JP3838836B2 - 媒体収納装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現金自動取引装置等に着脱自在に取り付けられ、紙幣等の収納物品を収容する持ち運び可能な媒体収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の現金自動取引装置は、銀行の機械化コーナーに設置され、カードや通帳を利用して現金(紙幣や硬貨)の入出金を、顧客自身が行えるようになっている。このように、顧客自身が入出金できるので、銀行窓口の営業時間終了後にも、時間延長して稼働されている。また、百貨店、スーパーマーケット、或いはコンビニエンスストア等の店内にも現金自動取引装置は設置され、無人運用される場合もあり、今後、益々設置台数が増えるものと予想される。
こうした背景において、現金自動取引装置の入出金の運用資金の効率化は、人員の効率化及び合理化と共に銀行等の金融機関にとって重要な課題になっている。入出金の運用資金を効率的に使用することを目的として、例えば、入金された紙幣を出金にあてる紙幣循環型の現金自動取引装置が開発され、実用化されつつある。
【0003】
このような現金自動取引装置では、現金を収容する媒体収納装置が着脱自在にセットされるようになっている。媒体収納装置は、持ち運びが可能であり、この媒体収納装置をセットしたり回収することにより、保守員や警備員等(以下、単に保守員という)が現金に触れることなく、現金の回収や補充が可能になっている。
【0004】
しかし、現金の入った媒体収納装置を輸送するときには、盗難に遭遇したり、保守員の不正等で現金が奪われる危険性がある。この対策としては、例えば媒体収納装置の材質等を強固にして破壊による強奪を防止することが考えられる。ところが、媒体収納装置の外装を強固にすると、重量が増加する等の弊害が出て、保守員の負担になっていた。また、見掛けも頑丈になるので、媒体収納装置に紙幣等の高価な物品が入っていることが容易に推測され、強盗にも目を付けられやすく、保守員が襲撃される危険性もあった。
そこで、媒体収納装置に、破壊を検出して警報を発生させたり、現金等の内部の有価証券を汚損してその価値を無効化する防犯システムを搭載することが提案されている。防犯システムを搭載することにより、第3者に盗難にあったことを知らせることができるので、犯罪の抑止効果が働き、保守員の安全が確保される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の防犯システムを搭載した媒体収納装置では、次のような課題があった。
前述のように、破壊を検出して警報を発生させたり、現金等の内部の有価証券を汚損してその価値を無効化する防犯システムを搭載することにより、媒体収納装置も軽量化が実現でき、保守員の負担を軽減できるが、該防犯システムを正常に機能させるには、電池も媒体収納装置内に搭載する必要がある。
【0006】
電池はその容量が不足しないように、定期点検時に交換する等の運用上での工夫が必要である。ところが、定期点検でのミスがあった場合や、媒体収納装置自体を交換部材として保管していると、その間に放電して容量が低下するという問題があった。さらに、運用中に誤操作や一部の機能の故障により、警報を発生したり、収納物を汚損させる恐れもあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のうちの第1の発明は、内部に収納物品を収納する箱体と、前記箱体の一部に形成され、該箱体内部に前記収納物品を出し入れするための施錠可能な扉と、前記箱体内部に配置されて該箱体の破壊或いは前記扉の不正な開放を検出する防犯センサと、前記箱体内部に配置されて前記防犯センサに電源供給を行う電池とを備えた持ち運び可能な媒体収容装置において、次のような構成にしている。
【0008】
即ち、前記箱体内部に配置され、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、前記箱体内部に配置された前記電池とは異なる予備電池と、開閉状態検出手段と、プレアラーム手段とを設けている。前記開閉状態検出手段は、前記防犯センサの検出結果と前記施錠状態とに基づいて前記扉が正規に開けられたことを検出し、このとき前記残量検出手段によって検出された前記電池の残量が所定の値になっている場合には前記扉の開閉状態の検出結果を出力するものである。さらに、前記プレアラーム手段は、前記箱体内部に配置されて前記予備電池から電源供給を受け、前記開閉状態検出手段の出力に基づいて一定時間だけプレアラームを発生するものである。
