JP3845383B2 - 可撓管継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓管継手、特に、可撓性を有する蛇腹管を接続するための継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可撓性を有する蛇腹管をガスコックのガス入口等の被接続部に接続させる継手として、例えば、特許文献1の特開2002−250488号公報に開示のものがある。
このものは、図4(a)に示すように、継手を含むガス配管に接続されるガス通路(40)を具備する筒状の継手本体(4)と、この継手本体(4)の後方(図面では右側)から螺入されて固定されている締付筒(41)と、半径方向に拡縮可能な環状のリテーナ(42)と、前記継手本体(4)内の前記締付筒(41)の奥に収容されているパッキン部材(43)とが備えられている。前記締付筒(41)の前端部の内周には、前記前端に向かって拡径するテーパ内周面(44)が形成されており、前記テーパ内周面(44)に対向する前記リテーナ(42)の後部には、テーパ状外周面(46)が形成されている。又、リテーナ(42)の前端部には小径突部(45)が突出している。
【0003】
前記締付筒(41)を継手本体(4)にねじ込んだ状態においては、前記テーパ内周面(44)と継手本体(4)内に収容されている前記パッキン部材(43)との間には、空間(48)が形成され、この空間(48)内に、環状のリテーナ(42)を配置させる。
【0004】
この従来のものでは、図4(a)のように組み付けられた状態の前記継手内に、蛇腹管(5)を締付筒(41)の後方側から挿入させると、前記蛇腹管(5)の山部によってリテーナ(42)の小径突部(45)が押されることにより、リテーナ(42)は奥へ押されてパッキン部材(43)に当接し、この状態で拡縮しながら、蛇腹管(5)を通過させる。そして、リテーナ(42)を通過した蛇腹管(5)の前端部分は、図4(b)に示すように、前記パッキン部材(43)によって外周気密状態に接続されることとなる。
【0005】
この時、前記リテーナ(42)の小径突部(45)は蛇腹管(5)の谷部の一つに嵌まり込んだ状態で装着される。この状態で、蛇腹管(5)に引き抜き方向の力が加わった場合、前記リテーナ(42)のテーパ状外周面(46)が、締付筒(41)のテーパ内周面(44)に当接することにより、前記リテーナ(42)は、拡径方向の変形が阻止される上に径方向内向きの反力を受ける。これにより、リテーナ(42)の小径突部(45)が蛇腹管(5)の谷部に深く食い込む態様となり、蛇腹管(5)の継手からの引き抜きは阻止されることとなる。
【0006】
このように、従来の継手では、蛇腹管(5)を継手内に挿入するだけで、シール性を維持した状態で且つ抜け止め状態に蛇腹管(5)を接続することができるようにしたから、継手の構造を複雑にすることなく、蛇腹管(5)の接続作業が容易となった。
【0007】
しかしながら、上記した従来の継手では、蛇腹管(5)が確実に接続されたかどうかを確認することができない。又、蛇腹管(5)を接続させた後で、異物混入の発覚や、気密性不良等の理由で蛇腹管(5)の接続をやり直したいときには、蛇腹管(5)の取り外しができないので、蛇腹管(5)を切断し、新たな継手を接続しなければならない。この種の継手は、締付筒(41)を継手本体(4)から引き抜いた場合には、継手を構成している各種部材がばらばらに分解されてしまい、再度の組立調整が必要となるが、作業現場ではそれは容易でないため、上記のように、蛇腹管(5)を切断し、継手を廃棄し、新たな継手を使用することとなり、不経済である。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−250488号公報
【特許文献2】
特開2001−99374号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、『ガス通路が形成されている筒状の継手本体と、
