JP3835439B2 - 濃度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は濃度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度を検出するための装置(以下「NOx検出装置」という)が、特許文献1に開示されている。当該NOx検出装置は、そこに流入した排気ガスから酸素を排出するためのセル(特許文献1では、参照符号110が付され、「ポンプセル」と称されており、以下これを「ポンプセル」という)と、該ポンプセルによって酸素が排出された後の排気ガス中の酸素濃度に対応する出力値を出力するセル(特許文献1では、参照符号120が付され、「モニタセル」と称されており、以下これを「モニタセル」という)と、同酸素が排出された後の排気ガス中のNOxを分解して酸素を生成すると共に該酸素生成後の排気ガス中の酸素濃度に対応する出力値を出力するセル(特許文献1では、参照符号130が付され、「センサセル」と称されており、以下これを「センサセル」という)とを具備する。
【0003】
特許文献1記載のNOx検出装置では、ポンプセルは、排気ガス中の酸素濃度が一定値にまで低下するように、排気ガスから酸素を排出する。一方、モニタセルは、ポンプセルによって酸素が排出された後の排気ガス中の酸素濃度に対応した出力値(以下「モニタセル出力値」という)を出力する。一方、センサセルは、ポンプセルによって酸素が排出された後の排気ガス中のNOxを分解して酸素を生成し、その後の排気ガス中の酸素濃度に対応した出力値(以下「センサセル出力値」という)を出力する。したがって、単純に言えば、センサセル出力値からモニタセル出力値を差し引いた値は、排気ガス中のNOx濃度に対応しているはずであるので、この値を適宜変換すれば、NOx濃度を得ることができる。
【0004】
ところが、特許文献1にも記載されているように(段落0125参照)、モニタセルとセンサセルとでは、これらのサイズが互いに異なったりこれらを構成する材料が互いに異なったりする。このため、モニタセルの出力特性とセンサセルの出力特性とは、完全には一致していない。したがって、単に、センサセル出力値からモニタセル出力値を差し引いた値は、排気ガス中のNOx濃度に対応した値とはならない。そこで、特許文献1では、こうしたモニタセルの出力特性とセンサセルの出力特性との違いを修正するための係数(以下「修正係数」という)を求め、その係数をモニタセル出力値に乗じ、この値をセンサセル出力値から差し引き、この値に基づいて排気ガス中のNOx濃度を算出するようにしている。
【0005】
このように、上述したタイプのNOx検出装置では、NOx濃度を正確に算出するためには、モニタセルの出力特性とセンサセルの出力特性とを合わせるための操作が必要である。特許文献1では、この操作を予め求めた上記修正係数をモニタセル出力値に乗じることによって行っている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−202285号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モニタセルやセンサセルの出力特性は、NOx検出装置の使用に伴って変化する。すなわち、NOx検出装置を使用し続けていると、モニタセルやセンサセルの経時劣化等により、モニタセルやセンサセルの出力特性は変化してしまう。したがって、NOx濃度を正確に算出するためには、NOx検出装置の使用中に、上記修正係数を変化させる必要がある。この場合において、予め求めた修正係数を相変わらず利用していると、NOx濃度を正確に算出することができない。そして、こうしたことは、一般的に、ガス中の特定成分を算出(検出)する場合にも当てはまる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ガス中の特定成分の濃度を正確に算出することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、1番目の発明では、ガス中の特定成分であって分解されることによって酸素を生成する特定成分の濃度を検出する濃度検出装置であって、ガス中の特性成分を分解して酸素を生成する酸素生成手段と、該酸素生成手段により酸素が生成される前のガス中の酸素濃度に比例した出力値を出力する第1出力手段と、上記酸素生成手段により酸素が生成された後のガス中の酸素濃度に比例した出力値を出力する第2出力手段と、上記第1出力手段の出力特性を前記第2出力手段の出力特性に合わせるための係数を用いてこれら第1出力手段からの出力値と第2出力手段からの出力値とに基づいてガス中の特定成分の濃度を算出する濃度算出手段とを具備する濃度検出装置において、上記第1出力手段に酸素濃度の異なるガスを供給するガス供給手段と、ガス中の特定成分の濃度が一定濃度となっている機関運転が行われているときに上記ガス供給手段を制御することによって酸素濃度の異なる少なくとも2種類のガスを上記第1出力手段に供給するガス供給制御手段と、該ガス供給制御手段によって酸素濃度が異なる少なくとも2種類のガスを上記第1出力手段に供給しこのときの該第1出力手段からの出力値と第2出力手段からの出力値とに基づいて上記係数を算出する手段とを具備する。ここで、第1出力手段は、後述する本発明の実施の形態では、モニタセルに相当する。また、酸素生成手段および第2出力手段は、後述する本発明の実施の形態では、センサセルに相当する。また、特定成分は、後述する本発明の実施の形態では、NOxまたはアンモニアまたはSOxに相当する。
