JP3839298B2 - ディスク再生装置の調整機構および調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンパクトディスク等のディスク型記録媒体に記録されたデータを読み出して再生動作を行うディスク再生装置の調整機構および調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
音楽や映画、あるいはそれ以外の各種データを記録するために、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)等のディスク型記録媒体が広く用いられている。CD等にはデータが信号記録面の小さなピットによりスパイラル状または同心円状に記録されており、CD等を再生するディスク再生装置は、光ピックアップから照射したレーザビームの焦点を信号記録面に合わせながら、ピット列(トラック)を追跡させ、このときの反射ビームを光ピックアップで検出することにより、記録信号の読み取りを行うようになっている。
【0003】
最近のディスク再生装置では、ホログラムピックアップと称される光ピックアップを採用しているものが多くなっている。このホログラムピックアップは、従来の光ピックアップにおいてビームスプリッタと複合レンズを用いて行われていた機能、すなわちトラッキングビーム生成や、レーザからの入射光とディスクからの反射光の分離などの機能を回折格子を用いて行うものであり、光ピックアップの小型化、高性能化、軽量化などが可能となるという特長をもっている。
【0004】
また近年では、データ読み出し専用であるCDやDVDの他にも、1回だけデータ書き込みが可能なCD−R(CD-Recordable )、データ書き換えが可能なCD−RW(CD-ReWritable )、DVD−RAMなど様々なディスク型記録媒体が普及している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したホログラムピックアップを用いたディスク再生装置では、回折格子を用いていることから、ディスクからの反射光以外に回折格子の内部で反射される光が受光部に戻るため、RFアンプから出力されるトラッキングエラー信号に含まれる直流成分(以下、「直流オフセット」と呼ぶ)が多くなる。特に、このホログラムピックアップを用いて反射率が低いディスク(例えばCD−RW)に記録されたデータの再生を行う場合には、RFアンプのゲインを高めに設定することになるため、トラッキングエラー信号の直流オフセットがさらに多くなり、この直流オフセットに重畳された状態で出力されるトラッキングエラー信号の波形の一部がサーボLSIのダイナミックレンジを超えてしまう場合がある。RFアンプから出力されるトラッキングエラー信号に含まれる直流オフセットそのものは後段のサーボLSI内においてキャンセルする処理が行われるが、、トラッキングエラー信号の一部がクリップされた状態に変わりはないため、従来の光ディスク再生装置では、このトラッキングエラー信号を用いて行われるトラッキングバランス調整の精度が悪くなるという問題があった。一般に、トラッキングバランス調整は、トラッキングエラー信号の中心値(ピーク値とボトム値の中間値)を所定の目標値に一致させるようにRFアップのゲインを調整するものであり、トラッキングエラー信号の波形がクリップされて正しいピーク値やボトム値の検出が行われなくなると、この検出誤差に応じてトラッキングバランス調整の調整値も誤差を含むようになる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、トラッキングバランス調整の精度を向上させることができるディスク再生装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明のディスク再生装置の調整機構は、増幅器によって光ピックアップの出力信号を増幅してトラッキングエラー信号を生成し、このトラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値と、この直流オフセット電圧値を打ち消さない状態での第1のトラッキングバランス調整値とを測定手段によって測定している。そして演算手段により、第1のトラッキングバランス調整値から直流オフセット電圧値に相当する値を差し引いて第2のトラッキングバランス調整値を求めるとともに、オフセット打ち消し手段により、トラッキングエラー信号から直流オフセット電圧値を打ち消しており、バランス調整手段により、第2のトラッキングバランス調整値を用いたトラッキングバランス調整を行っている。
【0008】
トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値を打ち消さない状態で第1のトラッキングバランス調整値を測定するということは、このトラッキングバランス調整によって直流オフセット分も含めてトラッキングエラー信号のピーク値とボトム値の平均を所定の目標値(例えば電源電圧の1/2の電圧値)に一致させることを意味している。したがって、直流オフセットが大きく、しかも増幅器のゲインが高いためにトラッキングエラー信号の波形の一部がクリップしていた場合であっても、トラッキングバランス調整時には、この直流オフセットの影響を除去して最もクリップしにくい状態でトラッキングエラー信号を高ゲインで増幅することができるため、波形の一部がクリップされていないトラッキングエラー信号を用いたトラッキングバランス調整が可能になり、トラッキングバランス調整の精度を向上させることができる。また、実際の再生動作に際しては、トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセットをオフセット打ち消し手段を用いて除去するとともに、上述した測定によって得られた第1のトラッキングバランス調整値から直流オフセット分を差し引いた第2のトラッキングバランス調整値を用いたトラッキングバランス調整を行っており、従来構成を用いた場合と同様のトラッキングエラー信号が生成されるため、この信号を用いる他の構成の仕様等を変更する手間を低減することができる。
【0009】
また、測定手段、オフセット打ち消し手段およびバランス調整手段がサーボLSIに含まれている場合に、これらの各手段による動作を、演算手段を含む制御装置からの指示に応じて行うことが望ましい。一般的なサーボLSIは、上述した測定手段、オフセット打ち消し手段およびバランス調整手段を備えている場合が多いので、制御装置に格納される制御用プログラムの一部に変更を加えることにより、大幅な構成の追加、変更などを伴わず低コストに本発明を実現することができる。
【0010】
また、本発明のディスク再生装置の調整方法は、光ピックアップの出力信号を増幅して生成したトラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値を測定する第1のステップと、直流オフセット電圧値を打ち消さない状態のトラッキングエラー信号を用いて第1のトラッキングバランス調整値を測定する第2のステップと、第1のトラッキングバランス調整値から直流オフセット電圧値に相当する値を差し引いて第2のトラッキングバランス調整値を求める第3のステップと、再生状態において第2のトラッキングバランス調整値を用いてトラッキングバランス調整を行う第4のステップと、再生状態においてトラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値を打ち消す第5のステップとを備えている。
【0011】
上述したように、トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値を打ち消さない状態での第1のトラッキングバランス調整値を測定することにより、波形の一部がクリップされていないトラッキングエラー信号を用いたトラッキングバランス調整が可能になり、トラッキングバランス調整の精度を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態のディスク再生装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態のディスク再生装置の構成を示す図である。図1に示すディスク再生装置は、CDあるいはCD−R、CD−RWなどに記録されたオーディオデータを読み出して再生するものであり、スピンドルモータ12、スレッドモータ14、光ピックアップ16、RFアンプ18、サーボLSI20、サーボドライバ22、デジタル信号処理部24、デジタルフィルタ26、デジタル−アナログ(D/A)変換部28、システムコントローラ30、操作部32、ローパスフィルタ(LPF)70を含んで構成されている。
【0013】
なお、以下の説明においては、単に「CD」と表記した場合には、一般的な音楽CD等の読み出し専用CDの他に、1回だけデータ書き込みが可能なCD−R(CD-Recordable )や、データ書き換えが可能なCD−RW(CD-ReWritable )なども含めて考えるものとする。
【0014】
スピンドルモータ12は、CD10を所定速度で回転させる。スレッドモータ14は、光ピックアップ16をCD10の径方向に移動させる。
光ピックアップ16は、CD10に記録された信号の読み取りを行うものであり、半導体レーザ、ホトダイオードおよびフォーカスレンズを含んで構成される。また光ピックアップ16には、フォーカスレンズをCD10の記録面に対してほぼ垂直方向に移動させるフォーカスアクチュエータと、フォーカスレンズをCD10の径方向に移動させるトラッキングアクチュエータも含まれている。
【0015】
RFアンプ18は、光ピックアップ16から出力される信号を増幅して所定のイコライザ処理を行うことによりRF信号を生成し、デジタル信号処理部24に出力する。またRFアンプ18は、フォーカスサーボに必要なフォーカスエラー信号(FE)と、トラッキングサーボに必要なトラッキングエラー信号(TE)を生成し、サーボLSI20に出力する。
【0016】