前記継手本体に後方から螺入される締付筒と、
前記締付筒の前端に設けられ且つ前記締付筒内に挿入される蛇腹管の谷部に外嵌して前記蛇腹管の抜け方向の移動を阻止する環状のリテーナとからな可撓管継手』において、蛇腹管が確実に接続されたことを作業者が確認できるようにすると共に、接続後でも接続のやり直し及び継手の再使用が容易にできる可撓管継手を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、『前記継手本体内における前記ガス通路の半径方向の外側に、前記締付筒の前端面に向かって開放する環状凹部が前記ガス通路と同心状に形成され、
前記環状凹部内に、その外側周壁に沿うように筒状シール部材が装填されると共に、前記筒状シール部材と前記環状凹部の内側周壁との間に、前記蛇腹管の前記リテーナの装着位置よりも前方部分が前記締付筒の締め付けに伴って外周気密状態に差し込まれていくように設定されており、
前記締付筒の締め付け完了状態にて、前記締付筒を前記継手本体に抜け止め状態に固定することができる抜け止め手段が設けられていると共に、前記抜け止め手段は工具によって解除可能に設定されており、
前記抜け止め手段は、半径方向に縮径可能な弾性リングと、前記締付筒の胴部外周面の所定位置に周方向に沿って形成され且つ前記弾性リングを弾性変形させた状態にて全体を収容可能な深さを有する外溝と、前記継手本体の胴部内周面の所定位置に周方向に沿って形成され且つ弾性復帰した状態の前記弾性リングの外周部分が浅く嵌り込む深さを有する内溝とからなり、前記締付筒の締付け完了時にて、前記外溝は前記内溝に対応するように設定されており、
前記継手本体には、その胴部を半径方向に貫通し且つ前記内溝内に連通する貫通孔が複数箇所に形成されており、通常の使用時においては、前記貫通孔には通気性防水部材が充填されている』ことである。
上記技術的手段は次のように作用する。
継手本体内の環状凹部内に筒状シール部材を装填すると共に、前記継手本体に螺合させる前の締付筒に、蛇腹管を後方から挿入して前記締付筒の前端に設けられているリテーナよりも蛇腹管が所定長さ突出するようにセットする。蛇腹管を締付筒に上記条件でセットした状態においては、前記リテーナが蛇腹管の谷部に外嵌することとなり、蛇腹管は締付筒に対して抜け方向の移動が阻止される。この状態で、締付筒を継手本体内に手締めで螺入させていく。締付筒の螺合に伴って、前記蛇腹管のリテーナよりも前方に突出させた部分が、前記環状凹部内の環状シール部を弾性的に押圧しながら挿入されていく。このとき、前記蛇腹管が前記環状凹部内に挿入されないで、前記蛇腹管の前端部が環状凹部の内側周壁に当接したり、継手本体内のガス通路内にずれ込んだりした場合、締付筒の締付けがスムーズでなく、最終締付け位置に達するまで締付けることができないことから、蛇腹管の挿入不良を手の感触で認識することができる。前記締付筒が最終締め付け位置まで締め付けられた時点で、前記締付筒は抜け止め手段によって前記継手本体に抜け止め状態に固定される。この状態が蛇腹管の接続完了状態であり、蛇腹管の前記リテーナよりも前端部分は、前記筒状シール部材によって外周気密状態に且つ抜け止め状態に接続された態様となる。尚、前記抜け止め手段は、工具を用いて解除することができるように設定されており、解除後には、締付筒の螺合を緩めて締付筒を継手本体から後退させていくと、蛇腹管も締付筒に共に、継手本体から引き抜くことが出来る。前記締付筒と共に蛇腹管を引き抜いた後の継手本体は、蛇腹管挿入前の状態と同じであり、蛇腹管は、締付筒と共に再度継手本体内に挿入して接続させることができる。
【0011】