2番目の発明では、1番目の発明において、上記濃度算出手段が上記第1出力手段からの出力値に上記係数を乗じた値を上記第2出力手段からの出力値から差し引いた値を用いてガス中の特定成分の濃度を算出し、上記係数が上記特定成分の濃度が零であるガス中の各酸素濃度に対応した上記第1出力手段からの出力値の差に対する同ガス中の各酸素濃度に対応した上記第2出力手段からの出力値の差の比である。
3番目の発明では、2番目の発明において、上記特定成分がNOxであり、ガス中のNOx濃度を[NOx]で表し、上記係数をK3で表し、該K3とはそれぞれ異なる2つの係数をそれぞれK1およびK2で表し、上記第1出力手段によって出力される出力値をImで表し、上記第2出力手段によって出力される出力値をIsで表したときに、上記NOx濃度算出手段が式[NOx]=(Is−Im×K3−K2)×K1に従ってガス中の特定成分の濃度を算出し、上記ガス中の特定成分の濃度が一定濃度である機関運転としてガス中のNOx濃度が零である機関運転が行われているときに上記ガス供給制御手段によって酸素濃度が第1の濃度であるガスを上記第1出力手段に供給し、該第1の濃度であるガス中の酸素濃度に対応した上記第1出力手段からの出力値および同ガス中の酸素濃度に対応した上記第2出力手段からの出力値と、上記ガス中のNOx濃度が零である機関運転が行われているときに上記ガス供給制御手段によって酸素濃度が上記第1の濃度とは異なる第2の濃度であるガスを上記第1出力手段に供給し、該第2の酸素濃度であるガス中の酸素濃度に対応した上記第1出力手段からの出力値および同ガス中の酸素濃度に対応した上記第2出力手段からの出力値とを、横軸に上記第1出力手段からの出力値をとり且つ縦軸に上記第2出力手段からの出力値をとった座標上にプロットしてこれらプロット点から導き出される直線を引いたときに該直線が縦軸に交わる点における第2出力手段からの出力値が上記係数K2である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、ガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度を検出するためのNOxセンサのセンサ部の構造を示している。以下の説明では、内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中のNOx濃度を検出するために内燃機関の排気管に取り付けられたNOxセンサを例に、本実施形態のNOxセンサについて説明する。
【0011】
図1を参照すると、NOxセンサのセンサ部1は、互いに積層された酸素イオン伝導性固体電解質(例えば、酸化ジルコニウム)からなる6つの電解質層からなり、以下、これら6つの固体電解質層を、上から順に、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4、第5層L5、第6層L6と称する。
【0012】
第1層L1と第3層L3との間には、例えば、多孔質材料からなる(または、細孔が形成されている)第1の拡散律速部材2と第2の拡散律速部材3とが配置されている。これら拡散律速部材2,3間には、第1室4が形成されている。第2の拡散律速部材3と第2層L2との間には、第2室5が形成されている。また、第3層L3と第5層L5との間には、外気に連通している大気室6が形成されている。一方、第1の拡散律速部材2の外側の面は排気ガスと接触する。したがって、排気ガスは、第1の拡散律速部材2を介して第1室4内に流入し、第1室4内は、排気ガスで満たされる。
【0013】
一方、第1室4に面する第1層L1の内周面上には、陰極側第1ポンプ電極7が形成されている。また、第1層L1の外周面上には、陽極側第1ポンプ電極8が形成されている。これら第1ポンプ電極7,8間には、第1ポンプ電圧源9により電圧が印加される。第1ポンプ電極7,8間に電圧が印加されると、第1室4内の排気ガス中に含まれている酸素が、陰極側第1ポンプ電極7と接触して酸素イオンとなる。この酸素イオンは、第1層L1内を陽極側第1ポンプ電極8に向かって流れる。したがって、第1室4内の排気ガス中に含まれている酸素は、第1層L1内を移動して外部に汲み出されることになる。このとき、外部に汲み出される酸素量は、第1ポンプ電圧源9の電圧が高くなるほど多くなる。
【0014】
一方、大気室6に面する第3層L3の壁面上には、基準電極10が形成されている。ところで、酸素イオン伝導性固体電解質では、固体電解質層の両側において酸素濃度に差があると、酸素濃度の高い側から酸素濃度の低い側に向けて固体電解質層内を酸素イオンが移動する。図1に示されている例では、大気室6内の酸素濃度のほうが第1室4内の酸素濃度よりも高いので、大気室6内の酸素は基準電極10と接触することによって電荷を受け取って酸素イオンとなる。この酸素イオンは、第3層L3、第2層L2、および、第1層L1内を移動し、陰極側第1ポンプ電極7において電荷を放出する。その結果、基準電極10と陰極側第1ポンプ電極7との間に、符号11で示した電圧V0が発生する。この電圧V0は、大気室6内と第1室4内との酸素濃度差に比例する。
【0015】
また、図1に示されている例では、電圧V0が第1室4内の酸素濃度が1p.p.m. (この値は単なる例示であり、例えば、数p.p.m.〜数十p.p.m.の間の値であってもよい)のときに生ずる電圧に一致するように、第1ポンプ電圧源9の電圧がフィードバック制御される。すなわち、第1室4内の酸素は、第1室4内の酸素濃度が1p.p.m.となるように、第1層L1を通って汲み出され、それによって、第1室4内の酸素濃度が1p.p.m.に維持される。
