JP3843695B2 - スズ−はんだ2色めっきtabテープの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はICやLSI等の半導体素子の実装方式の一つであるTAB(Tape Automated Bonding)方式に使用されるスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法に関し、特に、無電解スズめっきの前処理工程の酸洗処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高集積化、高速化、高機能化が進み、搭載するLSIパッケージのパターンリードの微細化、多ピン化が進んでいる。これに対応したLSIパッケージとしてTABテープを用いたTCP(テープキャリアパッケージ)が用いられている。
【0003】
通常TABテープには銅の配線パターンを形成した後に、LSIバンプとのボンディング性を良好にするために無電解法によりスズめっきが施されるが、スズめっき厚が0.3〜0.6μmと薄いため、LSIをボンディングした後、封止樹脂をキュアすると銅とスズの金属間化合物が形成されるため、アウターリードとプリント基板とのはんだ付け性が悪くなる。そこで、インナーリードに無電解スズめっきを施し、アウターリードにはプリント基板への予備はんだを施す代わりに、6〜l0μmの厚付け電気はんだめっきを施したスズ−はんだ2色めっきTABテープが用いられている。
【0004】
図4は従来より用いられているスズ−はんだ2色めっきTABテープ1の構成例を示す。TABテープ1は、長尺状で薄い絶縁性フィルムテープから成る絶縁性フィルム2及びその上面に形成された所定のパターンの銅リードにめっきが施されたリード3を備えている。絶縁性フィルム2は、ポリイミドやポリエステル等を用いて作られた可とう性のフィルムである。またリード3のパターン形成は、絶縁性フィルム2の上面に銅箔を接着した後、リードパターンに応じたフォトエッチングを施すことにより、インナーリード4及び各インナーリード4に接続されたアウターリード5が形成される。
【0005】
更に、絶縁性フィルム2のほぼ中央部には、半導体素子を収容するためのデバイスホール6が開口されている。また、絶縁性フィルム2の両サイドにはテープ搬送や位置決めを行うためのスプロケットホール7が設けられ、アウターリード5に対応して電気信号を出すためのアウターホール8が設けられている。デバイスホール6、スプロケットホール7及びアウターホール8は、パンチング加工により形成される。アウターリード5の所定のものには、半導体素子の動作テスト等を行うためのテストパッド9が接続されている。
【0006】
従来のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法として、接着剤が塗布された絶縁性フィルム2にデバイスホール6、スプロケットホール7及びアウターホール8をパンチング加工により開口し、この接着剤塗布面に粗化面を向けて銅箔をラミネートする。デバイスホール6に露出する銅箔の粗化面は、LSIバンプに接続する面になるため、化学研摩法により研摩する。
【0007】
次に、銅箔の表面の所定領域に感光性レジストを塗布する。この感光性レジストを乾燥させた後、フォトマスクを通して感光性レジストを感光させる。ついで、現像を行って所定パターンのフォトレジスト層を形成する。このフォトレジスト層をマスクとしてエッチングを行うことによりインナーリード4、アウターリード5が形成される。インナーリードにはLSIバンプとのボンディングのため無電解によりスズめっきが施され、アウターリード5にはプリント基板とのはんだ付け性を良好にするために電気はんだめっきが施される。
【0008】
前記インナーリード4とアウターリード5へのめっき処理法を次に示す。リード3を形成後、インナーリード4のみにマスキングレジストを塗布し、アウターリード5のみに電気はんだめっきを施し、前記マスキングレジストを剥離した後、インナーリード4に無電解法によりスズめっきを施す。前記無電解スズめっき処理は酸洗前処理後、めっきを施し、水洗することにより形成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法によると、インナーリード4に無電解法スズめっきを施す際、前処理の酸洗処理でソフトエッチング性を有する酸性水溶液に浸漬すると、アウターリード5がはんだめっきでインナーリード4が銅リードであるため、電池反応が起こり、アウターリード5に施したはんだめっきがピッティング溶解し、プリント基板とのはんだ付け性を悪くする。
【0010】
