JP3783900B2 - 管路の内張り材の端末処理用治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス導管、水道管、下水道管、電力線や通信線などの敷設管路などの、主として地中に埋設された管路に対し、補修又は補強の目的でその内面に内張り材を貼り付けて内張りした後、その内張り材の端末を管路内面に固定して処理するために使用する治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前述のような各種の管路に対し、損傷部を補修するために内張り材を貼着して内張りを施すとした場合、当該内張り材の端末においては管路内面から剥がれ易く、また内張り材の端末から流体が侵入して当該内張り材を通じて漏出するといった現象も生じる。
【0003】
そのため内張り材の端末における剥がれを防止し、また内張り材の端末からの流体の侵入を阻止するために、内張り材の端末においては当該内張り材を管路内面に強固に固定し且つ気密性を確保するために、特別な端末処理が必要とされるのである。
【0004】
図6に基づいてその端末処理構造の一例を説明すると、1は管路であり、2は当該管路1の内面に貼着された内張り材である。内張り材2の端末にはゴム弾性を有する材料よりなる断面略コ字状のシールパッキン3が嵌合され、その内側に金属のリング4を嵌合し、当該リングを拡開して径を拡張し、当該リング4と管路1内面との間に内張り材2及びシールパッキン3を挟圧して、内張り材2を管路1に固定すると共に端末をシールするのである。
【0005】
また図7に示すように、リング4の本体部分4aを切り開き、当該切り開き部を拡げて拡開した後、その切り開き部に楔片4bを嵌合して拡開状態を保持し、管路1内面との間に内張り材2及びシールパッキン3を挟圧する連続したリング4を形成することも行われている。
【0006】
この形式のリング4は、拡開時の歪みが少なく、拡開後の歪み回復に伴う縮径も生じにくいと共に、拡開時に塑性変形を伴わないため大きく拡開することができるので、好ましい。
【0007】
而していずれの場合においても、リング4を内側から強く拡開して、内張り材2及びシールパッキン3を管路1内面に強く挟圧して固定することが必要であり、このための拡開用治具が必要となる。
【0008】
かかる治具として、例えば特公昭60−41276号公報や特公平8−22572号公報に記載されたものが知られている。これらのものは図8に示すように、テーパー状心棒5の周囲に円筒を複数に分割した割裂片6を環状に配置し、前記テーパー状心棒5により割裂片6を押し拡げ、当該割裂片6の外側に配置されたリング4を拡開して内張り材2を管路1に圧接するものである。また他の治具として、実公平2−3396号に記載されたように、ターンバックル7によりリング4を拡開するものも知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記割裂片6を使用した治具の場合には、各割裂片6はテーパー状心棒5の中心から外方に向かって矢印Aのように拡開するので、リング4を全周方向に均等に拡開することができず、また割裂片6の間の隙間の部分は拡開されないので、全周に亙って均等に拡開されない。
【0010】
また図7に示すようなリング4の本体部分4aの切り開き部に楔片4bを嵌合する形式のリング4に適用しようとすると、割裂片6が開く方向とリング4の切り開き部が開く動きとの間に食い違いが生じ、リング4を適切に拡開することができない。
【0011】
またターンバックル7を使用した治具の場合には、リング4には両端のターンバックル7で押し拡げる箇所にのみ力が作用し、リング4全体に内張り材2を管路1に圧接する作用が生じにくい。
【0012】
またリング4にターンバックル7を係止する凸部又は凹部が必要であり、内部の流体の円滑な流通を阻害したりリング4の強度が低下したりする恐れがある。またターンバックル7を回す作業が必要であるため、管路1の端末から奥の方で端末処理する場合には、作業が困難となる。
【0013】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、特に楔片4bを使用する形式のリング4に適した治具であって、リング4の本体部分4aを全体に亙って均等に拡開することができ、且つリング4に無用の凹凸が形成されて流体の流れを阻害したり強度低下を起こしたりすることがなく、また管端から奥方での作業の容易な治具を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
而して本発明は、スリーブにシャフトを回転自在に挿通し、当該スリーブ及びシャフトの先端部において、その外側に円筒を切り開いた拡開リングが設けられ、当該拡開リングの両切り開き端をそれぞれ前記スリーブ及びシャフトに固定し、スリーブ及びシャフトの後端部にはその両者を相対的に回動させる回動手段を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面において8は本発明の治具であって、本体部分9はスリーブ10にシャフト11が回転自在に挿通されており、シャフト11の両端にはスリーブ10とほゞ同径の拡径部12,13が形成されている。
【0016】
本体部分9の先端部においては、スリーブ10の先端外周及びシャフト11の拡径部12外周から、それぞれ径方向に互いに隣接する板状の突出片14,15を突設されている。
【0017】
また本体部分9の先端部の外側には、本体部分9とほゞ同軸に円筒を切り開いた拡開リング16が配置されており、当該拡開リング16の切り開き部17の両端にそれぞれ前記突出片14,15が固定されている。
【0018】
本体部分9の後端部には、スリーブ10とシャフト11とを相対的に回動させる回動手段18が設けられている。当該回動手段18は、スリーブ10の後端外周及びシャフト11の拡径部13外周から、それぞれ径方向に突設された互いに隣接する板状の突出片19,20を有しており、突出片20に螺接されたボルト21を回転操作することにより、突出片19,20を互いに開閉操作してスリーブ10とシャフト11とを回動するようになっている。
【0019】