サーボLSI20は、各種のサーボ制御を行う。具体的には、サーボLSI20は、RFアンプ18から出力されるフォーカスエラー信号に基づいて、光ピックアップ16内のフォーカスアクチュエータの駆動状態を制御するために必要なフォーカスアクチュエータ制御信号を生成する。また、サーボLSI20は、RFアンプ18から出力されるトラッキングエラー信号に対して高域成分の位相補償や低域成分の増幅を行って、光ピックアップ18内のトラッキングアクチュエータの駆動状態を制御するために必要なトラッキングアクチュエータ制御信号を生成するとともに、トラッキングエラー信号の低域成分(主に直流成分)に基づいてスレッドモータ14の駆動状態を制御するために必要なスレッドモータ制御信号を生成する。また、サーボLSI20は、RFアンプ18から出力される制御信号に基づいて、スピンドルモータ12の駆動状態を制御するために必要なスピンドルモータ制御信号を生成する。サーボLSI20によって生成されるこれらの信号は、サーボドライバ22に出力される。
【0017】
サーボドライバ22は、サーボLSI20から出力されるフォーカスアクチュエータ制御信号に基づいて、光ピックアップ16のフォーカスアクチュエータの駆動電圧を発生する。またサーボドライバ22は、サーボLSI20から出力されるトラッキングアクチュエータ制御信号に基づいて、光ピックアップ16のトラッキングアクチュエータの駆動電圧を発生する。またサーボドライバ22は、サーボLSI20から出力されるスレッドモータ制御信号に基づいて、スレッドモータ14の駆動電圧を発生する。さらに、サーボドライバ22は、サーボLSI20から出力されるスピンドルモータ制御信号に基づいて、スピンドルモータ12の駆動電圧を発生する。
【0018】
デジタル信号処理部24は、RFアンプ18から出力されるRF信号に対して、同期検出およびEFM復調を行った後、CIRC(Cross Interleaved Read-Solomon Code )デコード処理を行い、オーディオデータを出力する。
デジタルフィルタ26は、デジタル信号処理部24から出力されるオーディオデータに対してオーバサンプリング処理を行う。D/A変換部28は、デジタルフィルタ26から出力されるオーバサンプリング処理後のオーディオデータをアナログの音声信号に変換する。
【0019】
システムコントローラ30は、サーボLSI20に対して各種のサーボ指令を出力したり、デジタル信号処理回路24から出力されるTOC(Table of Contents )情報やその他のデータ等を受け取って解析することにより音楽再生に必要な各種の制御を行う制御装置である。
【0020】
操作部32は、利用者がディスク再生装置に対して、再生の開始や停止など各種の操作指示を行うために用いられるものであり、操作内容に応じた信号をシステムコントローラ30に出力する。
図2は、RFアンプ18およびサーボLSI20の詳細な構成を示す図である。図2では、主にトラッキングバランス調整を行うために必要な構成について着目して、RFアンプ18およびサーボLSI20の詳細構成が示されている。
【0021】
RFアンプ18は、3つのアンプ50、52、54を含んで構成されている。アンプ50は、光ピックアップ16に内蔵されているトラッキングエラー検出用のホトダイオードの1つから出力される検出信号を所定のゲインで増幅する。
同様にアンプ52は、光ピックアップ16に内蔵されているトラッキングエラー検出用のホトダイオードの1つから出力される検出信号を所定のゲインで増幅する。またアンプ52は、ローパスフィルタ70から入力される電圧の大きさに応じてゲインを可変する。
【0022】
例えば、光ピックアップ16がトラッキングエラーの検出方法として3スポット法を採用している場合であれば、信号を読み取るための主スポットがCD10の記録面のトラック上に形成され、トラッキングエラーを検出するための2つの副スポットがトラックの両側に形成される。そして、2つの副スポットからの反射光が2つのホトダイオードによりそれぞれ受光されるので、一方のホトダイオードによる検出信号がアンプ50により増幅され、他方のホトダイオードによる検出信号がアンプ52により増幅される。
【0023】
アンプ54は、アンプ50の出力信号が反転入力端子に、アンプ52に出力信号が非反転入力端子にそれぞれ入力されており、これらの入力信号に基づいて差動増幅動作を行い、トラッキングエラー信号を出力する。
また、図2に示すサーボLSI20は、アナログ−デジタル(A/D)変換部60、オフセット調整部62、加算部64、トラッキングバランス調整部66、PWM信号発生部68を含んで構成されている。
【0024】
アナログ−デジタル変換部60は、RFアンプ18から出力されるトラッキングエラー信号をデジタルデータに変換する。なお、以下の説明では、デジタルデータに変換されたトラッキングエラー信号を「トラッキングエラーデータ」と称するものとする。
【0025】
オフセット調整部62は、トラッキングエラー信号に含まれている直流オフセット電圧値を補正する処理を行う。具体的には、オフセット調整部62は、アナログ−デジタル変換部60から出力されるトラッキングエラーデータに含まれている直流オフセット電圧値を予め計測しておき、この直流オフセット電圧値を打ち消すためのオフセット補正データを出力する。
【0026】
加算部64は、オフセット調整部62から出力されるオフセット補正データとアナログ−デジタル変換部60から出力されるトラッキングエラーデータを加算する処理を行う。これにより、直流オフセット電圧値が打ち消されたトラッキングエラーデータが得られる。
