JP3845336B2 - 圧着端子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆電線の端部に取り付けられる圧着端子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の圧着端子の一例を図6(b)に示しており、この圧着端子50は、相手レセプタクル端子と嵌合されるタブ端子状のプラグコンタクト部51と、プラグコンタクト部51の後部に位置する接続部51aに繋がって後方に延びる基底部52と、基底部52の前部における左右側端から上方に突出する芯線圧着片53,53と、同じく基底部52の後部における左右側端から上方に突出する被覆圧着片54,54とを備えて構成される。この圧着端子50は、その展開図を図7に示すように、1枚の導電性金属板材を打ち抜き加工および折り曲げ加工されて一体成型される。
【0003】
この圧着端子50は、図6(a)に示すように、先端部において被覆102が剥がされて露出した芯線101を芯線圧着片53,53が左右から包み込んで挟持し、その後部において電線100の被覆102を被覆圧着片54,54が左右から包み込んで挟持して、被覆電線100の先端部に取り付けられる。この取付は、圧着工具を用いて芯線圧着片53,53および被覆圧着片54,54をそれぞれ図示のように内側に折り曲げ加工されてなされるが、このとき被覆圧着片54,54の先端部は被覆電線100を左右から包むように曲げられ先端部が突き合った後に内側に曲げられ、被覆102を突き刺すように押しつけて圧着されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、昨今の電子機器の小型軽量化等に伴って電子機器に用いられる被覆電線もますます細くなり、これに伴って被覆厚さも薄くなっているため、上記のように被覆圧着片54,54の先端が被覆102を突き刺すように押し付けて圧着されると、被覆圧着片の先端が被覆を突き破り、被覆が裂ける等して充分な把持力が得られなくなる虞があった。
【0005】
なお、図6に示した上記圧着端子50における被覆圧着片に代えて、図8に示すように、前後にずれて延びる左右被覆圧着片55a,55bを有してなる圧着端子50′も従来用いられている。この圧着端子50′は被覆圧着片55a,55b以外は、図6の圧着端子50と同一構成である。この圧着端子50′の場合には、左右被覆圧着片55a,55bは被覆電線100を前後にずれた状態で巻き込むように圧着されるため、上述したように左右先端が突き合うことがなく被覆102を突き破るという問題は生じない。しかしながら、左右被覆圧着片55a,55bがそれぞれ独立して被覆102に巻き付いただけの状態であるため、それぞれの挟持力が小さく、例えば、左右被覆圧着片55a,55bの先端部が外方に引きはがされるような外力を受けると簡単に折れ曲がって剥がされ、その挟持力が低下し易いという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、被覆電線の先端に圧着端子を圧着接続する際、被覆圧着片が電線被覆を破損させることがなく、且つ十分な挟持力を有して被覆を圧着保持することができるような構成の圧着端子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の圧着端子は、コンタクト部と、このコンタクト部の後端に繋がって後方に延びる基底部と、この基底部の前部における左右側端から上方に突出した左右一対の芯線圧着片と、基底部の後部における左右側端から上方に突出した左右一対の被覆圧着片とを備えて、導電性を有する金属板材から一体に形成される。さらに、この圧着端子では、左右一対の被覆圧着片における一方の上端部の内面側と外面側のうち外面側の方だけに先端側が細くなるテーパ面を設けるとともに、他方の上端部の内面側と外面側のうち内面側の方だけに先端側が細くなるテーパ面を設けることで、被覆圧着片を被覆電線に圧着するときに被覆圧着片の上端部(先端部)同士が対向するように内方に曲げられた際に、被覆圧着片の上端部同士が突き合う位置において上端部の先端側同士が互いに上下方向にずれて対向し、その結果、一方の被覆圧着片が電線の被覆の上に巻き付けられるとともに、他方の被覆圧着片が一方の被覆圧着片の上に重なるようにして電線の被覆の上に巻き付けられて電線に圧着されるように構成されている。
