JP2001295624A - 内燃機関の排気温度検出装置および触媒劣化判定装置 - Google Patents

内燃機関の排気温度検出装置および触媒劣化判定装置

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JP2001295624A
JP2001295624A JP2000115886A JP2000115886A JP2001295624A JP 2001295624 A JP2001295624 A JP 2001295624A JP 2000115886 A JP2000115886 A JP 2000115886A JP 2000115886 A JP2000115886 A JP 2000115886A JP 2001295624 A JP2001295624 A JP 2001295624A
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fuel ratio
air
temperature
exhaust gas
sensor
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JP2000115886A
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Junichi Kako
純一 加古
Michihiro Ohashi
通宏 大橋
Yutaka Sawada
裕 沢田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度センサを別途用意することなく内燃機関
から排出される排気ガスの温度を検出する。 【解決手段】 内燃機関から排出される排気ガス中の特
定成分の濃度を検出するためのセンサ23、24、44
と、センサの温度を予め定められた温度に制御するため
にエネルギを消費するエネルギ消費手段31とを具備す
る。エネルギ消費手段で消費されたエネルギ量に基づい
て排気ガスの温度を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の排気温度
検出装置と、この排気温度検出装置を備えた触媒劣化判
定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関から排出される排気ガスを浄化
するための触媒を備えた排気浄化装置が公知である。触
媒は長期間に亘る使用の間に劣化する。触媒が劣化する
と排気ガスを良好には浄化することができない。したが
って内燃機関の排気エミッションを低い水準に維持する
ためには触媒が劣化しているか否かを判定する必要があ
る。そこで日本国特許番号第2557477号公報では
触媒の温度を検出し、この検出された触媒の温度が予め
定められた温度以下であるときに触媒が劣化していると
判定するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記公報では触媒の温
度を検出するために温度センサを用いる。このように所
期の対象物の温度を検出する必要がある場合には温度セ
ンサを別途用意することが一般的である。したがって内
燃機関から排出される排気ガスの温度を検出する必要が
ある場合には排気ガスの温度を検出するための温度セン
サを別途用意することが多い。しかしながらこのように
温度センサを別途用意すると製造コストが増大してしま
う。そこで本発明の目的は温度センサを別途用意するこ
となく内燃機関から排出される排気ガスの温度を検出す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の一番目の発明によれば、内燃機関から排出される排気
ガス中の特定成分の濃度を検出するためのセンサと、該
センサの温度を予め定められた温度に制御するためにエ
ネルギを消費するエネルギ消費手段とを具備し、該エネ
ルギ消費手段で消費されたエネルギ量に基づいて排気ガ
スの温度を検出する。すなわち本来、温度を検出するた
めの手段ではないエネルギ消費手段における変数に基づ
いて排気ガスの温度が検出される。
【0005】二番目の発明によれば一番目の発明におい
て、前記センサの素子インピーダンスを検出するための
インピーダンス検出手段を具備し、該インピーダンス検
出手段により検出された素子インピーダンスに基づいて
前記センサの温度が算出される。三番目の発明によれば
一番目の発明において、前記センサが排気空燃比を検出
するための空燃比センサであり、該空燃比センサにより
検出された空燃比に基づいて内燃機関の空燃比が制御さ
れる。
【0006】四番目の発明によれば、一番目の発明の内
燃機関の排気温度検出装置と、排気ガスを浄化するため
の触媒とを具備する触媒劣化判定装置において、前記排
気温度検出装置を前記触媒の下流側に配置し、該排気温
度検出装置により検出された排気ガスの温度に基づいて
前記触媒の劣化を判定する。五番目の発明によれば四番
目の発明において、前記センサの素子インピーダンスを
検出するためのインピーダンス検出手段を具備し、該イ
ンピーダンス検出手段により検出された素子インピーダ
ンスに基づいて前記センサの温度が算出される。
【0007】六番目の発明によれば四番目の発明におい
て、前記センサが排気空燃比を検出するための空燃比セ
ンサであり、該空燃比センサにより検出された空燃比に
基づいて内燃機関の空燃比が制御される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図示した実施例を参照して
本発明を詳細に説明する。初めに図1を参照して第一実
施例の排気温度検出装置を備えた内燃機関を全体的に説
