JP3844714B2 - 継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継手に関し、特に、隣接する二つの部材、例えば地下鉄のトンネル等の掘削した部分の内面に設けられる複数のセグメントの隣接するもの同士を一体に接合するのに有効な継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シールド工法等により地下鉄のトンネル等を構築する場合には、掘削した部分の内面にスチール型セグメント、中詰コンクリート型セグメント、コンクリート型セグメント等のセグメントを設け、掘削した部分を被覆し、支持している。
【0003】
この種のセグメントの一例が図12に示されている。このセグメント51は、中詰コンクリート型セグメントであって、円弧板状のコンクリート製のセグメント本体52と、セグメント本体52の長手方向の両端面に一体に設けられる長方形板状の金属製の長手方向接合板53、53と、セグメント本体52の幅方向の両端面に一体に設けられる円弧板状の金属製の幅方向接合板54、54と、セグメント本体52の外表面に一体に設けられる被覆板55とから構成されている。この場合、各長手向接合板53及び各幅方向接合板54にはそれぞれネジ挿通用の孔53a、54aが貫通した状態で設けられ、各ネジ挿通用の孔53a、54aに対応するセグメント本体52の部分にはそれぞれ所定の大きさ、深さのネジ締付け用の穴56が設けられるようになっている。
【0004】
そして、上記のような構成のセグメント51を、トンネル等の掘削した部分の内面に周方向に連続して設け、周方向に隣接するセグメント51の各ネジ締付け用の穴56を利用し、長手方向接合板53のネジ挿通用の孔53a、53a間に継手のボルト(図示せず)を挿通させ、ボルトのネジ部に継手のナット(図示せず)を螺合させて締め付け、周方向に隣接するセグメント51、51同士を一体に接合し、同一周上にリング状のセグメントリング体を構成する。
【0005】
そして、このようなセグメントリング体を掘削方向に連続して設け、掘削方向に隣接するセグメントリング体のセグメント51、51同士を同様の方法によって一体に接合し、掘削した部分の内面の全体を複数のセグメント51、51……で被覆する。このようにして、掘削した部分の内面を複数のセグメント51、51……で支持することができるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成のセグメント51にあっては、コンクリート製のセグメント本体52の複数箇所にネジ締付け用の孔56が設けられているので、セグメント本体52の強度が低下してしまう。このため、掘削した部分の内面に複数のセグメント51、51……を設けた後に、各セグメント51のネジ締付け用の孔56を充填材によって閉塞し、各セグメント本体52の強度を確保しなければならず、その作業に手間がかかり、工期の長期化の原因となる。
【0007】
また、周方向及び掘削方向に隣接するセグメン51、51同士を接合する場合に、その接合作業を狭い空間であるネジ締付け用の孔56を利用し、各ネジ締付け用の孔56内においてボルトとナットとによる締め付け作業を行わなければならないため、接合作業に多大な労力と時間がかかり、工期の長期化の原因となる。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたものであって、隣接する二つの部材、例えばトンネル等の掘削した部分の内面に設けられる複数のセグメントの隣接するもの同士の接合に適用した場合に、隣接するセグメント同士を一体に接合した後の強度確保のための作業が一切不要であり、また、隣接するセグメント同士の接合が容易であって、工期を大幅に短縮することができる継手を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明による請求項1に係る継手は、隣接する二つの部材を一体に接合する継手であって、前記一方の部材に設けられるとともに、一方の部材から出没可能であって先端部外周面には凹凸が設けられ、中央部及び後端部の周面に雄ネジ部が形成された嵌合部材を有する雄型継手と、前記他方の部材に設けられるとともに、前記嵌合部材と軸線回りに回動可能かつ軸線方向に抜け出せないように嵌合する凹凸が設けられた被嵌合部材を有する雌型継手と、前記雄型継手に設けられるとともに、前記雄型継手の前記雄ネジ部に螺着する雌ネジ部と、該雌ネジ部を回転する回転手段とを有し、該回転手段により前記雌ネジ部を回転して前記嵌合部材を前記一方の部材側に引き寄せることで、前記嵌合部材が嵌合した前記被嵌合部材を前記一方の部材側に引き寄せ、前記隣接する二つの部材を接合する締結手段とを備えることを特徴とする。
