JP4366572B2 - レンズ制御システム - Google Patents

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Description

本発明はレンズ制御システムに係り、特に一軸二操作棒の操作に基づいて撮影レンズのフォーカスやズームを制御するレンズ制御システムに関する。
従来、放送用テレビカメラに使用される箱型のレンズ装置(EFPレンズ)において、フォーカス操作やズーム操作等のレンズ操作方式として一軸二操作式と呼ばれる操作方式が知られている。一軸二操作式では一般にレンズ装置から延設された一軸二操作棒を押し引き操作することでズーム操作を行い、一軸二操作棒を回転操作することでフォーカス操作を行うことができるようになっている。このような一軸二操作式の操作は、迅速なズーム操作が可能であるためスポーツ中継等のように瞬時の画角変更が要求される撮影において多く使用されている。
また、一軸二操作式は、通常、操作棒に加えられた操作力をフォーカスレンズやズームレンズの駆動力としてメカ的に伝達する機構となっており、それらのレンズを電動で駆動する場合には、フォーカスデマンドやズームデマンドなどの電動用のコントローラが用いられている。これに対して、一軸二操作棒の操作を電気的に検出し、その検出信号に基づいてフォーカスレンズやズームレンズを電動で駆動できるようにした操作ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、一軸二操作式の操作に慣れているカメラマンでも容易に電動駆動のレンズ操作を行うことができ、また、電動駆動の機構を設ければ、一軸二操作式と一般的な電動用コントローラでのレンズ操作を容易に選択可能にすることができるため、レンズの駆動機構が簡素化されるという利点がある。
特開2000−227539号公報
ところで、一軸二操作式では、一軸二操作棒の押し引き操作でズーム操作を行うことができ、通常は、操作棒をメカ的な規制端(メカ端)まで押し込むとズームがテレ端まで移動し、逆のメカ端まで引き出すとズームがワイド端まで移動するようになっている。
一方、近年ではズーム倍率も高倍率化しており、撮影状況によってはテレ側のメカ端まで操作棒を押し込む必要がほとんどないという場合が生じている。野球中継で打球を追う場合等では瞬時にズームアップするため、カメラマンはテレ側のメカ端で規制される位置まで操作棒を瞬時に押し込むようにしているが、メカ端でのズーム倍率が意図する以上に大きい場合にはそのような操作を行うことができない。そのため、メカ端に当たる前に操作棒を停止させる必要があり、モニタ等で実際の映像を見ながら操作を行うか、または、意図したズーム倍率となる操作棒の位置を事前に確認して感覚的に覚えておく等の対応が必要となり、操作が難しくなるという問題があった。
また、撮影で必要なズーム範囲(ズーム倍率の範囲)は撮影状況によって異なり、上述のようにテレ側に使用しないズーム範囲が生じる場合だけでなく、ワイド側に使用しないズーム範囲が生じる場合もある。このようにワイド端からテレ端までの全ズーム範囲に対して一部のズーム範囲でズームを使用する場合、操作棒の押し引き操作もその全操作範囲のうちの一部の操作範囲で操作することになる。従って、そのような撮影状況では、操作棒の押し引き操作の全操作範囲に対して使用しない操作範囲が生じる。仮に撮影に使用するズーム範囲と操作棒の押し引き操作の全操作範囲とが完全に対応している場合と比較すると、一部の操作範囲しか使用しない場合には単位操作量当たりのズーム変化量が大きくなるため(操作感度が高い)、微調整が行い難く、また、所定範囲以外のズーム範囲での使用を完全に禁止したいという場合に、使用を禁止したいズーム範囲に対応する操作棒の操作範囲がメカ端によって制限されないため誤って禁止したいズーム範囲を使用する恐れもある。
