JP3841250B2 - 車両の走行制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、通常の自動車にはトラクション制御システムが搭載されている。このトラクション制御システムは、加速時に車輪のスリップ率から車輪がスリップしそうな状態か否かを検出し、この状態を検出するとエンジンの出力トルクを低下させ、或いは車輪のブレーキ液圧を上昇させて制動力を強めることで車輪のスリップを抑制するものである(特開平7−125556号公報)。また、ハイブリッド自動車においてトルク制御を行なうものがある(特開平7−336810号公報)。更に、燃料を1サイクル内で2回に分割して噴射させる吸気ポート噴射型のエンジンにおいて、前期噴射後にトルクダウンを実行する場合にも後期噴射を実行してエンジンの失火等を防止するものがある(特開平9−112303号公報)
【発明が解決しようとする課題】
現状では、ハイブリッド自動車にトラクション制御システムを搭載し、応答性の良いモータとトルクダウン量の大きいエンジンとを制御することにより出力トルクを低下させることを着眼点とした先行技術は提案されておらず、今後車両の走行安定性を向上させる上で重要になってくると思われる。
【0003】
ハイブリッド自動車やエンジンの自動停止装置を搭載する車両は、エンジンが走行条件によって始動と停止を繰り返すため触媒が活性化しにくいという問題がある。そこで、ハイブリッド自動車に限らず従来から点火時期を遅らせることにより未燃ガスを触媒に流して着火させて加熱する技術があるが、この方法により点火時期を遅らせた時にトルクダウン要求があった場合には、既に点火時期を遅角させているためこれ以上遅角させると圧縮比が不足して失火等の問題が発生しやすくなる。また、トルクダウンを実行するために気筒に対する燃料カットを行なうことも考えられるが燃料カットを行なうとトルクの落ち込みが大きくトルクショックが大きくなってしまう。
【0004】
また、温間始動時には燃料供給系統が加熱されているため燃料内に気泡が発生することが知られている。そして、気泡が多く含まれていると所望の燃料が噴射されないことがあるため、燃料噴射弁の制御パルス幅を広げて開弁時間を長くし、通常より燃料噴射量を増量している。ところが、燃料に含まれる気泡がどの程度混入しているのか検出することは難しく、気泡が混入していない場合には燃料過多となってトルクダウン要求時にエンジンの出力トルクが上昇してしまい、トルクダウンが遅れたり、トルク変動が大きいという問題がある。
【0005】
更に、例えば吸気ポート噴射型のエンジンにおいて、ある気筒の圧縮行程から吸気行程の間に少なくとも2回噴射する分割噴射は混合気のミキシング性を良くするために実行されるが、前期噴射後にトルクダウン要求があった場合でも後期噴射を停止すると失火等の問題が発生しやすくなるため後期噴射を中止せずに実行している。ところが、直噴型エンジンで吸気行程から圧縮行程にかけて少なくとも2回分割噴射する場合でも言えることであるが、後期噴射を行なうとエンジンの出力トルクが上昇してしまう。また、エンジン始動時に分割噴射を行なうと排気ガス温度が高められて触媒を早期に活性化できるという利点があるが、後期噴射を中止すると未燃焼ガスがたれ流しとなるためエミッションが悪化してしまう。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされ、その目的は、エンジンのトルク変動分を応答性の良いモータで吸収することにより、トルクダウン要求時のエンジンの失火やエミッションの悪化を防止できる車両の車両走行制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の車両の走行制御装置は、以下の構成を備える。即ち、
バッテリの電力により駆動力を発生するモータと内燃機関により駆動力を発生するエンジンを併用して走行するハブリッド車において、車輪のスリップ値を演算し、該スリップ値に基づいて車輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、前記スリップ値が所定閾値を超えると、該スリップ値を目標値に収束させるよう少なくとも前記エンジンをトルクダウン制御するトルク制御手段とを備え、前記制御手段は、少なくとも前記エンジンによる走行開始後に前記スリップ値が所定閾値を超えたならば、該スリップ値を目標値に収束させるよう該エンジンをトルクダウン制御すると共に、該トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御する。
【0009】
また、好ましくは、前記トルク制御手段は、前記エンジンの各気筒に噴射する燃料噴射量を減量することによりトルクダウン制御を行なう。
【0010】
また、好ましくは、前記トルク制御手段は、前記エンジンの始動後から所定期間経過するまで前記燃料噴射量を増量する。
【0011】
また、好ましくは、前記エンジン温度を検出するエンジン温度検出手段を更に備え、該エンジン温度が所定温度以上の時に前記燃料噴射量を増量する。
【0012】
また、好ましくは、前記トルク制御手段は前記エンジンの各気筒に対する燃料噴射を1サイクル内で複数回に分割して噴射する燃料噴射制御手段を備え、少なくとも1回目の噴射が実行されてから次の噴射が実行されるまでに、前記スリップ値が所定閾値を超えて該エンジンをトルクダウン制御する場合、少なくとも該次の噴射を実行すると共に、次のサイクルでは燃料カットを実行し、該トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御する。
【0013】
また、好ましくは、前記トルク制御手段は、前記スリップ値が所定閾値を超えて該エンジンをトルクダウン制御する時に、少なくとも前記1回目の噴射が実行されていた場合、該トルクダウン制御への介入時に該トルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御する。
【0014】
また、好ましくは、前記エンジンの排気通路には排気ガスを浄化する触媒が配設され、前記トルク制御手段は各気筒の点火時期を制御する点火時期制御手段を備え、前記エンジンの始動後から所定期間経過するまで前記点火時期を遅角側に設定すると共に、前記トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御する。
【0015】
また、好ましくは、前記エンジンは燃焼室内に直接燃料を噴射する直噴式ガソリンエンジンである。
【0016】
また、好ましくは、車輪に制動力を付加するブレーキ手段を更に備え、該ブレーキ手段は、前記スリップ値が所定閾値を超えたならば、該スリップ値を目標値に収束させるよう該制動力によるトルクダウン制御を実行する。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、少なくともエンジンによる走行開始後にスリップ値が所定閾値を超えたならば、スリップ値を目標値に収束させるようエンジンをトルクダウン制御すると共に、トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するようモータの出力トルクを制御することにより、トルク変動の少ない滑らかなトルクダウンを行なうことができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、トルク制御手段は、エンジンの各気筒に噴射する燃料噴射量を減量することによりトルクダウン制御を行なうことにより、燃料カットで大きなトルクダウンを得る一方、燃料カットによる大きなトルク変動をモータにより略線形に近づけてトルク変動の少ない滑らかなトルクダウンを行なうことができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、トルク制御手段は、エンジンの始動後から所定期間経過するまで燃料噴射量を増量することにより、燃料に混入している気泡の影響や吸気マニホールドの付着