明する。図1に示した内燃機関はいわゆる4サイクルガ
ソリンエンジンである。図1において1は機関本体、2
は吸気ポート、3は吸気弁、4は排気ポート、5は排気
弁、6は燃焼室、7は点火栓である。燃焼室6内にはピ
ストン8が配置される。
【0009】吸気ポート2は吸気マニホルド9に接続さ
れる。吸気マニホルド9はサージタンク10を介して吸
気通路11に接続される。吸気通路11には機関本体1
へ吸入せしめられる空気の質量流量を検出するための質
量流量検出器12が配置される。質量流量検出器12の
上流側の吸気通路5にはエアクリーナ13が接続され
る。一方、下流側の吸気通路5にはアクセルペダル14
の踏込量に応じた開度をとるスロットル弁15が配置さ
れる。またスロットル弁15の下流側であって吸気ポー
ト2近傍の吸気マニホルド9には燃料噴射弁16が取り
付けられる。燃料噴射弁16は燃料供給通路17を介し
て燃料タンク18に接続される。燃料供給通路17には
吐出量可変の燃料ポンプ19が配置される。
【0010】排気ポート4は排気マニホルド20に接続
される。排気マニホルド20は排気通路21に接続され
る。排気通路21には触媒コンバータ22が配置され
る。触媒コンバータ22は排気ガス中の成分を浄化する
ための触媒を内蔵する。本実施例の触媒は三元触媒であ
る。また触媒コンバータ22の上流側の排気マニホルド
20には排気ガス中の特定成分を検出するためのセンサ
23が取り付けられる。一方、触媒コンバータ22の下
流側の排気通路21にも排気ガス中の特定成分を検出す
るためのセンサ24が取り付けられる。本実施例におけ
るこれらセンサ23および24は排気ガス中の酸素濃度
を検出することにより排気空燃比を検出するための空燃
比センサである。なお以下の説明では触媒コンバータ2
2の上流側の空燃比センサ23を上流側空燃比センサと
称し、触媒コンバータ22の下流側の空燃比センサ24
を下流側空燃比センサと称する。また本明細書において
排気空燃比とは内燃機関の吸気通路11、吸気マニホル
ド9、燃焼室6、排気マニホルド20および触媒コンバ
ータ22の上流側の排気通路21内に供給された空気お
よび燃料(炭化水素)の比である。
【0011】機関本体1には点火デストリビュータ25
が取り付けられる。点火デストリビュータ25には二つ
のクランク角センサ26よび27が取り付けられる。こ
れらクランク角センサ26および27は機関クランク軸
(図示せず)の予め定められた回転毎に%する信号を発
生する。本実施例のクランク角センサ26は特定の燃焼
室6における機関行程が圧縮上死点に到達する毎、すな
わち機関クランク軸が720°回転する毎に基準位置検
出用のパルス信号を出力する。一方、本実施例のクラン
ク角センサ27は機関クランク軸が30°回転する毎に
クランク回転角検出用のパルス信号を出力する。これら
基準位置検出用パルス信号とクランク回転角検出用パル
ス信号との基づいて機関回転数が算出される。
【0012】内燃機関は電子制御装置50を具備する。
電子制御装置50はデジタルコンピュータからなり、双
方向性バス51により互いに接続されたROM(リード
オンリメモリ)52、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)53、CPU(マイクロプロセッサ)54、入力ポ
ート55および出力ポート56を具備する。質量流量検
出器12、上流側空燃比センサ23および下流側空燃比
センサ24は対応するAD変換器57を介して入力ポー
ト55に接続される。したがってこれらの出力は対応す
るAD変換器57を介して入力ポート55に入力され
る。またクランク角センサ26および27は入力ポート
55に直接接続される。したがってこれらのパルス信号
は入力ポート55に直接入力される。
【0013】一方、点火栓7、燃料噴射弁16および燃
料ポンプ19は対応する駆動回路58を介して出力ポー
ト56に接続される。したがってこれらの作動は機関要
求に応じて電子制御装置50により制御せしめられる。
なおアクセルペダル14には負荷センサ28が接続され
る。負荷センサ28は内燃機関に対する要求負荷を検出
する。負荷センサ28は対応するAD変換器57を介し
て入力ポート55に接続される。したがって負荷センサ
28からの出力はAD変換器57を介して入力ポート5
5に入力せしめられる。
【0014】次に図2を参照して三元触媒の浄化特性を
説明する。図2に示したように三元触媒はそこに流入す
る排気ガスの空燃比(以下、流入排気空燃比)が理論空
燃比よりリッチであるときには窒素酸化物(NOx )を
略100%ほど浄化し、流入排気空燃比が理論空燃比よ
りリーンとなるとその浄化率は徐々に低下する。一方、
三元触媒は流入排気空燃比が理論空燃比よりリーンであ
るときには炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)
を略100%ほど浄化し、流入排気空燃比が理論空燃比
よりリッチとなるとその浄化率は徐々に低下する。この
ような特性から三元触媒は流入空燃比が理論空燃比であ
ればNOx 、HCおよびCOを同時に非常に高い浄化率
で浄化することができる。
【0015】ところが流入排気空燃比は後述するように
理論空燃比となるように制御されるが実際には常に理論
空燃比であるわけではない。そこで本実施例の三元触媒
は流入排気空燃比が理論空燃比でなくてもNOx 、HC
およびCOを同時に高い浄化率で浄化できるように酸素
吸放出能力を有する。酸素吸放出能力によれば三元触媒
は流入排気空燃比がリーンであるときに排気ガス中の酸
素を三元触媒内に吸収し、三元触媒内の排気空燃比を理
