JP3843548B2 - 顕微鏡装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
試料の紫外光像と可視光像とを観察することができる顕微鏡装置は、例えば特開平5−127096号公報に開示されている。
【0003】
この顕微鏡装置は、可視光で試料を照明する可視光照明系と、紫外光で前記試料を照明する紫外光照明系と、前記試料に対して可視光照明系と紫外光照明系とを切り換えるフィルタブロックと、前記試料を観察するための観察系と、可視域から近紫外域(約330nm)までの波長域で試料像の収差を補正可能な対物レンズを複数個保持し、各々の対物レンズを観察系光路に選択的に配置する電動レボルバと、電動レボルバを駆動するレボルバ駆動手段とを備える。
【0004】
しかし、極紫外域(約300nm以下)の紫外光像を得ようとした場合、可視光から極紫外光までの範囲を1つの対物レンズだけで対応することが困難であるので、可視光用対物レンズと紫外光用対物レンズとを使用する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記顕微鏡装置を用い、電動レボルバに可視光用対物レンズと紫外光用対物レンズとを取り付け、可視光像の観察と紫外光像の観察とを行う場合、可視光観察から紫外光観察に切り換えるとき、対応する可視光用の通常の対物レンズを紫外光用対物レンズに切り換える必要がある。
【0006】
このとき、観察者は切り換えの間違いがないように電動レボルバを回転させる必要があり、誤って紫外光使用時に可視光用対物レンズを用いていると、可視光用対物レンズに使用されている接着剤が紫外光の照射によって濁ってしまい可視光用の対物レンズが使用できなくなることがある。
【0007】
この問題は、紫外光を励起光として蛍光観察する際に使用する紫外光用対物レンズ(紫外励起用蛍光対物レンズ)と紫外光を透過しない可視光用対物レンズとを同じレボルバに装着し、1台の顕微鏡装置で蛍光観察と可視光観察を行なうような場合も同様である。
【0008】
ここで、本明細書において、「紫外光用対物レンズ」とは、紫外線を照明光とした場合に使用する対物レンズのことを意味し、紫外光像の観察時や紫外光の照射によって生じる蛍光像の観察時に用いる対物レンズを総称する。また、「紫外光観察」とは、紫外光を試料に照射することによって試料の像を観察することを意味しており、紫外光の反射光を観察する場合と、紫外光の照射によって生じる蛍光(可視域)像を観察する場合との両方を含む。また、「紫外光」や「紫外線」とは、極紫外域〜近紫外域の波長領域に含まれる光のことを意味する。
【0009】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は可視光観察と紫外光観察とを選択可能な顕微鏡装置において、紫外光による可視光用の対物レンズへの照射を確実に防止することができるとともに操作性の良い顕微鏡装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明の顕微鏡装置は、可視光観察と紫外光観察とを選択可能な顕微鏡装置において、可視光で試料を照明する可視光照明系と、紫外光で前記試料を照明する紫外光照明系と、前記試料に対して前記可視光照明系と前記紫外光照明系とを切り換える切換手段と、可視光用対物レンズと紫外光用対物レンズとを保持し、前記各々の対物レンズを観察系光路に選択的に配置する電動レボルバと、前記電動レボルバを駆動するレボルバ駆動手段と、前記可視光観察を前記紫外光観察に切り換えるとき、前記レボルバ駆動手段により前記電動レボルバを駆動して前記可視光用対物レンズを前記紫外光用対物レンズに切り換え、その後、前記切換手段により前記可視光照明系を前記紫外光照明系に切り換え、前記紫外光観察を前記可視光観察に切り換えるとき、前記切換手段により前記紫外光照明系を前記可視光照明系に切り換え、その後、前記レボルバ駆動手段により前記電動レボルバを駆動して前記紫外光用対物レンズを前記可視光用対物レンズに切り換える制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0011】
紫外光照明系を用いているときには、レボルバ駆動手段を駆動して光路に紫外光用対物レンズが挿入されるので、可視光用対物レンズは光路外にあり、紫外光によって照射されることがない。
【0012】