燃料不足で所望の燃料が供給されないことがないように燃料噴射量を増量する一方、仮にこの増量時に気泡が混入しておらず或いは付着燃料が多くて燃料過多となってトルクダウン要求前にエンジンの出力トルクが上昇してしまっていても、この状態から燃料カットにより大きなトルクダウンを得る一方、燃料カットによる大きなトルク変動をモータにより線形に近づけてトルク変動の少ない滑らかなトルクダウンを行なうことができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、エンジン温度を検出するエンジン温度検出手段を更に備え、エンジン温度が所定温度以上の時に燃料噴射量を増量することにより、特に温間始動時に燃料に混入している気泡の影響で所望の燃料が噴射されないことがないように燃料噴射量を増量する一方、仮にこの増量時に気泡が混入しておらず燃料過多となってトルクダウン要求前にエンジンの出力トルクが上昇してしまっていても、この状態から燃料カットにより大きなトルクダウンを得る一方、燃料カットによる大きなトルク変動をモータにより線形に近づけてトルク変動の少ない滑らかなトルクダウンを行なうことができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、トルク制御手段はエンジンの各気筒に対する燃料噴射を1サイクル内で複数回に分割して噴射し、少なくとも1回目の噴射が実行されてから次の噴射が実行されるまでに、スリップ値が所定閾値を超えてエンジンをトルクダウン制御する場合、少なくとも次の噴射を実行すると共に、次のサイクルでは燃料カットを実行し、トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するようモータの出力トルクを制御することにより、分割噴射の一部を噴射して残りの噴射を停止することによるHCの排気通路へのたれ流しを抑え、残りの噴射を行なって要求通りの燃焼を行なうことで発生するトルクダウンの遅れをモータによるトルクダウンで要求とおりに実行することができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、トルク制御手段は、スリップ値が所定閾値を超えてエンジンをトルクダウン制御する時に、少なくとも1回目の噴射が実行されていた場合、トルクダウン制御への介入時にトルク変動を抑制するようモータの出力トルクを制御することにより、トルクダウンの応答性がよくなる。
【0026】
請求項7の発明によれば、エンジンの排気通路には排気ガスを浄化する触媒が配設され、トルク制御手段は各気筒の点火時期を制御し、エンジンの始動後から所定期間経過するまで点火時期を遅角側に設定すると共に、トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するようモータの出力トルクを制御することにより、エンジンが始動及び停止を繰り返すハイブリッド自動車では触媒温度が低下し易いのでエンジン始動時には点火時期を遅角させるが、この遅角がエンジン回転数の変動を招き易くエンジン回転が不安定な状態となる。このような状態で燃料カットによりトルクダウンを実行しても回転数が落ち込みによるトルク変動を抑制し、モータによるトルクダウンで要求とおりに実行することができる。
【0027】
請求項8の発明によれば、エンジンは燃焼室内に直接燃料を噴射する直噴式ガソリンエンジンであることにより、応答性良く、早急にトルク変動を抑制できる。
【0028】
請求項9の発明によれば、車輪に制動力を付加するブレーキ手段を更に備え、ブレーキ手段は、スリップ値が所定閾値を超えたならば、スリップ値を目標値に収束させるよう制動力によるトルクダウン制御を実行することにより駆動力の低減量を大きくできるが、ブレーキ手段による制動力制御では応答性が悪くエンジンのトルクダウンによるトルク変動分を応答性の悪いブレーキにより吸収できない場合でも、応答性の良いモータを用いてトルク変動分を吸収できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
[ハイブリッド自動車の機械的構成]
図1は、本実施形態のハイブリッド自動車の機械的構成を示すブロック図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態のハイブリッド自動車は、駆動力を発生するためのパワーユニットとして、バッテリ3から供給される電力により駆動される走行用モータ2とガソリン等の液体燃料の爆発力により駆動されるエンジン1とを併用して走行し、後述する車両の走行状態に応じて、走行用モータ2のみによる走行、エンジンのみによる走行、或いは走行用モータ2とエンジン1の双方による走行とが実現される。
【0034】
エンジン1はトルクコンバータ5を介してクラッチ6の締結により自動変速機7に駆動力を伝達する。自動変速機7は、エンジン1から入力された駆動力を走行状態に応じて(或いは運転者の操作により)所定のトルク及び回転数に変換して、ギヤトレイン9及び差動機構8を介して駆動輪11、12に伝達する。また、エンジン1はバッテリ3を充電するために発電機4を駆動する。
【0035】
走行用モータ2はバッテリ3から供給される電力により駆動され、ギアトレイン9を介して駆動輪11、12に駆動力を伝達する。
【0036】
エンジン1は直噴型ガソリンエンジン或いは吸気バルブの閉弁タイミングを遅延させる高燃費タイプのものが搭載され、走行用モータ2は例えば最大出力20KWのIPM同期式モータが使用され、発電機4は例えば最大出力10KWのものが使用され、バッテリ3は例えば最大出力30KWのニッケル水素電池が搭載される。
【0037】
統括制御ECU100はCPU、ROM、RAM、インターフェース回路及びインバータ回路等からなり、エンジン1の点火時期や燃料噴射量等を制御すると共に、走行用モータ2の出力トルクや回転数等をエンジン1のトルク変動や自動変速機7の変速ショックを吸収するように制御する。また、統括制御ECU100は、エンジン1の作動時に発電機4にて発電された電力を、走行用モータ2に供給したり、バッテリ3に充電させるように制御する。更に、統括制御ECU100は、空調制御ECU200から空調装置50の作動信号及び停止信号を受け取り、後述するようにバッテリ3の電力や走行用モータ2から回収した電力をインバータ15で所定電圧(例えば、100V)に整えた後にコンプレッサ用モータ51や補機類用モータ61に供給する。
【0038】
空調制御ECU200は、乗員により空調スイッチ52がオンされると空調装置50の作動信号を統括制御ECU100に出力すると共に、設定温度を維持するように空調装置50及びコンプレッサ用モータ51を制御する。また、空調制御ECU200は、乗員により空調スイッチ52がオフされると空調装置50の停止信号を統括制御ECU100に出力すると共に、空調装置50及びコンプレッサ用モータ51の制御を停止する。
【0039】
発電機4は、通常の場合はエンジン始動時にバッテリ3から電力が供給されてエンジンをクランキングさせる。
【0040】
図2に示すように、直噴型ガソリンエンジン1において、121はエンジン本体、122はシリンダブロック、123はシリンダヘッド、124はピストン、125は燃焼室、126は吸気ポート、127は排気ポート、128は吸気バルブ、129は排気バルブである。シリンダヘッド123に、燃焼室125の中央部に臨む点火プラグ130が設けられているとともに、シリンダヘッド123の燃焼室側壁に燃焼室125の上記点火プラグ130の下側に向かって燃料を側方から噴射する燃料噴射弁131が設けられている。ピストン124の頂部にはキャビティ132が形成されていて、このキャビティ132は燃料噴射弁131から噴射された燃料を点火プラグ130の近傍に反射させる。排気ポート127より延びる排気通路133には排気浄化触媒134が設けられている。
【0041】
