JP3838310B2 - 軽量柔軟部品の供給組付方法およびその装置 - Google Patents

軽量柔軟部品の供給組付方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量で柔軟な性質を持つ部品を搬送し、組立体に組み付ける軽量柔軟部品の供給組付方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型部品を保持搬送する技術として、例えば特開平49−58491号公報や特開平7−61589号公報に記載されているように、部品を1つずつ吸着保持してチューブの入口まで移動させ、チューブ内を空気圧によって搬送する方法が知られている。部品を吸着保持して搬送する方法は、このほかにも例えば特開昭55−61525号公報、特開昭62−171820号公報、特開昭63−176242号公報等にも記載されている。このような高速空気流を用いて部品を吸着保持して移動させる方法は、硬質の部品については良好に搬送できるものの、柔軟な性質を持つ部品を扱う場合には、部品の保持のための高速空気流の作用により部品に変形や破損を生じる可能性がある。
【0003】
また、このような軽量で柔軟な性質を持つ部品の組み付けに、従来より通常用いられているチャッキング等の方法を用いる場合は、柔軟な部品を保持する際の圧力によって部品の破損や変形などのトラブルが発生しやすい。さらに軽量で柔軟な部品の整列や、部品の個別分別等が行ないにくいという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、軽量で柔軟な性質の部品を簡易に取り扱え、部品の損傷や変形のない確実で簡単な供給組付方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多数の軽量柔軟部品を、前記軽量柔軟部品が2以上通過できない径を有する吸引搬送路に吸引することによって、軽量柔軟部品を順次吸引搬送路に取り込んで整列させる。これによって、チャッキングや吸引保持させる方法に比べて柔軟な部品の破損や変形などを低減して、個別分別や整列を行なうことができる。そして、吸引搬送路の端部に設けられた挿入ヘッドの先端を組立体の組付位置に配置し、その挿入ヘッドから整列した先頭の軽量柔軟部品を吸引により組立体の組付位置に組み付ける。軽量柔軟部品の搬送から組付までの過程が吸引によって行われることにより、非常にシンプルな構造によって、破損や変形することなく、確実に組付を行うことができる。また、組付の際に吸引力によって組付位置に圧接するため、軽量柔軟部品が確実に装着される。さらに、組み付けられた軽量柔軟部品の次の軽量柔軟部品は、挿入ヘッドの吸引搬送路内の軽量柔軟部品の径より小さい小径部に位置するように構成されており、この小径部によって次の前記軽量柔軟部品が保持される。そのため、組み付けた軽量柔軟部品と次の軽量柔軟部品との分離を確実に行うことができ、軽量柔軟部品を1つずつ組立体に組み付けてゆくことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態を示す全体構成図である。1はパーツフィーダ、2はチューブ状搬送路、3は挿入ヘッド、4はノズルボディ、5は大気連通路、6は大気解放切換器、7はパッキン、8は小径部、9はエアーシリンダ、11はセット治具、12はパッキン、13はバキュームパッド、14は吸引ボディ、15,16は切換器、17は吸引発生装置、18はエアーシリンダ、21は制御部、22は組立体、23は部品である。
【0007】
パーツフィーダ1には、軽量で柔軟な性質を有する略円筒状の部品23が供給される。パーツフィーダ1には、部品23の詰まりを避けるため、例えば加震装置を設けて、振動によって個々の部品23に分離させるようにしてもよい。パーツフィーダ1の出口は、部品23を搬送するためのチューブ状搬送路2の開口部に連結されており、投入された部品23を1つずつチューブ状搬送路2に送り出す。
【0008】
チューブ状搬送路2は、パーツフィーダ1の出口に接続されるとともにノズルボディ4の入口側に連結されており、パーツフィーダ1から送り出される部品23を挿入ヘッド3へ搬送する。チューブ状搬送路2は、部品23の搬送と整列を同時に行うために、部品23の円周方向の大きさよりやや大きな内径を有しており、部品23が2つ以上同時に通過できないようにしている。また、このチューブ状搬送路2内に部品23をいくつかストックし、バッファとしても機能する。