また、前記抜け止め手段は、半径方向に縮径可能な弾性リングと、前記締付筒の胴部外周面の所定位置に周方向に沿って形成され且つ前記弾性リングを弾性変形させた状態にて全体を収容可能な深さを有する外溝と、前記継手本体の胴部内周面の所定位置に周方向に沿って形成され且つ弾性復帰した状態の前記弾性リングの外周部分が浅く嵌り込む深さを有する内溝とからなり、前記締付筒の締付け完了時にて、前記外溝は前記内溝に対応するように設定されているので、弾性リングを縮径方向に弾性変形させることにより、弾性リングは締付筒に設けた外溝内に全体的に収容される態様となり、この状態で締付筒を継手本体に螺入させていけば、締付筒は継手本体内に螺入されることとなる。そして、締付筒の最終締付け位置に達して、前記外溝が、継手本体内の内溝に対応したとき、前記弾性リングは拡径方向に弾性復帰し、弾性リングの外周部が前記内溝の底部に当接する。このとき、パチンと音がすると共に、それ以上の締付筒の螺入が阻止される。これにより、締付筒が最終締付け位置に達したことが音と手の感触で認識することができる。弾性リングが内溝に嵌り込んだ状態で、締付筒は継手本体に対して抜け止め状態に接続されるが、前記内溝は弾性リングの外周部分が浅く嵌り込む程度に浅く形成されていると共に、その後方側開放端縁はテーパ状に形成されているから、手の力だけでは締付筒を緩めることはできないが、工具を用いて強制的に締付筒の締付けを緩める方向に回動させれば、締付筒の後方への移動に伴って、前記弾性リングは外溝の前方側開放端縁に押されて縮径させられて内溝から外溝内へ押し出される。これが前記抜け止め手段の抜け止めを解除した状態であり、この状態で締付筒を引き抜けば、締付筒は蛇腹管と共に継手本体から引き抜き可能となる。
【0012】
また、前記継手本体には、その胴部を半径方向に貫通し且つ前記内溝内に連通する貫通孔が複数箇所に形成されており、通常の使用時においては、前記貫通孔には通気性防水部材が充填されているので、前記貫通孔に充填されている通気性防水部材は、外部から継手本体内へ雨水等の液体は通さないが、継手本体内から外部へ気体は通過させることができる。よって、配管作業中に蛇腹管に釘打ち等によって孔が開いてガス漏れが発生した場合、継手本体内へ漏れ出たガスは前記通気性防水部材を透過して外部へ流出されることとなるから、配管接続後に、ガス漏れを検出することができる。このように、前記貫通孔は、ガス漏れ検知用のガスの逃がし通路として機能させることができる。又、接続不良等の理由で蛇腹管の接続作業をやり直したい場合は、前記貫通孔から通気性防水部材を取り除き、工具を前記複数の貫通孔に同時に差し込む。前記貫通孔は抜け止め用の前記弾性リングを収容している内溝に連通するように構成されているから、前記工具を貫通孔に差し込むことにより、前記弾性リングを内方へ押圧させて縮径方向に弾性変形させることができる。縮径させられた弾性リングは締付筒の外溝内に押し込むことができ、その状態で締付筒の締付けを緩めていくことにより、蛇腹管は締付筒と共に継手本体から取り外すことができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
蛇腹管が継手本体に正しく且つシール性を維持した状態で接続されたかどうかは、締付筒を最終締付け位置までスムーズに締付けることができるかどうかと、抜け止め手段によって継手本体に固定することができるかどうかによって、作業者が容易に認識することができる。よって、蛇腹管の接続不良が生じることがない。又、蛇腹管の接続は締付筒の手締めによって行えるから、締付けに強い力は不要である。接続後に、異物の混入や気密性等の問題で蛇腹管の接続をやり直したい場合には、前記抜け止め手段を工具によって解除させれば、蛇腹管は締付筒と共に継手本体から容易に取り外される上に、継手本体及び締付筒はその状態のまま再使用することができる。よって、蛇腹管の接続のやり直しが容易に行え且つ何度でも再使用可能な使い勝手の良い継手を提供することができることとなる。
【0015】
また、蛇腹管が確実に接続されて締付筒が最終締付け位置にまで締付けられたかどうかは、弾性リングの弾性復帰に伴う手の感触と音によって認識することができるから、作業者が一層容易に蛇腹管の接続完了を確認することができる。又、抜け止め手段の構成及び構造が簡単である。
【0016】