請求項2に記載の発明の顕微鏡装置は、請求項1に記載の顕微鏡装置において、現在前記紫外光照明系と前記可視光照明系とのいずれが選択されているかを検出する照明系検出手段と、前記観察系光路上に前記可視光用対物レンズと前記紫外光用対物レンズとのいずれが選択されているかを検出する対物レンズ検出手段と、前記切換手段を駆動する切換駆動手段と、前記両照明系及び前記両対物レンズの切り換えを指示する指示手段とを備え、前記制御手段は、前記指示手段によつて前記可視光照明系から前記紫外光照明系への切り換えが指示されたとき、前記紫外光照明系へ切り換える前に、前記レボルバ駆動手段を駆動して前記可視光用対物レンズを前記紫外光用対物レンズに切り換え、前記指示手段によつて前記紫外光用対物レンズから前記可視光用対物レンズへの切り換えが指示されたとき、前記可視光用対物レンズへ切り換える前に、前記切換駆動手段によって前記切換手段を駆動して前記紫外光照明系を前記可視光照明系に切り換えることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明の顕微鏡装置は、可視光で試料を照明する可視光照明系と、紫外光で前記試料を照明する紫外光照明系と、前記紫外光照明系中に配置され、前記試料に対して前記紫外光が照射されるのを阻止する遮光手段と、前記遮光手段を駆動する駆動手段と、前記試料を観察するための観察系と、可視光用対物レンズと紫外光用対物レンズとを保持し、前記各々の対物レンズを前記観察系光路に選択的に配置する電動レボルバと、前記電動レボルバを駆動するレボルバ駆動手段と、対物レンズの切換えを指示する指示手段と、前記指示手段によつて前記紫外光用対物レンズから前記可視光用対物レンズへ切り替える指示を受けたとき、前記遮光手段によつて前記紫外光を遮断した後、前記可視光用対物レンズへ切り換えるように前記駆動手段と前記レボルバ駆動手段とを駆動する制御手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明の顕微鏡装置は、可視光で試料を照明する可視光照明系と、紫外光で前記試料を照明する紫外光照明系と、前記紫外光照明系中に配置され、前記試料に対して前記紫外光が照射されるのを阻止する遮光手段と、前記遮光手段を駆動する駆動手段と、前記試料を観察するための観察系とを備える顕微鏡装置において、可視光用対物レンズと紫外光用対物レンズとを保持し、前記各々の対物レンズを前記観察系光路に選択的に配置する電動レボルバと、前記電動レボルバを駆動するレボルバ駆動手段と、対物レンズの切換えを指示する指示手段と、前記指示手段によって前記紫外光用対物レンズから前記可視光用対物レンズへ切り替える指示を受けたとき、前記遮光手段によって前記紫外光を遮断した後、前記可視光用対物レンズへ切り換えるように前記駆動手段と前記レボルバ駆動手段とを駆動する制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
指示手段によって紫外光用対物レンズから可視光用対物レンズへ切り替える指示を受けたときには、遮光手段によって紫外光が遮断された後、紫外光用対物レンズから可視光用対物レンズへ切り換わるので、可視光用対物レンズが紫外光によって照射されることがない。
【0016】
請求項4に記載の発明の顕微鏡装置は、請求項3に記載の顕微鏡装置において、前記顕微鏡装置は、前記レボルバに対する前記各々の対物レンズの取付位置情報を記憶する記憶手段を更に有し、前記制御手段は、前記指示手段からの指示及び前記記憶手段に記憶された情報とに基づいて、現在光路中に配置されている対物レンズと次に光路中に配置される対物レンズとが、それぞれ可視光用対物レンズであるか紫外光用対物レンズであるかを識別することを特徴とする。
【0017】
指示手段によって紫外光用対物レンズから可視光用対物レンズへ切り替える指示を受けたとき、対物レンズ検出手段によって現在光路中に配置されている対物レンズが確認され、記憶手段によって次に光路中に配置される対物レンズが確認される。
【0018】
請求項5に記載の発明の顕微鏡装置は、請求項3又は4に記載の顕微鏡装置において、前記可視光照明系と前記紫外光照明系とは、それぞれ独立した光源と光路とを有し、前記遮光手段は、前記紫外光照明系の光路中に配置されたシャッタであることを特徴とする。
【0019】
指示手段によって紫外光用対物レンズから可視光用対物レンズへ切り替える指示を受けたとき、紫外光照明系の光路中に配置されたシャッタによって、紫外光が遮断される。