【0016】
なお、陰極側第1ポンプ電極7は、NOxに対しては還元性の低い材料(例えば、金(Au)と白金(Pt)との合金)から形成されており、したがって、排気ガス中に含まれているNOxは、第1室4内ではほとんど還元されない。したがって、このNOxは第2の拡散律速部材3を通って第2室5内に流入する。
【0017】
一方、第2室5に面する第1層L1の内周面上には、陰極側第2ポンプ電極12が形成されている。陰極側第2ポンプ電極12と陽極側第1ポンプ電極8との間には、第2ポンプ電圧源13によって電圧が印加される。これらポンプ電極12,8間に電圧が印加されると、第2室5内の排気ガス中に含まれている酸素が、陰極側第2ポンプ電極12と接触して酸素イオンとなる。この酸素イオンは、第1層L1内を陽極側第1ポンプ電極8に向かって移動する。したがって、第2室5内の排気ガス中に含まれている酸素は、第1層L1内を移動して外部に汲み出されることになる。このときに外部に汲み出される酸素量は、第2ポンプ電圧源13の電圧が高くなるほど多くなる。また、このとき、陰極側第2ポンプ電極12と陽極側第1ポンプ電極8との間には、この酸素イオン量に比例した符号14で示した電流Imが流れる。
【0018】
一方、上述したように、酸素イオン伝導性固体電解質では、固体電解質層の両側において酸素濃度に差があると、酸素濃度の高い側から酸素濃度の低い側に向けて固体電解質層内を酸素イオンが移動する。図1に示されている例では、大気室6内の酸素濃度のほうが第2室5内の酸素濃度よりも高いので、大気室6内の酸素は、基準電極10と接触することによって電荷を受け取って酸素イオンとなる。この酸素イオンは、第3層L3、第2層L2、および、第1層L1内を移動し、陰極側第2ポンプ電極12において電荷を放出する。その結果、基準電極10と陰極側第2ポンプ電極12との間に、符号15で示した電圧V1が発生する。この電圧V1は、大気室6内と第2室5内との酸素濃度差に比例する。
【0019】
図1に示されている例では、電圧V1が第2室5内の酸素濃度が0.01p.p.m. (この値は単なる例示であって、別の値でもよい)のときに生ずる電圧に一致するように、第2ポンプ電圧源13の電圧がフィードバック制御される。すなわち、第2室5内の酸素は、第2室5内の酸素濃度が0.01p.p.m.となるように、第1層L1を通って汲み出され、それによって、第2室5内の酸素濃度が0.01p.p.m.に維持される。
【0020】
なお、陰極側第2ポンプ電極12もNOxに対しては還元性の低い材料(例えば、金(Au)と白金(Pt)との合金)から形成されており、したがって、排気ガス中に含まれているNOxは、陰極側第2ポンプ電極12と接触してもほとんど還元されない。
【0021】
一方、第2室5に面する第3層L3の壁面上には、NOx検出用の陰極側ポンプ電極16が形成されている。陰極側ポンプ電極16は、NOxに対して強い還元性を有する材料(例えば、ロジウム(Rh)や白金(Pt))から形成されている。したがって、第2室5内のNOx(実際には、大部分を占めるNO)が、陰極側ポンプ電極16上において、N2とO2とに分解される。図1に示されているように、陰極側ポンプ電極16と基準電極10との間には、一定電圧17が印加されており、したがって、陰極側ポンプ電極16上において分解生成されたO2は、酸素イオンとなって第3層L3内を基準電極10に向かって移動する。このとき、陰極側ポンプ電極16と基準電極10との間には、この酸素イオン量に比例した符号18で示した電流Isが流れる。
【0022】
一方、排気ガス中に含まれているアンモニア(NH3)は、第1室4内においてNOとH2Oとに分解され(4NH3+5O2→4NO+6H2O)、この分解されたNOは、第2の拡散律速部材3を通って第2室5内に流入する。このNOは、陰極側ポンプ電極16上において、N2とO2とに分解され、分解生成されたO2は、酸素イオンとなって第3層L3内を基準電極10に向けて移動する。このときにも、電流Isは排気ガス中に含まれているNH3濃度に比例し、斯くして、電流Isから排気ガス中のNH3濃度を検出できることになる。図2は、電流Isと排気ガス中のNOx濃度およびNH3濃度との関係を示している。図2から、電流Isは排気ガス中のNOx濃度およびNH3濃度に比例していることが判る。
【0023】
一方、排気ガス中の酸素濃度が高いほど(すなわち、空燃比がリーンであるほど)、第1室4から外部に汲み出される酸素量が多くなり、符号19で示した電流Ipが増大する。したがって、この電流Ipから排気ガスの空燃比を検出することができる。
【0024】
なお、第5層L5と第6層L6との間には、NOxセンサのセンサ部を加熱するための電気ヒータ20が配置されている。この電気ヒータ20によってNOxセンサのセンサ部は、700℃から800℃に加熱される。
【0025】
次に、本実施形態におけるNOx濃度検出(算出)方法について説明する。上述したように、符号18で示した電流Isは、陰極側ポンプ電極16上においてNOxから分解生成されたO2が酸素イオンとなって陰極側ポンプ電極16と基準電極10との間を流れたときのこの酸素イオン量に比例した値をとる。したがって、概して言えば、電流Isは、陰極側ポンプ電極16上においてNOxから分解生成せしめられた酸素の濃度に比例した値をとる。言い換えれば、電流Isは、第2室5内のNOx濃度に比例した値をとる。したがって、この電流Isの値から第2室5内のNOx濃度(すなわち、排気ガス中のNOx濃度)を知ることができるはずである。
