JP3844821B2 - ヒドラジド化合物及びそれを含有するハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ヒドラジド化合物及びそれを含有するハロゲン化銀写真感光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定構造のヒドラジド化合物とそれを含んだハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラフィックアーツの分野においては網点画像による連続階調の画像の再生あるいは線画像の再生を良好ならしめるために、超硬調(特にγが10以上)の写真特性を示す画像形成システムが必要である。良好な保存安定性を有する処理液で現像し、超硬調な写真特性が得られる画像形成システムが要望され、その一つとして米国特許4,166,742号、同4,168,977号、同4,221,857号、同4,224,401号、同4,243,739号、同4,272,606号、同4,311,781号にみられるように、特定のアシルヒドラジン化合物を添加した表面潜像型ハロゲン化銀写真感光材料を、亜硫酸保恒剤を0.15モル/リットル以上含むpH11.0〜12.3の現像液で処理して、γが10を越える超硬調のネガ画像を形成するシステムが提案された。この新しい画像形成システムには、従来の超硬調画像形成では塩化銀含有率の高い塩臭化銀しか使用できなかったのに対して、沃臭化銀や塩沃臭化銀でも使用できるという特徴がある。また、従来のリス現像液が極く微量の亜硫酸保恒剤しか含有できなかったのに対して、多量の亜硫酸保恒剤を含有できるので、比較的保存安定性がよいという点も特徴である。しかし、pHが11以上の現像液は、空気酸化され易く不安定で、長時間の保存や使用に耐えない。ヒドラジン化合物を含むハロゲン化銀感光材料を、より低いpHの現像液で現像し、硬調な画像を作成する工夫が試みられている。特開平1−179939、および特開平1−179940には、ハロゲン化銀乳剤粒子に対する吸着基を有する造核現像促進剤と、同じく吸着基を有する造核剤とを含む感材を用いて、pH11.0以下の現像液で現像する処理方法が記載されている。しかしながら、これらの発明において使用されている乳剤は、臭化銀、沃臭化銀乳剤であり、現像進行性あるいは処理液の組成変動に対する写真性能の変化が大きく、安定性の点で十分とはいえない。
【0003】
米国特許第4,998,604号、同4,994,365号、同4,975,354号には、エチレンオキシドの繰り返し単位を有するヒドラジン化合物、およびピリジニウム基を有するヒドラジン化合物が開示されている。しかしながら、実施例の記載からみると、これらの発明では、硬調性が充分でなく、実用的な現像処理条件で硬調性と必要なDmax を得ることは困難である。また、ヒドラジン誘導体を用いた造核硬調感材は、現像液のpHの変化に伴う写真性の変化幅が大きい。現像液のpHは、現像液の空気酸化、および水の蒸発による濃厚化による上昇、または空気中の二酸化炭素の吸収による低下などにより、大きく変動する。従って、写真性能の現像液pH依存性を小さくする工夫が試みられている。
【0004】
ところで一般に明室で取り扱われる返し感材は製版用感材の一つとして、大きな分野をしめていて、この分野においては、細い明朝文字をも再現する高い抜き文字品質が要望されている。そのために、より活性の高い造核剤の開発が望まれてきた。特に、明室でも取り扱える低感度の明室感材においては、造核剤による硬調化が起こりにくく、さらに高活性の造核剤の開発が望まれている。
【0005】
このような目的を達成するために、例えば特開平6−148828、特開平6−180477、特開平6−194774等開示されている高活性なヒドラジン系造核剤が開発されている。
とくに少なくとも1つの電子吸引性基で置換された置換アルキル基をアシル基として有する造核剤は、pH11以下の現像液でも極めて硬調な写真性を得ることができ、また現像液の疲労による写真性能の変動が小さく優れたものであったが、しかしながら中には造核剤自体が酸化されやすく、保存性の点で改善が必要とされるものがあった。
【0006】
特開昭64−86134号、特開平4−16938号、および特開平5−197091号には、ヒドラジノ基が分子内に2つ組み込まれた化合物が開示されている。とくに、特開平5−197091号には、同じアシル基を有する従来のアシルヒドラジン化合物に比べて、硬調化性能の点において優れる幾つかの化合物が開示されているが、しかしこれらとてpH11以下の現像液における硬調性、処理液の変動要因に対する安定性、保存性等の点で、十分満足できるものではなく、改善が必要であった。
【0007】
一方、内部潜像型ハロゲン化銀写真乳剤を造核剤の存在下で表面現像することによって直接ポジ像を得る方法及びそのような方法に用いられる写真乳剤又は感光材料は例えば米国特許2,456,953号、同2,497,875号、同2,497,876号、同2,588,982号、同2,592,250号、同2,675,318号、同3,227,552号、同3,317,322号、英国特許1,011,062号、同1,151,363号、同1,269,640号、同2,011,391号、特公昭43−29405号、同49−38164号、特開昭53−16623号、同53−137133号、同54−37732号、同54−40629号、同54−74536号、同54−74729号、同55−52055号、同55−90940号などで知られている。
上記の直接ポジ像を得る方法において造核剤は現像液中に添加してもよいが、感光材料の写真乳剤層またはその他の適当な層に添加する方法がより一般的である。
【0008】
直接ポジ型ハロゲン化銀感光材料中に添加する造核剤としては、ヒドラジン化合物が最も良く知られており、具体的にはリサーチ・ディスクロージャー誌第23510(1953年11月)、同15162(1976年11月、第151巻)および同17626(1978年12月、第176巻)に示されたものがあげられる。一般にヒドラジン系造核剤は最大濃度(Dmax )と最小濃度(Dmin )との差が大きく、ディスクリミネーションの点では最もすぐれているが、処理に高pH(pH11以上)を必要とする欠点を有しており、その改善が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、第1に安定な現像液を用いてガンマが10を越える極めて硬調な写真性を得ることができるハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。本発明の第2の目的は、高い処理安定性をもち、かつ保存性に優れた製版用ハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。本発明の第3の目的は、少量の添加で低pH処理液でも十分な反転性を示す、直接ポジ感光材料を提供することにある。本発明の第4の目的はかかる有用性を有する特定構造のヒドラジド化合物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のこれらの目的は、下記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によって達成された。
一般式(I)
A−(B)b
式中Aはナフタレン環基を表し、Bは下記一般式(I−B)または(II−B)で表される基を表し、bは2から6の整数を表す。
一般式(I−B)
−L1−Ar1−NHNH−G1−R1
一般式(II−B)
−L3−Ar3−L2−Ar2−NHNH−G2−R2
式中1、G2は、カルボニル基を表し、R1 および2は水素原子または、フッ素原子もしくはカルボキシル基が置換してもよいアルキル基を表す。Ar1、Ar2 およびAr3フェニレン基を表し、L1 および2 は、−SO 2 NH−を表し、3−O−、−N(R N )−(R N は水素原子を表す。)、−CO−、−SO 2 −の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。
ただし、一般式(I)で表される化合物が、下記のいずれかの化合物であることはない。
【化1】
Figure 0003844821
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の化合物について詳しく説明する(なお、以下においてヒドラジド化合物をヒドラジド造核剤、ヒドラジン化合物、ヒドラジン誘導体もしくはヒドラジン造核剤と呼ぶことがある)。
一般式(I)に於いてAは、ナフタレン環基を表す該ナフタレン環基は、置換基を有していてもよい。
【0012】
Aの有する置換基としては、ハロゲン原子、または炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で結合する置換基を表す。炭素原子で結合するものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルカルバモイル基、スルホニルカルバモイル基、カルボキシル基またはその塩、シアノ基、ヘテロ環基が、酸素原子で結合するものとしてはヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基が、窒素原子で結合するものとしてはアシルアミノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、イミド基、ヘテロ環基が、硫黄原子で結合するものとしてはアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、スルホニル基、スルホ基またはその塩、スルフィニル基が挙げられる。これらはこれら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0013】
更に詳しく置換基について説明する。ハロゲン原子としては例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子である。アルキル基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ベンジル、シクロペンチルである。アルケニル基としては炭素数2〜16のもので、例えばビニル、1−プロペニル、1−ヘキセニル、スチリル等が挙げられる。アルキニル基としては炭素数2〜16のもので、例えばエチニル、1−ブチニル、1−ドデセニル、フェニルエチニル等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜24のアリール基で例えば、フェニル、ナフチル、p−メトキシフェニルである。
【0014】
カルバモイル基としては炭素数1〜18のもので、例えばカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイルである。アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜18のもので、例えばメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルである。アリールオキシカルボニル基としては炭素数7〜18のもので、例えばフェノキシカルボニルである。アシル基としては炭素数1〜18のもので、例えばアセチル、ベンゾイルである。環上の炭素原子で連結するヘテロ環基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く、例えば2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、2−イミダゾリルである。アシルカルバモイル基としては炭素数1〜18のもので、例えばN−アセチルカルバモイル、N−ベンゾイルカルバモイルである。スルホニルカルバモイル基としては、炭素数1〜18のもので、例えばN−メタンスルホニルカルバモイル、N−ベンゼンスルホニルカルバモイルである。
【0015】
アルコキシ基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので例えば、メトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシである。アリールオキシ基としては炭素数6〜24のもので例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ、m−(3−ヒドロキシプロピオンアミド)フェノキシである。ヘテロ環オキシ基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環オキシ基であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く例えば、1−フェニルテトラゾリル−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ、2−ピリジルオキシである。アシルオキシ基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ、4−ヒドロキシブタノイルオキシである。カルバモイルオキシ基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ヘキシルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシである。スルホニルオキシ基としては炭素数1〜16のもので、たとえばメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシである。
