JP2015083409A - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の状態に応じて適正に異音の発生を抑制する。【解決手段】タッピングノイズが検出されたとき、触媒暖機制御が実行されているときには(ステップS100)、点火遅角を禁止する点火遅角禁止制御より電池放電量を増加させるエンジン出力低下制御やエンジンの回転数を変更する共振帯回避制御を優先させ(ステップS120〜S160)、触媒暖機制御が実行されていないときには、エンジン出力低下制御や共振帯回避制御より点火遅角制御を優先させる(ステップS170〜S210,S220〜S260)。これにより、車両の状態に応じて適正にタッピングノイズの発生を抑制することができる。【選択図】図2
Description
本発明は、ハイブリッド車両に関し、詳しくは、エンジンと、モータとを備えるハイブリッド車両に関する。
従来、この種のハイブリッド車両としては、エンジンと、モータと、エンジンとモータとに連結された遊星歯車機構とを備え、ギヤの歯打ち音が発生する発生条件が成立したときには、エンジンの回転速度を上昇させて、エンジンの運転点を通常動作ライン上の運転点からギヤの歯打ち音を抑制可能な歯打ち音抑制ライン上の運転点に変更する歯打ち音抑制制御を実施するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、歯打ち音抑制制御の実施に際して、エンジンからのパワーが低下されるようエンジンの運転点を変更することにより、エンジンからのパワーを一定に保ちながらエンジンの運転点を変更するものより、通常動作ラインを燃費が最適な燃費最適動作ラインに近づけることができるから、燃費の悪化を抑制しつつギヤの歯打ち音を抑制することができる。
上述のハイブリッド車両では、エンジンの回転数を上昇させて異音の発生を抑制しているが、エンジンの回転数を上昇させることで運転者に違和感を与える場合がある。また、こうした異音は、エンジンの点火時期を通常より遅らせている(遅角させている)ときにエンジンの燃焼状態が不安定となって異音が生じる場合もある。この場合、点火時期の遅角を禁止することで異音を抑制する手法も考えられるが、点火時期の遅角がエンジンの排気を浄化するための触媒を暖機するために行なわれているときに点火時期の遅角を禁止すると、触媒の暖機性能が低下して適正に排気を浄化することができなくなってしまう。したがって、エンジンの状態、ひいては、車両の状態に応じてより適正に対処して異音を抑制することが望まれている。
本発明のハイブリッド車両は、車両の状態に応じてより適正に対処して異音の発生を抑制することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車両は、
エンジンと、モータと備えるハイブリッド車両であって、
前記エンジンの運転に伴う異音が発生しているとき、前記エンジンの点火時期を遅角させる触媒暖機制御を実行中であるときには、前記エンジンの点火時期を変更する点火時期変更制御より前記エンジンの回転数が共振帯外の回転数になるよう前記エンジンの回転数を変更する共振帯回避制御を優先するよう前記エンジンと前記モータを制御し、前記触媒暖機制御を実行していないときには、前記共振帯回避制御より前記点火時期変更制御を優先するよう前記エンジンと前記モータとを制御する制御手段
を備えることを要旨とする。
エンジンと、モータと備えるハイブリッド車両であって、
前記エンジンの運転に伴う異音が発生しているとき、前記エンジンの点火時期を遅角させる触媒暖機制御を実行中であるときには、前記エンジンの点火時期を変更する点火時期変更制御より前記エンジンの回転数が共振帯外の回転数になるよう前記エンジンの回転数を変更する共振帯回避制御を優先するよう前記エンジンと前記モータを制御し、前記触媒暖機制御を実行していないときには、前記共振帯回避制御より前記点火時期変更制御を優先するよう前記エンジンと前記モータとを制御する制御手段
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車両では、エンジンの運転に伴う異音が発生しているとき、エンジンの点火時期を遅角させる触媒暖機制御を実行中であるときには、エンジンの点火時期を変更する点火時期変更制御よりエンジンの回転数が共振帯外の回転数になるようエンジンの回転数を変更する共振帯回避制御を優先するようエンジンとモータとを制御する。これにより、触媒の暖機性能の低下を抑制しながら異音の発生を抑制することができる。また、触媒暖機制御を実行していないときには、共振帯回避制御より点火時期変更制御を優先するようエンジンとモータとを制御する。共振帯回避制御を実行するとエンジンの回転数の変更により運転者が違和感を覚える場合があるが、触媒暖機制御を実行していないときには点火時期変更制御を優先させることにより、運転者に違和感を与えることを抑制しながら異音の発生を抑制できる。この結果、車両に状態に応じて適正に異音の発生を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ26aを介してキャリアが接続されると共に駆動輪34a,34bにデファレンシャルギヤ32を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、図示しない複数のスイッチング素子のスイッチングによってモータMG1,MG2を駆動するインバータ41,42と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、車両全体を制御するHVECU70と、を備える。
