JP3840145B2 - 連続直状孔の穿孔方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物などの被穿孔対象物に真っ直ぐな孔を連続直状に穿設する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、既設の鉄筋コンクリート構造物中に配管類等を通す場合、該鉄筋コンクリート構造物に予め、配管類等を挿通させるための連続直状の孔をボーリング機を用いて穿設することが行われている。
【0003】
ボーリング機は、先端にビットを装着しているロッドを軸心方向に推進力を与えながら回転させることにより被穿孔対象物に穿孔を行うもので、この穿孔の際に、被穿孔対象物における穿孔すべき部分に強度差がある場合、例えば、被穿孔対象物が鉄筋コンクリート構造物の場合であって、その鉄筋埋設部分を穿孔する場合や硬い層部分と軟らかい層とが並存している場合、或いは、亀裂が発生している場合等においては、回転しながら推進中のロッド先端に装着しているビットが、強度の弱い方へ曲がりながら穿孔する事態が生じる。
【0004】
このように、連続直状孔を穿設中に部分的に曲がり部が発生すると、穿孔後に該孔に上記配管類等を挿通する作業が行うことができないことになる。このため、例えば、特開2000−140576に記載されているように、ボーリング機によって被穿孔対象物に穿孔を行った時に、孔に曲がり部が生じると、ボーリング機の中空ロッドの先端部内に円筒形状の錘を周方向に転動自在に収納している曲がり修正具を用いてその錘の重量の軽重と転動方向を変化させながら該曲がり部を真っ直ぐな孔に修正することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような孔の曲がり部修正方法では、ロッドの先端部を孔の曲がり方向と逆方向の孔壁面に押し付けながら該孔壁を切削するものであるから、その切削程度を調整することが極めて困難であり、曲がりが十分に修正されなかったり、或いは必要以上に修正されて逆方向に曲がりが生じたりして既設の直線状孔を延長する直線方向に正確に穿孔することができないという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鉄筋コンクリート構造物や岩盤等の被穿孔対象物に連続直状の孔を穿設する場合において、孔の一部分に曲がりが生じた時にその曲がり部を既に穿設している直状孔を延長する方向に正確に連続した直状の孔に形成することができる連続直状孔の穿孔方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の連続直状孔の穿孔方法は、請求項1に記載したように、被穿孔対象物に孔を連続直線状に穿設する方法であって、穿孔装置によって穿設される孔に曲がりが生じた場合にその曲がり部を検知したのち、該曲がり部を拡大穿孔してこの拡大穿孔部に硬化材を充填し、硬化材の硬化後に上記穿孔装置によって硬化材に既設の連続直状孔を延長する方向に孔を直状に穿設することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、鉄筋コンクリート構造物に穿孔装置によって孔を連続直線状に穿設する際に、穿孔される連続直状孔上に埋設鉄筋の存在が検知された場合、この鉄筋埋設部を拡大穿孔して該拡大穿孔部に硬化材を充填し、硬化材の硬化後に上記穿孔装置によって硬化材に既設の連続直状孔を延長する方向に孔を直状に穿設することを特徴とする。
【0009】
【作用】
ロッドの先端に切削ビットを設けている穿孔装置によって被穿孔対象物に所定径を有する孔を連続直線状に穿設する。この孔の穿設途中において、孔に曲がりが生じた場合、その曲がり部を穿孔装置に配設している検知手段によって検出させ、穿孔装置のロッドを該孔から一旦、抜き取る。しかるのち、穿孔装置のロッド先端又は別なロッドの先端に拡孔ビットを装着してこのロッドを上記孔を通じて曲がり部まで挿入し、曲がり部の周囲を拡孔ビットにより拡径、掘削して拡大穿孔部を形成する。