上記燃料噴射弁131は、統括制御ECU100によって作動が制御され、所定のエンジン運転状態のときに、1サイクル内で噴射する燃料を複数回(例えば、吸気行程と圧縮行程で各1回、或いは吸気行程で2回等)に分割して噴射することによって排気中のCO量を増大させて上記排気浄化触媒134に供給する。そのため、統括制御ECU100には、エンジン回転数、アクセル開度、吸入空気量、エンジン水温等の各センサからの信号が入力される。
【0042】
本実施形態のハイブリッド自動車にはトラクション制御システムが搭載されている。トラクション制御システムは、各車輪11〜14に配設されたブレーキ装置21〜24と、各ブレーキ装置21〜24へのブレーキ液圧を制御するブレーキ制御ECU300を備える。ブレーキ制御ECU300は、統括制御ECU100が駆動輪11、12と従動輪13、14の車輪速変化量(率)から駆動輪がスリップしそうな状態か否かを検出し、この状態を検出するとエンジン1若しくは走行用モータ2の出力トルクを低下させ、或いは車輪のブレーキ液圧を上昇させてブレーキ力を強めることで駆動輪の加速時のスリップを抑制する。
【0043】
次に、下記表1を参照して主要な状態下におけるエンジン、発電機、走行用モータ及びバッテリの制御について説明する。尚、表1において「力行」とは駆動トルクを出力している状態を意味する。
【0044】
【表1】
Figure 0003841250
[停車時]
表1に示すように、停車時では、エンジン1、発電機4、走行用モータ2は停止される。但し、エンジンは冷間時とバッテリ蓄電量低下時に運転され、発電機4はエンジン運転中は発電するために駆動されてバッテリ3を充電する。
[緩発進時]
表1に示すように、緩発進時では、エンジン1、発電機4は停止され、走行用モータ2が駆動トルクを出力する。
[急発進時]
表1に示すように、急発進時では、発電機4と走行用モータ2が駆動トルクを出力し、エンジン1は始動後高出力で運転される。バッテリ3は発電機4と走行用モータ2とに放電する。
[エンジン始動時]
表1に示すように、エンジン始動時では、発電機4がエンジン1をクランキングするために駆動トルクを出力してエンジン1が起動される。バッテリ3は発電機4に放電する。
[定常低負荷走行時]
表1に示すように、定常低負荷走行時では、エンジン1、発電機4は停止され、走行用モータ2が駆動トルクを出力する。バッテリ3は走行用モータ2に放電する。但し、エンジン1は冷間時とバッテリ蓄電量低下時に運転され、発電機4はエンジン運転中は発電するために駆動されてバッテリ3を充電する。
[定常中負荷走行時]
表1に示すように、定常中負荷走行時では、走行用モータ2は無出力とされ、エンジン1は高効率領域で運転され、バッテリ3は走行用モータ2には放電せず、発電機4はバッテリ3を充電する。
[定常高負荷走行時]
表1に示すように、定常高負荷走行時では、エンジン1は高出力運転され、発電機4と走行用モータ2が駆動トルクを出力する。バッテリ3は発電機4と走行用モータ2に放電する。但し、発電機4はバッテリ蓄電量低下時はバッテリ3を充電する。
[急加速時]
表1に示すように、急加速時では、エンジン1は高出力運転され、発電機4と走行用モータ2が走行のために駆動トルクを出力する。バッテリ3は発電機4と走行用モータ2に放電する。
[減速時(回生制動時)]
表1に示すように、減速時では、エンジン1及び発電機4は停止され、走行用モータ2は発電機として電力を回生してバッテリ3を充電する。
【0045】
次に、図3乃至図8を参照して本実施形態のハイブリッド自動車の走行状態に応じた駆動力の伝達形態について説明する。
[発進&低速走行時]
図3に示すように、発進及び低速走行時には、エンジン&モータ制御ECU100は走行用モータ2のみを駆動させ、この走行用モータ2による駆動力をギアトレイン9を介して駆動輪11、12に伝達する。また、発進後の低速走行時も走行用モータ2による走行となる。
[加速時]
図4に示すように、加速時には、エンジン&モータ制御ECU100はエンジン1と走行用モータ2の双方を駆動させ、エンジン1と走行用モータ2による駆動力を併せて駆動輪11、12に伝達する。
[定常走行時]
図5に示すように、定常走行時には、エンジン&モータ制御ECU100は、エンジン1のみを駆動させ、エンジン1からギアトレイン9を介して駆動輪11、12に駆動力を伝達する。定常走行時とは、エンジン回転数が2000〜3000rpm程度の最も高燃費となる領域での走行である。
[減速時(回生制動時)]
図6に示すように、減速時には、クラッチ6を解放して、駆動輪11、12の駆動力がギアトレイン9を介して走行用モータ2に回生され、走行用モータ2が駆動源となってバッテリ3が充電される。
[定常走行時&充電時]
図7に示すように、定常走行&充電時には、クラッチ6を締結して、エンジン1からギアトレイン9を介して駆動輪11、12に駆動力が伝達されると共に、エンジン1は発電機4を駆動してバッテリ3を充電する。
[充電時]
図8に示すように、充電時には、クラッチ6を解放してエンジン1から自動変速機7に駆動力が伝達されないようにし、エンジン1は発電機4を駆動してバッテリ3を充電する。
[ハイブリッド自動車の電気的構成]
図9は、本実施形態のハイブリッド自動車の電気的構成を示すブロック図である。
【0046】
図9に示すように、統括制御ECU100には、車速を検出する車速センサ101からの信号、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ102からの信号、エンジン1に供給される電圧センサ103からの信号、エンジン1のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ104からの信号、ガソリン残量センサ105からの信号、バッテリ3の蓄電残量を検出する蓄電残量センサ106からの信号、セレクトレバーによるシフトレンジを検出するシフトレンジセンサ107からの信号、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出するためのアクセルストロークセンサ108からの信号、スタートスイッチ109からの信号109、その他のセンサとして、自動変速機4の作動油温度を検出する油温センサからの信号等を入力してエンジン1に対して点火時期や燃料噴射量の制御等を行うと共に、走行用モータ2への電力供給量の制御等を行う。また、統括制御ECU100は、上記各種センサ信号から車両の運転状態に関するデータ、車速、エンジン回転数、電圧、ガソリン残量、バッテリの蓄電残量、シフトレンジ、電力供給系統等をLCD等の表示部16を介して表示させる。
【0047】
ブレーキ制御ECU300は統括制御ECU100と双方向で通信可能に接続され、車輪速センサからの車輪速信号を入力して、各車輪速から推定演算される車体速と現在の車輪速から各車輪のスリップ量(率)を演算し、駆動輪11、12と従動輪13、14の車輪速変化量(率)から駆動輪がスリップしそうな状態か否かを検出し、この状態を検出するとエンジン若しくは走行用モータの出力トルクを低下させるか、或いは目標スリップ率に収束するように各チャンネル毎に並行して制動圧を上昇させて駆動輪の加速時のスリップを抑制する。尚、後述する姿勢制御装置が搭載される場合には、ヨーレートセンサ、横方向加速度センサ、ステアリング舵角センサから各信号が出力される。
[ハイブリッド自動車のトラクション制御]
次に、本実施形態のハイブリッド自動車のトラクション制御ついて説明する。
【0048】
図10は、本実施形態の統括制御ECU100によるトラクション制御を示すフローチャートである。
【0049】
図10に示すように、ステップS2では、括制御ECU100は乗員によりスタートスイッチ109がオンされるのを待ち、スタートスイッチがオンされたならば(ステップS2でYES)、ステップS4で図9に示す各センサからデータを入力する。ステップS6では、表1に示す基本運転モードに設定する。ステップS8では、図12に示すマップから走行用モータ2の基本制御量MBを演算する。ステップS10では、図12に示すマップからエンジン1の基本制御量EBを演算する。図12のマップに示すように、要求トルクが低い領域A1ではモータ2の駆動力だけで走行させ、要求トルクが中程度の領域A2ではエンジン1とモータ2の駆動力で走行させ、要求トルクが高い領域A3ではエンジン1の駆動力だけで走行させる。また、エンジン1の基本制御量EBは燃料噴射量やスロットル開度で表され、走行用モータ2の基本制御量MBは電力量で表される。
