JP3840027B2 - 画像表示装置及び表示制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明は、例えばテレビジョン画像信号等に応じて画像を表示するための画像表示装置及びその駆動方法に関わり、特に、複数の電子放出素子を配設した電子源とその電子源から放出される電子により発光する蛍光体とを有する画像表示装置及び該装置における表示制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出素子として熱陰極素子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰極素子では、例えば表面伝導型放出素子や、電界放出型素子(以下、FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下、MIM型と記す)などが知られている。
【0003】
表面伝導型放出素子としては、例えば、M. I. Elinson, Radio E-ng. Electron Phys., 10, 1290 (1965)や、後述する他の例が知られている。この表面伝導型放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより電子放出が生ずる現象を利用するものである。このような表面伝導型放出素子としては、エリンソン(Elinson)等によるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの[G. Dittmer: “Thin Solid Films”,9,317 (1972)]や、In2O3/SnO2薄膜によるもの[M. Hartwell and C. G. Fonstad:“IEEE Trans. ED COnf.”, 519 (1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]等が報告されている。
【0004】
これらの表面伝導型放出素子の素子構成の典型的な例として、図24に前述のハートウエル(M. Hartwell)らによる素子の平面図を示す。同図において、3001は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物よりなる導電性薄膜である。この導電性薄膜3004は図示のようにH字形の平面形状に形成されている。この導電性薄膜3004に後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005が形成される。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],Wは、0.1[mm]で設定されている。尚、図示の便宜から、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0005】
ハートウエルらによる素子をはじめとして上述の表面伝導型放出素子においては、電子放出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは、導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりとしたレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀裂が発生する。この通電フォーミング後に導電性薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合にはその亀裂付近において電子放出が行われる。
【0006】
また、FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.Dolan,"Field emission",Advance in Electoron Physics,8,89(1956)或はC.A.Spindt,"PHYSICAL Properties of thin-film field emission cathodes with molybdenium cones",J.Appl.Phys.,47,5248(1976)等に開示されたものが知られている。
【0007】
FE型の素子構成の典型的な例として、図25に前述のC. A. Spindtらによる素子の断面図を示す。同図において、3010は基板で、3011は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタコーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極である。このFE素子は、エミッタコーン3012とゲート電極3014の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッタコーン3012の先端部より電界放出を起こさせるものである。
【0008】
また、FE型の他の素子構成として、図25のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0009】
MIM型の例としては、C.A.Mead,"Operation of Tunnel-Emission Devices",J.Apply.Pbys.,32,646(1961)等に開示されたものが知られている。MIM型の素子構成の典型的な例を図26に示す。同図は断面図であり、図において、3020は基板で、3021は金属よりなる下電極、3022は厚さ100オングストローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80〜300オングストローム程度の金属よりなる上電極である。MIM型においては、上電極3023と下電極3021の間に適宜の電圧を印加することにより、上電極3023の表面より電子放出を起こさせるものである。
【0010】
上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較して低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒータを必要としない。従って、熱陰極素子よりも構造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒータの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利点もある。
【0011】
このため、冷陰極素子を応用するための研究が盛んに行われてきている。
【0012】
例えば、表面伝導型放出素子は、冷陰極素子のなかでも特に構造が単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点がある。そこで、例えば本出願人による特開昭64−31332号公報において開示されるように、多数の素子を配列して駆動するための方法が研究されている。
【0013】
また、表面伝導型放出素子の応用については、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画像形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0014】
特に、画像表示装置への応用としては、例えば本出願人による米国特許第5,066,883号や特開平2−257551号公報や特開平4−28137号公報において開示されているように、表面伝導型放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置が研究されている。表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されている。例えば、近年普及してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるためバックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優れていると言える。
【0015】
また、FE型を多数個ならべて駆動する方法は、例えば本出願人による米国特許第4,904,895号に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応用した例として、例えば、R. Meyerらにより報告された平板型表示装置が知られている。[R. Meyer:“Recent Development on Microtips Display at LETI”, Tech. Digest of 4th Int. Vacuum Micro electronics Conf., Nagahama, pp. 6-9 (1991)]
また、MIM型を多数個並べて画像表示装置に応用した例は、例えば本願出願人による特開平3−55738号公報に開示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、上記従来技術に記載したものをはじめとして、さまざまな材料、製法、構造の冷陰極素子を試みてきた。さらに、多数の冷陰極素子を配列したマルチ電子ビーム源、ならびにこのマルチ電子ビーム源を応用した画像表示装置について研究を行ってきた。
【0017】
発明者らは、たとえば図27に示す電気的な配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。すなわち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子ビーム源である。
【0018】
図中、4001は冷陰極素子を模式的に示したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配線である。行方向配線4002および列方向配線4003は、実際には有限の電気抵抗を有するものであるが、図においては配線抵抗4004および4005として示されている。上述のような配線方法を、単純マトリクス配線と呼ぶ。
【0019】
なお、図示の便宜上、6×6のマトリクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限ったわけではなく、たとえば画像表示装置用のマルチ電子ビーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだけの素子を配列し配線するものである。
【0020】
冷陰極素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビームを出力させるため、行方向配線4002および列方向配線4003に適宜の電気信号を印加する。たとえば、マトリクスの中の任意の1行の冷陰極素子を駆動するには、選択する行の行方向配線4002には選択電圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4002には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗4004および4005による電圧降下を無視すれば、選択する行の冷陰極素子には、Ve−Vsの電圧が印加され、また非選択行の冷陰極素子にはVe−Vnsの電圧が印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜の大きさの電圧にすれば選択する行の冷陰極素子だけから所望の強度の電子ビームが出力されるはずであり、また列方向配線の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビームが出力されるはずである。また、駆動電圧Veを印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時間の長さも変えることができるはずである。
【0021】
したがって、冷陰極素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源はいろいろな応用可能性があり、たとえば画像情報に応じた電気信号を適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に用いることができる。
【0022】
すなわち、前述の様に、駆動電圧を印加し、パルス幅変調を行なうことによって所望のビーム出力を得ることができる。しかしながら、配線抵抗4004および4005による電圧降下により所望のビーム出力が得られない場合がある。そのため冷陰極素子にVe−Vsの電圧に対向する電流値を電流源で印加する方法がとられた。この方法では各冷陰極素子に所望の電圧を配線抵抗4004および4005の電圧降下にかかわらず印加することができた。
【0023】
このような電子源を用い、このような電子源から放出される電子により発光する蛍光体を備えたカラー表示装置では、例えばRGB等の各色に対応した蛍光体を備え、入力される画像信号に応じて、その蛍光体を駆動することにより、入力された画像信号に対応するカラー画像を表示するように構成されている。しかしながら、表示されるカラー画像の色合いがユーザ等により変更された場合、従来のCRTを用いた表示装置のように、簡単に色調整して、ユーザの好み合った色のカラー画像を表示することができなかった。
【0024】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、各色の発光体を駆動する電子放出素子からの電子の放出量を制御することにより色調整を行う画像表示装置及び該装置における表示制御方法を提供することを目的とする。
【0025】
また本発明の目的は、各色の発光体の駆動源に対応して電圧源を備え、各電圧源の出力電圧を制御することにより、発光体を駆動する電子の放出量を制御して色調整を行う画像表示装置及び該装置における表示制御方法を提供することにある。