【0027】
トラッキングバランス調整部66は、加算部64から出力されるトラッキングエラーデータに基づいてトラッキングエラー信号の波形のピーク値とボトム値を抽出してトラッキングエラー信号の中心値を求め、この中心値が所定の目標値Vrfと一致するように、PWM信号発生部68および外部のローパスフィルタ70を介してRFアンプ18のゲインを調整する処理を行う。
【0028】
図3は、トラッキングエラー信号の中心値を示す図である。図3に示すように、トラッキングエラー信号の波形のピーク値をVp 、ボトム値をVb とすると、トラッキングエラー信号の中心値Vm は、(Vp +Vb )/2を計算することにより求められる。トラッキングバランス調整部66は、上述した中心値Vm を求め、この中心値Vm と目標値Vrf(例えば電源電圧の1/2の電圧値)との差に応じて設定されるトラッキングバランス補正データをPWM信号発生部68に出力する。
【0029】
PWM信号発生部68は、トラッキングバランス調整部66から出力されるトラッキングバランス補正データに対してパルス幅変調を行うことにより、トラッキングバランス補正データの値に応じたデューティ比を有するパルス信号を出力する。PWM信号発生部68から出力されるパルス信号がローパスフィルタ70に入力されており、PWM信号発生部68の出力信号のデューティ比が変更されるとローパスフィルタ70の出力電圧が変化する。ローパスフィルタ70の出力電圧は、RFアンプ18内のアンプ52にゲイン調整の制御電圧として印加されており、ローパスフィルタ70の出力電圧が変化したときに、RFアンプ18によって生成されるトラッキングエラー信号の波形の中心値レベルが変化する。
【0030】
上述したRFアンプ18が増幅器に、トラッキングバランス調整部66、オフセット調整部62が測定手段に、システムコントローラ30が演算手段に、加算部64、オフセット調整部62がオフセット打ち消し手段に、トラッキングバランス調整部66がバランス調整手段にそれぞれ対応している。
【0031】
本実施形態のディスク再生装置はこのような構成を有しており、次にその動作について説明する。図4は、ディスク再生装置の動作手順を示す流れ図である。
ステップ100:オフセット調整を実行し、オフセット補正データを記憶
サーボLSI20は、システムコントローラ30からの指示に応じて、オフセット調整を実行する。具体的には、サーボLSI20は、サーボドライバ22に指示を送ることにより光ピックアップ16等を制御し、半導体レーザを発光させるとともにフォーカスレンズをCD10から遠ざけて反射光がない状態にする。このとき、光ピックアップ16から出力される検出信号がRFアンプ18において増幅されて、直流オフセット電圧に対応する信号が出力される。
【0032】
この直流オフセット電圧に対応する信号がサーボLSI20内のアナログ−デジタル変換部60によりデジタルデータに変換され、加算部64を介してオフセット調整部62に入力される。なお、この時点では、オフセット調整部62は、加算部64に対してオフセット補正データを出力していない。
【0033】
サーボLSI20内のオフセット調整部62は、加算部64から出力されるデジタルデータ、すなわち直流オフセット電圧値をオフセット補正データとして内部のレジスタ(図示せず)に格納する。またシステムコントローラ30は、オフセット調整部62内のレジスタに格納されたオフセット補正データを読み出して、内部のメモリ(図示せず)に記憶する。
【0034】
ステップ101:フォーカスサーチ
サーボLSI20は、サーボドライバ22に指示を送ることにより、フォーカスアクチュエータを駆動してフォーカスレンズをCD10の記録面に対してほぼ垂直方向に移動させてフォーカスサーチを行う。
【0035】
ステップ102:オフセット補正データを“0”に設定
システムコントローラ30は、オフセット調整部62に対して、オフセット補正データを0に設定するように指示を送る。指示を受けたオフセット調整部62は、レジスタに格納するオフセット補正データを“0”に設定する。
【0036】
ステップ103:トラッキングバランス調整を実行
システムコントローラ30からの指示に応じて、サーボLSI20は、トラッキングバランス調整を行う。具体的には、RFアンプ18から出力されるトラッキングエラー信号がアナログ−デジタル変換部60によりデジタルデータに変換され、加算部64を介してトラッキングバランス調整部66に入力される。上述したように、オフセット調整部62におけるオフセット補正データが“0”に設定されていることから、トラッキングバランス調整部66に入力されるトラッキングエラーデータは、オフセット調整がなされていない状態になっている。
【0037】
図5は、トラッキングバランス調整部66に入力されるトラッキングエラー信号の一例を示す図である。図5に示す例では、直流オフセット電圧値が大きいため、トラッキングエラー信号の波形と所定の目標値Vrfとの間に大きな隔たりがあり、トラッキングエラー信号が部分的にアナログ−デジタル変換部60のダイナミックレンジを超えてしまって、波形のボトム側が部分的にクリップされた状態になっている。