【0050】
ステップS12では、上記ステップS8、10で設定された基本制御量MB、EBからクラッチ6のオン/オフを設定する。ステップS14では、各車輪速から推定演算される車体速と駆動輪の現在の車輪速から各車輪のスリップ率(量)SLを演算すると共に(スリップ率SL=車輪速/車体速)、スリップ率SLを微分したスリップ率の変化率ΔSLを演算する。ステップS16では、スリップ率SLが所定閾値SL0以上か否かを判定する(図18参照)。ステップS16でスリップ率SLが所定閾値SL0以上ならば(ステップS16でYES)、ステップS18でフラグF1を1にセットする。フラグF1はトラクション制御システムが作動中のときにセットされる。即ち、Fがセット中ならば駆動輪のスリップ抑制制御中であることを表している。一方、ステップS16でスリップ率SLが所定閾値SL0以上でないならば(ステップS16でNO)、後述する図11のステップS38に進む。
【0051】
ステップS20では、スリップ率SLの変化率ΔSLが所定閾値ΔSL0以上か否かを判定する(図18参照)。ステップS20で変化率ΔSLが所定閾値ΔSL0以上ならば(ステップS20でYES)、ステップS22に進む。スリップ率SLの変化率ΔSLは、図18に示すように、スリップ率が所定閾値SL0を超えた初期段階におけるスリップ率SLの増加度合(傾き)を表わし、変化率ΔSLが所定閾値ΔSL0以上ならばスリップ率SLが急増していると判定される。ステップS20で変化率ΔSLが所定閾値ΔSL0以上でないならば(ステップS20でNO)、ステップS32に進む。
【0052】
ステップS22では、クラッチ6のオン/オフを判定する。ステップS22でクラッチ6がオン(駆動輪とエンジン1とが連結)されているならば(ステップS22でYES)、ステップS24に進み、ステップS22でクラッチ6がオフ(駆動輪とエンジン1とが非連結)されているならば(ステップS22でNO)、ステップS26に進む。
【0053】
ステップS24では、トルクダウンするための要求トルク、即ちトルクダウン量ではなくトルクダウン後のトータルの要求トルクに応じて、図13のマップから走行用モータ2の制御量MSをMS1、エンジン1の制御量ESをES1に夫々設定する。一方、ステップS26では、クラッチ6がオフされて、走行用モータ2だけの駆動なので走行用モータ2の制御量MSをMS1’に設定する。
【0054】
ステップS28では、トルクダウン時の走行用モータ2の制御量MTをMS、エンジン1の制御量ETをESに夫々設定する。ステップS29では、後述する走行用モータ2の制御量MSの補正処理を行なう。ステップS30では、ステップS28で決定された制御量ET、MTに応じてエンジン1、走行用モータ2、クラッチ6の制御して、トルクダウンを行ないスリップを抑制する。
【0055】
ステップS32では、クラッチ6のオン/オフを判定する。ステップS32でクラッチ6がオンされているならば(ステップS32でYES)、ステップS34に進み、ステップS32でクラッチ6がオフされているならば(ステップS32でNO)、ステップS36に進む。
【0056】
ステップS34では、トルクダウンするための要求トルクに応じて、図14のマップから走行用モータ2の制御量MSをMS2、エンジン1の制御量ESをES2に夫々設定してステップS28に進む。一方、ステップS36では、クラッチ6がオフされて、走行用モータ2だけの駆動なので走行用モータ2の制御量MSをMS2’に設定してステップS28に進む。
【0057】
上記ステップS24では、図18に示すように、ステップS16でスリップ率SLが急増している領域A4の時には、フィードフォワードで早急にトルクダウンする必要があるため図13のマップのようにエンジン1よりも走行用モータ2のトルク配分を多くしてフィードフォワードによりトルクダウンの応答性の向上を図っている。そして、ステップS34では、ステップS16でスリップ率SLが急増した後の変化率ΔSLが減少方向に移行して目標値SLAに近づく領域A5の時には、エンジン1のトルク配分を多くして、つまり領域A4で早急にトルクダウンを実行した後に図13のマップに対して図14のマップのようにエンジン1のトルク配分を多くしてトルクダウンを抑制して加速性の悪化を防止している。
【0058】
上記ステップS26では走行用モータ2のトルクダウンなので、図13のマップの要求トルクを走行用モータ2だけでまかない、同様に上記ステップS36では走行用モータ2のトルクダウンなので、図14のマップの要求トルクを走行用モータ2だけでまかなうことになる。
【0059】
また、ステップS24、S34でエンジン1のトルク配分を零として逆トルクを発生させ、大きなトルクダウンを得るようにしてもよい。
【0060】
説明を続けると、ステップS16でスリップ率SLが所定閾値SL0以上でないならば(ステップS16でNO)、図11に示すステップS38でフラグF1がセットされいるか否かを判定する。ステップS38でフラグF1がセット中ならば(ステップS38でYES)、トラクション制御システムが作動中なのでステップS40に進む。また、ステップS38でフラグF1がリセットされているならば(ステップS38でNO)、スリップ率SLが目標値SLAに収束してトラクション制御が終了したので、ステップS42で走行用モータ2の制御量MSをMS2とエンジン1の制御量ESをリセットし、ステップS44で走行用モータ2の制御量MTとエンジン1の制御量ETをステップS8、10での基本制御量MB、EBに夫々設定してステップS30に進む。
【0061】
ステップS40では、スリップ率SLが目標値SLAを下回ったか否かを判定する(図18の領域A6参照)。ステップS40でスリップ率SLが目標値SLAを下回ったならば(ステップS40でYES)、ステップS46でカウンタT1をスタート又はインクリメントする。一方、ステップS40でスリップ率SLが目標値SLA以上ならば(ステップS40でNO)、ステップS48でカウンタT1がスタートしているか否かを判定する(T1>0?)。ステップS48でカウンタT1がスタートしているならばステップS46に進み、未スタートならばステップS20に進む。
【0062】
ステップS50では、クラッチ6のオン/オフを判定する。ステップS50でクラッチ6がオンされているならば(ステップS50でYES)、ステップS52に進み、ステップS50でクラッチ6がオフされているならば(ステップS50でNO)、ステップS68に進む。
【0063】
ステップS52では、図14のマップから走行用モータ2の制御量MSをMS2、エンジン1の制御量ESをES2に夫々設定する。ステップS54ではスリップ率SLと目標値SLAとの差ΔSLAを演算する(ΔSLA=SL−SLA)。
【0064】
ステップS56では、スリップ率SLと目標値SLAとの差ΔSLAに応じてスリップ率SLを目標値SLAに収束させるためのフィードバック制御に用いる走行用モータ2のフィードバック制御量MFBを演算する。ステップS58では、ステップS52の制御量MS2とステップS56のフィードバック制御量MFBとを加算して走行用モータ2の制御量MSに設定する(MS←MS2+MFB)。
【0065】
ステップS68では、図14のマップから走行用モータ2の制御量MSをMS2に設定する。ステップS70では、クラッチ6がオフされた走行用モータ2のみの駆動であり、スリップ率SLと目標値SLAとの差ΔSLAを演算する(ΔSLA=SL−SLA)。ステップS72では、スリップ率SLと目標値SLAとの差ΔSLAに応じてスリップ率SLを目標値SLAに収束させるためのフィードバック制御に用いる走行用モータ2のフィードバック制御量MFB’を演算する。ステップS74では、ステップS68の制御量MS2とステップS72のフィードバック制御量MFB’とを加算して走行用モータ2の制御量MSに設定する(MS←MS2+MFB’)。