【0020】
請求項6に記載の発明の顕微鏡装置は、請求項3又は4に記載の顕微鏡装置において、前記可視光照明系と前記紫外光照明系とは、それぞれ同一の光源と光路とを有し、前記遮光手段は、前記光路中に配置されたフィルタブロックを有し、前記フィルタブロックは、前記光源から前記試料に照射される照明光の可視光を透過し、紫外光を阻止する明視野ブロックと、前記照明光の紫外光を透過し、可視光を阻止する蛍光ブロックとからなり、前記制御手段は、前記フィルタブロックの前記明視野ブロックと前記蛍光ブロックとを前記指示手段の指示に基づいて切換えることを特徴とする
【0021】
指示手段によって紫外光用対物レンズから可視光用対物レンズへ切り替える指示を受けたとき、切換手段によって照明光が紫外光から可視光へ切り換わる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1はこの発明に係る顕微鏡装置の制御系を示すブロック構成図である。
【0026】
顕微鏡装置は、フィルタブロック(切換手段)10と、フィルタセンサ(照明系検出手段)11と、フィルタ駆動モータ(切換駆動手段)12と、電動レボルバ20と、対物レンズセンサ(対物レンズ検出手段)21と、レボルバ駆動モータ(レボルバ駆動手段)22と、操作部(指示手段)30と、CPU(制御手段)40とを備える。CPU40は、対物レンズ検出手段、照明系検出手段も兼ねている。
【0027】
フィルタブロック10はフィルタセンサ11を介してCPU40に接続されるとともに、フィルタ駆動モータ12を介してCPU40に接続される。
【0028】
フィルタセンサ11は、例えばフォトセンサを用いてフィルタブロック10の位置を検知することで現在使用されている照明系を検出する。
【0029】
フィルタ駆動モータ12はCPU40の出力に基づいてフィルタブロック10を移動させ、試料52A(図2参照)に対して可視光照明系と紫外光照明系とを切り換える。
【0030】
電動レボルバ20は対物レンズセンサ21を介してCPU40に接続されるとともに、レボルバ駆動モータ22を介してCPU40に接続されている。
【0031】
電動レボルバ20は可視光用対物レンズ20A〜20D(20B〜20Dは図示せず)と紫外光用対物レンズ20Eとを備える。
【0032】
対物レンズセンサ21は光路に配置されている対物レンズを検出する。具体的には、対物レンズを保持する電動レボルバ20の回転位置を検出し、対物レンズが取り付けられる複数のマウント部に予め付けられた番地を検出するものである。この構成以外にも、対物レンズ自体に付けられた信号、例えばバーコードを読み取ったりして光路に配置されている対物レンズを検出するような構成のものであってもよい。
【0033】
レボルバ駆動モータ22はCPU40の出力に基づいて電動レボルバ20を駆動し、対物レンズを切り換える。
【0034】
CPU40には操作部30が接続され、操作部30は照明系の切換えや対物レンズの切換え等を指示するためのボタンを有する。CPU40はメモリ41に記憶された対物レンズの取付位置情報や照明系と対物レンズとの適正な組合わせ等に基づいて、対物レンズと照明系とを適正な状態に設定する。
【0035】
図2はこの発明に係る顕微鏡装置を適用した顕微鏡の第1実施形態を示す断面図であり、図2(a)は可視光照明系であるときを示し、図2(b)は紫外光照明系であるときを示し、図3はフィルタブロックの斜視図、図4は電動レボルバの対物レンズの配置を示す図である。
【0036】
顕微鏡は、顕微鏡本体50と、鏡筒51と、電動レボルバ20と、ステージ52と、操作部30とを備える。
【0037】
顕微鏡本体50はベース50Aと、支柱50Bと、アーム50Cとからなる。
【0038】
鏡筒51はアーム50Cの上部に取り付けられ、接眼レンズ51Aを有する。
【0039】
電動レボルバ20はアーム50Cの下面に取り付けられ、電動レボルバ20に5本の対物レンズ20A〜20Eが保持されている。対物レンズ20A〜20Dは可視光用であり、対物レンズ20Eは紫外光に対応した蛍光用である。
【0040】
ステージ52はベース50Aに設けられ、対物レンズの光軸に沿って上下動する。
【0041】