【0038】
トラッキングバランス調整部66は、入力されたトラッキングエラー信号(トラッキングエラーデータ)のピーク値Vp とボトム値Vb に基づいて中心値Vm を求め、所定の目標値Vrfとの差を検出する。そして、トラッキングバランス調整部66は、トラッキングエラー信号の中心値Vm が目標値Vrfに近づく方向(図5では矢印Aの方向)へトラッキングエラー信号の信号レベルが上がるように、PWM信号発生部68およびローパスフィルタ70を介してRFアンプ18内のアンプ52のゲインを調整する。具体的には、トラッキングバランス調整部66から所定のトラッキングバランス補正データ(第1のトラッキングバランス調整値)がPWM信号発生部68に出力され、このトラッキングバランス補正データの値に応じたデューティ比のパルス信号がローパスフィルタ70に出力されることにより、ローパスフィルタ70の出力電圧が変化し、アンプ52のゲインが変更される。このようにしてトラッキングバランス調整が行われることにより、トラッキングエラー信号の中心値Vm が所定の目標値Vrfにほぼ一致する。なお、このようにしてトラッキングエラー信号の中心値Vm が目標値Vrfに一致する過程において、クリップされて欠落していた波形の一部(図5ではボトム値Vb よりも下の部分)が現れる。
【0039】
ステップ104:オフセット補正データを考慮してトラッキングバランス補正データを修正
次に、システムコントローラ30は、トラッキングバランス調整部66から現在のトラッキングバランス補正データを取得する。またシステムコントローラ30は、先に取得して内部メモリに格納しておいたオフセット補正データを読み出し、このオフセット補正データをトラッキングバランス補正データに換算する。そして、システムコントローラ30は、オフセット補正データをトラッキングバランス補正データに換算して得られた換算値をトラッキングバランス補正データから減算することにより、トラッキングバランス補正データを修正する。この修正後のトラッキングバランス補正データが「第2のトラッキングバランス調整値」に対応する。
【0040】
ステップ105:オフセット補正データおよびトラッキングバランス補正データを設定
次に、システムコントローラ30は、オフセット補正データをオフセット調整部62の内部レジスタに設定する。これにより、以降の再生状態において、トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値が打ち消される。また、システムコントローラ30は、修正後のトラッキングバランス補正データをトラッキングバランス調整部66の内部レジスタに設定する。これにより、以降の再生状態において、修正後のトラッキングバランス補正データに基づいたトラッキングバランス調整が行われる。
【0041】
このように、本実施形態のディスク再生装置は、トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値を打ち消さない状態での第1のトラッキングバランス調整値(修正前のトラッキングバランス補正データ)を測定しているので、取り込んだトラッキングエラー信号に直流オフセットの影響が含まれる場合にも、直流オフセットの影響も含めてトラッキングバランス調整が行われるようになる。したがって、トラッキングエラー信号の中心値を所定の目標値へ確実に近づけることができ、トラッキングバランス調整の精度を向上させることができる。
【0042】
このように、トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値を打ち消さない状態でトラッキングバランス調整値を測定するということは、このトラッキングバランス調整によって直流オフセット分も含めてトラッキングエラー信号のピーク値とボトム値の平均を所定の目標値に一致させることを意味している。したがって、直流オフセットが大きく、しかもRFアンプ18のゲインが高いためにトラッキングエラー信号の波形の一部がクリップしていた場合であっても、トラッキングバランス調整時には、この直流オフセットの影響を除去して最もクリップしにくい状態でトラッキングエラー信号を高ゲインで増幅することができるため、波形の一部がクリップされていないトラッキングエラー信号を用いたトラッキングバランス調整が可能になり、トラッキングバランス調整の精度を向上させることができる。また、実際の再生動作に際しては、トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセットを加算部64を用いて除去するとともに、上述した測定によって得られた第1のトラッキングバランス調整値から直流オフセット分を差し引いた第2のトラッキングバランス調整値を用いたトラッキングバランス調整を行っており、従来構成を用いた場合と同様のトラッキングエラー信号が生成されるため、この信号を用いる他の構成の仕様等を変更する手間を低減することができる。
【0043】