【0066】
ステップS60では、スリップ率SLと目標値SLAとの差ΔSLAが所定閾値ΔSLA1以上か否かを判定し、ステップS66で差ΔSLAが所定閾値ΔSLA1以上ならば(ステップS60でYES)、ステップS62に進み、差ΔSLAが所定閾値ΔSLA1以上でないならば(ステップS60でNO)、ステップS66に進む。ステップS66ではフラグF及びカウンタTをリセットして、図10のステップS28に進みフィードバック制御が実行される。
【0067】
ステップS62では、カウンタTが所定期間T1経過したか否か判定する。
ステップS62で所定期間T1経過したならば(ステップS62でYES)、ステップS64で、要求トルクに占めるエンジン制御量ESがトルクが大きくなる程大きく設定した図15のマップから走行用モータ2の制御量MSとエンジン1の制御量ESを夫々設定する。また、ステップS62で所定期間T1未経過ならば(ステップS62でNO)、図10のステップS28に進みフィードバック制御が実行される。
【0068】
上記ステップS62では、スリップ率SLが所定閾値SL0を下回った状態が所定期間経過T1したならば、トラクションコントロールが終了しそうな状態と判断できるので、ステップS64でエンジン1のトルク配分を増大させて再加速時の応答性を向上させている。
【0069】
尚、ステップS32、S50でクラッチオン(ステップS32、S50でYES)の時に、スリップ率SLが急増した後の変化率ΔSLが減少方向に移行して目標値SLAに近づく領域A5の時には、その後所定期間経過してからクラッチ6をオフして走行用モータ2によりスリップ率SLをフィードバック制御してもよく、この場合にはスリップ率SLが急増する初期段階ではエンジン1と走行用モータ2で大きくトルクダウンさせて初期スリップを回避し、その後は走行用モータ2のフィードバック制御によりスリップ率SLを目標値SLAへ早急に収束させることができる。
【0070】
また、所定期間T1は、スリップ率SLが所定閾値SL0を超えた初期段階にスリップ率SLが急増し(図18の領域A4)、その後スリップ率SLが目標値SLAに近づくまでの期間(図18の領域A5)に設定される。
【0071】
また、上記ステップS52では、ステップS20でスリップ率SLが急増した後の変化率ΔSLが減少方向に移行して目標値SLAに近づく領域A5の後に、走行用モータ2によりフィードバック制御を実行するので応答性を高めることができる。尚、ステップS52では、エンジン1の制御量ESを固定としたり、徐々に大きくしたり、差ΔSLAに基づいて走行用モータ2と同様にフィードバック制御量としてもよい。
【0072】
上記実施形態では、トラクション制御中においてスリップ率SLが急増してから変化率ΔSLが減少方向に移行して目標値SLAに近づく領域A4、A5まではフォードフォワードで大きくトルクダウンさせ、その後にフィードバック制御によりスリップ率SLを目標値SLAに収束させるので、応答性の良いモータとトルクダウンの大きいエンジンとを効率良く制御して車輪のスリップを抑制できる。
[走行用モータ2の制御量MSの補正処理]
次に、図10の走行用モータ2の制御量MSの補正処理ついて説明する。
【0073】
図19は、本実施形態の統括制御ECU100による走行用モータ2の制御量MSの補正処理を示すフローチャートである。
【0074】
図19に示すように、ステップS80では、フラグF2がセットされているか否かを判定し、セットされているならば(ステップS80でYES)、ステップS82に進み、セットされていないならば(ステップS80でNO)、ステップS84に進む。フラグF2は、後述するエンジン制御にてセットされ、エンジンの温間始動時にトルクダウン要求があるとセットされる。
【0075】
ステップS82では走行用モータ2の制御量MSにトルク補正量aを減算して補正する(MS←MS−a)。ステップS82では、温間始動時にトルクダウン要求があると、前回爆発行程の気筒で燃料カット(着火停止)が実行された場合、前回爆発行程の気筒と次回爆発行程の気筒との間でトルク偏差が大きく、よりスリップを招きやすくなることを抑制するため制御量MSからトルク補正量aを減算してトルク変動(トルク増大)分をモータにより減算してトルクダウンを滑らかに行なう。
【0076】
ステップS84では、フラグF3がセットされているか否かを判定し、セットされているならば(ステップS84でYES)、ステップS86に進み、セットされていないならば(ステップS84でNO)、ステップS88に進む。フラグF3は、後述するエンジン制御にてセットされ、エンジンが失火しない上限まで点火時期の遅角量が設定された場合にセットされる。
【0077】
ステップS86では走行用モータ2の制御量MSにトルク補正量bを減算して補正する(MS←MS−b)。ステップS86では、エンジンの点火遅角量が上限値に設定され、点火遅角でのトルクダウンはそれ以上できないのでモータの制御量MSからトルク補正量bを減算して残りのトルクダウンをモータにより行なう。
【0078】
ステップS88では、フラグF4がセットされているか否かを判定し、セットされているならば(ステップS88でYES)、ステップS90に進み、セットされていないならば(ステップ88でNO)リターンする。フラグF4は、後述するエンジン制御にてセットされ、エンジンのトルク変動が大きい場合、分割噴射の前期噴射での燃料噴射量が少なく後期噴射を実行する場合にセットされる。ステップS90では走行用モータ2の制御量MSにトルク補正量cを減算して補正する(MS←MS−c)。ステップS90ではエンジンの後期噴射が実行されてエンジンの出力トルクが上昇するため制御量MSからトルク補正量cを減算してトルク変動(トルク上昇)分をモータにより吸収してトルクダウンを実行している。
[ハイブリッド自動車のエンジン制御]
次に、本実施形態のハイブリッド自動車のエンジン制御ついて説明する。
【0079】
図2に示す直噴式エンジンにおいて、ECU100は、エンジンの運転状態を判定すると共に、燃料噴射弁131の噴射タイミング・噴射パルス幅を演算する。エンジン運転状態の判定は、図9の各センサの信号に基づいて行なわれるものであり、エンジンの始動判定、エンジン水温に基づく冷間・温間判定、エンジン回転数及び吸入空気量に基づく運転ゾーン判定、アクセル開度の変化に基づく加速判定がある。これらの判定は、電子的に格納されたマップを参照して行なわれる。そして、これらの判定結果に基づいて、燃料の噴射タイミング及び噴射パルス幅がエンジンの運転状態に応じて制御される。
<トルクダウン要求時のエンジン制御>
次に、本実施形態のハイブリッド自動車のエンジン制御ついて説明する。
【0080】
図20乃至図22は、本実施形態の統括制御ECU100によるエンジン制御を示すフローチャートである。
【0081】
図20に示すように、ステップS100では、括制御ECU100は図9に示す各センサからデータを入力する。ステップS102では、図10のステップS28又は図11のステップS44で設定されたエンジン1の制御量ETを読み込む。ステップS104では表1に示す基本運転モードに応じてエンジン始動条件が成立したか否か判定する。ステップS104でエンジン始動条件が成立したならば(ステップS104でYES)、ステップS106に進み、エンジン始動条件が不成立ならば(ステップS104でNO)、ステップS108に進む。
【0082】
ステップS106ではカウンタT2をスタート又はインクリメントし、ステップS108ではカウンタT2を零リセットする。カウンタT2はエンジン始動時からの経過時間を表している。
【0083】