【0026】
また本発明の目的は、各色の発光体の駆動源に対応して電流源を備え、各電流源の出力電流を制御することにより、発光体を駆動する電子の放出量を制御して色調整を行う画像表示装置及び該装置における表示制御方法を提供することにある。
【0027】
また本発明の目的は、各色の発光体をストライプ状に配列し、各色の発光体に印加する電荷を、指示された色調整に応じて調整することにより、表示される各色の色調整を行う画像表示装置及び該装置における表示制御方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の画像表示装置は以下のような構成を備える。即ち、複数の電子放出素子を有する電子源と、各色に対応した発光体を備え、前記電子源から放出される電子により発光してカラー画像を表示する発光手段と、画像信号に応じたパルス幅のパルス信号を出力する変調手段と、前記各色に対応した発光体に電子を照射する電子放出素子のそれぞれを駆動する前記パルス信号の電圧を、各色に対応する前記電圧毎に制御する電圧制御手段と、を有しており、前記制御によって色調整が行われる。
【0029】
あるいは、複数の電子放出素子を有する電子源と、各色に対応した発光体を備え、前記電子源から放出される電子により発光してカラー画像を表示する発光手段と、画像信号に応じたパルス幅のパルス信号を出力する変調手段と、前記各色に対応した発光体に電子を照射する電子放出素子のそれぞれを駆動する前記パルス信号の電流を、各色に対応する電流毎に制御する電流制御手段と、を有しており、前記制御によって色調整が行われる。
【0030】
また望ましくは、前記電流制御手段は、印加電圧に応じた電流を出力する電流源と、前記印加電圧を色毎に制御する電圧制御手段とを有する。
【0031】
また望ましくは、前記電圧制御手段は、調整可能な入力電圧と前記複数の電子放出素子の各々に対応した基準電圧とにより前記印加電圧を制御する。
【0032】
また望ましくは、表示される色の調整を指示する指示手段を更に有し、
前記電圧制御手段は、前記指示手段の指示に応じて、前記パルス信号の電圧を制御する。
【0033】
また望ましくは、前記複数の電子放出素子はマトリクス状に配列され、前記各色に対応した発光体はそれぞれ色毎にストライプ状に配列されている。
【0034】
また望ましくは、更に前記複数の電子放出素子の各走査ラインを選択し、当該選択された走査ラインに所定電圧を印加する走査駆動手段を有する。
【0035】
また望ましくは、前記変調手段から出力されるパルス信号は前記マトリクスの列配線に入力される。
【0036】
また望ましくは、前記各色に対応した発光体はRGBの蛍光体である。
【0037】
また望ましくは、前記電子放出素子は冷陰極型素子である。
【0038】
また望ましくは、前記電圧制御手段は、各色毎に前記パルス信号の電圧を制御するものであり、該制御によって色調整が行われる。
【0039】
また望ましくは、複数の変調信号配線を有しており、各変調信号配線には複数の前記電子放出素子が接続されており、共通の変調信号配線に接続された複数の前記電子放出素子は同じ色を発光させるものであり、前記電圧制御手段は、各変調信号配線に出力する前記パルス信号の電圧を制御するものであり、該制御によって色調整が行われる。
【0040】
また望ましくは、前記電流制御手段は、各色毎に前記パルス信号の電流を制御するものであり、該制御によって色調整が行われる。
また望ましくは、複数の変調信号配線を有しており、各変調信号配線には複数の前記電子放出素子が接続されており、共通の変調信号配線に接続された複数の前記電子放出素子は同じ色を発光させるものであり、前記電圧制御手段は、前記印加電圧を制御して前記電流源が各変調信号配線に出力する前記パルス信号の電流を制御するものであり、該制御によって色調整が行われる。
【0041】
あるいは、変調信号配線と走査配線との交点もしくはその近傍に素子が配置され、共通の変調信号配線に接続された素子により互いに同じ色を発光させる表示パネルと、前記素子によって発光される各色に対応しており、色調整のために各色毎に調整可能な制御電圧を供給する制御電圧源と、前記変調信号配線に接続されるとともに、前記変調信号配線に接続された素子が発光する色に対応する制御電圧を前記制御電圧源から供給され、前記制御電圧に応じた電流を前記変調信号配線に出力する可変電流源と、前記可変電流源により出力される電流を、画像信号値に応じた幅のパルスに変調する変調信号ドライバとを備える。
【0042】
また望ましくは、前記制御電圧源は、操作者が調整可能な第1の電圧を出力する第1の電圧源と、前記素子それぞれの入出力特性を補正するための補正データに応じた第2の電圧を出力する第2の電圧源とを含み、前記第1の電圧を基にして前記第2の電圧により調整した電圧を出力する。
【0043】
また望ましくは、前記表示パネルは変調信号配線毎に要素色をストライプ状に配列してなる。
【0044】
また望ましくは、前記表示パネルは前記素子毎に対応した色の蛍光板を有し、前記素子から放出される電子ビームの衝突により発光を得る。
【0045】
また望ましくは、前記素子は冷陰極型素子である。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0048】
本発明の実施の形態に係る画像表示装置に使用するマトリクス型の表示パネルは、基本的には薄型の真空容器内に、基板上に多数の電子源、例えば冷陰極素子をマトリクス状に配列してなるマルチ電子源と、このマルチ電子源からの電子の照射により画像を形成する画像形成部材とを対向させて備えている。
【0049】
これら冷陰極素子は、例えばフォトリソグラフィ・エッチングのような製造技術を用いれば基板上に精密に位置決めして形成できるため、微小な間隔で多数個を配列することが可能である。しかも従来からCRT等で用いられてきた熱陰極素子と比較すると、陰極自身やその周辺部が比較的低温な状態で駆動できるため、より微細な配列ピッチのマルチ電子源を容易に実現できる。尚、このマトリクス型の表示パネルの構成と製造法については後述する。
【0050】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0051】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0052】
図1において、表示パネル1は、薄型の真空容器内に、基板上に多数の電子源、例えば冷陰極素子をマトリクス状に配列した電子源を有するマトリクス型の表示パネルで、例えば水平方向に480素子、即ち160画素×3(RGB)が配置され、垂直方向に240素子(240ライン)が配置されている。尚、本実施の形態では、480素子×240素子のマトリクス型の表示パネルの例を示すが、この表示パネルが有する素子の数に関しては、必要に応じて製品用途により決定されるので、この限りではない。マトリクス型の表示パネル1の各冷陰極素子は、表示時の色に合わせ(対応する蛍光体の色に合わせ)、Rmn(m=1〜240,n=1,4,7,…)、Gmn(m=1〜240,n=2,5,8,…)、Bmn(m=1〜240,n=3,6,9,…)で示した。この表示パネル1は、図1に示す様に、RGBの各蛍光体が縦のストライプ状に配列された画素配置を有する。
【0053】
次に画像データの流れを説明する。アナログデジタル変換器(A/Dコンバータ)2は、不図示のデコーダにより、例えばNTSC信号からRGB信号にデコードされたアナログRGB信号を、各々例えば8ビット幅のデジタルRGB信号に変換する。データ並び替え部3は、A/Dコンバータ2又はコンピュータ等からのデジタルRGB信号(S1)を入力し、表示パネル1の画素配列(ここではRGBの順の縦ストライプ)に合わせてデジタルデータを並び替えて信号S2として出力する。輝度データ変換器4は、入力されたデジタルデータ(S2)を所望の輝度特性に変換する変換テーブルを有しており、例えばガンマ変換用テーブル等を有してガンマ変換を行って信号S3として出力している。シフトレジスタ5は、輝度データ変換器4から送られるシリアルデータをシフトクロック(SCLK)に同期して順次シフトして転送し、表示パネル1のそれぞれの素子に対応したデジタルデータ(XD1〜XD480)を形成する。変調信号発生部6は、シフトレジスタ5からのデジタルデータに応じて、PWMクロック(PCLK)を基に、出力する変調信号のパルス幅を決定する。変調信号ドライバ7は、変調信号発生部6から出力されるパルス信号に応じて、表示パネル1の変調信号線を駆動するための信号X1〜X480を出力している。スイッチ70は、変調信号発生部6から出力されるパルス信号がハイレベルの時に閉じ(オンし)、ロウレベルの時に開く(オフする)ように動作する。可変電源71〜73(Vr,Vg,Vb)のそれぞれは、制御部11からの指示に応じてその出力電圧値を所望の電圧値に設定できる。
【0054】
走査シフトレジスタ8は、水平走査同期信号(HD)をシフトクロックとして入力し、入力画像の走査線に対応する表示パネル1の走査配線(行配線)を順次駆動するための走査線駆動データを生成している。走査ドライバ9は、走査シフトレジスタ8の出力に従って表示パネル1の行配線を順次選択し、その選択した行配線に電圧−Vssを印加して駆動している。タイミング制御部10は、入力する画像信号のサンプリングクロック(DCLK)及び同期信号(sync)を入力し、これら信号を基に各種タイミング信号を生成して、各機能ブロックに応じたタイミング信号を出力している。制御部11は、操作部12におけるユーザのキー操作による色温度や色合いなどの調整指示に応じて、それぞれ対応する電源71〜73の出力電圧を制御している。これら電源の出力電圧の調整に関しては後述する。尚、この操作部12は、通常のボリュームやキースイッチ等でも良く、或はリモコン等であってもよい。
【0055】
図3は、本実施の形態の変調信号発生部6における1つの信号(XD)に対する変調信号生成回路の構成を示すブロック図、図4はその動作タイミングを示すタイミング図である。
【0056】
図3において、ダウンカウンタ61は、シフトレジスタ5からの出力である例えば、8ビットのデジタルデータ(XD1〜XD480のそれぞれ)をロード信号(Ld)のタイミングでロードし、このロードした時点から、ロードされたデジタルデータの値に対応する分PWMクロック(PCLK)をカウントするまでロウレベルとなるパルス幅変調出力を得ることができる。即ち、PWM出力はダウンカウンタ61のボロー出力で、データのロードによりロウレベルになり、そのロードされたデータの数に対応する数だけPCLKをカウントするとハイレベルになって、カウンタ61をクリアする。こうして「ロードされた画像データ(設定値)」×「クロック(PCLK)周期」で決まるパルス幅のパルス幅変調信号を出力する。
【0057】
図4は、この変調信号発生部6の1つの回路の動作タイミングを示す図で、ここではXDの値“p”に応じた長さのパルス幅変調信号を出力している。
【0058】
図2は、図1に示す回路の動作タイミングを示すタイミング図である。
【0059】
ここでは、変調信号ドライバ7から出力されるパルス幅変調信号は、各画像データの値に応じたパルス幅となっており、更に、X1,X2,X3で示すように、RGBのそれぞれに対応した電圧の信号が出力されている。
【0060】
図11は、本実施の形態で使用する冷陰極素子の特性を示すグラフ図である。
【0061】
以下、前述の図面を参照して、本実施の形態の画像表示装置に動作を説明する。
【0062】
図1において、不図示のデコーダにより、例えばNTSC信号からRGB信号にデコードされたアナログRGB信号が入力されると、A/Dコンバータ2は、各々例えば8ビットのデジタルRGB信号に変換する。データ並び替え部3は、A/Dコンバータ2或はコンピュータ等から入力されるデジタルRGB信号(S1)を入力する。この際、1走査ライン(1H)のデータ数は、表示パネル1の変調信号線側の画素数(水平方向の表示画素数)を基に決定すると処理が簡単になる。本実施の形態の場合では、表示パネル1の変調信号線側の画素数を“160”としている。A/Dコンバータ2或はコンピュータ等からのデジタルRGB信号(S1)は、データサンプリング・クロック(DCLK)と同期して出力される。図2に示す様に、データ並び替え部3の入力信号(S1)は、RGBパラレル信号を、データサンプリングクロック(DCLK)の3倍の周波数のクロックであるシフトクロック(SCLK)のタイミングで切り替え、表示パネル1のRGB画素配列に従って順次出力している。
【0063】
データ並び替え部3の出力信号(S2)は、次に輝度データ変換器4に入力される。この輝度データ変換器4は、予め、所望のデータが記憶されている不図示の変換テーブル(ROM)により、データ並び替え部3の出力信号(S2)を、例えばCRTのガンマ特性等の輝度特性を有する信号(S3)をシリアルで出力する。この輝度データ変換器4の出力S3はシフトレジスタ5に送られ、シフトクロック(SCLK)に同期して順次シフト転送され、表示パネル1のそれぞれの素子に対応したデジタルデータ(XD1〜XD480)に変換される。このパラレル信号に変換された画像データは水平走査時間単位で出力され、例えば8ビット幅のデジタルデータ(XD1〜XD480)が変調信号発生部6に入力される。
【0064】
前述したように、変調信号発生部6は、素子毎にデジタルデータ(「設定値」)とPWMクロック(PCLK)に応じてパルス幅を決定している。即ち、変調信号発生部6は、「PWMクロック(PCLK)数」が「設定値」と等しくなるまでの時間で決まるパルス幅の信号を出力する。変調信号発生部6の出力は変調信号ドライバ7のスイッチ70を制御し、変調信号発生部6が決定したパルス幅の時間だけオンする。ここでスイッチ70の一方の端子は、同じ色の蛍光体に対応する冷陰極素子に共通に接続された変調信号線に接続されており、このスイッチ70の他方の端子は、そのスイッチが接続されている色の蛍光体に対応する電源に接続されている。即ち、変調信号X1,X4,…を出力するスイッチ70は電源71(Vr)に接続され、変調信号X2,X5,…を出力するスイッチ70は電源72(Vg)に接続され、変調信号X3,X6,…X480を出力するスイッチ70は電源73(Vb)に接続される。これにより各色毎の色調整を可能にしている。