このような構成を採用したことにより、残量検出手段により、電池の残量が検出され、残量が所定の値になっていれば、プレアラーム手段からプレアラームが発生する。プレアラーム手段は、予備電池で駆動されるので、プレアラームの発生によって電池の容量が低下することはない。
【0009】
第2の発明では、第1の発明の媒体収納装置において、前記箱体内部に配置され、前記扉を開けて操作したときのみ前記プレアラーム手段による前記プレアラームの発生を可能にするスイッチを、設けている。
このような構成を採用したことにより、保守員が扉を開けてスイッチを操作したときだけ、プレアラームが発生する。
【0010】
第3の発明では、第2の発明における前記プレアラーム手段は、前記スイッチを操作している者に対して前記プレアラームを発生する構成にしている。
このような構成を採用したことにより、スイッチを操作している者は、電池の残量情報を知ることが可能となる。
【0011】
第4の発明では、第1の発明と同様の箱体、扉、防犯センサ、電池、残量検出手段、予備電池、開閉状態検出手段、及びプレアラーム手段と、第2の発明と同様のスイッチとを備え、扉を開けて前記スイッチを操作したときのみプレアラームを発生させる構成にしている。
このような構成を採用したことにより、プレアラームが一定時間だけ発生するので、予備電池の消費が少ない。
【0012】
第5の発明では、第1の発明と同様の箱体、扉、防犯センサ、電池、残量検出手段、予備電池、及びプレアラーム手段と、新たな警報出力部、及び切り替えスイッチとを備えている。
【0013】
前記警報出力部は、前記電池から電源供給を受け、前記防犯センサが前記破壊或いは前記開放を検出した時と前記プレアラーム手段が前記プレアラームを発生したにも関わらず前記電池の交換が成されなかった時とに、外部に対して警報を発生するかまたは前記箱体内部の前記収納物品を汚損するものである。さらに、前記切り替えスイッチは、前記箱体内部に配置され、前記警報出力部に対し、前記電池の交換が行われなかった時には、前記外部に対する警報の発生または前記収納物品の汚損を禁止するものである。
このような構成を採用したことにより、切り替えスイッチの設定で長期保管等している場合等には警報出力部による防犯機能を働かせないことができる。
【0014】
第6の発明では、第1の発明と同様の箱体、及び扉と、第1の発明とは異なる複数系列の防犯センサと、第1の発明と同様の電池、残量検出手段、予備電池、及びプレアラーム手段と、新たな警報出力部とを備えている。
前記複数系列の防犯センサは、前記箱体内部の複数の箇所に配置されて該箱体の破壊或いは前記扉の不正な開放をそれぞれ検出するものである。さらに、前記報出力部は、前記電池から電源供給を受け、前記複数系統の防犯センサが前記破壊或いは前記開放を検出した時と前記プレアラーム手段が前記プレアラームを発生したにも関わらず前記電池の交換が行われなかった時とに、前記外部に対して警報を発生するかまたは前記箱体内部の前記収納物品を汚損するものである。
【0015】
このような構成を採用したことにより、何らかの原因で防犯センサのうちの1系統のみが破壊或いは開放を検出した時には、警報出力部は起動しない。
【0016】
第7の発明では、第1の発明と同様の箱体、扉、防犯センサ、電池、残量検出手段、予備電池、及びプレアラーム手段と、新たな警報出力部、及び状態監視手段とを備えている。
前記警報出力部は、外部に対して警報を発生するかまたは前記箱体内部の前記収納物品を汚損するものである。さらに、前記状態監視手段は、前記扉の開閉状態及び施錠状態が特定のパターンになったときに前記警報出力部を起動するものである。
このような構成を採用したことにより、運用上で警報出力部を起動したくないときには、警報出力部が起動されない。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
図2は、現金自動取引装置の概要を示す斜視図であり、図3は、図2中の紙幣入出金部を示す斜視図である。図4は、図2にセットされる本発明の第1の実施形態の媒体収納装置の外観を示す斜視図である。図5は、図4の内部構造の説明図である。
【0018】
現金自動取引装置の接客側には、カード挿入口1、通帳入口2、顧客操作部3、ディスプレイ4、及び紙幣入出口5等を有するパネル6が設けられている。現金自動取引装置の内部には、図3のような紙幣入出金部7が設けられている。紙幣入出金部7の上側には、紙幣入出口5に連通する紙幣通行口8が形成されると共に紙幣処理部9が設けられている。紙幣入出金部7の下側には、収納部10が形成され、該収納部10に例えば2台の媒体収納装置20が収納されるようになっている。2台のうちの一方の媒体収納装置20は、例えば予備として用いられるものである。
