JP3841566B2 - 履帯ブッシュの焼き入れ方法および焼き入れ装置 - Google Patents

履帯ブッシュの焼き入れ方法および焼き入れ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばブルドーザのような建設機械などに使用される履帯ブッシュ焼き入れ方法および焼き入れ装置に関するものであり、より詳しくは耐摩耗性、耐衝撃疲労性に優れた履帯ブッシュより簡便な方法で低コストで生産する焼き入れ方法および焼き入れ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7に示されているように、建設機械等の履帯51は各部品群で構成されており、とりわけ履帯ブッシュ52は、終減速装置からの回転運動を伝えるスプロケットティースと噛み合い、履帯51を回転させる機能を持ち、土石上や土石中を走行することから内外周面において耐摩耗性が要求され、また土石を乗り越えたり衝突しながら走行することから、ブッシュとしては苛酷な強度と靭性とが必要とされる。また、主としてブルドーザで採用されているオイル封入タイプの履帯では、端面にオイルの漏れ防止のためにフローティングシールを装着することからその端面にも高い硬さが要求される。
【0003】
このようなことから、内外周表面および端面ともに安定した硬化層が比較的容易に得られる方法として、従来、肌焼鋼に浸炭焼き入れ処理を施すことが行われている。また、外周側の耐摩耗性向上のために、QT(全断面硬化の焼き入れ焼戻し処理)+IQ(高周波焼き入れ)+T(焼戻し)の各熱処理を行うプロセスも開発されている。この場合、単純な高周波焼き入れでは端面に軟化層が生じるため、加熱コイルの位置を制御して硬化層の抜けが耐摩耗性や疲労強度に影響の少ない内周側になるように工夫されたものも提案されている。
【0004】
しかしながら、前述の浸炭処理においては、素材調質(一般的には焼きならし)と浸炭焼き入れ焼き戻しの複数工程の熱処理が必要であり、しかも浸炭用鋼を用いるなどコスト面で高い処理になってしまうという問題点がある。また、QT+IQT法においても、4工程の熱処理が必要であるなど、依然として高価な熱処理になってしまうという問題点がある。さらに、小径円筒状部品の内周面を高周波焼き入れする場合には、内周面加熱用コイルの制作がより困難になるので、これらの円筒状部品の内外周面を硬化させる手段として、多くは前述の浸炭処理が施され、やはり高価になるのを避けることができない。
【0005】
そこで、本出願人は、履帯ブッシュ素材を外周面から高周波加熱して、少なくとも内周面表面を焼き入れ処理可能な温度にまで昇温し、内周面(もしくは外周面)からの冷却を先行して開始しながら外周面(もしくは内周面)からの加熱を行い、次に外周面(もしくは内周面)からの冷却を行う一連の焼き入れ作業によって、内外周面に焼き入れ硬化層を形成し、これによって浸炭処理もしくは高周波焼き入れ処理よりも生産性とコストの改善を図ることのできる履帯ブッシュおよびその製造方法を既に提案している(特願平9−227876号、特願平10−43903号)。この既提案の製造方法によれば、幅広い焼き入れ性を持つ鋼材に対して、内部に未硬化層を形成しながら、内外周表面に所定の硬化層を得ることができ、またマス効果を利用して内周面先行冷却の場合には内周面側の硬化層深さよりも外周面側の硬化層深さを深くしたり、逆に外周面先行冷却の場合には内周面側の硬化層深さを深くするなど、硬化パターンの制御が可能になるという効果が期待できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記既提案の履帯ブッシュの製造方法においては、履帯ブッシュ素材の端面(下端面)側を支持部材上に支持した状態で焼き入れ処理を行う必要があるために、この端面部表面に未硬化層が生成されてしまうことになる。これを回避して端面部にも硬化層を得るためには、端面を冷却するための別の冷却ジャケットを設置するなど設備が複雑になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解消することを目的として、高周波加熱コイルと内外周面冷却ノズルとの相対的な位置関係を制御して、内外周表面だけでなく端面においても硬化層を容易に得ることのできる履帯ブッシュの焼き入れ方法および焼き入れ装置を提供ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、第1発明による履帯ブッシュの焼き入れ方法は、
