリンクラーヘッドや配管が見えるためインテリアデザイン的に好ましい状態にならないという問題が生じる。このような場合には、スプリンクラーヘッドを部屋の壁面や壁際に取り付けることが行われている。壁面や壁際に取り付けるスプリンクラーヘッドをサイドウォール型スプリンクラーヘッド(Side Wall Type Sprinkler Head :SWスプリンクラーヘッド)と言い、火災発生時には火元とならない天井方向へは水を散布せず、部屋の中程の火元に向けて水を散布できるようになっている。
【0003】
SWスプリンクラーヘッドとしては、部屋の壁に近い天井面や壁際に垂直に取り付けるもの(垂直取り付け用SWスプリンクラーヘッド)と、部屋の壁面や壁際に水平に取り付けるもの(水平取り付け用SWスプリンクラーヘッド)とがある。
【0004】
ところで部屋の天井に天井板が張られていなかったり、天井と階上の床面との間隔が狭くて消火用配管が敷設できなかったりするような場合には、下向き型の垂直取り付け用SWスプリンクラーヘッドは天井に取り付けることができない。なぜならば、下向き型の垂直取り付け用SWスプリンクラーヘッドは天井内の配管に螺合することにより、取り付けるようになっているからである。
【0005】
またこの垂直取り付け用SWスプリンクラーヘッドでも上向きのものを壁から少し離して壁際に取り付けようとする場合、壁面から水平方向に突出した配管をエルボーのような継ぎ手で立ち上がらせなければならないため、取り付け作業に手間や余分な費用がかかるようになる。それ故、壁面や壁際に取り付けるSWスプリンクラーヘッドとしては壁内の配管に横向けにして直接取り付ける水平取り付け用SWスプリンクラーヘッドが適している。
【0006】
垂直取り付け用SWスプリンクラーヘッドは特開昭64−5570号、実開昭52−106000号、実開昭55−30175号のように多数提案されているが、水平取り付け用SWスプリンクラーヘッドとしては実開平5−24058号に提案されているだけであった。この水平取り付け用SWスプリンクラーヘッドは、スプリンクラーヘッドに水平方向平行となった円筒状の長いひさしを設置したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
実開平5−24058号で提案された水平取り付け用SWスプリンクラーヘッドは、従来のスプリンクラーヘッドに円筒状のひさしを設置するだけであるため製造が容易で、しかも安価であり、また天井方向への不必要な散布がなく、部屋の中程へ適当に散布されるものである。しかしながら、水平な円筒状のひさしを設置しただけのSWスプリンクラーヘッドは、日本の消防法の規格に適合しないものであった。日本の消防法ではSWスプリンクラーヘッドは、その取り付け部から床面に対して3.6m×3.6mの散布域に均一に散布されなければならないことになっているが、水平な円筒状のひさしを設置しただけのSWスプリンクラーヘッドでは、図9に示すように両側に必要以上遠くに散布される部分(Y)ができるばかりでなく、両側には未散布域(Z)ができ、しかも前方にも必要以上遠くに散布される部分(X)ができ、しかもてしまうものであった。本発明は、水平取り付け用SWスプリンクラーヘッドにおいて、所定の散布域に均一に散布できるSWスプリンクラーヘッドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者が、従来の水平取り付け用SWスプリンクラーヘッドにおいて前方に必要以上遠くに散布される原因について鋭意研究を重ねた結果、その原因は補助デフレクターにあることを突き止め、補助デフレクターを改良すれば消防法に適合するSWスプリンクラーヘッドが得られることに着目して本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、導水孔を有する本体と、該本体から導水孔の放水方向に延出しているフレーム、導水孔の放水方向に対向して設置された板状のデフレクターを有しており、導水孔が水平向きで配管に接続されるサイドウォール型スプリンクラーヘッドにおいて、デフレクターの上方位置には、導水孔から放出された水が衝突する面が水平に設けられ、かつフレームに固定された補助デフレクターがデフレクターから離間して設置されているとともに、補助デフレクターはフレームに固定された端とは反対側の端が水平から導水孔の中心軸方向に傾斜していることを特徴とするサイドウォール型スプリンクラーヘッドである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では補助デフレクターの下方への傾斜は、水平方向に対して0〜30度が適している。ただし水を不必要に遠方まで散布しないため0度、即ち補助デフレクターの取り付け方向は水平であってはならず、0度よりも大きい角度とする。しかしながら補助デフレクターの傾斜の角度が30度よりも大きくなると、前方への散布距離が短くなり、所定の散布域に未散布部分ができてしまう。
【0011】
本発明では、補助デフレクターは図2、3に示すようにデフレクターの位置よりも後方(図の左方)から傾斜させたり、或は図5、6に示すようにデフレクターの位置よりも前方(図の右方)から傾斜させたりしてもよい。
【0012】
