JP3835500B2 - カメラの防水構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラの防水構造に係り、特にカメラの本体と裏蓋との間の防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のカメラの防水構造は、図8に示すようにカメラの本体1の外周に環状溝2を形成するとともに、この環状溝2に環状防水シール部材3を収納し、一方、裏蓋4の外周に環状リブ5を形成して構成されており、裏蓋4を閉じると、裏蓋4の環状リブ5が環状防水シール部材3を押圧して変形させ、本体1と裏蓋4との間を水密状に密閉するようにしている(実公昭60−6822号公報参照)。
【0003】
特に、実公昭60−6822号公報に記載のカメラの防水構造は、環状防水シール部材3の断面形状を、先端にいくにしたがって狭くなる形状(図8では断面半円状)とし、裏蓋4を閉じたときの押圧力により、環状防水シール部材3が環状溝2の側面方向に逃げるように変形できるようにしている。これにより、環状防水シール部材3の弾力性が損なわれないようにし、環状リブ5が環状防水シール部材3に食い込みやすくし、高い防水性能が得られるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のカメラの防水構造の場合には、環状リブ5が環状防水シール部材3に食い込みやくすなる結果、図8の矢印A1、A2の経路の防水性を確保することができるが、環状溝2の側面と環状防水シール部材3の側面とは十分に密着しておらず、また、環状溝2の底面は変形せずに環状防水シール部材3の底面と面接触しているため、図8の矢印B1、B2、B3の経路で水漏れが発生するおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、裏蓋の押圧力が小さくても環状防水シール部材を無理なく変形させることができ、かつ高い防水性能を得ることができるカメラの防水構造を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、カメラの本体及び裏蓋のうちの一方の外周に環状溝を形成するとともに該環状溝に環状防水シール部材を収納し、他方の外周に前記環状防水シール部材を押圧する環状リブとを形成し、前記本体と裏蓋との間を水密状に密閉するカメラの防水構造において、前記環状溝を、第1の溝幅を有する第1の環状溝と、該第1の環状溝の底部に形成された前記第1の溝幅よりも狭い第2の溝幅を有する第2の環状溝であって、前記裏蓋の閉成時に押圧されて変形する前記環状防水シール部材が底部に当接しない深さを有する第2の環状溝とによって形成し、前記環状防水シール部材を、該環状防水シール部材の底面の幅が前記第2の溝幅よりも大きく、かつ前記第1の環状溝の側面と環状防水シール部材の側面との間に隙間ができるように形成し、前記環状防水シール部材は、前記環状リブの押圧により側面方向に変形するとともに、該環状防水シール部材の底面の一部が前記第2の環状溝に食い込むように変形することを特徴としている。
【0007】
即ち、前記環状防水シール部材は、その側面と第1の環状溝の側面との間に隙間ができるように形成されているため、裏蓋を閉じた時の環状リブの押圧により側面方向に変形することができる。また、前記環状溝は、第1の環状溝と第2の環状溝の二重溝になるように形成されているため、前記環状防水シール部材は、その底面の一部が前記第2の環状溝に食い込むようにも変形することができる。
【0008】
これにより、比較的弱い押圧力で環状防水シール部材を変形させることができ、環状防水シール部材の環状リブが当接する部位の変形(環状リブの食い込み)、及び環状防水シール部材の第2の環状溝への食い込みにより、高い防水性能が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るカメラの防水構造の好ましい実施の形態について詳説する。
図1及び図2はそれぞれ本発明に係るカメラの防水構造が適用された防水パックを前方及び後方から見た斜視図であり、図3は図2に示した防水パックの裏蓋を開けた状態を示す斜視図である。
【0010】
これらの図面に示すように、この防水パック10は、主として本体12と、ヒンジ14により本体12に対して回動自在に配設された裏蓋16とから構成されており、図示しないデジタルカメラを収納することにより全体として防水型デジタルカメラとして機能できるようになっている。
即ち、図3に示すように本体12の内側には、デジタルカメラを取り付けるためのカメラ取付部材18が本体12に対して回動自在に配設されている。このカメラ取付部材18は、デジタルカメラの三脚ネジ穴と螺合するカメラ取付ネジ20と、デジタルカメラの回り止め及び位置決め用のピン22とが設けられており、これらのカメラ取付ネジ20及びピン22によってデジタルカメラを固定できるようになっている。
【0011】
