JP3843528B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭及びレストランなどで使用される誘導加熱装置に関するもので、更に詳しく述べればその誘導加熱用インバーター回路の構成に特徴を有する誘導加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、安全な加熱源として、誘導加熱を応用した装置が注目されており、特に、複数の鍋を同時に誘導加熱する、いわゆる多口タイプの製品態様が増えてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方式では、誘導加熱用のコイルが複数必要とされる機器においては、各々のコイルに対応した共振用のコンデンサ、及びスイッチング素子を用いるのが一般的であり、一方、図19に示す回路構成のように、複数のコイル2、7に対して、リレーを用いて切り換え、共振用のコンデンサ3を共用とした場合、どちらかのコイルに対して、共振用のコンデンサが不適当な容量となり、不具合点が発生しやすかった。具体的には、図20に示す様に、共振電圧が高くなりすぎて、スイッチング素子の定格電圧を越えて破壊に至らしめる事や、図21に示す様に、共振電圧が十分にゼロボルトにならない動作を行うため、スイッチング時に、損失やノイズが発生してスイッチング素子が破壊する事が発生していた。
【0004】
また、複数のコイルを使用した場合に限らず、炊飯釜などの被加熱物の材質や形状の変化によってもインダクタンスの変化が発生する場合にも、前述のような問題が生じていた。
【0005】
本発明はこの様な点に鑑み、誘導加熱装置において、複数のコイルや被加熱物の材質や形状の変化に対しても、スイッチング素子のスイッチング時の損失やノイズ、共振電圧を抑え、なおかつ各々のコイルに対応する共振用のコンデンサとスイッチング素子を省くことができる回路構成とし、小形・低コスト化を実現する誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、直流電源にその一端を接続されたコイルと、前記直流電源に対して前記コイルと直列に接続される第一スイッチング素子と、前記コイルと共振回路を形成する第一コンデンサと、前記第一コンデンサの電圧をクランプするようにリレーを介して並列接続される第2コンデンサと第3コンデンサからなるコンデンサ部と、前記コイルと直列または並列接続される第二スイッチング素子とコンデンサ部の直列回路より構成されるインバータ回路と、前記第一スイッチング素子と前記第二スイッチング素子を交互に導通制御する駆動制御回路とを備え、前記リレーは、前記第2コンデンサと前記第3コンデンサとを切り換えるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項記載の発明は、直流電源にその一端を接続され負荷を誘導加熱するコイルと、前記直流電源に対して前記コイルと直列に接続される第一スイッチング素子と、前記コイルと共振回路を形成する第一コンデンサと、前記第一コンデンサの電圧をクランプするようにリレーを介して並列接続される第2コンデンサと第3コンデンサからなるコンデンサ部と、前記コイルと直列または並列接続される第二スイッチング素子とコンデンサの直列回路より構成されるインバータ回路と、前記第一スイッチング素子と前記第二スイッチング素子を交互に導通制御する駆動制御回路とを備え、前記リレーは、前記第2コンデンサと前記第3コンデンサとを切り等により、炊飯釜などの被加熱物の材質や形状の変化に伴うコイルのインダクタンス値の多様な変化に対応して、クランプ用のコンデンサノイズの増加やスイッチング素子の破壊を防ぐ事ができる。
【0008】
【実施例】
(実施例1)
図1は、第一の実施例の誘導加熱装置の回路構成図を示している。図1に於いて、1は直流電源で、直流電源1の一端であるプラス側に一端を接続される第一コイル2と、第二コイル7と、前記第一コイル2と第二コイル7の切り替え手段であるリレー6からなるコイル部を介して、直流電源1の他端であるマイナス側とに接続される第一スイッチング素子4と、前記第一コイル2もしくは第二コイル7とリレー6に対して共振回路を形成する様に並列接続される第一コンデンサ3と、第一コンデンサの電圧をクランプするように並列接続される第二コンデンサ8と第二スイッチング素子9の直列回路より構成されている。本実施例においては、第一スイッチング素子4、及び第二スイッチング素子9はIGBTと逆導通ダイオードで構成されており、前記二つのスイッチング素子は駆動制御回路5によって交互に導通制御されている。
【0009】
以上の様に構成された誘導加熱装置についてその動作を説明する。
【0010】