本発明のSWスプリンクラーヘッドは、デフレクターが板状のもの、例えば平時に板状デフレクターが本体内に収納されており、火災発生時に飛び出てきて一定距離で停止するフラッシュ型スプリンクラーヘッドや、本体の両側から馬蹄形のフレームヨークが突出していて、その先端に板状のデフレクターが設置されたフレームヨーク型スプリンクラーヘッド等である。またこれらのスプリンクラーヘッドは平時、弁座を弁体が閉塞していて、該弁体を感熱分解部分で保持している閉鎖型スプリンクラーヘッド、或は弁座を弁体が閉塞してなく他の熱感知装置で感知した信号で一斉開放弁が開放することにより水を散布する開放型スプリンクラーヘッド等である。
【0013】
【実施例】
以下図面に基づいて本発明のSWスプリンクラーヘッドを説明する。図1は本発明を適用させたフラッシュ型スプリンクラーヘッドの作動後の斜視図、図2は同側面図、図3は本発明を適用させたフラッシュ型スプリンクラーヘッドを壁面に取り付けた状態の側面断面図、図4はフラッシュ型スプリンクラーヘッドのデフレクターの拡大斜視図、図5は本発明を適用させたフレームヨーク型スプリンクラーヘッドの側面図、図6は本発明を適用させたフレームヨーク型スプリンクラーヘッドを壁面に取り付けた状態の側面断面図、図7はフレームヨーク型スプリンクラーヘッドのデフレクターの斜視図である。
【0014】
先ずフラッシュ型スプリンクラーヘッドについて説明する。フラッシュ型スプリンクラーヘッドは、本体1、フレーム2、弁体3、デフレクター4、補助デフレクター5、感熱分解部分6、等から構成されている。
【0015】
本体1は中央に導水孔7が穿設されており、端部は弁座8となっている。また本体1の外周には牡ネジ9が螺設され、端部はフランジ10となっている。
【0016】
フレーム2は円筒状であり、一端は内側フランジ11となっていて、他端は前述本体1のフランジ10に螺合している。
【0017】
弁体3は円盤状で一側にパッキンが被着されており、平時、本体1の弁座8を水密状態に閉塞している。
【0018】
デフレクター4は、図4に示すように円形の板状であり、上部には中央が深くなった逆円弧形の凹み12が形成されている。またデフレクター4の両側には横方に複数のスリット13・・・が形成されており、該スリットで形成された部分が羽根14・・・となっている。羽根14は縦の中心線に対して対象位置に形成されており、羽根の一部は導水孔方向に少し傾斜した状態で屈曲している。デフレクター4はリング15に固定された二本の支柱16、16で吊設されるようになっている。
【0019】
またデフレクター4の上方位置には補助デフレクター5が離間して設置されている。補助デフレクター5は矩形板を水平方向に対して下方に傾斜させたものであり、その傾斜の角度(β)は約4度となっている。補助デフレクターは立ち上がり部をフレーム2のフランジ11に固定してあり、デフレクター4の位置よりも後方、即ち、固定位置から下方に傾斜している。ちなみに実開平5−24058号のSWスプリンクラーヘッドは、円筒状のひさしが水平方向と平行になっているものである。
【0020】
感熱分解部分6は、フレーム2から出た部分に配設されており、ガイドポスト17を介して弁体3を保持している。感熱分解部分については周知(特公昭58−36985号)であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0021】
上記フラッシュ型スプリンクラーヘッドは、図2に示すように、部屋の壁18に穴19をあけ、該穴を通して壁内の配管20に横向きにして取り付ける。壁18の穴19はフラッシュ型スプリンクラーヘッドよりも少し大きめにあけてあり、穴の周囲から壁内が見えたり、穴から風が出入りしたりするのを防ぐため、シーリングプレート21で穴を覆い隠す。
【0022】
次に本発明を適用したフラッシュ型スプリンクラーヘッドにおける火災発生時の作動について説明する。
【0023】
火災が発生すると、火災の異常高温で感熱分解部分6が分解して感熱分解部分を構成する全ての部品が横方(図3の右方)に飛ばされる。すると感熱分解部分6で保持されていたデフレクター4も横方に移動する。デフレクター4の移動に伴いデフレクター4を支柱16で吊設するリング15もフレーム3の内壁面に沿って移動し、フレーム2の内方フランジ11で移動が停止される。このときデフレクターと一体となった弁体3も移動するため、弁座8が開放される。
【0024】
弁座8の開放で水が導水孔7から噴出し、デフレクター4に当たって分散される。このとき横方や下方への散布はデフレクター4に形成された複数の切り欠き13・・・と羽根14・・・によって所定巾に散布される。そして取り付け位置から前方の散布域に対しては、補助デフレクター5によって制御される。つまり補助デフレクターが従来の水平取り付け用SWスプリンクラーヘッドのように水平方向に対して平行であると、中央部が所定の散布域を越えて散布され、しかも前方の両側の散布域に散布されない未散布部分ができてしまう。この原因は、円形で水平の補助デフレクターに沿って飛散した水が円形のまま水平方向に散布されるため円の頂部が遠方散布になると考えられる。ところが本発明のように下方に傾斜した補助デフレクターを設置しておくと、導水孔から噴出した水が補助デフレクターの傾斜に沿って散布されるため、必要以上に遠方へ飛散しなくなるものである。
【0025】
次にフレームヨーク型スプリンクラーヘッドに本発明を適用したSWスプリンクラーヘッドについて説明する。