炭素量0.4重量%以上を含む鋳鍛鋼品よりなる履帯ブッシュ素材を、外周面側からの高周波誘導加熱によって少なくともその履帯ブッシュ素材の内周表面温度をオーステナイト温度域まで加熱し、この加熱から所定時間遅れで、この履帯ブッシュ素材の一端部から他端部へ向けてその内周面および外周面を冷却して焼き入れを行う履帯ブッシュの焼き入れ方法であって、前記履帯ブッシュ素材の少なくとも一端部近傍の所定範囲においては、内周面側の冷却と外周面側の冷却とを同時に行い、前記所定範囲以外においては、内周面側冷却を外周面側より先行して行うことを特徴とするものである。
【0009】
このように履帯ブッシュ素材は、高周波誘導加熱法によって少なくともその内周表面温度がオーステナイト温度域になるまで加熱された後に、この加熱から所定時間遅れで、履帯ブッシュ素材の一端部から他端部へ向けてその内周面および外周面が冷却される。この際、前記履帯ブッシュ素材の少なくとも一端部近傍の所定範囲においては内周面側の冷却と外周面側の冷却とが同時に行われ、前記所定範囲以外においては内周面側冷却が外周面側より先行して行われる。こうして、履帯ブッシュ素材の肉厚芯部に未硬化層が形成され、かつ内周面側冷却から時間的遅れを持って始まる外周面側冷却によって十分な外周面硬化層深さが得られ、これによって、内外周面に焼入れ硬化層を持った履帯ブッシュが安価に製造されることになる。また、履帯ブッシュ素材の一端部近傍の所定範囲において内周面側の冷却と外周面側の冷却とが同時に行われることによって、鋼材焼き入れ性が十分あれば、この一端部近傍の領域においては全断面硬化(スルハード)となり、端面に未硬化層が生じることはない。
【0010】
次に、前記焼き入れ方法をより具体的に実現するための、第2発明に係る履帯ブッシュの焼き入れ装置は、
炭素量0.4重量%以上を含む鋳鍛鋼品よりなる履帯ブッシュ素材の外周側を加熱する高周波加熱コイルと、この履帯ブッシュ素材の外周側を冷却する外周面冷却ノズルと、この履帯ブッシュ素材の内周側を冷却する内周面冷却ノズルと、これら高周波加熱コイル、外周面冷却ノズルおよび内周面冷却ノズルの相対位置を制御する制御手段を備え、この制御手段が、前記履帯ブッシュ素材の少なくとも一端部近傍の所定範囲においては内周面側の冷却と外周面側の冷却とを同時に行い、前記所定範囲以外においては内周面側冷却を外周面側より先行して行うように前記高周波加熱コイル、外周面冷却ノズルおよび内周面冷却ノズルを制御することを特徴とするものである。
【0011】
この焼き入れ装置において、履帯ブッシュ素材は、外周側を加熱する高周波加熱コイルによって加熱された後に、この加熱から所定時間遅れで、履帯ブッシュ素材の一端部から他端部へ向けてその内周面が内周面冷却ノズルから噴出される冷却水により冷却されるとともに、外周面が外周面冷却ノズルから噴出される冷却水により冷却される。この際、制御手段によって、前記履帯ブッシュ素材の少なくとも一端部近傍の所定範囲においては内周面側の冷却と外周面側の冷却とが同時に行われ、前記所定範囲以外においては内周面側冷却が外周面側より先行して行われるように前記高周波加熱コイル、外周面冷却ノズルおよび内周面冷却ノズルが制御される。こうして、前記第1発明と同様、履帯ブッシュ素材の肉厚芯部に未硬化層が形成されるとともに、外周面(もしくは内周面)に十分な硬化層深さが得られ、かつ端面においても全断面に亘って硬化層が形成されることになる。