この発明による継手によれば、一方の部材に嵌合部材を没入させた状態で、一方の部材の接合面と他方の部材の接合面とを互いに接触させ、両接合面の位置合わせを行う。そして、両接合面の位置合わせが完了した後に、回転手段により雌ネジ部を回転させて嵌合部材を前進させ、一方の部材から突出させて他方の部材の被嵌合部材と相互に嵌合させる。このときに、雄型継手の嵌合部材の凹凸と雌型継手の被嵌合部材の凹凸とが軸線回りに回動可能かつ軸線方向に抜け出せないように嵌合することになる。
そして、この後、回転手段により雌ネジ部を逆方向に回転させて嵌合部材を後退させて一方の部材の方向に引き寄せ、一方の部材の接合面と他方の部材の接合面とを強く密着させることにより、一方の部材と他方の部材とが一体に接合されることになる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の継手であって、前記回転手段は、前記雌ネジ部と一体に回転するウォームホィールと、該ウォームホィールと相互に噛合するウォームと、該ウォームを回転させる回転軸とを備えてなることを特徴とする。
この発明による継手によれば、回転軸を回転させてウォームを回転させると、それに追従してウォームホィール及び雌ネジ部が回転し、雌ネジ部の雄ネジ部に対する螺合位置が変化し、嵌合部材が前進又は後退することになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4には、本発明による継手の一実施の形態が示されていて、この継手1は、隣接する二つの部材、例えば地下鉄のトンネル等の掘削した部分の内面に設けられる複数のセグメントの隣接するもの同士、特に、周方向に隣接するセグメント34、34同士を一体に接合する場合に有効に適用することができるものであって、雄型継手2と雌型継手28とを備えている。
【0013】
雄型継手2は、セグメント34の長手方向の一方の接合部35に設けられるものであって、嵌合部材3と、嵌合部材3に設けられる締結手段9と、嵌合部材3及び締結手段9を収納するケース21とを備えている。
【0014】
嵌合部材3は、棒状をなすものであって、先端部周面に断面鋸刃状の凹凸4を軸方向に沿って連続して設けた凹凸部5と、中央部及び後端部の周面に雄ネジ6を軸方向に沿って連続して螺設した雄ネジ部7と、後端部に一体に設けた六角形状の頭部8とを有している。
【0015】
締結手段9は、嵌合部材3の雄ネジ部7に螺着される雌ネジ部11と、雌ネジ部11に一体に連結されるウォームホィール12と、ウォームホィール12と相互に噛合するウォーム15と、ウォーム15を回転駆動させる回転軸17とから構成されている。
【0016】
雌ネジ部11は、内周面に雄ネジ部7の雄ネジ6と合致する雌ネジ10が螺設される六角ナット状をなすものであって、内周面の雌ネジ10を雄ネジ部7の雄ネジ6に螺合させることで嵌合部材3の周面に取り付けられるようになっている。
【0017】
ウォームホィール12は、周面に全周に渡ってネジ状の歯13が設けられる円板状をなすものであって、中心部には六角形状の孔14が貫通した状態で設けられ、この孔14内に雌ネジ部11を嵌合させた状態で雌ネジ部11の外周側に溶接等により一体に連結されるようになっている。
【0018】
ウォーム15は、ウォームホィール12の周面の歯13と相互に噛合するネジ状の歯16が周面に設けられる筒状をなすものであって、内周側に回転軸17を嵌合させることで回転軸17に一体に取り付けられるようになっている。
【0019】
回転軸17は、棒状をなすものであって、後述するケース21に固定されている軸受19、20によって軸方向の一端部及び中央部を回転自在に支持され、両軸受19、20間に位置する部分にウォーム15が取り付けられるようになっている。