フォーカス操作に関してもズーム操作の場合と同様に撮影状況によって撮影に使用するフォーカス範囲が一部の範囲に限られる場合があり、そのとき、操作棒の回転操作の範囲に不要な部分が生じるという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、一軸二操作式によるレンズ操作の操作性の向上を図るレンズ制御システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮影光学系のズームレンズ又はフォーカスレンズを一軸二操作棒の押し引き操作又は回動操作に基づいて電動で制御するレンズ制御システムにおいて、前記操作棒の押し引き操作又は回動操作の全操作範囲に対する前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲を、全移動範囲のうちの一部の範囲に制限する制限手段を備え、前記制限手段は、前記一軸二操作棒が前記全操作範囲の端位置まで操作されると前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲を制限するために指定されたリミット位置に当該ズームレンズ又はフォーカスレンズが設定されるように制御する制御回路を備えること、を特徴としている。これによれば、撮影に必要なズーム範囲やフォーカス範囲のみを一軸二操作棒の全操作範囲の操作で使用することができるようになるため、一軸二操作棒の操作範囲を有効に使用することができると共に、使用を禁止したいズーム範囲やフォーカス範囲の使用を確実に防止できるようになる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲を制限する制限位置を所望の位置に設定する設定手段を備えたことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲の制限を解除するための指示手段を備え、該指示手段によって制限の解除が指示された後、前記一軸二操作棒が前記全操作範囲の端位置まで操作されると、該全操作範囲の端に対応する制限位置と反対側の制限位置による移動範囲の制限を解除することを特徴としている。これによれば、移動範囲の制限を解除した際に一軸二操作棒の操作位置をズームレンズ又はフォーカスレンズの位置との対応が変わり、一軸二操作棒を操作しないにもかかわらずレンズが移動するという現象を防止することができる。
本発明によれば、一軸二操作棒の操作範囲を有効に使用することができる等、操作性の向上を図ることができる。
以下添付図面に従って、本発明に係るレンズ制御システムの好ましい実施の形態について詳説する。
本実施の形態で説明するテレビカメラシステムは、撮影状況やカメラマンの好みで一軸二操作式の操作方式と、一軸二操作式ではない一般的な電動駆動用のコントローラ(ズームデマンド及びフォーカスデマンド)の操作方式のいずれかを選択し、その選択した操作方式によりズーム操作及びフォーカス操作を行えるようにしたもので、図1は一軸二操作式の操作方式を使用する場合、図2はコントローラの操作方式を使用する場合についてテレビカメラシステム全体の構成を示した斜視図である。これらの図に示すようにテレビカメラ10はレンズ装置12とカメラ本体14とから構成され、レンズ装置12は、雲台22に載置されたカメラ本体14の正面側に装着される。図1に示すように一軸二操作式で操作を行う場合、レンズ装置12の背面側(カメラ本体14に装着される面)には一軸二操作棒16(以下、操作棒16という)が設置され、その操作棒16は、カメラ本体14に形成された操作棒挿通孔14A(図2参照)を貫通してカメラ本体14の背面側に突出される。カメラマンは、カメラ本体14のビューファインダ20に映る映像を見ながら、この操作棒16の指掛部18を把持して操作棒16を押し引き操作することでズーム操作を行うことができ、また、指掛部18を回動操作し、操作棒16の軸を回動させることでフォーカス操作を行うことができる。
図2に示すようにコントローラで操作を行う場合、雲台22から延設されたパンチルト棒24A、24Bの先端にそれぞれズームデマンド26とフォーカスデマンド28が設置される。ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28からは、それぞれズーム速度を指令するズーム速度指令信号とフォーカス位置を指令するフォーカス位置指令信号が出力され、これらの指令信号はケーブルを介してレンズ装置12に送信される。カメラマンは、ズームデマンド26のサムリング26Aを親指で回動操作することによりズーム操作を行うことができ、フォーカスデマンド28のフォーカスノブ28Aを回動操作することでフォーカス操作を行うことができる。
