JP4374796B2 - NOx濃度検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はNOX 濃度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中の窒素酸化物(NOX )を検出するためのNOX 濃度センサが特開平11−148910号公報に開示されている。このNOX 濃度センサでは流入する排気ガス中のNOX をNOに還元すると共に排気ガス中の酸素濃度を一定濃度以下にまで低下させ、次いで排気ガス中のNOを窒素と酸素とに分解し、このときに排気ガス中の酸素濃度に比例して流れる電流の量と、排気ガス中のNOX 濃度が零であるときに流れる電流の量(以下、基準電流量と称す。)とに基づいて排気ガス中のNOX 濃度を算出するようにしている。
【0003】
ところでNOX 濃度センサにおいて排気ガス中のNOX 濃度を正確に検出するためには基準電流量が正確でなければならない。しかしながらこの基準電流量は様々な要因によりずれることがある。そこで上記特開平11−148910号公報では内燃機関の燃焼室内に供給する燃料量が零とされたときに燃焼室下流に配置されたNOX 濃度センサにおいて電流量を検出し、このときに検出された電流量を基準電流量とするようにしている。すなわち燃焼室内に供給される燃料量が零とされたときには燃焼室内にてNOX は生成されず、NOX 濃度センサに流入する排気ガス中のNOX 濃度は零のはずである。したがってこのときに検出される電流量はNOX 濃度が零であるときの電流量、すなわち基準電流量であると推定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記公報に開示されているようにして基準電流量を設定した場合においてもなお設定された基準電流量がNOX 濃度が零であるときの電流量を正確に表していないことがある。すなわち燃焼室内に供給される燃料量が零とされても暫くの間はNOX 濃度センサには排気ガスと共にNOX が流入する。すなわち燃焼室内に供給される燃料量が零とされても機関排気通路内に残留しているNOX がNOX 濃度センサに流入する。このため燃焼室内に供給される燃料量が零とされたときにNOX 濃度センサにより検出される電流量は必ずしも基準電流量を表していないことになる。
【0005】
仮に上記公報に記載の技術を用いて基準電流量を正確に得ようとする場合には機関排気通路内に残留しているNOX が完全になくなるまで燃焼室内に供給される燃料量を零とする処理を機関運転要求とは無関係に暫く継続させる必要がある。しかしながらこれは内燃機関の運転自体には好ましいことではない。結局のところ基準電流量を正確に得ることはできず、したがってNOX 濃度センサにより排気ガス中のNOX 濃度を正確に検出することができない。こうした事情に鑑み本発明の目的は排気ガス中のNOX 濃度を正確に検出することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために1番目の発明では、第1の電圧を印加することにより排気ガス中のNOX をNOに還元すると共に排気ガス中の酸素を排気ガスから排出して排気ガス中の酸素濃度を一定濃度にまで低下させる第1の手段と、第2の電圧を印加することにより該第1の手段により処理された排気ガス中のNOを酸素と窒素とに分解すると共に排気ガス中の酸素濃度に応じた量の電流が流れるように構成された第2の手段と、該第2の手段内を流れる電流量を検出するための検出手段と、排気ガス中のNOX 濃度が零であるときに該検出手段により検出され検出電流量を基準電流量とし、該基準電流量に基づいた検出電流量とNOX 濃度との関係から排気ガス中のNOX 濃度を算出する算出手段とを具備するNOX 濃度検出装置において、上記基準電流量を上記検出手段により検出する際には、排気ガス中のNOX を酸素と窒素とに分解することができる電圧を上記第1の手段により印加させて該第1の手段により処理された排気ガス中のNO X 濃度をほぼ零とする。すなわち第1の手段において排気ガス中のNOX が窒素と酸素とに分解されるので第2の手段において処理される排気ガス中のNOX 濃度は零である。
【0007】