【0016】
アシルアミノ基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので、例えばアセトアミド、p−クロロベンゾイルアミドである。アルキルアミノ基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので例えば、N,N−ジメチルアミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)アミノである。アリールアミノ基としては炭素数6〜24のもので例えばアニリノ、N−メチルアニリノである。ヘテロ環アミノ基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環アミノ基であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く例えば、2−オキサゾリルアミノ、2−テトラヒドロピラニルアミノ、4−ピリジルアミノである。ウレイド基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので例えば、ウレイド、メチルウレイド、N,N−ジエチルウレイド、2−メタンスルホンアミドエチルウレイドである。
【0017】
スルファモイルアミノ基としては炭素数0〜16、好ましくは炭素数0〜10のもので、例えばメチルスルファモイルアミノ、2−メトキシエチルスルファモイルアミノである。アルコキシカルボニルアミノ基としては炭素数2〜16、好ましくは炭素数2〜10のもので、例えばメトキシカルボニルアミノである。アリールオキシカルボニルアミノ基としては炭素数7〜24のもので、例えばフェノキシカルボニルアミノ、2,6−ジメトキシフェノキシカルボニルアミノである。スルホンアミド基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので、例えばメタンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドである。イミド基としては炭素数4〜16のもので、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミドである。オキサモイルアミノ基としては、炭素数2〜16、好ましくは2〜10のもので例えばN−エチルオキサモイルアミノである。環の窒素原子で連結するヘテロ環基としては、炭素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも1種と窒素原子からなる5〜6員のヘテロ環で、例えばピロリジノ、モルホリノ、イミダゾリノである。
【0018】
アルキルチオ基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので、例えばメチルチオ、2−フェノキシエチルチオである。アリールチオ基としては炭素数6〜24のもので、例えばフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオである。ヘテロ環チオ基としては炭素数1〜5の酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子を1個以上含む5員または6員環の飽和または不飽和のヘテロ環チオ基であって環を構成するヘテロ原子の数及び元素の種類は1つでも複数であっても良く、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオである。
【0019】
スルファモイル基としては炭素数0〜16、好ましくは炭素数0〜10のもので、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイルである。アルコキシスルホニル基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので、例えばメトキシスルホニルである。アリールオキシスルホニル基としては炭素数6〜24、好ましくは炭素数6〜12のもので、例えばフェノキシスルホニルである。スルホニル基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので、例えばメタンスルホニル、ベンゼンスルホニルである。スルフィニル基としては炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜10のもので、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルである。アシルスルファモイル基としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜16のもので、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイルである。
【0020】
一般式(I)に於いてAで表される縮合多環芳香族基が有する置換基として好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホンアミド基、スルファモイル基等の基が挙げられる。
【0021】
一般式(I)は、ハロゲン化銀への吸着促進基を置換基として有していてもよい。
ハロゲン化銀への吸着促進基とは、チオ尿素基、ヘテロ環チオアミド基、メルカプトヘテロ環基、トリアゾール基等の米国特許第4385108号、同4459347号、特開昭59−195233号、同59−200231号、同59−201045号、同59−201046号、同59−201047号、同59−201048号、同59−201049号、同61−170733号、同61−270744号、同62−948号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号に記載された基が挙げられる。
ハロゲン化銀への吸着促進基として好ましい例を具体的に挙げれば、チオウレイド、チオアミド、チオウレタン、5−メルカプトテトラゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール、アルキルメルカプト、アリールメルカプト、ベンゾトリアゾール等の基が挙げられる。
【0022】
一般式(I−B)または(II−B)においてAr1、Ar2、Ar3で表されるフェニレン基は、置換基を有していてもよく、置換基としては一般式(I)に於けるAが有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。
Ar1、Ar2、Ar3で表される基が有する置換基の好ましい例としては、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基等であり、これらの総炭素数は1〜12、特に好ましくは1〜8であることが好ましい。
一般式(II−B)に於いてAr3は、その置換基として、一般式(II−B)に於いて−L2−Ar2−NHNH−G2−R2で表される基を2つ以上有していてもよい。一般式(I−B)または(II−B)においてAr1、Ar2、Ar3は、好ましくは無置換のフェニレン基である。
【0023】
一般式(I−B)または(II−B)に於いてL1および 2 −SO 2 NH−基(左側にAまたはAr 3 が結合する)を表す。
般式(II−B)に於いて 3 、−O−、−N(RN)−(RNは水素原子を表す。)、−CO−、−SO2 −基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基である。ここで組み合わせからなる基を具体的に示せば、−CON(RN)−、−SO2N(RN)−、−COO−、−N(RN)CON(RN)−、−N(RN)SO2N(RN)−、−SO2N(RN)CO−、−SO2N(RN)CON(RN)−、−N(RN)COCON(RN)−、−CON(RN)CO−、−N(RN)N(RN)CONH−等の基が挙げられる。なおこれらの基は左右どちらから連結されていてもよい。
【0025】
一般式(I)で表されるヒドラジド化合物は、その部分構造として、ビフェニル、ジフェニルメタン(ビスフェノールを含む)、トリフェニルメタン、ベンゾフェノン、トリフェニルアミン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホン、スチルベン、フルオレノン、アントラキノン、ビナフチル、ジナフチルエーテルの構造を有することはない。
またジフェニルアミノ基で、窒素原子に一般式(I)のBで表される基が、直接的もしくは間接的に連結されていない場合は、ジフェニルアミノ基の部分構造を持つこともない。
【0026】
般式(II−B)に於いてL3は好ましくは、−CONH−、−SO2NH−、−NHCONH−、−COO−である。
【0027】
一般式(I−B)または(II−B)に於いてG1、G2はカルボニル基をす。
【0028】
一般式(I−B)または(II−B)に於いてR1、R2は水素原子または、フッ素原子もしくはカルボキシル基が置換してもよいアルキル基を表す。このようなアルキル基は例えばメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、2−カルボキシテトラフルオロエチル基等である。
【0029】
一般式(I−B)または(II−B)に於いてR 1 、R2、最も好ましくは前述のアルキル基である。
【0030】
一般式(I)に於いてbは2から6の整数を表すが、好ましくはbは2、3または4であり、特に好ましくは2または3である。bが2から6の整数を表す時、一般式(I)に於いてBで表される基は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0031】
一般式(I−B)および(II−B)で表されるもののうち、さらに好ましいものは、次の一般式(III −B)および(IV−B)で表される。
一般式(III −B)
【0032】
【化1】
Figure 0003844821
【0033】
一般式(IV−B)
【0034】
【化2】
Figure 0003844821
【0035】
一般式(III−B)および(IV−B)に於いてG3、G4、R3、R4、L4は、それぞれ一般式(I−B)および(II−B)に於けるG1、G2、R1、R2、L3と同義の基であり、X1、X2、Y2は置換基を表し、m1、m2、n2は0から4の整数を表す。
一般式(III−B)および(IV−B)に於いてX1、X2、Y2で表される置換基とは、一般式(I−B)または(II−B)に於いてAr1、Ar2、Ar3で表されるフェニレン基が有していてもよい置換基と同じものであり、好ましい範囲もまた同じである。m1、m2、n2は0から4の整数を表すが、好ましくはm1、m2、n2は0または1であり、特に好ましくは0である。
【0036】
一般式(I)で表される化合物のうち好ましいものは、次の一般式(V)または(VI)で表される。
一般式(V)
【0037】
【化3】
Figure 0003844821
【0038】
【化4】
Figure 0003844821
【0039】
式中X11、X22、Y22、m11、m22、n22は、それぞれ一般式(III−B)および(IV−B)に於けるX1、X2、Y2、m1、m2、n2と同じであり、またL5は一般式(IV−B)に於けるL4と同じであり、これらはそれぞれ好ましい範囲もまた同じである。G5、G6はカルボニル基を表し、R5、R6一般式(I−B)、(II−B)のR 1 、R 2 と同義である。
33、Y11は置換基を表し、置換基としては一般式(I)に於けるAが有していてもよい置換基と同じものが挙げられ、その好ましい範囲もまた同じである。n11、n33は0から6の整数を表すが、好ましくは0、1または2である。n11、n33が2以上を表す時、複数のY33、Y11は同じであっても異なっていても良い。n10、n20は2または3を表す。
一般式(V)または(VI)において、R 5 、R6は好ましくは少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基であり、さらに好ましくはトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基または2−カルボキシテトラフルオロエチル基であり、最も好ましくはトリフルオロメチル基またはジフルオロメチル基である。
【0040】
以下に本発明の化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
【表1】
Figure 0003844821
【0042】
【表2】
Figure 0003844821
【0043】
【表3】
Figure 0003844821
【0044】
【表4】
Figure 0003844821
【0047】
【表7】
Figure 0003844821
【0048】
合成例1.