【0012】
本発明において、内周面側を冷却する冷却媒体が外周面側に干渉しないように、内周面冷却媒体と外周面冷却媒体との間に仕切り部材が設けられるのが好ましい。また、前記履帯ブッシュをその軸線周りに回転させる回転手段が設けられるのが好ましい。なお、冷却方式としては、水スプレーや油スプレー等の噴流冷却方式が好ましく、更に冷却媒体の流れを考慮してスプレー角度を持たせるようにするのが良い。
【0014】
このように本発明で使用する履帯ブッシュ素材の鋼は、耐摩耗性および強度の観点から、焼入れ硬度がHRC55以上になるように、炭素が0.4重量%以上を含有した鋼を使用して、外周面焼入れ硬化層の硬度を高めることが好ましい。なお、より耐摩耗性、摩耗寿命に優れた履帯ブッシュを安価に製造するには、使用鋼材の炭素含有量を高めることが効果的であることは良く知られている。従来の高周波焼入れ法によれば0.55重量%C以上の鋼では焼き割れの危険が高いために実施されないが、本発明では前述のような加熱冷却原理を採用することから、焼き割れを防止できるため、比較的焼入れ性の良い鋼材で、前述の炭素量を含有する鋼を用いることによって、より外周面耐摩耗性に優れた履帯ブッシュを安価に製造することができる。また、前述の内周面先行冷却によって、履帯ブッシュ肉厚芯部での熱容量を少なくすることができるとともに、外周面側での冷却速度を高めることによって、外周面の焼入れ硬化層深さを内周面の焼入れ硬化層深さよりも深くすることができるので、外周面摩耗寿命に優れた履帯ブッシュを得ることができる。
【0015】
また、周面部、外周面部、上端部および下端部の硬化層が連なっているので、内外周表面だけでなく端面においても耐摩耗性、耐衝撃疲労性に優れた履帯ブッシュを得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による履帯ブッシュ焼き入れ方法および焼き入れ装置の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1には、本発明の一実施例に係る移動高周波焼き入れ装置の要部断面図が示されている。
【0018】
本実施例の焼き入れ装置においては、履帯ブッシュ素材1が支持部材7上に載置・支持されるとともに、この支持部材7が図示されない回転手段により鉛直軸周りに回転され、これによって履帯ブッシュ素材1がその軸心周りに回転自在とされている。
【0019】
前記支持部材7上に支持される履帯ブッシュ素材1の外周側には、その履帯ブッシュ素材1の外周面の加熱を行う上下2段の高周波コイル8,9が設けられるとともに、その履帯ブッシュ素材1の外周面を冷却するための外周面冷却ノズル11が設けられている。また、前記履帯ブッシュ素材1の内周側には、その履帯ブッシュ素材1の内周面を冷却するための内周面冷却ノズル10が設けられている。これら高周波コイル8,9、内周面冷却ノズル10および外周面冷却ノズル11は、履帯ブッシュ素材1の下部から上部に向けてその履帯ブッシュ素材1に対して相対的に移動するようにされている。なお、これら高周波コイル8,9、内周面冷却ノズル10および外周面冷却ノズル11の相対位置は図示されない制御手段によって制御される。
【0020】
前記内周面冷却ノズル10は、履帯ブッシュ素材1の内周部において冷媒(冷却水)が下方に滞留なく流れることを考慮して、内周面法線方向に対して下方へ向けて所要の噴射角度を持たせるように構成されている。さらに、履帯ブッシュ素材1の下部端には内周面冷却用の冷却水の流れと外周面冷却用の冷却水の流れとを仕切るための仕切り部材としての遮蔽板12が設置され、また履帯ブッシュ素材1の上部端には内周面冷却用の冷却水の流れと外周面冷却用の冷却水の流れを仕切るための仕切り部材としての遮蔽キャップ13が設置されている。
【0021】
次に、このような構成よりなる焼き入れ装置を用いた焼き入れ施工手順を図2および図3によって説明する。
【0022】