図1において、コイル切換手段であるリレー6が第一コイル2に接続されている場合、直流電源1、第一コイル2、第一コンデンサ3、及び第一スイッチング素子4の構成は、従来例に示した回路と同じ構成であり、第二コンデンサ8は、第二スイッチング素子9と直列に接続され、第一コンデンサ3と並列回路を構成しており、第二コンデンサ8と第二スイッチング素子9の直列回路は、第一スイッチング素子4解放時の共振電圧を、第二コンデンサ8の充放電によって、クランプする役割を持っている。制御回路8は第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9を交互に導通させるドライブ信号を出力し、入力電力制御を行う。
【0011】
図2に、図1の回路図記載のコイル切換手段であるリレー6が第一コイル2に接続されている場合の第一スイッチング素子と第二スイッチング素子の電圧電流波形を示す。図2は、vge1は第一スイッチング素子のゲート・エミッタ間電圧、vge2は第二スイッチング素子のゲート・エミッタ間電圧、ic1とvce1は第一スイッチング素子のコレクタ電流とコレクタ・エミッタ間電圧、ic2とvce2は第二スイッチング素子のコレクタ電流とコレクタ・エミッタ間電圧をそれぞれ表しており、第一スイッチング素子の解放時の電圧が、第二スイッチング素子の導通時にクランプされている様子を示している。
【0012】
図3に、図1の回路図記載のコイル切換手段であるリレー6が第二コイル7に接続されている場合の第一スイッチング素子と第二スイッチング素子の電圧電流波形を示す。本実施例においては、第二コイル7のインダクタンスは第一コイル2に比べて大きく、被加熱物とギャップが小さいものとする。
【0013】
この様に、共振用のコンデンサ(本実施例の第一コンデンサ)を異なるインダクタンスのコイルに対してリレーの切り換えなどで共用する場合、これまでは、従来例に示したように、第一スイッチング素子4のvce1の最大値が上がりすぎたり、vce1は十分に下がりきらないまま第一スイッチング素子4はスイッチングを開始せざるを得ない。このため、スイッチング時に損失やノイズが発生し、機器の破損を招く場合があるため、共振用のコンデンサの容量をコイルに対応して調整する必要がある。
【0014】
しかしながら、図1の構成を用いることにより、第一スイッチング素子4の容量を変更することなく、第二コイル7による誘導加熱動作時も共振電圧を低く保つことが可能なため、スイッチング素子の耐圧破壊を防ぎ、なおかつ小形・低コスト化が実現する。
【0015】
なお、本実施例においては、インダクタンスの異なるコイルを並列に接続し、リレーで切り換える構成をとっているが、直列に接続されていても、インダクタンスの変化が発生する場合は同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0016】
(実施例2)
図4は、第二の実施例の誘導加熱装置の回路構成図を示している。
【0017】
図4に於いて、1は直流電源で、直流電源1の一端であるプラス側に一端を接続される第一コイル2と、直流電源1の他端であるマイナス側とに接続される第一スイッチング素子4と、前記第一コイル2とリレー6を介して共振回路を形成する様に並列接続される第一コンデンサ3、及び第三コンデンサ11からなるコンデンサ部と、第一コンデンサ3、または第三コンデンサ11の電圧をクランプするように並列接続される第二コンデンサ8と第二スイッチング素子9の直列回路より構成されている。本実施例においては、第一スイッチング素子4、及び第二スイッチング素子9はIGBTと逆導通ダイオードで構成されており、前記二つのスイッチング素子は駆動制御回路5によって交互に導通制御されている。
【0018】
この場合、リレー6は第一コンデンサ3と第三コンデンサ11の切換手段で、第一コイル2と共振するコンデンサの容量を変化させている。
【0019】
なお、本実施例においては、第三コンデンサ11は第一コンデンサ3より小さい容量に設定されている。
【0020】
第一スイッチング素子4のコレクタ端子には動作状態検出手段であるvon1検知回路12が接続され、von1検知回路12の出力は、リレー6と駆動制御回路5に接続される。
【0021】
以上の様に構成された誘導加熱装置について、その動作を説明する。
【0022】
基本的な動作は、実施例1と同じであり、リレー6が第一コンデンサ3に接続している状態で誘導加熱を開始すると、駆動制御回路5は、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9を交互に導通させ、von1検知回路12は、第一スイッチング素子4がonする直前の第一スイッチング素子4のコレクタ・エミッタ間電圧vce1(以後、von1と称す。)を検出する。この時、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9の電圧電流波形は前記図2と同じなので、von1検知回路12により検出されるvon1はゼロボルトであり、この場合、von1検知回路12は、リレー6を第一コンデンサ3に接続している状態のまま継続する。