【0026】
ところが、厳密に言えば、陰極側ポンプ電極16と基準電極10との間を流れる酸素イオンには、陰極側第2ポンプ電極12から第1層L1内を移動して外部に汲み出されずに第2室5内に残って陰極側ポンプ電極16にて生成されて該陰極側ポンプ電極16と基準電極10との間を流れる酸素イオンも含まれている。したがって、電流Isには、第2室5内のNOxから生成される酸素イオン量に起因する電流と、第2室5内に元々存在した酸素から生成される酸素イオン量に起因する電流とが含まれていることになる。
【0027】
ここで、上述したように、符号14で示した電流Imは、陰極側第2ポンプ電極12と接触して生成されて陰極側第2ポンプ電極と陽極側第1ポンプ電極8との間を流れた酸素イオン量に比例した値をとる。したがって、電流Imは、第2室5内に元々存在した酸素から生成される酸素イオン量に起因する電流に相当する。
【0028】
このように、電流Isに、第2室5内のNOxに起因する電流と第2室5内に元々存在した酸素に起因する電流とが含まれ、一方、電流Imに、第2室5内に元々存在した酸素に起因する電流が含まれていることから、次式(1)に示したように、電流Isから電流Imを差し引いた値Inは、第2室5内のNOx濃度に比例した値をとるはずである。
In=Is−Im …(1)
【0029】
ところが、さらに厳密に言えば、陰極側ポンプ電極16と基準電極10とから構成されて電流Isを出力する手段を「センサセル」と称し、陰極側第2ポンプ電極と陽極側第1ポンプ電極8とから構成されて電流Imを出力する手段を「モニタセル」と称するとしたとき、センサセルの出力特性とモニタセルの出力特性とは、これらのサイズやこれらを構成する材料の種類等に起因して異なっていることがある。このようにセンサセルとモニタセルとの間で出力特性に違いがあると、上式(1)に従って算出される値Inは、排気ガス中のNOx濃度に比例した値になるとは限らない。
【0030】
さらに、センサセルには、それ固有の出力誤差があるし、モニタセルにも、それ固有の出力誤差がある。これら出力誤差を考慮しても、上式(1)に従って算出される値Inは、排気ガス中のNOx濃度に比例した値になるとは言えない。
【0031】
そこで、本実施形態では、センサセルから出力される電流(以下「センサセル電流」ともいう)Isとモニタセルから出力される電流(以下「モニタセル電流」という)Imとに基づいて、次式(2)に従って、NOx濃度[NOx]を算出する。
[NOx]=(Is−Im×K3−K2)×K1 …(2)
ここで、K3は、モニタセルの出力特性を補正してセンサセルの出力特性に合わせるための係数である。また、K2は、係数K3によって補正された後のモニタセルの出力特性をセンサセルの出力特性に合わせるための係数である。すなわち、モニタセル電流Imに係数K3を乗ずることでは、モニタセルの出力特性をセンサセルの出力特性に完全に合わせることができないので、係数K2は、係数K3によって合わせられないモニタセルの出力特性とセンサセルの出力特性とのずれを補正するものである。また、K1は、値Is−Im×K3−K2をNOx濃度[NOx]に変換するための係数である。
これによれば、係数K1,K2,K3が適切な値となっている限り、上式(2)に従って、排気ガス中のNOx濃度を正確に算出(検出)することができる。
【0032】
ところで、NOxセンサの使用に伴うモニタセルやセンサセルの劣化に伴って、モニタセルやセンサセルの出力特性が変化してしまうことがある。この場合、係数K3の値としてモニタセルやセンサセルの劣化前に求めた値を使用し、上式(2)に従ってNOx濃度を算出したとしても、この算出されたNOx濃度が真のNOx濃度ではない可能性がある。したがって、NOx濃度を正確に算出(検出)するためには、モニタセルやセンサセルの出力特性の変化に応じて、適宜、係数K3の値を変更(更新)する必要がある。
【0033】
そこで、本実施形態では、NOx濃度を正確に算出するために適した係数K3の値を以下のようにして新たに算出し、斯くして算出された係数K3を使用して上式(2)に従ってNOx濃度を算出する。すなわち、NOxを含んでいない排気ガス(すなわち、NOx濃度が零である排気ガス)がNOxセンサに供給される。そして、第1ポンプ電圧源9の電圧と第2ポンプ電圧源13の電圧とを制御して、第2室5内に元々存在する酸素の濃度を様々な濃度(少なくとも、2種類の濃度)とする。そして、各酸素濃度毎に電流Imと電流Isとを検出し、図3に示されているように、これらを座標(電流Imを横軸とし、電流Isを縦軸とした座標)にプロットする。そして、これらプロット点を直線で結び(実際には、完全な直線では結べないので、これらプロット点から直線を導き出すことになる)、この直線の傾きを求める。この傾きが上記係数K3であるので、これを新たな係数K3とする。こうして求められた係数K3を利用すれば、NOx濃度を正確に算出(検出)することができる。
【0034】