ステップS110では、ブレーキがオンか、車速が零か、制御量ETが零以外の条件、若しくはフラグFがセットされてスリップ制御中である条件が成立している時に、図16の変速マップに基づいてエンジン1の制御量ETと車速Vから変速段を演算する。ステップS112では、ステップS110で変速段が決まると車速Vからエンジン回転数Neが決まるので、図17のマップに基づいてエンジン回転数Neに対するエンジン1の制御量ETからエンジンの要求トルクを満たすよう基本燃料噴射量TBを演算する。尚、ステップS88では、基本燃料噴射量TBに基づいて理論空燃比燃焼が実行されるよう基本スロットル開度αBと基本点火時期θBも設定する。また、制御量ETに基づいて、制御量ETが所定値以下と小さい場合には所定気筒について燃料カットすることを決定する。
【0084】
ステップS114では、スロットル弁及び自動変速機のバルブアクチュエータを駆動してステップS110、S112で演算されたスロットル開度θBと変速段をセットする。ステップS116では、現在の気筒が燃料カットをする気筒に相当するか否かを判定する。ステップS116で燃料カット気筒でないならば(ステップS116でNO)、図21のステップS130に進み、燃料カット気筒ならば(ステップS116でYES)、リターンする。
【0085】
図21に示すように、ステップS130では、基本燃料噴射量TBを排気ガス中の酸素濃度等により補正するための補正量TCを演算する。この補正量TCは空燃比が理論空燃比よりもリッチ時には基準量TCからフィードバック補正量TFBを減算し(TC←TC−TFB)、リーン時には基準量TCからフィードバック補正量TFBを加算する(TC←TC+TFB)。
【0086】
ステップS132では、カウンタT2が所定期間T20以上か否かを判定し、エンジン始動時から所定期間経過したか否かを判定する。ステップS132でカウンタT2が所定期間T20以上ならば(ステップS132でYES)、ステップS135に進み、カウンタT2が所定期間T20に満たないならば(ステップS132でNO)、ステップS134に進む。
【0087】
ステップS134ではエンジン始動時のエンジン水温Wが所定温度W0以上か否かを判定する。ステップS134でエンジン水温Wが所定温度W0以上ならば(ステップS134でYES)、温間始動であると判断してステップS136に進み、エンジン水温Wが所定温度W0に満たないならば(ステップS134でNO)、ステップS135に進む。
【0088】
ステップS136ではベーパによる燃料不足を考慮して基本燃料噴射量TBをエンジン水温Wにより補正するための補正量TWを演算する。ステップS135では補正量TWをリセットする。
【0089】
尚、上記ステップS134→S136では着火性を良くするために温間始動時又は冷間始動時にかかわらず増量してもよい。
【0090】
ステップS140では、前回のサンプリングで燃料噴射量を演算した気筒で燃料カット(着火停止)が実行されたか否かを判定する。ステップS140で燃料カット(着火停止)が実行されたならば(ステップS140でYES)、ステップS142に進み、燃料カット(着火停止)が実行されないならば(ステップS140でNO)、ステップS141に進む。このステップS140では、トルクダウン要求時のエンジンの出力トルク配分が大きいか、つまりエンジンによるトルクダウンが大きいか否かを判定している。
【0091】
ステップS142ではフラグF2をセットし、ステップS141ではフラグF2をリセットする。
【0092】
ステップS144では触媒温度CTを推定演算する。触媒温度CTの推定演算は、エンジン停止時間とエンジン始動時のエンジン水温Wから推定演算する。尚、エンジン温度により推定してもよい。ステップS146では触媒温度CTが活性化温度CT0未満か否かを判定する。ステップS146で触媒温度CTが活性化温度CT0未満ならば(ステップS146でYES)、ステップS150に進み、触媒温度CTが活性化温度CT0以上ならば(ステップS146でNO)、ステップS152に進む。
【0093】
ステップS150では、触媒温度が活性化していないので基本燃料噴射量TBを触媒温度CTにより補正するための補正量θCを演算する。補正量θCは点火時期を遅らせるための点火遅角量である。
【0094】
ステップS156では、触媒温度CTが活性化温度に達していない時の基本点火遅角量θBとステップS150の補正量θCとを加算してエンジン1の点火時期の遅角量θTに設定して排気ガス温度を上昇させる(θT=θB+θC)。
【0095】
一方、ステップS152では触媒温度CTが活性化温度に達していて分割噴射により活性化する必要がないのでフラグF3をリセットし、ステップS154でエンジン1の後期噴射での制御量(燃料噴射量)TT2にステップS130の補正量TCとステップS136の補正量TWを加算して後期に一括で噴射する制御量TT2を設定する(TT2=TB+TW+TC)。尚、ステップS154では前期に一括で噴射する制御量TT1を設定してもよい。
【0096】
ステップS158では、エンジン1の点火時期の遅角量θTが所定値θT0以上か否かを判定する。ステップS158で点火時期の遅角量θTが所定値θT0以上ならば(ステップS158でYES)、ステップS160に進み、点火時期の遅角量θTが所定値θT0未満ならば(ステップS158でNO)、ステップS164に進む。ステップS158では点火時期の遅角量θTが失火する限界値θT0に達しているか否かを判定している。
【0097】
ステップS160では、点火時期の遅角量θTがエンジン1が失火する限界値θT0に達しており、点火時期の遅角によるトルクダウンが不可能なので点火時期の遅角量θTを限界値θT0に設定して、ステップS162でフラグF3をセットする。
【0098】
ステップS164では点火時期の遅角量θTがエンジン1が失火する限界値θT0に達しておらず、点火時期の遅角によるトルクダウンが可能なのでフラグF3をリセットする。
【0099】
ステップS166では、エンジン1の基本制御量TBにステップS130の補正量TCとステップS136の補正量TWとを加算してエンジン1の制御量TTに設定する(TT=TB+TW+TC)。
【0100】
ステップS168ではエンジン1の制御量TTから分割噴射による前期噴射量TT1と後期噴射量TT2を夫々演算する。ステップS168では、例えば前期噴射量TT1と後期噴射量TT2の割合を50%とし、前期噴射量TT1が多くなるほど後期噴射量TT2が多くなるよう設定する。
【0101】
図22に示すように、ステップS170ではステップS168やステップS154で設定された噴射タイミングが前期噴射タイミングか否かを判定する。ステップS170で前期噴射タイミングならば(ステップS170でYES)、ステップS172で前期噴射量TT1分の燃料を噴射する。ステップS172では後期噴射タイミングか否かを判定する。ステップS172で後期噴射タイミングならば(ステップS172でYES)、ステップS174で後期噴射量TT2分の燃料を噴射し、ステップS172で後期噴射タイミングでないならば(ステップS172でNO)、ステップS182に進む。
【0102】
ステップS176では点火時期になるまで待ち、ステップS180で点火する。
【0103】
ステップS182ではエンジン1の制御量ETを読み込み、ステップS184ではエンジンの制御量ETの前回値ETn-1と今回値ETnとの差ΔETを演算する(ΔET=ETn-1−ETn)。ステップS186では差ΔETが所定値−ET0より小さいか否かを判定する。ステップS186で差ΔETが所定値−ET0より小さいならば(ステップS186でYES)、ステップS188に進み、差ΔETが所定値−ET0以上ならば(ステップS186でNO)、ステップS174に進む。このステップS186では、後期噴射前にトルクダウン要求時のエンジンの正の出力トルク配分が小さいか、つまりスリップ発生等によりエンジンによるトルクダウンが大きくて早急に着火燃焼を中止する必要があるか否かを判定している。
【0104】