そこで本発明の目的は、上記課題を解決し、無電解スズめっきの酸洗処理工程においてアウターリードに施すはんだめっきのピッティングの発生を防止するスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0012】
(1)請求項1に記載の発明は、可とう性の絶縁性フィルム上に銅リードの配線パターンを形成し、アウターリードに電気はんだめっき、インナーリードに無電解スズめっきを施したスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法において、前記無電解スズめっきの前処理工程に用いる酸洗処理液にソフトエッチング性を有しない非酸化性の酸性水溶液を用いることを特徴とするものである。
【0013】
(2)請求項2に記載の発明は、前記無電解スズめっきの前処理工程に用いる酸洗水溶液に硫酸水溶液を用いることを特徴とする。
【0014】
(3)請求項3に記載の発明は、前記硫酸水溶液処理は濃度が0.1〜1.0%で、温度が室温、時間が30〜60秒処理することを特徴とするものである。
【0015】
(4)請求項4に記載の発明は、前記無電解スズめっきの前処理工程に用いる酸洗水溶液にりん酸水溶液を用いることを特徴とするものである。
【0016】
(5)請求項5に記載の発明は、前記りん酸水溶液処理は濃度が5〜100g/Lで、温度が室温、時間が30〜60秒処理することを特徴とするものである。
【0017】
本発明を図4の形態に則して説明すると、可とう性を有する絶縁性フィルム2表面にインナーリード4、アウターリード5を形成した後(図1(a)(b))、インナーリード4のみにマスキングレジストを塗布し(図1(c))、アウターリード5のみに電気はんだめっきを施し(図1(d))、前記マスキングレジストを剥離した後(図1(e))、インナーリード4に無電解法によりスズめっきを施す(図1(g))ようにしたスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法において、前記無電解スズめっきの酸洗前処理(図1(f))における酸洗前処理液に、ソフトエッチング性を有しない非酸化性の酸性水溶液である硫酸またはりん酸水溶液を用いることにより、アウターリード5のはんだめっきに発生するピッティングを防止し、はんだ付け性の悪化を防止するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に本発明によるスズ−はんだ2色めっきTABテープ製造方法の実施形態を、図4の場合を例にして説明する。
【0019】
まず、接着剤が塗布されたポリイミドからなる絶縁性フィルム2にデバイスホール6、アウターホール8、及びスプロケットホール7をパンチング加工によりそれぞれ形成する。次に絶縁性フィルム2の表面に銅箔をラミネートする(図1(a))。続いて銅箔の表面にフォトレジストを所定の厚さで塗布して乾燥させる。この後、フォトレジスト上に所定のパターンのフォトマスクを配置すると共に、フォトマスクのフォトレジスト側とは反対側から光を照射することによりフォトレジストを露光する。更にこの後、フォトレジストを現像し、フォトレジストに銅箔露出部を形成することにより銅箔の表面に所定のフォトレジストパターンを形成する。そして、フォトレジストパターンをマスクとして銅箔をエッチングし、絶縁性フィルム2の表面にインナーリード4及びアウターリード5を有する所定の配線パターンのリード3を形成し、配線パターン上のフォトレジストパターンを除去する(図1(b))。
【0020】
インナーリード4及びアウターリード5へのめっきの形成は、インナーリード4にマスキングレジストを塗布し(図1(c))、アウターリード5に電気はんだめっきを施した(図1(d))。電気はんだめっきの条件は、めっき液としては石原薬品製のホウフッ化浴(Unicon Tin Bright )を用い、液組成はホウフッ化スズ濃度が80g/L、ホウフッ化鉛濃度が15g/L、ホウフッ化水素酸濃度が100g/L、ホルマリン濃度が10m/L、光沢剤UTBNo.1濃度が40m/L、光沢剤UTBNo.2濃度が60m/Lとし、温度が17℃、電流密度が3.5A/dm2 で、膜組成をSn80%、Pb20%とし、膜厚を6.0μm施した。
【0021】
その後、インナーリードに塗布したマスキングレジストを溶剤で剥離し(図1(e))、酸洗前処理後(図1(f))、インナーリード4に無電解スズめっきを0.5μm施した(図1(g))。無電解スズめっきは、めっき液に石原薬品製580Mを用い、70℃、3分にて行なった。
【0022】
次に、無電解スズめっきの酸洗前処理法の検討結果について説明する。
【0023】