さらに、ガスの逃がし通路を、弾性リングを弾性変形させるための工具挿通孔として利用することができるといった効果がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の実施例を図面に従って詳述する。
本発明の実施の形態の可撓管継手は、ガス栓のガス入口部(51)に接続される継手本体(1)と、継手本体(1)に螺合接続される締付筒(2)と、締付筒(2)の前端部に設けられ且つ半径方向に弾性的に拡縮可能なリテーナ(3)とからなり、図1は、締付筒(2)の締付け前の状態を示しており、図2は、締付筒(2)を最終締付位置にまで締め付けた最終締付状態を示している。
【0019】
以下、各部の詳細について説明する。
[継手本体(1)について]
継手本体(1)の下流端側である前端部(図面では左端)の外周にはガス栓のガス入口部(51)に螺入させるための雄ネジ部(10)が刻設されていると共に、その内周側には、ガス通路(18)が形成されている。前記ガス通路(18)の後方開放端の半径方向外側には、所定深さを有し且つ後方に開放する環状凹部(11)が前記ガス通路(18)と同心状に形成されている。前記環状凹部(18)内には後述する蛇腹管(5)の山部に押圧されて気密を確保する筒状のシール部材(12)が、環状凹部(11)の外側周壁(11a)に密着するように装填されており、前記シール部材(12)の内周面と環状凹部(11)の内側周壁(11b)との間に形成されるスペース部(15)の幅は、蛇腹管(5)の山部と谷部とで形成される蛇腹の波の高さよりも小さくなるように設定されている。尚、この実施の形態では、前記環状凹部(18)の深さは、蛇腹管(5)の山部2つ分が挿入可能な深さに構成されている。
【0020】
又、継手本体(1)の前方端側と後方端側を除いた中央部分の一定範囲の内周面には締付筒(2)を螺入させるための雌ネジ部(13)が刻設されており、前記雌ネジ部(13)の後方には、内溝(14)が内方に向かって開放するように形成されている。
【0021】
[締付筒(2)について]
締付筒(2)は、継手本体(1)内に螺入される小径筒部(21)と、これの後方へ連続し且つ外周が六角形状に形成された工具対応部(22)とから構成されている。工具対応部(22)はその平径が継手本体(1)の後端部の外径よりも大きく形成されていると共にその前端部には一本の環状溝(20a)が前方へ開放するように形成されている。前記環状溝(20a)には環状パッキン(20)の一部が嵌め込まれる。
【0022】
又、工具対応部(22)の内周面には、凹部(23a)が設けられており、該凹部(23a)には蛇腹管(5)の外周を被覆している弾性材料製の被覆管(50)に気密且つ水密的に接触する断面略T字状の防水パッキン(23)が装填されている。防水パッキン(23)によって、本実施の形態に係る可撓管継手が屋外配管部に使用された場合でも、締付筒(2)の後端部から被覆管(50)の表面に付着した雨水が継手内に浸入するのを防止している。
【0023】
そして、小径筒部(21)の外周面には、前記雌ネジ部(13)に螺合可能な雄ネジ部(24)が形成されている。尚、雄ネジ部(24)の形成域よりも後方の外周面には、前記締付筒(2)を継手本体(1)に最終締付け位置に達するまで締付けたときに、継手本体(1)に設けた前記内溝(14)にちょうど対応する位置に、外溝(25)が形成されており、前記外溝(25)には、C字状弾性リング(26)が係止される。
【0024】
前記外溝(25)の深さ及び幅は、前記C字状弾性リング(26)の断面の直径に略一致するように設定されており、C字状弾性リング(26)が自由状態にあるときには、外溝(25)から外方へ突出し、縮径方向へ弾性変形させた状態において、前記外溝(25)内にちょうど収容可能な寸法関係に設定されている。
【0025】
[リテーナ(3)について]
締付筒(2)の継手本体(1)への螺入によって継手本体(1)内の奥に押込まれるリテーナ(3)は、後半部(3b)が締付筒(2)の前端の前記係合筒部(27)に外嵌接続されると共に、前記後半部(3b)の内径よりも、蛇腹管(5)を継手本体(1)の環状凹部(11)内へ押込む前半部(3a)の内径の方が小径に形成された金属製の弾性筒体であり、軸線方向に1本のスリットを形成することによって、半径方向に拡縮自在となっている。