【0010】
次いで、この拡大穿孔部内に上記穿孔装置の掘削ビットによって穿孔可能な強度を有する硬化材を充填し、この硬化材の硬化後、再び、穿孔装置のロッドを孔内に挿入して回転させながら推進させることにより、その先端の切削ビットによって硬化材に、該硬化材まで穿孔装置のロッドを挿入させている既設の連続直状孔を延長する方向に直状の孔を穿設する。なお、穿孔装置により穿設される孔の曲がり部の検知は、穿孔装置によって所定長さの孔を穿設したのちに行ってもよく、或いは、最後まで穿孔したのちに検知してもよいものであり、曲がり部の検知後に上記拡孔ビットによる曲がり部の拡大穿孔部の掘削と、この拡大穿孔部内への硬化材の充填、硬化後における穿孔を行えばよい。
【0011】
また、被穿孔対象物が鉄筋コンクリート構造物である場合においては、鉄筋コンクリート構造物に埋設されている鉄筋が計画穿孔線上に存在すると、穿孔装置の先端切削ビットによって該鉄筋部を切削する際に、鉄筋部側がコンクリート部側よりも切削抵抗が大きいので、切削ビットがコンクリート部側に曲がりながら穿孔していく事態が発生する。この場合、上記のように、切削ビットにより鉄筋を切除しながら孔の曲がり部を形成したのち、この曲がり部を拡径、掘削してもよいが、鉄筋コンクリート構造物に連続直状孔を穿孔しながら切削ビットが鉄筋存在部分に達した時に、この鉄筋の存在を検出して曲がり部を穿孔する前に拡孔ビットによって拡大穿孔部を掘削し、以下、上記同様に、該拡大穿孔部に硬化材を充填して硬化後にこの硬化材に既設の連続直状孔に連通する直状の孔を穿設してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の具体的な実施の形態を図面について説明する。図1は被穿孔対象物が鉄筋コンクリート構造物Aであって、この鉄筋コンクリート構造物Aに穿孔装置10を用いて所定径を有する真っ直ぐな孔、即ち、連続直状孔1を穿孔している状態を示している。上記穿孔装置10は、定尺で一定径を有し且つ順次連結することによって長尺に形成し得るコアーチューブと称されるロッド11と、最先端側のロッド11の先端部に着脱自在に装着している切削ビット12と、最後部のロッド11の基端部を掴持するスイベルジョイント13と、このスイベルジョイント13を介してロッド11を回転駆動する油圧モータ14と、ロッド11を推進させる推進機構15と、ロッドガイド16及びロッドクランプ17とから構成している。
【0013】
上記油圧モータ14はスイベルジョイント13の背面に一体に取付けられてあり、スイベルジョイント14は推進機構15によって前後方向(ロッドの長さ方向)に移動させられる移動台18上に固定されている。この移動台18は、穿孔装置10の固定機台19上に前後方向に水平に敷設したレール20上に前後移動自在に配設されている一方、上記推進機構15は固定機台19の前後部に回転自在に軸支された前後スプロケット15a 、15b 間にフィードチェーン15c を掛け渡し、このフィードチェーン15c を上記移動台18に連結して油圧シリンダ15d により移動台18を前後動させるように構成している。
【0014】
また、上記ロッドガイド16及びロッドクランプ17は固定機台19の先端部(前端部)にロッドクランプ17を前側にして立設してあり、上記スイベルジョイント13によって掴持されるロッド11をその軸線上で該ロッドガイド16により前後移動可能に支持させると共にロッドクランプ17によってロッド11の連結時における挟着を行うようにしている。
【0015】