【0020】
回転軸17の他端部には周面が六角形状の突起18が一体に設けられ、この突起18は後述するケース21外に突出するようになっている。回転軸17の突起18にレンチ等を被嵌させ、レンチ等により回転軸17を回転させることで、回転軸17と一体にウォーム15を回転させることができるものである。
【0021】
ケース21は、カップ状のケース本体22と、ケース本体22の開口部を閉塞する蓋26とからなるものであって、ケース21の内部に締結手段9の雌ネジ部11、ウォームホィール12、ウォーム15、及び回転軸17が収納されるようになっている。
【0022】
雌ネジ部11の中心部に対応するケース本体22及び蓋26の部分には、ケース21内外を貫通する孔23、27が設けられ、この孔23、27内を嵌合部材3が貫通するようになっている。嵌合部材3は、ケース本体21及び蓋26の孔23、27を貫通した状態で雄ネジ部7の雄ネジ6に雌ネジ部11の雌ネジ10が螺着されるようになっている。
【0023】
ケース本体22の孔23の周縁部には、先端が閉塞された略筒状の回り止め部24が外方に突出した状態で一体に設けられ、この回り止め部24の内側空間内に嵌合部材3の雄ネジ部7及び頭部8が軸方向に移動可能に収納されるようになっている。この場合、嵌合部材3の頭部8の周面のうちの対向する2面が回り止め部24の内面に係止されることにより、嵌合部材3の回転が規制されて軸方向への移動のみが許容されるようになっている。
【0024】
ケース本体22の孔23の周縁部には、カップ状の押え部25が開口端部を内方に突出させた状態で一体に設けられ、この押え部25の開口端部にウォームホィール12の一方の面が当接するようになっている。この場合、ウォームホィール12と一体をなしている雌ネジ部11の一方の端面はケース21の蓋26の内面に当接し、これにより、ウォームホィール12及び雌ネジ部11は、軸方向への移動が規制され、回転のみが許容されるようになっている。従って、雌ネジ部11を回転させることにより、嵌合部材3を軸方向に前進又は後退させることができるものである。
【0025】
雌型継手28は、セグメント34の長手方向の他方の接合部41に設けられるものであって、内周面に雄型継手2の嵌合部材3の凹凸部5の凹凸4と相互に嵌合する断面鋸刃状の凹凸30が軸方向に沿って連続して設けられるとともに、周方向に複数(この実施の形態においては5つ)に分割されて拡径可能な環状の被嵌合部材29と、被嵌合部材29の外周側に被嵌されるとともに、被嵌合部材29を縮径する方向に押圧して被嵌合部材29を環状に保持するウレタンゴム等の弾性体からなる環状の押圧部材31と、被嵌合部材29及び押圧部材31を収納するケース33とから構成されている。
【0026】
ケース33の内周面と押圧部材31の外周面との間には所定の間隙が形成され、この間隙により被嵌合部材29の拡径が許容されるようになっている。ケース33の内面のうち、軸方向の一方の端面には案内部材32が設けられ、この案内部材32とケース33の軸方向の他方の端面との間で被嵌合部材29が拡径可能に案内されるようになっている。なお、被嵌合部材29の分割数は5つに限らず、複数であれば良いものである。
上記の構成において、被嵌合部材29、押圧部材31、案内部材32からなる継手本体28Aは、図1、図2のケース33内において、紙面に直交する方向に一定範囲移動可能となっている。
【0027】
そして、上記のような構成した雄型継手2をセグメント34の長手方向の一方の接合部35に固着させ、嵌合部材3を一方の接合部35の端面に設けられている接合板36の孔37から出没可能とする。そして、雌型継手28をセグメント39の長手方向の他方の接合部41に固着させ、被嵌合部材29を他方の接合部41の端面に設けられている接合板42の孔43内に開口させる。
【0028】
そして、上記のように構成したセグメント34、34をトンネル等の掘削した部分の内面に位置し、図5に示すように、固定側のセグメント34の長手方向の他方の接合板42に可動側のセグメント34の長手方向の一方の接合板36を接近させる。
【0029】