【0008】
このような構成の圧着端子によれば、被覆電線の先端に圧着端子を圧着接続するときに、左右一対の被覆圧着片を圧着工具により折り曲げ加工すると、それらの先端部同士が突き合う位置において上記のように形成されたテーパ面のために先端部同士が上下にずれて対向し、互いに上下に重なるようにして折り曲げ加工される。この結果、一方の被覆圧着片が電線の被覆の上に巻き付き、他方の被覆圧着片がその上に巻き付く状態となり、電線の被覆上に重なった状態でしっかりと巻き付く。この結果、被覆を破損させることなく、且つ被覆をしっかりと挟持することができる。また、このように上下に重なって被覆上に巻き付いているため、外力を受けて引きはがされるようなことも生じにくい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に本発明に係る圧着端子10と、この圧着端子10に圧着接続される被覆電線100とを示している。図に示されている圧着端子10は先端に平板状のタブコンタクトを有するオス型のものであり、このオス型の圧着端子10が図示しないメス型(ソケット型)の圧着端子と嵌合接続される。なお、図1(a)は、圧着端子10と被覆電線100とが圧着接続された様子を示し、図1(b)は、圧着接続される前の様子を示している。また、この圧着端子10の展開図を図2に示している。
【0010】
圧着端子10は、前方に突出する平板状のタブコンタクトを構成するプラグコンタクト部11と、このプラグコンタクト部11の後端に接続部11aを介して繋がって後方に延びるとともに下に凸となる緩やかな円弧断面(図4および5参照)を有した板状の基底部12と、この基底部12の前部における左右側端から上方に突出した左右一対の芯線圧着片13,13と、基底部12の後部における左右側端から上方に突出した左右一対の被覆圧着片14,15と、基底部12の中央における左右側端から上方に突出するとともに芯線圧着片13,13および被覆圧着片14,15の間を繋いで形成された連結部17,17と、接続部11aの左右側端から上方に突出するとともに芯線圧着片13の前端からテーパ状に低くなってコンタクト部11の後端に滑らかに繋がる補強部16,16とを備えて、導電性を有する金属板材を加工して一体に形成されている。
【0011】
この構成において、連結部17,17は芯線圧着片13,13および被覆圧着片14,15の間を繋いで補強し、補強部16はコンタクト部11の後部に位置する接続部11aを補強する役割を果たす。
【0012】
さらに、左右の被覆圧着片14,15において、図4から良く分かるように、右被覆圧着片14にはその上端内面側に先端側が細くなるテーパ面14aを設け、左被覆圧着片15にはその上端外面側に先端側が細くなるテーパ面15aを設けている。
【0013】
このような構成の圧着端子10に圧着接続される被覆電線100は、複数の素線を束ねてなる芯線101(本実施形態では、7本の芯線を有する7芯線を用いて示している)と、この芯線101を覆うPVC(Polyvinyl Chloride; 塩化ポリビニル)等からなる絶縁性を有した被覆102とから構成されている。
【0014】
この被覆電線100の先端に圧着端子10を圧着接続するときには、まず、電線100の先端部の被覆102が剥がされて芯線101が露出される。そして、図3に示す端子圧着装置20により電線100の先端に圧着端子10が圧着接続される。この端子圧着装置20による自動圧着を行うため、多数の圧着端子10がそれぞれ保持部6を介してキャリア5により一定間隔をおいて繋げられており、このようにキャリア5に繋がった状態のまま各圧着端子10が順次端子圧着装置20内に搬送され、この装置20の作動により被覆電線100の先端部に圧着接続される。
【0015】
端子圧着装置20は、上金型21とこの上金型21の下方に対向して配設された下金型25とを有して構成される。上金型21は、図示しない駆動機構により上下に昇降動され、下金型25に近接する下動位置と下金型25の上方に離れて位置する上動位置とで往復昇降移動される。また、図示しないが、これら上下金型21、25の間を通ってキャリア5により繋がった状態の圧着端子10を順次搬送する搬送装置が設けられる。