このように構成した穿孔装置10を使用して鉄筋コンクリート構造物Aの所定個所に前後面に貫通する連続直状孔1を穿孔するには、まず、穿孔装置10の固定機台19を鉄筋コンクリート構造物Aの一方の面(図においては後面)側の近傍部に設置、固定したのち、油圧モータ14を駆動してスイベルジョイント13に基端部を掴持されたロッド11を回転させると共に推進機構15の油圧シリンダ15a を作動させて移動台18を前方に向かって徐々に移動させていくと、ロッドガイド16に挿通、支持されている上記ロッド11の先端に装着した切削ビット12が鉄筋コンクリート構造物Aの壁面に当接したのち、ロッド11の回転力と軸心方向の推進力とによって鉄筋コンクリート構造物Aに前方に向かって一定径の孔1を連続直線状に穿孔していく。
【0016】
そして、一本のロッド11の長さに略相当する長さの連続直状孔1が穿孔されると、スイベルジョイント13によるこのロッド11の掴持を解くと共に該ロッド11の基端部をロッドクランプ17により固定させ、推進機構15によって移動台18を後退させたのち、上記ロッド11の基端に次の一定長さのロッド11の先端を連結させると共にこのロッド11の基端部をスイベルジョイント13に掴持させたのち、再び、上記同様にしてロッド11を回転させながら推進させることにより、連続直状孔1を穿孔する。
【0017】
このように、定尺のロッド11を順次継ぎ足すことによって鉄筋コンクリート構造物Aに前後壁面間に貫通する水平の連続直状孔1を穿孔するものであるが、鉄筋コンクリート構造物Aの前後壁面間の長さが長大である場合には、前後壁面側から穿孔装置10によって水平の連続直状孔1、1を穿設し、鉄筋コンクリート構造物Aの中間部でこれらの連続直状孔1、1を同一直線上で連通させればよい。また、ロッド11はコアーチューブであって、切削ビット12により切削された鉄筋コンクリート構造物部分が円柱状となって該ロッド11内に取り込まれるので、長い連続直状孔1を穿孔する場合には、ロッド11の長さに相当する長さの孔1が穿孔される毎に、一旦、連続直状孔1から最前端部のロッド11まで全長に亘って引き抜いてロッド11の連結を解いたのち、最前端部のロッド11内に取り込んでいる円柱状のコンクリート塊を抜き取り、再び、ロッド11を順次、連結しながら連続直状孔1内に挿入し、連続直状孔1の穿設を行うものである。
【0018】
穿孔装置10による上記連続直状孔1の穿孔中において、鉄筋コンクリート構造物Aの穿孔すべき部分に強度差がある場合、例えば、図2に示すように、鉄筋aの埋設部が存在した場合には、この鉄筋埋設部をロッド11の先端に装着している切削ビット12によって切削していくと、切削ビット12が該鉄筋aから逃げる方向に偏向してロッド11の先端部が弱体部側に曲がりながら穿孔し、それまで水平直線状に穿孔された連続直状孔1に曲がり部1aが生じることになる。
【0019】
この曲がり部1aの検出は、ロッド11の回転トルクや推力等の穿孔状態をロードセル等の検出手段によって検知したり、或いは、ロッドの中空内部を通じてロッド内の先端に装着しているターゲットの中心位置を測定することによって検出することができる。
【0020】
このような曲がり部1aが検出されると、穿孔装置10の移動台10を後退させてロッド11を既に穿孔した孔1、即ち、既設の連続直状孔1から抜き取り、先端に切削ビット12を装着している最前端のロッド11に代えて図3に示すように、先端部に拡孔ビット22を装着している中空ロッド21を連結する。この中空ロッド21は上記ロッド11と同一外径で同一長さに形成されていると共にその先端部内に拡孔ビット22を拡縮させる拡縮機構を配設している。拡孔ビット22は中空ロッド21の先端部を周方向に複数分割することによって形成された内外方向に拡縮可能な分割片23の先端に装着されてあり、各分割片23の内面は先端(前端)に向かって徐々に小径となるテーパ面24に形成されている。
【0021】
