JP4787504B2 - レンズ装置 - Google Patents

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本発明はレンズ装置に係り、特に、映像にぼかし効果を与えるためにマスターレンズ群を光軸に沿って進退移動させるレンズ装置に関する。
テレビカメラ等に使用されるレンズ装置は、フォーカスレンズ群、ズームレンズ群、マスターレンズ群及びアイリスを有し、被写体像を受像面上に鮮鋭に結像させるべく、マスターレンズ群を光軸に沿って進退移動させ、フランジバックフォーカスの調整(トラッキング調整ともいう)を行い得るように構成されている。
ところで、このようなレンズ装置では、ズームレンズ群がワイド側の場合にフォーカスレンズ群の位置を調整しても撮影中の映像にぼかし効果を与えることができない。そこで、マスターレンズ群を光軸に沿って移動させることにより、撮影中の映像にぼかし効果を与えることができるようにしたレンズ装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−20179号公報
しかしながら、ワイド側でマスターレンズ群を光軸に沿って移動させても、アイリスが絞られた状態では焦点深度が深いため、所望のぼけ効果を得ることができないという問題がある。またアイリスを開放状態にすると焦点深度は浅くなるが、テレビカメラ本体の撮像素子に入射する光量が多くなってしまい、適正な露出状態で撮影を行うためには複雑な操作が必要となってしまうという問題がある。
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複雑な操作を行うことなく適正な露出状態で撮影ができると共に、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることのできるレンズ装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、フォーカスレンズ群、ズームレンズ群、アイリス及びマスターレンズ群を有し、前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させることにより撮影中の映像にぼかし効果を与えることができるレンズ装置であって、前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させるための操作を行う操作手段と、前記マスターレンズ群の少なくとも一部を駆動させるマスターレンズ駆動手段と、前記アイリスを駆動して前記アイリスの開口径を可変させるアイリス駆動手段と、前記レンズ装置を通過する光量を制限する遮光部材と、前記遮光部材を駆動して前記光量を可変させる遮光部材駆動手段と、前記操作手段に対する操作に基づいて、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記遮光部材駆動手段に対して前記光量を減少させる遮光部材駆動信号を出力する制御手段と、前記マスターレンズ群を移動させるときに前記アイリス及び前記遮光部材に所定の動作をさせるか否かを選択するアイリス連動モード選択手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、操作手段に対する操作に基づいて、マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させると共に、アイリスを開放して焦点深度を浅くし、さらに遮光部材によってレンズ装置を通過する光量を減少させる。これにより、複雑な操作を行うことなく適正な露出状態で撮影ができると共に、所望のぼかし効果を得ることができる。特に、焦点深度の深いワイド側における撮影時にぼかし効果を与える場合に本発明は好適である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレンズ装置であって、前記遮光部材は、NDフィルタであり、前記遮光部材駆動手段は、前記NDフィルタを光軸に対して略垂直の面上を移動させることが可能なNDフィルタ駆動手段であり、前記制御手段は、前記操作手段に対する操作に基づいて、前記NDフィルタ駆動手段に対して前記NDフィルタを光軸上に配置させるNDフィルタ駆動信号を出力することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のレンズ装置であって、前記遮光部材は、シャッターであり、前記遮光部材駆動手段は、前記シャッターの速度を可変させることが可能なシャッター駆動手段であり、前記制御手段は、前記操作手段に対する操作に基づいて、前記シャッター駆動手段に対して前記シャッターの速度を遅くするシャッター駆動信号を出力することを特徴とする。
請求項2及び請求項3の態様のいずれの場合においても、レンズ装置を通過する光量を減少させることができる。これにより、複雑な操作を行うことなく適切な露出状態で撮影ができると共に、所望のぼかし効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレンズ装置であって、さらに、前記アイリスの絞り位置を検出するアイリス位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が絞り側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記遮光部材駆動手段に対して前記光量を減少させる遮光部材駆動信号を出力し、前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が開放側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力すると共に、前記アイリス駆動信号及び前記遮光部材駆動信号を出力しないことを特徴とする。
