JP3863320B2 - トンネル先受け工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトンネルを掘削する際に、切羽前方の地山に存在する緩み地盤の安定化を図るためのトンネル先受け工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネルを能率よく掘進することは、工期の短縮と共にコストダウンにつながり、そのため、山岳トンネルにおいては大型で高性能な掘削機械や運搬装置が導入される傾向にあるが、大型機械を効率的に作動させると掘削断面積が必然的に大きくなる。一般的に切羽が小さい程、トンネルの安定性に悪影響を及ぼす地質的弱面の影響度合が小さく、同時に、全断面掘削の場合に比較して支保工の耐荷力が見掛け上、早期に発揮されるので、トンネルの安定性が向上するが、掘削断面が大きくなると、従来断面の掘削方法に比較して切羽は相対的に不安定な状態となり、従って、このデメリットを上回る効果を発揮し得る切羽安定化補助工法が必要となる。
【0003】
このような補助工法としては、大型機械を導入しての工期短縮を図る必要上、施工サイクルを大きく乱すことのない工法による切羽安定化対策が要求され、このような工法としてトンネル先受け工法の一種である鋼管注入式フォアパイリングが採用されている。そして、このトンネル先受け工法によれば、特殊な施工機械や熟練を要することなく、通常の掘削機械を用いてトンネル施工が行える利点を有するが、従来のトンネル先受け工法は、図10に示すように、所定長のトンネルAを掘削したのち、その掘削壁面にリング支保工Bを施工し、次いで、コンクリートを吹付けて所定厚みのコンクリート覆工層Cを形成し、しかるのち、長さが12.5mの鋼管Dをトンネル軸方向に対する角度が5°となるように切羽前方地盤に向かって複数本、放射状に打設する、所謂、長尺先受け方式を広く採用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この工法によれば、トンネル軸方向に対する鋼管Dの打設角度が5°と極めて小さいため、打設された鋼管Dはその両端部分を支持点とする梁として作用して緩み地盤の荷重を該鋼管Dの曲げ剛性によって支持することになる。鋼管Dはその材料特性として軸方向に作用する圧縮力や引張力に対しては強いが曲げに対しては弱い特性を有しており、そのため、上記緩み地盤による曲げ荷重に耐え得るためには直径並びに肉厚の大きい鋼管を使用しなければならず、材料費が高くつくと共に鋼管Dの打設孔の断面も大きくなるので、その穿孔作業にも多大な時間と労力を要して作業能率が低下するという問題点がある。さらに、鋼管Dの基端部はコンクリート覆工層Cからトンネル内に突出した状態となるので、その切除作業を必要とするものである。
【0005】
また、鋼管Dを上述したように切羽前方地山に対して5°という低角度でもって打設しようとすると、打設するための穿孔機の上端面がトンネル掘削壁面に当接してこのような低角度でもっての穿孔が行えなく、そのため、トンネル掘削壁面に穿孔機の上端部を受け入れて該穿孔機の上端の接触をなくするための拡幅部を掘削しておかねばならず、該拡幅部の掘削作業と共に鋼管打設後の補修作業が必要となって急速施工の妨げとなる。その上、相対的に不安定になる切羽周囲を拡幅することは、先に打設した鋼管Dによって緩み地盤の崩壊が防止されているとはいえ、切羽安定化を目的とする工法にはそぐわず、さらに、土被りが小さい時にはトンネル中心の直上で大きな地表面沈下が生じる虞れがある。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、切羽近傍部における緩み地盤の荷重を打設管体の軸方向の剛性でもって安定的に且つ均一に支持させることができると共に作業性に優れ、経済的に施工し得るトンネル先受け工法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のトンネル先受け工法は、請求項1に記載したように、トンネルを所定長、掘削したのち、掘削したトンネル周壁面に一次吹付けコンクリートによる一次覆工層を施し、しかるのち、切羽近傍部におけるトンネル周壁面から計画トンネル断面より外側の前方地山に向かって複数本の管体を、その基端部が一次覆工層からトンネル内に突出するように、且つ、これらの管体の軸方向の剛性で地山の緩み荷重を支持し得る角度でもって打設し、次いで、該管体内を通じて管体周辺地山に硬化性材料を注入したのち、上記一次覆工層から突出する各管体の基端部を切断することなく二次吹付けコンクリートによる二次覆工層内に埋設して二次覆工層と一体化させることを特徴とするものである。
