JP3835502B2 - クランク角センサの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用のエンジンでカムタイミング調整等を容易にするために用いられるクランク角センサの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のエンジンには、カムタイミング調整等を容易にするためにクランク角センサが設けられる。このクランク角センサは、クランクシャフトあるいはクランクシャフトと同期して回転するカム軸にセンシングプレートを取付け、このセンシングプレートに設けられた歯に対向させて設けるのが普通である。センシングプレートの取付場所は次のように各種あり、クランク角センサはこれに合わせて取付けられる。
【0003】
センシングプレートをクランクシャフトに取付けた場合、クランク角センサはシリンダブロック、クランクロアケースあるいはオイルパンに取付けられる。この構造では、クランク角センサをエンジンオイルに直接触れる部材に取付けることになるので、クランク角センサに耐熱性を持たせる必要が生じ、またクランク角センサの取付部からエンジンオイルが洩れないようにオイルシール構造が必要となってコスト高となる。
【0004】
また、たとえば特開平9−68053号公報に開示されているように、クランクシャフトに取付けるタイミングプーリにセンシングプレートを取付けるものでは、クランク角センサへの配線をタイミングベルトに触れないようにする必要があり、また、タイミングカバー内に水や埃が侵入するのを防ぐように、配線取出し部にシール構造が必要となるので構造が複雑になる。そしてこの構造ではセンシングプレートがタイミングプーリと一体に形成されていることから、クランク角センサはクランクシャフトの下方からオイルポンプを貫通して取付けることになり、オイルパンの形状に影響を与え、エンジンオイルの量を減少させ、オイルパンの形状も複雑になってシール性を低下させる虞があった。
【0005】
さらに、実開平6−34172号公報に開示されるように、タイミングプーリに取付けたセンシングプレートの外周側にクランク角センサを配設し、タイミングプーリの直径方向から検出するようにしたものもあるが、この場合にはクランク角センサが補機駆動用のベルトラインの内側に位置するため、クランク角センサへの配線はタイミングベルトに接しないようにする必要があって煩雑である。また、クランク角センサの取付部にシール構造が必要になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、センシングプレートとクランク角センサの従来の各取付構造には、機能上の問題はないが、構造が複雑となったり、コスト高となるというそれぞれ未解決
の問題があった。本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、このような問題が生ずることのないクランク角センサの取付構造を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載された発明では、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリにセンシングプレートを取り付け、該センシングプレートと、これに対向するクランク角センサとを、エンジンを覆うタイミングベルトカバーの外部に露出させ、前記クランク角センサを、エンジンを車体に取り付けた状態において前記クランクシャフトより下方に位置させると共に、前記クランクプーリ及び該クランクプーリに掛けられたベルトの領域外に設け、かつこのクランク角センサをセンサブラケットに取り付けたクランク角センサの取付構造において、前記クランクプーリの外周部に前記センシングプレートを取り付け、前記タイミングベルトカバーをクランク軸長手方向で前記クランクプーリ側に延出させて前記センシングプレートと前記クランクプーリの下方に位置するオイルパンの端面との間にボス部を配設して、該ボス部に前記センサブラケットを取り付け、該センサブラケットに前記ボス部に取り付けられる部分から下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に延出される部分に前記クランク角センサが取り付けられる凹部を設け、該凹部に取り付けられた前記クランク角センサを、前記オイルパンと前記タイミングベルトカバーとの合せ面より下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に配置したことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に記載された発明では、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリにセンシングプレートを取り付け、該センシングプレートと、これに対向するクランク角センサとを、エンジンを覆うタイミングベルトカバーの外部に露出させ、前記クランク角センサを、エンジンを車体に取り付けた状態において前記クランクシャフトより下方に位置させると共に、前記クランクプーリ及び該クランクプーリに掛けられたベルトの領域外に設け、かつこのクランク角センサをセンサブラケットに取り付けたクランク角センサの取付構造において、前記センサブラケットの前記クランクプーリ側で、エンジンを車体に取り付けた状態において最も低い位置となる部分に前記クランク角センサを取り付ける凹部を形成すると共に、該凹部の一部を外部に連通させたことを特徴とする。