請求項4の態様によれば、アイリス位置検出手段により検出されたアイリスの絞り位置に応じて、マスターレンズ群、アイリス及び遮光部材が選択的に駆動される。これにより、カメラマンはアイリスの絞り位置を意識することなく、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のレンズ装置であって、さらに、前記ズームレンズ群の位置を検出するズームレンズ位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がワイド側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記遮光部材駆動手段に対して前記光量を減少させる遮光部材駆動信号を出力することを特徴とする。
請求項5の態様によれば、ズームレンズ位置検出手段により検出されたズームレンズ群のズーム位置がワイド側である場合には、マスターレンズ群の駆動と共に、アイリスを開放側に駆動し、さらに遮光部材を駆動してレンズ装置を通過する光量を減少させる。これにより、カメラマンはズームレンズ群のズーム位置を意識することなく、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のレンズ装置であって、さらに、前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレンズ駆動手段を備え、前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がテレ側である場合には、前記フォーカスレンズ駆動手段に対して前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレンズ駆動信号を出力することを特徴とする。
請求項6の態様によれば、ズームレンズ位置検出手段により検出されたズームレンズ群のズーム位置がテレ側である場合には、フォーカスレンズ群を駆動させる。これにより、カメラマンはズームレンズ群のズーム位置を意識することなく、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
請求項7に記載の発明は、フォーカスレンズ群、ズームレンズ群、アイリス及びマスターレンズ群を有し、前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させることにより撮影中の映像にぼかし効果を与えることができるレンズ装置であって、前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させるための操作を行う操作手段と、前記マスターレンズ群の少なくとも一部を駆動させるマスターレンズ駆動手段と、前記アイリスを駆動して前記アイリスの開口径を可変させるアイリス駆動手段と、テレビカメラ本体との通信が可能な通信手段と、前記操作手段に対する操作に基づいて、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記テレビカメラ本体に備えられる撮像素子に入射する光量を制限する光量制限信号を前記通信手段を介して前記テレビカメラ本体に対して出力する制御手段と、前記マスターレンズ群を移動させるときに前記アイリス及び前記テレビカメラ本体に備えられる撮像素子に入射する光量を制限する手段に所定の動作をさせるか否かを選択するアイリス連動モード選択手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項7の態様によれば、レンズ装置はテレビカメラ本体に対して、テレビカメラ本体の撮像素子に入射する光量を制限する光量制限信号を出力する。これにより、テレビカメラ本体は、光量制限信号に基づいて、テレビカメラ本体側に備えられるNDフィルタ等の遮光部材を光軸上に配置したり、撮像素子の感度を下げたりすることができる。この結果、複雑な操作を行うことなく適正な露出状態で撮影ができると共に、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のレンズ装置であって、さらに、前記アイリスの絞り位置を検出するアイリス位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が絞り側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記テレビカメラ本体に対して撮像素子に入射する光量を制限する光量制限信号を出力し、前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が開放側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力すると共に、前記アイリス駆動信号及び前記光量制限信号を出力しないことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載のレンズ装置であって、さらに、前記ズームレンズ群の位置を検出するズームレンズ位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がワイド側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記テレビカメラ本体に対して撮像素子に入射する光量を制限する光量制限信号を出力することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のレンズ装置であって、さらに、前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレンズ駆動手段を備え、前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がテレ側である場合には、前記フォーカスレンズ駆動手段に対して前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレンズ駆動信号を出力することを特徴とする。