【0026】
フレームヨーク型スプリンクラーヘッドは、本体31、フレームヨーク32、弁体33、デフレクター34、補助デフレクター35、感熱分解部分36、等から構成されている。
【0027】
本体31は、中央に導水孔37が穿設されており、他端は弁座38となっている。また本体31の外側には牡ネジ39が螺設されている。
【0028】
フレームヨーク32は、弁座38の近傍から馬蹄形状に突出しており、その先端はボス40となっている。
【0029】
弁体33は、円盤状で一側にパッキンが被着されており、平時、本体31の弁座38を水密状態で閉塞している。
【0030】
デフレクター34は、図7に示すように矩形の板状であり、ボス40の先端に固定されている。デフレクター34の上部には中央が深くなった逆二等辺三角形の凹み41が形成されている。またデフレクター34の両側には複数の切り欠き42が刻設され、該切り欠きにより複数の羽根43が横向きに形成されている。羽根43の一部は、導水孔方向に略15度傾斜した状態で屈曲している。
【0031】
デフレクター34の上方位置には補助デフレクター35離間して設置されている。補助デフレクター35は、矩形板を屈曲させて本体の端部に固定したもので、デフレクター34の前方で水平方向に約15度下方に傾斜している。
【0032】
感熱分解部分は、弁体32とボス40間に設置されており、平時は弁体33を押圧している。このフレームヨーク型スプリンクラーヘッドに使用する感熱分解部分の構造については周知(実公昭42−16553号)であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0033】
次いで本発明を適用したフレームヨーク型スプリンクラーヘッドにおける火災発生時の作動について説明する。
【0034】
火災が発生すると、火災の異常高温で感熱分解部分36が分解して感熱分解部分を構成する全ての部品が下方に飛ばされる。すると感熱分解部分36で押圧されていた弁体33も落下し、弁座38が開放される。
【0035】
弁座38の開放で水が導水孔37から噴出し、デフレクター34に当たって分散される。このとき横方や下方への散布はデフレクター34に形成された複数の羽根43・・・によって所定巾に散布される。そして取り付け位置から前方の散布域に対しては、補助デフレクター35とデフレクター34の凹み41によって制御される。
【0036】
前述フラッシュ型のSWスプリンクラーヘッド、およびフレームヨーク型のSWスプリンクラーヘッドを壁面に取り付け、散布試験を行ったところ、図8に示すように3.6m平方の散布域に均一に散布され、前方への不必要な散布がなかった。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のスプリンクラーヘッドは、所定の散布域の前方に不必要に突出した散布がされず、しかも消防法に規定された散布域全域に均一に散布ができるという信頼性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用させたフラッシュ型スプリンクラーヘッドの作動後の斜視図
【図2】図1の同側面図
【図3】本発明を適用させたフラッシュ型スプリンクラーヘッドを壁面に取り付けた状態の側面断面図
【図4】フラッシュ型スプリンクラーヘッドのデフレクターの拡大斜視図
【図5】本発明を適用させたフレームヨーク型スプリンクラーヘッドの側面図
【図6】本発明を適用させたフレームヨーク型スプリンクラーヘッドを壁面に取り付けた状態の側面断面図
【図7】フレームヨーク型スプリンクラーヘッドのデフレクターの斜視図
【図8】本発明のサイドウォール型スプリンクラーヘッドにおける散布状態
【図9】従来のサイドウォール型スプリンクラーヘッドにおける散布状態
【符号の説明】
1 本体
2 フレーム
3 弁体
4 デフレクター
5 補助デフレクター
6 感熱分解部分

Claims (4)

  1. 導水孔を有する本体と、該本体から導水孔の放水方向に延出しているフレーム、導水孔の放水方向に対向して設置された板状のデフレクターを有しており、導水孔が水平向きで配管に接続されるサイドウォール型スプリンクラーヘッドにおいて、デフレクターの上方位置には、導水孔から放出された水が衝突する面が水平に設けられ、かつフレームに固定された補助デフレクターがデフレクターから離間して設置されているとともに、補助デフレクターはフレームに固定された端とは反対側の端が水平から導水孔の中心軸方向に傾斜していることを特徴とするサイドウォール型スプリンクラーヘッド。
  2. 前記補助デフレクターの傾斜角度は、0〜30度(ただし0度は除く)であることを特徴とするサイドウォール型スプリンクラーヘッド。
  3. 前記補助デフレクターは、フレームの固定位置から導水孔の中心軸方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のサイドウォール型スプリンクラーヘッド。
  4. 前記補助デフレクターは、導水孔の中心軸と平行に設置され、先端部が導水孔の中心軸方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のサイドウォール型スプリンクラーヘッド。
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