そして、両接合板42、36(図2参照)を互いに接触させるとともに、可動側のセグメント34を軸方向にスライドさせて両接合板42、36の位置合わせを行い、図6、図7に示すように固定側のセグメント34の雌型継手28と可動側のセグメント34の雄型継手2とを対向させる。
【0030】
そして、レンチ等により回転軸17(図3参照)を回転させて、回転軸17と一体にウォーム15を回転させ、ウォーム15の回転に追従させてウォームホィール12及び雌ネジ部11を回転させ、雌ネジ部11の嵌合部材3の雄ネジ部7に対する螺合位置を変化させ、嵌合部材3を前進させて両接合板36、42の孔37、43を介して雌型継手28の被嵌合部材29の内側に挿入させ、嵌合部材3の先端部の凹凸部5の凹凸と被嵌合部材29の凹凸と30を互い嵌合させる。この状態において、嵌合部材3は、被嵌合部材29内において回転可能であるが、該被嵌合部材29からその軸線方向に抜け出し不可能となる。
【0031】
ここで、レンチ等により回転軸17を逆方向に回転させ、回転軸17と一体にウォーム15を逆方向に回転させ、ウォーム15の回転に追従させてウォームホィール12及び雌ネジ部11を逆方向に回転させ、雌ネジ部11の嵌合部材3の雄ネジ部7に対する螺合位置を変化させ、嵌合部材3を後退させて被嵌合部材29を介して雌型継手28を雄型継手2の方向に引き寄せ、隣接する二つのセグメント34、34接合板36、42を強く密着させる。このようにして、周方向に隣接する二つのセグメント34、34が一体に接合されるものである。
【0032】
そして、同様の方法により、周方向にセグメント34を順次一体に接合し、同一周上に環状のセグメントリング体を構成する。そして、このようなセグメントリング体を掘削方向に連続して設け、掘削した部分の内面の全体を複数のセグメント34、34…で被覆することで、掘削した部分の内面を複数のセグメント34、34…で支持することができるものである。
【0033】
上記のように構成したこの実施の形態による継手1にあっては、周方向に隣接するセグメント34、34同士を一体に接合する場合に、一方のセグメント34(固定側)の長手方向の端面(周方向の端面)に、周方向から他方のセグメント34(可動側)の長手方向の端面(周方向の端面)を接触させ、この状態で他方のセグメント34を軸方向に移動させて両セグメント34、34の接合位置の位置合わせを行い、この後、雄型継手2の嵌合部材3を前進させて雌型継手28の被嵌合部材29と相互に嵌合させ、その後、雄型継手2の嵌合部材3を後退させて雌型継手28を雄型継手2の方向に引き寄せるだけで良いので、隣接するセグメント34、34の接合作業が容易となる。
【0034】
従って、隣接するセグメント34、34同士をボルト、ナットを用いて接合するような煩雑な作業が一切不要となるので、接合に要する手間を大幅に削減することができ、工期を大幅に短縮させることができることになる。
【0035】
また、隣接するセグメント34、34同士を一体に接合した後に、セグメント34の強度を確保するために充填材を充填するような作業が一切不要となるので、これによっても工期を大幅に短縮させることができることになる。
【0036】
上記の実施の形態で示した継手は、図5〜図8に示すようにセグメント間継手として用いて好適であるが、セグメントの施工方法を適宜選択することによって、トンネルの軸方向間のセグメントを接合する継手、即ちリング間継手としても使用することができるものである。
なお、前記の説明においては、本発明による継手1を中詰コンクリート型セグメント34の接合に適用したが、スチール型セグメント、コンクリート型セグメント等に適用しても良いものであり、その場合にも同様の作用効果を奏するのは勿論のことである。
【0037】
図9から図11は、本発明による上記継手1をセグメント間継手として用いた場合に、リング間継手として用いる継手の例を示すものである。
図9、図10に示す継手1Aは、雄型継手100と雌型継手200とからなるものである。雄型継手100は、螺子部101aを有するボルト101と、ボルト101が挿入される固定穴102を有するハウジング103と、ハウジング103内にて回動可能に設けられた締結歯車104とを備えた構成とされている。締結歯車104は、固定穴102より挿入されたボルト101に螺合される雌ねじ105と、この雌ねじ105に固定され、外周部に歯106aを有する歯車板106とからなっている。