まず、図2(a)に示される初期位置においては、高周波コイル8,9を固定した状態にし、これら高周波コイル8,9によって履帯ブッシュ素材1の内周面の表面がオーステナイト温度域に到達するまで加熱する。次いで、高周波コイル8,9を上方向に一定速度で移動させ、これらコイル8,9に遅れて内周面冷却ノズル10および外周面冷却ノズル11を追随させて上方向に移動させる。ここで、内周面冷却ノズル10および外周面冷却ノズル11から噴出される冷却水が履帯ブッシュ素材1の表面に衝突する高さ位置は同じレベルである。このとき、図2(b)に示されるように、履帯ブッシュ素材1の下端面から所定高さhの範囲までは内周面および外周面を同時に冷却する。こうして、この履帯ブッシュ素材1の下部領域では、内外周面から同時に冷却されるために、鋼材焼き入れ性が十分であればその下部領域が全断面硬化(スルハード)状態となる。
【0023】
次に、図2(c)に示されているように、冷却水の履帯ブッシュ素材1表面への衝突位置が所定高さh位置まで上昇した後、外周面冷却ノズル11の上昇を停止させる一方、内周面冷却ノズル10を引き続き高周波コイル8,9と同期させて所定速度で上昇させる。次いで、内周面冷却ノズル10からの冷却水の衝突位置と外周面冷却ノズル11からの冷却水の衝突位置との高さの差が所定距離hとなった時点で、外周面冷却ノズル11を内周面冷却ノズル10の移動速度と同じ速度で同期させながら上昇させる。こうして、前記高さの差hをノズル10,11の移動速度で除した時間だけ内周面側が先行して冷却されることになり、この内周面先行冷却により履帯ブッシュ素材1断面の中央部の温度が焼きが入らない温度域まで低下されて内部に未硬化層が生成される。
【0024】
続いて、図3(d)に示されているように、内周面冷却ノズル10からの冷却水の衝突位置が履帯ブッシュ素材1の上端から所定距離h(=h)に達した時点で、内周面冷却ノズル10の上昇を停止させる。この後、外周面冷却ノズル11を引き続き上昇させ、図3(e)に示されるように、内周面冷却ノズル10による冷却水の衝突位置と外周面冷却ノズル11による冷却水の衝突位置とが同じ高さ位置になった時点で、内外周面の各冷却ノズル10,11を同期させて、冷却水の衝突高さを同じレベルに維持しながら図3(f)に示されるように履帯ブッシュ素材1の上端部まで移動させ、この位置で停止させて履帯ブッシュ素材1が完全に冷却されるまで冷却を継続する。
【0025】
図4には、肉厚15mmのブルドーザ用履帯ブッシュを対象にして、(a)浸炭焼き入れを実施した場合、(b)冷却ノズルの位置関係が一定の高周波加熱による時間差焼き入れを実施した場合、(c)本実施例による焼き入れを実施した場合の3種類についての全体硬化パターンが比較して示されている。また、図5には、従来の浸炭焼き入れを実施した場合(図4(a))と本実施例の焼き入れを実施した場合(図4(c))の肉厚断面における硬度分布が比較して示されている。さらに、図6には、図4(b)および図4(c)の各焼き入れ品においてブッシュ下端面における硬度分布を比較したグラフが示されている。ここで、(a)の浸炭品において使用した材料はSCM420Hで、浸炭時間は35時間であり、また(b)(c)の時間差焼き入れにおいて使用した材料はS55Cで、DI値(鋼材焼き入れ性)は1.5、内外周の冷却時間差は6秒である。
【0026】
これらの図から明らかなように、本実施例のものにおいては、端部での硬化層が得られるとともに、外周部の硬化層深さが内周部の硬化層深さよりも深い硬化パターンが得られており、浸炭焼き入れのものに比べても深い外周部の硬化層深さが得られていることがわかる。これに対して、冷却ノズルの位置関係が一定の時間差焼き入れでは、下端部では未硬化層が端面に抜けており、上端部でも未硬化層が端面から外径側の角部にかけて抜けている。つまり、下端部では時間差焼き入れのため、端部以外の部位と同様に未硬化層が生じて端面に抜ける。また、上端面では内径側の冷却ノズルからの冷却水により端面が冷却されるが、その冷却水が上端面から外径側に流れて外周面をつたって流れ落ちるため、上端面と外周面の角部から外周面にかけて弱いたれ水による冷却のため不完全焼き入れが生じる。これを防止するために内外径の冷却水を分離する遮蔽キャップを用いた場合には、上端面の内径側は内径側ノズルにより焼き入れされるが、上端面の外径側は遅れて上昇してくる外周ノズルによる冷却まで時間があること、内径ノズル冷却による熱伝導のため温度低下が起こり焼きが入りにくくなる(図4(b)、図6参照)。