【0023】
この状態で入力電力を少なくするために第一スイッチング素子4の導通時間が小さくなると、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9の電圧電流波形は図5に示す様になり、von1検知回路12は、発生するvon1を検出する。von1検知回路12がvon1を検出すると、von1検知回路12は、まず、駆動制御回路3に出力し、駆動制御回路3は誘導加熱動作を停止する。誘導加熱動作が停止すると、von1検知回路12はリレー6に出力して、リレー6を第三コンデンサ11に切り換える。
【0024】
その結果、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9の電圧電流波形は図6に示す様になり、入力電力が小さくてもvon1の発生は無くなる。
【0025】
つまり、von1検知回路12が、入力電力の変化や負荷が表面に銅をコートした磁性鍋(以後、銅ばり鍋と称する。)など特定な種類の場合などに発生するvon1を検出し、第一コイル2と共振するコンデンサを、第一コンデンサ3と第三コンデンサ11とに切り換えて、その容量を適当な値に変化させるので、von1が発生しない状態で誘導加熱動作ができ、第一スイッチング素子4の耐圧破壊を防ぎつつ、損失とノイズを低減できる。
【0026】
(実施例3)
図7は、第3の実施例の誘導加熱装置の回路構成図を示している。
【0027】
図7に於いて、1は直流電源で、直流電源1の一端であるプラス側に一端を接続される第一コイル2と、直流電源1の他端であるマイナス側とに接続される第一スイッチング素子4と、前記第一コイル2と共振回路を形成する様に並列接続される第一コンデンサ3と、第一コンデンサ3の電圧をクランプするようにリレー6を介して並列接続される第二コンデンサ8と第四コンデンサ13からなるコンデンサ部と、第二スイッチング素子9との直列回路より構成されている。本実施例においては、第一スイッチング素子4、及び第二スイッチング素子9はIGBTと逆導通ダイオードで構成されており、前記二つのスイッチング素子は駆動制御回路5によって交互に導通制御されている。
【0028】
この場合、リレー6は第二コンデンサ8と第四コンデンサ13の切換手段で、第一コンデンサ3の電圧をクランプするコンデンサの容量を変化させている。
【0029】
なお、本実施例においては、第四コンデンサ13は第二コンデンサ8より大きい容量に設定されている。
【0030】
第一スイッチング素子4のコレクタ端子には動作状態検出手段であるvon1検知回路11が接続され、von1検知回路12の出力は、リレー6と駆動制御回路5に接続される。
【0031】
以上の様に構成された誘導加熱装置についてその動作を説明する。
【0032】
基本的な動作は、実施例1と同じであり、リレー6が第二コンデンサ8に接続している状態で誘導加熱を開始すると、駆動制御回路5は、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9を交互に導通させ、von1検知回路12は、第一スイッチング素子4がonする直前の第一スイッチング素子4のコレクタ・エミッタ間電圧vce1(以後、von1と称す。)を検出する。この時、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9の電圧電流波形は前記図2と同じなので、von1検知回路12により検出されるvon1はゼロボルトであり、この場合、von1検知回路12は、リレー6を第二コンデンサ8に接続している状態のまま継続する。
【0033】
この状態で入力電力を少なくするために第二スイッチング素子4の導通時間が大きくなると、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9の電圧電流波形は図8に示す様になり、von1検知回路12は、発生するvon1を検出する。von1検知回路12がvon1を検出すると、von1検知回路12は、まず、駆動制御回路3に出力し、駆動制御回路3は誘導加熱動作を停止する。誘導加熱動作が停止すると、von1検知回路12はリレー6に出力して、リレー6を第四コンデンサ13に切り換える。
【0034】
その結果、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9の電圧電流波形は図9に示す様になり、入力電力が小さくてもvon1の発生は無くなる。