請求項8〜10の態様は、それぞれ請求項5〜6の態様と同様に、カメラマンはアイリスの絞り位置やズームレンズ群のズーム位置を意識することなく、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
本発明によれば、操作手段に対する操作に基づいて、マスターレンズ群を光軸に沿って進退移動させると共に、アイリスを開放して焦点深度を浅くし、さらに遮光部材によってレンズ装置を通過する光量を減少させる。これにより、複雑な操作を行うことなく適正なな露出状態で撮影ができると共に、所望のぼかし効果を得ることができる。特に、焦点深度の深いワイド側における撮影時にぼかし効果を与える場合に本発明は好適である。
以下添付図面に従って本発明に係るレンズ装置の好ましい実施の形態を詳述する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレンズ装置の駆動制御系を示すブロック図である。レンズ装置10は、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、アイリス16、NDフィルタ18及びマスターレンズ群20を有し、これらをそれぞれモータ駆動するための駆動回路22、24、26、28、30及びモータ32、34、36、38、40が設けられている。なお、図では便宜上各レンズ群(フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、マスターレンズ群20)は1枚のレンズとして示してあるが実際には1枚又は複数枚のレンズで構成される。
また、このレンズ装置10には、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、アイリス16、NDフィルタ18及びマスターレンズ群20の位置をそれぞれ検出する位置検出手段42、44、46、48、50と、位置検出手段42〜50で得た検出信号をデジタル信号に変換するA/D変換器52と、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、アイリス16、NDフィルタ18及びマスターレンズ群20の駆動を制御する中央処理装置(CPU)54とが設けられている。駆動回路22〜30はCPU54によって制御され、CPU54から加えられる制御信号に応じてモータ32〜40を駆動する。各モータ32〜40の回転駆動力が図示せぬ動力伝達手段を介してフォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、アイリス16、NDフィルタ18及びマスターレンズ群20に伝達されることにより、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、アイリス16、NDフィルタ18及びマスターレンズ群20はそれぞれ所定の動作を行う。すなわち、各レンズ群(12、14、20)は光軸に沿って進退移動し、アイリス16は開口径を開閉動作し、NDフィルタ18は光軸に対して略垂直の面上を移動する。
位置検出手段42〜50には例えばポテンショメータが用いられ、その検出信号はA/D変換器52を介してCPU54に通知される。レンズ装置10を操作・制御するための手段として、ズームコントローラ56、フォーカスコントローラ58及びトラッキングコントローラ60(操作手段に相当)が設けられ、各コントローラ56、58、60から出力される信号はCPU54に入力される。
ズームコントローラ56は、ズームレンズ群14を制御する手段である。ズームコントローラ56は、例えばサムリングと呼ばれる回動操作部材を有するズームレートデマンドタイプであり、中立位置からのサムリングの回動方向と回動量に応じてテレ(Tele)方向又はワイド(Wide)方向のズーム速度を指令する信号(ズーム速度指令信号)を出力する。図には示さないが、このズームコントローラはカメラマンが手元で操作できるように、テレビカメラを支持する雲台に設けられたパン棒のグリップ付近などに取り付けられる。
フォーカスコントローラ58は、フォーカスレンズ群12を制御する手段である。フォーカスコントローラ58は、例えば回転操作部材を有するフォーカスオンデマンドタイプであり、回転操作部材の回転方向と回転量に応じてフォーカスレンズ群14の位置を指令する信号(フォーカス位置指令信号)を出力する。図には示さないが、このフォーカスコントローラもカメラマンが手元で操作できるように、テレビカメラを支持する雲台に適当な取り付け手段を介して取り付けられる。
トラッキングコントローラ60は、マスターレンズ群20を制御する手段である。図2は、トラッキングコントローラ60の一例を示した構成図である。同図に示したトラッキングコントローラ60はスイッチボックスタイプであり、スピード調整つまみ62、位置調整つまみ64、リモートトラッキングスイッチ66、アイリス連動モード選択スイッチ68及びアイリス連動モード表示部69を備えている。スピード調整つまみ62及び位置調整つまみ64は、マスターレンズ群20の移動速度及び位置を調整する手段である。