エンジン22は、燃料噴射弁から燃料を噴射して吸入された空気と燃料とを混合し、この混合気を吸気バルブを介して燃焼室に吸入し、点火プラグによる電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストンの往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジンの燃焼室からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)22aを有する浄化装置22bが取り付けられた排気管を介して外気に排出される。
HVECU70は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、図示しないが、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポートおよび通信ポートを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフト位置センサ82からのシフト位置SP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号などエンジン22の運転制御に必要な信号,モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置検出センサからの信号などモータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧などバッテリ50を管理するのに必要な信号などが入力ポートを介して入力されている。また、HVECU70からは、エンジン22の運転制御をするための運転制御信号やインバータ41,42へのスイッチング制御信号などが出力されている。さらに、HVECU70は、バッテリ50の残容量SOC(バッテリ50に充電可能な蓄電量の最大値に対するバッテリ50の蓄電量の割合)を演算している。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)や、エンジン22の運転を停止して走行する電動走行モード(EV走行モード)で走行する。
HV走行モードでの走行時には、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される要求トルクTr*(前進方向に走行するときは正の値)を設定し、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrv*を計算し、計算した走行用パワーPdrv*からバッテリ50の蓄電割合SOCに基づくバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときは正の値)を減じて車両に要求される要求パワーPe*を設定する。そして、要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共に要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるようエンジン22を効率よく動作させる動作ライン上のエンジン22の運転ポイントしてのエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このHV走行モードでの走行時には、要求パワーPe*が停止用閾値Pstop未満に至ったときなどエンジン22の停止条件が成立したときに、エンジン22の運転を停止してEV走行モードでの走行に移行する。
EV走行モードでの走行時には、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このEV走行モードでの走行時には、HV走行モードによる走行時と同様に計算した要求パワーPe*が始動用閾値Pstart以上に至ったときなどエンジン22の始動条件が成立したときに、エンジン22を始動してHV走行モードでの走行に移行する。
実施例のハイブリッド自動車20では、HV走行モードで走行しているときに浄化触媒の暖機が要求されたとき、例えば、エンジン22の冷却水温が浄化触媒22aの暖機が要請される際の冷却水温として予め定められた所定温度以下のときなどには、エンジン22の点火時期を所定の基準点火時期より遅らせる(遅角させる)ことにより浄化触媒を暖機する触媒暖機制御を実行する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にプラネタリギヤ30の連続歯打ち音(タッピングノイズ)が検出されたときの動作について説明する。図2は、ハイブリッド自動車20のHVECU70により実行されるタッピングノイズ検出時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22のトルク変動が所定変動より大きいときやダンパ26aのねじれ角が所定角より大きいときなどタッピングノイズが発生したと判定されたときに実行される。