【0009】
ノズルボディ4には、チューブ状搬送路2および挿入ヘッド3を接続するための穴が設けられており、チューブ状搬送路2と挿入ヘッド3を連結して、部品23の搬送路を形成する。また、ノズルボディ4には挿入ヘッド3内の部品23の通路を大気と連結するための大気連通路5を有している。この大気連通路5は、大気解放切換器6に接続され、大気解放するか否かを制御部21によって切換可能に構成されている。さらにノズルボディ4には、組立体22と接触する部分には、吸引力の漏れを防止するため、パッキン7を設けておくとよい。また、ノズルボディ4と挿入ヘッド3の間を例えばOリングなどでシールしておくとよい。
【0010】
このノズルボディ4は、エアーシリンダ9などの移動手段によって上下動するように構成されている。組立体22が位置決めされた後、エアーシリンダ9によってノズルボディ4を降下させ、挿入ヘッド3を部品23の組付け位置にセットする。もちろん、エアーシリンダ9を用いずにノズルボディ4を固定しておき、組立体22が上方に移動するように構成してもよい。
【0011】
挿入ヘッド3は、その先端部が組立体22の組付位置に位置決めされ、部品23を正確に組付位置に組み付ける。挿入ヘッド3の部品23の搬送路には、小径部8が設けられている。この小径部8は、1つの部品23が組み付けられたとき、次の部品23が位置する部分に設けられている。小径部8の径は部品23の径とほぼ同程度かそれより多少小さめであり、この小径部8に位置する部品23が、小径部8の壁面との摩擦力によって小径部8に保持される程度に設定されている。上述の大気連通路5は、この小径部8あるいはこの小径部8よりもパーツフィーダ1側に設けられる。小径部8よりも先端部側では、その径は小径部8よりも大きく、挿入ヘッド3をはずす際に組み付けた部品23が挿入ヘッド3に付着してはずれないようにしている。このような挿入ヘッド3内の径の違いによって、部品23を1つずつ切り出して組み付けることができる。なお、挿入ヘッド3の先端部も、吸引力の漏れを防止するためのシール部材を設けてもよい。
【0012】
セット治具11は、組立体22を固定する。セット治具11には、挿入ヘッド3と組立体22の組付位置が合うように、組立体22を保持する組立体セット溝あるいは機械的に固定する機構と、吸引力を組立体22内に伝えるための穴が設けられている。また、組立体22の開口部の外周と当接する部分には、吸引力の漏れを防止するため、パッキン12を設けておくとよい。なお、セット治具11は、組立体22が載置される位置から部品23の組付位置まで移動するように構成してもよい。
【0013】
セット治具11に固定される組立体22には、部品23の組付位置に、部品23が挿入される凹部と、少なくとも空気が通過する貫通孔が設けられている。ここでは、微小な貫通孔が多数形成された網目部分として構成され、この網目部分に部品23を突き当てて組み付けるものとする。
【0014】
吸引ボディ14には、バキュームパッド13が設けられており、バキュームパッド13は吸引発生装置17と接続されている。吸引ボディ14は、例えばエアーシリンダ18などの移動手段によって上下動可能に構成されている。部品23の組付を行う際には吸引ボディ14が上に動き、セット治具11に設けられている穴からバキュームパッド13を挿入する。バキュームパッド13は、挿入ヘッド3と対向する位置に挿入され、部品23の網目部分を介して挿入ヘッド3内の部品23の搬送路を吸引するように配置される。このバキュームパッド13によって効率よく吸引を行うことができる。バキュームパッド13の組立体22と当接する先端部にも、吸引力の漏れを防止するための弾性部材などを設けておくとよい。また、吸引ボディ14とセット治具11との当接部分にも、シール部材などを設け、吸引力の漏れを防止するとよい。なお、バキュームパッド13を設けず、セット治具11に設けられている穴から吸引するように構成してもよい。また、吸引ボディ14とセット治具11を一体化してもよい。
【0015】
吸引発生装置17は、例えば真空ポンプなどで構成され、部品23を吸引し、組み付けるための吸引力を発生する。この例では、吸引発生装置17は2系統の吸引力を発生する。切換器15,16は、部品23に吸引力を与えるか否か、および、部品23に与える吸引力の強さを切り換える。具体例としては、切換器15側の管路には25リットル/分、切換器16側の管路には50リットル/分の吸引を行うように構成することができる。後述するように、部品23の組付時には切換器15側の吸引力によって行い、組付後の部品23の保持には両方の吸引力によって行うことができる。