図3は、図1のように操作棒16により一軸二操作式の操作方式でレンズ操作を行う場合において、操作棒16の押し引き操作及び回動操作を電気的に検出する一軸二操作式ユニットをレンズ装置12内に配置した状態を示した平面断面図である。同図に示すようにレンズ装置12を覆うカバー30、32内にレンズ鏡胴34が設置され、そのレンズ鏡胴34の側面に一軸二操作式ユニット36がネジ37、37により設置される。この一軸二操作式ユニット36の内部には、操作棒16の押し引き操作及び回動操作の操作位置を電気的に検出するポテンショメータが設置され、そのポテンショメータから出力された電気信号は一軸二操作式ユニット36側のコネクタ38からレンズ鏡胴34側のコネクタ40に入力される。後述するようにレンズ鏡胴34内のズームレンズ及びフォーカスレンズはこの一軸二操作式ユニット36から入力された電気信号によりモータ駆動されるため、操作棒16の押し引き操作及び回動操作に基づいてズーム及びフォーカスの制御が電動により行われるようになっている。
また、一軸二操作式ユニット36はレンズ装置12の組み立て時においてレンズ鏡胴34に固定されるが、操作棒16は一軸二操作式ユニット36に対して着脱自在になっている。従って、図2のようにコントローラでレンズ操作を行う場合には、操作棒16だけをレンズ装置12から取り外すことができるようになっている。また、一軸二操作式ユニット36に操作棒16を装着した場合、図1のように操作棒16は、カメラ本体14に形成された操作棒挿通孔14Aを貫通する位置に配置される。この位置は、従来から手動操作用の一軸二操作式の操作棒が装着される位置と同じであるため、操作棒16の使い勝手は手動操作用のものと相違しない。
図4は、主に上記レンズ装置12により構築されるレンズ制御システムの構成を示した図である。同図に示すように上記一軸二操作式ユニット36や、上記コントローラ70(ズームデマンド26及びフォーカスデマンド28)は、レンズ装置12内において切替回路72を介して制御回路74に接続される。切替回路72は、一軸二操作式ユニット36とコントローラ70のうちいずれか一方を制御回路74に接続するもので、この切替回路72の接続の切り替えは、選択する操作方式に応じてカメラマンがスイッチ等によって行うことができるようになっている。
切替回路72によってコントローラ70が制御回路74に接続された場合には、ズームデマンド26からのズーム速度指令信号とフォーカスデマンド28からのフォーカス位置指令信号が制御回路74に入力される。一方、一軸二操作式が制御回路74に接続された場合には、一軸二操作式ユニット36から制御回路74に操作棒16の押し引き操作に基づくズーム位置指令信号と、操作棒16の回転操作に基づくフォーカス位置指令信号が入力される。
レンズ鏡胴34の撮影光学系には、前方から順にフォーカスレンズ50、バリエータレンズ52A、コンペンセータレンズ52B等が配置されており、フォーカスレンズ50は、その支持枠54がリードネジ56に連結され、フォーカスモータ58によってリードネジ56が回動すると、光軸Pに沿って前後動するようになっている。このようにフォーカスレンズ50が変位することにより、撮影距離(被写体距離)が変化する。
バリエータレンズ52A及びコンペンセータレンズ52Bは、ズームレンズ52を構成するレンズで、これらの支持枠に突設されたカムピン52C、52Dがカム筒60のカム溝60A、60Bに係合される。ズームモータ62によってカム筒60が回動すると、バリエータレンズ52A及びコンペンセータレンズ52Bがカム溝60A、60Bで規制される位置関係により光軸に沿って前後動するようになっている。このようにズームレンズ52が変位することにより、ズーム倍率(焦点距離)が変化する。
上記制御回路74は、リードネジ56に設置されたフォーカスポテンショメータ64によってフォーカスレンズ50の位置(フォーカス位置)を検出すると共にカム筒60に設置されたズームポテンショメータ66によってズームレンズ52の位置(ズーム位置)を検出しながら、フォーカスモータ58とズームモータ62を駆動し、フォーカスレンズ50及びズームレンズ52の位置や速度を制御する。
例えば、切替回路72によって制御回路74にコントローラ70が接続されている場合、制御回路74は、ズームデマンド26から与えられたズーム速度指令信号の示す目標速度が得られるように目標位置を決め、その目標位置とズームポテンショメータ66によって検出したズーム位置との差分が0となるように、ズームモータ62を駆動してズームレンズ52を移動させる。これにより、ズームレンズ52がズームデマンド26の操作に従ってモータ駆動される。また、制御回路74は、フォーカスデマンド28から入力されたフォーカス位置指令信号の示す目標位置と、フォーカスポテンショメータ64によって検出したフォーカス位置との差分が0となるように、フォーカスモータ58を駆動してフォーカスレンズ50を移動させる。これにより、フォーカスレンズ50がフォーカスデマンド28の操作に従ってモータ駆動される。