論空燃比とする。一方、流入排気空燃比がリッチである
ときには三元触媒内に吸収されている酸素を放出し、三
元触媒内の排気空燃比を理論空燃比とする。斯くして流
入排気空燃比が多少、理論空燃比からずれても理論空燃
比近傍に維持されている限り三元触媒内における排気空
燃比は常に理論空燃比近傍に維持される。したがって三
元触媒は流入排気空燃比が理論空燃比から多少、ずれて
いてもNOx 、HCおよびCOを同時に高い浄化率で浄
化することができる。
【0016】次に図3および図4を参照して本実施例の
上流側空燃比センサ23の構成を説明する。図3におい
て30はハウジング、31はヒータ、32は多層膜、3
3は電流検出器である。ハウジング30は複数の開口3
4を有する。上流側空燃比センサ23が排気マニホルド
9に取り付けられたときに排気ガスがこれら開口34を
介してハウジング30内に流入する。ヒータ31は棒状
であり、ハウジング30内に収容される。多層膜32は
後述するように複数の層から構成され、ハウジング30
とヒータ31との間にヒータ31を包囲するように配置
される。電流検出器33は多層膜32に電気的に接続さ
れる。
【0017】ヒータ31は後述するように上流側空燃比
センサ23の温度、特に多層膜32の温度を予め定めら
れた温度に維持するために用いられる。ヒータ31はヒ
ータ31に発熱させるためにエネルギを消費するエネル
ギ消費手段35に接続される。本実施例のエネルギ消費
手段35はヒータ31に電力を供給する電力供給源であ
る。電力供給源35は対応する駆動回路58を介して出
力ポート56に接続される。したがって電力供給源35
からヒータ31に供給される電力量は電子制御装置50
により制御される。
【0018】また電流検出器33は後述するように多層
膜32に予め定められた電圧を印加し、このときに多層
膜32内を流れる電流値を検出するために用いられる。
電流検出器33は対応するAD変換器57を介して入力
ポート55に接続される。したがって電流検出器33の
出力は対応するAD変換器57を介して入力ポート55
に入力される。
【0019】次に図4を参照して多層膜32を詳細に説
明する。図4は多層膜32の一部を拡大して示してい
る。多層膜32はジルコニア固体電解質からなる電解質
層36と、白金からなる一対の電極37と、セラミック
ス多孔質材料からなる拡散律速層38とから構成され
る。電解質層36は白金電極37間に挟まれている。拡
散律速層38はハウジング30側に配置された白金電極
37上に配置される。なお電流検出器33は直流電源3
9と電流計40とを具備する。これら直流電源39と電
流計40とは白金電極37に直列に接続される。
【0020】次に上流側空燃比センサによる空燃比検出
メカニズムを説明する。多層膜32の両側における酸素
濃度が異なるときに白金電極37間に電圧を印加すると
酸素O2 は酸素濃度が高い側から酸素濃度が低い側に移
動する。このとき酸素O2 は電解質層36中では酸素イ
オンO2-となって流れる。すなわち電解質層36内を電
流が流れることとなる。
【0021】図4に示した構成では拡散律速層38とハ
ウジング30との間の空間(以下、排気空間)41には
排気ガスが存在し、電解質層36に対して拡散律速層3
8の反対側の白金電極37とヒータ31との間の空間
(以下、大気空間)42には大気が存在する。ここで通
常、排気空間41内の排気ガス中の酸素濃度は大気空間
42内の大気中の酸素濃度より低い。このため白金電極
37間に電圧を印加すると排気空間41内の酸素O2
電解質層36において酸素イオンO2-となって大気空間
42に移動する。したがって電解質層36内を電流が流
れることとなる。なお本実施例ではこの電流を電流計4
0により検出する。
【0022】上述した電解質層36内を流れる電流は拡
散律速層38が設けられていない場合には白金電極37
間に印加される電圧値(以下、印加電圧値)に比例して
大きくなる。しかしながら本実施例では拡散律速層38
が設けられているので排気空間41内の酸素濃度と大気
空間42内の酸素濃度との差(以下、酸素濃度差)が等
しいという条件下では電解質層36内を流れる電流Iは
図5に示したように印加電圧値Vが或る値V0 となるま
では印加電圧値Vに比例して大きくなるが、印加電圧値
Vが或る値V0 を越えると一定の値I0 となる。なぜな
らば印加電圧値に係わらず拡散律速層38を通過するこ
とができる最大の酸素量は決まっており、このため印加
電圧値Vが或る値V0 以上となっても拡散律速層38を
通過する酸素量はその最大量以上には増大しないからで
ある。
【0023】また図5に示した一定の値I0 は酸素濃度
差に応じては変わり、酸素濃度が大きいほど大きくな
る。そこで或る値V0 以上の値の電圧を白金電極37間
に印加し、このときに電解質層36内を流れる電流値を
検出すれば検出された電流値は酸素濃度差を代表してい
る。本実施例では大気空間42内の気体は大気であるの
で酸素濃度は予め知られており、したがって検出された
電流値は排気ガス中の酸素濃度を代表している。斯くし
て排気ガス中の酸素濃度を知ることができるのでこの排
気ガス中の酸素濃度に基づいて排気空燃比を知ることが
できる。本実施例では図6に示した関係に従って排気空
燃比A/Fを検出する。ここでは検出された電流値Iが
理論空燃比(ストイキ)に対応する電流値IS より小さ
い範囲では電流値Iが大きくなると排気空燃比A/Fが
或る割合で大きくなり、したがってリーン度合いが大き
くなる。一方、検出された電流値Iが理論空燃比(スト
イキ)に対応する電流値IS より大きい範囲では電流値
Iが大きいほど排気空燃比A/Fが上記或る割合より小
さな割合で大きくなり、したがってリーン度合いが大き