【0035】
また、von1検知回路11が、入力電力の変化や負荷がステンレス等の非磁性鍋など特定な種類の場合などに発生するvon1を検出し、第一コンデンサ3をクランプするコンデンサを、第二コンデンサ8と第四コンデンサ13とに切り換えて、その容量を適当な値に変化させるので、von1が発生しない状態で誘導加熱動作ができ、第一スイッチング素子4の耐圧破壊を防ぎつつ、損失とノイズを低減できる。
【0036】
(実施例4)
図10は、第4の実施例の誘導加熱装置の回路構成図を示している。
【0037】
図10に於いて、16は誘導加熱装置本体で、17は誘導加熱装置16の内釜支持部で、内釜支持部17上には負荷である炊飯釜18が載置されている。誘導加熱装置16の内部には、第一コイル2が第一コイルベース19上に固定され、第一コイルベース19はギャップ切り替え手段であるギャップ調整装置20に取り付けられている。
【0038】
以上の様に構成された誘導加熱装置についてその動作を説明する。
【0039】
基本的な動作は、実施例1と同じであり、第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9の電圧電流波形においては、ギャップが大きくなるとvon1は小さくなるので、本実施例の場合、von1が発生した場合にギャップ調整装置20は第一コイル2と炊飯釜18との間隙であるギャップdを大きくする。
【0040】
この様に、von1検知回路11(図示せず。)が、入力電力が小さくなった場合や負荷が銅ばり鍋など特定な種類の場合などに発生するvon1を検出し、ギャップ調整装置20が、ギャップを大きくするので、第一スイッチング素子4(図示せず。)のvon1が発生しない状態で動作できるため、耐圧破壊を防ぎつつ、損失とノイズを低減できる。
【0041】
(実施例5)
図4は、第5の実施例の誘導加熱装置の回路構成図の一例を示している。
【0042】
図4に於いて、回路構成は、実施例2の回路において、vce1検知回路において、インバータの動作状態を検出するパラメータの一つである第一スイッチング素子のピーク電圧(以後、vcep1で表す)検知機能を付加したものである。
【0043】
以上の様に構成された誘導加熱装置についてその動作を説明する。
【0044】
vce1検知回路12で検知されたvcep1が所定値以上となった場合、vce1検知回路12は、まず、リレー6を第三コンデンサ11から容量の大きい第一コンデンサ3に切り換え、駆動制御回路5に出力し、駆動制御回路5は、第一スイッチング素子4の導通時間を再び調整しながら所定の入力電力に対応する様に第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9を交互に導通して誘導加熱動作を行う。
【0045】
つまり、第一スイッチング素子の導通時間を調整して所定の入力電力に対応させる場合、導通時間を大きくするに従ってvcep1は大きくなるが、vcep1が一定以上まで大きくなっても所定の入力電力が得られない場合、リレー6を第一コンデンサ3に切り換えて共振用のコンデンサの容量を大きくし、vcep1を小さくする。よって、スイッチング素子の耐圧を越えて破壊することなく、所定の入力電力を得ることが出来る。
【0046】
なお、本実施例においては、第一スイッチング素子のピーク電圧vcep1を検知しているが、第二スイッチング素子、コイル、コンデンサなどの構成部品のピーク電圧についても、検知回路をもうけて検知することが可能であり、同様の効果を示すことは言うまでもない。
【0047】
(実施例6)
図11は、第6の実施例の誘導加熱装置の回路構成図の一例を示している。
【0048】
図11に於いて、回路構成は、インバータの動作状態を検出するパラメータの一つである動作周波数の検知手段を実施例2に付加したものである。 動作周波数検知手段である動作周波数検知回路21は、リレー6と駆動制御回路22に接続されている。
【0049】
以上の様に構成された誘導加熱装置についてその動作を説明する。
【0050】
動作周波数検知回路21で検知された動作周波数が可聴領域の周波数より大きい場合、動作周波数検知回路21は、まず、リレー6を第一コンデンサ3に接続し、駆動制御回路5に出力して、駆動制御回路5は、第一スイッチング素子4の導通時間を増加させながら所定の入力電力に対応する様に第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9を交互に導通して誘導加熱動作を行う。
【0051】