一方、切替回路72によって制御回路74に一軸二操作式ユニット36が接続されている場合、制御回路74は、構成の詳細を後述する一軸二操作式ユニット36により操作棒16の押し引き操作に基づいて与えられたズーム位置指令信号の示す目標位置と、ズームポテンショメータ66によって検出したズーム位置との差分が0となるように、ズームモータ62を駆動してズームレンズ52を移動させる。これにより、ズームレンズ52が操作棒16の押し引き操作に従ってモータ駆動される。また、制御回路74は、一軸二操作式ユニット36により操作棒16の回動操作に基づいて与えられたフォーカス位置指令信号の示す目標位置と、フォーカスポテンショメータ64によって検出したフォーカス位置との差分が0となるように、フォーカスモータ58を駆動してフォーカスレンズ50を移動させる。これにより、フォーカスレンズ50が操作棒16の回動操作に従ってモータ駆動される。
尚、ズームレンズ52やフォーカスレンズ50の位置や速度を制御するための手段や方法は、上述した手段や方法に限らない。
次に、一軸二操作式ユニット36の構成について説明すると、操作棒16は、回動自在に軸支された中空軸80の内部に摺動自在に挿入される。中空軸80には、長手方向のキー溝孔80Aが形成されており、操作棒16の先端に固着されたピン82がキー溝孔80Aに係合される。従って、操作棒16が回動操作されると、これに連動して中空軸80が回動する。
また、中空軸80には移動枠84が嵌装され、ピン82の先端は、その移動枠84の内周に形成された周方向の溝84Aに係合される。移動枠84の凸部84Bには、プーリ86Aとプーリ86Bに巻きかけられたワイヤ88の一部が固着される。従って、操作棒16が押し引き操作されると、これと連動してプーリ86A、86Bが回動する。
上記中空軸80とプーリ86Bには、それぞれの回転位置を検出するフォーカス用ポテンショメータ90と、ズーム用ポテンショメータ92が設置されており、これらのポテンショメータ90、92は、コネクタ38、40を介して切替回路72に接続される。従って、制御回路74には、操作棒16の押し引き操作の操作位置に対応した電圧値のズーム位置指令信号がズーム用ポテンショメータ92から与えられると共に、操作棒16の回動操作の操作位置に対応した電圧値のフォーカス位置指令信号が与えられるようになっている。
続いて、切替回路72によって制御回路74に一軸二操作式ユニット36が接続されている場合のズームリミット機能について説明する。レンズ装置12のカバーの所定位置には、ズームリミット機能のオン/オフを切り替えるズームリミットオン/オフスイッチS1、ズーム範囲のワイド側のリミット位置を指定するワイド側リミット位置指定スイッチS2、ズーム範囲のテレ側のリミット位置を指定するテレ側リミット位置指定スイッチS3、リミット位置を設定、変更するモードをオン/オフするリミット設定モードスイッチS4が設けられており、それらのスイッチS1〜S4のオン/オフ状態は図4に示されているように制御回路74によって読み取られるようになっている。尚、これらのスイッチS1〜S4は操作棒16等の他の位置に配置するようにしてもよい。
制御回路74は、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオフに設定されている場合には、ズームリミット機能を無効にする。即ち、操作棒16の押し引き操作の全操作範囲に対して変更可能なズームレンズ52の移動範囲(ズーム範囲)を全範囲に設定し、本レンズ装置12が本来の性能として有する最小ズーム倍率から最大ズーム倍率までの全ズーム範囲においてズーム位置の変更を可能にする。図5には、操作棒16の押し引き操作の操作位置を検出する上記ズーム用ポテンショメータ92の出力値(ズーム位置指令信号の電圧値)の範囲(同図(A))と、ズームレンズ52の位置を検出する上記ズームポテンショメータ66の出力値(現在のズーム位置を示す電圧値)の範囲(同図(B))が示されている。尚、ズーム用ポテンショメータ92の出力値、即ち、ズーム位置指令信号の電圧値を、以下、操作棒16の操作位置を示す値、又は、操作位置の値といい、ズームポテンショメータ66の出力値、即ち、現在のズーム位置を示す電圧値を、以下、ズーム位置を示す値、又は、ズーム位置の値という。