(例示化合物1cの合成)
例示化合物1cはスキーム1に従って合成した。
【0049】
【化5】
Figure 0003844821
【0050】
(合成中間体Aの合成)
p−ニトロフェニルヒドラジンとジフルオロ酢酸とを氷冷下ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下反応させることにより、合成中間体Aを調製した。
(例示化合物1cの合成)
中間体A 11.55gのイソプロピルアルコール溶液100mlに塩化アンモニウム1g、水10mlを加えて加熱還流させた後、鉄粉を加えて1時間かくはんした。不溶分をセライトろ過で除き、得られたろ液にピリジン2.5mlを加え、1,5−ナフタレンジスルホニルクロリド5.00gのアセトニトリルおよびジメチルアセトアミド混合溶液30mlを加えて1時間かくはんした。酢酸エチルおよび希塩酸を加えて生成物を抽出し、乾燥、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、例示化合物1c 2.27gを得た。(mp 275−277℃)
【0051】
合成例2.
(例示化合物1aおよび1dの合成)
例示化合物1aおよび1dはスキーム2に従って合成した。
【0052】
【化6】
Figure 0003844821
【0053】
(例示化合物1aの合成)
N−p−アミノフェニル−N’−ホルミルヒドラジン9.10gのジメチルアセトアミド溶液に、窒素雰囲気下氷冷して、1,5−ナフタレンジスルホニルクロリド8.90gを徐々に加えた。3時間かくはんした後、酢酸エチルおよび希塩酸を加えて生成物を抽出し、乾燥後、濃縮した。ジメチルアセトアミドを加えて溶解した後、希塩酸を加えて生成物を晶析し、例示化合物1a 10.10gを得た。(アモルファス)
(合成中間体Cの合成)
例示化合物1a 10.10gおよび1,5−ナフタレンジスルホ酸7.30gのメタノールおよびアセトニトリル混合けんだく液58mlを50℃にて2時間かくはんした。不溶物をろ取する事で合成中間体B10.21gを得た。
(例示化合物1dの合成)
中間体B 6.71gのアセトニトリルおよびジメチルアセトアミド混合溶液80mlに窒素雰囲気下氷冷してトリエチルアミン3.2mlを加え、ついでテトラフルオロコハク酸無水物2.2mlのアセトニトリル溶液10mlを滴下した。通常の後処理操作を行った後、塩化メチレンより再結晶することで例示化合物1d 2.52gを得た。(アモルファス)
【0054】
合成例3.
(例示化合物9cの合成)
例示化合物9cはスキーム3に従って合成した。
【0055】
【化7】
Figure 0003844821
【0056】
(合成中間体Cの合成)
1,4−ジヒドロキシナフタレン7.3gのアセトニトリル100ml溶液に、m−クロロスルホニル安息香酸クロライド25gのアセトニトリル80ml溶液を滴下し、1時間かくはんした。酢酸エチルおよび希塩酸を加えて生成物を抽出し、乾燥後、濃縮した。酢酸エチルおよび塩化メチレン混合溶液より再結晶することにより合成中間体C 15gを得た。
(例示化合物9cの合成)
例示化合物1cの合成において1,5−ナフタレンジスルホニルクロリドのかわりに中間体Cを用いる以外は、全く同様にして例示化合物9cを合成することができた。(アモルファス)
【0057】
合成例4.
(例示化合物11cの合成)
例示化合物9cの合成において1,4−ジヒドロキシナフタレンのかわりに1,8−ジアミノナフタレンを用いる以外は全く同様にして例示化合物11cを合成することができた。(アモルファス)
【0058】
合成例5.
(例示化合物15aおよび15dの合成)
例示化合物15aおよび15dはスキーム4に従って合成した。
【0059】
【化8】
Figure 0003844821
【0060】
(合成中間体Eの合成)
p−ニトロベンゼンスルホニルクロリドとN−p−アミノフェニル−N′−ホルミルヒドラジンより調製した合成中間体D 19.0gのイソプロピルアルコール溶液100mlに塩化アンモニウム1g、水10mlを加えて加熱還流させた後、鉄粉を加えて1時間かくはんした。不溶分をセライトろ過で除き、溶媒を留去した後、塩化メチレンより再結晶することで合成中間体E 13.9gを得た。
(例示化合物15aの合成)
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸3.45gのアセトニトリル70ml溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド9.3gの存在下、中間体E 13.9gのアセトニトリル80ml溶液を滴下し、1時間かくはんした。析出固体をろ別した後、酢酸エチルおよび希塩酸を加えて生成物を抽出し、乾燥後、濃縮した。酢酸エチルおよび塩化メチレン混合溶液より再結晶することで例示化合物15a 12.2gを得た。(アモルファス)
(例示化合物15dの合成)
例示化合物1dの合成において例示化合物1aのかわりに例示化合物15aを用いる以外は全く同様にして例示化合物15dを合成することができた。(アモルファス)
【0061】
本発明のヒドラジド化合物(以下ヒドラジン系造核剤)は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフエート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0062】
本発明のヒドラジン系造核剤は、微粉末(微結晶粒子)の固体分散物として用いることが好ましい。ヒドラジン系造核剤の微(結晶)粒子固体分散物は、所望により適当な溶媒(水、アルコールなど)を用い、分散剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル)を用い機械的に調製することができる。また、ヒドラジン系造核剤の微(結晶)粒子は、分散用界面活性剤を用いて、ヒドラジン系造核剤を適当な溶媒中で溶解させた後、ヒドラジン系造核剤の貧溶媒に添加して微結晶を析出させる方法や、pHをコントロールさせることによってまずヒドラジン系造核剤を溶解させ、その後pHを変化させて微結晶化する方法などを利用して得ることができる。ヒドラジン系造核剤の微粉末を含有してなる層は、このようにして得たヒドラジン系造核剤の微(結晶)粒子を適当なバインダー中に分散させることによってほぼ均一な粒子の固体分散物として調製した後、これを所望の支持体上に塗設することによって設けることができる。また解離状態のヒドラジン系造核剤を塩の形で塗布した後、酸性のゼラチンを上塗りすることにより分散固定を塗布時に得る方法を用いることによっても設けることができる。
【0063】
上記バインダーは、前述した活性メチレン基を有するポリマーおよび、感光性乳剤層や非感光層に用いることができる親水性コロイドや合成ポリマーが用いられる。親水性コロイドに特に制限はないが、通常ゼラチンが好ましい。
【0064】
分散用界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることができ、アニオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤が好ましい。特にアニオン性及び/又はノニオン性界面活性剤の使用が好ましい。
【0065】
固体分散物中のヒドラジン系造核剤の微粒子は、平均粒子径0.005μm〜10μm、好ましくは、0.01μm〜1μm、更に好ましくは、0.01μm〜0.5μmである。
【0066】
本発明のヒドラジン造核剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
【0067】
本発明の造核剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10-6〜1×10-2モルが好ましく、1×10-5〜1×10-3モルがより好ましく、5×10-5〜1×10-3モルが最も好ましい。
【0068】
特に、pH11未満の本発明の現像液で処理する場合、ハロゲン化銀写真感光材料には、ハロゲン化銀乳剤層、またはその他の親水性コロイド層中に、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体、およびベンジルアルコール誘導体などの造核硬調化促進剤を添加するのが好ましい。
【0069】
本発明に用いられる造核促進剤としては、アミン誘導体、オニウム塩、ジスルフィド誘導体またはヒドロキシメチル誘導体などが挙げられる。以下にその例を列挙する。特開平7−77783号公報48頁2行〜37行に記載の化合物で、具体的には49頁〜58頁に記載の化合物A−1)〜A−73)。特開平7−84331号に記載の(化21)、(化22)および(化23)で表される化合物で、具体的には同公報6頁〜8頁に記載の化合物。特開平7−104426号に記載の一般式〔Na〕および一般式〔Nb〕で表される化合物で、具体的には同公報16頁〜20頁に記載のNa−1〜Na−22の化合物およびNb−1〜Nb−12の化合物。特願平7−37817号に記載の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)および一般式(7)で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の1−1〜1−19の化合物、2−1〜2−22の化合物、3−1〜3−36の化合物、4−1〜4−5の化合物、5−1〜5−41の化合物、6−1〜6−58の化合物および7−1〜7−38の化合物。
【0070】
本発明の造核促進剤は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核促進剤の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0071】
本発明の造核促進剤は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層側の該ハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、該ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
本発明の造核促進剤添加量はハロゲン化銀1モルに対し1×10-6〜2×10-2モルが好ましく、1×10-5〜2×10-2モルがより好ましく、2×10-5〜1×10-2モルが最も好ましい。
【0072】
本発明において用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成に特別な制限はないが、本発明の目的をより効果的に達成するうえで、塩化銀含有率50モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀が好ましい。沃化銀の含有率は5モル%を下回ること、特に2モル%より少ないことが好ましい。
【0073】
本発明において、スキャナー露光の様な高照度露光に適した感光材料及び線画撮影用感光材料は、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物を含有する。
本発明に用いられるロジウム化合物として、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。たとえば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、たとえば、ヘキサクロロロジウム(III) 錯塩、ヘキサブロモロジウム(III) 錯塩、ヘキサアミンロジウム(III) 錯塩、トリザラトロジウム(III) 錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(たとえば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(たとえばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
添加量は、ハロゲン化銀乳剤の銀1モル当たり1×10-8〜5×10-6モル、好ましくは5×10-8〜1×10-6モルである。
これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時及び乳剤を塗布する前の各段階において適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。