また、アーム50Cにはフィルタブロック10と照明用の光源55が設けられている。フィルタブロック10は光源55の光路に対して直交する方向(紙面を貫通する方向)へ移動でき、照明光路に紫外線カットフィルタ15及び励起フィルタ16のいずれか一方を配置する。この光源55には水銀ランプが用いられ、この水銀ランプは可視域から極紫外域までの波長域の光を射出する。
【0042】
アーム50C内には固定ガイド部56、可動ガイド部57、フィルタ駆動モータ12及びフィルタブロック10が収容される。
【0043】
可動ガイド部57と固定ガイド部56とは複数のボール59を転動可能に支持するボールレース機構を介して接続され、可動ガイド部57は固定ガイド部56に対して移動可能となっている。
【0044】
可動ガイド部57の固定ガイド部56と反対側の側面にはあり溝57Aが形成され、フィルタブロックの側面に形成されたあり10Aと係合している。
【0045】
可動ガイド部57の上部にはラック57Bが形成され、このラック57Bはモータ12の回転軸に固着されたピニオン12Aと噛み合っている。モータ12は、例えばDCモータを用い、固定ガイド部56に固着される。
【0046】
遮光手段(切換手段)としてのフィルタブロック10は明視野ブロック10Bと蛍光ブロック10Cとを備える。明視野ブロック10Bは紫外線カットフィルタ15とハーフミラー17とを保持する。蛍光ブロック10Cは励起フィルタ16とダイクロイックミラー18とバリアフィルタ19とを保持する。
【0047】
電動レボルバ20を駆動するモータ22(図1参照)とモータ12とはCPU40に接続され、通電を制御されている。
【0048】
上記顕微鏡によれば、対物レンズセンサ21からの検出信号によって明視野用の対物レンズ20Aが光路中に配置されているとCPU40が判断した場合には、CPU40は明視野ブロック10Bを光路中に配置する信号を出力し、モータ12を駆動して光路中に明視野ブロック10Bを配置し(図2(a)参照)、紫外光用の対物レンズ20Eが光路中に配置されていると判断した場合には、CPU40は紫外光ブロック10Cを光路中に配置する信号を出力し、モータ12を駆動して光路中に紫外光ブロック10Cを配置する(図2(b)参照)。
【0049】
また、フィルタセンサ11からの検出信号によって明視野ブロック10Bが光路中に配置されているとCPU40が判断した場合には、CPU40は可視光用の対物レンズ(例えば20A)を光路中に配置する信号を出力し、モータ22を駆動して光路中に対物レンズ20Aを配置し(図2(a)参照)、紫外光ブロック10Cが光路中に配置されていると判断した場合には、CPU40は紫外光用の対物レンズ20Eを光路中に配置する信号を出力し、モータ22を駆動して光路中に紫外光用の対物レンズ20Eを配置する(図2(b)参照)。
【0050】
このように、対物レンズと照明系との一方が電動又は手動により切換えられたとき、他方を自動的に切換え、常に可視光照明と可視光用対物レンズ、又は紫外光照明と紫外光用対物レンズの組み合わせに設定される。
【0051】
図2(a)の場合、光源55から出射された照明光は図示しないコレクタレンズ等の照明光学系を通り、明視野ブロック10Bに入射する。
【0052】
照明光は紫外線カットフィルタ15によって紫外光を除いた可視光となり、ハーフミラー17によって対物レンズ20Aに偏向され、対物レンズ20Aを通してステージ52上の試料52Aを照明する(可視光照明系)。
【0053】
可視光照明系の照明によって得られた像は観察系を構成する対物レンズ20A、ハーフミラー17を通り、鏡筒51を介して接眼レンズ51Aで明視野観察される。
【0054】
図2(b)の場合、照明光は励起フィルタ16によって紫外光だけの照明光となり、ダイクロイックミラー18によって対物レンズ20Eに偏向され、対物レンズ20Eを通してステージ52上の試料52Aを照明する(紫外光照明系)。
【0055】
紫外光照明系の照明によって得られた蛍光像は観察系を構成する対物レンズ20E、ダイクロイックミラー18及びバリアフィルタ19を通り、鏡筒51を介して接眼レンズ51Aで蛍光観察される。
【0056】
この第1実施形態によれば、明視野観察と紫外光を使用する蛍光観察とを選択可能な顕微鏡装置において、選択した対物レンズに対応したフィルタブロック10を選択することができるとともに、選択したフィルタブロック10に対応した対物レンズを選択することができるので、可視光用対物レンズ20A〜20Dに紫外光を入射させて、接着剤を濁らせてしまい、対物レンズ20〜20Dを使用できなくしてしまう事故を防ぐことができるとともに、誤った対物レンズの選択によって対物レンズ20A〜20Dが自己蛍光してしまい見え難くなることを防ぐことができる。