2番目の発明では1番目の発明において、排気ガス中のNOX を酸素と窒素とに分解することができる電圧が第1の電圧よりも高い。
3番目の発明では、内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中のNOX 濃度を検出するために機関排気通路に配置された1番目の発明のNOX 濃度検出装置において、燃焼室内への燃料供給が停止されている間において上記第1の手段により印加させる電圧を零とし、このときに上記検出手段により検出される検出電流量と上記基準電流量とに基づいて上記検出電流値とNOX 濃度との関係を決定する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を筒内噴射式火花点火機関に適用した場合を示している。しかしながら本発明は圧縮着火式内燃機関に適用することもできる。図1を参照すると1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダブロック2内で往復動するピストン、4はシリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド、5はピストン3とシリンダヘッド4との間に形成された燃焼室、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポートを夫々示す。図1に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火栓10が配置され、シリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。またピストン3の頂面上には燃料噴射弁11の下方から点火栓10の下方まで延びるキャビティ12が形成されている。
【0009】
各気筒の吸気ポート7は夫々対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は吸気ダクト15およびエアフロメータ16を介してエアクリーナ(図示せず)に連結される。吸気ダクト15内にはステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。一方、各気筒の排気ポート9は排気マニホルド19に連結され、この排気マニホルド19は三元触媒20を内蔵した触媒コンバータ21および排気管22を介してNOX 吸収剤23を内蔵したケーシング24に連結される。排気マニホルド19とサージタンク14とは再循環排気ガス(以下、EGRガスという)導管26を介して互いに連結され、このEGRガス導管26内にはEGRガス制御弁27が配置される。
【0010】
電子制御ユニット31はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を具備する。エアフロメータ16は吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。排気マニホルド19には空燃比を検出するための空燃比センサ28が取付けられ、この空燃比センサ28の出力信号が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。またNOX 吸収剤23を内蔵したケーシング24の出口に接続された排気管25内には排気ガス中のNOX 濃度およびアンモニア濃度を共に検出可能なNOX アンモニアセンサ29と、空燃比センサ30とが配置され、これらNOX アンモニアセンサ29および空燃比センサ30の出力信号が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
【0011】
またアクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ42は例えばクランクシャフトが30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ42の出力パルスから機関回転数が計算される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して点火栓10、燃料噴射弁11、ステップモータ17およびEGR制御弁27に接続される。
【0012】