本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides 著 Chimie et Physique Photographique (Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin 著 Photographic Emulsion Chemistry (The Focal Press 刊、1966年)、V.L.Zelikman et al 著Making and Coating Photographic Emulsion (The Focal Press刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0074】
可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いても良い。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることが好ましい。より好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンである。
コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を作るのに有用な手段である。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号、特公昭48−36890号、同52−16364号に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号、特開昭55−158124号に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く成長させることが好ましい。
本発明の乳剤は単分散乳剤が好ましく変動係数が20%以下、特に好ましくは15%以下である。
単分散ハロゲン化銀乳剤中の粒子の平均粒子サイズは0.5μm以下であり、特に好ましくは0.1μm〜0.4μmである。
【0075】
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感されることが好ましい。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、貴金属増感法などの知られている方法を用いることができ、単独または組み合わせて用いられる。組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などが好ましい。
【0076】
本発明に用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、たとえばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルであり、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
【0077】
本発明に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号、同43−13489号、特願平2−13097号、同2−229300号、同3−121798号等に記載の化合物を用いることができる。特に特願平3−121798号中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
【0078】
本発明に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特願平4−146739号に記載の方法で試験することができる。
具体的には、米国特許第1,623,499号、同第3,320,069号、同第3,772,031号、英国特許第235,211号、同第1,121,496号、同第1,295,462号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,958号、特願平2−333819号、同3−53693号、同3−131598号、同4−129787号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーシヨン(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai )編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Serenium and Tellunium Compounds ),Vol 1(1986)、同Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特願平4−146739号中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
【0079】
本発明で用いられるセレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
本発明に用いられる貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられるが、特に金増感が好ましい。本発明に用いられる金増感剤としては具体的には、塩化金酸、カリウムクロレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)−293,917に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に用いられる感光材料中のハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。
【0080】
本発明において、返し用感光材料として特に適したハロゲン化銀乳剤は90モル%以上より好ましくは95モル%以上、が塩化銀からなるハロゲン化銀であり、臭化銀を0〜10モル%含む塩臭化銀もしくは塩沃臭化銀である。臭化銀あるいは沃化銀の比率が増加すると明室下でのセーフライト安全性の悪化、あるいはγが低下して好ましくない。
【0081】
また、本発明の返し用感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤は、遷移金属錯体を含むことが望ましい。遷移金属としては、Rh、Ru、Re、Os、Ir、Cr、などがあげられる。
配位子としては、ニトロシル及びチオニトロシル架橋配位子、ハロゲン化物配位子(フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、シアン化物配位子、シアネート配位子、チオシアネート配位子、セレノシアネート配位子、テルロシアネート配位子、アシド配位子及びアコ配位子が挙げられる。アコ配位子が存在する場合には、配位子の1つ又は2つを占めることが好ましい。
【0082】
具体的には、ロジウム原子を含有せしめるには、単塩、錯塩など任意の形の金属塩にして粒子調製時に添加することができる。
ロジウム塩としては、一塩化ロジウム、二塩化ロジウム、三塩化ロジウム、ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム等が挙げられるが、好ましく水溶性の三価のロジウムのハロゲン錯化合物例えばヘキサクロロロジウム(III) 酸もしくはその塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)である。
これらの水溶性ロジウム塩の添加量はハロゲン化銀1モル当り1.0×10-6モル〜1.0×10-3モルの範囲で用いられる。好ましくは、1.0×10-5モル〜1.0×10-3モル、特に好ましくは5.0×10-5モル〜5.0×10-4モルである。
【0083】
又、以下の遷移金属錯体も好ましい。
1 〔Ru(NO)Cl5 -2
2 〔Ru(NO)2 Cl4 -1
3 〔Ru(NO)(H2 O)Cl4 -1
4 〔Ru(NO)Cl5 -2
5 〔Rh(NO)Cl5 -2
6 〔Re(NO)CN5 -2
7 〔Re(NO)ClCN4 -2
8 〔Rh(NO)2 Cl4 -1
9 〔Rh(NO)(H2 O)Cl4 -1
10 〔Ru(NO)CN5 -2
11 〔Ru(NO)Br5 -2
12 〔Rh(NS)Cl5 -2
13 〔Os(NO)Cl5 -2
14 〔Cr(NO)Cl5 -3
15 〔Re(NO)Cl5 -1
16 〔Os(NS)Cl4 (TeCN)〕-2
17 〔Ru(NS)I5 -2
18 〔Re(NS)Cl4 (SeCN)〕-2
19 〔Os(NS)Cl(SCN)4 -2
20 〔Ir(NO)Cl5 -2
【0084】
本発明に用いられる分光増感色素としては、特に制約はない。
本発明に用いる増感色素の添加量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズ等により異なるが、ハロゲン化銀1モル当り4×10-6〜8×10-3モルの範囲で用いられる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀粒子の表面積1m2当り、2×10-7〜3.5×10-6モルの添加量範囲が好ましく、特に6.5×10-7〜2.0×10-6モルの添加量範囲が好ましい。
【0085】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって比較的長波長の青色光、緑色光、赤色光または赤外光に分光増感されてもよい。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。
本発明に使用される有用な増感色素は例えば RESEARCH DISCLOSURE I tem 17643 IV−A項(1978年12月p.23)、同 I tem 1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
例えば
A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号、特開平2−48653号、米国特許2,161,331号、西独特許936,071号、特願平3−189532号記載のシンプルメロシアニン類、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭50−62425号、同54−18726号、同59−102229号に示された三核シアニン色素類、C)LED光源及び赤色半導体レーザーに対しては特公昭48−42172号、同51−9609号、同55−39818号へ特開昭62−284343号、特開平2−105135号に記載されたチアカルボシアニン類、D)赤外半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号、特開昭60−80841号に記載されたトリカルボシアニン類、特開昭59−192242号、特開平3−67242号の一般式(III a) 、一般式(III b) に記載された4−キノリン核を含有するジカルボシアニン類などが有利に選択される。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項に記載されている。
【0086】
アルゴンレーザー光源に対しては、具体的には特願平7−151194号に記載のS1−1〜S1−13の色素が特に好ましく用いられる。
【0087】
ヘリウム−ネオン光源に対しては、前記の他に特願平4−228745の8頁の下から1行目から13頁の上から4行目に記載の一般式(I)で表わされる増感色素が特に好ましい。また、特願平4−228745号の一般式(I)記載のものも好ましく用いられる。具体的には(特願平7−151194号)に記載のS2−1〜S2−10の色素が特に好ましく用いられる。
【0088】
LED光源及び赤外半導体レーザーに対しては、具体的には特願平7−151194号に記載のS3−1〜S3−8の色素が特に好ましく用いられる。
【0089】
赤外半導体レーザー光源に対しては、具体的には特願平7−151194号に記載のS4−1〜S4−9の色素が特に好ましく用いられる。
【0090】