次に、こうして求められた係数K3がそのときのモニタセルの出力特性をそのときのセンサセルの出力特性に合わせるための係数である理由について説明する。上述から判るように、センサセル電流Isには、NOx濃度に比例した電流と、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例した電流と、センサセル固有の出力誤差に起因する電流とが含まれている。したがって、NOx濃度に比例してセンサセルから出力される電流を「Isn」とし、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例してセンサセルから出力される電流を「Iso」とし、センサセル固有の出力誤差に起因する電流を「Isoff」としたとき、センサセル電流Isは、次式(3)で表される。
Is=Isn+Iso+Isoff …(3)
【0035】
一方、モニタセル電流Imには、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例した電流と、モニタセル固有の出力誤差に起因する電流とが含まれている。したがって、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例してモニタセルから出力される電流を「Imo」とし、モニタセル固有の出力誤差に起因する電流を「Imoff」としたとき、モニタセル電流Imは、次式(4)で表される。
Im=Imo+Imoff …(4)
【0036】
ここで、これら式(3)および(4)を用いて、上式(2)を変形すると、次式(5)が得られる。
[NOx]=(Isn+Iso+Isoff−(Imo+Imoff)×K3−K2)×K1 …(5)
これをさらに変形すると、次式(6)が得られる。
[NOx]=Isn×K1+(Iso−Imo×K3)×K1+(Isoff−Imoff×K3−K2)×K1 …(6)
【0037】
上式(6)において、Iso−Imo×K3=0とならなければならないことから、次式(7)が得られる。また、上式(6)において、Isoff−Imoff×K3−K2=0とならなければならないことから、次式(8)が得られる。
K3=Iso/Imo …(7)
K2=Isoff−Imoff×K3 …(8)
【0038】
一方、NOx濃度が零である排気ガスがNOxセンサに供給されると、NOx濃度は零であるので、NOx濃度に比例してセンサセルから出力される電流Isnは零である。したがって、上式(3)から次式(9)が得られる。そして、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例してセンサセルから出力される電流Isoを、α×[O2](αは係数であり、[O2]は酸素濃度である)で置き換えて、式(9)を変形すると、式(10)が得られる。
Is=Iso+Isoff …(9)
Is=α×[O2]+Isoff …(10)
【0039】
一方、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例してモニタセルから出力される電流Imoをβ×[O2](βは係数であり、[O2]は酸素濃度である)で置き換えて、上式(4)を変形すると、次式(11)が得られる。
Im=β×[O2]+Imoff …(11)
【0040】
そして、上式(10)を変形すると、次式(12)が得られ、上式(11)を変形すると、次式(13)が得られる。
[O2]=(Is−Isoff)/α …(12)
[O2]=(Im−Imoff)/β …(13)
そして、これら式(12)および(13)を用いて、項[O2]を除去すると、次式(14)が得られる。
(Is−Isoff)/α=(Im−Imoff)/β …(14)
この式(14)を変形すると、次式(15)が得られる。
Is−Isoff=(Im−Imoff)×α/β …(15)
この式(15)をさらに変形すると、次式(16)が得られる。
Is=(α/β)×Im+(Isoff−(α/β)×Imoff) …(16)
ここで、α/βを「b」で置き換え、Isoff−(α/β)×Imoffを「c」で置き換えると、上式(16)から次式(17)が得られる。
Is=b×Im+c …(17)
【0041】
ここで、上式(7)で示されているように、K3=Iso/Imoであり、上述したのと同様に、Isoをα×[O2]に置き換え、Imoをβ×[O2]に置き換えて係数K3を算出すると、次式(18)に示したように、K3はα/βとなる。
K3=α×[O2]/(β×[O2])=α/β …(18)
ここで、α/βは上式(17)における係数bである。
【0042】
一方、上式(8)で示されているように、K2=Isoff−Imoff×K3であり、また、上式(18)で示されているように、K3=α/βであるので、係数K2は、次式(19)に示したように、Isoff−(α/β)×Imo ffとなる。
K2=Isoff−(α/β)×Imoff …(19)
ここで、Isoff−(α/β)×Imoffは上式(17)における係数cである。
【0043】
こうしたことから、上式(17)は、次式(20)に示したように表せる。
Is=K3×Im+K2 …(20)
この式(20)における電流IsおよびImは、NOx濃度が零である排気ガスがNOxセンサに供給されたときのものである。したがって、NOx濃度が零であって酸素濃度が異なる複数種類の排気ガスをモニタセルに供給し、各種類の排気ガスに対応して電流IsおよびImを検出して取得し、これら電流値IsおよびImを図3に示されているような座標にプロットし、これらプロット点を直線で結んだときに、この直線の傾きが係数K3に相当することが判る。なお、上式(20)から、座標上の直線が縦軸に交わる点における縦軸の値(切片)が係数K2に相当することも判る。
【0044】