【0008】
さらに、上記トンネル先受け工法において、請求項2に係る発明は、管体をトンネル軸方向に対して20〜25°の角度で放射状に打設して管体に曲げ方向の荷重よりも軸方向に大きな圧縮荷重を作用させるようにしたことを特徴とするものであり、請求項3に係る発明は、管体内を通じて地山に注入する硬化性材料としてウレタン樹脂液を用いることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、打設した管体の基端前方の一次及び二次覆工層内には鋼製リング支保工が配設され、これらの一次及び二次覆工層と鋼製リング支保工とにより管体の基端部を受止させていることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
掘削機によってトンネルを所定長、掘削したのち、掘削壁面にリング支保工を設置して掘削壁面を支持し、引き続いて該掘削壁面にコンクリートによる一次吹付けを行って掘削壁面の肌落ちを防止する。しかるのち、穿孔機によって切羽近傍部におけるトンネル周壁面から前方地山に向かって管体を、トンネル軸方向に対して所定の角度(以下、さし角度という)、即ち、打設した際における管体に作用する緩み地盤の荷重が該管体の曲げ方向よりも軸方向に大きくかかるさし角度でもって打設する。このように、管体の軸方向の剛性で地山の緩み地盤の荷重を支持し得るさし角度としては請求項2に記載したように20〜25°となるように設定することが望ましい。
【0011】
この管体の打設は、トンネル周方向に所定間隔毎に複数本、放射状に打ち込まれ、打設後、これらの管体内を通じて該管体の周辺の緩み地盤中に硬化性材料、好ましくはウレタン樹脂液を注入して硬化させ、地盤の安定化を図ると共に全ての管体によって上方の緩み地盤の荷重を均等に支持させるようにする。なお、管体の先端は緩み地盤の領域外に貫入させることなく緩み地盤の領域内に位置させておくことが望ましい。しかるのち、コンクリートによる二次吹付けを行って上記一次吹付けによるコンクリート覆工層から突出している管体の基端を切除することなく該二次吹付けによるコンクリート覆工層内に埋設してこのコンクリート覆工層と一体化させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面について説明すると、図1、図2はトンネルTを所定長、掘進し且つ緩み地盤が存在する毎に、切羽1の近傍部におけるトンネル周壁面2から計画トンネル断面より外側上周部の前方地山に向かって順次、鋼管よりなる複数本の管体3を放射状に打設してなる地盤先受け構造を示すもので、トンネル周壁面2は所定長のトンネルTを掘削してする毎に順次施工された鋼製リング支保工4によって支持されていると共にトンネル周壁面2にはコンクリートの吹付けによる一次覆工層5と、この一次覆工層5に層着したコンクリートの吹付けによる二次覆工層6とが設けられている。
【0013】
さらに、トンネル周辺地盤に打設された管体3のトンネル軸方向に対するさし角度は20〜25°であり、その先端はトンネル周辺に存在する砂礫やシルト層などの緩み地盤7内における該緩み地盤7の領域と緩みが生じていない上層地盤8との境界近傍部に達している一方、基端部は図3に示すように、上記鋼製リング支保工5の外周面で受止されていると共に一次覆工層5を貫通して二次覆工層6内に没入し、該二次覆工層6に固定されている。そして、管体3をトンネル軸方向に対して20〜25°のさし角度で打設したことにより、後述するように上方の緩み地盤7からの緩み荷重がこれらの管体3に曲げ方向よりも管軸の圧縮方向に大きく作用させ、管体3の軸方向の剛性でもって緩み荷重を支持するように構成している。
【0014】
また、各管体3の周囲の緩み地盤7は、管体4を通じて注入したウレタン樹脂よりなる硬化性材料9の硬化によって塊状の地盤7'に改良されていると共に前後並びに周方向に隣接する管体3の周辺の改良地盤7'が互いに一体化して上方地盤の荷重を均等に受止した構造としている。
【0015】