【0016】
制御部21は、エアーシリンダ9やエアーシリンダ18、大気解放切換器6、切換器15,16などのタイミング制御を制御し、組立体22へ部品23を組み付けるための制御を行う。また、流量計などによる吸引力の監視など、各種のセンサの監視に基づく制御も行う。このように制御部21は、装置全体の制御を行う。
【0017】
上述の構成をさらに詳述するとともに、動作の一例を説明する。図2は、本発明の実施の一形態におけるノズルボディおよび吸引ボディの装着後の状態を示す断面図である。部品23を組み付ける組立体22が、組付位置に搬送され、あるいは載置されて図1に示す状態となる。その後、エアーシリンダ9によりノズルボディ4が下降して挿入ヘッド3が部品23の組付位置にセットされる。また、エアーシリンダ18により吸引ボディ14が上昇してセット治具11の穴からバキュームパッド13が挿入され、組付位置の反対面にセットされる。これによって、吸引発生装置17からバキュームパッド13、組立体22の網目部分、挿入ヘッド3、チューブ状搬送路2を介してパーツフィーダ1までのほぼ密閉された空気の流路が形成される。この状態を図2に示している。
【0018】
吸引発生装置17による吸引力は、予め発生させておいてもよいし、密閉後に発生させてもよい。また、切換器15,16により制御してよい。ノズルボディ4および吸引ボディ14を装着したときには、切換器15により管路を接続し、吸引力をパーツフィーダ1まで伝える。この時点では、切換器16は吸引ボディ14側を閉塞しておき、切換器15側の吸引力のみとする。
【0019】
パーツフィーダ1には、部品23が投入される。パーツフィーダ1は、投入された部品23を整列させてチューブ状搬送路2へ送り出す。しかし、部品23は軽量であり、かつほつれやすいため、そのままではチューブ状搬送路2へ入りにくい。また、チューブ状搬送路2の入り口において複数の部品23が衝突して、詰まってしまうこともある。そのため、例えば加震装置などで振動させることにより、部品23のチューブ状搬送路2へ向かわせることができる。しかし、パーツフィーダ1の振動力でも、チューブ状搬送路2へ入りにくいことがある。この場合でも、上述のように吸引発生装置17による吸引力がパーツフィーダ1まで働くため、この吸引力によって軽量の部品23はチューブ状搬送路2へと向かう。このとき、チューブ状搬送路2の径を部品23の径よりも多少大きい程度としておくことによって、チューブ状搬送路2内へは部品23が1個ずつ入っていく。1個ずつ入った部品23は、チューブ状搬送路2内で整列する。チューブ状搬送路2は、部品23の長さに比べて非常に長い経路を有しているので、チューブ状搬送路2内に複数の部品23が蓄積されることになる。すなわち、チューブ状搬送路2は部品23のバッファとしても機能する。
【0020】
チューブ状搬送路2内に整列した部品は、なお続く吸引力により挿入ヘッド3側に移動し、先頭の部品23が挿入ヘッド3に進入する。図3は、挿入ヘッドの一例を示す断面図である。図中、31は広径部、32は切り欠き、33は斜面である。図中の上部にチューブ状搬送路2が接続され、下部に組立体22が位置する。挿入ヘッド3の下部は、部品23の径よりも多少大きめの径を有する広径部31が設けられている。この広径部31は、部品23の長さとほぼ同程度の長さだけ形成されている。また、挿入ヘッド3の先端部には、組立体22において部品23を保持するために設けられている突起を逃がすための切り欠き32が設けられている。
【0021】
広径部31よりもチューブ状搬送路2側は、上述のように部品23の径とほぼ同程度かそれよりも多少小さめの径を有する小径部8が設けられている。そしてチューブ状搬送路2との接続部分には、径の違いによって部品23が詰まらないように、斜面33が設けられている。なお、挿入ヘッド3とチューブ状搬送路2との接続はノズルボディ4内で行われている。
【0022】