また、本体12には、ストロボ装置24が内蔵されるとともに、本体12の上面にはシャッタボタン26が設けられており、裏蓋16には、電源スイッチ28やその他の各種のスイッチやダイヤルが設けられている。尚、この防水パック10と、防水パック10内に収納されるデジタルカメラとは、リモートコントロールケーブル30(図3)を介して電気的に接続されている。
【0012】
更に、本体12には、裏蓋開つまみ32及び本体12の外周に沿った環状防水シール部材(パッキング)34が設けられており、裏蓋16には、閉成時に裏蓋16をロックするためのフック36及び裏蓋16の外周に沿った環状リブ38が設けられている。この裏蓋16は、前述したようにヒンジ14により本体12に対して開閉自在に配設されており、裏蓋16を押圧して閉じると、フック36が本体12側の係合部(図示せず)と係合し、この状態でパッキング34と環状リブ38とにより本体12内の水密性を保持できるようになっている。尚、裏蓋16がロックされている場合に、図3に示すように裏蓋開つまみ32を起こし、反時計回り方向に回すと、裏蓋16のロックを解除することができる。
【0013】
図4は上記防水パック10における防水構造の第1の実施の形態を示す要部断面図である。
同図に示すように、本体12には、その外周に沿って第1の環状溝40及び第2の環状溝42とからなる二重溝が形成されており、パッキング34は、第1の環状溝40に嵌合又は挟み込まれて収納されている。
【0014】
図5は図4の要部拡大断面図であり、図5(A)に示すように第2の環状溝42は、第1の環状溝40の底部に形成されており、その第2の環状溝42の溝幅aは、第1の環状溝40の溝幅よりも狭くなるように形成されている。そして、第1の環状溝40に収納されるパッキング34は、その断面形状が凸形状に形成されており、凸部の幅bは、第1の環状溝40の溝幅よりも狭く、前記第2の環状溝42の溝幅aよりも広くなるように形成されている。従って、パッキング34の凸部の側面と第1の環状溝40の側面との間には、隙間44、46が形成される。
【0015】
さて、裏蓋16を押圧して閉じると、図5(B)に示すようにパッキング34は環状リブ38に押圧されて変形する。即ち、パッキング34は、環状リブ38によって押圧されることにより、最初の幅bよりも横方向に広がるように変形するが、この横方向の変形は、前記第1の環状溝40の側面との隙間44、46に逃がされる。また、パッキング34は、環状リブ38に押圧されて、押圧方向に湾曲するように変形させられるが、この変形は、第2の環状溝42に逃がされる。
【0016】
これにより、パッキング34は、弾力性が損なわれることなく、環状リブ38の押圧力が弱くても無理なく変形することができる。そして、環状リブ38がパッキング34に食い込むため、環状リブ38とパッキング34との間の防水性を確保することができ、また、パッキング34が第2の環状溝42に食い込むため、パッキング34と本体12との間の防水性も確保することができる。
【0017】
図6は防水パック10における防水構造の第2の実施の形態を示す要部拡大断面図である。尚、図5に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6に示す第2の実施の形態は、図5に示した第1の実施の形態と比較してパッキング50の形状のみが異なる。即ち、第2の実施の形態のパッキング50は、図6(A)に示すように断面形状が台形になるように形成されおり、その下底は、第1の環状溝40の溝幅と略同一に形成され、上底は下底よりも狭く形成されている。従って、パッキング50の側面と第1の環状溝40の側面との間には、隙間52、54が形成される。
【0018】
これにより、第1の実施の形態と同様に、裏蓋16を押圧して閉じると、図6(B)に示すようにパッキング50は環状リブ38に押圧されて変形するが、横方向の変形は、第1の環状溝40の側面との隙間52、54に逃がされ、また、押圧方向の変形は、第2の環状溝42に逃がされる。
図7は防水パック10における防水構造の第3の実施の形態を示す要部拡大断面図である。尚、図5に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0019】
図7に示す第2の実施の形態は、図5に示した第1の実施の形態と比較してパッキング60の形状のみが異なる。即ち、第3の実施の形態のパッキング60は、図7(A)に示すように断面形状が鼓形状(中部がくびれた鼓形状)に形成され、その下端及び上端は、第1の環状溝40の溝幅と略同一に形成されている。従って、パッキング50の側面と第1の環状溝40の側面との間には、隙間62、64が形成される。
【0020】
これにより、第1の実施の形態と同様に、裏蓋16を押圧して閉じると、図7(B)に示すようにパッキング60は環状リブ38に押圧されて変形するが、横方向の変形は、第1の環状溝40の側面との隙間62、64に逃がされ、また、押圧方向の変形は、第2の環状溝42に逃がされる。尚、パッキング60の形状によれば、環状溝40との隙間62、64にゴミ等が入りにくいという効果がある。
【0021】