【0026】
リテーナ(3)の前記前半部(3a)の内周面は、前方へ向かって縮径するテーパ内周面(30)となっており、その最小径部である前端部が、蛇腹管(5)の山部を前方へ押す押圧部(33)として機能する。
【0027】
尚、リテーナ(3)の先端部が拡縮しない自然状態において、押圧部(33)の内周端の内径は、蛇腹管(5)の山部の外径よりも小さく且つ谷部の外径よりも大きく設定されていると共に、リテーナ(3)の外径は、前記継手本体(1)の内径に略一致するように設定されている。これにより、締付筒(2)を締付けて、リテーナ(3)を継手本体(1)内に収容させた状態においては、前記リテーナ(3)は拡開阻止状態に保持された態様となると共に、リテーナ(3)の前端部は、環状凹部(11)内のシール部材(12)に対向するように構成されている。
【0028】
[可撓管継手の組み付けについて]
上記各部品を用いて本発明の実施の形態に係る可撓管継手を組み付けるには、まず、リテーナ(3)の後端部(3b)を締付筒(2)の前端を係止させて、リテーナ(3)を締付筒(2)に回転自在に一体化させる。
【0029】
そして、前記締付筒(2)の後方から、蛇腹管(5)を締付筒(2)内に挿入させる。蛇腹管(5)を差し込むと、その最前端の山部がリテーナ(3)の前端の押圧部(33)に続くテーパ内周面(30)を押圧し、それに伴って、リテーナ(3)の前記前半部(3a)が半径方向に拡開する。これにより、前記山部はテーパ内周面(30)を外方へ押しながら押圧部(33)を通過可能となる。
【0030】
特に、この実施の形態のものでは、図1に示すように、リテーナ(3)の前端部から蛇腹管(5)の山部2つ分が前方へ突出させた状態が蛇腹管(5)の組み付け完了状態とする。尚、テーパ内周面(36)のテーパ度合いを小さく設定しておけば、小さな押込み力でリテーナ(3)の先端部を拡開させて蛇腹管(5)を挿入させることができる。
【0031】
上記したようにリテーナ(3)と蛇腹管(5)とを一体に組み付けた状態の締付筒(2)を、継手本体(1)の後方から差し込む。このとき、前記弾性リング(26)を縮径方向に弾性変形させて、外溝(25)内に収容させながら、継手本体(1)内へ差し込んでいくことにより、締付筒(2)は、継手本体(1)内にスムーズに差し込むことができ、その後、雄ネジ部(24)を雌ネジ部(13)に螺合させる。
【0032】
締付筒(2)は手で締付け可能であり、締付けに伴って、締付筒(2)は継手本体(1)の前方へ進んでいく。リテーナ(3)の前方へ突出させている蛇腹管(5)の前端部分が、継手本体(1)の環状凹部(11)内の、シール部材(12)と内側周壁(11b)との間のスペース部(15)内に押し込まれていく。前記蛇腹管(5)の蛇腹の波の高さと、前記スペース部(15)の幅との関係は上記したとおりであるから、蛇腹管(5)は、その山部で、シール部材(12)の内周面を弾性的に押圧しながら、スペース部(15)内に収容されていくこととなる。このとき、リテーナ(3)は、継手本体(1)の雌ネジ部(13)の形成域に略接触状態に収容されていることから、拡径は阻止され、蛇腹管(5)の山部を確実にスペース部(15)へ押し込む方向へ押圧することができる。
【0033】
そして、締付筒(2)が、図2に示すように、最終締付け位置に達するまで締付けられた接続完了状態においては、蛇腹管(5)の前端の2つの山部がシール部材(12)の内周面に気密状態に押圧すると共に、図3に示すように、前記締付筒(2)の外溝(25)が、継手本体(1)の内溝(14)にちょうど対向することにより、外溝(25)内に弾性変形状態に収容されていた弾性リング(26)が、内溝(14)の底部へ向かって拡径方向に勢い良く弾性復帰する。このとき、弾性リング(26)が内溝(14)の底部に当たってパチンという音がすると同時に、それ以上の締付けが阻止されることとなる。これにより、締付筒(2)が最終締付け位置に達するまで締付けられたことを音と手の感触で認識することができる。これが蛇腹管(5)の接続完了状態である。