図4は、部品挿入過程の一例の説明図である。図4(A)に示すように、組立体22に挿入ヘッド3を装着してチューブ状搬送路2に吸引力を作用させることによって、部品23が挿入ヘッド3へと搬送される。そして、先頭の部品23は挿入ヘッド3の小径部8を通過して広径部31に進入する。小径部8は径が小さいため、壁面と部品23との間の摩擦力によって通過しにくいが、吸引力によって広径部31に引き込む。そして、図4(B)に示すように先頭の部品23が組立体22の網目部分に組み付けられる。先頭の部品23が組み付けられた時点で、図4(B)に示すように、次の部品23が小径部8まで搬送されてきている。
【0023】
組み付けが終了すると、大気解放用切換器6を動作させて部品23の搬送路を大気連通路5を介して大気解放させる。これにより、組立体22とノズルボディ3の密閉状態を解除するとともに、部品23の搬送路内の吸引力は弱まる。このとき、組み付けられた部品23は、吸引力によって組付状態が保持される。また、切換器16を動作させて吸引発生装置17による吸引力を高めることによって、組み付けた部品23の組付状態をさらに保持しやすくなる。
【0024】
その後、エアーシリンダ9によりノズルボディ4を上昇させる。このとき、組立体22に組み付けられた部品23は、吸引力によって組付状態が保持される。また、挿入ヘッド3においても、組み付けられた部品23は広径部31に存在するので、挿入ヘッド3の上昇とともに組み付けられた部品23が上昇してしまうことはない。
【0025】
また、次の部品23は、上述のように小径部8に位置している。小径部8は上述のように部品23とほぼ同じあるいは多少小さめの径を有しているため、この小径部8に位置する部品23は小径部8の側壁との面抵抗が生じる。組付の際には吸引力が働いていたが、ノズルボディ4を上昇させる時点では小径部8は大気に解放されている。また、組み付けられた部品23は吸引されているため、次の部品23もある程度の吸引力によって吸引されているが、ノズルボディ4が少し上昇しただけで、組立体22とノズルボディ4および挿入ヘッド3の間の隙間から空気が進入して挿入ヘッド3からパーツフィーダ1側では完全に吸引力は働かなくなる。そのため、小径部8に位置する次の部品23は、小径部8の壁面との摩擦力によって保持される。これによって、挿入ヘッド3の上昇とともに次の部品23も上昇し、図4(C)に示すように組み付けられた部品23と次の部品23とが分離する。このとき、組み付けられた部品23は上述のように吸引力によって保持されているので、部品間の分離の際に傾くなどの不具合が発生することはなく、組付状態が良好に保持される。
【0026】
このようにして部品23が組み付けられ、ノズルボディ4が上昇した後、切換器15,16を切り換えて吸引力を停止し、エアーシリンダ18により吸引ボディ14を降下させる。そして組立体22を取り出し、あるいは搬送し、次の工程へ進める。それとともに次の別の組立体を給送し、上述の組付動作を行うことになる。
【0027】
このような本発明の軽量柔軟部品の供給組付方法および装置では、パーツフィーダ1から挿入ヘッド3までの間の構成が非常に簡単であり、また、吸引力しか用いていないので、軽量で柔軟な部品でも変形などもなく、確実に組み付けることができる。また、その搬送経路における詰まりや、挿入ヘッド3での各部品間の分離不良、挿入ヘッド3からの複数個の部品の脱落、および、組み付けた部品の抜けや倒れなどのトラブルが非常に少なく、効率よく軽量柔軟部品を組み付けることができる。また、構成が簡単なためメンテナンス性も高く、高い稼働率で動作させることができるとともに、作業員の労力を低減することができる。
【0028】
以下、本発明の実施の一形態の応用例として、インクジェット記録装置に用いられるインクタンクを製造する工程に適用した場合について説明する。まず製造するインクタンクの一例について説明する。図5は、インクタンクの一例を示す断面図、図6は、同じく分解斜視図である。図中、41はタンクケース、42はトップカバー、43はインク室毛管部材、44は、第1のメニスカス形成部材、45はインク誘導部材、46は第2のメニスカス形成部材、47はボトムカバー、48は結合部毛管部材、49はラベル、51は主インク室、52は中間室、53は大気連通口、54はインク誘導部押さえである。
【0029】
インクタンクは、タンクケース41の上下にトップカバー42およびボトムカバー47が装着されて構成されている。タンクケース41にはインクタンクの内部を主インク室51と中間室52に分ける仕切りが設けられており、タンクケース41は主インク室51の側面と底面、および、中間室52の上面と側面を構成している。その仕切りには、主インク室51と中間室52との連通孔が形成されており、その連通孔に第1のメニスカス形成部材44が配設されている。この第1のメニスカス形成部材44は、多数の貫通孔が形成された網目部分を構成している。
