JP3840704B2 - レンズコントロール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズコントロール装置に係り、特に、スタジオカメラやフィールドカメラ等に用いられる放送用ズームレンズを制御するコントロール信号を発生するレンズコントロール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スタジオカメラやフィールドカメラに用いられる大型レンズのズームをサーボ制御する場合には一般的に速度制御が用いられ、パン・チルト棒のグリップに取付けられたズームコントローラのサムリングをカメラマンが回動操作することにより、ズーム操作が行われている。
【0003】
このズームコントローラは、サムリングの回動位置をポテンショメータで検出しており、中立位置からサムリングを回動させる方向によってテレ方向/ワイド方向を指令し、その回動角度を大きくするに従って、ズーム速度が速くなるようにズームレンズのモータが制御される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のズームコントローラにおいては、コントロールのダイナミックレンジ(スピードの可変幅)は、全ストロークをコンマ数秒(例えば0.6秒)で移動させる最高速度から、全ストロークを数百秒(例えば200秒)で移動させる最低速度まで対応しなければならず、そのため、コントロール信号が数ミリヴォルト(mV)のときにズームが動き出す必要がある。このため、ズームコントローラのメカ的なポテンショメータのズレや、経時変化、或いは部品のドリフト、ノイズ等によるコントロール信号の微小な誤差(ズレ)、変動によって、意図しないズーム動作が行われてしまうという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、速度制御用のコントロール信号を検出し、操作に応じたコントロール信号以外の不必要な信号によってレンズが誤動作しないように構成されたレンズコントロール装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、モータ駆動によりレンズを移動させてフォーカス動作又はズーム動作を行うテレビカメラのレンズコントロール装置において、レンズの移動を指令するための操作部材と、前記操作部材の操作量に応じたコントロール信号を出力する信号発生手段と、前記信号発生手段から出力されたコントロール信号のレベルを検出する信号検出手段と、前記コントロール信号に基づいて前記モータを駆動する駆動回路と、前記駆動回路の前段に設けられ、前記信号検出手段による前記コントロール信号の検出の結果に応じて、前記コントロール信号を当該駆動回路に入力させる回路状態と入力させない回路状態とを切り換えるためのスイッチ手段と、を備え、前記信号検出手段による前記コントロール信号の検出の結果、前記コントロール信号のレベルが予め設定された所定のレベルに満たない場合に前記スイッチ手段によって前記コントロール信号を前記駆動回路に入力させない回路状態として前記コントロール信号を無効にし、該コントロール信号に基づく前記モータの駆動を禁止する一方、前記信号検出手段による検出の結果、前記コントロール信号のレベルが前記所定のレベル以上の場合に前記スイッチ手段によって前記コントロール信号を前記駆動回路に入力させる回路状態として前記コントロール信号を有効にし、該コントロール信号に基づく前記モータの駆動を許容するように構成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、コントロール信号のレベルを検出し、所定のレベルに満たない場合には該信号を無効とし、コントロール信号が所定のレベル以上の場合に限り、該コントロール信号に基づくレンズの動作を許容するようにしたので、前記所定のレベルに満たない不必要な信号によるレンズの動作を防止することができる。これにより、レンズの誤動作を防止でき、安定した撮影が可能となる。
【0008】
本発明は、操作部材の操作に応じてレンズを速度制御する場合に特に有効である。また、前記操作部材の操作量に対するコントロール信号の出力レベルの関係の設定を変更し得る設定変更手段を有する場合、その設定に応じて操作部材の不感帯が形成されるという特徴を備えている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るレンズコントロール装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1には、本発明に係るレンズコントロール装置を放送用テレビカメラのズームコントローラに適用した例が示されている。同図に示すテレビカメラ10は、レンズ部12とカメラ部14から構成され、ペデスタルドリー16上の雲台18に固定されている。
【0010】
雲台18には2本のパン・チルト棒22、23が延設され、一方のパン・チルト棒22のグリップ24付近には、ズームスピードを操作するズームコントローラ26が取り付けられ、他方のパン・チルト棒23には、フォーカスを操作するフォーカスコントローラ(フォーカスデマンド)28が取付けられている。前記ズームコントローラ26及びフォーカスコントローラ28は、それぞれケーブル30、31を介してカメラ部14又はレンズ部12と接続されており、カメラマンは、ビューファインダー32に映る撮影像を見ながら右手でフォーカスデマンド30のフォーカスノブを操作することによってピント調整を行うとともに、左手でレンズコントローラ28のサムリング34を操作することでズーム調整を行うことができるようになっている。