この実施の形態では、本体側に第1の環状溝、第2の環状溝及びパッキングに設け、裏蓋側に環状リブを設けるようにしたが、これとは逆に裏蓋側に第1の環状溝、第2の環状溝及びパッキングに設け、本体側に環状リブを設けるようにしてもよい。
また、パッキングの断面形状は、上記実施の形態に限らず、例えば断面半円状等でもよく、要は第1の環状溝との側面との間に変形を逃がすための隙間が形成され、かつ底面の幅が第2の環状溝の溝幅よりも大きければいかなるものでもよい。
【0022】
更に、この実施の形態では、本体に対して裏蓋が回動して開閉できるように構成されているが、バックル等の開閉機構によって裏蓋を取り付けるものでもよい。更にまた、デジタルカメラを収納する防水パックにおける防水構造として説明したが、これ限らず、銀塩カメラ、ビデオカメラ等の他のカメラを収納するものでもよい。
【0023】
また、この実施の形態は、カメラを収納することにより全体として防水型カメラとして機能させる防水パックの本体とその裏蓋との間の防水構造について説明したが、これに限らず、カメラ本体とその裏蓋にも本発明は適用できる。即ち、カメラの本体とは、カメラを収納する防水パックの本体及びカメラ自体の本体のいずれをも意味するものとする。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るカメラの防水構造によれば、環状防水シール部材が収納される環状溝を、それぞれ溝幅が異なる第1の環状溝と第2の環状溝による二重溝とし、かつ環状防水シール部材を、その底面の幅が第2の環状溝の溝幅よりも大きく、かつ第1の環状溝の側面との間に隙間ができるように形成したため、前記環状防水シール部材は、裏蓋を閉じた時の環状リブの押圧により側面方向に変形することができ、また、その底面の一部が第2の環状溝に食い込むようにも変形することができる。これにより、裏蓋を押圧する力が弱くても環状防水シール部材を無理なく変形させることができ、裏蓋の開閉に要する力が小さくて済み、また、裏蓋、ヒンジ、裏蓋の開閉機構等の必要強度を小さくすることができる。
【0025】
また、環状防水シール部材の底部の一部が第2の環状溝に食い込むように変形するため、環状リブと環状防水シール部材との間とともに、環状防水シール部材と第2の環状溝との間でも防水性を確保することができ、高い防水性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るカメラの防水構造が適用された防水パックを前方から見た斜視図である。
【図2】図2は図1に示した防水パックを後方から見た斜視図である。
【図3】図3は図2に示した防水パックの裏蓋を開けた状態を示す斜視図である。
【図4】図4は図1に示した防水パックにおける防水構造の第1の実施の形態を示す要部断面図である。
【図5】図5は図4の要部拡大断面図であり、同図(A)は本体の要部拡大断面図であり、同図(B)は裏蓋を閉じたときの本体及び裏蓋の要部拡大断面図である。
【図6】図6は防水パックにおける防水構造の第2の実施の形態を示す要部拡大断面図であり、同図(A)は本体の要部拡大断面図であり、同図(B)は裏蓋を閉じたときの本体及び裏蓋の要部拡大断面図である。
【図7】図7は防水パックにおける防水構造の第3の実施の形態を示す要部拡大断面図であり、同図(A)は本体の要部拡大断面図であり、同図(B)は裏蓋を閉じたときの本体及び裏蓋の要部拡大断面図である。
【図8】図8は従来のカメラの防水構造を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10…防水パック
12…本体
14…ヒンジ
16…裏蓋
34、50、60…パッキング(環状防水シール部材)
38…環状リブ
40…第1の環状溝
42…第2の環状溝
44、46、52、54、62、64…隙間

Claims (2)

  1. カメラの本体及び裏蓋のうちの一方の外周に環状溝を形成するとともに該環状溝に環状防水シール部材を収納し、他方の外周に前記環状防水シール部材を押圧する環状リブとを形成し、前記本体と裏蓋との間を水密状に密閉するカメラの防水構造において、
    前記環状溝を、第1の溝幅を有する第1の環状溝と、該第1の環状溝の底部に形成された前記第1の溝幅よりも狭い第2の溝幅を有する第2の環状溝であって、前記裏蓋を閉じたときに変形する前記環状防水シール部材の変形を逃がす深さを有する第2の環状溝とによって形成し、
    前記環状防水シール部材を、該環状防水シール部材の底面の幅が前記第2の溝幅よりも大きく、かつ前記第1の環状溝の側面と環状防水シール部材の側面との間に隙間ができるように形成し、
    前記環状防水シール部材は、前記環状リブの押圧により側面方向に変形するとともに、該環状防水シール部材の底面の一部が前記第2の環状溝に食い込むように変形することを特徴とするカメラの防水構造。
  2. 前記環状防水シール部材の断面形状は、凸形状、台形、及び中部がくびれた鼓形状のうちの何れかである請求項1に記載のカメラの防水構造。
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