【0034】
この組み付け状態において、蛇腹管蛇腹管(5)に抜け方向の力が加わった場合、リテーナ(3)は上記したように、拡径阻止状態に保持されているから、蛇腹管(5)の前から2つめの山部の後面が押圧部(33)に当接することとなり、蛇腹管(5)の締付筒(2)からの引き抜きは阻止される。
【0035】
尚、締付筒(2)は手締めによって締付けていくことから、万一、蛇腹管(5)が歪んで挿入される等、蛇腹管(5)の前端がスペース部(15)内にうまく挿入されなかった場合には、リテーナ(3)の押圧部(33)に不必要な付加がかかることから、締付筒(2)の締付け力にも影響する。こうして、締付筒(2)の接続不良は手の感触で認識することができる。この場合、締付筒(2)の螺合を緩めてやり直せばよい。
【0036】
又、締付筒(2)が最終締付け状態に締付けられておらず、蛇腹管(5)の前端部分のスペース部(15)への挿入長さが不十分な場合には、外溝(25)が内溝(14)に対応することなく、弾性リング(26)が弾性復帰する音と感触を得ることができないから、この場合にも、締付筒(2)の締付けが不十分であることも認識することができる。
尚、内溝(14)は、図3に示すように、弾性リング(26)の半径以下の寸法に設定されている。
【0037】
内溝(14)に一旦嵌め込まれた弾性リング(26)はその弾性によって、内溝(14)の底部に強く押圧する態様となるから、手の力では、締付筒(2)を緩める方向に回動させることはできないが、工具対応部(22)に工具を対応させて、工具でもって締付筒(2)を緩める方向に回動させれば、弾性リング(26)は外溝(25)の前方開放端によって後方へ押されてテーパ状の後方開放端(16)に沿って縮径方向に強制的に弾性変形させられ、内溝(14)から脱出して外溝(25)内に移行させることができる。弾性リング(26)を外溝(25)内に収容させることができれば、締付筒(2)は継手本体(1)から取り外すことができる。
【0038】
このように、継手本体(1)に接続された後の締付筒(2)は工具を利用することにより、継手本体(1)から容易に取り出すことができる。締付筒(2)が後方へ引き抜かれるに伴って、蛇腹管(5)も容易に引き抜くことができる。
【0039】
従って、蛇腹管(5)の接続が完了した後で、継手本体(1)内に異物が混入していることや、気密性が悪いこと等が発覚した場合、締付筒(2)を工具で緩めることにより、締付筒(2)は蛇腹管(5)と共に継手本体(1)から取り外すことができる。取り外された後の、継手本体(1)及び締付筒(2)、さらには、リテーナ(3)は、接続前の状態と同じであるから、所定の処置をした後、再度、上記した要領で、蛇腹管(5)をセットした締付筒(2)を継手本体(1)に接続させればよい。
【0040】
さらに、この実施の形態のものでは、工具を用いた締付筒(2)の取外しをさらに容易なものとするために、継手本体(1)の胴部を貫通する貫通孔(19)を前記内溝(14)に連通するように形成してある。前記貫通孔(19)は、継手本体(1)の直径に沿った相互に対向する位置に2つ形成されていることが望ましく、この一対の貫通孔(19)に同時に、図3に示すような、差込工具(31)の先端を差し込んで、弾性リング(26)を内方へ押圧することにより、弾性リング(26)を縮径方向に強制的に弾性変形させることができる。こうして、弾性リング(26)を縮径させながら、締付筒(2)を緩める方向に回動させれば、締付筒(2)は継手本体(1)から引き抜くことができる。この場合には、締付筒(2)を回動させるための工具を用いる必要はなく、手で緩めていくことができる。
尚、前記貫通孔(19)は、工具差込穴として使用しない場合には、通気性防水部材(17)が充填されている。
【0041】