【0057】
また、対物レンズ20A〜20Eの切換と照明系の切換とを一度の操作で行うことができるので、慣れない観察者でも誤操作が少なくなり、操作性が向上する。その結果、検査時間の短縮とともに正確な検査が可能になる。
【0058】
更に、紫外光観察をする場合でも、誤って明視野用対物レンズ20A〜20Dを光路に入れることがないので、同焦点がとれないため像が見えず、ピントを合わせるためにステージ52をZ軸方向に動かして試料52Aや対物レンズ20A〜20Dを破損してしまうという事故を防止できる。
【0059】
図5(a)はこの発明に係る顕微鏡装置を適用した顕微鏡の第2実施形態を示す断面図、図5(b)は電動レボルバの対物レンズの配置を示す図であり、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
この第2実施形態は可視光による明視野観察と300nm以下の極紫外光(DUV光)を使用する紫外光像の観察を行うことができる顕微鏡を示している。
【0061】
顕微鏡は顕微鏡本体150と、鏡筒51と、電動レボルバ20と、ステージ52と、紫外線用ディテクタ53と、操作部30とを備える。
【0062】
顕微鏡本体150はベース150Aと、支柱150Bと、アーム150C,150Dとからなる。
【0063】
鏡筒51はアーム150Cの上部に取り付けられ、接眼レンズ51Aを有する。
【0064】
電動レボルバ20はアーム150Dの下面に取り付けられ、5本の対物レンズ120A〜120Eが保持されている。対物レンズ120A〜120Dは明視野用であり、対物レンズ120Eは紫外線用である。
【0065】
アーム150Cには水銀ランプ55、UVフィルタ151、シャッタ(遮光手段)152、ハーフミラー153、ダイクロイックミラー154及びバリアフィルタ155が配置され、アーム150Dにはハロゲンランプ156、ハーフミラー157を保持するフィルタブロック110が配置されている。シャッタ152はソレノイド152Aによって駆動される。
【0066】
アーム150Cの下面に形成されたありはアーム150Dの上面に形成されたあり溝に係合している。また、アーム150Cとアーム150Dとは開口Sを介して連通しており、この開口Sによってダイクロイックミラー154とハーフミラー157との間の光路を形成する。
【0067】
電動レボルバ20を駆動するモータ22(図1参照)、モータ12、ソレノイド152A及びハロゲンランプ156はCPU40に接続され、CPU40によって通電が制御される。
【0068】
上記顕微鏡によれば、例えば明視野用の対物レンズ120Aが光路中に配置されるとCPU40が判断した場合には、CPU40はシャッタ152を閉じる信号を出力し、ソレノイド152Aを駆動して紫外線の光路を閉じるとともに、ハーフミラー157を光路中に配置する信号を出力し、モータ12を駆動して光路中にハーフミラー157を配置する(図5参照)。
【0069】
紫外光用の対物レンズ120Eが光路中に配置されると判断した場合には、CPU40はハーフミラー157を光路から外す信号を出力し、モータ12を駆動して光路中からハーフミラー157を外すとともに、シャッタ152を開く信号を出力し、ソレノイド152Aを駆動して紫外線の光路を開く。このとき、ハロゲンランプ156への通電は止められ、ハロゲンランプ156は消灯する。
【0070】
図5の場合(明視野観察)、光源156から出射された照明光は図示しないコレクタレンズ等の照明光学系を通り、ハーフミラー157に入射する。
【0071】
照明光はハーフミラー157によって対物レンズ120Aに偏向され、対物レンズ120Aを通してステージ52上の試料52Aを照明する(可視光照明系)。
【0072】
可視光照明系の照明によって得られた像は観察系を構成する対物レンズ120A、ハーフミラー157、ダイクロイックミラー154及びバリアフィルタ155を通り、鏡筒51を介して接眼レンズ51Aで明視野観察される。
【0073】
一方、DUV光による紫外線観察の場合、照明光はUVフィルタ151によって紫外光だけの照明光となり、ハーフミラー153を透過した後、ダイクロイックミラー154によって対物レンズ120E方向に偏向され、対物レンズ120Eを通してステージ52上の試料52Aを照明する(紫外光照明系)。