【0030】
タンクケース41の主インク室51側には、インクを毛管力によって保持するインク室毛管部材43が挿入されている。タンクケース41の上に、大気運通口53を有するトップカバー42が設けられ、主インク室51が形成される。
【0031】
第1のメニスカス形成部材44の下部には、インク誘導部押さえ54によって支持されたインク誘導部材45が設けられ、さらにタンクケース41の下にボトムカバー47が設けられる。これにより中間室52が形成される。ボトムカバー47には記録ヘッドなどにインクを供給するための開口が形成されており、その開口に第2のメニスカス形成部材46と結合部毛管部材48が配置される。なお、タンクケース41の側面に案内事項等を記載したラベル49を貼着してもよい。
【0032】
このようなインクタンクを製造する場合、まずタンクケース41に第1のメニスカス形成部材44を装着し、その第1のメニスカス形成部材44に当接するようにインク誘導部材45を装着する。このとき、インク誘導部押さえ54の間にインク誘導部材45を挿入して取り付ける。一方、ボトムカバー47に第2のメニスカス形成部材46および結合部毛管部材48を取り付けておき、これをタンクケース41に接合する。このように組み付けられた状態でインクを充填し、主インク室51内にインク室毛管部材43を挿入してインクを含浸させ、最後にトップカバー42をタンクケース41に接合する。必要に応じてラベル49を貼着する。このようにして、図5に示したようなインクタンクを製造することができる。また、インクの漏れがないように、ボトムカバー47の開口をシールしておくとよい。
【0033】
このようなインクタンクにおいて、インク誘導部材45はフェルトなどによって構成された略円筒状の部材であり、軽量で柔軟である。このような軽量で柔軟なインク誘導部材45を装着する工程には、上述のような本発明の方法および装置を用いることができる。すなわち、インク誘導部材45は、装着の際に把持するような装着方法では、変形してしまう可能性がある。そのため、吸引による搬送および組付が適当である。
【0034】
先に取り付けられている第1のメニスカス形成部材44は、細かなメッシュの金網状の部材である。この第1のメニスカス形成部材44にむかってインク誘導部材45を圧縮空気により圧送し、装着することも考えられるが、構造が複雑になり設備コストが高くなる。また、このようなインクタンクの組立ては、その性能上、クリーンルームで組立てられることが多い。圧縮空気による組付はゴミの散乱を招くため、好ましくない。このような理由から、インク誘導部材45の装着工程では、本発明のように吸引力のみを用いた搬送、装着方法および装置を用いることによって、インク誘導部材45の変形や破損などを生じずに良好に組み付けていくことができる。
【0035】
図3に示す構成を上述のインク誘導部材45の装着に使用する場合、部品23はインク誘導部材45である。多数のインク誘導部材45がパーツフィーダ1に投入される。また、ノズルボディ4と吸引ボディ14がセット治具11にセットされたタンクケース41に装着される。図7は、インク誘導部材が装着される部位の拡大斜視図、図8は、タンクケースに挿入ヘッドおよびバキュームパッドを装着した状態の一例を示す断面図である。インク誘導部材45は、図7に示すように、タンクケース41に形成されている3本のインク誘導部押さえ54の間に挿入する。このインク誘導部押さえ54に対して、図3に示したような挿入ヘッド3を位置決めして装着する。このとき、図3に示した切り欠き32にインク誘導部押さえ54が嵌合する。これによって、なるべく吸引力を逃がさないようにしている。また、吸引ボディ14の上昇によって、バキュームパッド13が主インク室51側から挿入され、その先端部が第1のメニスカス形成部材44を覆うように装着される。
【0036】
このようにしてタンクケース41にノズルボディ4と吸引ボディ14が装着された後、吸引発生装置17による吸引力によってインク誘導部材45が1つずつチューブ状搬送路2内に入り、搬送される。そして、搬送されてきた先頭のインク誘導部材45は第1のメニスカス形成部材44に当設した状態で停止する。この時点で大気解放用切換器6を動作させて大気連通路5を大気解放し、吸引力が弱められてインク誘導部材45の移動は止まる。