【0009】
また請求項3に記載された発明では、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリにセンシングプレートを取り付け、該センシングプレートと、これに対向するクランク角センサとを、エンジンを覆うタイミングベルトカバーの外部に露出させ、前記クランク角センサを、エンジンを車体に取り付けた状態において前記クランクシャフトより下方に位置させると共に、前記クランクプーリ及び該クランクプーリに掛けられたベルトの領域外に設け、かつこのクランク角センサをセンサブラケットに取り付けたクランク角センサの取付構造において、前記クランクプーリの外周部に前記センシングプレートを取り付け、前記タイミングベルトカバーをクランク軸長手方向で前記クランクプーリ側に延出させて前記センシングプレートと前記クランクプーリの下方に位置するオイルパンの端面との間にボス部を配設して、該ボス部に前記センサブラケットを取り付け、該センサブラケットに、前記ボス部に取り付けられる部分から下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に延出される部分で、且つエンジンを車体に取り付けた状態において最も低い位置に配される部分に前記クランク角センサが取り付けられる凹部を形成すると共に、該凹部の一部を外部に連通させ、さらに、この凹部に取り付けられた前記クランク角センサを、前記オイルパンと前記タイミングベルトカバーとの合せ面より下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に配置したことを特徴とする。
【0010】
このような構成とすれば、クランク角センサにエンジンオイルがかかることがなく、またエンジンオイルの洩れを考慮することもなく、さらにクランク角センサへの配線の引き回しがベルトその他の影響を受けずに行える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1に示すものは自動車用のエンジン1であり、クランクロアケース2とオイルパン3の部分である。そしてこの図は、図示しない自動車の車体に取付けた状態を示すものである。図2に示すようにクランクシャフト4の端部にはクランクプーリ5が嵌着され、ボルト6で固定されている。
【0012】
図2に示すように、クランクプーリ5にはV溝5aとVリブ溝5bが設けられており、V溝5aに掛けられたVベルト7はエアコン用コンプレッサ8のプーリ9を駆動し、Vリブ溝5bに掛けられたVリブベルト10はウォータポンプ11のプーリ12とオルタネータ13のプーリ14を駆動するようになっている(図1参照)。
【0013】
図2に示すようにクランクプーリ5の後部にはオイルポンプケース15が設けられており、その内部に設けられたギヤ16,17の噛合により、オイルパン3内のオイル(図示せず)が各潤滑箇所に送られるようになっている。
【0014】
図1ないし図3に示すように、クランクプーリ5の外周部にはセンシングプレート18が嵌合により一体化して取付けられている。このセンシングプレート18はリング状のものであり、その外周に多数の突起18aが設けられている。なお、突起18aはセンシングプレート18の全周に不均一な間隔で設けられており、ある特定のシリンダ(一般的には第1シリンダ)のピストン位置に対応させてある。
【0015】
センシングプレート18の下方すなわちクランクシャフト4の下方には、クランク角センサ19がセンサブラケット20によって取付けられており、センシングプレート18の突起18aの検出を行うようになっている。
【0016】
クランク角センサ19を取付けたセンサブラケット20は、エンジンオイルに直接触れることのない部材である。このセンサブラケット20の詳細については後述するが、図2および図3に示すように、オイルパン3の端部より外側で、クランクプーリ5の前端より後方に位置させてある。そしてセンサブラケット20とオイルパン3とは、図3に示すように同一面で取付けられている。
【0017】
図4において、センサブラケット20の一部(中央部)は、クランクプーリ5およびセンシングプレート18の一部をカバーするように、これらの外形に沿った円弧状部20aになっている(図1、図4参照)。また両端は水平に延びて固定用のボス部20bになっている。ボス部20bは、オイルポンプケース15のボス部15aにボルト21で取付けられる(図1参照)。22は位置決め用のノックピンである。円弧状部20aの一部は、下方に突出する凹部20cに形成されている。
【0018】