【0016】
上金型21は、被覆圧着を行う上被覆クリンパ部22と芯線圧着を行う上芯線クリンパ部23とを有しており、上被覆クリンパ部22の断面を図4〜6に示し、上芯線クリンパ部23の断面を図7〜9に示している。上被覆クリンパ部22には、下端面に開口し上方に延びる被覆圧着片誘導凹部22aと、被覆圧着片誘導凹部22aに繋がって上方に延び上端が丸くなった被覆圧着片圧着凹部22bとが形成されている。一方、上芯線クリンパ部23には、下面部に開口し上方に延びる芯線圧着片誘導凹部23aと、芯線圧着片誘導凹部23aに繋がり上端が丸くなったM字状断面の芯線圧着片圧着凹部23bとが形成されている。
【0017】
下金型25は、上金型21と同様に、下被覆クリンパ部26および下芯線クリンパ部27を有しており、それぞれの断面を図4〜6および図7〜9に示している。下被覆クリンパ部26には、上面部において上方へ突出した被覆圧着片受け凸部26aと、被覆圧着片受け凸部26aの上面に形成された被覆圧着片受容部26bとが設けられている。下芯線クリンパ部27には、上面部において上方へ突出した芯線圧着片受容部27aと芯線圧着片受容部27aの上面に形成された芯線圧着片受容部27bとが設けられている。
【0018】
次に、上記構成の端子圧着装置20によって、圧着端子10の被覆圧着片14,15が被覆電線100の被覆102の上に圧着接続される工程を図4に示し、芯線圧着片13,13が先端部において露出された芯線101に圧着接続される工程を図5に示している。図4および図5の工程は上金型21が下動されるときに同時に行われ、符号(a)同士、(b)同士(c)同士が同一工程となる。
【0019】
この圧着に際して、まず、図3に示すように先端部の被覆102が剥がされて芯線101が露出した被覆電線100を、先端において露出する芯線101を芯線圧着片13の間に位置させるとともに、被覆102の先端部を左右の被覆圧着片14,15の間に位置させて基底部12上に載置する。そして、このように被覆電線100が載置された状態の圧着端子10を、端子圧着装置20における上金型21と下金型25との間に搬送して、下金型25の下被覆クリンパ部26および下芯線クリンパ部27に形成された被覆圧着片受容部26bおよび芯線圧着片受容部27bの上に基底部12を、図4(a)および図5(a)に示すように載置する。なお、このとき上金型21は、図に示すように、上動位置にある。
【0020】
次に、図4(a)および図5(a)において矢印で示すように上金型21を下動させる。このように上金型21を下動させたときの上下被覆クリンパ部22,26による被覆圧着片14,15の圧着について、まず説明する。図4(a)の状態から上金型21が下動されると、上金型21の被覆圧着片誘導凹部22a内に左右被覆圧着片14,15の先端部が誘い込まれて内側に曲げられ、さらに被覆圧着片圧着凹部22bに誘い込まれて内方に曲げられ、図4(b)に示すように、先端部同士が対向する。ここで、上述のように左右被覆圧着片14,15の先端に上述のテーパ面14a,15aが設けられているが、右テーパ面14aは内面側に設けられ、左テーパ面15aは外面側に設けられているため、両テーパ面14a,15aの先端は上下に食い違った状態で対向する。このため、この状態からさらに上金型21を下動させると、右テーパ面14aの下側に左テーパ面15aが潜り込み、左右被覆圧着片14,15が上下に重なった状態で折り曲げられる。
【0021】
このため、上金型21が最下動位置まで下動されたときには、図4(c)に示すように、左被覆圧着片15が被覆102の上に巻き付くとともに、右被覆圧着片14が左被覆圧直片15の上に巻き付いた状態となって圧着される。
【0022】
上記のように被覆圧着片14,15が被覆102の上に巻き付けられて圧着されるときに、同時に、上下芯線クリンパ部23,27により芯線圧着片13,13が芯線101に圧着されるが、この圧着工程について以下に説明する。図5(a)の状態から上金型21が下動されると、上金型210の芯線圧着片誘導凹部23a内に左右の芯線圧着片13,13が誘い込まれて内側に曲げられ、次に芯線圧着片圧着凹部23bによって内方に誘い込まれ、図5(b)に示すように折り曲げられる。この状態からさらに上金型21を下動させると、芯線圧着片13,13の先端面同士が当接し、これらを突合して芯線101を押し潰すように加圧していき、上金型21が最下動位置に位置したときに芯線圧着片13,13が図5(c)に示すように芯線101をしっかりと挟持して圧着保持する。