【0065】
本実施の形態において、NTSC信号を240本の走査ラインの表示パネル1で表示させるために、インターレースされている有効走査線の485本の内480本をフィールド毎に表示パネル1に重ね書きして表示駆動している。ここではNTSC信号の1フィールドを表示パネル1では1フレームとして扱った。即ち、表示パネル1をフレーム周波数60Hz、走査ライン240本の画像信号として駆動した。
【0066】
一方、1走査ラインの表示に要する時間は、NTSC信号では約63.5μ秒であり、その時間内の約56.5μ秒を駆動パルス(X1〜X480)の最大時間と決めた。PWMクロック(PCLK)は、デジタルデータ(「設定値」)を8ビットに選んだので、PWMクロック(PCLK)のパルス数は、256個の時に約56.5μ秒となるような周波数を選んだ。即ち、1パルスのパルス幅が約220n秒のクロックで、約4.5MHzの周波数のクロックをPWMクロック(PCLK)とした。
【0067】
一方、走査シフトレジスタ8は、水平走査同期信号(HD)をシフトクロックとし、図2に示したように走査開始タイミングを決める信号(YST)を水平走査同期信号(HD)で順次転送することによって走査信号を出力する。走査ドライバ9は、走査シフトレジスタ8が出力する走査信号に従って、表示パネル1の走査配線に対して順次1番目から−Vss(例えば、−Vth:−8V、他の配線を0V)で駆動する。
【0068】
変調信号ドライバ7のスイッチ70がオンの時、赤色の蛍光体に対応する冷陰極素子に接続されている変調信号線には電源71の電圧Vr[V]が印加される。同様に、緑色の蛍光体に対応する冷陰極素子に接続されている変調信号線には電源72の電圧Vg[V]が印加される。同様に、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子に接続されている変調信号線には、電源73の電圧Vb[V]が印加される。これら電源71,72,73の電圧Vr[V]、電圧Vg[V]、電圧Vb[V]を、例えば通常約+Vth(約+8V)に設定する。走査ドライバ9が選択した走査配線(−Vss:−8Vが印加されている)に接続され、かつ、変調信号ドライバ7のスイッチ70がオン(約+8Vが印加される)の変調信号線に接続されている冷陰極素子には約16Vの電圧が印加されることになる。これにより、対応する冷陰極素子から電子が放出される。このとき、走査ドライバ9が選択していない走査配線(0V)に接続されている冷陰極素子にも、約8Vの電圧が加わるが、図11から明らかな様に、この場合、この走査配線に接続された素子に印加される電圧は閾値電圧Vth以下であるため、これら非選択の走査配線に接続されている冷陰極素子からは電子が放出されない。そのため、それら素子に対応する蛍光体が励起されて発光することはない。
【0069】
また変調信号ドライバ7のスイッチ70がオフの時(0V)は、その変調信号線の電圧は0Vであり、一方、選択された走査配線(−Vss:−8Vが印加)の冷陰極素子には8Vの電圧が加わる。しかし、図11からも明らかな様に、その場合、その素子に印加される電圧は閾値電圧Vth以下であるため、対応する各冷陰極素子は電子を放出しない。そのため、それら素子に対応する蛍光体が発光することはない。
【0070】
以上説明したように、走査ドライバ9で選択されている走査配線上の各素子に、変調信号ドライバ7の出力が所望の輝度に比例したパルス幅で加えられる。そして駆動電圧は順次走査され、表示パネル1に画像を形成する。
【0071】
この場合の色調整は以下の様にして行なう。即ち、
変調信号ドライバ7のスイッチ70がオンの時、赤色の蛍光体に対応する冷陰極素子に接続されている変調信号線(信号X1,X4,…)には、電源71の電圧Vr[V]が印加される。そのため、赤色の蛍光体に対応する冷陰極素子には電圧(Vth+Vr)[V]が印加される。同様に、緑色の蛍光体に対応する冷陰極素子には電圧(Vth+Vg)[V]が印加される。また同様に、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子には電圧(Vth+Vb)[V]が印加される。
【0072】
ここで、ユーザが例えば赤色の成分を強くしたい場合に、操作部12のキーを使用してそのように指示すると、制御部11はその指示に従って対応する電源の出力電圧を調整する。こうして電圧設定可能な電源71の電圧Vr[V]、電源72の電圧Vg[V]、電源73の電圧Vb[V]のそれぞれを所望の電圧値に設定することによって色調整が行なえる。この場合、図11からも明らかな様に、冷陰極素子に加わる電圧が低ければ放出電流も小さく、逆に冷陰極素子に加わる電圧が高ければ放出電流も大きいので、通常の状態では、
Vr[V]≒Vg[V]≒Vb[V]
とすれば、各色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流はほぼ等しくでき、通常の色となる。いま例えば、ユーザの指示により、通常の状態より青みがかった色に調整するように指示されると、
Vr[V]≒Vg[V]<Vb[V]
とすれば良い。この時は、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流だけを、他の色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流より大きくできる。従って、青色の輝度が相対的に大きくなり、青みがかった色に調整できる。
【0073】
同様に、通常の状態より赤みがかった色に調整したければ、
Vr[V]>Vg[V]≒Vb[V]
とすれば良い。
【0074】
また、特殊効果的に緑色のみの画像を表示する場合には、
Vr[V]≒Vb[V]≒0[V]、Vg[V]≒Vth[V]
とすれば良い。この時は、緑色以外の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流はほぼ“0”となり、緑色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流のみで蛍光体を光らすことができる。即ち緑色のみの画像を得ることができる。
【0075】
その結果、本実施の形態の画像表示装置を実現することによって、少ないハードウエア構成で画像表示装置の色調整が行なうことができる画像表示装置を提供できた。
【0076】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施形態である画像表示装置のブロック図である。図5において、マトリクス画像表示パネル1は薄型の真空容器内に、基板上に多数の電子源例えば冷陰極素子を配列してなるマルチ電子源を持ち、例えば水平方向に480素子すなわち160画素(RGB)×3が配置され、垂直方向に240素子が配置されている。本実施形態では、480素子×240素子のマトリクス画像表示パネルの例を示すが、素子数に関しては必要に応じて製品用途により決定されるので、この限りではない。マトリクス画像表示パネル1の各冷陰極素子は、画像表示時の色に合わせ(対応する蛍光体の色に合わせ)、Rm,n(n=1,4,7,...),Gm,n(n=2,5,8,...),Bm,n(n=3,6,9,...)で示した。マトリクス画像表示パネル1は、図5に示す様にRGBストライプ配列の画素配置を持つ。アナログディジタル変換機(A/Dコンバータ)2は、不図示のデコーダにより例えばNTSC信号からRGB信号にデコードされたアナログRGBコンポーネント信号を、各々例えば8bit幅のディジタルRGB信号に変換する。データ並び変え部3は、A/Dコンバータ2またはコンピュータ等のデジタルRGB信号(信号名をS1とする)を入力しマトリクス画像表示パネル1の画素配列に合わせディジタルデータを並べ変え出力する機能を有する(信号名をS2とする)。輝度データ変換機4は、入力されたディジタルデータを所望の輝度特性に変換する変換テーブルであり、例えばガンマ変換を行なう(出力信号名をS3とする)。シフトレジスタ5は、輝度データ変換機4から送られるシリアルデータをシフトクロック(SCLK)で順次シフト転送し、マトリクス画像表示パネル1のそれぞれの素子に対応したディジタルデータ(XD1〜XD480)を形成する。変調信号発生部6は、ソフトレジスタ5からのディジタルデータに応じて、PWMクロック(PCLK)をもとにパルス幅を決定する。変調信号ドライバ7は、変調信号発生部6のパルス幅出力に応じて、マトリクス画像表示パネル1の変調信号線を駆動する(駆動信号をX1〜X480とする)。
【0077】
電流源7aは制御端子の電圧に比例した電流値を出力する。スイッチ7b,7c,7dは、変調信号発生部6の出力ロジックレベルにしたがって開閉する。電源71,72,73は、所望の出力電圧値を設定できる。
【0078】
走査シフトレジスタ8は、水平走査同期信号(HD)をシフトクロックとし、入力画像の走査線に対応するマトリクス画像表示パネル1の走査配線を順次操作するデータを作る。走査ドライバ9は、走査シフトレジスタ8の出力に従ってマトリクス画像表示パネル1の走査配線を順次駆動する。タイミング制御部10は、各機能ブロックに所望のタイミングの制御信号を、入力画像の同期信号及びデータサンプリングクロック(DCLK)等から作る。
【0079】
制御部11は、操作部12におけるユーザのキー操作による色温度や色合いなどの調整指示に応じて、それぞれ対応する電源71〜73の出力電圧を制御している。これら電源の出力電圧の調整に関しては後述する。尚、この操作部12は、通常のボリュームやキースイッチ等でも良く、或はリモコン等であってもよい。
【0080】
図10(a)は第2の実施形態の変調信号発生部6のブロック図である。図10(a)において、ダウンカウンタ61は、シフトレジスタ5からの出力である、例えば8bit幅のディジタルデータ(XD1〜XD480)をロード信号(Ld)でロードし、PWMクロック(PCLK)をダウンカウントする。そして、ダウンカウンタ61のボロー出力をインバータ62で反転してパルス幅変調出力とする。すなわち、「ロードされたデータ」×「クロック(PCLK)周期」で決まる幅のパルスを出力する。図10(b)は、信号XDとして値pを変調信号発生部6にロードした際の、信号PCLK,Ld,PWMoutのタイミング図である。このように、ロードした値p×PCLK周期のパルスが出力される。
【0081】
図6に第2の実施形態における各信号のタイミング図を示す。図に従って第2の実施形態における画像表示装置の動作を説明する。
【0082】
図5において、不図示のデコーダにより、例えばNTSC信号からRGB信号にデコードされたアナログRGBコンポーネント信号がA/Dコンバータ2に入力される。A/Dコンバータ2は、入力RGB信号を各々例えば8bit幅のディジタルRGB信号に変換する。データ並び変え部3には、A/Dコンバータ2からの、またはコンピュータ等のデジタル機器からのRGB信号(S1)が入力される。この際、1走査ライン(1H)のデータ数は、マトリクス画像表示パネル1の変調信号線側の画素数、すなわちシフトレジスタ5の桁数で決めると処理が簡単になる。第2の実施形態の場合、マトリクス画像表示パネル1の変調信号線側の画素数は160とされている。A/Dコンバータ2からの、またはコンピュータ等のデジタル機器からのデジタルRGB信号(S1)は不図示のデータサンプリングクロック(DCLK)と同期して出力される。図6に示す様に、データ並び変え部3の入力信号(S1)はRGBパラレル信号であるが、データ並べ替え部3は、RGBパラレル信号からひとつの色の信号を選択して信号S2として出力する。選択される色は、データサンプリングクロック(DCLK)の3倍の周波数のシフトクロックSCLK(不図示)のタイミングで切り替えられる。この結果、RGB各色の信号が、シフトクロックの周期毎に切り替えられ、マトリクス画像表示パネル1のRGB画素配列に従って順次出力される。
【0083】
データ並び変え部3の出力信号(S2)は、輝度データ変換器4に入力される。輝度データ変換器4は、あらかじめ、所望のデータが記憶されている不図示の変換テーブル(ROM)により、データ並び変え部3の出力信号(S2)を例えばCRTのガンマ特性等の輝度特性に応じて変換し、信号S3として出力する。
【0084】
輝度データ変換器4の出力S3は、シフトレジスタ5に入力される。入力されるデータはシフトクロック(SCLK)に同期して順次シフトされ、シフトレジスタ5は、マトリクス画像表示パネル1のそれぞれの素子に対応したディジタルデータ(XD1〜XD480)を1行分、水平走査時間単位で出力し、変調信号発生部6に入力する。変調信号発生部6では1水平走査期間にわたり入力された値を保持し、その値に応じて決まる幅のパルスを出力する。例えば8bit幅のディジタルデータ(XD1〜XD480)が変調信号発生部6に入力される。図10で説明した通り、変調信号発生部6は、素子毎にディジタルデータ(「設定値」)とPWMクロック(PCLK)に応じてパルス幅を決定する。すなわち変調信号発生部6は、「PWMクロック(PCLK)のパルス数」が「設定値」と等しくなるまでの時間で決まるパルス幅を出力する。
【0085】