この凹部20cは、センサブラケット20のクランクプーリ5側で、エンジン1を車体に取付けた状態において最も低い位置となる部分に設けられる。そしてこの凹部20cには孔20dがあり、この孔20dにクランク角センサ19が下方から挿入されて取付けられる。図4に明確に示すように、クランク角センサ19にはコネクタ19bがあり、ワイヤリングハーネス23のコネクタ23aに結合している。
【0019】
このように取付けると、クランク角センサ19は、エンジン1を車体(図示せず)に取付けた状態においてクランクシャフト4より下方に位置することになる。また、クランク角センサ19は、クランクシャフト4に取付けられたクランクプーリ5およびクランクプーリ5に掛けられたベルト(Vベルト7およびVリブベルト10)の領域外(エンジン1を前方から見てベルトの外側)に設けられることになる。そして図5に示すようにエンジン1を下方から見たとき、クランク角センサ19はクランクプーリ5の範囲L内に位置す
る。
【0020】
図1に示すように、センシングプレート18とこれに対向するクランク角センサ19は、エンジン1のタイミングベルトカバー24の外部に露出して設けられることになる。この結果クランク角センサ19は、従来のものと異なり、エンジンオイルに直接触れないことになる。
【0021】
次に、図6ないし図8についてセンサブラケット20の形状を説明し、図9ないし図12についてそのセンサブラケット20にクランク角センサ19を取付ける構造を説明する。図6はセンサブラケット20の底面を、また図7は側面を、さらに図8は平面を示している。前述したように、センサブラケット20には中央部に円弧状部20aがあり、クランクプーリ5およびセンシングプレート18の一部をカバーするようにしてある。
【0022】
センサブラケット20の両端は水平に延びて固定用のボス部20bになっている。そして円弧状部20aの一部は下方に突出する凹部20cに形成されており、この凹部20cには孔20dがあり、この孔20dにクランク角センサ19が下方から挿入されて取付けられるようになっている。さらに凹部20cには図8に示すように外部に連通する溝20eが設けられており、センサブラケット20の上部に水や砂が入ったときにここから外部に排出できるようにしてある。図6ないし図8に示すように、ボス部20bにはボルト21を挿通する孔20fとノックピン22が通る孔20gが設けられている。
【0023】
図9は図6のE−E線に沿った断面図であり、図10はそれにクランク角センサ19を取付けた状態を示している。センサブラケット20には前述したように凹部20cがあるが、その凹部20cに設けられた孔20dにクランク角センサ19が下方から挿入される。クランク角センサ19には取付用のボス部19aがありこのボス部19aは、凹部20cの溝20eを避けたところに当接する。そしてセンサブラケット20への取付けは、ボス部19aを貫通したボルト25をねじ孔20hに螺合して行う。
【0024】
センサブラケット20に設けられた凹部20cの孔20dにクランク角センサ19を下方から挿入して取付けるとき、従来のものと異なりセンサブラケット20がエンジンオイルに接触しない部材であることから、図11に拡大して示したように、Oリングを介装しない構造とすることができる。しかしながら図12に示したようにOリング26を敢えて介装すれば、孔20dの径とクランク角センサ19の外径とのクリアランスによって中心ずれが生じたときに、Oリング26の弾力性がこれを吸収して全周均一に保つことになる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されたクランク角センサの取付構造であるから、請求項1〜3の発明によれば、クランク角センサがクランクシャフトより下方に位置することにより、自動車が走行したときの走行風がクランク角センサに当るので冷却性が向上し、寿命を伸ばすことができ、クランク角センサへの配線が容易になる上、クランク角センサの大きさ、形状にも自由度が大きくなるので、他機種、他部品との共用化が図れることになる。また、センサブラケットの凹部の一部を外部に連通させたことにより、センサブラケットの上部に水や砂が入ったときの外部への排出が容易になる。
また、クランク角センサがエンジン本体から離れているために熱の影響が少なく、クランク角センサの熱対策が不要となる上に、エンジンオイルに接触しないので、取付部のシールが不要になり、しかも、クランク角センサがエンジンオイルに曝されないので、耐熱性能を向上させることができる。
さらに、自動車走行時の跳ね石等からセンシングプレートが破損するのを防止することができる。
さらに、クランク角センサとセンサブラケットが、エンジンを車体に取付けるときに車体に干渉しないので、作業性が向上する。
さらにまた、シール用のOリングが孔の中心とクランク角センサの中心とを一致させるので、クランク角度の検出精度が向上する。
さらにまた、加工コストを低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すエンジン下部の正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図2のC−C線に沿う断面図である。