このような構造を得るためのトンネル先受け工法を図4〜図9に基づいて説明すると、図5に示すように、ロードヘッダー等の掘削機10を用いて切羽1を掘削し、トンネルTを所定長掘削すると、図6に示すように掘削した切羽1に近接又は接して鋼製リング支保工4を設置し、該鋼製リング支保工4の外周面を掘削された切羽近傍部のトンネル周壁面2に当接させてトンネル周壁面2を支持させる。しかるのち、コンクリート吹付機11を用いて上記鋼製リング支保工4と先に施工した鋼製リング支保工4との間のトンネル周壁面2にコンクリートの一次吹付けを行って所定厚みを有する一次覆工層5を形成する。この際、切羽1の岩質が緩み地盤の場合には、必要に応じて該切羽1に対してもコンクリートの吹付けを行う。
【0016】
次いで、管体3による切羽前方地盤の先受けが必要かどうかを判定し、地盤が比較的安定していて先受けが必要でなければ、切羽1を再び所定長、掘削し、切羽周辺地盤が緩み地盤7の場合には図7に示すように、穿孔機兼用の管体打設機12を用いて、まず、切羽1の近傍部に施工した鋼製リング支保工4の後方部におけるトンネル周壁面2から計画トンネル断面より外側の前方地山に向かってトンネル軸方向に対し20〜25°のさし角度でもって所定深さまで直状の孔13を穿設する。このような孔13はトンネル周壁面2の上周部において周方向に所定間隔毎に放射状に穿設されるものである。
【0017】
なお、穿孔機兼用の管体打設機12の構造は公知であるが、簡単に説明しておくと、移動台車14の前面側に上下左右並びに屈折が可能なブーム15を設け、このブーム15に上下方向に角度調整可能に支持されたガイド台16を取付けて該ガイド台16上に上記穿孔機兼用の管体打設機12が配設されているもので、ガイド台16上を前後方向に移動可能なドリフター12a によって穿孔用ロッド体(図示せず)や管体3のチャック部を回転並びに打撃するように構成されている。
【0018】
そして、穿孔時にはドリフター12a を後退させた状態にして先端にビットを装着している穿孔用ロッド体をガイド台16の長さ方向に向けてガイド台16上に前後動可能に支持させると共にその基端をドリフター12a のチャック部に掴持させ、走行台車1を切羽1の近傍部にまで移動させて、穿孔用ロッド体の長さ方向を穿孔方向に向けると共に所定のさし角度に設定したのち、穿孔用ロッド体を回転並びにその後端面を打撃しながらドリフター12a を前進させることによって管体3が挿入可能な所定深さの孔13を穿設するものである。
【0019】
孔13の穿設後、穿孔用ロッド体を取り外し、次いで各孔13内に対する管体3の挿入作業を行う。管体3は図8に示すように、その管壁に周方向及び長さ方向に多数の注入孔17を小間隔毎に穿設していると共に内部には基端側から先端近傍部にまで塩化ビニル製の樹脂管18が挿入されてあり、この樹脂管18内には先端にスパイラルミキサー19を内装している小径の硬化性材料注入ホース20が挿入されていて該注入ホース20をその先端部を樹脂管18の先端から突出させた状態で樹脂管18にキャップ体21を介して固定されている。さらに、樹脂管18の基端部外周面にゴム製のパッカー22が装着されている共にこのパッカー22を挟むようにして管体3の内周面に圧接した樹脂管固定用パッキン23、23が装着されてあり、また、パッカー22内に硬化性材料充填ホース24の先端を連通させている。
【0020】
孔13に対する管体3の挿入作業は、まず、管体3をガイド台16上に配設して該管体3の基端部をドリフター12a のチャック部に掴持させると共に管体3内に挿入した樹脂管18内から外部に引き出している注入ホース20と充填ホース24をウレタン樹脂液からなる硬化性材料供給源に連結、連通させておく。しかるのち、ドリフター12a を前進させることによって図7に示すように、管体3を孔13内に所定深さまで挿入、打設すると共に基端部を鋼製リング支保工4の外周面に支持させた状態とし、次いで、充填ホース24にウレタン樹脂液からなる硬化性材料9を供給してパッカー22を膨張させることにより管体3の内周面に圧着させ、樹脂管18を管体3内に強固に固定させる。
【0021】
さらに、注入ホース20にウレタン樹脂液からなる硬化性材料9を供給すると、該注入ホース20に供給した硬化性材料9はスパイラルミキサー19によって攪拌されながら樹脂管18の先端から管体3内に送り出されて管体3内に充満すると共に管体3に穿設している多数の注入孔17から管体3と孔13との隙間及び管体3周囲の緩み地盤7中に注入、浸透させ、所定量の硬化性材料9を注入したのち、管体3を穿孔機兼用管体打設機12のドリフター12a 側から離して1本の管体3の打設を完了し、以下、同様にして切羽1の近傍部におけるトンネル周壁面2の上周部に放射状に穿設された全ての孔13に対する管体3の挿入、打設作業と、硬化性材料の注入作業とを行い、周方向に隣接する管体3、3の周辺の緩み地盤7に浸透した硬化性材料9の硬化によって互いに周方向に連続した塊状の改良地盤7'を形成し、この改良地盤7'を介して放射状に打設している全ての管体3により均等に受止させた先受け構造を得るものである。