【0038】
ボルト101の先端部には、図1に示す雄型継手と同一構成の凹凸4が形成されている。また、締結歯車104は、図10に示すギア部107aを有する締付工具107によって回動操作されるようになっている。
この雄型継手100は、後述する雌型継手200に対し、ボルト101の先端部に形成された凹凸4を、上記の実施の形態と同様にして雌型継手200に連結することによりセグメント30、30を接合させるものである。
【0039】
この場合、図10に示すように、締付工具107をセグメント30及びハウジング103に形成した挿入孔108内に挿入し、ギア部107aを締結歯車104の歯106aにかみ合わせ、締結工具107を操作することによりボルト101を回転させ、このボルト101をハウジング103側へ引き込むことによりセグメント30、30を強固に締結することができる。
雌型継手200は、その基本的構成が図1に示す雌型継手28と同様であり、図1に示す雌型継手28の継手本体28Aがケース33内で移動できる構成であるのに対して、当該継手本体相当部分が定位置に固定されているものである。
【0040】
即ち、雌型継手200は、内周面に雄型継手100のボルト101に形成された凹凸4と相互に嵌合する凹凸201が軸方向に向けて連続して設けられるとともに、周方向に複数に分割されて拡径可能な金属製の環状の被嵌合部材202と、被嵌合部材202を縮径方向に押圧して被嵌合部材202を環状に保持するウレタンゴム等の弾性体からなる環状の押圧部材203と、被嵌合部材202及び押圧部材203を保持する金属製のケース204とから構成されている。
ケース204の内面には案内部材205が設けられ、この案内部材205によって被嵌合部材202が拡径可能に案内されるようになっている。
この継手1Aは、セグメントのトンネルの軸方向の端面に設けられ、リング間継手として機能する。
【0041】
また、図11示す継手1Bは、雌型継手200と雄型継手300とからなるものである。雌型継手200は、図9に示すものと同一構成であり、ケース204に補強筋210を固定した状態でセグメント30のコンクリートの内部に埋設されている。雄型継手300は、セグメント30内に固定された雌ネジ部材301と、雌ネジ部材301に螺着された雄ネジ部材302とからなっている。これらの雌ネジ部材301、雄ネジ部材302は、これらの軸線方向がセグメントの厚み方向に対して傾斜する方向となるように設けられている。
【0042】
各セグメント30の端面には接合板303が設けられており、接合板303には開口部304が形成されている。一方のセグメント30内には、前述したように雌型継手200が埋設されており、この雌型継手200の被嵌合部材202は、その軸線がセグメント30の厚み方向に対して一定の傾斜角を有するように、かつ開口部304方向を向くように配置されている。他方のセグメント30には、一方の面から接合板303の開口部304方向に向けて締結孔305が形成されている。
【0043】
締結孔305内において、接合板303には固定部材306が溶接等により固定されており、固定部材306には前記雌ネジ部材301が溶接等により固定されている。雄ネジ部材302の後端部には回動操作部307が形成されており、回動操作部307には増し締め用の治具を挿入させるための角穴308が形成されている。
【0044】
上記の構成からなる継手1Bは、予め定位置に設置された雌型継手200を有するセグメント30に対して、雄型継手300を有するセグメント30を接合させ、雄ネジ部材302を被嵌合部材202内に嵌合させることによって両セグメント30、30を接合することができる。この場合、雄ネジ部材302の回動操作部307を治具により回動操作することにより、当該雄ネジ部材302による増し締めが可能となる。即ち、雄ネジ部材302を回転させて雄ネジ部材302を矢印方向へ移動させることにより、両セグメント30,30をより強固に緊締することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明による請求項1に係る継手によれば、雄型継手の嵌合部材の凹凸と雌型継手の被嵌合部材の凹凸とを相互に嵌合させ、この状態で締結手段の雌ネジ部を回転手段により回転させて、雌ネジ部の雄ネジ部に対する相対的な螺合位置を変化させて嵌合部材を移動させ、嵌合部材と一体に雌型継手を雄型継手の方向に引き寄せることにより、隣接する二つの部材が一体に接合されることになる。