ステップS188では前期噴射量TT1が所定量TT10以上か否かを判定し、所定量TT10未満ならば(ステップS188でNO)、ステップS190でフラグF4をリセットしてリターンし、所定量TT10以上ならば(ステップS188でYES)、ステップS192でフラグF4をセットしてステップS174に進み後期噴射タイミングを待つ。ステップS188での所定量TT10は点火しなかった場合、HCのたれ流しが問題とならない程度の燃料噴射量に設定され、トルクダウン要求時に前期噴射量TT1が所定量TT10以上ならば後期噴射を停止するとHCのたれ流しが問題となるので後期噴射を実行し、前期噴射量TT1が所定量TT10未満ならば後期噴射で燃料カットしてもHCのたれ流しが問題とならないので後期噴射を停止している。
【0105】
上記ステップS132→S134→S136では、エンジンの始動後から所定期間T2経過するまで燃料噴射量を増量することにより、温間始動時に燃料に混入している気泡の影響で所望の燃料が噴射されないことがないように燃料噴射量を増量する一方、気泡が混入しておらず燃料過多となってトルクダウン要求時にエンジンの出力トルクが上昇してしまっても、上記ステップS82でトルク変動をモータにより吸収して滑らかなトルクダウンを行なうことができる。
【0106】
上記ステップS160では、エンジン始動後に触媒温度が低い場合には点火時期を遅角側に設定すると共に、トルクダウン要求時に点火遅角ではトルクダウンできない分を上記ステップS86でモータによりトルクダウンすることにより、点火時期の遅角により回転数が落ち込んでトルクが変動するのを抑制し、モータによるトルクダウンで要求とおりに実行することができる。
【0107】
上記ステップS186→S188→S192では、図24に示すように、分割噴射の前期噴射後にトルクダウン要求があった場合、ステップS188で前期噴射量TT1が所定量TT10以上ならば後期噴射を実行し、ステップS90でトルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するようモータの出力トルクを制御することにより、分割噴射の一部を噴射して残りの噴射を停止することによるHCのたれ流しを抑え、残りの噴射を行なうことで発生するトルクダウンの遅れをモータによるトルクダウンで要求とおりに実行することができる。
【0108】
上記ステップS186→188→S190では、図24に示すように、分割噴射の前期噴射後にトルクダウン要求があった場合、ステップS188で前期噴射量TT1が所定量TT10未満ならば後期噴射を停止して早期にトルクダウンすると共に、モータによりトルクの落ち込みを抑制して滑らかにトルクダウンすることができる。
【0109】
上記ステップS168では、前期噴射量TT1が多くなるほど、後期噴射量TT2が多くなるよう設定することにより、排気ガス温度の高めるために前期噴射量を多くした場合でもHCの放出を抑制できる。
【0110】
ステップS188では、前期噴射が実行された後、後期噴射が実行されるまでに、燃料カットによるトルクダウン要求があった場合、前期噴射における燃料噴射量TT1が所定量TT10以下ならば後期噴射を停止することにより、HCが放出しない程度の燃料が噴射されているため、失火することなく早期にトルクダウンが実行できる。尚、分割噴射は高負荷時に均一燃焼のために実行してもよい。
[ブレーキによるトラクション制御]
次に、本実施形態のハイブリッド自動車のブレーキによるトラクション制御ついて説明する。
【0111】
ブレーキ制御によりトルクダウン制御を実行する場合には、エンジンのトルクダウンによるトルク変動分を応答性の悪いブレーキにより吸収できない場合に、応答性の良いモータを用いてトルク変動分を吸収することができる。
【0112】
図23は、本実施形態の統括制御ECU100によるブレーキによるトラクション制御を示すフローチャートである。
【0113】
図23に示すように、処理が開始されると、ステップS242では、各センサから信号を入力する。ステップS244では、各車輪のスリップ率SLを演算する。
【0114】
ステップS246では、フラグFTCがリセットされているか否かを判定する。このフラグFTCはトラクション制御中か否かを表わし、FTCがセットされていると(FTC=1)トラクション制御中、FTCがリセットされていると(FTC=0)トラクション非制御中を表わす。ステップS246でフラグFTCがリセットならばステップS248に進み、車輪のスリップ率SLがトラクション制御開始閾値SL0以上か否かを判定する。ステップS248で車輪のスリップ率SLがトラクション開始閾値SL0以上ならばステップS250に進みフラグFTCをセットして、ステップS252では各ブレーキ装置21〜24への制動圧を減圧してスリップ率SLを目標スリップ率SLAに収束させる。
【0115】
ステップS246でフラグFTCがセットされているならばステップS54に進み、車輪のスリップ率SLが目標スリップ率SLA以下か否かを判定する。ステップS254で車輪のスリップ率SLが目標スリップ率SLA以下ならばステップS256に進み、各ブレーキ装置21〜24への制動圧を増圧してスリップを目標スリップ率SLAに収束させる。
【0116】
ステップS258では、増圧連続時間T3が所定時間T30以上経過したか否かを判定する。ステップS258で増圧連続時間T3が所定時間T30以上経過していないならばリターンし、ステップS258で増圧連続時間T3が所定時間T30以上経過したならばステップS260でフラグFTCをリセットしてリターンする。
【0117】
また、ステップS254で車輪のスリップ率SLが目標スリップ率SLAを超えるならばステップS262に進み、ステップS262では車輪のスリップ率SLと目標スリップ率SLAとの差ΔSLAが所定値α以上であるか否かを判定する。ステップS262で車輪のスリップ率SLと目標スリップ率SLAとの差が所定値α以上ならばステップS264で、各ブレーキ装置21〜24への制動圧を減圧してスリップ率SLを目標スリップ率SLAに収束させる。
【0118】
更に、ステップS262で車輪のスリップ率SLと目標スリップ率SLAとの差ΔSLAが所定値αを下回るならば、ステップS266で車輪加速度Δvが第1の値va以上であるか否かを判定する。ステップS266で車輪加速度Δvが第1の値va以上ならば、各ブレーキ装置21〜24への制動圧を増圧してスリップ率SLを目標スリップ率SLAに収束させる。
【0119】
また、ステップS266で車輪加速度Δvが第1の値vaを下回るならば、ステップS270に進み、車輪加速度Δvが第2の値vb以下か否かを判定する。ステップS270で車輪加速度Δvが第2の値vb以下ならば、ステップS272で各ブレーキ装置21〜24への制動圧を減圧してスリップ率SLを目標スリップ率SLAに収束させる。一方、ステップS270で車輪加速度Δvが第2の値vbを超えるならば、ステップS274で各ブレーキ装置21〜24への制動圧を保持する。
[他の実施形態]
他の実施形態として、本実施形態のハイブリッド自動車に姿勢制御装置を搭載してもよい。姿勢制御装置は、各車輪をトルクダウン又は制動制御することで車体に旋回モーメントと減速力を加えて前輪或いは後輪の横滑りを抑制するものである。例えば、車両が旋回走行中に後輪が横滑りしそうな時(スピン)には主に前外輪にブレーキを付加し外向きモーメントを加えて旋回内側への巻き込み挙動を抑制する。また、前輪が横滑りして旋回外側に横滑りしそうな時(ドリフトアウト)には各車輪に適量のブレーキを付加し内向きモーメントを加えると共に、エンジン出力を抑制し減速力を付加することにより旋回半径の増大を抑制する。
【0120】
姿勢制御について概説すると、ブレーキ制御ECU300は、車速センサ、ヨーレートセンサ、横方向加速度センサの検出信号から車両に発生している実際の横滑り角(以下、実横滑り角という)及び実際のヨーレート(以下、実ヨーレートという)を演算すると共に、実横滑り角から姿勢制御に実際に利用される推定横滑り角の演算において参照される参照値を演算する。また、ブレーキ制御ECU300は、ステアリング舵角センサ等の検出信号から車両の目標とすべき姿勢として目標横滑り角及び目標ヨーレートを演算し、推定横滑り角と目標横滑り角の差或いは実ヨーレートと目標ヨーレートの差が所定閾値を越えた時に姿勢制御を開始し、推定実横滑り角或いは実ヨーレートが目標横滑り角或いは目標ヨーレートに収束するよう制御する。