同図(A)に示すように操作棒16をワイド側のメカ端で規制される位置まで引き出したときの操作棒16の操作位置を示す値をXW(例えば−2V)とし、操作棒16をテレ側のメカ端で規制される位置まで押し込んだときの操作棒16の操作位置を示す値をXT(例えば2V)とする。一方、同図(B)に示すようにズームレンズ52がレンズ装置12の本来の性能として最小のズーム倍率、即ち、1倍となるときの位置(ズームリミット機能が無効の状態でズームレンズ52がそれ以上ワイド側に移動しない位置であり、以下、ワイド端位置という)まで移動したときのズーム位置を示す値をZW(例えば−2V)とし、ズームレンズ52がレンズ装置12の本来の性能として最大のズーム倍率となるときの位置(ズームリミット機能が無効の状態でズームレンズ52がそれ以上テレ側に移動しない位置であり、以下、テレ端位置という)まで移動したときのズーム位置を示す値をZT(例えば2V)とする。
ズームリミットオン/オフスイッチS1がオフに設定されている場合において、制御回路74には、一軸二操作式ユニット36からズーム位置指令信号として操作棒16の操作位置を示す値X(XW〜XT)が与えられる。そのとき、制御回路74は、ズームの目標位置を示す値Z0を、例えば、次式、
Z0=(ZT−ZW)・(X−XW)/(XT−XW)+ZW …(1)
により求める。そして、ズームポテンショメータ66から得られるズーム位置を示す値Zが目標位置Z0と等しくなるようにズームモータ62を駆動してズームレンズ52を移動させる。
従って、操作棒16がワイド側のメカ端で規制される位置まで引き出されてその操作位置を示す値XW(X=XW)が一軸二操作式ユニット36から制御回路74に与えられると、ズームの目標位置を示す値Z0がZWとなり、ズームレンズ52が最小のズーム倍率となるワイド端位置に移動する。
これに対して、操作棒16がテレ側のメカ端で規制される位置まで押し込まれてその操作位置を示す値XT(X=XT)が一軸二操作式ユニット36から制御回路74に与えられると、ズームの目標位置を示す値Z0がZTとなり、ズームレンズ52が最大のズーム倍率となるテレ端位置に移動する。
即ち、図5に示すように操作棒16のワイド側のメカ端からテレ側のメカ端までの全操作範囲に対してズーム位置がワイド端位置(最小のズーム倍率)からテレ端位置までの全ズーム範囲で変化する。
尚、上式(1)では説明を簡単にするために操作棒16の操作位置に対して線形的にズーム位置を変化させる場合を示したが、曲線的に変化させるようにしてもよく、上式(1)で表されるズーム制御の場合に限らない。
一方、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンに設定されている場合には、ズームリミット機能が有効になる。即ち、操作棒16の押し引き操作の全操作範囲に対して変更可能なズーム範囲が全ズーム範囲内のうちの指定されたズーム範囲内に制限される。図6は、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンの場合にワイド側とテレ側の一部のズーム範囲を使用しないように制限したときの操作棒16の操作位置とズーム位置との対応関係を示した図である。例えば、同図(B)に示すように全ズーム範囲のうち、ワイド側のリミット位置aとテレ側のリミット位置bを後述する方法により指定すると、リミット位置aよりもワイド側のズーム範囲にズームレンズ52が移動しないようになり、リミット位置bよりもテレ側のズーム範囲にズームレンズ52が移動しないようになっている。ここで、ズーム範囲を制限するために指定されたワイド側のリミット位置aをワイド側リミット位置といい、テレ側のリミット位置bをテレ側リミット位置というものとする。
ワイド側リミット位置aの値をZa、テレ側リミット位置bの値をZbとすると、制御回路74は、操作棒16の操作位置を示す値Xに対して、ズームの目標位置を示す値Z0を、例えば、上式(1)のZWをZaに代え、ZTをZbに代えた次式、
Z0=(Zb−Za)・(X−XW)/(XT−XW)+Za …(2)