【0011】
図2は、ズームコントローラ26の側面拡大図である。サムリング34は、グリップ24の軸心を中心に回動自在に設けられ、該サムリング34の回動位置は図示しないポテンショメータにより検出されている。従って、カメラマンが該サムリング34を回動操作すると、前記ズームコントローラ26からはその回動操作量に応じた速度制御信号(コントロール信号)が出力される。前記サムリング34の回動角度を大きくするに従ってズーム速度が速くなるように後述するズームレンズ64の駆動用サーボモータ62が制御される(図3参照)。
【0012】
また、前記サムリング34の回動方向によってワイド側へのズーム指令であるか、テレ側へのズーム指令であるかの区別が定められており、例えば、サムリング34を同図中紙面手前側(図1中T方向)に回動させるとズームレンズがテレ側に移動し、サムリング34を反対側(図1中W方向)に回動させるとズームレンズがワイド側に移動するようになっている。
【0013】
サムリング34は、回動範囲の中立位置に位置するように図示しない付勢部材によって付勢されており、サムリング34から指を離せば、サムリング34が中立位置に回動して復帰するようになっている。
また、ズームコントローラ26の下部には、回転式のダイヤル部材36が組み込まれており、該ダイヤル部材36を操作することによって、ズームスピードの最高速度を設定できるようになっている。
【0014】
ズームコントローラ26のグリップ24部の下側には3つのリターンスイッチ部材42、44、46が形成されており、パン・チルト棒22を操作しながら、該リターンスイッチ部材42、44、46をオン/オフ操作できるようになっている。このようにリターンスイッチ部材が複数(本実施の形態では3つ)設けられているのは、オンエア中の画面に切り換える場合の他、他のカメラマンが撮影している画面を確認できるようにテレビカメラ側にリターン用の電気回路が複数系統形成されているためである。
【0015】
レンズコントローラ26の上部はインタカムスイッチ部材48が設けられている。このインタカムスイッチ部材48は、一つの部材でエンジニア通信用のマイクのオン/オフとプロデューサ通信用のマイクのオン/オフを操作できるものであり、例えば、中央の位置が共通のオフ位置であり、手前に倒すとエンジニア用のマイクがONとなり、反対側に倒すとプロデューサ用のマイクがオンとなるように構成される。このように、インタカムが2系統設けられているのは、複数の相手と個別に通話できるようにするためである。
【0016】
図3はズームレンズの駆動制御系を示すブロック図である。この駆動制御系には、同図に示すように、コントロール信号の電圧レベルを検出する信号検出回路50と、該信号検出回路50の出力に応じて接点が切り換わるスイッチ手段52とが設けられている。
前記信号検出回路50は、サムリング34の回転角度に応じて出力されるコントロール信号の電圧を検出し、その検出結果に応じてスイッチ手段52の接点を切り換える切換信号を出力する。即ち、コントロール信号の電圧が予め設定された所定の電圧に満たない場合には、スイッチ手段52の接片52Aは接点54に当接される。この場合、コントロール信号は駆動回路60に入力せず、サーボモータ62は回転しない。
【0017】
他方、前記コントロール信号が前記所定の電圧を超えた場合にはスイッチ手段52の接片52Aが他方の接点56に当接され、コントロール信号は駆動回路60に導かれる。そして、このコントロール信号に基づいてサーボモータ62が駆動され、ズームレンズ64がテレ側又はワイド側に移動する。
尚、前記サーボモータ62にはタコジェネレータ66が接続されており、該タコジェネレータ66によってサーボモータ62の回転数が検出されている。タコジェネレータ66からの信号は前記駆動回路60に加えられ、サーボモータ62のスピード制御に利用されている。
【0018】
図4には、サムリング34の回転角度とコントロール信号の電圧レベルとの関係が示されている。ダイヤル部材36によって設定される最高速度に応じて、サムリング34の回転角度とコントロール信号の出力レベルの関係は異なり、例えば、図中実線で示した曲線C1 と点線で示した曲線C2 のようになる。尚、曲線C1 は曲線C2 よりも最高速度が大きく設定されている。同図では回転角が正(プラス)側の場合のみが示され、マイナス側は省略されているが、回転角が負の場合には、コントロール信号はマイナスの値となる。
【0019】
信号検出回路50には、設定電圧Vc(上記所定の電圧に相当)が予め定められており、コントロール信号が設定電圧Vcよりも小さい場合には、図3で説明したようにスイッチ手段52の接片52Aが接点54に当接され、コントロール信号は無効となる。そして、コントロール信号が前記設定電圧Vc以上となった場合にスイッチ手段52の接片52Aが接点56に当接され、コントロール信号が有効になる。
【0020】
このように、曲線C1 については、設定電圧Vcに満たない回転角度の範囲(図中▲1▼で示した範囲)に不感帯が形成され、曲線C2 については図中▲2▼で示した範囲に不感帯が形成されることになる。