リモートトラッキングスイッチ66は、マスターレンズ群20の駆動をON/OFFする切替スイッチであって、通常はOFF状態にあり、撮影中の映像にぼかし効果を与える際にON操作される。
アイリス連動モード選択スイッチ68は、マスターレンズ群20を移動させるときにアイリス16及びNDフィルタ18に所定の動作をさせるか否かを選択するスイッチである。アイリス連動モード選択スイッチ68がON側の場合は、アイリス16及びNDフィルタ18はマスターレンズ群20に連動して駆動され、OFF側の場合は、アイリス16及びNDフィルタ18は駆動されないように構成されている。
リモートトラッキングスイッチ66がON操作されたとき、アイリス連動モード選択スイッチ68がON側の場合は、トラッキングコントローラ60は、各つまみ62、64の操作量に応じてマスターレンズ群20の移動速度及び位置を指令する信号(トラッキング指令信号)を出力すると共に、アイリス16及びNDフィルタ18の駆動を指令する信号(アイリス連動指令信号)を出力する。一方、アイリス連動モード選択スイッチ68がOFF側の場合は、トラッキング指令信号のみを出力する。
アイリス連動モード表示部69は、アイリス連動モード選択スイッチ68のON/OFF状態に応じて点灯/消灯する表示手段である。アイリス連動モード表示部69は、アイリス連動モードスイッチ68がON側の場合は点灯し、OFF側の場合は消灯する。カメラマンはアイリス連動モード表示部69の点灯状態を確認することで、マスターレンズ群20の駆動時にアイリス16及びNDフィルタ18が連動して駆動するモードなのか否かを容易に把握することできる。
なお、ズームコントローラ56、フォーカスコントローラ58及びトラッキングコントローラ60は種々の形態が可能であり、具体的な形態は上述のものに限られない。例えば、トラッキングコントローラ60は図2に示したスイッチボックスタイプ以外に、ズームコントローラ56のようなズームレートタイプや、フォーカスコントローラ58のようなフォーカスオンデマンドタイプでもよい。またズームのテレ方向、又はワイド方向をボタン操作で指示するズームコントローラや、ズーム制御機能とフォーカス制御機能とを兼備した制御装置でもよい。また、レンズ装置10にはズームコントローラ56、フォーカスコントローラ58及びトラッキングコントローラ60以外にも、例えば、予め記憶させておいたフォーカス位置及びズーム位置をボタン操作で瞬時に再現するショットボックスなど様々なコントローラ(その他のコントローラ)が接続され得る。
次に、上記の如く構成されたレンズ装置10の作用について説明する。
図3は、CPU54の処理の流れを表すフロー図である。同図に示すように、CPU54の処理が開始されると、まず、種々の初期設定が実行される(ステップS110)。そして、リモートトラッキングスイッチ66の状態を確認する(ステップS112)。リモートトラッキングスイッチ66が押されてON状態であればステップS114に移行し、OFF状態であればステップS112に戻る。
リモートトラッキングスイッチ66がON状態である場合、CPU54はアイリス連動モード選択スイッチ68の状態を確認する(ステップS114)。アイリス連動モード選択スイッチ68がON状態であればステップS116に移行し、OFF状態であればステップS122に移行する。
アイリス連動モード選択スイッチ68がON状態の場合、CPU54は位置検出手段46が検出するアイリス16の開口径に相当する絞り位置をA/D変換器52を介して読み込む(ステップS116)。絞り端から開放端に至るアイリス16の開口の全可動範囲は予め定められた所定の絞り位置を基準として開放側領域と絞り側領域とに2分されており、ステップS116で読み込んだ現在の絞り位置が絞り側領域に属しているか否かが判別される(ステップS118)。現在の絞り位置が絞り側領域に属している場合にはステップ120に移行し、開放側領域に属している場合にはステップ122に移行する。なお、ステップ118において、現在の絞り位置が開放端か否かを判別するようにしてもよい。
アイリス連動モード選択スイッチ68がON状態であり、かつアイリス16の絞り位置が絞り側領域に属している場合、CPU54はマスターレンズ群20を駆動すると共に、アイリス16及びNDフィルタ18を駆動する(ステップS120)。このときアイリス16は開放側に駆動させられ、NDフィルタ18は光軸上に挿入されるように駆動させられる。
一方、アイリス連動モード選択スイッチ68がOFF状態、又はアイリス16の絞り位置が開放側領域に属している場合、CPU54はマスターレンズ群20のみを駆動する(ステップS122)。
このようにアイリス連動モード選択スイッチ68がON状態のときにリモートトラッキングスイッチ66がON操作された場合には、マスターレンズ群20の駆動と共に、アイリス16を開放側に駆動し、さらにNDフィルタ18を光軸上に配置する。アイリス16が開放側に駆動されると焦点深度が浅くなり、NDフィルタ18が光軸上に配置されるとレンズ装置10を通過する光量が減少する。これにより、適正な露出状態で撮影ができると共に、所望のぼかし効果を得ることができる。