により求める。そして、ズームポテンショメータ66から得られるズーム位置を示す値Zが目標位置Z0と等しくなるようにズームモータ62を駆動してズームレンズ52を移動させる。
従って、操作棒16がワイド側のメカ端で規制される位置まで引き出され、その操作位置を示す値XW(X=XW)が与えられると、ズームの目標位置を示す値Z0はワイド側リミット位置aの値Zaとなり、ズームレンズ52はワイド側リミット位置aに設定される。一方、操作棒16がテレ側のメカ端で規制される位置まで押し込まれてその操作位置を示す値XT(X=XT)が与えられると、ズームの目標位置を示す値Z0はテレ側リミット位置bの値Zbとなり、ズームレンズ52はテレ側リミット位置bに設定される。
即ち、図6に示すように操作棒16のワイド側のメカ端からテレ側のメカ端までの全操作範囲に対してズーム位置がワイド端位置からテレ端位置までの全ズーム範囲よりも狭いワイド側リミット位置からテレ側リミット位置までのズーム範囲で変化する。尚、ワイド側リミット位置やテレ側リミット位置はワイド端位置やテレ端位置に一致させておくことも可能であり、全ズーム範囲のうち、ワイド側又はテレ側の一方だけのズーム範囲を制限することもできる。
続いて、ワイド側リミット位置及びテレ側リミット位置の設定について説明すると、制御回路74は、リミット設定モードスイッチS4がオンされると、ワイド側リミット位置又はテレ側リミット位置を設定、変更するリミット設定モードの処理に移行する。尚、リミット設定モードへの移行は、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンかオフかにかかわらず可能である。制御回路74は、リミット設定モードの場合(リミット設定モードスイッチS4がオンの場合)においても、リミット設定モードスイッチS4がオフの場合と同様により操作棒16の操作位置に基づいてズームレンズ52を制御する。ただし、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンされ、ズーム範囲が全ズーム範囲の一部に制限されている場合には、ズーム範囲の制限を一旦解除し、操作棒16の押し引き操作に対して全ズーム範囲でズーム位置を変化させる。即ち、上式(1)に基づいてズーム制御を行う。そして、リミット設定モードにおいてワイド側リミット位置指定スイッチS2がオンされた場合にはそのときのズーム位置の値を上記ワイド側リミット位置の値Zaとして設定(記憶)する。テレ側リミット位置指定スイッチS3がオンされた場合にはそのときのズーム位置の値を上記テレ側リミット位置の値Zbとして設定(記憶)する。
従って、操作者は、リミット設定モードにおいて操作棒16を押し引き操作して所望のズーム位置にズームを設定し、ワイド側リミット位置指定スイッチS2又テレ側リミット位置指定スイッチS3をオンすることによってそのズーム位置をワイド側リミット位置又はテレ側リミット位置として設定することができる。ワイド側リミット位置とテレ側リミット位置の両方について上記操作を行うことでワイド側リミット位置とテレ側リミット位置の両方の設定を行うことができ、もし、一方のリミット位置(ワイド側リミット位置又はテレ側リミット位置)についての設定だけを行った場合には他方のリミット位置は本来のズーム端位置(ワイド端位置又はテレ端位置)に設定される。
リミット設定モードが解除され、かつ、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンに設定されると、制御回路74は上述のように設定したワイド側リミット位置の値Za及びテレ側リミット位置の値Zbに基づいて操作棒16の全操作範囲に対する変更可能なズーム範囲をワイド側リミット位置からテレ側リミット位置の間に制限する。
尚、ワイド側リミット位置やテレ側リミット位置の候補を事前に記憶しておき、それらの候補の中から所望のリミット位置を選択できるようにしてもよい。
次に、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンからオフに切り替わり、ズームリミット機能のオフが指示されたときの処理について説明する。前提として、まず、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンされており、図6で例示した状態と同様の状態にあるものとする。即ち、図7(A)に示すように操作棒16の全操作範囲に対して同図(B)に示すようにズーム範囲がワイド側リミット位置a(値Za)からテレ側リミット位置b(Zb)までの間に制限されているものとする。また、操作棒16の現在の操作位置が同図(A)の値Xの位置に設定され、現在のズーム位置が操作棒16の操作位置に対応した同図(B)の値Zの位置に設定されているものとする。