【0074】
紫外光照明系の照明によって得られた紫外光像は観察系を構成する対物レンズ120E、ダイクロイックミラー154でハーフミラー153方向へ偏向され、ハーフミラー153で紫外線用ディテクタ53方向へ偏向される。紫外線用ディテクタ53は検出した紫外光を電気信号に変換し、モニタ(図示せず)で画像化され、観察される。
【0075】
この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を発揮できる。
【0076】
図6はこの発明に係る顕微鏡装置の他の制御方法を説明するフローチャートである。なお、S1〜S16はCPUの行う各処理のステップを示す。
【0077】
CPU40は操作部30から対物レンズを切り換える指示が入力されたか否かを判断する(S1)。
【0078】
対物レンズを切り換える指示が入力されたときには、対物レンズセンサ21、操作部30及びメモリ41に記憶された情報に基づいて、現在光路中にある対物レンズと切換後の(次に光路に挿入される)対物レンズとをそれぞれ確認する(S2)。
【0079】
次に、指示が明視野(可視光)用の対物レンズから紫外光(UV光)用の対物レンズへの切換であるか否かを判断する(S3)。
【0080】
指示が明視野(可視光)用の対物レンズから紫外光(UV光)用の対物レンズへの切換であるときには、モータ22を駆動して対物レンズを紫外光(UV光)用の対物レンズに切り換える(S4)。
【0081】
次に、モータ12を駆動してフィルタブロック10を紫外光照明系に切り換える(S5)。その後S1に戻る。
【0082】
S3で指示が明視野(可視光)用の対物レンズから紫外光(UV光)用の対物レンズへの切換でないときには、紫外光(UV光)用の対物レンズから明視野(可視光)用の対物レンズへの切換であるか否かを判断する(S6)。
【0083】
紫外光(UV光)用の対物レンズから明視野(可視光)用の対物レンズへの切換であるときには、モータ12を駆動してフィルタブロック10を可視光照明系に切り換える(S7)。
【0084】
次に、モータ12を駆動して対物レンズを明視野(可視光)用の対物レンズへ切り換える(S8)。その後S1に戻る。S6で紫外光用対物レンズから可視光用の対物レンズへの切換でないと判断すると、操作部30からの指示通り対物レンズを切換える(S17)。その後S1に戻る。
【0085】
S1で対物レンズを切り換える指示でないときには、照明系(フィルタブロック)を切り換える指示が入力されたか否かを判断する(S9)。指示がない場合は再びS1に戻り、対物レンズ又は照明系の切換指示があるまでS1,S9をくりかえす。
【0086】
照明系を切り換える指示が入力されたときには、現在の照明系と切換後の照明系とを確認する(S10)。
【0087】
次に、指示が可視光照明系から紫外光照明系への切換であるか否かを判断する(S11)。
【0088】
指示が可視光照明系から紫外光照明系への切換であるときには、モータ22を駆動して光路に挿入する対物レンズを紫外光(UV光)用の対物レンズに切り換える(S12)。
【0089】
次に、モータ12を駆動して照明系を紫外光照明系に切り換える(S13)。その後S1に戻る。
【0090】
S11で指示が可視光照明系から紫外光照明系への切換でないときには、紫外光照明系から可視光照明系への切換であるか否かを判断する(S14)。
【0091】
紫外光照明系から可視光照明系への切換であるときには、モータ12を駆動して照明系を可視光照明系に切り換える(S15)。
【0092】
次に、モータ22を駆動して対物レンズを明視野(可視光)用の対物レンズへ切り換える(S16)。その後S1に戻る。S14で紫外光照明系から可視光照明系への切換でないと判断すると、操作部30からの指示通り照明系を切換える(S18)。その後S1に戻る。
【0093】
上記制御方法によれば、上記実施形態の制御方法の場合と同様の効果を発揮できる。上記制御方法によれば、可視光用対物レンズと紫外光照明系とが同時に光路上に配置されることがないので、紫外光の可視光用対物レンズへの入射を確実に防止できる。
【0094】
更に、紫外光用対物レンズ120Eを光路に入れたままで明視野観察を行うことがないので、ピントを合わせるためにステージ52をZ軸方向に動かして試料52Aや対物レンズ20Eを破損してしまうという事故を防止できる。