カメラ撮影などの白色光源に対しては、特願平5−201254号に記載の一般式(IV)の増感色素(20頁14行目から22頁23行目)が好ましく用いられる。具体的には特願平7−151194号に記載のS5−1〜S5−20の色素が特に好ましく用いられる。
【0091】
本発明で感光材料を現像処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(例えば、現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。本発明の現像処理には、公知の方法のいずれかを用いることもできるし、現像処理液には公知のものを用いることができる。
本発明に使用する現像液に用いる現像主薬には特別な制限はないが、ジヒドロキシベンゼン類、あるいはアスコルビン酸誘導体を含むことが好ましく、更に現像能力の点でジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組合せ、ジヒドロキシベンゼン類とp−アミノフェノール類の組合せ、アスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類の組合せまたは、アスコルビン酸誘導体とp−アミノフェノール類の組合せが好ましい。
【0092】
本発明に用いるジヒドロキシベンゼン現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などがあるが、特にハイドロキノンが好ましい。
本発明に用いるアスコルビン酸誘導体現像主薬としてはアスコルビン酸、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)などがある。
本発明に用いる1−フェニル−3−ピラゾリドン又はその誘導体の現像主薬としては1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。
本発明に用いるp−アミノフェノール系現像主薬としてはN−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常0.05〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましい。特に好ましくは、0.2〜0.6モル/リットルの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組合せを用いる場合には前者を0.05〜0.6モル/リットル、さらに好ましくは0.2〜0.5モル/リットル、後者を0.06モル/リットル以下、さらに好ましくは0.03モル/リットル以下の量で用いるのが好ましい。
アスコルビン酸誘導体現像主薬は通常0.05〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましい。特に好ましくは、0.2〜0.6モル/リットルの範囲である。またアスコルビン酸誘導体と1−フェニル−3−ピラゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組合せを用いる場合には前者を0.05〜0.6モル/リットル、さらに好ましくは0.2〜0.5モル/リットル、後者を0.06モル/リットル以下、さらに好ましくは0.03モル/リットル以下の量で用いるのが好ましい。
【0093】
本発明に用いる保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどがある。亜硫酸塩は0.20モル/リットル以上、特に0.3モル/リットル以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2モル/リットルとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7モル/リットルである。
ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用してアスコルビン酸誘導体を少量使用しても良い。アスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)などがあるが、エリソルビン酸ナトリウムを用いることが素材コストの点で好ましい。添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
【0094】
pHの設定のために用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)を用いることができる。現像液のpHは9.0〜12.0であることが好ましく、さらに好ましくはpHを9.0〜11.0に設定することにより安定な処理システムを構築することができる。
【0095】
上記の以外に用いられる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾール又はその誘導体等の現像促進剤;メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤又は黒ポツ(black pepper) 防止剤として含んでもよい。具体的には、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらカブリ防止剤の量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは0.1〜2mmolである。
【0096】
更に本発明の現像液中には各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。
一方、有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸及び有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
有機カルボン酸としては、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0097】
アミノポリカルボン酸としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号、同55−67747号、同57−102624号、及び特公昭53−40900号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
【0098】
有機ホスホン酸としては、米国特許3214454号、同3794591号、及び西独特許公開2227639号等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。
アミノホスホン酸としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170号、特開昭57−208554号、同54−61125号、同55−29883号及び同56−97347号等に記載の化合物を挙げることができる。
【0099】
有機ホスホノカルボン酸としては、特開昭52−102726号、同53−42730号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号、及び前述のリサーチ・ディスクロージャー18170号等に記載の化合物を挙げることができる。
これらのキレート剤はアルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10-4〜1×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-2モルである。
【0100】
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号記載の化合物を用いることができる。
また、現像ムラ防止剤として特開昭62−212651号記載の化合物、溶解助剤として特開昭61−267759号記載の化合物を用いることができる。
さらに必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。
【0101】
本発明に用いられる現像液には、緩衝剤として炭酸塩、特開昭62−186259号に記載のホウ酸、特開昭60−93433号に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などが用いられ、好ましくは炭酸塩、ホウ酸が用いられる。
現像処理温度及び時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃、好ましくは25〜45℃で、現像時間は5秒〜2分、好ましくは7秒/1分30秒である。
ハロゲン化銀黒白写真感光材料1平方メートルを処理する際に、現像液の補充液量は500ミリリットル以下、好ましくは400ミリリットル以下である。
処理液の搬送コスト、包装材料コスト、省スペース等の目的で、処理液を濃縮化し、使用時に希釈して用いるようにすることは好ましいことである。現像液の濃縮化のためには、現像液に含まれる塩成分をカリウム塩化することが有効である。
【0102】
本発明の定着工程で使用する定着液は、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩を含む水溶液である。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。
本発明に用いられる定着液の定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどであり、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われても良い。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは0.2〜1.5モル/リットルである。
定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルフォン化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤などが挙げられる。また、公知の消泡剤を添加してもよい。湿潤剤としては、例えばアルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号各公報記載のチオ尿素誘導体、分子内に3重結合を持つアルコール、米国特許第4126459号記載のチオエーテル化合物、特開平4−229860号記載のメソイオン化合物などが挙げられ、また特開平2−44355号記載の化合物を用いてもよい。
また、pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。好ましいものとして酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。
ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。
また、色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号記載の化合物を用いることもできる。
【0103】
本発明の定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩がある。好ましい化合物は水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バンなどがある。好ましい添加量は0.01モル〜0.2モル/リットル、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
定着温度は、約20℃〜約50℃、好ましくは25〜45℃で、定着時間は5秒〜1分、好ましくは7秒〜50秒である。
定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下であり、特に500ml/m2以下が好ましい。
【0104】
現像、定着処理が済んだ感光材料は、次いで水洗または安定化処理される。
水洗または安定化処理は、水洗水量は通常ハロゲン化銀感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。すなわち、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。