この拡孔ビット22を拡縮させる拡縮機構は、中空ロッド21の先端部をシリンダ部25に形成して該シリンダ部25内に前後摺動自在に配設したピストン26のロッド27の先端に、外周面を上記全ての分割片23のテーパ面24に圧接したテーパ面に形成している截頭円錐形状の楔体28を一体に固着し、この楔体28を常態においてはシリンダ部25内に圧入しているスプリング29の弾発力によって後退させて分割片23をこれらの分割片23自体の弾性復元力によって中空ロッド21の外径に等しい径まで縮小させている一方、スイベルジョイント13側に掴持されているロッド11の中空内部を通じて中空ロッド21内に加圧水を注入することにより、その水圧でピストン26の背面を押圧して楔体28を前進させ、分割片23を外方に屈折させて切削ビット12を拡径させるように構成している。
【0022】
そして、この中空ロッド21を鉄筋コンクリート構造物Aの後端面から連続直状孔1(以下、この孔を既設の連続直状孔1という)に挿入すると共にこの中空ロッド21に順次、ロッド11を上記同様にして継ぎ足すことにより、拡孔ビット22を上記曲がり部1aに達するまで挿入する。
【0023】
しかるのち、油圧モータ14を駆動してスイベルジョイント13に基端部を掴持されたロッド11を介して直列に連結している上記中空ロッド21を回転させると共に中空ロッド21内に加圧水を注入することにより、ピストン25をスプリング29の力に抗して前進させてロッド11を介して楔体28を一体に前進させ、図4に示すように分割片23をピーチ状に拡大させて拡孔ビット22を本来穿孔されるべき穿孔計画線上の位置において既設連続直状孔1の径よりも大径となるように、好ましくは曲がり部1aを全て含む大径に拡径させ、曲がり部1aを拡大、掘削する。
【0024】
さらに、穿孔装置10の推進機構15を駆動してロッド11を介して中空ロッド21を推進させることにより、拡径した拡孔ビット22を前進させて上記曲がり部1aを全長に亘って拡径させて図5に示すように拡大穿孔部Bを掘削、形成する。なお、拡縮機構には、そのピストン26の後面中央部からピストンロッド27内を通じて楔体28の先端面中央にまで連通する小径貫通孔30が穿設されてあり、この小径貫通孔30を通じて加圧水の一部を掘削される拡大掘削部B内に供給し、拡孔ビット22により切削された切削片や切削屑をロッド11、21の外周面と既設連続直状孔1の孔壁間の隙間を通じて外部に排出するように構成している。
【0025】
こうして、拡孔ビット22により曲がり部1aを拡大した拡大穿孔部Bを形成した後、拡孔ビット22を縮径させてロッド11、中空ロッド21を順次、既設の連続直状孔1から抜き取って撤去し、次いで、この連続直状孔1内に該連続直状孔1よりも小径(外径が上記コアチューブからなるロッド11の内径よりも小径)の硬化材注入パイプ31を挿入して図6に示すように、その先端ノズル部31a を拡大穿孔部B内に突出させ、注入パイプ31内に鉄筋コンクリート構造物外から硬化材Cを供給して先端ノズル部31a から拡大穿孔部B内に注入、充填する。
【0026】
硬化材Cとしては、セメントと砂とを混練したモルタル、或いはこのモルタルにベントナイトを添加した材料や、水ガラスと砂との混合物であってもよく、要するに、均質なものであって且つ注入時には流動性を有する液体状であって注入後、一定時間経過すれば硬化するものであればよい。なお、この硬化材Cの硬化時間を短くするために、速硬性のものを用いるのが望ましい。この硬化材Cの注入は、孔外にミキサー(図示せず)を設置し、このミキサーによって混練してポンプ駆動により注入パイプ31に供給することによって行われる。
【0027】
拡大穿孔部B内に対する硬化材Cは、拡大穿孔部B内において弱体部が形成されないように全体が均一な強度を有する密実に充填する必要がある。また、既設の連続直状孔1に面している充填硬化材Cの端面も孔軸方向に対して直角になる方がこの充填硬化材Cを上記切削ビット12によって再び穿孔する際に、該切削ビット12の直進性を保つために望ましいが、必ずしもこのように充填しておく必要はなく、例えば、モルタルでも貧配合のものであれば、切削ビット12によって容易に穿孔することができる。