【0027】
このように本実施例の焼き入れ装置を用いた場合には、履帯ブッシュ素材の肉厚断面のより内周面に近い肉厚芯部に未硬化層を形成させた略U字型の硬度分布を持たせることができる。また、内周面側の冷却から時間的遅れを持って始まる外周面側の冷却によって外周面側での冷却速度を高めることができて外周面の硬化層深さをより深くすることができる。さらに、特に支持部材7や遮蔽キャップ13のために未硬化層が生じ易い上下端面においては内周面側の冷却と外周面側の冷却が同時に行われることによって、全断面を硬化(スルハード)させる硬化パターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る移動高周波焼き入れ装置の要部断面図である。
【図2】図2は、本実施例の焼き入れ施工手順説明図(1)である。
【図3】図3は、本実施例の焼き入れ施工手順説明図(2)である。
【図4】図4(a)(b)(c)は、本実施例と従来例との硬化パターンの比較図である。
【図5】図5は、本実施例と従来例との肉厚断面における硬度分布の比較図である。
【図6】図6(a)は、本実施例と従来例とのブッシュ下端面における硬度分布の比較図、図6(b)は、硬度測定個所を示す図である。
【図7】図7は、履帯ブッシュの分解斜視図である。
【符号の説明】
1 履帯ブッシュ素材
7 支持部材
8,9 高周波コイル
10 内周面冷却ノズル
11 外周面冷却ノズル
12 遮蔽板(仕切り部材)
13 遮蔽キャップ(仕切り部材)

Claims (4)

  1. 炭素量0.4重量%以上を含む鋳鍛鋼品よりなる履帯ブッシュ素材を、外周面側からの高周波誘導加熱によって少なくともその履帯ブッシュ素材の内周表面温度をオーステナイト温度域まで加熱し、この加熱から所定時間遅れで、この履帯ブッシュ素材の一端部から他端部へ向けてその内周面および外周面を冷却して焼き入れを行う履帯ブッシュの焼き入れ方法であって、前記履帯ブッシュ素材の少なくとも一端部近傍の所定範囲においては、内周面側の冷却と外周面側の冷却とを同時に行い、前記所定範囲以外においては、内周面側の冷却を外周面側より先行して行うことを特徴とする履帯ブッシュの焼き入れ方法。
  2. 炭素量0.4重量%以上を含む鋳鍛鋼品よりなる履帯ブッシュ素材の外周側を加熱する高周波加熱コイルと、この履帯ブッシュ素材の外周側を冷却する外周面冷却ノズルと、この履帯ブッシュ素材の内周側を冷却する内周面冷却ノズルと、これら高周波加熱コイル、外周面冷却ノズルおよび内周面冷却ノズルの相対位置を制御する制御手段を備え、この制御手段が、前記履帯ブッシュ素材の少なくとも一端部近傍の所定範囲においては内周面側の冷却と外周面側の冷却とを同時に行い、前記所定範囲以外においては内周面側の冷却を外周面側より先行して行うように前記高周波加熱コイル、外周面冷却ノズルおよび内周面冷却ノズルを制御することを特徴とする履帯ブッシュの焼き入れ装置。
  3. 内周面側を冷却する冷却媒体が外周面側に干渉しないように、内周面冷却媒体と外周面冷却媒体との間に仕切り部材が設けられる請求項2に記載の履帯ブッシュの焼き入れ装置。
  4. 前記履帯ブッシュ素材をその軸線周りに回転させる回転手段が設けられる請求項2または3に記載の履帯ブッシュの焼き入れ装置。
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