くなる。
【0024】一方、本実施例では下流側空燃比センサ2
4としては、A/Fセンサと同様に排気ガス中の酸素濃
度に応じた電圧信号を出力するが、理論空燃比を中心と
して出力電圧が比較的急激に変化するいわゆるO2 セン
サを使用している。O2 センサは図3および図4に示し
た上流側空燃比センサ23と略同一の構造であるが図4
の拡散律速層38が設けられておらず電極37間を開放
した状態で使用される。この状態で固体電解質36が排
気ガスにさらされて温度が上昇すると上流側空燃比セン
サ23の場合とは逆に大気側(高酸素濃度側)電極37
から排気側(低酸素濃度側)電極37に向けて酸素イオ
ンの移動が生じるので電極37間には大気側と排気側の
酸素濃度の相違に対応した電圧が発生する。また排気ガ
ス中の酸素濃度は理論空燃比を境にリッチ側とリーン側
とで急激に変化するのでO2 センサの出力は図7に示す
ように理論空燃比近傍で比較的急激に変化するいわゆる
Z特性を示す。
【0025】次に本実施例の燃料噴射弁の開弁制御を説
明する。燃料噴射弁16から噴射される燃料の量(以
下、燃料噴射量)は燃料噴射弁16の開弁時間(以下、
単に開弁時間)を制御することにより制御される。すな
わち燃料噴射弁16の開弁時間を長くすれば燃料噴射量
は多くなり、短くすれば燃料噴射量は少なくなる。本実
施例では空燃比が理論空燃比になるように燃料噴射量を
制御する。すなわち単位機関回転数当たりに燃焼室6内
に吸入せしめられる空気の量(以下、吸気量)を検出
し、空燃比が理論空燃比となるようにこの吸気量に見合
った量の燃料を噴射すればよい。ところが実際には吸気
量の検出精度や開弁時間の制御精度に起因して上述した
ように燃料噴射量を制御しても実際には空燃比は理論空
燃比にならない。そこで本実施例では後述するように二
つの空燃比センサを用いたフィードバック制御により燃
料噴射弁16の開弁時間を補正し、空燃比が正確に理論
空燃比となるようにしている。
【0026】この燃料噴射弁16の開弁時間の算出方法
の具体例を図8のフローチャートに示した。図8では初
めにステップ10において質量流量検出器1により吸気
量Qを検出する。次いでステップ11においてクランク
角センサ26および27からの出力に基づいて機関回転
数Neを算出する。次いでステップ12において単位機
関回転数当たりの吸気量Q/Neを算出する。次いでス
テップ13において基本開弁時間TAUPを式TAUP
=α×Q/Neに従って算出する。ここでαは定数であ
る。最後にステップ14において実際の開弁時間TAU
を式TAU=TAUP×FAF×β×γに従って算出し
て処理を終了する。ここでFAFは後述するようにして
算出される空燃比補正係数(以下、単に補正係数)であ
る。またβ、γはそれぞれ機関運転状態に応じて決まる
定数である。この補正係数FAFにより開弁時間が補正
され、空燃比が理論空燃比となるような開弁時間とされ
る。こうして算出された開弁時間に従って燃料噴射弁1
6が所定のタイミングで開弁せしめられる。
【0027】次に本実施例の空燃比補正係数FAFの制
御を説明する。開弁時間TAUは式TAU=TAUP×
FAF×β×γを参照すれば空燃比補正係数FAFを増
大すると開弁時間TAUが長くなり、したがって空燃比
のリッチ度合いが大きくなる。このため三元触媒に流入
する排気ガスの空燃比、すなわち流入排気空燃比のリッ
チ度合いも大きくなる。一方、補正係数FAFを減少す
ると開弁時間TAUが短くなり、したがってリーン度合
いが大きくなる。このため流入排気空燃比のリーン度合
いも大きくなる。
【0028】本実施例では補正係数FAFは流入排気空
燃比が理論空燃比よりリッチであることが上流側空燃比
センサ23により検出されている間は徐々に減少せしめ
られる。これにより流入排気空燃比のリッチ度合いが小
さくなる。一方、補正係数FAFは流入排気空燃比が理
論空燃比よりリーンであることが上流側空燃比センサ2
3により検出されている間は徐々に増大せしめられる。
これにより流入排気空燃比のリッチ度合いが大きくな
る。斯くして流入排気空燃比が理論空燃比近傍に維持さ
れる。
【0029】ところで本実施例では理論空燃比からずれ
ている流入排気空燃比をできるだけ素早く理論空燃比に
近づけるために次のような制御を行う。下流側空燃比セ
ンサ24は三元触媒から流出した排気ガスの空燃比(以
下、流出排気空燃比)を検出する。ここで下流側空燃比
センサ24の出力値は理論空燃比に対応する電流値を横
切って比較的長い周期で変動する。下流側空燃比センサ
24が流出排気空燃比がリッチであることを出力する期
間(以下、リッチ出力期間)が長いときには流入排気空
燃比のリッチ度合いが比較的大きい値まで補正されてい
ることを意味する。したがって本実施例ではリッチ出力
期間が長いほど補正係数FAFをスキップ的に大きく減
少させる。こうすれば流入排気空燃比のリッチ度合いが
素早く低下する。
【0030】一方、下流側空燃比センサ24が流出排気
空燃比がリーンであることを出力する期間(以下、リー
ン出力期間)が長いときには流入排気空燃比のリーン度
合いが比較的大きい値まで補正されていることを意味す
る。したがって本実施例ではリーン出力期間が長いほど
補正係数FAFをスキップ的に大きく増大させる。こう
すれば流入排気空燃比のリーン度合いが素早く低下す
る。斯くして流入排気空燃比が素早く理論空燃比とされ
る。
【0031】この補正係数の制御の具体例を図9のフロ
ーチャートに示した。図9では初めにステップ20にお
いて空燃比フィードバック制御を実行する条件(以下、
フィードバック実行条件)が成立しているか否か、すな
わちF/B中であるか否かを判別する。本実施例でのフ