なお、撮影開始前にフランジバック調整を行って設定されたマスターレンズ群20のポジション(フランジバック調整位置)は図示しない記憶手段によって記憶することが可能であり、上述のぼかし操作を終えてリモートトラッキングスイッチ66がOFF操作された場合には、記憶手段から位置情報を読み出してマスターレンズ群20を元の位置に復帰する。またアイリス16及びNDフィルタ18についても、それぞれ位置検出手段46、48によりリモートトラッキングスイッチ66がON状態となる前の現在位置を上記記憶手段に記憶しておき、マスターレンズ群20の復帰と共に元の状態に復帰する。
第1の実施形態では、アイリス連動モード選択スイッチ68及びアイリス16の状態に応じて、マスターレンズ群20、アイリス16及びNDフィルタ18を選択的に駆動することにより、複雑な操作を行うことなく適正な露出状態で撮影ができると共に、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。特に、焦点深度の深いワイド側の領域での撮影時には、アイリス連動モード選択スイッチ68をON状態にしておくことにより、マスターレンズ群20、アイリス16及びNDフィルタ18が連動して駆動するので、所望のぼかし効果を容易に得ることができる。なお、マスターレンズ群20の駆動の際には、マスターレンズ群20全体を移動させてもよいし、マスターレンズ群20の一部のレンズを移動させてもよく、後述する第2及び第3の実施形態においても同様である。
また第1の実施形態では、レンズ装置10を通過する光量を制限する遮光部材としてNDフィルタ18を例示したが、これに限定されず、例えば開閉速度を可変させることができるシャッターでもよい。この場合、マスターレンズ群20の駆動と共に、アイリス16を開放側に駆動し、シャッター速度が遅くなるようにシャッターを駆動すればよく、NDフィルタ18と同様に、レンズ装置10を通過する光量を制限することができる。
またレンズ装置10はNDフィルタ18及びシャッターをレンズ装置10に備えてもよい。NDフィルタ18及びシャッターのいずれか一方のみを備える場合に比べて、レンズ装置10を通過する光量をさらに制限することができるので、テレビカメラ本体に備えられる撮像素子が高感度な場合に特に有効である。
〔第2の実施形態〕
図4は、本発明の第2の実施形態におけるCPUの処理の流れを表すフロー図である。本実施形態では、第1の実施形態(図3参照)と異なり、ステップS214においてアイリス連動モード選択スイッチ68がON状態であると判別された場合、CPU54は位置検出手段44が検出するズーム位置をA/D変換器52を介して読み込む(ステップS216)。テレ端からワイド端に至るズームレンズ群14の全可動範囲は予め定められた所定のズーム位置を基準としてテレ側領域とワイド側領域とに2分されており、ステップS216で読み込んだ現在のズーム位置がワイド側領域に属しているか否かが判別される(ステップS218)。現在のズーム位置がワイド側領域に属している場合にはステップS220に移行し、テレ側領域に属している場合にはステップS228に移行する。ステップS218において現在のズーム位置がテレ側領域にあると判別された場合、CPU54はフォーカスレンズ群12を駆動する(ステップS228)。なお図示はしないが、第1の実施形態と同様に、リモートトラッキングスイッチ66がOFF状態となると、マスターレンズ群20、フォーカスレンズ群12、アイリス16及びNDフィルタ18は元の状態に復帰する。
第2の実施の形態では、ズームレンズ群14のズーム位置及びアイリス16の絞り位置に応じて、マスターレンズ群20、アイリス16、NDフィルタ18及びフォーカスレンズ群12を選択的に駆動する。従って、カメラマンはこれらの位置を意識することなく、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
〔第3の実施形態〕
図5は、第3の実施形態におけるレンズ装置10の駆動制御系を示すブロック図である。同図には、テレビカメラ本体70の駆動制御系の概略も表している。本実施形態における撮影レンズ10は、NDフィルタを備えておらず、テレビカメラ本体70にNDフィルタ74が備えられている点で第1の実施形態と異なる。テレビカメラ本体70には、NDフィルタ74の他に、中央処理装置(CPU)72及び撮像素子(CCD)76が備えられている。
テレビカメラ本体70のNDフィルタ74は、不図示の駆動回路及び駆動手段を介して、CPU72からの制御信号に応じて光軸上に配置されるように構成されている。またCCD76は、CPU72からの制御信号に応じて感度が変化するように構成されている。テレビカメラ本体70のCPU72は、レンズ装置10のCPU54とシリアル通信で各種信号を送受信可能に構成されている。従って、レンズ装置10のCPU54からテレビカメラ本体70のCPU72に対して、NDフィルタ74やCCD76に対する制御信号(光量制限信号に相当)を送信することにより、NDフィルタ74やCCD76に所定の動作をさせることができる。なお、図1に示した構成と同一又は類似の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。また図5におけるトラッキングコントローラ60の構成は、図2と同様であるので、図示を省略する。
図6は、レンズ装置10のCPU54の処理の流れを表すフロー図である。本実施形態では、ステップS324、S326の処理以外は、第2の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