変調信号発生部6の出力のロジックレベルが“H”の時、変調信号ドライバ7のスイッチ7bはON、スイッチ7c,7dはOFFに制御され、変調信号発生部6が決定した、ロジックレベル“H”のパルス幅の時間、電流源7aからの電流を変調信号配線(X1,X2,X3,,,,X480)に出力する。反対に、変調信号発生部6の出力ロジックレベルが“L”の時、変調信号ドライバ7のスイッチ7bはOFF、スイッチ7c,7dはONに制御され、変調信号発生部6が決定した、ロジックレベル“L”のパルス幅の時間、変調信号配線(X1,X2,X3,..,X480)をGNDレベルにする。この時、スイッチ7bがOFF、スイッチ7cがONとなるので、電流源7aの出力電流をほぼ0[A]とすることができる。そのため、変調信号ドライバ7の消費電力を下げることができる。
【0086】
一方、電流源7aの制御端子は、それぞれ色毎に共通の電源に接続される。すなわち、R列の変調信号配線X1,X4,..に接続されている電流源7aの制御端子は電源71に接続され、G列の変調信号配線X2,X5,..に接続されている電流源7aの制御端子は電源72に接続され、B列の変調信号配線X3,X6,..,X480に接続されている電流源7aの制御端子は電源73に接続される。
【0087】
以上のように構成される第2の実施形態の画像表示装置により、NTSC信号を240本の走査ラインのマトリクス画像表示パネル1で表示させるために、インターレースされている有効走査線485本の内480本をフィールド毎にマトリクス画像表示パネル1に重ね書きして駆動した。NTSC信号の1フィールドを画像表示パネル1では1フレームとして扱った。すなわち画像表示パネル1をフレーム周波数60Hz、走査ライン240本の画像信号として駆動した。
【0088】
一方、1走査ラインの表示に要する時間は、NTSC信号ではおおよそ63.5μSecであり、本実施形態では、その時間内の約56.5μSecを駆動パルス(X1〜480)の最大時間と決めた。ディジタルデータ(「設定値」)を8bitに選んだので、「PCLKの周期」×28が最大のパルス幅である56.5μSecとなる。したがって、PCLKの周期、すなわち入力される画素値1に対応するパルス幅は約220nSecであり、PWMクロックの周波数は約4.5MHzとなる。
【0089】
一方、走査シフトレジスタ8は水平走査同期信号(HD)をシフトクロックとし、図6に示したように走査開始を時刻を決める信号(YST)を水平走査同期信号(HD)で順次転送することによって走査信号を出力する。走査ドライバ9は、前記走査シフトレジスタ8が出力する走査信号に従って、走査配線を順次1番目から−Vss(例えば−Vth:−8V、他の配線を0V)の電位で駆動する。
【0090】
変調信号発生部6の出力のロジックレベルが“H”の時、変調信号ドライバ7のスイッチ7bはON、スイッチ7c,7dはOFFに制御される。このため、変調信号発生部6が決定したロジックレベル“H”のパルス幅時間で電流源7aの電流が変調信号配線(X1,X2,X3,..,X480)に出力される。
【0091】
赤色の蛍光体に対応する冷陰極素子は変調信号配線X1,X4,..に接続されており、その変調信号配線に接続されている電流源7aの制御端子は電源71に接続され、電圧Vr[V]が印加される。そして電圧Vr[V]に比例した電流Ir[A]を出力する。同様に、緑色の蛍光体に対応する冷陰極素子は変調信号配線X2,X5,,,に接続されており、その変調信号配線に接続されている電流源7aの制御端子は電源72に接続され、電圧Vg[V]が印加される。そして電圧Vg[V]に比例した電流Ig[A]を出力する。同様に、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子は変調信号配線X3,X6,,,,X480に接続されており、その変調信号配線に接続されている電流源7aの制御端子は、電源73に接続され、電圧Vb[V]が印加される。そして電圧Vb[V]に比例した電流Ib[A]を出力する。
【0092】
電流Ir[A],電流Ig[A],電流Ib[A]は冷陰極素子を駆動する電流であり、冷陰極素子が十分に電子放出する電流値に決定する。例えば図51において素子電圧が16[V]の時の素子電流の値に決定すれば良い。決定された電流Ir[A],電流Ig[A],電流Ib[A]の電流値を設定するための電圧から、電圧Vr[V],Vg[V],Vb[V]が決定される。
【0093】
走査ドライバ9が選択した走査配線(−Vss:−8Vで駆動)に接続され、かつ、変調信号発生部6の出力のロジックレベルが“H”の期間では、変調信号配線に接続されている冷陰極素子には前述の電流Ir[A],電流Ig[A],電流Ib[A]が流れ、対応する冷陰極素子は電子を放出する。前述したように、この時素子には約16Vの電圧が加わるので、変調信号発生部6の出力のロジックレベルが“H”の期間では変調信号配線の電圧は約8Vの電圧となる。この時、走査ドライバ9が選択しない走査配線(0Vで駆動)に接続されている冷陰極素子には約8Vの電圧が加わるが、図11を見て明らかな様に、走査ドライバ9が選択しなかった走査配線に接続されている冷陰極素子は電子を放出しない。そのためマトリクス画像表示パネル1の対応箇所は発光することはない。
【0094】
変調信号発生部6の出力のロジックレベルが“L”の期間では変調信号配線の電圧はスイッチ7dにより0Vであり、選択された走査配線(−Vss:−8Vで駆動)の冷陰極素子には8Vの電圧が加わる。しかし、図11を見て明らかな様に、各冷陰極素子は電子を放出しない。そのためマトリクス画像表示パネル1の対応箇所は発光することはない。
【0095】
以上から、走査ドライバ9で選択されている走査配線上の各素子に、変調信号ドライバ7の出力が所望の輝度に比例したパルス幅で加えられる。そして駆動電圧は順次走査され、マトリクス画像表示パネル1に画像を形成する。
【0096】
色調整は以下の様に行なう。
【0097】
変調信号発生部6の出力のロジックレベルが“H”の時、赤色の蛍光体に対応する冷陰極素子に接続されている変調信号配線(X1,X4,,,)には電流源7aの電流Ir[A]が出力される。そのため、赤色の蛍光体に対応する冷陰極素子には電流Ir[A]が流れる。同様に、緑色の蛍光体に対応する冷陰極素子には電流Ig[A]が流れる。同様に、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子には電流Ib[A]が流れる。
【0098】
そして、電圧設定可能な電源71の電圧Vr[V]、電源72の電圧Vg[V]、電源73の電圧Vb[V]を所望の電圧値に設定することによって冷陰極素子に流す電流を変化させる事ができるので、色調整が行なえる。図11からも明らかな様に流す駆動電流が少なければ放出電流も小さく、逆に冷陰極素子に流す駆動電流が多ければ放出電流も大きいので、通常の状態では、
Vr[V]≒Vg[V]≒Vb[V]
とすれば、各色の蛍光体に対応する冷陰極素子に流す駆動電流Ir[A],Ib[A]はほぼ等しくなり、各色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流もほぼ等しくでき、通常の色となる。
【0099】
例えば、ユーザーの好みにより、通常の状態より青みがかった色に調整したければ
Vr[V]≒Vg[V]<Vb[V]
とすれば良い。この時は、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子に流す駆動電流Ib[A]を、他の色の蛍光体に対応する冷陰極素子に流す駆動電流Ir[A],Ig[A]より大きくできる。そのため、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流を他の色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流より大きくできる。したがって、青色の輝度が相対的に大きくなり、青みがかった色に調整できる。
【0100】
同様に、通常の状態より赤みがかった色に調整したければ
Vr[V]>Vg[V]≒Vb[V]
とすれば良い。
【0101】
また、特殊効果的に緑色のみの画像を表示する場合には
Vr[V]≒Vb[V]≒0[V],Vg[V]≒Vth[V]
とすれば良い。この時は、緑色以外の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流はほぼ0となり、緑色の蛍光体に対応する冷陰極素子の放出電流のみで蛍光体を光らすことができる。すなわち緑色のみの画像を得ることができる。
【0102】
この結果、本実施形態に係る上記構成の画像表示装置を実現することによって、少ない消費電力かつ少ないハードウエアで画像表示装置の色調整が行なうことができる画像表示装置を提供できた。
【0103】
(変調信号ドライバの詳細な実施形態)
本発明にかかる変調信号ドライバの変調信号線1本に対する詳細を図7に示す。図7において、入力端子70aには電源71または電源72または電源73からの出力電流が入力される。入力端子70bは変調信号発生部6の出力を受ける。
【0104】
入力端子70bはバッファ70eを介してMOSEFT70dのゲートに、インバータ70g,70iを介してMOSEFT70f,70hのゲートにそれぞれ接続される。そのため入力端子70bのロジックレベルが“H”のとき、スイッチ70dは導通、スイッチ70f,70hは非導通となる。NPNトランジスタ70kのコレクタ電流は、オペアンプ70jの非反転入力の電圧と比例した電流値で決定される。すなわち電圧制御電流源を構成する。PNPトランジスタ70m,70n、抵抗70o,70pはカレントミラー回路を構成し、NPNトランジスタ70kのコレクタ電流と同じ電流値で電流出力を出力端子70cに出力する。このときには、MOSEFT70hは非導通となる。
【0105】
以上の構成で、変調信号ドライバはマトリクス画像表示パネルを駆動する。
【0106】
この例ではMOS−FET70d,70fをスイッチとして使用したが、一般ジャンクションタイプのトランジスタやアナログスイッチであっても構わない。
【0107】
[第3の実施の形態]
図8は、本発明の第3の実施形態である画像表示装置のブロック図である。図8において、図5の番号と同じ構成要素については同じ番号を付けたので説明を略す。図8において、ROM4aは補正データを記憶しており、不図示のアドレス発生器によって、冷陰極に対応した駆動電流データを輝度データと同じレートで順次出力する。補正データは各素子ごとの電子放出特性のばらつきを補正するためのデータであり、予め測定されている。シフトレジスタ5aは、ROM4aから出力される補正データを順次転送する。変調信号ドライバ7は、各列配線毎に供給する信号を生成するために、制御電圧に応じて出力電流を決定する電流源7a、スイッチ7d、D/Aコンバータ7eを含む。赤色の蛍光体に対応する冷陰極素子は変調信号配線X1,X4…に接続されている。その変調信号配線X1,X4…に接続された可変電流源7aの制御端子には、D/Aコンバータ7eの出力端子が接続されている。D/Aコンバータ7eは基準電圧入力端子Refとデータ入力端子Dataとを有し、基準電圧入力端子は電源71に接続されて電圧Vr[V]が印加され、データ入力端子はシフトレジスタ5aの対応する桁が接続されて、補正データが入力される。そして基準電圧Vr[V]を基に、データ入力端子から入力される補正データに比例した電流Ir[A]を出力する。DAコンバータ7eは、例えば基準電圧を最低値として補正データに応じた電圧を上乗せしたり、あるいは、基準電圧を最大値として補正データに応じた電圧を差し引いたりした電圧を出力する。
【0108】
同様に、緑色の蛍光体に対応する冷陰極素子には変調信号配線X2,X5,…が接続されている。その変調信号配線X2,X5…に接続された可変電流源7aの制御端子には、D/Aコンバータ7eの出力端子が接続されている。D/Aコンバータ7eは基準電圧入力端子Refとデータ入力端子Dataとを有し、基準電圧入力端子は電源72に接続されて電圧Vg[V]が印加され、データ入力端子はシフトレジスタ5aの対応する桁が接続されて、補正データが入力される。そして基準電圧Vg[V]を基に、データ入力端子から入力される補正データに比例した電流Ig[A]を出力する。
【0109】
同様に、青色の蛍光体に対応する冷陰極素子には変調信号配線X3,X6,…,X480が接続されている。その変調信号配線X3,X6…に接続された可変電流源7aの制御端子には、D/Aコンバータ7eの出力端子が接続されている。D/Aコンバータ7eは基準電圧入力端子Refとデータ入力端子Dataとを有し、基準電圧入力端子は電源73に接続されて電圧Vb[V]が印加され、データ入力端子はシフトレジスタ5aの対応する桁が接続されて、補正データが入力される。そして基準電圧Vb[V]を基に、データ入力端子から入力される補正データに比例した電流Ib[A]を出力する。
【0110】
第3の実施形態も第2の実施形態と同様に、電圧Vr,Vg,Vbを変えることで各色の輝度を調整でき、色調整が行なえる。さらに、第3の実施形態の場合、冷陰極素子の駆動電流を、補正データを反映して各々駆動しているために、各素子の入出力特性に適した入力信号を印加することができる。
【0111】
その結果、本発明の上記構成の画像表示装置を実現することによって、冷陰極素子の駆動電流を各々決定でき、かつ小さなハードウエアで画像表示装置の色調整が行なうことができる画像表示装置を提供できた。
【0112】
また、第2の実施形態と同様、図9に示す様にD/Aコンバータの出力電圧をスイッチ7b,7cによって切り換え電流源の消費電力を少なくする構成(第2の実施形態で示した構成)であってももちろん良い。
【0113】
[その他の実施の形態]
また第1乃至第3の実施の形態では、冷陰極型電子放出素子の場合で説明したが、むろん、EL素子や、いずれの電子放出素子に対しても適用できる。例えば、前記冷陰極型の電子源は、表面伝導型放出素子或いはFE型放出素子或いは、MIM型放出素子で構成されていても問題なく適応できる。
【0114】