そしてスリーブ10とシャフト11とが相対的に回転させることにより、突出片19,20の開閉に連動して前記突出片14,15が開閉し、それに伴って拡開リング16の切り開き部17の間隔が変化し、拡開リング16の径を大小に変化させるようになっている。
【0020】
またシャフト11の拡径部13の後端面には、後方に延びる把持用シャフト22が固着されている。
【0021】
図5は本発明の他の形態を示すものであって、拡開リング16が突出片14,15に対して、ビス24により着脱可能に取り付けられている。またこの例においては、突出片14,15の端末に段部25を形成し、当該段部25に前記拡開リング16の端末が係止していると共に、当該段部25及び拡開リング16の端末に、拡開リング16の端末が突出片14,15に食い込むようなテーパー面が形成されている。
【0022】
【作用】
次に本発明の治具8を使用して、管路1の内張り材2の端末を処理する操作について説明する。
【0023】
先ず初期状態においては、図4に鎖線で示すように突出片20に対するボルト21の螺合を緩めておく。この状態においては、図3(a)に示すように拡開リング16はその弾力によって径を縮小し、切り開き部17の間隔は小さく突出片14,15は閉じている。またそれに連動して回動手段18における突出片19,20も閉じている。
【0024】
この状態において、管路1内面に貼着された内張り材2の端末部の内側にリング4の本体部分4aを嵌合し、当該本体部分4aの内側に本発明の治具8の拡開リング16を位置せしめ、本体部分4aの切り開き部23と拡開リング16の切り開き部17とを一致させる。この状態が図3(a)に示されている。なお内張り材2の端末は、前記図6において述べたようにシールパッキン3を嵌合しておくのが好ましい。
【0025】
この状態で回動手段18において、ボルト21を突出片20に対して締め込んでいくと、図4に実線で示すように突出片19,20が開かれてスリーブ10とシャフト11とが相対的に回動し、本体部分9の先端部における突出片14,15が開かれる。
【0026】
これにより拡開リング16は、その弾力に抗して切り開き部17の間隔が開かれて径が拡大し、リング4の本体部分4aの内面に圧接される。この状態でさらにボルト21を突出片20に締め込んで突出片19,20を開き、拡開リング16の径を拡大すると、拡開リング16と本体部分4aとは圧接されたまま一体として、拡開リング16の切り開き部17及び本体部分4aの切り開き部23が開かれて径が拡大され、リング4の本体部分4aと管路1内面との間に内張り材2を挟圧する。この状態が図3(b)に示されている。
【0027】
ここでリング4の本体部分4aの切り開き部23に楔片4bを嵌合することにより、リング4が完成し、当該リング4と管路1内面との間に内張り材2が挟圧された状態が保持される。
【0028】
次いでボルト21を緩めると、拡開リング16の弾力でスリーブ10とシャフト11とが相対的に回動し、突出片19,20及び突出片14,15が閉じて拡開リング16の径が縮小し、管路1から取り出すことができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、切り開き部17が開くことによって拡開リング16全体の径が拡大し、当該拡開リング16によってリング4の本体部分4aを拡径するので、リング4の本体部分4aは全体に亙って均等に拡径され、管路1内面との間に内張り材2を均一に挟圧することができる。
【0030】
また拡開リング16は初期状態においてはほゞ円筒形をなしているが、これが径を拡大した状態においては、突出片14,15が開いて切り開き部17が開き、当該切り開き部17とリング4の切り開き部23とがほゞ一致しているので、リング4の切り開き部23には何もない状態となり、容易に楔片4bを嵌合することができる。
【0031】
さらに拡開リング16を拡大する操作は、本体部分9の後端部の回動手段18において行うので、管路1内に手や作業用工具などを入れて操作する必要がなく、操作が容易である。さらに本体部分9の長さを長いものとすることにより、端末処理の位置が相当奥方であっても、管路1の外で回動手段18の操作をすることが可能である。
【0032】
また図面に示すようにボルト21でスリーブ10とシャフト11との回動操作を行うようにすることにより、トルクレンチなどで当該ボルト21の締め込みトルクを調節することにより、拡開リング16による内張り材2の挟圧の力を調節することができる。
【0033】
また図5に示すように拡開リング16を突出片14,15に対して着脱可能とすることにより、拡開リング16を交換することによって管径の変動に追従することができる。さらに段部25にテーパー面を形成することにより、拡開時の拡開リング16にかかる応力を段部25が確実に支持することができ、ビス24にかかる荷重を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の治具の中央縦断面図
【図2】 本発明の治具の斜視図
【図3】 本発明の治具の使用状態を示すIII−III断面図であって、(a)は初期状態を示し、(b)は作用状態を示す。
【図4】 本発明の治具の使用状態を示すIV−IV断面図である。
【図5】 本発明の治具の他の形態を示すIII−III断面図
【図6】 内張り材の端末処理をされた管路の端末部の中央縦断面図
【図7】 内張り材の端末処理をされた管路の端末部の斜視図
【図8】 従来の端末処理用治具の使用状態の横断面図
【図9】 従来の他の端末処理用治具の使用状態の横断面図
【符号の説明】
8 治具
10 スリーブ
11 シャフト
16 拡開リング
18 回動手段
Claims (1)
- スリーブ(10)にシャフト(11)を回転自在に挿通し、当該スリーブ(10)及びシャフト(11)の先端部において、その外側に円筒を切り開いた拡開リング(16)が設けられ、当該拡開リング(16)の両切り開き端をそれぞれ前記スリーブ(10)及びシャフト(11)に固定し、スリーブ(10)及びシャフト(11)の後端部にはその両者を相対的に回動させる回動手段(18)を設けたことを特徴とする、管路の内張り材の端末処理用治具
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