【0022】
なお、緩み地盤7に対する管体3の打設作業は、穿孔機兼用管体打設機12を用いて まず、管体3よりも大径の孔13を所定深さまで穿設したのち、該孔13内に管体3を挿入することにより行っているが、孔13を予め穿設しておくことなく、穿孔しながら管体3を緩み地盤7に打設してもよい。いずれにしても、管体3の打設角度、即ち、さし角度を上述したように20〜25°の範囲内に設定することが必要である。
【0023】
管体3のさし角度が20°より低い角度であると、管体3の直角方向に作用する荷重、即ち、曲げ応力が大きくなるので、管体の径を大きくし且つ肉厚も厚くしなければならず、その結果、管体のコストが高くつくと共に打設作業に長時間を要することになる。
【0024】
一方、管体3のさし角度が25°以上になると、該管体3の直角方向に作用する荷重は減少するものゝ、その減少量は僅かであって管体3の径や肉厚を変える程ではなく、かえって、実質的に上方の地盤を支持し得るトンネル軸方向の管長が短くなって所望の先受け範囲を得るのに必要な打設長が長くなるので、不経済であると共に打設に長時間を要して施工性が低下することになる。また、打設した管体3の先端のトンネルTの外周面に対する高さと掘削予定天端位置の高さとの差が大きくなり、その間で発生する地盤の緩みを抑えることができない。
【0025】
従って、上述したように管体3のさし角度が20〜25°の範囲に設定するのが望ましく、実際に、緩み地盤7が存在するトンネル掘削時において、長さが6mの鋼製の管体3をさし角度20〜25°でもって切羽1の近傍部におけるトンネル周壁面2から複数本、放射状に打設すると共に、該管体3内を通じて管体3の周辺地盤にウレタン樹脂液よりなる硬化性材料を注入、浸透させて硬化させたところ、管体3の直角方向に作用する荷重が0.722kN であったのに対し、管体3の軸方向に作用する圧縮荷重は32.401kNであり、先受け効果が管体3の軸方向の剛性によって発揮されることが判明した。
【0026】
このように、切羽1の近傍部におけるトンネル周壁面2の上周部に管体3を放射状に打設すると共に各管体3内を通じて緩み地盤7に硬化性材料の注入作業を行ったのち、一次覆工層5からトンネルT内に僅かに突出している基端部を切削することなく、図9に示すようにコンクリート吹付機11を用いて上記鋼製リング支保工4と先に施工した鋼製リング支保工4との間のトンネル周壁面2にコンクリートの二次吹付けを行って所定厚みを有する二次覆工層6を形成することにより、この二次覆工層6内に埋設させて二次覆工層6と一体化させるものである。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載したトンネル先受け工法によれば、トンネルを所定長、掘削したのち、切羽近傍部におけるトンネル周壁面から計画トンネル断面より外側の前方地山に向かって複数本の管体を、これらの管体の軸方向の剛性で地山の緩み荷重を支持し得る角度でもって打設し、次いで、該管体内を通じて管体周辺地山に硬化性材料を注入し、しかるのち、トンネル周壁面に突出している各管体の基端をトンネル周壁面に固着することを特徴とするものであるから、切羽前方の緩み地盤の荷重を管体の曲げ方向よりも軸心方向に大きく作用させて軸方向の剛性により支持させることができ、従って、小径で且つ薄肉の管体の使用によって確実に緩み地盤を支持することができるので、経済的であると共に管体の打設作業が能率よく行えてトンネルの施工性を向上させることができる。
【0028】
さらに、打設した管体内を通じて管体周辺の地山に硬化性材料を注入するものであるから、地山に浸透して硬化した硬化性材料によって管体周辺の地山を緩みの生じない地盤に改良することができると共に隣接する管体間の改良地盤が一体化して該改良地盤を介して全ての管体に上方地盤の荷重を均等に負担させることができ、地山の崩壊を確実に防止することができるものであり、その上、トンネル周壁面からトンネル内に突出している管体の基端を切除することなく固着するものであるから、トンネルの施工作業が一層能率よく行える。
【0029】