第一スイッチング素子の導通時間を調整して所定の入力電力に対応させる場合、導通時間を大きくするに従い入力電力は大きくなり、動作周波数は小さくなる。動作周波数が可聴領域まで小さくなっても所定の入力電力が得られない場合、リレー6を第三コンデンサ11に切り換えて共振用のコンデンサの容量を小さくして、共振電圧の立ち上がり時間、及び立ち下がり時間を短縮する。このため、動作周波数は大きくなり、所定の入力電力を得ることが出来る。
【0052】
なお、本実施例においては、動作周波数検知手段を第一コイルに流れる電流から検知しているが、スイッチング素子、コイル、コンデンサなどの構成部品の電流・電圧からも、動作周波数を検知することが可能であり、同様の効果を示すことは言うまでもない。
【0053】
また、実施例5、及び実施例6については、インバータの動作状態を検出するパラメータであるvce1、及び動作周波数を例に挙げたが、第一スイッチング素子の導通時間、第二スイッチング素子の導通時間、及び第一スイッチング素子の導通比など、入力電力に伴って変化するパラメータを用いて、実施例5に述べたvce1や、実施例6に述べた動作周波数の値をあらかじめ推定することが可能であるため、同様の効果を達成する事が可能となる。
【0054】
(実施例7)
図12は、第7の実施例の誘導加熱装置の回路構成図の一例を示している。
【0055】
図12において、1は直流電源で、直流電源1の一端であるプラス側に一端を接続される第一コイル2と、第一コイル2の他端、もしくは第一コイル2と第三コイル22の直列回路と、リレー6を介して、直流電源1の他端であるマイナス側とに接続される第一スイッチング素子4と、前記第一コイル2もしくは第一コイル2と第三コイル22の直列回路に対して共振回路を形成する様に並列接続される第一コンデンサ3と、第一コンデンサの電圧をクランプするように並列接続される第二コンデンサ8と第二スイッチング素子9の直列回路より構成されている。本実施例においては、第一スイッチング素子4、及び第二スイッチング素子9はIGBTと逆導通ダイオードで構成されており、前記二つのスイッチング素子は駆動制御回路5によって交互に導通制御されている。
【0056】
以上の様に構成された誘導加熱装置についてその動作を説明する。マグネットスイッチより構成される負荷検出手段23は駆動制御回路5とリレー6に接続され、駆動制御回路5の出力は第一スイッチング素子4のゲート端子と第二スイッチング素子9のゲート端子にそれぞれ接続される。
【0057】
以上の様に構成された誘導加熱装置について、その動作を説明する。
【0058】
マグネットスイッチで構成された負荷検出手段23は、負荷の磁性・非磁性を判別する。磁性負荷の場合、リレー6は第一コイル2のみで加熱を行うよう接続され、駆動制御回路5によって加熱動作する。非磁性負荷の場合、リレー6は第一コイル2と第三コイル22の直列接続によって加熱を行うように接続され、駆動制御回路5によって加熱動作する。
【0059】
炊飯釜などの被加熱物が装着されている状態での第一コイルのインダクタンスは、磁性負荷時より非磁性負荷時の方が小さくなるが、磁性負荷の場合、リレー6は第一コイル2に接続しているので、共振回路を構成するインダクタンスは小さくでき、また、非磁性負荷の場合、リレー6は第一コイル2と第三コイル22の直列回路に接続しているので、共振回路を構成するインダクタンスは大きくできるので、結局、磁性負荷時でも非磁性負荷時でも負荷が装着されている状態でのインダクタンスはほぼ同じ値になり、磁性負荷時に入力電力が充分得られないとか、非磁性負荷時に第一スイッチング素子4の動作電圧・電流が過大になるなどの問題を解決し、加熱動作が行える。
【0060】
(実施例8)
図13は、第8の実施例の誘導加熱装置の回路構成図の一例を示している。
【0061】
図13に於いて、回路構成は、実施例2に入力設定回路24を付加したものである。入力設定手段である入力設定回路24は、リレー6と駆動制御回路5に接続されている。
【0062】
以上の様に構成された誘導加熱装置についてその動作を説明する。入力設定回路24で設定される入力電力があらかじめ設定されている所定値より大きい場合、入力設定回路24は、まず、リレー6を第三コンデンサ11に切り換え、駆動制御回路5に出力し、駆動制御回路5は、第一スイッチング素子4の導通時間を減少させながら所定の入力電力に対応する様に第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9を交互に導通して誘導加熱動作を行う。
【0063】
入力設定回路21で設定される入力電力があらかじめ設定されている所定値より小さい場合、入力設定回路24は、まず、リレー6を第一コンデンサ3に切り換え、駆動制御回路5に出力し、駆動制御回路5は、第一スイッチング素子4の導通時間を増加させながら所定の入力電力に対応する様に第一スイッチング素子4と第二スイッチング素子9を交互に導通して誘導加熱動作を行う。