また第1乃至第3の実施の形態では、RGBの3原色を用いた画像表示装置で説明したが、例えば赤、緑2色の画像表示装置であっても構わない。この場合は、電源73は不要であり、電源71、電源72を所望の電圧に設定して色調整することにより対処できる。
【0115】
第1乃至第3の実施の形態に係る画像表示装置は基本的には、薄型の真空容器内に、基板上に多数の電子源、例えば冷陰極素子を配列してなるマルチ電子源と、電子の照射により画像を形成する画像形成部材とを対向して備えている。
【0116】
冷陰極素子は、例えばフォトリソグラフィー・エッチングにような製造技術を用いれば基板上に精密に位置決めして形成できるため、微小な間隔で多数個を配列することが可能である。しかも、従来からCRT等で用いられてきた熱陰極と比較すると、陰極自身や周辺部が比較的低温な状態で駆動できるため、より微細な配列ピッチのマルチ電子源を容易に実現できる。この実施の形態は、上述した冷陰極素子をマルチ電子源として用いた画像形成装置に係わるものである。
【0117】
また、冷陰極素子の中でもとりわけ好ましいのは、表面伝導型電子放出素子(SCE)である。即ち、冷陰極素子のうち、MIM型素子は絶縁層や上部電極の厚さを比較的精密に制御する必要があり、またFE型素子は針状の電子放出部の先端形状を精密に制御する必要がある。そのため、これらの素子は比較的製造コストが高くなったり、製造プロセス上の制限から大面積のものを作製するのが困難となる場合があった。これに対して、SCEは構造が単純で製造が簡単であり、大面積のものも容易に作製できる。近年、特に大画面で安価な表示装置が求められる状況においては、とりわけ好適な冷陰極素子であるといえる。
【0118】
(表示パネルの構成と製造法)
次に本実施の形態に係る画像表示装置の表示パネル1の構成と、その製造法について、具体的な例を示して説明する。
【0119】
図12は、本実施の形態に用いた表示パネル1の斜視図であり、その内部構造を示すために表示パネル1の一部を切り欠いて示している。
【0120】
図中、1005はリアプレート、1006は側壁、1007はフェースプレートであり、1005〜1007により表示パネル1の内部を真空に維持するための気密容器を形成している。気密容器を組み立てるにあたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため封着する必要があるが、例えばフリットガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することにより封着を達成した。気密容器内部を真空に排気する方法については後述する。
【0121】
リアプレート1005には基板1001が固定されているが、この基板1001上には冷陰極素子1002がN×M個形成されている。ここでN,Mは共に2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレビジョンの表示を目的とした表示装置においては、N=3000,M=1000以上の数を設定することが望ましいが、本実施の形態においては、N=480,M=240とした。これらN×M個の冷陰極素子は、M本の行方向配線1003とN本の列方向配線1004により単純マトリクス配線されている。これら1001〜1004によって構成される部分をマルチ電子源と呼ぶ。なお、マルチ電子源の製造方法や構造については、後で詳しく述べる。
【0122】
本実施の形態においては、気密容器のリアプレート1005にマルチ電子源の基板1001を固定する構成としたが、マルチ電子源の基板1001が十分な強度を有するものである場合には、気密容器のリアプレートとしてマルチ電子源の基板1001自体を用いてもよい。
【0123】
また、フェースプレート1007の下面には、蛍光膜1008が形成されている。本実施の形態はカラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えば図13(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けてある。この黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生じないようにするためや、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐため、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止するためなどである。この黒色の導電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良い。
【0124】
また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図13(A)に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、例えば図13(B)に示すようなデルタ状配列や、それ以外の配列であってもよい。なお、モノクロームの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用いればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。
【0125】
また、蛍光膜1008のリアプレート側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009を設けてある。このメタルバック1009を設けた目的は、蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させるためや、負イオンの衝突から蛍光膜1008を保護するためや、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させるためや、蛍光膜1008を励起した電子の導電路として作用させるためなどである。このメタルバック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その上にAl(アルミニウム)を真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、メタルバック1009は用いない。
【0126】
また、本実施の形態では用いなかったが、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間に、例えばITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0127】
また、Dx1〜DxMおよびDy1〜DyNおよびHvは、この表示パネル1と前述の走査ドライバ9及び変調信号ドライバ7とを電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子で、行端子Dx1〜DxMは前述の信号Y1〜Y240を入力しており、マルチ電子源の行方向配線1003と接続されている。また、列端子Dy1〜DyNは前述の信号X1〜X480を入力しており、マルチ電子源の列方向配線1004と接続され、またHvはフェースプレートのメタルバック1009と電気的に接続されている。
【0128】
また、この気密容器の内部を真空に排気するには、この気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポンプとを接続し、この気密容器内を10のマイナス7乗[torr]程度の真空度まで排気する。その後、この排気管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前或は封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不図示)を形成する。このゲッター膜とは、例えばBaを主成分とするゲッター材料をヒータもしくは高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、このゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10マイナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[torr]の真空度に維持される。
【0129】
以上、本実施の形態の表示パネル1の基本構成と製法を説明した。
【0130】
次に本実施の形態の表示パネル1に用いたマルチ電子源の製造方法について説明する。本実施の形態の画像表示装置に用いるマルチ電子源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。従って、例えば表面伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0131】
但し、表示画面が大きくてしかも安価な表示装置が求められる状況の下では、これらの冷陰極素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。即ち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極めて高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。またMIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてしかも均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大面積化や製造コストの低減が容易である。また本願発明者らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見出している。従って、高輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子源に用いるには、最も好適であると言える。そこで、上記実施の形態の表示パネル1においては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適な表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法および特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子源の構造について述べる。
【0132】
(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と製法)
電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型と垂直型の2種類があげられる。
【0133】
(平面型の表面伝導型放出素子)
まず最初に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法について説明する。
【0134】
図14は、平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面図(b)である。図中、1101は基板、1102と1103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1113は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0135】
基板1101としては、例えば、石英ガラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述の各種基板上に例えばSiO2を材料とする絶縁層を積層した基板、などを用いることができる。また、基板1101上に基板面と平行に対向して設けられた素子電極1102と1103は、導電性を有する材料によって形成されている。例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等をはじめとする金属、或はこれらの金属の合金、あるいはIn2O3−SnO2をはじめとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、例えば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(例えば印刷技術)を用いて形成しても差し支えない。
【0136】
素子電極1102と1103の形状は、この電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストロームから数百マイクロメータの範囲から適当な数値を選んで設計されるが、中でも表示装置に応用するために好ましいのは数マイクロメータより数十マイクロメータの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、通常は数百オングストロームから数マイクロメータの範囲から適当な数値が選ばれる。
【0137】
また、導電性薄膜1104の部分には、微粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに重なり合った構造が観測される。
【0138】
微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロームの範囲に含まれるものであるが、なかでも好ましいのは10オングストロームから200オングストロームの範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。即ち、素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にするために必要な条件、などである。具体的には、数オングストロームから数千オングストロームの範囲のなかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングストロームから500オングストロームの間である。