以上説明した方法によれば、NOxセンサの使用中に、係数K3が適時更新されるだけでなく、係数K2も適時更新されるので、常に、NOx濃度を正確に算出(検出)することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態において、第2室5内に元々存在する酸素の濃度を2種類の酸素濃度とし、各酸素濃度に対応してセンサセルにて検出される電流Isの差を各酸素濃度に対応してモニタセルにて検出される電流Imの差で除した値を、上記係数K3としてもよい。言い換えれば、第2室5内に元々存在する酸素の濃度を2種類の酸素濃度とし、各酸素濃度に対応してモニタセルにて検出される電流Imの差に対する各酸素濃度に対応してセンサセルにて検出される電流Isの差の比を、上記係数K3としてもよい。したがって、より一般的に言えば、本発明は、NOx濃度が零であって酸素濃度が異なる少なくとも2種類の排気ガスをモニタセルに供給したときのモニタセルからの出力値(電流Im)とセンサセルからの出力値(電流Is)とに基づいて、上記係数K3を算出するものと言える。
【0046】
また、上述した係数K3の算出(更新)は、NOxセンサの使用中に係数K3を新たに算出する必要があると判断されたとき、あるいは、NOxセンサの使用中に所定の時期が到来したとき(例えば、NOxセンサの使用時間が所定時間に達したとき)、あるいは、NOxセンサの使用前に行われる。
【0047】
また、上述した係数K3の算出(更新)を、NOx濃度が零である排気ガスがNOxセンサに到来したとき(例えば、内燃機関の燃料噴射弁から燃料が噴射されず、したがって、燃焼室内で燃焼が行われていないときや、燃焼室内の空燃比が理論空燃比よりもリッチであって、燃焼室内にてNOxが発生しないようなとき)に行うようにしてもよい。この場合には、NOx濃度が零である排気ガスを強制的に作り出す必要がないので、このために機関運転状態(例えば、燃料噴射弁から噴射させる燃料の量)を変更する必要もなく、機関運転状態を良好なまま維持することができるという利点がある。
【0048】
ところで、上述した実施形態では、NOx濃度が零である排気ガスをNOxセンサに供給することによって、係数K3およびK2が算出される。すなわち、上述した実施形態によれば、係数K3と係数K2とを同時に算出することができる。以下の実施形態によれば、係数K2を算出することはできないが、係数K3を算出することができる。すなわち、本実施形態では、NOx濃度が一定濃度である排気ガスがNOxセンサに供給される。そして、第1ポンプ電圧源9の電圧と第2ポンプ電圧源13の電圧とを制御して、第2室5内に元々存在する酸素の濃度を様々な濃度(少なくとも、2種類の濃度)とする。そして、各酸素濃度毎に電流Imと電流Isとを検出し、図3に示されているように、これらを座標にプロットする。そして、これらプロット点を直線で結び(実際には、完全な直線では結べないので、これらプロット点から直線を導き出すことになる)、この直線の傾きを求める。この傾きが係数K3であるので、これを新たな係数K3とする。
【0049】
次に、こうして求められた係数K3がそのときのモニタセルの出力特性をそのときのセンサセルの出力特性に合わせるための係数である理由について説明する。NOx濃度が一定濃度である排気ガスがNOxセンサに供給されると、NOx濃度は一定濃度であるので、NOx濃度に比例してセンサセルから出力される電流Isnは一定値である。また、センサセル固有の出力誤差に起因する電流Isoffも一定である。したがって、上式(3)において、Isn+Isoffを「d」で置き換えると、次式(21)が得られる。
Is=Iso+d …(21)
そして、上述した方法と同様に、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例してセンサセルから出力される電流Isoを、α×[O2](αは係数であり、[O2]は酸素濃度である)で置き換えて、式(21)を変形すると、次式(22)が得られる。
Is=α×[O2]+d …(22)
【0050】
一方、上述した方法と同様に、第2室5内に元々存在する酸素の濃度に比例してモニタセルから出力される電流Imoは、次式(23)に示されているように表される。
Im=β×[O2]+Imoff …(23)
【0051】
そして、これら式(22)および(23)を用いて、項[O2]を除去すると、次式(24)が得られる。
Is=(α/β)×Im+(α/β)×(d−Imoff) …(24)
ここで、α/β=K3であるので、上式(24)は、次式(25)に示されているように変形できる。
Is=K3×Im+(α/β)×(d−Imoff) …(25)
そして、この式(24)における電流IsおよびImは、NOx濃度が一定濃度である排気ガスがNOxセンサに供給されたときのものである。したがって、NOx濃度が一定濃度であって酸素濃度が異なる複数種類の排気ガスを第1ポンプ電圧源9の電圧を制御する(高くしたり低くしたりする)ことによってモニタセルに供給し、各種類の排気ガスに対応して電流IsおよびImを検出して取得し、これら電流値IsおよびImを図3に示されているような座標にプロットし、これらプロット点を直線で結んだときに、この直線の傾きが係数K3に相当することが判る。
【0052】
以上説明した方法によれば、NOxセンサの使用中に、係数K3が適時更新されるので、常に、NOx濃度を正確に算出(検出)することができる。
【0053】