【0019】
媒体収納装置20は、収納部10に対して着脱自在にセットされるものであり、例えば図4のように概ね直方体の箱体で、持ち運びを容易するために、取っ手部21が上部に設けられている。媒体収納装置20の1側面には、紙幣処理部9から挿入された紙幣が通過する2つの紙幣通過口22,23が形成され、他の側面には扉24が取り付けられると共に該扉24の施錠を行う鍵25が配置されている。
【0020】
媒体収納装置20の内部には、紙幣を収納するための2つの紙幣収納部26,27が設けられている。紙幣収納部26には、紙幣処理部9によって選別されて再び出金の必要のない紙幣を収納するものである。紙幣収納部27は、再び出金する可能性のある紙幣を収納するものである。紙幣収納部26には、紙幣通過口22からガイドロール26aを介して紙幣が搬入されるようになっている。紙幣収納部27には、紙幣通過口23からガイドロール27aを介して紙幣が搬入及び搬出されるようになっている。
【0021】
図6は、図4の媒体収納装置20に設けられた防犯システムの概要を示す図である。
扉24の内側には、蛇行する配線パターンからなる破壊センサ28aが形成され、箱体内部には該扉24の開閉を検出する扉センサ28bが取り付けられ、鍵25には、ロックされたか否かを検出する鍵センサ29が取付けられている。破壊センサ28a及び扉センサ28bは、媒体収納装置20に対する破壊等の不正を検出する防犯センサ28であり、媒体収納装置20の内部には、不正があったことを示すために警報を発生したり、紙幣を使用不能に汚損する図示しない警報出力部30と、これらを駆動する電池31も組み込まれている。さらに、この媒体収納装置は、電池31の残量が少なくなったときに、プレアラームを発生するようになっている。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す媒体収納装置の防犯回路の回路図である。
電池31から電源供給を受ける破壊センサ28a及び扉センサ28bからなる防犯センサ28は、増幅器(アンプ)32を介して、マイクロコンピュータからなるCPU制御部(CPU)33に接続され、鍵センサ29は直接CPU制御部33に接続されている。CPU制御部33の出力側に警報出力部30が接続されている。警報出力部30は、例えばブザーとインク噴射器等で構成されている。増幅器32、CPU制御部33及び警報出力部30も、電池31によって電源供給されるようになっている。電池31には、残量検出手段である残量検出部34が接続され、該残量検出部34の出力側は、CPU制御部33に接続され、該CPU制御部33がプレアラーム手段であるLED35のオン、オフを制御する構成になっている。LED35は、プレアラームを発生するものであり、装置外部から見える位置に取り付けられている。このLED35に対しては、予備電池36が電源供給を行う構成になっている。
【0023】
次に、この媒体収納装置の動作と利用方法を説明する。
CPU制御部33は、防犯センサ28及び鍵センサ29を用いて不正の有無を監視する。盗難を検知したときは、CPU制御部33は警報出力部30に制御信号を与え、ブザーを鳴らしたり、紙幣を汚損する。
通常の状態では、防犯センサ28、鍵センサ29及びCPU制御部33を駆動する電圧は低く、消費電力は非常に小さい。また、電力消費をさらに小さくする方法としては、防犯センサ28及び鍵センサ29の監視を断続的にする方法も考えられる。しかしながら、それでも徐々に電池31の電圧が低下する。つまり、電池残量が減る。
【0024】
図7は、図1中の電池31の出力電圧を示す図である。
電池31が出力する電源電圧が低下し、警報出力部30の最低駆動電圧37よりも低くなると、その警報出力部30が機能しなくなる。よって、媒体収納装置20が盗難に合った場合、長時間放置されることによって警報を逃れることも可能である。また、倉庫に保管中や予備として用いられて電圧が低下してしまう可能性もあった。
【0025】
残量検出部34は、電池31の出力電圧を検出し、CPU制御部33に与える。CPU制御部33には、電池31の電源電圧が最低駆動電圧37よりも高いレベルに設定されたプレアラーム発生電圧38が設定されており、電池31の出力電圧がプレアラーム発生電圧38になったときには、予備電池36を起動させて、LED35を制御して発光させる。即ち、プレアラームが発生する。これにより、保守員に電池31の残量が少なくなったことが通知される。保守員であれば、鍵を使用して異常の検出状態を解除し、電池31の交換を行うことができる。