ィードバック実行条件は例えば空燃比センサが活性化し
ていること、機関暖機が完了していること、一時的に燃
料の噴射を停止する燃料カット処理を解除してから予め
定められた時間が経過していること等である。ステップ
20においてF/B中であると判別されたときにはステ
ップ21に進んで上流側空燃比センサ23の出力電流I
Uが理論空燃比に相当する基準電流値I R1以下である
(IU≦IR1)か否かを判別する。すなわち流入排気空
燃比が理論空燃比よりリーンであるか否かを判別する。
【0032】ステップ21においてIU≦IR1であると
判別されたときには流入排気空燃比がリーンであると判
断し、流入排気空燃比のリーン度合いを小さくすべくス
テップ22に進む。ステップ22では上流側空燃比セン
サ23の出力電流が理論空燃比よりリッチからリーンに
反転したか否かを判別する。ステップ22において上流
側空燃比センサ23の出力電流が反転したと判別された
ときにはステップ23に進んで補正係数FAFをスキッ
プ増大量RSRだけ比較的大きくスキップ的に増大す
る。このスキップ増大量RSRは後述するように図9の
フローチャートに従って算出される。
【0033】一方、ステップ22において上流側空燃比
センサ23の出力電流が反転していないと判別されたと
きにはステップ24に進んで補正係数FAFを定数KI
Rだけ比較的小さく増大する。したがってここでは流入
排気空燃比が理論空燃比よりリーンとなった直後にスキ
ップ的に流入排気空燃比のリーン度合いが小さくなるよ
うに補正係数FAFが増大せしめられ、その後は徐々に
流入排気空燃比のリーン度合いが小さくなるように補正
係数FAFが増大せしめられる。
【0034】一方、ステップ21においてIU>IR1
あると判別されたときには流入排気空燃比がリッチであ
ると判断し、流入排気空燃比のリッチ度合いを小さくす
べくステップ26に進む。ステップ26では上流側空燃
比センサ23の出力電流が理論空燃比よりリーンからリ
ッチに反転したか否かを判別する。ステップ26におい
て上流側空燃比センサ23の出力電流が反転したと判別
されたときにはステップ27に進んで補正係数FAFを
スキップ減少量RSLだけ比較的大きくスキップ的に減
少する。このスキップ減少量RSLは後述するように図
9のフローチャートに従って算出される。
【0035】一方、ステップ26において上流側空燃比
センサ23の出力電流が反転していないと判別されたと
きにはステップ28に進んで補正係数FAFを定数KI
Lだけ比較的小さく減少する。したがってここでは流入
排気空燃比が理論空燃比よりリッチとなった直後にスキ
ップ的に流入排気空燃比のリッチ度合いが小さくなるよ
うに補正係数FAFが減少せしめられ、その後は徐々に
流入排気空燃比のリッチ度合いが小さくなるように補正
係数FAFが減少せしめられる。
【0036】なおステップ24では補正係数FAFがそ
の許容最小値と許容最大値との間となるように補正係数
FAFをガード処理する。図10のフローチャートでは
初めにステップ30においてF/B中であるか否かを判
別する。ここでのF/B中である条件は図9での条件に
加えて機関がアイドル運転中でないことである。ステッ
プ30においてF/B中であると判別されたときにはス
テップ31に進んで下流側空燃比センサ24の出力電流
IDが理論空燃比に相当する値IR2以下である(ID≦
R2)か否かを判別する。すなわち流出排気空燃比が理
論空燃比よりリーンであるか否かを判別する。ステップ
31においてID≦IR2であると判別されたときにはス
テップ32に進んでスキップ増大量RSRを予め定めら
れた値ΔRSだけ増大する。一方、ステップ31におい
てID>IR2であると判別されたときにはステップ35
に進んでスキップ増大量RSRを予め定められた値ΔR
Sだけ減少する。
【0037】ステップ33ではスキップ増大量RSRが
その許容最小値と許容最大値との間になるようにスキッ
プ増大量RSRをガード処理し、次いでステップ34に
進んで0.1からスキップ増大量RSRを引いてスキッ
プ減少量RSLを算出する。なお上述した空燃比制御に
代えて吸気量を算出し、この吸気量に基づいて空燃比を
理論空燃比とする燃料量を算出し、上流側空燃比センサ
23の出力値、すなわち排気ガスの空燃比と吸気量とか
ら実際に噴射された燃料量を算出し、上記燃料量と実際
の燃料量との差と、この差の瞬間積分値とを同時に零に
するように目標燃料噴射量を現代制御理論を用いて決定
することで空燃比を制御してもよい。またこの場合にお
いて上流側空燃比センサ23は熱や排気ガス中の成分に
より劣化されやすいのでこれら熱や排気ガス中の成分の
影響が少ない下流側空燃比センサ24の出力値に基づい
て上流側空燃比センサ23の出力を補正すると空燃比制
御の精度が向上する。
【0038】次に本実施例の空燃比センサの温度制御を
説明する。空燃比センサの検出精度はその温度、特に素
子である電解質層36の温度に依る。したがって高い検
出精度を維持するためには空燃比センサの電解質層36
の温度を予め定められた目標温度に維持する必要があ
る。本実施例のように空燃比センサが排気マニホルドま
たは排気通路に取り付けられる場合には電解質層36の
温度は排気ガスの温度に大きく影響を受け、排気ガスの
温度は一般的に維持すべき電解質層36の目標温度より
低いので電解質層36の温度はその目標温度より低い。
そこで本実施例では上述したように空燃比センサにヒー
タ31を配置し、このヒータ31を用いて電解質層36
を加熱することで電解質層36の温度をその目標温度に
維持する。
【0039】ところで上述したように電解質層36をそ
の目標温度に維持するためには電解質層36の温度を正