【0139】
また、微粒子膜を形成するのに用いられうる材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,SnO2,In2O3,PbO,Sb2O3などをはじめとする酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB4,GdB4などをはじめとする硼化物や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,HfN,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などをはじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、これらの中から適宜選択される。
【0140】
以上述べたように、導電性薄膜1104を微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、10の3乗から10の7乗[Ω/□]の範囲に含まれるよう設定した。
【0141】
なお、導電性薄膜1104と素子電極1102および1103とは、電気的に良好に接続されるのが望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造をとっている。その重なり方は、図14の例においては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層したが、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電極、の順序で積層しても差し支えない。また、電子放出部1105は、導電性薄膜1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂内には、数オングストロームから数百オングストロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難なため、図14においては模式的に示した。
【0142】
また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミング処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことにより形成する。この薄膜1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下とするが、300[オングストローム]以下とするのが更に好ましい。
【0143】
なお、実際の薄膜1113の位置や形状を精密に図示するのは困難なため、図14においては模式的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0144】
以上、好ましい素子の基本構成を述べたが、実施の形態においては以下のような素子を用いた。
【0145】
即ち、基板1101には青板ガラスを用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用いた。素子電極の厚さdは1000[オングストローム]、電極間隔Lは2[マイクロメータ]とした。微粒子膜の主要材料としてPdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストローム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0146】
次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子の製造方法について説明する。
【0147】
図15(a)〜(e)は、本実施の形態の表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は図14と同一である。
【0148】
(1)まず、図15(a)に示すように、基板1101上に素子電極1102および1103を形成する。これら素子電極1102,1103を形成するにあたっては、予め基板1101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄した後、素子電極の材料を堆積させる。この材料を堆積する方法としては、例えば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用ればよい。その後、堆積した電極材料を、フォトリソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の素子電極(1102と1103)を形成する。
【0149】
(2)次に、同図(b)に示すように、導電性薄膜1104を形成する。この導電性薄膜1104を形成するにあたっては、まず基板1101に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である。(具体的には、本実施の形態では主要元素としてPdを用いた。また、実施の形態では塗布方法として、ディッピング法を用いたが、それ以外の例えばスピンナー法やスプレー法を用いてもよい)。また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成膜方法としては、本実施の形態で用いた有機金属溶液の塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパッタ法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0150】
(3)次に、同図(c)に示すように、フォーミング用電源1110から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電子放出部1105を形成する。この通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好適な構造に変化した部分(即ち電子放出部1105)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子放出部1105が形成される前と比較すると、形成された後は素子電極1102と1103の間で計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0151】
この通電方法をより詳しく説明するために、図16に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施の形態の場合には同図に示したようにパルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。その際、三角波パルスの波高値Vpfを順次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニタするためのモニタパルスPmを、適宜の間隔で三角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計測した。
【0152】
本実施の形態においては、例えば10のマイナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、例えばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回の割りで、モニタパルスPmを挿入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニタパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、素子電極1102と1103の間の電気抵抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、即ちモニタパルス印加時に電流計1111で計測される電流が1×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0153】
なお、上記の方法は、本実施の形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい方法であり、例えば微粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0154】
(4)次に、図15(d)に示すように、活性化用電源1112から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の改善を行う。この通電活性化処理とは、前記通電フォーミング処理により形成された電子放出部1105に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積せしめる処理のことである。(図においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113として模式的に示した。)なお、通電活性化処理を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電流を典型的には100倍以上に増加させることができる。
【0155】
具体的には、10のマイナス4乗ないし10のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下、より好ましくは300[オングストローム]以下である。
【0156】
通電方法をより詳しく説明するために、図17(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実施の形態においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行ったが、具体的には,矩形波の電圧Vacは14[V],パルス幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施の形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0157】
図14(d)に示す1114は該表面伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流計1116が接続されている。(なお、基板1101を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114として用いる)。活性化用電源1112から電圧を印加する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性化処理の進行状況をモニタし、活性化用電源1112の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電流Ieの一例を図17(b)に示すが、活性化電源1112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0158】
なお、上述の通電条件は、本実施の形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0159】
以上のようにして、図15(e)に示す平面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0160】
(垂直型の表面伝導型放出素子)
次に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、即ち垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0161】
図18は、垂直型の基本構成を説明するための模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1202と1203は素子電極、1206は段差形成部材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1213は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0162】
この垂直型が先に説明した平面型と異なる点は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段差形成部材1206の側面を被覆している点にある。従って、図14の平面型における素子電極間隔Lは、垂直型においては段差形成部材1206の段差高Lsとして設定される。なお、基板1201、素子電極1202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、については、平面型の説明中に列挙した材料を同様に用いることが可能である。また段差形成部材1206には、例えばSiO2のような電気的に絶縁性の材料を用いる。
【0163】
次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法について説明する。
【0164】
図19(a)〜(f)は、この製造工程を説明するための断面図で、各部材の符号は図18と同一である。
【0165】
(1)まず、図19(a)に示すように、基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0166】
(2)次に、同図(b)に示すように、段差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層は、例えばSiO2をスパッタ法で積層すればよいが、例えば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。
【0167】