また、請求項2に係る発明によれば、管体をトンネル軸方向に対して20〜25°の角度で放射状に打設することを特徴とするものであるから、管体の打設時にトンネル周壁面を段切り状に掘削することなく、小径で且つ薄肉の管体とこの管体の打設機を使用して円滑且つ能率よく管体の打設作業が行えると共に、管体の軸方向の剛性によって緩み地盤の荷重を支持する効果と所望の先受け範囲を得ることができる効果とを最大限に発揮させることができる。
【0030】
その上、上記緩み地盤に注入、浸透させる硬化性材料として、請求項3に記載したようにウレタン樹脂液を用いているので、地山への浸透性が良好で且つ速硬性に優れ、地山の安定化が迅速に行える。
【0031】
請求項4に係る発明は、管体をその基端が計画トンネル断面の外側近傍部に位置し且つ先端が切羽前方における計画トンネル断面より外側の予想される緩み地盤領域内に位置するように打設するので、管体基端部の切除作業を不要にすることができるばかりでなく、上方地盤を管体の引張ではなく圧縮方向の剛性によって支持させることができ、従って、管体周囲に注入、硬化された引っ張りに対して弱いウレタン樹脂からなる改良地盤層に対し、その破壊等の悪影響を及ぼすことなく、長期間に亘り安定且つ管体と一体化した支持地盤層を形成することができる。
【0032】
さらに、本発明によれば、掘削したトンネル周壁面に一次吹付けコンクリートによる一次覆工層を施したのち管体を打設し、該管体内を通じて管体周辺地山に硬化性材料を注入したのち、この一次覆工層から突出する管体の基端を切断することなく二次吹付けコンクリートによる二次覆工層によって埋設、固定することを特徴とするものであるから、一次吹付けコンクリートによる一次覆工を施して肌落ちが防止され且つ表面の平滑なトンネル周壁面に管体の打設作業を行うので、その打設作業が安全に且つ円滑に行うことができると共に、二次覆工層によって管体の基端を埋設、固定しているので、管体の基端切除作業を不要にし得るばかりでなく、管体に作用する荷重を断面アーチ形状の二次覆工層に分散させることができて安定した先受け構造を形成し得るものである。
【0033】
また、請求項4に係る発明は、打設した管体の基端前方の一次及び二次覆工層内には鋼製リング支保工が配設され、これらの一次及び二次覆工層と鋼製リング支保工とにより管体の基端部を受止させているので、この鋼製リング支保工によって上記一次及び二次覆工層に周方向に作用する荷重を強固に且つ均一に支持させてトンネルの安定性を一層向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】トンネル先受け構造を示す簡略縦断側面図、
【図2】その簡略縦断正面図、
【図3】切羽部分の拡大縦断側面図、
【図4】トンネル先受け工法のフロー図、
【図5】掘削している状態の縦断側面図、
【図6】一次覆工を施している状態の縦断側面図、
【図7】管体を打設している状態の縦断側面図、
【図8】管体内部の拡大縦断側面図、
【図9】二次覆工を施している状態の縦断側面図、
【図10】従来例を示す簡略縦断側面図。
【符号の説明】
T トンネル
1 切羽
2 トンネル周壁面
3 管体
4 鋼製リング支保工
5 一次覆工層
6 二次覆工層
7 緩み地盤
9 硬化性材料
Claims (4)
- トンネルを所定長、掘削したのち、掘削したトンネル周壁面に一次吹付けコンクリートによる一次覆工層を施し、しかるのち、切羽近傍部におけるトンネル周壁面から計画トンネル断面より外側の前方地山に向かって複数本の管体を、その基端部が一次覆工層からトンネル内に突出するように、且つ、これらの管体の軸方向の剛性で地山の緩み荷重を支持し得る角度でもって打設し、次いで、該管体内を通じて管体周辺地山に硬化性材料を注入したのち、上記一次覆工層から突出する各管体の基端部を切断することなく二次吹付けコンクリートによる二次覆工層内に埋設して二次覆工層と一体化させることを特徴とするトンネル先受け工法。
- 管体をトンネル軸方向に対して20〜25°の角度で放射状に打設することを特徴とする請求項1に記載のトンネル先受け工法。
- 管体内を通じて地山に注入する硬化性材料はウレタン樹脂液であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトンネル先受け工法。
- 打設した管体の基端前方の一次及び二次覆工層内には鋼製リング支保工が配設され、これらの一次及び二次覆工層と鋼製リング支保工とにより管体の基端部を受止させていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル先受け工法。
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