通気性防水部材(17)は、ガス等の気体は通過させるが、雨水等の液体は通過させない部材であり、貫通孔(19)に通気性防水部材(17)を充填させておくことにより、雨水等の継手内への浸入を阻止することができる。又、万一、蛇腹管(5)に作業中の釘打ち等によって穴が開いてしまい、蛇腹管(5)からガス漏れが発生した場合、蛇腹管(5)と被服環(50)との間から継手本体(1)内に侵入したガスは、通気性防水部材(17)を介して継手本体(1)の外部に漏れ出ることとなる。このように、貫通孔(19)はガスの逃がし通路としても機能させることができる。このガス漏れは配管の検査時の圧力低下で検出できる。
【0042】
尚、蛇腹管(5)の接続完了状態において、蛇腹管(5)の前2つの山部の頂部がシール部材(12)に圧接することにより、蛇腹管(5)は外周気密状態に接続されると共に、締付筒(2)の工具対応部(22)に設けた防水パッキン(23)は蛇腹管(5)に被覆させた被覆管(50)の外表面に気密状態に接触する態様となる。
【0043】
さらに、最終締付状態において、継手本体(1)の後端部と工具対応部(22)の前端部とは、略密着状態に接するように設定されているが、前記工具対応部(22)の前端面には、上記したように、環状溝(20a)が前方に開放するように形成されていると共に、前記溝(20a)には、環状パッキン(20)を装填させているから、継手本体(1)の後端部と工具対応部(22)の前端部との間にはこの環状パッキン(20)によって、気密性が保持されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態の可撓管継手の締付筒を継手本体内に螺合させる前の状態を示す断面図。
【図2】本発明実施の形態の可撓管継手の締付筒を最終締付位置にまで締め付けた状態を示す要部拡大断面図。
【図3】図2の要部拡大断面図。
【図4】従来の可撓管継手を示す断面図であり、(a)は蛇腹管の挿入前の状態を示し、(b)は蛇腹管の接続完了状態を示す断面図。
【符号の説明】
(1)・・・・継手本体
(11)・・・・環状凹部
(11a)・・・・外側周壁
(11b)・・・・内側周壁
(12)・・・・筒状シール部材
(18)・・・・ガス通路
(2)・・・・締付筒
(3)・・・・リテーナ
(5) ・・・・蛇腹管
Claims (1)
- ガス通路が形成されている筒状の継手本体と、
前記継手本体に後方から螺入される締付筒と、
前記締付筒の前端に設けられ且つ前記締付筒内に挿入される蛇腹管の谷部に外嵌して前記蛇腹管の抜け方向の移動を阻止する環状のリテーナとからなる可撓管継手において、
前記継手本体内における前記ガス通路の半径方向の外側に、前記締付筒の前端面に向かって開放する環状凹部が前記ガス通路と同心状に形成され、
前記環状凹部内に、その外側周壁に沿うように筒状シール部材が装填されると共に、前記筒状シール部材と前記環状凹部の内側周壁との間に、前記蛇腹管の前記リテーナの装着位置よりも前方部分が前記締付筒の締め付けに伴って外周気密状態に差し込まれていくように設定されており、
前記締付筒の締め付け完了状態にて、前記締付筒を前記継手本体に抜け止め状態に固定することができる抜け止め手段が設けられていると共に、前記抜け止め手段は工具によって解除可能に設定されており、
前記抜け止め手段は、半径方向に縮径可能な弾性リングと、前記締付筒の胴部外周面の所定位置に周方向に沿って形成され且つ前記弾性リングを弾性変形させた状態にて全体を収容可能な深さを有する外溝と、前記継手本体の胴部内周面の所定位置に周方向に沿って形成され且つ弾性復帰した状態の前記弾性リングの外周部分が浅く嵌り込む深さを有する内溝とからなり、前記締付筒の締付け完了時にて、前記外溝は前記内溝に対応するように設定されており、
前記継手本体には、その胴部を半径方向に貫通し且つ前記内溝内に連通する貫通孔が複数箇所に形成されており、通常の使用時においては、前記貫通孔には通気性防水部材が充填されている可撓管継手。
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