プレアラームが発生しているにもかかわらず、電池31交換を行わずに放置してある場合には、盗難にあった、即ち不正行為と見なし、例えば警報出力部30を起動させる。これにより、不正の抑止が可能になる。
【0026】
以上のように、この第1の実施形態では、電池31の残量を検出する残量検出部34とLED35とを設けたので、電池31の出力電圧が最低駆動電圧37になる前に、プレアラームを発生でき、これにより、電池31の交換が可能になる。その上、LED35が予備電池36で駆動されるようにしたので、電池31の出力電圧の低下速度が、プレアラームを発生することによって早くなることがない。
【0027】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態の媒体収納装置の防犯回路を示す回路図であり、第1の実施形態を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この媒体収容装置40は、箱体内部にノンロックスイッチ41を設けると共に、第1の実施形態のLED35をLED42に変更している。他の構成は第1の実施形態と同様になっている。スイッチ41は、操作したときのみLED42発光させるためのものである。LED42は、媒体収容装置40の内部に設置され、スイッチ41を操作した者に発光してプレアラームを発生するようになっている。
【0028】
次に、図8の媒体収納装置の動作を説明する。
前述の第1の実施形態では、電池31の出力する電源電圧が低下すると無条件に、LED35を発光させていたが、装置の設置場所に長期に放置されたり、出荷が延びて倉庫に保管される期間が長くなったり、保守用に長期保管されたりすると、保守員が気付かない状態でプレアラームが発生していることがある。この場合、電池31,36の電源電圧が低下し、最終的に警報出力部30が起動される可能性がある。
【0029】
ところが、この媒体収納装置40では、スイッチ41を設けたので、例えば保守員が紙幣を収納するときにスイッチ41を押下すると、電池31の出力電圧がプレアラーム発生電圧38になっている場合に、LED42が発光する。そのため、プレアラームが発生するのは、保守員等がいる時だけとなり、工場等の保管場所で、気付かない状態でプレアラームが発生することはない。
【0030】
以上のように、この第2の実施形態では、スイッチ41を設けたので、プレアラームが発生するのは保守員等がいる場合に限定される。よって、電池36の寿命を延命できる。その上、スイッチ41を装置内部に設置したので、不正を働こうとしても操作できず、抑止効果を損ねることがない。また、スイッチ41はノンロックスイッチなので、保守員等がスイッチ41を切り忘れることも防止できる。さらに、LED42も装置内部にあるので、情報が保守員にしか漏れないので、防盗性に優れている。さらに、回路に異常がある場合は消灯のまま、プレアラーム時は点灯、正常時は点滅と使いわけによる動作チェックも可能である。
【0031】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態の媒体収納装置は、第1の実施形態と同様の構成である。但し、CPU制御部33は、防犯センサ28、鍵センサ29、残量検出部34の出力情報に基づき、扉24の開閉状態を検出する開閉状態検出手段として機能し、該出力情報により、LED35を発光させるようになっている。
第1の実施形態の媒体収納装置では、第2の実施形態でも説明したように、電池31の出力する電源電圧が低下すると無条件に、LED35を発光させているので、装置の設置場所に長期に放置されたり、出荷が延びて倉庫に保管される期間が長くなったり、保守用に長期保管されたりすると、保守員が気付かない状態でプレアラームが発生していることがある。この場合、電池36の電源電圧が低下し、最終的に警報出力部30が起動される可能性がある。
【0032】
ところが、この第3の実施形態の媒体収納装置では、CPU制御部33が防犯センサ28及び鍵センサ29からの情報に基づき、保守や紙幣収納時に保守員等が正規の方法で扉24を開けたことを検知し、このとき残量検出部34で検出した電圧が、例えば所定の電圧値以上であれば、LED35を一定時間発光させ、所定の電圧値を切っていれば、該LED35を一定時間点滅させる。このようにすると、電池31の残量チックができるばかりでなく、LED35や回路等の故障も併せてチェックできる。また、第2の実施形態と同様に、工場等の保管場所で、気付かない状態でプレアラームが発生することはない。
【0033】