本ルーチンが実行されると、ハイブリッド自動車20のHVECU70は、まず、エンジン22の浄化触媒22aを暖機する触媒暖機制御が実行されているか否かを判定する処理を実行する(ステップS100)。触媒暖機制御が実行されているときには、エンジン22の運転ポイントのうち目標トルクTe*を、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とから設定される目標トルクより所定トルクTref分だけ小さくなるよう変更して、エンジン22から出力されるパワーを低下させると共に要求トルクTr*が駆動軸に出力されるようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22から出力されるパワーの低下分をバッテリ50の放電量を増加させることで補うようエンジン22やモータMG1,MG2を制御するエンジン出力低下制御を実行する(ステップS120)。
図3は、ステップS120の処理でエンジン22の運転ポイントを変更している様子を示す説明図である。図中、運転ポイントAはステップS120の処理で変更する前のエンジン22の運転ポイントの一例を示しており、運転ポイントBはステップS120の処理で変更された後のエンジン22の運転ポイントの一例を示している。また、図中、実線はエンジン22を効率よく動作させる動作ラインの一例を示しており、破線は要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線の一例を示している。図示するように、エンジン22の運転ポイントのうち目標トルクTe*を所定トルクTref分だけ小さくなるよう変更する(運転ポイントを運転ポイントAから運転ポイントBに変更する)ことにより、エンジン22の回転数を一定に維持しながらエンジン22の出力を低下させることができる。一般に、プラネタリギヤ30の歯打ち音が抑制できる動作ラインは、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインに対して全体としてトルクが低いラインとなる。このように、エンジン22の回転数を一定に維持しながらエンジン22の出力を低下させることで、エンジン22のトルク変動を抑制することができる。図4は、運転ポイント変更後のエンジン22のトルク変動の様子を示す説明図である。なお、図中、運転ポイントを変更しない場合のエンジン22のトルク変動の様子を比較例として破線で示した。こうした制御により、エンジン22の回転数の変更によって運転者に違和感を与えることを抑制しつつ、タッピングノイズ(異音)の発生を抑制することができる。
続いて、ステップS120の処理を実行してもなおタッピングノイズを検出するか否かを判定する(ステップS130)。タッピングノイズを検出しないときには本ルーチンを終了し、タッピングノイズを検出したときには、エンジン22から出力されるパワーを一定にした状態でエンジン22の回転数Neが車両に共振が生じる共振回転数帯外の回転数になるようエンジン22の運転ポイントとしての目標回転数Ne*,目標トルクTe*を変更して、要求トルクTr*が駆動軸に出力されるようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22やモータMG1,MG2を制御する共振帯回避制御を実行する(ステップS140)。
図5は、ステップS140の処理でエンジン22の運転ポイントを変更している様子の一例を示す説明図である。図中、実線はエンジン22を効率よく動作させる動作ラインの一例を示しており、破線は要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線の一例を示しており、一点鎖線は車両に共振が生じるエンジン22の回転数の範囲(共振帯)を示している。図示するように、タッピングノイズを検出したときにエンジン22の運転ポイントが共振帯内のポイントBにある場合、エンジン22から出力されるパワーを一定にした状態でエンジン22の目標回転数Ne*が共振帯の下限回転数f1と上限回転数f2のうち近いほうである上限回転数f2より高い回転数になるようエンジン22の運転ポイントをポイントBからポイントCに変更する。また、タッピングノイズを検出したときにエンジン22の運転ポイントが共振帯内のポイントDにあるときには、エンジン22から出力されるパワーを一定にした状態でエンジン22の目標回転数Ne*が共振帯の下限回転数f1と上限回転数f2のうち近いほうである下限回転数f1より低い回転数になるようエンジン22の運転ポイントをポイントDからポイントEに変更する。このように、エンジン22の目標回転数Ne*を共振帯の外の回転数とすることにより、エンジン22を共振帯の外の回転数で運転することができ、車両における共振を抑制して、タッピングノイズの発生を抑制することができる。なお、共振帯回避制御では、タッピングノイズを検出したときにエンジン22の運転ポイントが共振帯の外にあるときにはエンジン22の目標回転数Ne*を変更せずに要求トルクTr*が駆動軸に出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとした。