まず従来より用いていた酸化性の酸洗液である過硫酸カリウム系のAD485(メルテクス社製)で、液組成をAD485濃度50g/L+硫酸を5%を添加した溶液を作製し、これに前記はんだめっきを施しマスキング剤を剥離した試料を、温度が室温で、時間60秒処理して、無電解スズめっきを施した後、はんだめっきを施したアウターリード5を200本観察した結果、全リードにおいてピッティングが観察された。そこで、無電解スズめっきの酸洗前処理液に非酸化性の溶液を用いることとした。
【0024】
次に酸洗溶液に硫酸を用いた場合の実施例を説明する。濃度が0.1、0.5、1.0、10%の硫酸溶液を作製し、これに前記はんだめっきを施しマスキング剤を剥離した試料を、温度が室温で、時間60秒で処理した後、無電解スズめっきを施し、はんだめっきを施したアウターリード5を200本観察した結果を図2に示す。濃度が0.1〜1.0%においてピッティングの発生は認められず、濃度が10%でピッティングが30本観察された。
【0025】
以上より、無電解スズめっきの酸洗前処理液に硫酸を用い、濃度が0.1〜1.0%で、温度が室温で、処理時間が60秒で処理することで、はんだめっきを施したアウターリード5のピッティング発生が防止できることが確認された。尚、処理時間は60秒より短い30秒にても同様の効果が得られる。
【0026】
次に酸洗溶液にりん酸を用いた場合の実施例を説明する。濃度が5、10、50、100g/Lのりん酸溶液を作製し、これに前記はんだめっきを施しマスキング剤を剥離した試料を、温度が室温で、時間60秒で処理した後、無電解スズめっきを施し、はんだめっきを施したアウターリード5を200本観察した結果を図3に示す。濃度が5〜100g/Lの全範囲においてピッティングの発生は認められなかった。
【0027】
以上より、無電解スズめっきの酸洗前処理液にりん酸を用い、濃度が5〜100g/Lで、温度が室温で、処理時間が60秒で処理することで、はんだめっきを施したアウターリード5のピッティング発生が防止できることが確認された。尚、処理時間は60秒より短い30秒にても同様の効果が得られる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法において、無電解スズめっきの酸洗前処理液にソフトエッチング性を有しない非酸化性の硫酸またはりん酸水溶液を用いることにより、はんだめっきのピッティングの発生を防止することができ、スズ−はんだ2色めっきTABテープの品質を向上させるにおいて効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法を示した図である。
【図2】無電解スズめっきの酸洗溶液に硫酸水溶液を用いた場合のはんだめっきピッティング発生数を示した図である。
【図3】無電解スズめっきの酸洗溶液にりん酸を用いた場合のはんだめっきピッティング発生数を示した図である。
【図4】本発明の製造方法により得られるスズ−はんだ2色めっきTABテープを示す平面図である。
【符号の説明】
1 スズ−はんだ2色めっきTABテープ
2 絶縁性フィルム
3 リード
4 インナーリード
5 アウターリード
6 デバイスホール
7 スプロケットホール
8 アウターホール
9 テストパッド
Claims (5)
- 可とう性の絶縁性フィルム上に銅リードの配線パターンを形成し、アウターリードに電気はんだめっき、インナーリードに無電解スズめっきを施したスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法において、前記無電解スズめっきの前処理工程に用いる酸洗処理液にソフトエッチング性を有しない非酸化性の酸性水溶液を用いることを特徴とするスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法。
- 前記無電解スズめっきの前処理工程に用いる酸洗水溶液に硫酸水溶液を用いることを特徴とする請求項1記載のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法。
- 前記硫酸水溶液処理は濃度が0.1〜1.0%で、温度が室温、時間が30〜60秒処理することを特徴とする請求項2記載のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法。
- 前記無電解スズめっきの前処理工程に用いる酸洗水溶液にりん酸水溶液を用いることを特徴とする請求項1記載のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法。
- 前記りん酸水溶液処理は濃度が5〜100g/Lで、温度が室温、時間が30〜60秒処理することを特徴とする請求項4記載のスズ−はんだ2色めっきTABテープの製造方法。
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