次に図2を参照しつつ図1に示したNOX アンモニアセンサ29のセンサ部の構造について簡単に説明する。図2を参照するとNOX アンモニアセンサ29のセンサ部は互いに積層された6つの酸化ジルコニア等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなり、これら6つの固体電解質層を以下、上から順に第1層L1 、第2層L2 、第3層L3 、第4層L4 、第5層L5 、第6層L6 と称する。
【0013】
図2を参照すると第1層L1 と第3層L3 との間に例えば多孔質のまたは細孔が形成されている第1の拡散律速部材50と第2の拡散律速部材51とが配置されており、これら拡散律速部材50,51間には第1室52が形成され、第2の拡散律速部材51と第2層L2 との間には第2室53が形成されている。また第3層L3 と第5層L5 との間には外気に連通している大気室54が形成されている。一方、第1の拡散律速部材50の外端面は排気ガスと接触している。したがって排気ガスは第1の拡散律速部材50を介して第1室52内に流入し、斯くして第1室52内は排気ガスで満たされている。
【0014】
一方、第1室52に面する第1層L1 の内周面上には陰極側第1ポンプ電極55が形成され、第1層L1 の外周面上には陽極側第1ポンプ電極56が形成されており、これら第1ポンプ電極55,56間には第1ポンプ電圧源57により電圧が印加される。第1ポンプ電極55,56間に電圧が印加されると第1室52内の排気ガス中に含まれる酸素が陰極側第1ポンプ電極55と接触して酸素イオンとなり、この酸素イオンは第1層L1 内を陽極側第1ポンプ電極56に向けて流れる。したがって第1室52内の排気ガス中に含まれる酸素は第1層L1 内を移動して外部に汲み出されることになり、このとき外部に汲み出される酸素量は第1ポンプ電圧源57の電圧が高くなるほど多くなる。
【0015】
一方、大気室54に面する第3層L3 の内周面上には基準電極58が形成されている。ところで酸素イオン伝導性固体電解質では固体電解質層の両側において酸素濃度に差があると酸素濃度の高い側から酸素濃度の低い側に向けて固体電解質層内を酸素イオンが移動する。図2に示した例では大気室54内の酸素濃度の方が第1室52内の酸素濃度よりも高いので大気室54内の酸素は基準電極58と接触することにより電荷を受け取って酸素イオンとなり、この酸素イオンは第3層L3 、第2層L2 および第1層L1 内を移動し、陰極側第1ポンプ電極55において電荷を放出する。その結果、基準電極58と陰極側第1ポンプ電極55との間に符号59で示した電圧V0 が発生する。この電圧V0 は大気室54内と第1室52内との酸素濃度差に比例する。
【0016】
図2に示した例ではこの電圧V0 が第1室52内の酸素濃度が1p.p.m.のときに生ずる電圧に一致するように第1ポンプ電圧源57の電圧がフィードバック制御される。すなわち、第1室52内の酸素は第1室52内の酸素濃度が1p.p.m.となるように第1層L1 を通って汲み出され、それによって第1室52内の酸素濃度が1p.p.m.に維持される。
【0017】
なお陰極側第1ポンプ電極55はNOX に対しては還元性の低い材料、例えば金Auと白金Ptとの合金から形成されており、したがって排気ガス中に含まれるNOX は第1室52内ではほとんど還元されず、NO2 をNOに還元する程度である。したがってこのNOX は第2の拡散律速部材51を通って第2室53内に流入する。
【0018】
一方、第2室53に面する第1層L1 の内周面上には陰極側第2ポンプ電極60が形成されており、この陰極側第2ポンプ電極60と陽極側第1ポンプ電極556との間には第2ポンプ電圧源61により電圧が印加される。これらポンプ電極60,56間に電圧が印加されると第2室53内の排気ガス中に含まれる酸素が陰極側第2ポンプ電極60と接触して酸素イオンとなり、この酸素イオンは第1層L1 内を陽極側第1ポンプ電極56に向けて流れる。したがって第2室53内の排気ガス中に含まれる酸素は第1層L1 内を移動して外部に汲み出されることになり、このとき外部に汲み出される酸素量は第2ポンプ電圧源61の電圧が高くなるほど多くなる。
【0019】