【0028】
なお、注入パイプ31の外周面に先端が先端ノズル部31a の基端後方部にまで達している小径の排気管33を添設しておき、拡大穿孔部B内に硬化材Cが充填されるに従って、該拡大穿孔部B内の空気を外部に排出して硬化材Cを緻密に充填するようにしている。
【0029】
また、拡大穿孔部Bの長さと孔径とから硬化材Cの充填量が決定することができるので、先端ノズル部31a から拡大穿孔部B内に硬化材Cを充填するに従って注入パイプ31を徐々に後退させて該先端ノズル部31a を拡大穿孔部Bの奥側から既設の連続直状孔1に向かって徐々に引き戻し、充填後、注入パイプ31と共に連続直状孔1を通じて引き抜いてもよいが、この拡大穿孔部Bの位置や硬化材Cの充填状態を外部から確認することができないので、連続直状孔1内から挿入した注入パイプ31の先端ノズル部31a を拡大穿孔部Bの底面(奥底面)に当接させたのち、僅かに後退させて拡大穿孔部Bの中央部内に配設し、この状態で硬化材Cを拡大穿孔部B内に圧密状態に充填させ、充填後、注入パイプ31を回転させて該注入パイプ31の先端部に螺合している上記先端ノズル部31a を切り離すことにより充填した硬化材C内に残しておき、注入パイプ31のみを抜き取り、撤去して上記先端ノズル部31a は硬化材Cをコアチューブからなるロッド11の先端切削ビット12により切削する際に、該ロッド11内に取り込むようにしている。
【0030】
なお、このような拡大穿孔部B内に対する硬化材Cの充填は、注入パイプ31を使用することなく、上記拡孔ビット22を設けた中空ロッド21を利用して行ってもよい。即ち、この中空ロッド21の先端部に設けている拡孔ビット22によって上述したように拡大穿孔部Bを掘削、形成したのち、該中空ロッド21を連続直状孔1から引き抜く際に、拡縮機構のピストン26の後端から楔体28の前端まで貫通している小径貫通孔30を通じて硬化材Cを拡大穿孔部B内に充填してもよい。このように中空ロッド21を使用して硬化材Cの充填を行えば、上記注入パイプ31の挿入、充填工程を省略することができる。
【0031】
こうして、拡大穿孔部B内に硬化材Cを充填して硬化させたのち、再び、既設の連続直状孔1内を通じて先端に切削ビット12を装着しているロッド11を挿入し、必要に応じてロッド11を継ぎ足すことにより切削ビット12が拡大穿孔部Bに達するまでのロッド長としたのち、スイベルジョイント13を回転駆動すると共に推進機構15を作動させてロッド11を管軸方向に推進させ、図7に示すように、切削ビット12により硬化材Cの中心部に既設の連続直状孔1を延長する方向に該連続直状孔1と同径の孔1bを直状に穿設する。
【0032】
この場合、拡大穿孔部Bに硬化材Cが充填されていないと、ロッド11の先端部が拡大穿孔部B内に突出した際に、その自重によって下向きに偏向して拡大穿孔部Bの奥底から切削ビット12により孔が切削される時に、該孔の中心が既設の連続直状孔1の中心から変位する虞れがあるので、上述したように該拡大穿孔部B内に硬化材Cを充填しておき、切削ビット12によって穿孔される孔にロッド11の先端部を直状に支持させながら穿孔していくものである。
【0033】
このように、硬化材Cを貫通して直状の孔1bを穿孔したのち、さらにロッド11を回転させながら推進させて硬化材Cから鉄筋コンクリート構造物A内に切削ビット12により連続直状孔1を穿設し、この連続直状孔1の穿設中に曲がり部1aが生じた場合には、再び、上記同様にして該曲がり部1aを拡径させ、その拡大穿孔部Bに硬化材Cを充填、硬化させたのち、該硬化材Cに既設の連続直状孔1から直状に連通する孔1bを穿孔し、鉄筋コンクリート構造物A内に所定長さの連続直状孔1を設けるものである。なお、被穿孔対象物が鉄筋コンクリート構造物Aに限らず、岩盤であっても上記同様にしてこの岩盤中に連続直状孔1を穿孔することができる。