なお、この実施形態においても、第2室5内に元々存在する酸素の濃度を2種類の酸素濃度とし、各酸素濃度に対応してセンサセルにて検出される電流Isの差を各酸素濃度に対応してモニタセルにて検出される電流Imの差で除した値を、係数K3としてもよい。言い換えれば、第2室5内に元々存在する酸素の濃度を2種類の酸素濃度とし、各酸素濃度に対応してモニタセルにて検出される電流Imの差に対する各酸素濃度に対応してセンサセルにて検出される電流Isの差の比を、係数K3としてもよい。
【0054】
また、この係数K3の算出(更新)は、NOxセンサの使用中に係数K3を新たに算出する必要があると判断されたとき、あるいは、NOxセンサの使用中に所定の時期が到来したとき(例えば、NOxセンサの使用時間が所定時間に達したとき)、あるいは、NOxセンサの使用前に行われる。
【0055】
また、この係数K3の算出(更新)を、NOx濃度が一定濃度である排気ガスがNOxセンサに到来したとき(例えば、機関運転状態が定常状態であるとき)に行うようにしてもよい。この場合には、NOx濃度が一定濃度である排気ガスを強制的に作り出す必要がないので、このために機関運転状態(例えば、燃料噴射弁から噴射させる燃料の量)を変更する必要もなく、機関運転状態を良好なまま維持することができるという利点がある。
【0056】
なお、上記係数K1は、以下のようにして算出可能である。すなわち、NOx濃度が予め定められた濃度(以下「所定濃度」という)であって酸素濃度が一定濃度であるガスを、NOxセンサに供給する。このとき、上式(6)において、NOx濃度に関係する項は、Isn×K1だけであり、ガス中の酸素濃度は一定であるので、残りの項(Iso−Imo×K3)×K1+(Isoff−Imoff×K3−K2)×K1は一定値である。さらに、この残りの項は、係数K2およびK3が適切な値となっていれば、零となるので、結局のところ、NOx濃度が所定濃度であって酸素濃度が一定濃度であるガスをNOxセンサに供給したときには、上式(6)は、次式(21)に示されているようになる。
[NOx]=Isn×K1 …(26)
【0057】
したがって、NOxセンサに供給されたガス中のNOx濃度(すなわち、上式(21)の左辺の[NOx])が判っており、Isnはセンサセルから出力される電流Isである(実際には、電流Isには、センサセル固有の出力誤差に起因する電流Isoffが含まれているので、Isnは電流Isで近似できると言ったほうが正確である)ので、上式(21)から、係数K1を算出することができる。
【0058】
なお、センサセル電流Isに基づいて、排気ガス中のアンモニア濃度を算出(検出)する場合にも、上述した方法と同様の方法を利用して、排気ガス中のアンモニア濃度を正確に算出(検出)することができる。また、センサセル電流Isに基づいて、排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)濃度を算出(検出)する場合にも、上述した方法と同様の方法を利用して、排気ガス中のSOx濃度を正確に算出(検出)することができる。
【0059】
もちろん、上述した実施形態では、内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中のNOx濃度を算出(検出)しているが、上述した方法は、一般的に、NOxを含んでいるガス中のNOx濃度を検出する場合にも適用可能である。
【0060】
また、本発明は、図4に示したようなセンサ部1を備えたNOxセンサにも同様に適用可能である。すなわち、図4に示したセンサ部1は、図1に示したセンサ部と同様に、互いに積層された酸素イオン伝導性固体からなる6つの電解質層L1〜L6を有する。そして、図1に示した例と同様に、第1層L1と第3層L3との間には、第1の拡散律速部材2と第2の拡散律速部材3とが配置され、第1室4と第2室5とが形成されている。また、図1に示した例と同様に、第3層L3と第5層L5との間には、大気室6が形成されている。そして、図1に示した例と同様に、第1層L1の内周面上に陰極側第1ポンプ電極7が形成され、第1層L1の外周面上に陽極側第1ポンプ電極8が形成され、これら電極7,8間には、第1ポンプ電圧源9により電圧が印加される。これら電極7,8間に第1ポンプ電圧源9により電圧が印加されると、第1室4内の酸素が第1層L1を介して外部に汲み出され、このとき、汲み出される酸素の量に比例した符号19で示した限界電流Ipが流れる。図4に示した例では、限界電流Ipに基づいて電圧源9の電圧値がフィードバック制御される。
【0061】
また、第2室5に面する第1層L1の内周面上に陰極側第2ポンプ電極12が形成され、第1層L1の外周面上に陽極側第2ポンプ電極80が形成され、これら電極12,80間には、第2ポンプ電圧源13により電圧が印加される。これら電極12,80間に第2ポンプ電圧源13により電圧が印加されると、第2室5内の酸素が第1層L1を介して外部に汲み出され、このとき、汲み出される酸素の量に比例した符号14で示した限界電流Imが流れる。すなわち、限界電流Imは、第2室5内の酸素濃度を示していることになる。
【0062】