一方、前述したように酸素イオン伝導性固体電解質では固体電解質層の両側において酸素濃度に差があると酸素濃度の高い側から酸素濃度の低い側に向けて固体電解質層内を酸素イオンが移動する。図2に示した例では大気室54内の酸素濃度の方が第2室53内の酸素濃度よりも高いので大気室54内の酸素は基準電極58と接触することにより電荷を受け取って酸素イオンとなり、この酸素イオンは第3層L3 、第2層L2 および第1層L1 内を移動し、陰極側第2ポンプ電極60において電荷を放出する。その結果、基準電極58と陰極側第2ポンプ電極60との間に符号62で示した電圧V1 が発生する。この電圧V1 は大気室54内と第2室53内との酸素濃度差に比例する。
【0020】
図2に示した例ではこの電圧V1 が第2室53内の酸素濃度が0.01p.p.m.のときに生ずる電圧に一致するように第2ポンプ電圧源61の電圧がフィードバック制御される。すなわち第2室53内の酸素は第2室53内の酸素濃度が0.01p.p.m.となるように第1層L1 を通って汲み出され、それによって第2室53内の酸素濃度が0.01p.p.m.に維持される。
【0021】
なお陰極側第2ポンプ電極60もNOX に対しては還元性の低い材料、例えば金Auと白金Ptとの合金から形成されており、したがって排気ガス中に含まれるNOX は陰極側第2ポンプ電極60と接触してもほとんど還元されない。
一方、第2室53に面する第3層L3 の内周面上にはNOX 検出用の陰極側ポンプ電極63が形成されている。この陰極側ポンプ電極63はNOX に対して強い還元性を有する材料、例えばロジウムRhや白金Ptから形成されている。したがって第2室53内のNOX 、実際には大部分を占めるNOが陰極側ポンプ電極63上においてN2 とO2 とに分解される。図2に示したようにこの陰極側ポンプ電極63と基準電極58との間には一定電圧64が印加されており、したがって陰極側ポンプ電極63上において分解生成されたO2 は酸素イオンとなって第3層L3 内を基準電極58に向けて移動する。このとき陰極側ポンプ電極63と基準電極58との間にはこの酸素イオン量に比例した符号65で示した電流I1 が流れる。
【0022】
前述したように第1室52内ではNOX はほとんど還元されず、また第2室53内には酸素はほとんど存在しない。したがって電流I1 は排気ガス中に含まれるNOX 濃度に比例することになり、斯くして電流I1 から排気ガス中のNOX 濃度を検出できることになる。
一方、排気ガス中に含まれるアンモニアNH3 は第1室52内においてNOとH2 Oとに分解され(4NH3 +5O2 →4NO+6H2 O)、この分解されたNOは第2の拡散律速部材51を通って第2室53内に流入する。このNOは陰極側ポンプ電極63上においてN2 とO2 とに分解され、分解生成されたO2 は酸素イオンとなって第3層L3 内を基準電極58に向けて移動する。このときにも電流I1 は排気ガス中に含まれるNH3 濃度に比例し、斯くして電流I1 から排気ガス中のNH3 濃度を検出できることになる。
【0023】
図3は電流I1 と排気ガス中のNOX 濃度およびNH3 濃度との関係を示している。図3から電流I1 は排気ガス中のNOX 濃度およびNH3 濃度に比例していることがわかる。
一方、排気ガス中の酸素濃度が高いほど、すなわち空燃比がリーンであるほど第1室52から外部に汲み出される酸素量が多くなり、符号66で示した電流I2 が増大する。したがってこの電流I2 から排気ガスの空燃比を検出することができる。
【0024】
なお第5層L5 と第6層L6 との間にはNOX アンモニアセンサ29のセンサ部を加熱するための電気ヒータ67が配置されており、この電気ヒータ67によってNOX アンモニアセンサ29のセンサ部は700℃から800℃に加熱される。
上述したNOX アンモニアセンサ29により検出されるのは直接的には排気ガス中のNOX 濃度ではなく、電流I1 の量である。すなわち排気ガス中のNOX 濃度を知るためにはNOX アンモニアセンサ29により検出される電流I1 の量をNOX 濃度に換算する必要がある。ここで本実施例では排気ガス中のNOX 濃度が零であるときにNOX アンモニアセンサ29により検出される電流値の量I1 を基準電流量I0 とし、NOX 濃度が変化したときにその変化量に応じて変化する電流I1 の量、すなわち単位NOX 濃度に相当する電流I1 の量を単位電流量Iu として図3に示したようなNOX アンモニアセンサ29により検出される検出電流量I1 とNOX 濃度との関係を導き出し、この関係に基づいてNOX 濃度を推定するようにしている。