以上のように、この第3の実施形態では、CPU制御部33が、防犯センサ28、鍵センサ29、残量検出部34の出力情報に基づき、LED35を発光させるようにしたので、プレアラームが発生するのは保守員等がいる場合に限定される。よって、電池36の寿命を延命できる。その上、保守員等が第2の実施形態のようにスイッチ41を意識して操作しなくても、電池31の残量チェックを行うことができる。さらに、万一、LED35の発光状態を見落としても、再度扉24を開閉するだけで残量チェックが可能なので、操作性にも優れている。
【0034】
[第4の実施形態]
図9は、本発明の第4の実施形態を示す媒体収納装置の防犯回路の回路図であり、第1の実施形態を示す図1中の要素と共通する要素には共通の符号がふされている。
この媒体収納装置50には、切替えスイッチである例えばディップスイッチ51が設けられている。スイッチ51は、媒体収納装置50の内側に取り付けられ、オンしたときに電池31の電圧をCPU制御部33に入力するように、該電池31とCPU制御部33の入力端子との間に接続されている。媒体収納装置50の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様になっている。
【0035】
次に、この媒体収納装置50の動作を説明する。
CPU制御部33は、スイッチ51がオフし、電池31の電圧が入力されていないときには、プレアラームを発生させないばかりか、警報出力部30を起動しない。そのため、出荷前の倉庫等で保管しているとき、予備として現金自動取引装置にセットしたとき等には、スイッチ51をオフ状態にしておく。
【0036】
例えば、媒体収納装置50を出荷するときには係員が、実運用時には保守員等がスイッチ51をオンさせる。オンしたスイッチ51は、電池31の出力電圧をCPU制御部33の入力端子に伝える。この状態では、CPU制御部33は、第1の実施形態と同様に動作する。実運用時には、保守員が必ず設定を確認するので、仮に保管時に電池31の電源電圧が低下しても、プレアラームに気付くよって、電池31の交換が可能である。
【0037】
以上のように、この第4の実施形態では、第1の実施形態の媒体収納装置に、デッイプスイッチ51を設け、該スイッチ51のオン、オフで、プレアラームの発生及び警報出力部30の起動を行わせることと、行わせないこととを選択して設定できるようにしている。これにより、工場の倉庫等での保管時に、誤って警報を上げることがなくなり、実運用時にのみ第1の実施形態と同様の効果を奏するようにできる。その上、スイッチ51は媒体収納装置50の内側に配置したので、何らかの不正を働こうとする者には、見分けが付かず、犯罪の抑止効果を損ねることがない。
【0038】
[第5の実施形態]
前述の第1の実施形態の媒体収納装置では、犯罪を検知する防犯センサ28及び鍵センサ29を1組しか組み込まれていなかったが、本発明の第5の実施形態は、防犯センサ28及び鍵センサ29をそれぞれ複数系統設け、他は第1の実施形態と同様の構成にしている。そして、CPU制御部33は、防犯センサ28及び鍵センサ29の1系統だけで異常を検出した場合には、LED35を発光させて警報出力部30は駆動しないようにし、複数系統の防犯センサ28或いは鍵センサ29で検出したときのみ警報出力部30を駆動するようにしている。
【0039】
第1の実施形態では犯行を検知して警報出力部30を起動すればよかったが、例えば工場で組み立てる時には、誤ってそれらセンサ28,29を誤動作させる危険性があった。ところが、この第5の実施形態の媒体収納装置では、防犯センサ28及び鍵センサ29をそれぞれ複数系統備えているので、例えば1系統で誤って犯罪を検知しても、警報出力部30を起動させず、予備電池36によってLED35を発光させてプレアラームを通知する。破壊や不正を試みる場合には、最終目的の紙幣を入手できるまでは破壊行為を続けるので、犯罪を複数系統の防犯センサ28或いは鍵センサ29で検出した場合にのみ、警報出力部30を起動する。
【0040】
以上のように、この第5の実施形態では、防犯センサ28及び鍵センサ29をそれぞれ複数系統設け、複数系統の防犯センサ28或いは鍵センサ29で犯罪を検知した時だけ、警報出力部30を起動するようにしたので、工場での組み立て時に誤って警報出力部30を起動させてしまう危険性が減じられ、組み立て作業者の負担を軽減できるばかりでなく、信頼性も向上できる。
【0041】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態の媒体収納装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、CPU制御部33は、媒体収納装置の状態変化を記憶し、媒体収納装置の状態変化に応じて警報出力部30を起動する構成にしている。