【0121】
上記姿勢制御は、図10のステップS16の前段で実行させればよい。尚、本発明において、エンジンのトルクダウンに起因するトルク変動をモータにより抑制制御したが、エンジンに連結した発電機によりこのような抑制制御を行なってもよい。また、本実施形態はハイブリッド自動車を一例として説明したが、エンジンと、エンジンに連結されてエンジン始動時にエンジン回転数を上昇させて始動させるモータとを備えた車両においてこのような抑制制御を実行してもよい。
【0122】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0123】
本実施形態のハイブリッド自動車には直噴型エンジン以外にも吸気ポート噴射型エンジンで、排気行程期間中と吸気行程期間中で分割噴射するものにも適用できることは言うまでもない。
【0124】
また、統括制御ECU100とスリップ制御ECU300とは別体構成でも一体構成でもいずれでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のハイブリッド自動車の機械的構成を示すブロック図である。
【図2】ハイブリッド自動車に搭載されるエンジンを示す図である。
【図3】本実施形態のハイブリッド自動車の発進&低速走行時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図4】本実施形態のハイブリッド自動車の加速時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図5】本実施形態のハイブリッド自動車の定常走行時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図6】本実施形態のハイブリッド自動車の減速時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図7】本実施形態のハイブリッド自動車の定常走行&充電時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図8】本実施形態のハイブリッド自動車の充電時の駆動力の伝達形態を説明する図である。
【図9】本実施形態のハイブリッド自動車の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】本実施形態のハイブリッド自動車のトラクション制御を説明するフローチャートである。
【図11】本実施形態のハイブリッド自動車のトラクション制御を説明するフローチャートである。
【図12】基本運転時の要求トルクに対するエンジン負荷とモータ負荷の関係を示す図である。
【図13】トラクション制御時の要求トルクに対するエンジン負荷とモータ負荷の関係を示す図である。
【図14】トラクション制御時の要求トルクに対するエンジン負荷とモータ負荷の関係を示す図である。
【図15】トラクション制御終了時の要求トルクに対するエンジン負荷とモータ負荷の関係を示す図である。
【図16】本実施形態の自動変速機の変速マップを示す図である。
【図17】エンジン回転数に対する要求トルクと基本燃料噴射量の関係を示す図である。
【図18】本実施形態のトラクション制御を説明する図である。
【図19】本実施形態の統括制御ECU100による走行用モータ2の制御量MSの補正処理を示すフローチャートである。
【図20】本実施形態の統括制御ECU100によるエンジン制御を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態の統括制御ECU100によるエンジン制御を示すフローチャートである。
【図22】本実施形態の統括制御ECU100によるエンジン制御を示すフローチャートである。
【図23】本実施形態の統括制御ECU100によるブレーキによるトラクション制御を示すフローチャートである。
【図24】前期噴射と後期噴射の間にトルクダウン要求があった場合のモータの出力トルクを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 走行用モータ
3 バッテリ
4 発電機

Claims (9)

  1. バッテリの電力により駆動力を発生するモータと内燃機関により駆動力を発生するエンジンを併用して走行するハブリッド車において、
    車輪のスリップ値を演算し、該スリップ値に基づいて車輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、
    前記スリップ値が所定閾値を超えると、該スリップ値を目標値に収束させるよう少なくとも前記エンジンをトルクダウン制御するトルク制御手段とを備え、
    前記制御手段は、少なくとも前記エンジンによる走行開始後に前記スリップ値が所定閾値を超えたならば、該スリップ値を目標値に収束させるよう該エンジンをトルクダウン制御すると共に、該トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御することを特徴とする車両の走行制御装置。
  2. 前記トルク制御手段は、前記エンジンの各気筒に噴射する燃料噴射量を減量することによりトルクダウン制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
  3. 前記トルク制御手段は、前記エンジンの始動後から所定期間経過するまで前記燃料噴射量を増量することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の走行制御装置。
  4. 前記エンジン温度を検出するエンジン温度検出手段を更に備え、該エンジン温度が所定温度以上の時に前記燃料噴射量を増量することを特徴とする請求項3に記載の車両の走行制御装置。
  5. 前記トルク制御手段は前記エンジンの各気筒に対する燃料噴射を1サイクル内で複数回に分割して噴射する燃料噴射制御手段を備え、
    少なくとも1回目の噴射が実行されてから次の噴射が実行されるまでに、前記スリップ値が所定閾値を超えて該エンジンをトルクダウン制御する場合、少なくとも該次の噴射を実行すると共に、次のサイクルでは燃料カットを実行し、該トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両の走行制御装置。
  6. 前記トルク制御手段は、前記スリップ値が所定閾値を超えて該エンジンをトルクダウン制御する時に、少なくとも前記1回目の噴射が実行されていた場合、該トルクダウン制御への介入時に該トルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御することを特徴とする請求項5に記載の車両の走行制御装置。
  7. 前記エンジンの排気通路には排気ガスを浄化する触媒が配設され、前記トルク制御手段は各気筒の点火時期を制御する点火時期制御手段を備え、
    前記エンジンの始動後から所定期間経過するまで前記点火時期を遅角側に設定すると共に、前記トルクダウン制御に起因するトルク変動を抑制するよう前記モータの出力トルクを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の走行制御装置。
  8. 前記エンジンは燃焼室内に直接燃料を噴射する直噴式ガソリンエンジンであることを特徴とする請求項1又は7に記載の車両の走行制御装置。
  9. 車輪に制動力を付加するブレーキ手段を更に備え、該ブレーキ手段は、前記スリップ値が所定閾値を超えたならば、該スリップ値を目標値に収束させるよう該制動力によるトルクダウン制御を実行することを特徴とする請求項1又は8に記載の車両の走行制御装置。
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