(3)次に、同図(c)に示すように、絶縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0168】
(4)次に、同図(d)に示すように、絶縁層の一部を、例えばエッチング法を用いて除去し、素子電極1203を露出させる。
【0169】
(5)次に、同図(e)に示すように、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成するには、前記平面型の場合と同じく、例えば塗布法などの成膜技術を用いればよい。
【0170】
(6)次に、前記平面型の場合と同じく、通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する。(図15(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング処理と同様の処理を行えばよい。)
(7)次に、前記平面型の場合と同じく、通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる(図15(d)を用いて説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
【0171】
以上のようにして、図19(f)に示す垂直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0172】
(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の特性)
以上、本実施の形態に係る平面型と垂直型の表面伝導型放出素子について、その素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用いた素子の特性について述べる。
【0173】
図20に、表示装置に用いた素子の、(放出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを変更することにより変化するものであるため、2本のグラフは各々任意単位で図示した。
【0174】
この表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0175】
第1に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0176】
第2に、放出電流Ieは素子に印加する電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大きさを制御できる。
【0177】
第3に、素子に印加する電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0178】
以上のような特性を有するため、表面伝導型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。例えば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表示装置において、第1の特性を利用すれば、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。即ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。また、第2の特性かまたは第3の特性を利用することにより、発光輝度を制御することができるため、諧調表示を行うことが可能である。
【0179】
(多数素子を単純マトリクス配線したマルチ電子源の構造)
次に、上述の表面伝導型放出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電子源の構造について述べる。
【0180】
図21に示すのは、図12の表示パネル1に用いたマルチ電子源の平面図である。基板上には、図14で示したものと同様な表面伝導型放出素子が配列され、これらの素子は行方向配線電極1003と列方向配線電極1004により単純マトリクス状に配線されている。行方向配線電極1003と列方向配線電極1004の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0181】
図21のA−A’に沿った断面を図22に示す。
【0182】
なお、このような構造のマルチ電子源は、予め基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向配線電極1003および列方向配線電極1004を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うことにより製造した。
【0183】
図23は、説明の表面伝導型放出素子を電子源として用いた表示パネル1に、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できるように構成した多機能表示装置の一例を示すための図である。
【0184】
図中、1は表示パネル、2101は表示パネル1の駆動回路、2102はディスプレイコントローラ、2103はマルチプレクサ、2104はデコーダ、2105は入出力インターフェース回路、2106はCPU、2107は画像生成回路、2108および2109および2110は画像メモリインターフェース回路、2111は画像入力インターフェース回路、2112および2113はTV信号受信回路、2114は入力部である。なお、本表示装置は、例えばテレビジョン信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声情報の受信,分離,再生,処理,記憶などに関する回路やスピーカなどについては説明を省略する。
【0185】
以下、画像信号の流れに沿って各部の機能を説明してゆく。
【0186】
まず、TV信号受信回路2113は、例えば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路である。受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例えば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式などの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走査線よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適した表示パネルの利点を生かすのに好適な信号源である。TV信号受信回路2113で受信されたTV信号は、デコーダ2104に出力される。TV信号受信回路2112は、例えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路である。TV信号受信回路2113と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、また本回路で受信されたTV信号もデコーダ2104に出力される。
【0187】
画像入力インターフェース回路2111は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナなどの画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリインターフェース回路2110は、ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリインターフェース回路2109は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリインターフェース回路2108は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像データを記憶している装置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ2104に出力される。
【0188】
入出力インターフェース回路2105は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピュータネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続するための回路である。画像データや文字データ・図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示装置の備えるCPU2106と外部との間で制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能である。
【0189】
画像生成回路2107は、入出力インターフェース回路2105を介して外部から入力される画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU2106より出力される画像データや文字・図形情報に基づき表示用画像データを生成するための回路である。本回路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応する画像パターンが記憶されている読みだし専用メモリや、画像処理を行うためのプロセッサなどをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0190】
本回路により生成された表示用画像データは、デコーダ2104に出力されるが、場合によっては入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータネットワークやプリンタ入出力することも可能である。
【0191】
また、CPU2106は、主として本表示装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業を行う。例えば、マルチプレクサ2103に制御信号を出力し、表示パネルに表示する画像信号を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示する画像信号に応じて表示パネルコントローラ2102に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースかノンインターレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制御する。また、画像生成回路2107に対して画像データや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・図形情報を入力する。
【0192】
なお、CPU2106は、むろんこれ以外の目的の作業にも関わるものであっても良い。例えば、パーソナルコンピュータやワードプロセッサなどのように、情報を生成したり処理する機能に直接関わっても良い。あるいは、前述したように入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、例えば数値計算などの作業を外部機器と協同して行っても良い。
【0193】
入力部2114は、CPU2106に使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入力するためのものであり、例えばキーボードやマウスのほか、ジョイスティック,バーコードリーダー,音声認識装置など多様な入力機器を用いる事が可能である。
【0194】
デコーダ2104は、2107ないし2113より入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信号とI信号,Q信号に逆変換するための回路である。なお、同図中に点線で示すように、デコーダ2104は内部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うためである。また、画像メモリを備えることにより、静止画の表示が容易になる、あるいは画像生成回路2107およびCPU2106と協動して画像の間引き,補間,拡大,縮小,合成をはじめとする画像処理や編集が容易に行えるようになるという利点が生まれるからである。マルチプレクサ2103は、CPU2106より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ2103はデコーダ2104から入力される逆変換された画像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動回路2101に出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切り替えて選択することにより、いわゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異なる画像を表示することも可能である。
【0195】
表示パネルコントローラ2102は、CPU2106より入力される制御信号に基づき駆動回路2101の動作を制御するための回路である。
【0196】
まず、表示パネルの基本的な動作にかかわるものとして、例えば表示パネルの駆動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するための信号を駆動回路2101に対して出力する。また、表示パネルの駆動方法に関わるものとして、例えば画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースかノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回路2101に対して出力する。
【0197】