媒体収納装置に対して紙幣の補充や回収を行う際には、鍵を使用して盗難防止機能を停止して行うが、保守員等の作業性を向上させるためにオートロック機構を採用することが十分に考えられる。オートロック機構では、錠を解除した後に鍵が鍵穴から抜けるようになっており、扉24を閉めるときには鍵を使用せずにロックできる。
【0042】
通常の保守員は、腰に鍵を付け、必要な時だけ取り外して使用したり、多種の鍵を預かっているため、鍵箱を利用して収納していることが多い。そのため、オートロック機構を装備しておけば、開錠するとすぐに、鍵を腰や鍵箱に戻すことで紛失防止につながる。また、倉庫や保管場所で一括して複数の媒体収納装置に対する紙幣の回収や補充を行う場合等では、これらの媒体収納装置を複数並べて開錠を行う。同機種の時には、同じ鍵が使用できることが多く、開錠する人、補充する人、施錠する人と分けてやれば作業効率もよい。この場合、オートロック機構が装備されていれば、扉24を端から閉めていけばよいので簡単である。オートロック機構では、鍵を引き抜いたときに、内部的にはロックされた状態が設定される。
【0043】
図10は、警報出力部の起動を決めるフローチャートである。
オートロック機構を考慮していない、第1の実施形態では、鍵がロックされた状態で破壊センサ28aや扉センサ28bで扉24の破壊や開きを検出すると、図10に従って警報出力部30がCPU制御部33によって起動されてしまう。オートロック機構を装備した場合には、ロックした状態で扉24が開いたのと同じ状態になり、警報出力部30が起動してしまうことになる。
これに対し、この第6の実施形態では、CPU制御部33は、媒体収納装置の状態変化を記憶し、媒体収納装置の状態変化に応じて警報出力部30を起動する構成にしている。
【0044】
図11は、本発明の第6の実施形態を示す警報出力部30の起動シーケンスを示す図である。
例えば、図10のように、過去には、錠がロックされて扉24が閉じている場合に、錠のロックが解除された後、扉24が開いた状態になっても、破壊センサ28aが正常を示すときには、通常運用を続け、破壊センサ28aが異常を示すときには、LED35を発光させて破壊センサ28aの故障を示す。扉24が閉じた状態になっても、破壊センサ28aが正常を示すときには、通常運用を続け、破壊センサ28aが異常を示すときには、LED35を発光させて破壊センサ28aの故障を示す。
また、過去には、錠がロックされて扉24が閉じている場合に、いきなり扉24が開いた状態になった時や破壊センサ28aが異常を示すときには、警報出力部30を起動する。
【0045】
以上のように、この第6の実施形態では、CPU制御部33は、媒体収納装置の状態変化を記憶し、媒体収納装置の状態変化に応じて警報出力部30を起動する構成にしたので、オートロック機構を装備することが可能になり、操作性や防犯性を高めることができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば次のようなものがある。
(1) 第1〜第6の実施形態では、現金自動取引装置にセットされ、紙幣を収容する媒体収納装置について説明したが、紙幣でなくても他の有価証券等を収納する物であってもよい。また、金庫等のように、別の装置にセットされない場合にも、本発明は適用できる。
(2) 破壊センサ28aは、図6のように導電パターンを蛇行させた物でなくても、例えば振動センサでもよい。
(3) 第1〜第3の実施形態において、警報出力部30がない場合もあり得る。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、第1の発明によれば、電池の残量を検出する残量検出手段と、その電池とは異なる予備電池と、開閉状態検出手段と、プレアラーム手段とを設けたので、プレアラームにより、電池交換時期が分り、電池の交換ができる。その上、プレアラーム手段は、予備電池で駆動されるので、プレアラームの発生によって電池の容量が低下することはない。さらに、プレアラーム手段により、開閉状態検出手段の出力に基づいて一定時間だけプレアラームを発生させる構成にしたので、電池を長持ちさせることができると共に、電池の残量チェックが的確に行われて操作性も向上できる。
第2の発明によれば、扉を開けて操作したときのみプレアラームの発生を可能にするスイッチを扉内部に設けたので、人のいるときだけ、プレアラームが発生するので、予備電池を長持ちさせて防盗機能を長期持続できる。
【0048】