今、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオフに切り替えられズーム範囲の制限の解除が指示されたとすると、制御回路74は、操作棒16がワイド側のメカ端又はテレ側のメカ端のいずれかに当接するまではワイド側リミット位置aからテレ側リミット位置bまでの間にズーム範囲を制限した上式(2)に基づくズーム制御を継続して実行する。一方、操作者が例えば、操作棒16をワイド側に引き出し、操作棒16がワイド側のメカ端の位置に当接したとすると、制御回路74は、操作棒16がメカ端に当接したワイド側と反対のテレ側リミット位置bによるズーム範囲の制限を解除する。即ち、操作棒16がワイド側のメカ端に当接すると、制御回路16は、上式(2)においてテレ側リミット位置bの値Zbをテレ端位置の値ZTに変更した次式、
Z0=(ZT−Za)・(X−XW)/(XT−XW)+Za …(3)
によりズーム制御を開始する。これによって、同図(C)に示すようにテレ側リミット位置bによる制限が解除され、変更可能なズーム範囲がワイド側リミット位置aからテレ端位置までの間の範囲に拡大する(テレ側リミット位置bがテレ端位置に変更される)。
一方、操作者が、操作棒16をテレ側に押し込み、操作棒16がテレ側のメカ端の位置に当接したとすると、制御回路74は、操作棒16がメカ端に当接したテレ側と反対のワイド側リミット位置aによるズーム範囲の制限を解除する。即ち、操作棒16がテレ側のメカ端に当接すると、制御回路16は、上式(2)においてワイド側リミット位置の値Zaをワイド端位置の値ZWに変更した次式、
Z0=(Zb−ZW)・(X−XW)/(XT−XW)+ZW …(4)
によりズーム制御を開始する。これによって、同図(D)に示すようにワイド側リミット位置aによる制限が解除され、変更可能なズーム範囲がワイド端位置からテレ側リミット位置までの間の範囲に拡大する(ワイド側リミット位置aがワイド端位置に変更される)。
このように操作棒16をワイド側とテレ側のメカ端に当接させる操作を所望の順序で行うことによって、全ズーム範囲を変更可能なズーム範囲とする場合の上式(1)に基づいてズーム制御が行われるようになり、ズーム範囲の制限が解除される。これによれば、ズームリミットオン/オフスイッチS1をオンからオフに切り替えた際に、操作棒16の操作なくズーム位置が変化することがなく、自然な状態でズーム範囲の制限を解除することができる。
尚、上記実施の形態では、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンからオフに切り替えられた後、操作棒16がメカ端に当接した場合にその端とは逆端側のズーム範囲の制限を解除するという方法(以下、第1の方法という)を採用したがこれに限らず、他の方法によってズーム範囲の制限(ズームリミット)を解除するようにしてもよい。例えば、ズームリミットオン/オフスイッチS1がオンからオフに切り替わると、操作棒16の全操作範囲に対して全ズーム範囲を変更可能なズーム範囲とする上式(1)に基づくズーム制御に即座に切り替える方法(以下、第2の方法という)を採用してもよい。
また、図8に示すようにズームリミットオン/オフスイッチS1がオンからオフに切り替えられたときの操作棒16の操作位置とズーム位置とをP点で表すとすると、操作棒16がワイド側のメカ端に当接するまでの操作に対して直線LWで示すようにズーム位置をワイド端位置までP点から変化させるようにし、操作棒16がテレ側のメカ端に当接するまでの操作に対して直線LTで示すようにズーム位置をテレ端位置までP点から変化させるようにし、操作位置がワイド端位置又はテレ端位置に到達したら上式(1)に基づいてズーム制御を行うようにしてもよい。尚、同図には、ズームリミット機能がオフとオンの場合における操作位置とズーム位置との関係が鎖線で示されている。