従って、隣接する二つの部材を一体に接合する場合に、ボルトナットによって隣接する二つの部材を締め付けるような煩雑な作業が一切不要となるので、隣接する二つの部材の接合が容易となり、後期を大幅に短縮させることができることになる。また、隣接する二つの部材を一体に接合した後に、強度を高めるために充填材を充填するような作業が一切不要となるので、それによっても工期を大幅に短縮させることができることになる。
また、嵌合部材の外周面の凹凸と被嵌合部材の内周面の凹凸とが軸線回りに軸線方向に抜け出せないように嵌合することになるので、隣接する二つの部材の接合状態に緩みが生じるようなことはなく、長期的に安定した接合状態を維持することができることになる。
【0046】
また、本発明の請求項2に係る継手によれば、締結手段により雄型継手の嵌合部材と雌型継手の被嵌合部材とを締結させる場合に、回転手段の回転軸を回転させて、回転軸と一体にウォームを回転させ、ウォームの回転に追従させてウォームホィール及び雌ネジ部を回転させれば足りるので、嵌合部材と被嵌合部材との締結が容易となる。従って、隣接する二つの部材の接合が容易となるので、工期を大幅に短縮させることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による継手の一実施の形態を隣接する二つの部材に適用した説明図であって、隣接する二つの部材の接合前の状態を示した説明図である。
【図2】 本発明による継手の一実施の形態を隣接する二つの部材に適用した説明図であって、隣接する二つの部材の接合後の状態を示した説明図である。
【図3】 図2のA−A線断面図である。
【図4】 図2のB−B線断面図である。
【図5】 隣接する二つの部材の接合面を互いに接近させた状態を示した説明図である。
【図6】 隣接する二つの部材の接合面を互いに接触させた状態を示した説明図である。
【図7】 隣接する二つの部材の接合面の位置合わせ後の状態を示した説明図である。
【図8】 隣接する二つの部材の接合後の状態を示した説明図である。
【図9】 本発明による継手と組み合わせて使用する継手の例を示す断面図である。
【図10】 本発明による継手と組み合わせて使用する図9に示す継手の説明図である。
【図11】 本発明による継手と組み合わせて使用する継手の別の例を示す断面図である。
【図12】 従来の継手の一例を示した説明図であって、隣接する二つの部材を接近させた状態を示した説明図である。
【符号の説明】
1 継手
2 雄型継手
3 嵌合部材
4、30 凹凸
6 雄ネジ部
8 締結手段
11 雌ネジ部
12 ウォームホィール
15 ウォーム
17 回転軸
28 雌型継手
29 被嵌合部材
34 セグメント

Claims (2)

  1. 隣接する二つの部材を一体に接合する継手であって、
    前記一方の部材に設けられるとともに、一方の部材から出没可能であって先端部外周面には凹凸が設けられ、中央部及び後端部の周面に雄ネジ部が形成された嵌合部材を有する雄型継手と、
    前記他方の部材に設けられるとともに、前記嵌合部材と軸線回りに回動可能かつ軸線方向に抜け出せないように嵌合する凹凸が設けられた被嵌合部材を有する雌型継手と、
    前記雄型継手に設けられるとともに、前記雄型継手の前記雄ネジ部に螺着する雌ネジ部と、該雌ネジ部を回転する回転手段とを有し、該回転手段により前記雌ネジ部を回転して前記嵌合部材を前記一方の部材側に引き寄せることで、前記嵌合部材が嵌合した前記被嵌合部材を前記一方の部材側に引き寄せ、前記隣接する二つの部材を接合する締結手段とを備ることを特徴とする継手。
  2. 請求項1に記載の継手であって、前記回転手段は、前記雌ネジ部と一体に回転するウォームホィールと、該ウォームホィールと相互に噛合するウォームと、該ウォームを回転させる回転軸とを備えてなることを特徴とする継手。
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