確に知り、そしてこの実際の電解質層36の温度とその
目標温度との温度差を知り、その上でこの温度差に応じ
た量の電力をヒータ31に供給する必要がある。これに
より初めて電解質層36の温度をその目標温度に正確に
維持することができる。そこで本実施例では電解質層3
6のインピーダンスがその温度に応じて変化することに
着目し、電解質層36のインピーダンスを検出すること
でヒータ31への通電量を算出する。こうして算出され
た量の電力をヒータ31に供給すれば電解質層36の温
度をその目標温度に正確に維持することができる。
【0040】この空燃比センサの温度制御の具体例を図
11のフローチャートに示した。図11では初めにステ
ップ40において白金電力37間に交流電圧を印加し、
電解質層36のインピーダンスZを検出する。次いでス
テップ41においてインピーダンスZに基づいてアドミ
タンスYを算出する。次いでステップ42において図1
2に示した関係に基づいてアドミタンスYに対応する電
解質層36の温度Tを算出する。図12によればアドミ
タンスYが大きくなるほど電解質層36の温度Tは徐々
に高くなる。次いでステップ43において電解質層36
の温度Tとその目標温度との間の温度差ΔTを算出す
る。次いでステップ44において図12に示した関係に
基づいて温度差ΔTに対応するヒータ31に供給すべき
電力量Pを算出する。図13によれば温度差ΔTが大き
くなるのに比例して電力量Pは大きくなる。最後にステ
ップ45においてヒータ31に電力を供給して処理を終
了する。斯くして空燃比センサの温度がその目標温度と
される。
【0041】次に本実施例の排気温度検出装置による排
気ガスの温度検出を説明する。本実施例の排気温度検出
装置は内燃機関の機関運転を制御する上で排気ガスの温
度を知ることが必要である場合に特に有益である。この
ように排気ガスの温度を知る必要がある場合としては例
えば次の三つが考えられる。一つ目は三元触媒の劣化を
判定する場合がある。この場合における三元触媒の劣化
と排気ガスの温度との間に関係については後に詳述す
る。二つ目は燃焼室内におけるNOx の発生の可能性を
知る必要がある場合である。なぜならばNOx の発生量
は燃焼室内での燃焼温度に略比例して増大し、燃焼室か
ら排出される排気ガスの温度はこの燃焼温度に応じて変
化するので排気ガスの温度を知ることにより燃焼室内で
NOx が発生する可能性が高いか否かを知ることができ
るからである。このようにNOx が発生する可能性が高
いことを知れば燃焼温度を低下させる方策を講じること
ができる。また三つ目は内燃機関の冷却性能を知る必要
がある場合である。なぜならば内燃機関の冷却性能の低
下に伴い燃焼室から排出される排気ガスの温度は高くな
るので排気ガスの温度を知ることにより内燃機関の冷却
性能が低下しているか否かを知ることができる。こうし
て冷却性能が低下していることを知れば冷却性能を高め
る方策を講じることができる。
【0042】さて本実施例ではヒータ31に供給した通
電量に基づいて排気ガスの温度を検出する。上述したよ
うにヒータ31に供給した電力量は空燃比センサの実際
の電解質層36の温度とその目標温度との差に基づいて
算出される。したがってヒータ31に供給した通電量は
ヒータ31により加熱しなければそうであったであろう
電解質層36の実際の温度を代表している。そしてこの
電解質層36の実際の温度は排気ガスの温度を代表して
いる。したがってヒータ31に供給した電力量に基づい
て排気ガスの温度を検出することができる。
【0043】この排気ガスの温度検出の具体例を図14
のフローチャートに示した。図14では初めにステップ
50において単位時間当たりにヒータ31に供給した平
均電力量APを算出する。次いでステップ51において
図15に示した関係に基づいて平均電力量APに対応す
る排気ガスの温度Teを算出して処理を終了する。図1
5によれば平均電力量APが大きくほど排気ガスの温度
Teは徐々に低くなる。斯くして排気ガスの温度が検出
される。
【0044】次に本実施例の排気温度検出装置を備えた
触媒劣化判定装置による触媒劣化判定を説明する。三元
触媒が劣化しているか否かを判定することは排気ガスの
浄化率を高く維持するためには重要である。そこで本実
施例では次のようにして三元触媒の劣化を判定する。上
述したように三元触媒ではNOx 、HCおよびCOが同
時に浄化される。これらNOx 、HCおよびCOの浄化
反応は発熱反応であるので三元触媒においてこの浄化反
応が起きていれば排気ガスの温度は三元触媒において上
昇せしめられる。すなわち三元触媒が正常であれば三元
触媒の下流側における排気ガスの温度は三元触媒の上流
側における排気ガスの温度よりも高くなる。そこで本実
施例では三元触媒の上流側および下流側における排気ガ
スを検出し、三元触媒の下流側の排気ガスの温度が三元
触媒の上流側の排気ガスの温度より予め定められた値以
上に高ければ三元触媒は正常であり、低ければ三元触媒
が劣化していると判定する。斯くして三元触媒の劣化を
判定することができる。
【0045】この三元触媒の劣化判定の具体例を図16
のフローチャートに示した。図16では初めにステップ
60において図14のフローチャートに従って上流側空
燃比センサ23に供給された電力量に基づいて三元触媒
の上流側の排気ガスの温度TUを検出する。次いでステ
ップ61において図14のフローチャートに従って下流
側空燃比センサ24に供給された電力量に基づいて三元
触媒の下流側の排気ガスの温度TDを検出する。次いで
ステップ62において三元触媒の下流側の排気ガスの温
度TDから三元触媒の上流側の排気ガスの温度TUを引
いて温度差ΔTeを算出する。次いでステップ63にお