こうしてエンジン22の運転ポイントを変更したときには、運転ポイントを変更した後でもなおタッピングノイズを検出するか否かを判定する(ステップS150)。タッピングノイズを検出しないときには本ルーチンを終了し、タッピングノイズを検出したときには、エンジン22の点火時期の遅角を禁止して所定の点火時期で点火制御が行なわれるようエンジン22を制御する点火遅角禁止制御を実行して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。これにより、浄化触媒22aの暖機は抑制されるが、エンジン22の燃焼状態を安定させて上述の図4と同様にエンジン22のトルク変動を抑制することができ、タッピングノイズの発生を抑制することができる。
このように、触媒暖機制御が実行されているときには、エンジン出力低下制御,共振帯回避制御,点火遅角禁止制御の3つの制御を順番に実行し、3つの制御を実行している途中でタッピングノイズが検出されなくなったときにはその時点で次の制御には進まずに処理を終了することにより、点火遅角禁止制御よりエンジン出力低下制御や共振帯回避制御を優先させ、さらに、共振帯回避制御よりエンジン出力低下制御を優先させる。点火遅角禁止制御よりエンジン出力低下制御や共振帯回避制御を優先させるのは、触媒暖機制御が実行されているときには、浄化触媒22aの暖機のために、触媒暖機制御の実行を継続させるほうが望ましいからである。また、共振帯回避制御よりエンジン出力低下制御を優先させるのは、共振帯回避制御ではエンジン22の回転数を変更することにより運転者に違和感を与えるのを回避するためである、こうした制御により、運転者に違和感を与えたり浄化触媒22aの暖機が抑制されることを避けながら、タッピングノイズの発生を抑制することができる。
触媒暖機制御が実行されていないときには(ステップS100)、続いて、バッテリ50の残容量SOCが比較的低い所定蓄電量SOCrefを下回っている電池容量不足中であるか否かを判定し(ステップS110)、電池容量不足中であるときには、まず、上述したステップS160の処理と同様の点火遅角禁止制御を実行し(ステップS170)、点火遅角禁止制御を実行してもなおタッピングノイズを検出するか否かを判定し(ステップS180)、タッピングノイズを検出しないときには本ルーチンを終了し、タッピングノイズを検出したときには上述したステップS140の処理と同様の共振帯回避制御を実行し(ステップS190)、共振帯回避制御を実行してもなおタッピングノイズを検出するか否かを判定し(ステップS200)、タッピングノイズを検出しないときには本ルーチンを終了し、タッピングノイズを検出したときには上述したステップS120の処理と同様のエンジン出力低下制御を実行して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。
このように、電池容量不足中であるときには、エンジン出力低下制御,共振帯回避制御,点火遅角禁止制御の3つの制御を、点火遅角禁止制御、共振帯回避制御,エンジン出力低下制御の順に実行し、3つの制御を実行している途中でタッピングノイズが検出されなくなったときにはその時点で次の制御には進まずに処理を終了することにより、エンジン出力低下制御より点火遅角禁止制御や共振帯回避制御を優先させ、さらに、共振帯回避制御より点火遅角禁止制御を優先させる。エンジン出力低下制御より点火遅角禁止制御や共振帯回避制御を優先させるのは、エンジン出力低下制御ではエンジン22から出力されるパワーの低下分をバッテリ50の放電量を増加させることで補うためバッテリ50の残容量SOCが過度に低下することがあり、こうしたバッテリの50の残容量SOCの過度の低下を抑制するためである。また、共振帯回避制御より点火遅角禁止制御を優先させるのは、共振帯回避制御ではエンジン22の回転数を変更を伴うため運転者に違和感を与える場合があるからである。こうした制御により、運転者に違和感を与えたりバッテリ50の残容量SOCの過度な低下を抑制しながら、タッピングノイズの発生を抑制することができる。
電池容量不足中でないときには(ステップS110)、上述したステップS160の処理と同様の点火遅角禁止制御を実行し(ステップS220)、点火遅角禁止制御を実行してもなおタッピングノイズを検出するか否かを判定し(ステップS230)、タッピングノイズを検出しないときには本ルーチンを終了し、タッピングノイズを検出したときには上述したステップS120の処理と同様のエンジン出力低下制御を実行し(ステップS240)、エンジン出力低下制御を実行してもなおタッピングノイズを検出するか否かを判定し(ステップS250)、タッピングノイズを検出していないときには本ルーチンを終了し、タッピングノイズを検出したときには上述したステップS140の処理と同様の共振帯回避制御を実行して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。