また、このようにズームリミットを解除する場合において、操作棒16の現在の操作位置からワイド側又はテレ側のメカ端までの操作量に対してズーム位置の変化量が所定量より大きくなる場合には、わずかな操作によってズーム位置が大きく変化するのを防止するため、その方向への操作に対してズームリミット機能が有効のときのズーム制御を継続して行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態ではズームリミットオン/オフスイッチS1がオンからオフに切り替えられた際にズームリミットを解除するときの処理について説明したが、これに限らず、例えば、ズームリミットオン/オフスイッチS1によりズームリミットを解除する際には上記第2の方法のように特別な処理を行うことなくズームリミットを即座に解除するようにし、ズームリミットオン/オフスイッチS1とは異なる所定の解除指示スイッチがオンされた場合に上記第1の方法や第3の方法等によりズームリミットを解除するようにしてもよい。また、ズームリミットを解除する複数の方法のうちから所望の方法を選択できるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、一軸二操作棒16の押し引き操作の操作範囲とズームレンズ52の移動範囲との関係について説明したが、一軸二操作棒16の回動操作の操作範囲とフォーカスレンズ50の移動範囲との関係についても同様に本発明を適用することができる。
図1は、一軸二操作式の操作方式を使用した場合のテレビカメラシステム全体の構成を示した斜視図である。 図2は、コントローラの操作方式を使用した場合のテレビカメラシステム全体の構成を示した斜視図である。 図3は、一軸二操作式ユニットの配置を示したレンズ装置の平面断面図である。 図4は、主にレンズ装置により構築されるレンズ制御システムの構成図である。 図5は、ズームリミット機能が無効のときの操作棒の操作位置とズーム位置との対応関係を示した図である。 図6は、ズームリミット機能が有効のときの操作棒の操作位置とズーム位置との対応関係を示した図である。 図7は、ズームリミット機能のオフが指示されたときの処理の説明に使用した図である。 図8は、ズームリミット機能をオフにする際の処理の説明に使用した図である。
符号の説明
10…テレビカメラ、12…レンズ装置、14…カメラ本体、16…一軸二操作棒、18…指掛部、26…ズームデマンド、28…フォーカスデマンド、34…レンズ鏡胴、36…一軸二操作式ユニット、50…フォーカスレンズ、52…ズームレンズ、58…フォーカスモータ、62…ズームモータ、64…フォーカスポテンショメータ、66…ズームポテンショメータ、70…コントローラ、72…切替回路、74…制御回路、90…フォーカス用ポテンショメータ、92…ズーム用ポテンショメータ、S1…ズームリミットオン/オフスイッチ、S2…ワイド端設定スイッチ、S3…テレ側リミット位置指定スイッチ、S4…リミット設定モードスイッチ

Claims (3)

  1. 撮影光学系のズームレンズ又はフォーカスレンズを一軸二操作棒の押し引き操作又は回動操作に基づいて電動で制御するレンズ制御システムにおいて、
    前記操作棒の押し引き操作又は回動操作の全操作範囲に対する前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲を、全移動範囲のうちの一部の範囲に制限する制限手段を備え
    前記制限手段は、前記一軸二操作棒が前記全操作範囲の端位置まで操作されると前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲を制限するために指定されたリミット位置に当該ズームレンズ又はフォーカスレンズが設定されるように制御する制御回路を備えること、
    を特徴とするレンズ制御システム。
  2. 前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲を制限する制限位置を所望の位置に設定する設定手段を備えたこと
    を特徴とする請求項1のレンズ制御システム。
  3. 前記ズームレンズ又はフォーカスレンズの移動範囲の制限を解除するための指示手段を備え、該指示手段によって制限の解除が指示された後、前記一軸二操作棒が前記全操作範囲の端位置まで操作されると、該全操作範囲の端に対応する制限位置と反対側の制限位置による移動範囲の制限を解除すること
    を特徴とする請求項1又は2のレンズ制御システム。
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