また、図1に示した例と同様に、大気室6に面する第3層L3の壁面上に陽極側電極10が形成され、第2室5に面する第3層L3の壁面上に陰極側ポンプ電極16が形成され、これら電極10,16間には、電圧源17により電圧が印加される。これら電極10,16間に電圧源17により電圧が印加されると、陰極側ポンプ電極16上にてNOxが窒素(N2)と酸素(O2)とに分解される共に、こうして分解生成された酸素およびもともと第2室5内にある酸素が第3層L3を介して外部(大気室6)へと汲み出される。このとき、汲み出される酸素の量に比例した符号18で示した限界電流Isが流れる。すなわち、限界電流Isは、第2室5内にもともと存在した酸素とNOxから分解生成された酸素とをトータルした総酸素の濃度を示していることになる。したがって、図4に示した例では、限界電流Isから限界電流Imを差し引いた値が排気ガス中のNOx濃度を示していることになる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、濃度検出装置の使用中に、第1出力手段の出力特性が変わったり、第2出力手段の出力特性が変わったりしても、その都度、第1出力手段の出力特性を第2出力手段の出力特性に合わせるための係数を算出することができる。したがって、特定成分の濃度を正確に算出することができる。また、上記係数は、個々の濃度検出装置毎に異なる可能性があるので、濃度検出装置の使用中に、当該係数を算出することができなければ、濃度検出装置の使用前に、各濃度検出装置毎に上記係数を求めておく必要がある。こうした係数を求めることは、煩雑な作業である。しかしながら、本発明によれば、濃度検出装置の使用中に、上記係数を算出することができる。したがって、本発明には、濃度検出装置の使用前に、各濃度検出装置毎に上記係数を求めておく必要がないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】NOxセンサのセンサ部を示す図である。
【図2】NOx濃度およびアンモニア濃度と電流Ipとの関係を示す図である。
【図3】NOx濃度が零である排気ガスをNOxセンサに供給したときにモニタセルから出力される電流Imとセンサセルから出力される電流Isとの関係を示す図である。
【図4】図1に示したセンサ部とは別の構成のセンサ部を示す図である。
【符号の説明】
1…NOxセンサのセンサ部
4…第1室
5…第2室
10…基準電極
12…陰極側第2ポンプ電極
14…モニタセルから出力される電流値
16…NOx検出用の陰極側ポンプ電極
18…センサセルから出力される電流値
Claims (3)
- ガス中の特定成分であって分解されることによって酸素を生成する特定成分の濃度を検出する濃度検出装置であって、ガス中の特性成分を分解して酸素を生成する酸素生成手段と、該酸素生成手段により酸素が生成される前のガス中の酸素濃度に比例した出力値を出力する第1出力手段と、上記酸素生成手段により酸素が生成された後のガス中の酸素濃度に比例した出力値を出力する第2出力手段と、上記第1出力手段の出力特性を前記第2出力手段の出力特性に合わせるための係数を用いてこれら第1出力手段からの出力値と第2出力手段からの出力値とに基づいてガス中の特定成分の濃度を算出する濃度算出手段とを具備する濃度検出装置において、上記第1出力手段に酸素濃度の異なるガスを供給するガス供給手段と、ガス中の特定成分の濃度が一定濃度となっている機関運転が行われているときに上記ガス供給手段を制御することによって酸素濃度の異なる少なくとも2種類のガスを上記第1出力手段に供給するガス供給制御手段と、該ガス供給制御手段によって酸素濃度が異なる少なくとも2種類のガスを上記第1出力手段に供給しこのときの該第1出力手段からの出力値と第2出力手段からの出力値とに基づいて上記係数を算出する手段とを具備することを特徴とする濃度検出装置。
- 上記濃度算出手段が上記第1出力手段からの出力値に上記係数を乗じた値を上記第2出力手段からの出力値から差し引いた値を用いてガス中の特定成分の濃度を算出し、上記係数が上記特定成分の濃度が零であるガス中の各酸素濃度に対応した上記第1出力手段からの出力値の差に対する同ガス中の各酸素濃度に対応した上記第2出力手段からの出力値の差の比であることを特徴とする請求項1に記載の濃度検出装置。
- 上記特定成分がNOxであり、ガス中のNOx濃度を[NOx]で表し、上記係数をK3で表し、該K3とはそれぞれ異なる2つの係数をそれぞれK1およびK2で表し、上記第1出力手段によって出力される出力値をImで表し、上記第2出力手段によって出力される出力値をIsで表したときに、上記NOx濃度算出手段が式[NOx]=(Is−Im×K3−K2)×K1に従ってガス中の特定成分の濃度を算出し、上記ガス中の特定成分の濃度が一定濃度である機関運転としてガス中のNOx濃度が零である機関運転が行われているときに上記ガス供給制御手段によって酸素濃度が第1の濃度であるガスを上記第1出力手段に供給し、該第1の濃度であるガス中の酸素濃度に対応した上記第1出力手段からの出力値および同ガス中の酸素濃度に対応した上記第2出力手段からの出力値と、上記ガス中のNOx濃度が零である機関運転が行われているときに上記ガス供給制御手段によって酸素濃度が上記第1の濃度とは異なる第2の濃度であるガスを上記第1出力手段に供給し、該第2の酸素濃度であるガス中の酸素濃度に対応した上記第1出力手段からの出力値および同ガス中の酸素濃度に対応した上記第2出力手段からの出力値とを、横軸に上記第1出力手段からの出力値をとり且つ縦軸に上記第2出力手段からの出力値をとった座標上にプロットしてこれらプロット点から導き出される直線を引いたときに該直線が縦軸に交わる点における第2出力手段からの出力値が上記係数K2であることを特徴とする請求項2に記載の濃度検出装置。
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