【0037】
その後、ノズルボディ4を上昇させる。このとき、ノズルボディ4の上昇中にインク誘導部材45が倒れたりしないように、吸引はノズルボディ4の移動が止まるまで行う。ノズルボディ4の移動動作中の吸引力は、切換器15および16の両方を吸引発生装置17に接続する側に切り換え、インク誘導部材45を組み付ける際の吸引力より大きい吸引力で組み付けたインク誘導部材45を保持する。このときの吸引力を大きくすることで、保持状態をより安定させることができる。
【0038】
ノズルボディ4を上昇させた後、切換器15,16を動作させて吸引力を切り、吸引ボディ14を下降させる。そして、インク誘導部材45が装着されたタンクケース41を次の組立工程へと進める。また、インク誘導部材45が未装着のタンクケース41を給送し、上述のようにしてインク誘導部材45を組み付ける。このようにして、順次、タンクケース41にインク誘導部材45を組み付けてゆくことができる。
【0039】
ここでは一例として、インク誘導部材45を装着する際に本発明を用いる場合を示したが、本発明はこれに限らず、種々の軽量で柔軟な部品の装着に用いることが可能である。
【0040】
図9は、本発明の別の実施の形態を示す全体構成図である。この例では、複数個の部品23を同時に組み付けることができる構成を示している。図9に示した例では、同時に3つの部品23を組み付けることができる。なお、この例ではバキュームパッド13を用いない構成を示している。
【0041】
軽量で柔軟な部品23は、吸引発生装置17による吸引力によって、共通のパーツフィーダ1からそれぞれ個別のチューブ状搬送路2に送られ、それぞれの組付位置へ搬送される。そして、それぞれの挿入ヘッド3から組付位置に部品23が組み付けられる。この動作は、それぞれが上述の動作と同じである。
【0042】
このとき、セット治具11には、それぞれの組付位置に対応した吸引のための穴が設けられており、吸引ボディ14は、それぞれの穴に対して吸引のための管路および切換器を設けている。これによって、組み付ける部品が1または2個の場合には、吸引を行う管路を選択的に切換器によって切り換えることによって対応することができる。
【0043】
具体例として、上述のインクジェット記録装置に用いるインクタンクでは、複数のインクを一体的に収容したインクタンクが用いられている。このようなインクタンクでは、内部が各インクごとに分離されており、図5と同様の構成がそれぞれのインクごとに形成されている。そのため、インク誘導部材45も各インクに対応した数だけ組み付ける必要がある。例えば3色一体のインクタンクでは、図9に示したような装置によって3つのインク誘導部材45を同時に組み付けられると都合がよい。
【0044】
しかし、このような複数色一体のインクタンクでは、それぞれの組付のためのスペースが限られており、大型の組付装置では、複数個のインク誘導部材45を同時に組み付けることは困難であった。しかし本発明では、非常に簡素な装置であるため、図9に示すように複数の挿入ヘッド3を並べても十分余裕があり、複数個の部品の組付を実現することができる。これによって、組付に要する時間を短縮し、高速な組立およびコストの低減をはかることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、軽量柔軟部品を吸引のみによって搬送および組付を行うことができる。これによって、軽量柔軟部品を破損したり変形させることなく、確実に1つずつ軽量柔軟部品を分離し、組立体に組み付けてゆくことができる。また、吸引のみによる組付のため、クリーンルームなどでも用いることができる。さらに、構成が簡単なため、軽量柔軟部品が詰まるなどのトラブルも少なく、メンテナンス性が高い。また、スペース的な制約を受けることが少なく、複数の軽量柔軟部品を同時に組み付けるように構成することも可能である。本発明によれば、このように種々の効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示す全体構成図である。
【図2】 本発明の実施の一形態におけるノズルボディおよび吸引ボディの装着後の状態を示す断面図である。
【図3】 挿入ヘッドの一例を示す断面図である。
【図4】 部品挿入過程の一例の説明図である。
【図5】 インクタンクの一例を示す断面図である。
【図6】 インクタンクの一例を示す分解斜視図である。