【0095】
これは、紫外光像を観察するために収差補正された対物レンズ120Eでは、可視光と紫外光の同焦点が出ていないためである。
【0096】
なお、操作部30によって紫外光用対物レンズ20Eから可視光用対物レンズ20A〜20Dへ切り替える指示を受けた場合で、フィルタセンサ11によって紫外光照明系を用いていることが検出されたとき及び操作部30によって可視光照明系から紫外光照明系へ切り替える指示を受けた場合で、対物レンズセンサ21によって光路に紫外光用対物レンズ20Eが配置されていることが検出されたときには、操作部30による指示を無効とし、ブザー(図示せず)によって警報音を発し、観察者に注意を促すようにしてもよい。
【0097】
上記実施形態はフィルタブロック及び電動レボルバをモータ駆動するようにしたが、一方を手動で操作するようにしてもよい。
【0098】
第2実施形態において、ダイクロイックミラー154を光路に挿脱可能とする駆動部を設け、明視野観察時にダイクロイックミラー154を光路から外すようにしてもよい。
【0099】
また、ハロゲンランプ156は消灯するのではなく、光路にシャッタを配置して光路を遮断するようにしてもよい。
【0100】
更に、フィルタブロック110の切換はフィルタブロック110の位置を検知することで行っているが、シャッタ152の開閉に基づいて切り換えるようにしてもよい。また、紫外光の光源として水銀ランプのかわりに紫外レーザを用いても良い。
【0101】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1に記載の発明の顕微鏡装置又は請求項7に記載の発明の顕微鏡装置の観察状態切換方法によれば、可視光用対物レンズに紫外光が入射することを防止して、接着剤を濁らせてしまい、対物レンズを使用できなくしてしまう事故を確実に防ぐことができるとともに、誤った対物レンズの選択によって対物レンズが自己蛍光してしまい見えが悪くなることを防ぐことができる。
【0102】
また、紫外光観察をする場合でも、誤って明視野用対物レンズを光路に入れることがないので、同焦点がとれないため像が見えず、ピントを合わせるためにステージをZ軸方向に動かして試料や対物レンズを破損してしまうという事故を防止できる。
【0103】
請求項2に記載の発明の顕微鏡装置によれば、紫外像を観察するための紫外線用対物レンズを光路に入れたままで明視野観察を行うことがないので、ピントを合わせるためにステージをZ軸方向に動かして試料や対物レンズを破損してしまうという事故を防止できる。
【0104】
請求項3、5若しくは6に記載の発明の顕微鏡装置によれば、対物レンズの切換と照明系の切換とを一度の操作で行うことができるので、慣れない観察者でも誤操作が少なくなり、操作性が向上する。その結果、検査時間の短縮とともに正確な検査が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係る顕微鏡装置の制御系を示すブロック構成図である。
【図2】図2はこの発明に係る顕微鏡装置を適用した顕微鏡の第1実施形態を示す断面図であり、図2(a)は可視光照明系であるときを示す図、図2(b)は紫外光照明系であるときを示す図である。
【図3】図3はフィルタブロックの斜視図である。
【図4】図4は電動レボルバの対物レンズの配置を示す図である。
【図5】図5(a)はこの発明に係る顕微鏡装置を適用した顕微鏡の第2実施形態を示す断面図、図5(b)は電動レボルバの対物レンズの配置を示す図である。
【図6】図6はこの発明に係る顕微鏡装置の他の制御方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 フィルタブロック(切換手段)
11 フィルタセンサ(照明系検出手段)
12 フィルタ駆動モータ(切換駆動手段)
20 電動レボルバ
20A〜20D 可視光用対物レンズ
20E 紫外光用対物レンズ
21 対物レンズセンサ(対物レンズ検出手段)
22 レボルバ駆動モータ(レボルバ駆動手段)
30 操作部(指示手段)
40 CPU(制御手段)
41 メモリ(記憶手段)
152 シャッタ

Claims (6)

  1. 可視光観察と紫外光観察とを選択可能な顕微鏡装置において、
    可視光で試料を照明する可視光照明系と、
    紫外光で前記試料を照明する紫外光照明系と、