【0034】
図8は鉄筋コンクリート構造物A等の被穿孔対象物に上記連続直状孔1を穿設する場合のフローチャートであって、穿孔装置10を使用して上述したように先端に切削ビット12を装着しているロッド11を回転、推進させながら被穿孔対象物に連続直状孔1の穿孔を開始し、所定長の連続直状孔1を穿設されると一旦穿孔を停止して該連続直状孔1の曲がりを測定し、曲がりが生じていない場合には穿孔を続行してロッド11を継ぎ足しながら所定長まで連続直状孔1を穿設していく。
【0035】
一方、連続直状孔1の穿孔中に曲がりが測定された場合には、ロッド11を既設の連続直状孔1から引き抜いて先端に拡孔ビット22を装着している中空ロッド21を該連続直状孔1内に挿入し、曲がり部1aを拡径掘削して拡大穿孔部Bを形成したのち、この拡大穿孔部B内に硬化材Cを充填、硬化させ、しかるのち、再び、連続直状孔1内にロッド11を挿入し、先端切削ビット12により硬化材Cを貫通して上記既設の連続直状孔1に直状に連通する連続直状孔1を穿設するものである。
【0036】
以上の実施の形態においては、被穿孔対象物が鉄筋コンクリート構造物Aである場合に、該鉄筋コンクリート構造物Aに埋設されている鉄筋aが計画穿孔線上に存在すると、ロッド11の先端切削ビット12によってこの鉄筋aを切除しながら推進してその際に生じる孔の曲がり部1aを一旦、形成しているが、このような曲がり部1aが形成される前に、曲がり部1aを生じさせる上記鉄筋aの存在を検出してその鉄筋埋設部分を拡大、掘削してもよい。
【0037】
図9はそのフローチャートを示すもので、穿孔装置10を使用して上述したように先端に切削ビット12を装着しているロッド11を回転、推進させながら鉄筋コンクリート構造物Aに連続直状孔1の穿孔を開始し、この連続直状孔1を穿設しながらロッド11を推進中に、鉄筋aの存在の有無、即ち、ロッド先端に装着している切削ビット12が鉄筋に突き当たって一部を切削したかどうかを検出する。
【0038】
この検出はロッド11の推進力や回転トルクをロードセル等によって検知させることにより行われ、鉄筋aの存在が検出されない場合には、そのまま、連続直状孔1の穿孔を継続して所定長まで連続直状孔1を穿設する一方、鉄筋aの存在が検出されると、該鉄筋aを切削ビット12によって切除することなく、一旦、連続直状孔1の穿設を停止し、ロッド11を連続直状孔1から引き抜いて先端に拡孔ビット22を装着している中空ロッド21を該連続直状孔1内に挿入し、この連続直状孔1から連続した拡大穿孔部Bを掘削させたのち、この拡大穿孔部B内に硬化材Cを充填、硬化させ、しかるのち、再び、連続直状孔1内にロッド11を挿入し、先端切削ビット12により硬化材Cを貫通して上記既設の連続直状孔1に直状に連通する連続直状孔1を穿設するものである。なお、上記穿設停止以降の作業は、鉄筋aを切削ビット12により切除した後に行ってもよい。
【0039】
また、以上の実施の形態においては、連続直状孔1をコアチューブよりなるロッド11、即ち、コアボーリングによって穿孔しているが、その他の穿孔手段を採用しても本発明を満足させることができるものであり、また、連続直状孔1は水平方向に限らず鉛直方向を含め、あらゆる角度でもって鉄筋コンクリート構造物や岩盤等の被穿孔対象物の穿孔に適用することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に係る連続直状孔の穿孔方法によれば、穿孔装置によって被穿孔対象物に穿設される孔に曲がりが生じた場合に、その曲がり部を検知したのち該曲がり部を拡大穿孔してこの拡大穿孔部に硬化材を充填し、硬化材の硬化後に上記穿孔装置によって硬化材に既設の連続直状孔を延長する方向に孔を直状に穿設するものであるから、穿孔中に生じた孔の曲がり部を拡大穿孔してその曲がり部を無くした大径の拡大穿孔部内に硬化材を充填、硬化するので、連続直状孔を通じて穿孔装置によりこの硬化材を穿孔する際に、穿孔装置の外周面を均質な強度を有する硬化材によって支持させて曲がりを生じることなく連続直状孔を延長する直線方向に正確に且つ能率よく穿孔することができ、精度のよい所望長さの連続直状孔を形成することができる。