【図7】 インク誘導部材が装着される部位の拡大斜視図である。
【図8】 タンクケースに挿入ヘッドおよびバキュームパッドを装着した状態の一例を示す断面図である。
【図9】 本発明の別の実施の形態を示す全体構成図である。
【符号の説明】
1…パーツフィーダ、2…チューブ状搬送路、3…挿入ヘッド、4…ノズルボディ、5…大気連通路、6…大気解放切換器、7…パッキン、8…小径部、9…エアーシリンダ、11…セット治具、12…パッキン、13…バキュームパッド、14…吸引ボディ、15,16…切換器、17…吸引発生装置、18…エアーシリンダ、21…制御部、22…組立体、23…部品、31…広径部、32…切り欠き、33…斜面、41…タンクケース、42…トップカバー、43…インク室毛管部材、44…、第1のメニスカス形成部材、45…インク誘導部材、46…第2のメニスカス形成部材、47…ボトムカバー、48…結合部毛管部材、49…ラベル、51…主インク室、52…中間室、53…大気連通口、54…インク誘導部押さえ。

Claims (7)

  1. 軽量で柔軟な性質を有する軽量柔軟部品を組立体に供給し組み付ける軽量柔軟部品の供給組付方法において、多数の前記軽量柔軟部品を前記軽量柔軟部品が2以上通過できない径を有する吸引搬送路に吸引して前記軽量柔軟部品を1つずつ前記吸引搬送路に取り込んで整列させ、前記吸引搬送路の端部に設けられた挿入ヘッドの先端を前記組立体の組付位置に配置し、前記挿入ヘッドから先頭の前記軽量柔軟部品のみを吸引により前記組立体の組付位置に組み付けるとともに、前記挿入ヘッドには、前記軽量柔軟部品を吸引して前記組付位置に組み付けたとき、次の前記軽量柔軟部品が位置する部分に径が前記軽量柔軟部品の径より小さい小径部が設けられており、該小径部に位置する次の前記軽量柔軟部品を該小径部に保持させ、組み付けた前記軽量柔軟部品と離間させることを特徴とする軽量柔軟部品の供給組付方法。
  2. 前記吸引搬送路内に整列した先頭の前記軽量柔軟部品を組み付けた後、組み付けた前記軽量柔軟部品を吸引したまま前記吸引搬送路内を大気解放し、組み付けた前記軽量柔軟部品と次の前記軽量柔軟部品を離間させることを特徴とする請求項1に記載の軽量柔軟部品の供給組付方法。
  3. 前記組立体は前記組付位置に網目部分を有しており、該網目部分の前記軽量柔軟部品との接合面の反対の面から吸引を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軽量柔軟部品の供給組付方法。
  4. 軽量で柔軟な性質を有する軽量柔軟部品を組立体に供給し組み付ける軽量柔軟部品の供給組付装置において、前記軽量柔軟部品が2以上通過できない径を有する前記軽量柔軟部品のチューブ状搬送路と、該チューブ状搬送路の端部に設けられ前記組立体の組付位置に先端が配置される挿入ヘッドと、該挿入ヘッドの先端側から前記軽量柔軟部品を吸引する吸引手段を有し、前記挿入ヘッドは、前記吸引手段によって前記軽量柔軟部品を吸引して前記組付位置に組み付けたとき、次の前記軽量柔軟部品が位置する部分に径が前記軽量柔軟部品の径より小さい小径部が設けられており、該小径部よりも先端側では該小径部より径が大きいことを特徴とする軽量柔軟部品の供給組付装置。
  5. 前記挿入ヘッドには、前記軽量柔軟部品の搬送路を大気解放するための貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の軽量柔軟部品の供給組付装置。
  6. 前記組立体は前記組付位置に網目部分を有しており、前記挿入ヘッドと前記吸引手段は前記網目部分を挟んで対向して配置され、前記吸引手段は、前記網目部分を介して前記挿入ヘッド内および前記チューブ状搬送路内の前記軽量柔軟部品を吸引することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の軽量柔軟部品の供給組付装置。
  7. 複数の前記チューブ状搬送路が前記挿入ヘッドに接続され、前記挿入ヘッドでは、前記各チューブ状搬送路に対応した組付位置に前記軽量柔軟部品を供給する前記小径部を有した複数の部品通路を有していることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の軽量柔軟部品の供給組付装置。
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