水洗水の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明に適用すれば定着後の感光材料は徐々に正常な方向、つまり定着液で汚れていない処理液の方に順次接触して処理されていくので、さらに効率の良い水洗がなされる。
水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−28725号などに記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。あるいは、また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のために種々の酸化剤添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。
更に、本発明の方法で水洗または安定化浴に防黴手段を施した水を処理に応じて補充することによって生ずる水洗又は安定化浴からのオーバーフロー液の一部又は全部は特開昭60−235133号に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。
また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
また、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。
また、前記水洗処理に続いて安定化処理する場合もあり、その例として特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号に記載の化合物を含有した浴を感光材料の最終浴として使用してもよい。
この安定浴にも必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程もしくは安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩など)等によって殺菌された水を使用することが好ましいし、また、特開平4−39652号、特開平5−241309号記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。
水洗または安定浴温度及び時間は0〜50℃、5秒〜2分が好ましい。
【0105】
本発明に用いられる処理液は特開昭61−73147号に記載された酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。
本発明に用いられる処理液は粉剤および固形化しても良い。その方法は、公知のものを用いることができるが、特開昭61−259921号、特開平4−85533号、特開平4−16841号記載の方法を使用することが好ましい。特に好ましくは特開昭61−259921号記載の方法である。
補充量を低減する場合には処理槽の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第3025779号明細書、同第3545971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型プロセッサーとして言及する。ローラー搬送型プロセッサーは現像、定着、水洗および乾燥の四工程からなっており、本発明の方法も、他の工程(例えば、停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。水洗工程の代わりに安定工程による四工程でも構わない。
【0106】
本発明のヒドラジン造核剤は、内部潜像型ハロゲン化銀写真乳剤を造核剤の存在下で表面現像することによって直接ポジ像を得る方法及びそのような方法に用いられる写真乳剤又は感光材料(例えば米国特許2,456,953号、同2,497,875号、同2,497,876号、同2,588,982号、同2,592,250号、同2,675,318号、同3,227,552号、同3,317,322号、英国特許1,011,062号、同1,151,363号、同1,269,640号、同2,011,391号、特公昭43−29405号、同49−38164号、特開昭53−16623号、同53−137133号、同54−37732号、同54−40629号、同54−74536号、同54−74729号、同55−52055号、同55−90940号などに記載のもの)にも使用することができる。
上記の直接ポジ像を得る方法において造核剤は現像液中に添加してもよいが、感光材料の写真乳剤層またはその他の適当な層に添加する方法がより一般的である。
本発明の感光材料に用いられる各種添加剤、現像処理方法等に関しては、特に制限は無く、例えば下記箇所に記載されたものを好ましく用いることが出来る。
Figure 0003844821
Figure 0003844821
【0107】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0108】
実施例1
<ヒドラジン造核剤の固体分散の調整>
デモールSNB(花王(株))の25%水溶液を調整した。次に、表8に示すヒドラジン造核剤0.5gに対し、上記デモールSNB水溶液0.6gと水59gを加えて混合し、スラリーとした。このスラリーを、分散機(1/16ガロン、サンドグラインダーミル(アイメックス(株)製)に入れ、メディアとして直径0.8〜1.2mmのガラスビーズ170gを用い、15時間分散した。次にヒドラジン造核剤濃度0.5%、ゼラチン濃度5%になるようにゼラチン水溶液を加えて混合し、防腐剤としてプロキセルをゼラチンに対して2000ppm添加した。最後にアスコルビン酸を加えpHを5.0に調整した。ヒドラジン造核剤の固体分散物の平均粒子サイズを表8に示す。
本発明のヒドラジン造核剤の比較例として、下記のヒドラジン造核剤を使用した。
【0109】
【化9】
Figure 0003844821
【0110】
【表8】
Figure 0003844821
【0111】
実施例2
<ハロゲン化銀写真感光材料の作成>
乳剤Aの調整
硝酸銀水溶液と、臭化カリウムと塩化ナトリウムと銀1モルあたり3.5×10-7モルに相当する K3IrCl6と2.0×10-7モルに相当する K2Rh(H2O)Cl5 を含むハロゲン塩水溶液、塩化ナトリウムと、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンを含有するゼラチン水溶液に、攪拌しながらダブルジェット法により添加し、平均粒子サイズ0.25μm、塩化銀含有率70モル%の塩臭化銀粒子を調製した。
【0112】
その後、常法に従ってフロキュレーション法により水洗し、銀1モルあたりゼラチン40gを加え、さらに銀1モルあたりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム7mgとベンゼンスルフィン酸2mgを加えた後、pH6.0、pAg7.5に調整し、銀1モル当たり2mgのチオ硫酸ナトリウムおよび4mgの塩化金酸を加えて60℃で最適感度になるように化学増感した。この後、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン150mgを加え、さらに防腐剤としてプロキセル100mgを加えた。得られた粒子はそれぞれ平均粒子サイズ0.25μm、塩化銀含有率70モル%の塩臭化銀立方体粒子であった。(変動係数10%)
【0113】
塗布試料の作成
塩化ビニリデンを含む防湿層下塗りを有するポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、支持体側から、順次、UL層、EM層、PC層、OC層の層構成になるよう塗布し、試料を作成した。
以下に各層の調製法および塗布量を示す。
【0114】
(UL層)
ゼラチン水溶液に、ゼラチンに対し30wt%のポリエチルアクリレートの分散物を添加し、ゼラチン0.5g/m2になるように塗布した。
【0115】
(EM層)
上記乳剤Aに、増感色素として下記化合物(S−1)を銀1モルあたり5×10-4モル、(S−2)を5×10-4モル加え、さらに銀1モルあたり3×10-4モルの下記(a)で示されるメルカプト化合物、4×10-4モルの(b)で示されるメルカプト化合物、4×10-4モルの(c)で示されるトリアジン化合物、2×10-3モルの5−クロル−8−ヒドロキシキノリン、5×10-4モルの(A)で示される造核促進剤、5×10-4モルの(p)で示される界面活性剤を添加した。さらに、ハイドロキノンを100mg/m2、N−オレイル−N−メチルタウリンナトリウム塩を30mg/m2塗布されるように添加した。次に造核剤として実施例1で調整したヒドラジン造核剤の固体分散物を、ヒドラジン造核剤として5×10-4mol /Agmol 、表9に示すように添加した。さらに、(d)で示される水溶性ラテックスを200mg/m2、ポリエチルアクリレートの分散物を200mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトアセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体(重量比88:5:7)を200mg/m2、平均粒径0.02μmのコロイダルシリカを200mg/m2、さらに硬膜剤として1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノールを200mg/m2、増粘剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウムを30mg/m2加えた。溶液のpHは酢酸を用いて5.65に調製した。それらを塗布銀量2.8g/m2になるように塗布した。
【0116】
(PC層)
ゼラチン水溶液にゼラチンに対して50wt%のエチルアクリレートの分散物および、下記界面活性剤(w)を5mg/m2、1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシムを10mg/m2塗布されるように添加し、ゼラチン0.5g/m2になるように塗布した。
【0117】
(OC層)
ゼラチン0.5g/m2、平均粒子サイズ約3.5μmの不定形なSiO2 マット剤40mg/m2、メタノールシリカ0.1g/m2、ポリアクリルアミド100mg/m2とシリコーンオイル20mg/m2および塗布助剤として下記構造式(e)で示されるフッ素界面活性剤5mg/m2とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム100mg/m2を塗布した。
【0118】
【化10】
Figure 0003844821
【0119】
これらの塗布試料は下記組成のバック層およびバック保護層を有する。
〔バック層処方〕
ゼラチン 3 g/m2
ラテックス ポリエチルアクリレート 2 g/m2
界面活性剤 p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 40 mg/m2
【0120】
【化11】
Figure 0003844821
【0121】
SnO2/Sb(重量比90/10 、平均粒径0.20μm) 200 mg/m2
染料 染料〔a〕、染料〔b〕、染料〔c〕の混合物
染料〔a〕 70 mg/m2
染料〔b〕 70 mg/m2
染料〔c〕 90 mg/m2
【0122】
【化12】
Figure 0003844821
【0123】
〔バック保護層〕
ゼラチン 0.8 mg/m2
ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm) 30 mg/m2
ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム塩 15 mg/m2
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 15 mg/m2
酢酸ナトリウム 40 mg/m2
【0124】
以上の様にして表9に示す試料を作成した。
【0125】
【表9】
Figure 0003844821
【0126】
<現像液の調整>
下記組成の現像液Aを調整した。
【0127】
<現像液A>
水酸化ナトリウム 1.71 g
ジエチレントリアミン−5酢酸 4 g
炭酸カリウム 27.5 g
炭酸ソーダ 25.5 g