【0023】
このように端子圧着装置20によって被覆電線100の先端に圧着端子10が圧着接続された状態を図1(a)に示している。この図から分かるように、芯線圧着片13を芯線101に圧着させたときに、同時に補強部16,16も芯線101を包むように内側に巻き込まれている。これにより、プラグコンタクト部11の後部における接続部11aが補強部16,16により補強され、この部分が十分な強度を有するようになっている。
【0024】
また、左右の被覆圧着片14,15は上述のように重なって被覆102の上に巻き付けられて圧着されているため、被覆102を傷つけることなく被覆電線100をしっかりと把持することができる。また、被覆圧着片14,15が重なって圧着されているため、これらが外力を受けても剥がれにくい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、左右一対の被覆圧着片における一方の上端部の外面側に先端側が細くなるテーパ面を設け、他方の上端部の内面側に先端側が細くなるテーパ面を設けているので、被覆電線の先端に圧着端子を圧着接続するときに、左右一対の被覆圧着片を圧着工具により折り曲げ加工すると、それらの先端部同士が突き合う位置において先端部同士が上下にずれて対向し、互いに上下に重なるようにして折り曲げ加工される。この結果、一方の被覆圧着片が電線の被覆の上に巻き付き、他方の被覆圧着片がその上に巻き付く状態となり、電線の被覆上に重なった状態でしっかりと巻き付けることができ、被覆を破損させることなく、且つ被覆をしっかりと挟持することができる。また、このように上下に重なって被覆上に巻き付いているため、外力を受けて引きはがされるようなことも生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧着後および圧着前の状態での本発明に係る圧着端子および被覆電線を示す斜視図である。
【図2】上記圧着端子の展開図である。
【図3】上記圧着端子を電線に圧着するための端子圧着装置を示す斜視図である。
【図4】上記端子圧着装置による被覆圧着片の圧着工程を説明する断面図である。
【図5】上記端子圧着装置による被覆圧着片の圧着工程を説明する断面図である。上記圧着工程を説明するための断面図である。
【図6】従来の圧着端子を電線と圧着した状態および圧着する前の状態について示す斜視図である。
【図7】上記従来の圧着端子の展開図である。
【図8】もう一つの従来の圧着端子を示す斜視図および展開図である。
【符号の説明】
10 圧着端子
11 コンタクト部
12 基底部
13 芯線圧着片
14,15 被覆圧着片
14a,15a テーパ面
16 補強部
20 端子圧着装置
21 上金型
25 下金型
100 被覆電線
101 芯線
102 被覆
Claims (1)
- コンタクト部と、このコンタクト部の後端に繋がって後方に延びる基底部と、前記基底部の前部における左右側端から上方に突出した左右一対の芯線圧着片と、前記基底部の後部における左右側端から上方に突出した左右一対の被覆圧着片とを備えて、導電性を有する金属板材から一体に形成された圧着端子であって、
前記左右一対の被覆圧着片における一方の上端部の内面側と外面側のうち外面側の方だけに先端側が細くなるテーパ面を設けるとともに、他方の上端部の内面側と外面側のうち内面側の方だけに先端側が細くなるテーパ面を設けることで、前記被覆圧着片を被覆電線に圧着するときに該被覆圧着片の前記上端部同士が対向するように内方に曲げられた際に、前記被覆圧着片の上端部同士が突き合う位置において該上端部の先端側同士が互いに上下方向にずれて対向して、前記一方の被覆圧着片が電線の被覆の上に巻き付けられるとともに、前記他方の被覆圧着片が前記一方の被覆圧着片の上に重なるようにして前記電線の被覆の上に巻き付けられて前記電線に圧着されるように構成されていることを特徴とする圧着端子。
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