【0064】
実施例2で述べた様に、入力電力が小さくなるとvon1は大きくなり、第一コイル2と共振回路を形成する第一コンデンサの容量が小さくなると、von1は小さくなるので、入力設定回路24で設定される入力電力が小さい場合、第一コンデンサよりも小さい容量の第三コンデンサに切り換えることで、von1の発生をなくす、または、von1が発生しても小さく抑えることができ、第一スイッチング素子4の損失とノイズを低減できる。
【0065】
なお以上の実施例1〜8に於ける回路構成に付いて、第一コンデンサ3の接続は、図14に示す様に第一コイル2と直列接続しても、また、図15に示す様に第一コイル2と第一スイッチング素子4の両方に並列接続しても同様に実施可能である。
【0066】
また、直流電源1と第一コイル2と第一スイッチング素子4の接続は、図16に示す様に直流電源1のプラス側に第一スイッチング素子4を接続し、直流電源1のマイナス側に第一コイル2を接続する構成でも良い。
【0067】
また、第二スイッチング素子9と第二コンデンサ8の直列回路の接続は、図17に示す様に第一スイッチング素子4と並列に接続しても良い。
【0068】
また、第一スイッチング素子を図18に示す様に逆電流阻止形としても同様に実施可能である。
【0069】
また、第一共振コンデンサ・第二共振コンデンサ・加熱コイル・ギャップと言ったインバータ定数の切り替えは、以上の実施例の様に二段階切り替えである必要はなく、三段階切り替え、それ以上でも良い。
【0070】
【発明の効果】
また、請求項記載の発明によれば、コンデンサ部の切り換えが、炊飯釜などの被加熱物の材質や形状の変化に伴うコイルのインダクタンス値の多様な変化に対応して容量が異なるコンデンサに切り換えるので、多種類の負荷条件のそれぞれに合ったインバータ定数で加熱動作することができ、多種類の負荷に対して入力電力が大きく得られ、また、より小さく絞れるなど効率的な加熱ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施例の誘導加熱装置の回路図
【図2】 同、誘導加熱装置の動作を説明する各部動作波形図
【図3】 同、誘導加熱装置の別の動作を説明する各部動作波形図
【図4】 本発明の第二の実施例の誘導加熱装置の回路図
【図5】 同、誘導加熱装置の動作を説明する各部動作波形図
【図6】 同、誘導加熱装置の別の動作を説明する各部動作波形図
【図7】 本発明の第3の実施例の誘導加熱装置の回路図
【図8】 同、誘導加熱装置の動作を説明する各部動作波形図
【図9】 同、誘導加熱装置の別の動作を説明する各部動作波形図
【図10】 本発明の第4の実施例の誘導加熱装置の要部断面図
【図11】 本発明の第5の実施例の誘導加熱装置の回路図
【図12】 本発明の第6の実施例の誘導加熱装置の回路図
【図13】 本発明の第7の実施例の誘導加熱装置の回路図
【図14】 本発明の各実施例に共通する誘導加熱装置の回路図
【図15】 同、誘導加熱装置の別の回路図
【図16】 同、誘導加熱装置の更に別の回路図
【図17】 同、誘導加熱装置の更に別の回路図
【図18】 同、誘導加熱装置の更に別の回路図
【図19】 従来の誘導加熱装置の回路図
【図20】 同、誘導加熱装置の各部動作波形図
【図21】 同、誘導加熱装置の他の各部動作波形図
【符号の説明】
1…直流電源
2…第一コイル
3…第一コンデンサ
4…第一スイッチング素子
5…駆動制御回路
6…リレー
7…第二コイル
8…第二コンデンサ
9…第二スイッチング素子
11…第三コンデンサ
12…von1検知回路
13…第四コンデンサ
16…誘導加熱装置本体
17…内釜支持部
18…炊飯釜
19…第一コイルベース
20…ギャップ調整装置
21…動作周波数検知回路
22…第三コイル
23…負荷検出手段
24…入力設定回路

Claims (1)

  1. 直流電源にその一端を接続されたコイルと、前記直流電源に対して前記コイルと直列に接続される第一スイッチング素子と、前記コイルと共振回路を形成する第一コンデンサと、前記第一コンデンサの電圧をクランプするようにリレーを介して並列接続される第2コンデンサと第3コンデンサからなるコンデンサ部と、前記コイルと直列または並列接続される第二スイッチング素子とコンデンサ部の直列回路より構成されるインバータ回路と、前記第一スイッチング素子と前記第二スイッチング素子を交互に導通制御する駆動制御回路とを備え、前記リレーは、前記第2コンデンサと前記第3コンデンサとを切り換える誘導加熱装置。
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