ステップS322においてアイリス16の絞り位置が絞り側領域に属していると判別された場合、CPU54はマスターレンズ群20を駆動すると共にアイリス16を開放側に駆動する(ステップS324)。そしてCPU54は、テレビカメラ本体70のCPU72に対して、NDフィルタ74を光軸上に配置すると共に、CCD72の感度を低下させる制御信号(光量制限信号に相当)を送信する(ステップS326)。なおステップS324とステップ326の処理を同時に行ってもよい。テレビカメラ本体70のCPU72は、レンズ装置10のCPU54から制御信号を受信すると、NDフィルタ74を光軸上に配置すると共に、CCD72の感度を低下させる。
このようにして撮影中の映像にぼかし効果を与えることができる。なお、リモートトラッキングスイッチ66がOFF状態となった場合には、第1及び第2の実施形態と同様に、マスターレンズ群20、フォーカスレンズ群12、アイリス16、NDフィルタ74及びCCD72はそれぞれ元の状態に復帰する。
第3の実施形態では、レンズ装置10はテレビカメラ本体70に対して制御信号を送信することができるので、テレビカメラ本体70にNDフィルタ74が設けられている場合にも、ズームレンズ群14のズーム位置及びアイリス16の絞り位置に応じて、レンズ装置10のマスターレンズ群20及びアイリス16と共に、NDフィルタ74を選択的に駆動することができる。従って、カメラマンはこれらの位置を意識することなく、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
また第3の実施形態では、テレビカメラ本体70の撮像素子76の感度も、ズームレンズ群14のズーム位置及びアイリス16の絞り位置に応じて、選択的に変化させることができる。アイリス16を開放し、NDフィルタ74を光軸上に挿入しても、テレビカメラ本体70の撮像素子76の感度に入射する光量が多すぎて所望のぼかし効果を得ることができない場合に対しても、テレビカメラ本体70の撮像素子76の感度を下げることにより、適正な露出状態で撮影ができると共に、撮影中の映像に所望のぼかし効果を与えることができる。
なお第3の実施形態では、テレビカメラ本体70にNDフィルタ74及び撮像素子76が備えられている構成を示したが、撮像素子76のみがテレビカメラ本体70に備えられている場合にも同様に本発明を適用することが可能である。
以上、本発明のレンズ装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってよいのはもちろんである。
第1の実施形態に係るレンズ装置の駆動制御系を示すブロック図である。 トラッキングコントローラの一例を示した構成図である。 第1の実施形態に係るCPUの処理の流れを表すフロー図である。 第2の実施形態に係るCPUの処理の流れを表すフロー図である。 第3の実施形態に係るレンズ装置の駆動制御系を示すブロック図である。 第3の実施形態におけるCPUの処理の流れを表すフロー図である。
符号の説明
10…レンズ装置、12…フォーカスレンズ群、14…ズームレンズ群、16…アイリス、18…NDフィルタ、20…マスターレンズ群、22、24、26、28、30…駆動回路、32、34、36、38、40…モータ、42、44、46、48、50…位置検出手段、54…CPU、56…ズームコントローラ、58…フォーカスコントローラ、60…トラッキングコントローラ、62…スピード調整つまみ、64…位置調整つまみ、66…リモートトラッキングスイッチ、68…アイリス連動モード選択スイッチ、69…アイリス連動モード表示部、70…テレビカメラ本体、72…CPU、74…NDフィルタ、76…撮像素子

Claims (10)

  1. フォーカスレンズ群、ズームレンズ群、アイリス及びマスターレンズ群を有し、
    前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させることにより撮影中の映像にぼかし効果を与えることができるレンズ装置であって、
    前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させるための操作を行う操作手段と、
    前記マスターレンズ群の少なくとも一部を駆動させるマスターレンズ駆動手段と、
    前記アイリスを駆動して前記アイリスの開口径を可変させるアイリス駆動手段と、
    前記レンズ装置を通過する光量を制限する遮光部材と、
    前記遮光部材を駆動して前記光量を可変させる遮光部材駆動手段と、
    前記操作手段に対する操作に基づいて、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記遮光部材駆動手段に対して前記光量を減少させる遮光部材駆動信号を出力する制御手段と、
    前記マスターレンズ群を移動させるときに前記アイリス及び前記遮光部材に所定の動作をさせるか否かを選択するアイリス連動モード選択手段と、
    を備えたことを特徴とするレンズ装置。
  2. 前記遮光部材は、NDフィルタであり、
    前記遮光部材駆動手段は、前記NDフィルタを光軸に対して略垂直の面上を移動させることが可能なNDフィルタ駆動手段であり、
    前記制御手段は、前記操作手段に対する操作に基づいて、前記NDフィルタ駆動手段に対して前記NDフィルタを光軸上に配置させるNDフィルタ駆動信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
  3. 前記遮光部材は、シャッターであり、
    前記遮光部材駆動手段は、前記シャッターの速度を可変させることが可能なシャッター駆動手段であり、
    前記制御手段は、前記操作手段に対する操作に基づいて、前記シャッター駆動手段に対して前記シャッターの速度を遅くするシャッター駆動信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のレンズ装置であって、さらに、