いて温度差ΔTeが予め定められた温度差RTより小さ
い(ΔTe<RT)か否かを判別する。
【0046】ステップ63においてΔTe<RTである
と判別されたときには三元触媒が劣化している判定し、
ステップ64に進んで三元触媒が劣化していることを表
示するためのアラーム(図示せず)等を点灯する。一
方、ステップ63においてΔTe≧RTであると判別さ
れたときには三元触媒が正常であると判定し、直接処理
を終了する。斯くして三元触媒の劣化を判定することが
できる。
【0047】次に図17を参照して第二の実施例を説明
する。本実施例では第一実施例のスロットル弁15が排
除され、アクセルペダル14は負荷センサ28にのみ接
続される。したがって本実施例の内燃機関は殆どの機関
運転領域において理論空燃比よりリーンな空燃比で運転
せしめられるいわゆるリーンバーンエンジンである。も
ちろん本実施例の技術を4サイクル直噴型圧縮点火式内
燃機関、いわゆるディーゼルエンジンに適用することも
できる。また本実施例では上流側空燃比センサ23およ
び下流側空燃比センサ24が排除され、その代わりに排
気マニホルド20にNOx センサ43が取り付けられ
る。また本実施例では触媒コンバータ22内には三元触
媒の代わりにNOx 吸収剤が内蔵される。これら以外の
構成は第一実施例の構成と同様である。
【0048】次にNOx 吸収剤の構成とその浄化特性を
説明する。NOx 吸収剤は例えばアルミナを担体とし、
この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチ
ウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウ
ムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタ
ンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少
なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持され
ている。NOx 吸収剤は流入排気空燃比がリーンのとき
にはNOx を吸収し、流入排気空燃比が理論空燃比また
はリッチになると吸収したNOx を放出するNOx 吸放
出作用を行う。
【0049】このNOx 吸収剤を排気通路21内に配置
すればNOx 吸収剤は実際にNOx吸放出作用を行うが
このNOx 吸放出作用の詳細なメカニズムについては明
らかでない部分もある。しかしながらこのNOx 吸放出
作用は図16に示すようなメカニズムで行われているも
のと考えられる。次にこのメカニズムについて担体上に
白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にと
って説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土
類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
【0050】図17に示したリーンバーンエンジンでは
通常、燃焼室6における空燃比がリーンの状態で燃焼が
行われる。このように空燃比がリーンの状態で燃焼が行
われている場合には排気ガス中の酸素濃度は高く、この
ときには図18(A)に示したようにこれら酸素O2
2 - またはO2-の形で白金Ptの表面に付着する。一
方、NOx 吸収剤に流入する排気ガス中のNOは白金P
tの表面上でO2 - またはO2-と反応し、NO2 となる
(2NO+O2 →2NO2 )。次いで生成されたNO2
の一部は白金Pt上で酸化されつつNOx 吸収剤内に吸
収されて酸化バリウムBaOと結合しながら図18
(A)に示したように硝酸イオンNO3 - の形でNOx
吸収剤内に拡散する。こうしてNOx がNOx 吸収剤内
に吸収される。NOx 吸収剤に流入する排気ガス中の酸
素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO2 が生成され、
NOx 吸収剤のNOx 吸収能力が飽和しない限りNO2
がNO x 吸収剤内に吸収されて硝酸イオンNO3 - が生
成される。
【0051】一方、流入排気空燃比がリッチにされると
NOx 吸収剤に流入する排気ガス中の酸素濃度が低下
し、その結果、白金Ptの表面でのNO2 の生成量が低
下する。NO2 の生成量が低下すると反応が逆方向(N
3 - →NO2 )に進み、斯くしてNOx 吸収剤内の硝
酸イオンNO3 - がNO2 の形で吸収剤から放出され
る。このときNOx 吸収剤から放出されたNOx は図1
8(B)に示したようにNOx 吸収剤に流入する排気ガ
ス中に含まれる多量の未燃HC、COと反応して還元せ
しめられる。こうして白金Ptの表面上にNO2 が存在
しなくなるとNOx吸収剤から次から次へとNO2 が放
出される。したがって流入排気空燃比がリッチにされる
と短時間のうちにNOx 吸収剤からNOx が放出され、
しかもこの放出されたNOx が還元されるために大気中
にNOx が排出されることはない。
【0052】なお、この場合、流入排気ガスの空燃比を
理論空燃比にしてもNOx 吸収剤からNOx が放出され
る。しかしながら流入排気空燃比を理論空燃比にした場
合にはNOx 吸収剤からNOx が徐々にしか放出されな
いためにNOx 吸収剤に吸収されている全NOx を放出
させるには若干長い時間を要する。ところでNOx 吸収
剤のNOx 吸収能力には限界があり、NOx 吸収剤のN
x 吸収能力が飽和する前にNOx 吸収剤からNOx
放出させる必要がある。そのためにはNOx 吸収剤に吸