    前記試料に対して前記可視光照明系と前記紫外光照明系とを切り換える切換手段と、
    可視光用対物レンズと紫外光用対物レンズとを保持し、前記各々の対物レンズを観察系光路に選択的に配置する電動レボルバと、
    前記電動レボルバを駆動するレボルバ駆動手段と、
    前記可視光観察を前記紫外光観察に切り換えるとき、前記レボルバ駆動手段により前記電動レボルバを駆動して前記可視光用対物レンズを前記紫外光用対物レンズに切り換え、その後、前記切換手段により前記可視光照明系を前記紫外光照明系に切り換え、
    前記紫外光観察を前記可視光観察に切り換えるとき、前記切換手段により前記紫外光照明系を前記可視光照明系に切り換え、その後、前記レボルバ駆動手段により前記電動レボルバを駆動して前記紫外光用対物レンズを前記可視光用対物レンズに切り換える制御手段と
    を備えることを特徴とする顕微鏡装置。
  2. 現在前記紫外光照明系と前記可視光照明系とのいずれが選択されているかを検出する照明系検出手段と、
    前記観察系光路上に前記可視光用対物レンズと前記紫外光用対物レンズとのいずれが選択されているかを検出する対物レンズ検出手段と、
    前記切換手段を駆動する切換駆動手段と、
    前記両照明系及び前記両対物レンズの切り換えを指示する指示手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記指示手段によつて前記可視光照明系から前記紫外光照明系への切り換えが指示されたとき、前記紫外光照明系へ切り換える前に、前記レボルバ駆動手段を駆動して前記可視光用対物レンズを前記紫外光用対物レンズに切り換え、
    前記指示手段によつて前記紫外光用対物レンズから前記可視光用対物レンズへの切り換えが指示されたとき、前記可視光用対物レンズへ切り換える前に、前記切換駆動手段によって前記切換手段を駆動して前記紫外光照明系を前記可視光照明系に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡装置。
  3. 可視光で試料を照明する可視光照明系と、
    紫外光で前記試料を照明する紫外光照明系と、
    前記紫外光照明系中に配置され、前記試料に対して前記紫外光が照射されるのを阻止する遮光手段と、
    前記遮光手段を駆動する駆動手段と、
    前記試料を観察するための観察系と、
    可視光用対物レンズと紫外光用対物レンズとを保持し、前記各々の対物レンズを前記観察系光路に選択的に配置する電動レボルバと、
    前記電動レボルバを駆動するレボルバ駆動手段と、
    対物レンズの切換えを指示する指示手段と、
    前記指示手段によつて前記紫外光用対物レンズから前記可視光用対物レンズへ切り替える指示を受けたとき、前記遮光手段によつて前記紫外光を遮断した後、前記可視光用対物レンズへ切り換えるように前記駆動手段と前記レボルバ駆動手段とを駆動する制御手段と
    を備えることを特徴とする顕微鏡装置。
  4. 前記顕微鏡装置は、前記レボルバに対する前記各々の対物レンズの取付位置情報を記憶する記憶手段を更に有し、前記制御手段は、前記指示手段からの指示及び前記記憶手段に記憶された情報とに基づいて、現在光路中に配置されている対物レンズと次に光路中に配置される対物レンズとが、それぞれ可視光用対物レンズであるか紫外光用対物レンズであるかを識別することを特徴とする請求項3に記載の顕微鏡装置。
  5. 前記可視光照明系と前記紫外光照明系とは、それぞれ独立した光源と光路とを有し、前記遮光手段は、前記紫外光照明系の光路中に配置されたシヤツタであることを特徴とする請求項3又は4に記載の顕微鏡装置。
  6. 前記可視光照明系と前記紫外光照明系とは、それぞれ同一の光源と光路とを有し、
    前記遮光手段は、前記光路中に配置されたフィルタブロックを有し、
    前記フィルタブロックは、前記光源から前記試料に照射される照明光の可視光を透過し、紫外光を阻止する明視野ブロックと、前記照明光の紫外光を透過し、可視光を阻止する蛍光ブロックとからなり、
    前記制御手段は、前記フィルタブロックの前記明視野ブロックと前記蛍光ブロックとを前記指示手段の指示に基づいて切換えることを特徴とする請求項3又は4に記載の顕微鏡装置。
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