    前記アイリスの絞り位置を検出するアイリス位置検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が絞り側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記遮光部材駆動手段に対して前記光量を減少させる遮光部材駆動信号を出力し、
    前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が開放側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力すると共に、前記アイリス駆動信号及び前記遮光部材駆動信号を出力しないことを特徴とするレンズ装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のレンズ装置であって、さらに、
    前記ズームレンズ群の位置を検出するズームレンズ位置検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がワイド側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記遮光部材駆動手段に対して前記光量を減少させる遮光部材駆動信号を出力することを特徴とするレンズ装置。
  6. 請求項5に記載のレンズ装置であって、さらに、
    前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレンズ駆動手段を備え、
    前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がテレ側である場合には、前記フォーカスレンズ駆動手段に対して前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレンズ駆動信号を出力することを特徴とするレンズ装置。
  7. フォーカスレンズ群、ズームレンズ群、アイリス及びマスターレンズ群を有し、
    前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させることにより撮影中の映像にぼかし効果を与えることができるレンズ装置であって、
    前記マスターレンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って進退移動させるための操作を行う操作手段と、
    前記マスターレンズ群の少なくとも一部を駆動させるマスターレンズ駆動手段と、
    前記アイリスを駆動して前記アイリスの開口径を可変させるアイリス駆動手段と、
    テレビカメラ本体との通信が可能な通信手段と、
    前記操作手段に対する操作に基づいて、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記テレビカメラ本体に備えられる撮像素子に入射する光量を制限する光量制限信号を前記通信手段を介して前記テレビカメラ本体に対して出力する制御手段と、
    前記マスターレンズ群を移動させるときに前記アイリス及び前記テレビカメラ本体に備えられる撮像素子に入射する光量を制限する手段に所定の動作をさせるか否かを選択するアイリス連動モード選択手段と、
    を備えたことを特徴とするレンズ装置。
  8. 請求項7に記載のレンズ装置であって、さらに、
    前記アイリスの絞り位置を検出するアイリス位置検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が絞り側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記テレビカメラ本体に対して撮像素子に入射する光量を制限する光量制限信号を出力し、
    前記アイリス位置検出手段により検出された前記アイリスの絞り位置が開放側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力すると共に、前記アイリス駆動信号及び前記光量制限信号を出力しないことを特徴とするレンズ装置。
  9. 請求項7又は請求項8に記載のレンズ装置であって、さらに、
    前記ズームレンズ群の位置を検出するズームレンズ位置検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がワイド側である場合には、前記マスターレンズ駆動手段に対して前記マスターレンズ群を駆動させるマスターレンズ駆動信号を出力し、前記アイリス駆動手段に対して前記アイリスを開放側に駆動させるアイリス駆動信号を出力し、前記テレビカメラ本体に対して撮像素子に入射する光量を制限する光量制限信号を出力することを特徴とするレンズ装置。
  10. 請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のレンズ装置であって、さらに、
    前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレズ駆動手段を備え、
    前記制御手段は、前記ズームレンズ位置検出手段により検出された前記ズームレンズ群のズーム位置がテレ側である場合には、前記フォーカスレンズ駆動手段に対して前記フォーカスレンズ群を駆動させるフォーカスレンズ駆動信号を出力することを特徴とするレンズ装置。
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