エリソルビン酸ナトリウム 30 g
N−メチル−p−アミノフェノール 7.5 g
KBr 2 g
5−メチルベンゾトリアゾール 0.1 g
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 0.02 g
亜硫酸ナトリウム 5 g
氷酢酸 9 g
水を加えて1リットルとし、pHを9.7に合わせる。
【0128】
また、現像液Aに酢酸を添加してpHを9.4に合わせた現像液B、現像液Aに水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に合わせた現像液Cを調整した。
【0129】
<評価>
(1)露光、現像処理
上記の試料を488nmにピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウェッジを通して発光時間10-5sec のキセノンフラッシュ光で露光し、現像液A、B、Cを用いて富士写真フイルム社製FG−680AG自動現像機で、35℃、20秒間現像した後、定着、水洗、乾燥処理を行った。なお処理時の現像液、定着液の補充液量は試料1m2あたり、それぞれ100ml、150mlとした。
【0130】
定着液は、下記処方の定着液Aを用いた。
<定着液A>
チオ硫酸アンモニウム 119.7 g
エチレンジアミン四酢酸 2Na 2水塩 0.03 g
チオ硫酸ナトリウム 5水塩 10.9 g
亜硫酸ナトリウム 25.0 g
NaOH(純分で) 12.4 g
氷酢酸 29.1 g
酒石酸 2.92 g
グルコン酸ナトリウム 1.74 g
硫酸アルミニウム 8.4 g
pH(硫酸または水酸化ナトリウムで調整) 4.8
水を加えて 1リットル
【0131】
(2)硬調性
現像液Aで現像した時の硬調性を次のようにして表した。画像のコントラストを示す指標(ガンマ)としては、特性曲線のfog+濃度0.1の点からfog+濃度3.0の点を直線で結び、この直線の傾きをガンマ値として表した。すなわち、ガンマ=(3.0−0.1)/〔log(濃度3.0を与える露光量)−(濃度0.1を与える露光量)〕であり、ガンマ値は大きいほど硬調な写真特性であることを示している。
(3)写真感度
感度は濃度1.5を与える露光量の逆数をもって表し、比較試料を100とした場合の各試料の感度の相対値を算出した。値が大きいほど高感度である。
(4)写真性の現像液pH依存性
現像液B、Cで現像した時の感度値を用いて、次式で感度の現像液pH依存性を算出した。
感度のpH依存性(△S1 .5)=S1 .5(現像液C)−S1 .5(現像液B) 値が小さいほど、現像液pH依存性が小さい、すなわち処理安定性が高いことを示す。
(5)感材の経時安定性
温度60℃、湿度65%で3日間保存した試料を、上記の方法に従い現像液Aで現像処理を行い、感度を測定した。常温常湿で3日間保存した試料との写真性の変動を次式で表した。
経時による感度変動(△S1 .5)=S1 .5(温度60℃、湿度65%で3日間保存した試料)−S1 .5(常温常湿で3日間保存した試料)
値が0に近いほど、感材の経時安定性が高いことを示す。
【0132】
結果を表10に示す。
【0133】
【表10】
Figure 0003844821
【0134】
<結果>
本発明のヒドラジン造核剤を用いた場合のみ、低pHの現像液で超硬調で処理安定性が高く、かつ感材の保存安定性に優れたアルゴンレーザー用スキャナー感材を得ることができた。
【0135】
実施例3
<ハロゲン化銀写真感光材料の作成>
乳剤調整
以下の方法で乳剤Bを調整した。
銀1モル当たり1mgの下記構造式のセレン増感剤、1mgのチオ硫酸ナトリウムおよび4mgの塩化金酸を加えて60℃で最適感度になるように化学増感すること以外は乳剤Aと同様に調整した。
【0136】
【化13】
Figure 0003844821
【0137】
塗布試料の作成
実施例2のEM層の増感色素の代わりに下記の化合物(S−3)を銀1モルあたり2.1×10-4モル添加すること、EM層の乳剤として乳剤Bを使用したこと以外は実施例2と同様にして試料を作成した。
【0138】
【化14】
Figure 0003844821
【0139】
<評価>
(1)露光、現像処理
上記の試料を633nmにピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウェッジを通して発光時間10-6sec のキセノンフラッシュ光で露光した。実施例2に記載の現像液Aを用いて富士写真フイルム社製FG−680AG自動現像機で35℃、20秒間現像をした後、定着(実施例2と同じ)、水洗、乾燥処理を行った。なお処理時の現像液、定着液の補充液量は試料1m2あたり、それぞれ100mlとした。
【0140】
硬調性、感度の現像液pH依存性、感材の経時安定性の評価を実施例2と同様に行った。
【0141】
<結果>
実施例2と同様に、本発明のヒドラジド化合物を造核剤として用いた場合のみ、低pHの現像液で超硬調で処理安定性が高く、かつ感材の保存安定性に優れたヘリウムネオンレーザースキャナー用感材を得ることができた。
【0142】
実施例4
<ハロゲン化銀写真感光材料の作成>
実施例2のEM層の増感色素を下記の化合物(S−4)に変えたこと以外は実施例2と同様にして試料を作成した。
【0143】
【化15】
Figure 0003844821
【0144】
<評価>
上記の試料を780nmにピークを持つ干渉フィルターを介し、ステップウェッジを通して発光時間10-6sec のキセノンフラッシュ光で露光した。実施例2に記載の現像液Aを用いて富士写真フイルム社製FG−680AG自動現像機で35℃、20秒間現像をした後、定着(実施例2と同じ)、水洗、乾燥処理を行った。なお処理時の現像液、定着液の補充液量は試料1m2あたり、それぞれ100mlとした。
【0145】
硬調性、感度の現像液pH依存性、感材の経時安定性の評価を実施例2と同様に行った。
【0146】
<結果>
実施例2と同様に本発明のヒドラジド化合物を造核剤として用いた場合のみ、低pHの現像液で超硬調で処理安定性が高く、かつ感材の保存安定性に優れた半導体レーザースキャナー用感材を得ることができた。
【0147】
実施例5
<ハロゲン化銀写真感光材料の作成>
実施例2のEM層の増感色素を下記の化合物(S−5)に変えたこと以外は実施例2と同様にして試料を作成した。
【0148】
【化16】
Figure 0003844821
【0149】
<評価>
上記の試料をステップウェッジを通して3200°Kのタングステン光で露光した。実施例2に記載の現像液Aを用いて富士写真フイルム社製FG−680AG自動現像機で35℃、20秒間現像をした後、定着(実施例2と同じ)、水洗、乾燥処理を行った。なお処理時の現像液、定着液の補充液量は試料1m2あたり、それぞれ100mlとした。
【0150】
硬調性、感度の現像液pH依存性、感材の経時安定性の評価を実施例2と同様に行った。
【0151】
<結果>
実施例2と同様に、本発明のヒドラジド化合物を造核剤として用いた場合のみ、低pHの現像液で超硬調で処理安定性が高く、かつ感材の保存安定性に優れた撮影感材を得ることができた。
【0152】
実施例6
<ハロゲン化銀写真感光材料の作成>
乳剤Cの調整
38℃に保った塩化ナトリウム及び銀1モルあたり3×10-5モルの下記化合物−Z、5×10-3モルの4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを含むpH=2.0の1.5%ゼラチン水溶液中に、硝酸銀と銀1モル当り5×10-5モルのK2Ru(NO)Cl5 を含む塩化ナトリウム水溶液をダブルジェット法により電位95mVにおいて3分30秒間で最終粒子の銀量の半分を同時添加し、芯部の粒子0.12μmを調製した。その後、硝酸銀水溶液と銀1モル当り5×10-5モルのK2Ru(NO)Cl5 を含む塩化ナトリウム水溶液を前述と同様に7分間で添加し、平均粒子サイズ0.13μmの塩化銀立方体粒子を調製した。(変動係数12%)。
その後、当業界でよく知られたフロキュレーション法により水洗し、可溶性塩を除去したのちゼラチンを加え、防腐剤として化合物−Fとフェノキシエタノールを銀1モル当たり各60mg加えた後、pH5.5、pAg=7.5に調整し、さらに銀1モル当たり、4×10-5モルの塩化金酸、1×10-5モルの前記のセレン増感剤及び1×10-5モルのチオ硫酸ナトリウムを加え、60℃で60分間加熱し、化学増感を施した後、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを銀1モル当たり1×10-3モル添加した(最終粒子として、pH=5.7、pAg=7.5、Ru=5×10-5モル/Agモルを含有する塩化銀となった)。
【0153】
【化17】
Figure 0003844821
【0154】
塗布試料の作成
(ハロゲン化銀乳剤層)
乳剤Cに下記化合物を添加し下塗層を含む後述の支持体上にゼラチン塗布量が0.9g/m2、塗布銀量が2.75g/m2となる様にハロゲン化銀乳剤層を塗布した。
N−オレイル−N−メチルタウリンナトリウム塩 19 mg/m2
表11に示す、実施例1で調整したヒドラジン造核剤
の固体分散物 15mg/m2( ヒドラジド化合物として)
造核促進剤Z 20 mg/m2
3−(5−メルカプトテトラゾール)−ベンゼンスルホン酸
ナトリウム 11 mg/m2
化合物A 13 mg/m2
アスコルビン酸 1 mg/m2
化合物B 15 mg/m2
化合物C 70 mg/m2
酢酸 膜面pHが5.2 〜6.0 になる量
化合物D 950 mg/m2
リボラン−1400(ライオン油脂製) 47 mg/m2
化合物E(硬膜剤) 水での膨潤率が80%になる量
【0155】
上記乳剤層の上層に、乳剤保護下層及び上層を塗布した。
【0156】
(乳剤保護下層)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が0.8g/m2となる様に塗布した。
ゼラチン(Ca++含有量 2700ppm) 0.8 g/m2
化合物F 1 mg/m2
1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 14 mg/m2
2 5 SO2 SNa 3 mg/m2
化合物C 3 mg/m2
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 7 mg/m2
水溶性染料Y 25 mg/m2
【0157】
(乳剤保護上層塗布液の調製とその塗布)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が0.45g/m2となる様に塗布した。
ゼラチン(Ca++含有量 2700ppm) 0.45g/m2
不定形シリカマット剤(平均粒径 4.4μm) 40 mg/m2
不定形シリカマット剤(平均粒径 3.6μm) 10 mg/m2
化合物F 1 mg/m2
化合物C 8 mg/m2
固体分散染料−G1 68 mg/m2
流動パラフィン 21 mg/m2
N−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピルグリ
シンポタジウム 5 mg/m2
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 29mg/m2
【0158】
ついで、支持体の反対側の面に、下記に示す導電層及びバック層を同時塗布した。
【0159】
(導電層)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が0.06g/m2となる様に塗布した。
SnO2/Sb(9/1 重量比、平均粒径0.25μm) 186 mg/m2
ゼラチン(Ca++含有量2700ppm) 0.06 mg/m2
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 13 mg/m2
ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 12 mg/m2
化合物C 12 mg/m2
化合物F 1 mg/m2
【0160】
(バック層)
ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量が1.94g/m2となる様に塗布した。