【0025】
ところが上記基準電流量I0 はNOX アンモニアセンサ29ごとに異なる。また上記基準電流量I0 はNOX アンモニアセンサ29の経時的な劣化により徐々に変化する。ここで基準電流量I0 を常に正確に把握していなければNOX アンモニアセンサ29により正確なNOX 濃度を検出することはできない。云い換えればNOX アンモニアセンサ29によりNOX 濃度を正確に検出するためには常に電流量I1 に基づいてNOX 濃度を算出するときに正確な基準電流量I0 を用いる必要がある。
【0026】
そこで本実施例では以下の方法に従って基準電流量I0 を適宜、更新して常に正確な基準電流量I0 を用いてNOX 濃度を算出するようにする。図4に図2の符号57で示した電圧源の電圧Vと符号66で示した電流I2 との関係を示した。図4においてA/F=16で示した曲線は排気ガスの空燃比が16であるときの電圧Vと電流I2 との間の関係を示し、A/F=18で示した曲線は排気ガスの空燃比が18であるときの電圧Vと電流I2 との間の関係を示し、Airで示した曲線は排気ガス中の酸素濃度が大気中の酸素濃度に等しいときの電圧Vと電流I2 との間の関係を示している。
【0027】
図4から判るように電圧Vが零から増大すると電流I2 も徐々に増大し、電圧Vが一定の範囲内に到達すると電流I2 は略一定の値となり、さらに電圧Vがこの一定の範囲を超えて増大すると電流I2 は再び徐々に増大する。この傾向はいずれの曲線においても同じであるが電圧Vに関係なく略一定の値をとったときの電流I2 の値が各曲線で異なる。したがって電圧Vを変化させたときの電流I2 の変化がほとんどない電圧Vを第1ポンプ電極55,56間に印加するようにすればそのときに検出される電流I2 の値から排気ガス中の酸素濃度を知ることができる。
【0028】
ところで電圧Vが曲線A/F=16に関しては電圧Va、曲線A/F=18に関しては電圧Vb、曲線Airに関しては電圧Vcを超えると電流I2 が若干増大する。これは電圧Vが一定値以上とされたことにより排気ガス中のNOX が窒素N2 と酸素O2 とに分解されて排気ガス中の酸素濃度が増大したためである。すなわち第1ポンプ電極55はNOX に対して還元性の低い材料から形成されているが第1ポンプ電極55,56間に一定値以上の電圧を印加すればNOX は第1ポンプ電極55により窒素N2 と酸素O2 とに分解される。
【0029】
そこで本実施例では基準電流量I0 を更新すべきとき、或いは基準電流量I0 を更新するための処理を実行しても内燃機関の運転自体に影響を及ぼさないときに第1室52内において排気ガス中のNOX をほとんど全て窒素N2 と酸素O2 とに分解するのに十分な電圧を第1ポンプ電極55,56間に印加し、斯くして第1室52内の排気ガス中のNOX 濃度をほぼ零とする。これによれば第2の拡散律速部材51を通過して第2室53に流入する排気ガス中のNOX 濃度がほぼ零となるので陰極側ポンプ電極63により窒素N2 と酸素O2 とに分解されるNOX はほとんどない。このため符号65で示した電流値I1 は排気ガス中のNOX 濃度がほぼ零であり、したがって排気ガス中の酸素濃度がほぼ零であるときの電流の量、すなわち基準電流量I0 に相当する。そして本実施例によれば斯くして得られた基準電流量I0 が現在の基準電流量I0 と置き換えられる。こうして本実施例によれば正確な基準電流量I0 を用いて正確なNOX 濃度が算出される。
【0030】
また本実施例によればNOX アンモニアセンサ29の基準電流量I0 を更新するために内燃機関の運転状態を変更する必要がないので本実施例に従ったNOX アンモニアセンサ29の基準電流量I0 の更新は内燃機関の運転に対しても好ましい。
ところで基準電流量I0 だけでなく単位電流量Iu もNOX アンモニアセンサ29ごとに異なり、またNOX アンモニアセンサ29の経時的な劣化により徐々に変化する。ここで単位電流量Iu を正確に把握していなければNOX アンモニアセンサ29によりNOX 濃度を正確に検出することはできない。したがって基準電流量I0 の場合と同様に正確な単位電流量Iu を常に把握する必要がある。