このように、電池容量不足中でないときには、エンジン出力低下制御,共振帯回避制御,点火遅角禁止制御の3つの制御を、点火遅角禁止制御、エンジン出力低下制御、共振帯回避制御の順に実行し、3つの制御を実行している途中でタッピングノイズが検出されなくなったときにはその時点で次の制御には進まずに処理を終了することにより、共振帯回避制御より点火遅角禁止制御やエンジン出力低下制御を優先させ、さらに、エンジン出力低下制御より点火遅角禁止制御を優先させる。共振帯回避制御より点火遅角禁止制御やエンジン出力低下制御を優先させるのは、今、触媒暖機制御中で且つバッテリ50の残容量SOCも余裕があるため、共振帯回避制御ではエンジン22の回転数の変更することにより運転者に違和感を与えることを抑制するのが望ましいからである。また、エンジン出力低下制御より点火遅角禁止制御を優先させるのは、バッテリ50の残容量SOCの低下を抑制するためである。こうした制御により、運転者に違和感を与えたりバッテリ50の残容量SOCの低下を抑制しながら、タッピングノイズの発生を抑制することができる。この結果、浄化触媒22aの暖機の状態やバッテリ50の残容量SOCの状態などの車両の状態に応じて適正にタッピングノイズの発生を抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、タッピングノイズが検出されたとき、触媒暖機制御が実行されているときには、点火遅角禁止制御よりエンジン出力低下制御や共振帯回避制御を優先させると共に共振帯回避制御よりエンジン出力低下制御を優先させ、触媒暖機制御が実行されていないときに電池容量不足中であるときには、エンジン出力低下制御より点火遅角禁止制御や共振帯回避制御を優先させると共に共振帯回避制御より点火遅角禁止制御を優先させ、触媒暖機制御が実行されておらず且つ電池容量不足中でないときには共振帯回避制御より点火遅角禁止制御やエンジン出力低下制御を優先させると共にエンジン出力低下制御より点火遅角禁止制御を優先させる。これにより、車両の状態に応じて適正にタッピングノイズの発生を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、ステップS110の処理で電池容量不足か否かを判定するものとしたが、ステップS110の処理を実行せずに電池容量不足か否かを判定しないものとしてもよい。この場合、ステップS120,S210,S240の処理でエンジン出力低下制御を実行せずに、触媒暖機中であれば、点火遅角禁止制御より共振帯回避制御を優先して実行し、触媒暖機中でないときには、共振帯回避制御より点火遅角禁止制御を実行するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、ステップS120,S210,S240の処理でエンジン出力低下制御を実行するものとしたが、これらの処理を実行せずに点火遅角禁止制御と共振帯回避制御のみを実行するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「モータ」に相当し、HVECU70が「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車両の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、22a 浄化触媒、22b 浄化装置、26 クランクシャフト、26a ダンパ、30 プラネタリギヤ、32 デファレンシャルギヤ、34a,34b 駆動輪、35a,35b 車輪、36 駆動軸、41,42 インバータ、50 バッテリ、70 HVECU、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフト位置センサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルレンジセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。
Claims (1)
- エンジンと、モータと備えるハイブリッド車両であって、
前記エンジンの運転に伴う異音が発生しているとき、前記エンジンの点火時期を遅角させる触媒暖機制御を実行中であるときには、前記エンジンの点火時期を変更する点火時期変更制御より前記エンジンの回転数が共振帯外の回転数になるよう前記エンジンの回転数を変更する共振帯回避制御を優先するよう前記エンジンと前記モータを制御し、前記触媒暖機制御を実行していないときには、前記共振帯回避制御より前記点火時期変更制御を優先するよう前記エンジンと前記モータとを制御する制御手段
を備えるハイブリッド車両。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017206045A (ja) * | 2016-05-16 | 2017-11-24 | スズキ株式会社 | 車両 |
WO2024057422A1 (ja) * | 2022-09-13 | 2024-03-21 | 日産自動車株式会社 | ハイブリッド車両の制御方法、及びハイブリッド車両の制御システム |
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2013
- 2013-10-25 JP JP2013222190A patent/JP2015083409A/ja active Pending
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