ゼラチン(Ca++含有量30ppm) 1.94g/m2
ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.7μ) 7 mg/m2
化合物−H 233 mg/m2
化合物−I 21 mg/m2
化合物−G 146 mg/m2
化合物−F 3 mg/m2
p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 68 mg/m2
ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 21 mg/m2
8 17SO3 Li 4 mg/m2
N−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピル
グリシンポタジウム 6 mg/m2
硫酸ナトリウム 177 mg/m2
化合物−E(硬膜剤) 水での膨潤率が90%になる量
【0161】
(支持体、下塗層)
二軸延伸したポリエチレンテレフタレート支持体(厚味100μm)の両面の下記組成の下塗層第1層及び第2層を塗布した。
(下塗層1層)
コアーシェル型塩化ビニリデン共重合体▲1▼ 15 g
2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25 g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μ) 0.05 g
化合物−M 0.20 g
コロイダルシリカ(スノーテックスZL:粒径70〜
100μm日産化学(株)製) 0.12 g
水を加えて 100g
さらに、10重量%のKOHを加え、pH=6に調整した塗布液を乾燥温度180℃2分間で、乾燥膜厚が0.9μになる様に塗布した。
【0162】
(下塗層第2層)
ゼラチン 1 g
メチルセルロース 0.05 g
化合物−J 0.02 g
C12H25O(CH2CH2O)10H 0.03 g
化合物−F 3.5×10-3
酢酸 0.2 g
水を加えて 100 g
この塗布液を乾燥温度170℃2分間で、乾燥膜厚が0.1μになる様に塗布し、下塗層付の支持体を作製した。
【0163】
【化18】
Figure 0003844821
【0164】
【化19】
Figure 0003844821
【0165】
【化20】
Figure 0003844821
【0166】
なお、塗布方法、乾燥条件等は以下の様に行った。
<塗布方法>
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤面側として支持体に近い側より乳剤層、乳剤保護層下層、乳剤保護上層の順に、35℃に保ちながらスライドホッパー方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた後、乳剤面とは反対側に支持体に近い側より導電層、バック層の順に、同様にスライドホッパー方式により硬膜剤液を加えながら同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)した。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に下記乾燥条件にて乾燥した。なお、バック面側を塗布した後、巻き取りまではローラー、その他には一切無接触の状態で搬送した。この時の塗布速度は120 m/min であった。
【0167】
<乾燥条件>
セット後、水/ゼラチンの重量比が800%となるまで30℃の乾燥風で乾燥し、800〜200%を35℃30%の乾燥風で乾燥させ、そのまま風を当て、表面温度34℃となった時点(乾燥終了と見なす)より30秒後に、48℃2%の空気で1分乾燥した。この時、乾燥時間は乾燥開始〜水/ゼラチン比800%までが50秒、800〜200%までが35秒、200%〜乾燥終了までが5秒である。
【0168】
この感材を23℃40%で巻き取り、次いで同環境下で裁断し、6時間調湿したバリアー袋に、40℃10%で8時間調湿した後、23℃40%で2時間調湿してある厚紙と共に密閉し、試料を作成した。
バリアー袋内の湿度を測定したところ40%であった。
【0169】
以上のようにして、表11に示す試料を作製した。
【0170】
【表11】
Figure 0003844821
【0171】
<評価>
上記の試料をステップウェッジを通して大日本スクリーン社製P−627FMプリンターで露光した。実施例2に記載の現像液Aを用いて富士写真フイルム社製FG−680AG自動現像機で35℃、20秒間現像をした後、定着(実施例2と同じ)、水洗、乾燥処理を行った。なお処理時の現像液、定着液の補充液量は試料1m2あたり、それぞれ100mlとした。
【0172】
硬調性、感度の現像液pH依存性、感材の経時安定性の評価を実施例2と同様に行った。
【0173】
結果を表12に示す。
【0174】
【表12】
Figure 0003844821
【0175】
<結果>
本発明のヒドラジド化合物を造核剤として用いた場合のみ、低pHの現像液で超硬調で処理安定性が高く、かつ感材の保存安定性に優れた明室返し感材を得ることができた。
【0176】
実施例7
実施例2、3、4、5、6において、現像液Aにかえて下記組成の現像液Dあるいは現像液Eを用い、また定着液Aにかえて下記組成の定着液Bを用いても、実施例2、3、4、5、6と同様に、本発明のヒドラジド化合物を造核剤として用いた場合のみ、低pHの現像液で超硬調で処理安定性が高く、かつ感材の保存安定性に優れた感材を得ることができた。尚、写真性の現像液pH依存性を調べるためには、各現像液について、酢酸でpHを0.3下げた液、水酸化ナトリウムでpHを0.3上げた液を用いた。
【0177】
<現像液D>
水酸化カリウム 40.0 g
ジエチレントリアミン−五酢酸 2.0 g
炭酸カリウム 60.0 g
メタ重亜硫酸ナトリウム 70.0 g
臭化カリウム 7.0 g
ハイドロキノン 40.0 g
5−メチルベンゾトリアゾール 0.35g
4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−
3−ピラゾリドン 1.50g
2−メルカプトベンツイミダゾール−5−スルホン酸
ナトリウム 0.30g
3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベン
ゼンスルホン酸ナトリウム 0.10g
エリソルビン酸ナトリウム 6.0 g
ジエチレングリコール 5.0 g
水酸化カリウムを加え、水を加えて1リットルとし
pHを10.65に合わせる。 1リットル
【0178】
<現像液E>
以下の保存形態が固形現像剤のものを水を加えて10リットルになる様にして、使用液とした。
固形現像剤の製造方法は、材質が高密度ポリエチレンである(平均肉厚=500μm、部分的には200〜1000μm)容器に使用液として10リットル分に相当する現像成分を固体で詰めた。このときに各成分は混合してから容器に充填した。
現像液の使用液10リットルの組成と原料の形態を表13に示した。
【0179】
【表13】
Figure 0003844821
【0180】
ここで原料形態については、原末は一般的な工業製品のままで使用し、アルカリ金属塩のビーズ、ペレット共に市販品を用いた。
原料形態がブリケットであるものは、ブリケッティングマシンを用いて加圧圧縮し、不定形の長さ4〜6mm程度のラグビーボール型の形状を作成し、破砕して用いた。少量成分に関しては、各成分をブレンドしてからブリケットにした。
【0181】
<定着液B>
下記の固形剤と液剤を水を加えて10リットルとなる様にして使用液とした。定着液は、下記処方を固形剤部分と液剤部分共に高密度ポリエチレン製(肉厚平均=500μm、巾としては200〜1000μm)の容器に充填したものを用いた。溶解後の液量が10リットルとし、pH=4.85であった。
【0182】
<固形剤パート>
チオ硫酸アンモニウム 1200g
チオ硫酸ナトリウム 150g
酢酸ナトリウム 400g
メタ重亜硫酸ナトリウム 200g
<液剤パート>
硫酸アルミニウム(27%) 300g
硫酸(75%) 30g
グルコン酸ナトリウム 20g
EDTA 0.3g
クエン酸 40g
固形剤パートは混合して充填されている。
【0183】
実施例8
表14に示すヒドラジド化合物の粉末をメタノールに溶解して塗布液に添加すること以外は実施例2と同様にして感材を作成し、実施例2と同様の方法で現像処理を行い、硬調性と感度の現像液pH依存性を評価した。
【0184】
結果を表14に示す。
【0185】
【表14】
Figure 0003844821
【0186】
<結果>
実施例2と同様に、本発明のヒドラジン造核剤を造核剤として用いた場合のみ、低pHの現像液で超硬調で処理安定性の高い感材を得ることができた。
【0187】
実施例9
実施例1で使用した、表8に示すヒドラジン造核剤1.0g、ポリ(N−tert−ブチルアクリルアミド)6.0g、及び酢酸エチル50mlよりなる溶液を60℃に加熱、溶解した後、ゼラチン12gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7gを含む水溶液120mlに加え、ホモジナイザ−(日本精機製作所製造)を用いて高速攪拌し、平均粒径約0.2μmの微粒子乳化分散物を得た。さらにこの乳化分散物を加熱減圧蒸留することにより、酢酸エチルを除去した。このようにして得られたヒドラジン造核剤を用いて実施例3と同様の方法で感光材料を作製し、評価した結果、本発明のヒドラジン化合物を造核剤として用いた場合に、低pHの現像液で超硬調で処理安定性が高く、かつ感光材料の保存安定性に優れたヘリウムネオンレーザー光源用スキャナー感光材料を得ることができた。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物。
    一般式(I)
    A−(B)b
    式中Aはナフタレン環基を表し、Bは下記一般式(I−B)または(II−B)で表される基を表し、bは2から6の整数を表す。
    一般式(I−B)
    −L1−Ar1−NHNH−G1−R1
    一般式(II−B)
    −L3−Ar3−L2−Ar2−NHNH−G2−R2
    式中1、G2は、カルボニル基を表し、R1 および2は水素原子または、フッ素原子もしくはカルボキシル基が置換してもよいアルキル基を表す。Ar1、Ar2 およびAr3フェニレン基を表し、L1 および2 は、−SO 2 NH−(左側にAまたはAr 3 が結合する)を表し、3−O−、−N(R N )−(R N は水素原子を表す。)、−CO−、−SO 2 −の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。
    ただし、一般式(I)で表される化合物が、下記のいずれかの化合物であることはない。
    Figure 0003844821
  2. 下記一般式(I’)で表されるヒドラジド化合物。
    一般式(I’)
    A−(B) b
    [式中、Aはナフタレン環基を表し、Bは下記一般式(I−B’)または(II−B’)で表される基を表し、bは2から6の整数を表す。]
    一般式(I−B’)
    −L 1 −Ar 1 −NHNH−G 1 −R 1
    一般式(II−B’)
    −L 3 −Ar 3 −L 2 −Ar 2 −NHNH−G 2 −R 2
    [式中、G 1 、G 2 は、カルボニル基を表し、R 1 およびR 2 は水素原子または、フッ素原子もしくはカルボキシル基が置換してもよいアルキル基を表す。Ar 1 、Ar 2 およびAr 3 はフェニレン基を表し、L 1 およびL 2 は、−SO 2 NH−(左側にAまたはAr 3 が結合する)を表し、L 3 は−NHCO−、−SO 2 NH−、−OCO−または−CONH−を表す。
    ただし、一般式(I)で表される化合物が、下記のいずれかの化合物であることはない。
    Figure 0003844821
  3. 請求項1または2のヒドラジド化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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