第3の発明によれば、スイッチを操作している者に対してプレアラームを発生する構成にしたので、電池の残量情報がスイッチを操作している者以外の者が分からず、盗難予防ができる。
第4の発明によれば、扉を開けてスイッチを操作したときのみプレアラームを発生させる構成にしたので、予備電池を長持ちさせて防盗機能を長期持続できる。
【0049】
第5の発明によれば、箱体、扉、防犯センサ、電池、残量検出手段、予備電池及びプレアラーム手段を有すると共に、警報出力部とを備えた持ち運び可能な媒体収納装置において、その警報出力部に対し、電池の交換が行われなかった時には、外部に対する警報の発生または収納物品の汚損を禁止する切り替えスイッチを設けている。そのため、切り替えスイッチの設定で長期保管等している場合等には警報出力部による防犯機能を働かせないことができ、収納物品の汚損が免れる。
【0050】
第6の発明によれば、防犯センサは、複数系統とし、複数系統の防犯センサのうちの1系統のみが破壊或いは開放を検出した時には、警報出力部を起動させない構成にしている。そのため、誤って警報出力部を起動させることが抑制される。
第7の発明によれば、扉の開閉状態及び施錠状態が特定のパターンになったときに警報出力部を起動する状態監視手段を設けたので、例えばオートロック機構の採用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す媒体収納装置の防犯回路の回路図である。
【図2】現金自動取引装置の概要を示す斜視図である。
【図3】図2中の紙幣入出金部を示す斜視図である。
【図4】図2にセットされる媒体収納装置の外観を示す斜視図である。
【図5】図4の内部構造の説明図である。
【図6】図4の媒体収納装置20に設けられた防犯システムの概要を示す図である。
【図7】図1中の電池31の出力電圧を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示す媒体収納装置の防犯回路の回路図である。
【図9】本発明の第4の実施形態を示す媒体収納装置の防犯回路の回路図である。
【図10】警報出力部の起動を決めるフローチャートである。
【図11】本発明の第6の実施形態を示す警報出力部の起動シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
28 防犯センサ
28a 破壊センサ
28b 扉センサ
29 鍵センサ
30 警報出力部
31 電池
33 CPU制御部
34 残量検出部
35 LED
36 予備電池
41 ノンロックスイッチ
51 ディップスイッチ

Claims (7)

  1. 内部に収納物品を収納する箱体と、
    前記箱体の一部に形成され、該箱体内部に前記収納物品を出し入れするための施錠可能な扉と、
    前記箱体内部に配置されて該箱体の破壊或いは前記扉の不正な開放を検出する防犯センサと、
    前記箱体内部に配置されて前記防犯センサに電源供給を行う電池とを備えた持ち運び可能な媒体収容装置において、
    前記箱体内部に配置され、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
    前記箱体内部に配置された前記電池とは異なる予備電池と、
    前記防犯センサの検出結果と前記施錠状態とに基づいて前記扉が正規に開けられたことを検出し、このとき前記残量検出手段によって検出された前記電池の残量が所定の値になっている場合には前記扉の開閉状態の検出結果を出力する開閉状態検出手段と、
    前記箱体内部に配置されて前記予備電池から電源供給を受け、前記開閉状態検出手段の出力に基づいて一定時間だけプレアラームを発生するプレアラーム手段とを設けたことを特徴とする媒体収容装置。
  2. 前記箱体内部に配置され、前記扉を開けて操作したときのみ前記プレアラーム手段による前記プレアラームの発生を可能にするスイッチを、設けたことを特徴とする請求項1記載の媒体収納装置。
  3. 前記プレアラーム手段は、前記スイッチを操作している者に対して前記プレアラームを発生する構成にしたことを特徴とする請求項2記載の媒体収納装置。
  4. 内部に収納物品を収納する箱体と、
    前記箱体の一部に形成され、該箱体内部に前記収納物品を出し入れするための施錠可能な扉と、
    前記箱体内部に配置されて該箱体の破壊或いは前記扉の不正な開放を検出する防犯センサと、
    前記箱体内部に配置されて前記防犯センサに電源供給を行う電池とを備えた持ち運び可能な媒体収容装置において、
    前記箱体内部に配置され、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