次に、上記の如く構成された本実施の形態に係るレンズコントロール装置の作用について説明する。
【0021】
先ず、ダイヤル部材36によってズームの最高速度を設定すると、その設定に応じて図4の曲線C1 又は曲線C2 に示したようなサムリングの回転角度とコントロール信号の電圧レベルとの関係が定まる。
信号検出回路50は、コントロール信号のレベルを監視し、設定電圧Vcよりも小さいレベルの信号を不必要な信号として無効にする。これにより、ズームコントローラ26のメカ的なポテンショメータのズレや、経時変化、或いは部品のドリフト、ノイズ等によるコントロール信号の微小な誤差(ズレ)、変動による信号によって意図しないズーム動作が行われてしまうのを防止することができる。
【0022】
そして、コントロール信号が設定電圧Vc以上になった場合は、サムリング34が正当に操作されたものであるとして、スイッチ手段52の接片52Aを接点56側に切り換え(図3参照)、コントロール信号を駆動回路60に導く。こうして、駆動回路60に導かれたコントロール信号に基づいて、サーボモータ62が駆動され、ズームレンズ64がテレ側又はワイド側に移動する。
【0023】
このように、本実施の形態によれば、所定のレベル(設定電圧Vc)に満たない不必要な信号によるレンズの誤動作を防止でき、安定した撮影が可能となる。また、ダイナミックレンジが広い回路に対しても、不安定な部分を有効に遮断することができるという利点がある。
上記実施の形態では、本発明をズームコントローラに適用した場合を例に説明したが、これに限らず、フォーカスコントローラに適用することも可能であり、一般的な速度制御回路に広く応用することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るレンズコントロール装置によれば、コントロール信号のレベルを検出し、所定のレベルに満たない場合には不必要な信号であると見なしてレンズが動作しないように、該コントロール信号を無効とする信号切換手段を設けたので、不必要な信号によるレンズの誤動作を防止することができる。これにより、不測の誤差(ズレ)、変動等による意図しないレンズ動作を防ぐことができ、安定した撮影が可能となる。
【0025】
また、本発明によれば、ダイナミックレンジが広い回路に対しても、不安定な部分を有効に遮断することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るレンズコントロール装置が適用された放送用テレビカメラの斜視図である。
【図2】図2は、ズームコントローラの側面拡大図である。
【図3】図3は、ズームレンズの駆動制御系を示すブロック図である。
【図4】図4は、サムリングの回転角度とコントロール信号の電圧レベルとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…テレビカメラ
12…レンズ部
14…カメラ部
22、23…パン・チルト棒
26…ズームコントローラ
34…サムリング
36…ダイヤル部材
50…信号検出回路
52…スイッチ手段(信号切換手段)
60…駆動回路
62…サーボモータ
64…ズームレンズ
Claims (3)
- モータ駆動によりレンズを移動させてフォーカス動作又はズーム動作を行うテレビカメラのレンズコントロール装置において、
レンズの移動を指令するための操作部材と、
前記操作部材の操作量に応じたコントロール信号を出力する信号発生手段と、
前記信号発生手段から出力されたコントロール信号のレベルを検出する信号検出手段と、
前記コントロール信号に基づいて前記モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路の前段に設けられ、前記信号検出手段による前記コントロール信号の検出の結果に応じて、前記コントロール信号を当該駆動回路に入力させる回路状態と入力させない回路状態とを切り換えるためのスイッチ手段と、
を備え、
前記信号検出手段による前記コントロール信号の検出の結果、前記コントロール信号のレベルが予め設定された所定のレベルに満たない場合に前記スイッチ手段によって前記コントロール信号を前記駆動回路に入力させない回路状態として前記コントロール信号を無効にし、該コントロール信号に基づく前記モータの駆動を禁止する一方、前記信号検出手段による検出の結果、前記コントロール信号のレベルが前記所定のレベル以上の場合に前記スイッチ手段によって前記コントロール信号を前記駆動回路に入力させる回路状態として前記コントロール信号を有効にし、該コントロール信号に基づく前記モータの駆動を許容するように構成されていることを特徴とするレンズコントロール装置。 - 前記レンズは前記信号発生手段から出力されるコントロール信号に基づいて速度制御されることを特徴とする請求項1記載のレンズコントロール装置。
- 前記操作部材の操作量に対するコントロール信号の出力レベルの関係の設定を変更し得る設定変更手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のレンズコントロール装置。
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