【図5】図1のD方向矢視図である。
【図6】センサブラケットの底面図である。
【図7】センサブラケットの側面図である。
【図8】センサブラケットの平面図である。
【図9】図6のE−E線に沿う断面図である。
【図10】図10のものにクランク角センサを取付けた状態を示す断面図である。
【図11】図10のF部の一例を拡大して示す断面図である。
【図12】図10のF部の他の例を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン,2 クランクロアケース,3 オイルパン,4 クランクシャフト,5 クランクプーリ,18 センシングプレート,19 クランク角センサ,20 センサブラケット,20a 円弧状部,20c 凹部,20d 孔,20e 溝,24 タイミングベルトカバー,26 Oリング

Claims (3)

  1. エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリにセンシングプレートを取り付け、該センシングプレートと、これに対向するクランク角センサとを、エンジンを覆うタイミングベルトカバーの外部に露出させ、前記クランク角センサを、エンジンを車体に取り付けた状態において前記クランクシャフトより下方に位置させると共に、前記クランクプーリ及び該クランクプーリに掛けられたベルトの領域外に設け、かつこのクランク角センサをセンサブラケットに取り付けたクランク角センサの取付構造において、
    前記クランクプーリの外周部に前記センシングプレートを取り付け、前記タイミングベルトカバーをクランク軸長手方向で前記クランクプーリ側に延出させて前記センシングプレートと前記クランクプーリの下方に位置するオイルパンの端面との間にボス部を配設して、該ボス部に前記センサブラケットを取り付け、該センサブラケットに前記ボス部に取り付けられる部分から下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に延出される部分に前記クランク角センサが取り付けられる凹部を設け、該凹部に取り付けられた前記クランク角センサを、前記オイルパンと前記タイミングベルトカバーとの合せ面より下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に配置したことを特徴とするクランク角センサの取付構造。
  2. エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリにセンシングプレートを取り付け、該センシングプレートと、これに対向するクランク角センサとを、エンジンを覆うタイミングベルトカバーの外部に露出させ、前記クランク角センサを、エンジンを車体に取り付けた状態において前記クランクシャフトより下方に位置させると共に、前記クランクプーリ及び該クランクプーリに掛けられたベルトの領域外に設け、かつこのクランク角センサをセンサブラケットに取り付けたクランク角センサの取付構造において、
    前記センサブラケットの前記クランクプーリ側で、エンジンを車体に取り付けた状態において最も低い位置となる部分に前記クランク角センサを取り付ける凹部を形成すると共に、該凹部の一部を外部に連通させたことを特徴とするクランク角センサの取付構造。
  3. エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリにセンシングプレートを取り付け、該センシングプレートと、これに対向するクランク角センサとを、エンジンを覆うタイミングベルトカバーの外部に露出させ、前記クランク角センサを、エンジンを車体に取り付けた状態において前記クランクシャフトより下方に位置させると共に、前記クランクプーリ及び該クランクプーリに掛けられたベルトの領域外に設け、かつこのクランク角センサをセンサブラケットに取り付けたクランク角センサの取付構造において、
    前記クランクプーリの外周部に前記センシングプレートを取り付け、前記タイミングベルトカバーをクランク軸長手方向で前記クランクプーリ側に延出させて前記センシングプレートと前記クランクプーリの下方に位置するオイルパンの端面との間にボス部を配設して、該ボス部に前記センサブラケットを取り付け、該センサブラケットに、前記ボス部に取り付けられる部分から下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に延出される部分で、且つエンジンを車体に取り付けた状態において最も低い位置に配される部分に前記クランク角センサが取り付けられる凹部を形成すると共に、該凹部の一部を外部に連通させ、さらに、この凹部に取り付けられた前記クランク角センサを、前記オイルパンと前記タイミングベルトカバーとの合せ面より下方かつ前記タイミングベルトカバーから離れる方向に配置したことを特徴とするクランク角センサの取付構造。
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