また、場合によっては表示画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスといった画質の調整に関わる制御信号を駆動回路2101に対して出力する場合もある。駆動回路2101は、表示パネル1に印加する駆動信号を発生するための回路であり、マルチプレクサ2103から入力される画像信号と、表示パネルコントローラ2102より入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0198】
以上、各部の機能を説明したが、図23に例示した構成により、本表示装置においては多様な画像情報源より入力される画像情報を表示パネル1に表示する事が可能である。即ち、テレビジョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ2104において逆変換された後、マルチプレクサ2103において適宜選択され、駆動回路2101に入力される。一方、ディスプレイコントローラ2102は、表示する画像信号に応じて駆動回路2101の動作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路2101は、上記画像信号と制御信号に基づいて表示パネル1に駆動信号を印加する。
【0199】
これにより、表示パネル1において画像が表示される。これらの一連の動作は、CPU2106により統括的に制御される。
【0200】
また、本表示装置においては、デコーダ2104に内蔵する画像メモリや、画像生成回路2107およびCPU2106が関与することにより、単に複数の画像情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、例えば拡大,縮小,回転,移動,エッジ強調,間引き,補間,色変換,画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合成,消去,接続,入れ換え,はめ込みなどをはじめとする画像編集を行う事も可能である。また、本実施の形態の説明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行うための専用回路を設けても良い。
【0201】
従って、本表示装置は、テレビジョン放送の表示機器,テレビ会議の端末機器,静止画像および動画像を扱う画像編集機器,コンピュータの端末機器,ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器,ゲーム機などの機能を一台で兼ね備える事が可能で、産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0202】
なお、上記図23は、表面伝導型放出素子を電子ビーム源とする表示パネルを用いた表示装置の構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定されるものではない事は言うまでもない。例えば、図23の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えない。またこれとは逆に、使用目的によってはさらに構成要素を追加しても良い。例えば、本表示装置をテレビ電話機として応用する場合には、テレビカメラ,音声マイク,照明機,モデムを含む送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0203】
本表示装置においては、とりわけ表面伝導型放出素子を電子ビーム源とする表示パネルが容易に薄形化できるため、表示装置全体の奥行きを小さくすることが可能である。それに加えて、表面伝導型放出素子を電子ビーム源とする表示パネルは大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表示する事が可能である。
【0204】
尚、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0205】
また、本発明の目的は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。
【0206】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0207】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0208】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0209】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0210】
以上説明したように本実施の形態によれば、各色の蛍光体に印加する電圧を調整することにより、表示される画像の色合い等を各色毎に調整することができる。
【0211】
また本実施の形態によれば、少ないハードウェア構成で、表示される画像の色調整を行うことができる。
【0212】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、各色の発光体を駆動する電子放出素子からの電子の放出量を制御することにより色調整を行うことができる。
【0213】
また本発明によれば、各色の発光体の駆動源に対応して電圧源を備え、各電圧源の出力電圧を制御することにより、発光体を駆動する電子の放出量を制御して色調整を行うことができる。
【0214】
また本発明によれば、各色の発光体の駆動源に対応して電流源を備え、各電流源の出力電流を制御することにより、発光体を駆動する電子の放出量を制御して色調整を行うことができる。
【0215】
また本発明によれば、各色の発光体をストライプ状に配列し、各色の発光体に印加する電荷を、指示された色調整に応じて調整することにより、表示される各色の色調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像表示装置の表示駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の表示駆動回路の動作タイミングを説明するタイミング図である。
【図3】本実施の形態の変調信号発生部の1つの信号に対する変調回路の構成を示す回路図である。
【図4】図3の回路の動作を説明するタイミング図である。
【図5】第2の実施形態に係る画像表示装置の表示駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態の表示駆動回路の動作タイミングを説明するタイミング図である。
【図7】第2の実施形態の表示駆動回路における変調信号ドライバの詳細図である。
【図8】第3の実施形態画像表示装置の表示駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図9】第3の実施形態の他の構成例を示す図である。
【図10】変調信号発生部のブロック図及びタイミング図である。
【図11】本実施の形態に係る冷陰極型電子源の特性の一例を説明するグラフ図である。
【図12】本実施の形態に係る画像表示装置の表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図13】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図14】本実施の形態に係る平面型の表面伝導型放出素子の平面図(a),断面図(b)である。
【図15】平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を説明する断面図である。
【図16】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を示す図である。
【図17】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a),放出電流Ieの変化(b)を示す図である。
【図18】本実施の形態で用いた垂直型の表面伝導型放出素子の断面図である。
【図19】垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を説明する断面図である。
【図20】本実施の形態で用いた表面伝導型放出素子の典型的な特性を示すグラフ図である。
【図21】実施の形態で用いたマルチ電子源の基板の平面図である。
【図22】実施の形態で用いたマルチ電子源の基板の一部断面図である。
【図23】本実施の形態である画像表示装置を用いた多機能画像表示装置のブロック図である。
【図24】従来の電子放出素子を説明する図である。
【図25】従来の電子放出素子を説明する図である。
【図26】従来の電子放出素子を説明する図である。
【図27】従来の電子放出素子の配線方法を説明する図である。
Claims (17)
- 複数の電子放出素子を有する電子源と、
各色に対応した発光体を備え、前記電子源から放出される電子により発光してカラー画像を表示する発光手段と、
画像信号に応じたパルス幅のパルス信号を出力する変調手段と、
前記各色に対応した発光体に電子を照射する電子放出素子のそれぞれを駆動する前記パルス信号の電圧を、各色に対応する前記電圧毎に制御する電圧制御手段と、
を有しており、前記制御によって色調整が行われることを特徴とする画像表示装置。 - 複数の電子放出素子を有する電子源と、
各色に対応した発光体を備え、前記電子源から放出される電子により発光してカラー画像を表示する発光手段と、
画像信号に応じたパルス幅のパルス信号を出力する変調手段と、
前記各色に対応した発光体に電子を照射する電子放出素子のそれぞれを駆動する前記パルス信号の電流を、各色に対応する電流毎に制御する電流制御手段と、
を有しており、前記制御によって色調整が行われることを特徴とする画像表示装置。 - 前記電流制御手段は、印加電圧に応じた電流を出力する電流源と、前記印加電圧を色毎に制御する電圧制御手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
- 前記電圧制御手段は、調整可能な入力電圧と前記複数の電子放出素子の各々に対応した基準電圧とにより前記印加電圧を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
- 表示される色の調整を指示する指示手段を更に有し、前記電圧制御手段は、前記指示手段の指示に応じて、前記パルス信号の電圧を制御することを特徴とする請求項1又は3又は4に記載の画像表示装置。
- 前記複数の電子放出素子はマトリクス状に配列され、前記各色に対応した発光体はそれぞれ色毎にストライプ状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 更に前記複数の電子放出素子の各走査ラインを選択し、当該選択された走査ラインに所定電圧を印加する走査駆動手段を有することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
- 前記変調手段から出力されるパルス信号は前記マトリクスの列配線に入力されることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像表示装置。
- 前記各色に対応した発光体はRGBの蛍光体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 前記電子放出素子は冷陰極型素子であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 変調信号配線と走査配線との交点もしくはその近傍に素子が配置され、共通の変調信号配線に接続された素子により互いに同じ色を発光させる表示パネルと、
前記素子によって発光される各色に対応しており、色調整のために各色毎に調整可能な制御電圧を供給する制御電圧源と、
前記変調信号配線に接続されるとともに、前記変調信号配線に接続された素子が発光する色に対応する制御電圧を前記制御電圧源から供給され、前記制御電圧に応じた電流を前記変調信号配線に出力する可変電流源と、
前記可変電流源により出力される電流を、画像信号値に応じた幅のパルスに変調する変調信号ドライバと
を備えることを特徴とする画像表示装置。 - 前記制御電圧源は、操作者が調整可能な第1の電圧を出力する第1の電圧源と、前記素子それぞれの入出力特性を補正するための補正データに応じた第2の電圧を出力する第2の電圧源とを含み、前記第1の電圧を基にして前記第2の電圧により調整した電圧を出力することを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
- 前記表示パネルは変調信号配線毎に要素色をストライプ状に配列してなることを特徴とする請求項11または12に記載の画像表示装置。
- 前記表示パネルは前記素子毎に対応した色の蛍光板を有し、前記素子から放出される電子ビームの衝突により発光を得ることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 前記素子は冷陰極型素子であることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 複数の変調信号配線を有しており、各変調信号配線には複数の前記電子放出素子が接続されており、共通の変調信号配線に接続された複数の前記電子放出素子は同じ色を発光させるものであり、前記電圧制御手段は、各変調信号配線に出力する前記パルス信号の電圧を制御するものであり、該制御によって色調整が行われる請求項1に記載の画像表示装置。
- 複数の変調信号配線を有しており、各変調信号配線には複数の前記電子放出素子が接続されており、共通の変調信号配線に接続された複数の前記電子放出素子は同じ色を発光させるものであり、前記電圧制御手段は、前記印加電圧を制御して前記電流源が各変調信号配線に出力する前記パルス信号の電流を制御するものであり、該制御によって色調整が行われる請求項3に記載の画像表示装置。
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