また、サーボLSI20に備わった各構成ブロックの動作をシステムコントローラ30の指示により制御するようにしているので、システムコントローラ30に格納される制御用プログラムの一部に変更を加えるだけで、大幅な構成の追加、変更などを伴わず低コストに本発明を適用したディスク再生装置を実現することができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、サーボLSI20内のPWM信号発生部68とサーボLSI20の外部に接続されたローパスフィルタ70を用いることにより、RFアンプ18内のアンプ52のゲインを増減させるための電圧を生成していたが、サーボLSI20内にデジタル−アナログ変換器を備えてこの電圧を生成するようにしてもよい。この場合には、RFアンプ18内のアンプ52に印加する電圧の値に対応するデジタルデータをトラッキングバランス調整部66が生成してデジタル−アナログ変換器に入力し、デジタル−アナログ変換器の出力電圧を直接アンプ52に印加すればよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、一般的な音楽CD等の読み出し専用CD、1回だけデータ書き込みが可能なCD−R、データ書き換えが可能なCD−RWなどを再生するディスク再生装置に本発明を適用した場合について説明していたが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、DVDやDVD−RAMなどを再生するディスク再生装置や、CD等とDVD等の双方を再生可能なディスク再生装置など各種のディスク再生装置に対して本発明を適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、直流オフセットが大きく、しかも増幅器のゲインが高いためにトラッキングエラー信号の波形の一部がクリップしていた場合であっても、トラッキングバランス調整時には、この直流オフセットの影響を除去して最もクリップしにくい状態でトラッキングエラー信号を高ゲインで増幅することができるため、波形の一部がクリップされていないトラッキングエラー信号を用いたトラッキングバランス調整が可能になり、トラッキングバランス調整の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のディスク再生装置の構成を示す図である。
【図2】RFアンプおよびサーボLSIの詳細な構成を示す図である。
【図3】トラッキングエラー信号の中心値を示す図である。
【図4】ディスク再生装置の動作手順を示す流れ図である。
【図5】トラッキングバランス調整部に入力されるトラッキングエラー信号の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 CD
12 スピンドルモータ
14 スレッドモータ
16 光ピックアップ
18 RFアンプ
20 サーボLSI20
22 サーボドライバ
24 デジタル信号処理部
26 デジタルフィルタ
30 システムコントローラ
32 操作部
50、52、54 アンプ
60 アナログ−デジタル変換部
62 オフセット調整部
64 加算部
66 トラッキングバランス調整部
68 PWM信号発生部
70 ローパスフィルタ(LPF)
Claims (3)
- 光ピックアップの出力信号を増幅してトラッキングエラー信号を生成する増幅器と、
前記トラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値と、この直流オフセット電圧値を打ち消さない状態での第1のトラッキングバランス調整値とを測定する測定手段と、
前記第1のトラッキングバランス調整値から前記直流オフセット電圧値に相当する値を差し引いて第2のトラッキングバランス調整値を求める演算手段と、
前記トラッキングエラー信号から前記直流オフセット電圧値を打ち消すオフセット打ち消し手段と、
前記第2のトラッキングバランス調整値を用いたトラッキングバランス調整を行うバランス調整手段と、
を備えることを特徴とするディスク再生装置の調整機構。 - 請求項1において、
前記測定手段、前記オフセット打ち消し手段および前記バランス調整手段はサーボLSIに含まれており、これらの各手段による動作は、前記演算手段を含む制御装置からの指示に応じて行われることを特徴とするディスク再生装置の調整機構。 - 光ピックアップの出力信号を増幅して生成したトラッキングエラー信号に含まれる直流オフセット電圧値を測定する第1のステップと、
前記直流オフセット電圧値を打ち消さない状態の前記トラッキングエラー信号を用いて第1のトラッキングバランス調整値を測定する第2のステップと、
前記第1のトラッキングバランス調整値から前記直流オフセット電圧値に相当する値を差し引いて第2のトラッキングバランス調整値を求める第3のステップと、
再生状態において前記第2のトラッキングバランス調整値を用いてトラッキングバランス調整を行う第4のステップと、
再生状態において前記トラッキングエラー信号に含まれる前記直流オフセット電圧値を打ち消す第5のステップと、
を有することを特徴とするディスク再生装置の調整方法。
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