    前記箱体内部に配置された前記電池とは異なる予備電池と、
    前記防犯センサの検出結果と前記施錠状態とに基づいて前記扉が正規に開けられたことを検出し、このとき前記残量検出手段によって検出された前記電池の残量が所定の値になっている場合には前記扉の開閉状態の検出結果を出力する開閉状態検出手段と、
    前記箱体内部に配置されて前記予備電池から電源供給を受け、前記開閉状態検出手段の出力に基づいて一定時間だけプレアラームを発生するプレアラーム手段と、
    前記箱体内部に配置され、前記扉を開けて操作したときのみ前記プレアラーム手段による前記プレアラームの発生を可能にするスイッチとを設けたことを特徴とする媒体収容装置。
  5. 内部に収納物品を収納する箱体と、
    前記箱体の一部に形成され、該箱体内部に前記収納物品を出し入れするための施錠可能な扉と、
    前記箱体内部に配置されて該箱体の破壊或いは前記扉の不正な開放を検出する防犯センサと、
    前記箱体内部に配置されて前記防犯センサに電源供給を行う電池とを備えた持ち運び可能な媒体収容装置において、
    前記箱体内部に配置され、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
    前記箱体内部に配置された前記電池とは異なる予備電池と、
    前記箱体内部に配置されて前記予備電池から電源供給を受け、前記残量検出手段によって検出された前記電池の残量が所定の値になったときにプレアラームを発生するプレアラーム手段と、
    前記電池から電源供給を受け、前記防犯センサが前記破壊或いは前記開放を検出した時と前記プレアラーム手段が前記プレアラームを発生したにも関わらず前記電池の交換が成されなかった時とに、外部に対して警報を発生するかまたは前記箱体内部の前記収納物品を汚損する警報出力部と、
    前記箱体内部に配置され、前記警報出力部に対し、前記電池の交換が行われなかった時には、前記外部に対する警報の発生または前記収納物品の汚損を禁止する切り替えスイッチとを、
    設けたことを特徴とする媒体収納装置。
  6. 内部に収納物品を収納する箱体と、
    前記箱体の一部に形成され、該箱体内部に前記収納物品を出し入れするための施錠可能な扉と、
    前記箱体内部の複数の箇所に配置されて該箱体の破壊或いは前記扉の不正な開放をそれぞれ検出する複数系統の防犯センサと、
    前記箱体内部に配置されて前記防犯センサに電源供給を行う電池と、
    前記箱体内部に配置され、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
    前記箱体内部に配置された前記電池とは異なる予備電池と、
    前記箱体内部に配置されて前記予備電池から電源供給を受け、前記残量検出手段によって検出された前記電池の残量が所定の値になったときにプレアラームを発生するプレアラーム手段と、
    前記電池から電源供給を受け、前記複数系統の防犯センサが前記破壊或いは前記開放を検出した時と前記プレアラーム手段が前記プレアラームを発生したにも関わらず前記電池の交換が行われなかった時とに、前記外部に対して警報を発生するかまたは前記箱体内部の前記収納物品を汚損する警報出力部とを
    備えた持ち運び可能な媒体収納装置。
  7. 内部に収納物品を収納する箱体と、
    前記箱体の一部に形成され、該箱体内部に前記収納物品を出し入れするための施錠可能な扉と、
    前記箱体内部に配置されて該箱体の破壊或いは前記扉の不正な開放を検出する防犯センサと、
    前記箱体内部に配置されて前記防犯センサに電源供給を行う電池とを備えた持ち運び可能な媒体収容装置において、
    前記箱体内部に配置され、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
    前記箱体内部に配置された前記電池とは異なる予備電池と、
    前記箱体内部に配置されて前記予備電池から電源供給を受け、前記残量検出手段によって検出された前記電池の残量が所定の値になったときにプレアラームを発生するプレアラーム手段と、
    外部に対して警報を発生するかまたは前記箱体内部の前記収納物品を汚損する警報出力部と、
    前記扉の開閉状態及び施錠状態が特定のパターンになったときに前記警報出力部を起動する状態監視手段とを、
    設けたことを特徴とする媒体収納装置。
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