【0031】
そこで本実施例では以下の方法に従って単位電流量Iu を適宜、更新して常に正確な単位電流量Iu を用いてNOX 濃度を検出するようにする。すなわち本実施例では内燃機関の燃焼室5への燃料供給(または燃料噴射)が停止されたときに第1ポンプ電圧源57の電圧を零とすると共に第2ポンプ電圧源61の電圧を零とする。内燃機関の燃焼室5への燃料供給が停止されたときには第1の拡散律速部材50を通って第1室52内に流入する排気ガス中の酸素濃度は大気中の酸素濃度にほぼ等しい。しかも排気ガス中のNOX 濃度は零である。そして第1ポンプ電圧源57の電圧が零とされるので第1室52内の排気ガスからは酸素は汲み出されず、したがって第2の拡散律速部材51を通って第2室53に流入する排気ガス中の酸素濃度も大気中の酸素濃度にほぼ等しい。さらに第2ポンプ電圧源61の電圧が零とされるので第2室53内の排気ガスからも酸素は汲み出されない。したがって符号65で示した電流値I1 は大気中の酸素濃度に相当する値である。大気中の酸素濃度は既知の値であるのでこのときの電流値I1 と基準電流量I0 とに基づいて単位電流量Iu を算出することができ、斯くしてNOX アンモニアセンサ29により検出される電流量I1 と排気ガス中のNOX 濃度との関係を正確に知ることができる。これにより本実施例によれば排気ガス中のNOX 濃度をNOX アンモニアセンサ29により正確に検出することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば第1の手段において排気ガス中のNOX を酸素と窒素とに分解すれば第2の手段における排気ガス中のNOX 濃度は零である。このときに上記検出手段により検出される電流量を基準電流量として排気ガス中のNOX 濃度を算出すれば排気ガス中のNOX 濃度が正確に検出される。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】NOX アンモニアセンサのセンサ部の構造を示す図である。
【図3】NOX アンモニアセンサによる検出電流を示す図である。
【図4】図2の符号57で示した電圧と図2の符号66で示した電流値I2 との間の関係を示す図である。
【符号の説明】
11…燃料噴射弁
23…NOX 吸収剤
29…NOX アンモニアセンサ
30…空燃比センサ

Claims (3)

  1. 第1の電圧を印加することにより排気ガス中のNOX をNOに還元すると共に排気ガス中の酸素を排気ガスから排出して排気ガス中の酸素濃度を一定濃度にまで低下させる第1の手段と、第2の電圧を印加することにより該第1の手段により処理された排気ガス中のNOを酸素と窒素とに分解すると共に排気ガス中の酸素濃度に応じた量の電流が流れるように構成された第2の手段と、該第2の手段内を流れる電流量を検出するための検出手段と、排気ガス中のNOX 濃度が零であるときに該検出手段により検出され検出電流量を基準電流量とし、該基準電流量に基づいた検出電流量とNOX 濃度との関係から排気ガス中のNOX 濃度を算出する算出手段とを具備するNOX 濃度検出装置において、上記基準電流量を上記検出手段により検出する際には、排気ガス中のNOX を酸素と窒素とに分解することができる電圧を上記第1の手段により印加させて該第1の手段により処理された排気ガス中のNO X 濃度をほぼ零とするようにしたことを特徴とするNOX 濃度検出装置。
  2. 排気ガス中のNOX を酸素と窒素とに分解することができる電圧が第1の電圧よりも高いことを特徴とする請求項1に記載のNOX 濃度検出装置。
  3. 内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中のNOX 濃度を検出するために機関排気通路に配置された請求項1に記載のNOX 濃度検出装置において、燃焼室内への燃料供給が停止されている間において上記第1の手段により印加させる電圧を零とし、このときに上記検出手段により検出される検出電流量と上記基準電流量とに基づいて上記検出電流値とNOX 濃度との関係を決定するようにしたことを特徴とするNOX 濃度検出装置。
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