【0041】
また、請求項2に係る発明によれば、被穿孔対象物が鉄筋コンクリート構造物であって、この鉄筋コンクリート構造物に穿孔装置により孔を連続直線状に穿設する際に、穿孔される連続直状孔上に埋設鉄筋の存在が検知された場合、この鉄筋埋設部を拡大穿孔して該拡大穿孔部に硬化材を充填し、硬化材の硬化後に上記穿孔装置によって硬化材に既設の連続直状孔を延長する方向に孔を直状に穿設することを特徴とするものであるから、連続直状孔を穿孔中に鉄筋が存在した場合には、穿孔装置の推進力やトルクが変動するので、外部からは全く確認することができないその鉄筋の存在位置を容易に且つ確実に検出することができものであり、従って、穿孔装置によって該鉄筋を切除することなく、この鉄筋埋設部の拡大穿孔作業を能率よく行うことができると共に、この該拡大穿孔部内に硬化材を充填、硬化するので、連続直状孔を通じて穿孔装置によりこの硬化材を穿孔する際に、上記のように穿孔装置の外周面が均質な強度を有する硬化材によって支持されて曲がりを生じることなく連続直状孔を延長する直線方向に正確に且つ能率よく穿孔することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】被穿孔対象物に連続直状孔を穿設している状態の簡略縦断側面図、
【図2】孔に曲がり部が生じた状態の孔の先端部分を縦断側面図、
【図3】拡孔ビットを備えた中空ロッドの先端部分の縦断側面図、
【図4】拡孔ビットを拡径させた状態の中空ロッドの先端部分の縦断側面図、
【図5】曲がり部に拡大穿孔部を形成した状態の縦断側面図、
【図6】硬化材を充填している状態の縦断側面図、
【図7】硬化材中に直状の孔を穿設している状態の縦断側面図、
【図8】本発明の実施の形態を説明するためのフローチャート、
【図9】本発明の別な実施の形態を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
A 鉄筋コンクリート構造物
B 拡大穿孔部
C 硬化材
1 連続直状孔
1a 曲がり部
10 穿孔装置
11 ロッド
12 切削ビット
21 中空ロッド
22 拡孔ビット
Claims (2)
- 被穿孔対象物に孔を連続直線状に穿設する方法であって、穿孔装置によって穿設される孔に曲がりが生じた場合にその曲がり部を検知したのち、該曲がり部を拡大穿孔してこの拡大穿孔部に硬化材を充填し、硬化材の硬化後に上記穿孔装置によってこの硬化材に既設の連続直状孔を延長する方向に孔を直状に穿設することを特徴とする連続直状孔の穿孔方法。
- 鉄筋コンクリート構造物に穿孔装置によって孔を連続直線状に穿設する際に、穿孔される連続直状孔上に埋設鉄筋の存在が検知された場合、この鉄筋埋設部を拡大穿孔して該拡大穿孔部に硬化材を充填し、硬化材の硬化後に上記穿孔装置によってこの硬化材に既設の連続直状孔を延長する方向に孔を直状に穿設することを特徴とする連続直状孔の穿孔方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002170364A JP3840145B2 (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 連続直状孔の穿孔方法 |
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