収されているNOx 量を推定する必要がある。そこで本
実施例ではNOx センサ43を用いてNOx 濃度を検出
し、単位時間当たりのNOx 吸収量を算出し、この単位
時間当りのNOx 吸収量を積算することによりNOx
収剤に吸収されている総NOx 吸収量を推定するように
している。
【0053】本実施例では総NOx 吸収量が予め定めら
れた許容最大値を越えたときに後述する空燃比制御に割
り込む形で燃料噴射量を増大し、流入排気空燃比を一時
的にリッチとし、NOx 吸収剤からNOx を放出させ
る。次に図19を参照してNOx センサ43の構成を説
明する。なおNOx センサ43は上述したようにNOx
吸収剤に吸収されている総NOx 吸収量を推定するため
に用いられる。NOx センサ43は多層膜32にその特
徴がある。図19において32aは酸素除去用多層膜で
あり、32bはNOx 濃度検出用多層膜である。酸素除
去用多層膜32aは複数の層から構成され、ハウジング
30とヒータ31との間に配置される。酸素除去用多層
膜32aはジルコニア固体電解質からなる電解質層36
aと、白金からなる一対の電極37aとから構成され
る。電解質層36aは白金電極37a間に挟まれてい
る。また電源39aが白金電極37aに接続される。
【0054】一方、NOx 濃度検出用多層膜32bはジ
ルコニア固体電解質からなる電解質層36bと、白金か
らなる電極37bと、ロジウムからなる電極44と、セ
ラミックス多孔質材料からなる拡散律速層38bとから
構成される。白金電極37bは電解質層36bに対して
大気空間42側に配置され、ロジウム電極44は電解質
層36bに対して排気空間41b側に配置される。電解
質層36bは白金電極37bとロジウム電極44との間
に挟まれている。拡散律速層38bはロジウム電極44
上に配置される。また電源39bと電流計40bとが白
金電極37bおよびロジウム電極44に直列に接続され
る。
【0055】次にNOx センサ43のNOx 濃度検出メ
カニズムを説明する。酸素除去用多層膜32aの白金電
極37a間に電圧を印加すると第一実施例で説明したよ
うに排気ガス中の酸素O2 は排気空間41aから大気空
間42へ移動する。斯くして排気ガス中の酸素O2 は排
気空間41aにおいて除去される。次いで排気ガスは排
気空間41aから排気空間41bに流入するがこの排気
空間41bに流入した排気ガス中の酸素濃度は極めて低
い。
【0056】ここでNOx 濃度検出用多層膜32bの白
金電極37bとロジウム電極44との間に電圧を印加す
るとNOx 濃度検出用多層膜32bのロジウム電極44
が触媒となって二酸化窒素NO2 を窒素N2 と酸素O2
に分解し(NO2 →1/2N 2 +O2 )、この分解によ
り生成された酸素O2 は排気空間41bから大気空間4
2へ移動する。このとき酸素O2 は第一実施例で説明し
たように電解質層36b中では酸素イオンO2-となって
流れ、したがって電解質層36b内を電流が流れること
となる。したがって第一実施例で説明した原理と同様に
して電解質層36b内を流れる電流値から排気空間41
b内における排気ガス中の酸素濃度を検出することがで
きる。ここで排気空間41b内の酸素O2 は殆ど全て二
酸化窒素NO2 から分解した酸素であるので検出された
酸素濃度は排気ガス中のNO2 濃度、すなわちNOx
度に等しい。斯くしてNOx 濃度を検出することができ
る。
【0057】次に本実施例の空燃比制御を説明する。本
実施例ではアクセルペダル14の踏込量に対応する要求
負荷を負荷センサ28により検出し、この要求負荷を満
たすのに必要な燃料噴射量を噴射するための燃料噴射弁
16の開弁時間を予め定められた求めたマップに基づい
て算出する。すなわち燃焼室6内に吸入される吸気量に
関係なく要求負荷に応じて燃料噴射弁16の開弁時間を
制御し、燃料噴射量を制御する。したがって本実施例で
は殆どの機関運転領域で空燃比が理論空燃比よりリーン
となる。
【0058】これによれば少ない燃料で内燃機関を運転
することができ、燃費向上という観点では好ましい。反
面、このように空燃比が理論空燃比よりリーンの状態で
運転せしめられると空燃比が理論空燃比で運転せしめら
れる場合に比べて排気ガス中のHCおよびCOの濃度は
小さくなるがNOx 濃度は高くなるという不具合があ
る。なぜならば空燃比がリーンであるときには燃焼室6
内に十分な量の酸素が存在するので燃料は完全に燃焼せ
しめられるが燃焼室6内の酸素量が多いために結果とし
てNOx が発生し易くなるからである。しかしながら本
実施例では上述したようにNOx 吸収剤によりNOx
浄化されるのでNOx 発生量が第一実施例の場合よりも
多くなることは問題とはならない。
【0059】ところで空燃比センサの場合と同様にNO
x センサの検出精度はその温度が或る温度であるときに
最も高くなる。したがって高い検出精度を確保するため
にはNOx センサの温度をその或る温度に維持する必要
がある。本実施例によれば第一実施例の空燃比センサの
温度制御と同様にしてヒータ31を作動し、NOx セン
サの温度をその目標温度に維持する。斯くしてNOx
ンサの検出精度を高く維持することができる。なおこの
NOx センサの温度制御は第一実施例と同様であるので
詳細な説明は省略する。
【0060】また本実施例によれば第一実施例の排気ガ
スの温度検出と同様にして排気ガスの温度を検出するこ
とができる。なおこの排気ガスの温度検出については第
一実施例と同様であるので詳細な説明は省略する。また
本実施例によれば第一実施例の三元触媒の劣化判定と同
様にしてNOx 吸収剤の劣化を判定することができる。
なおこのNOx 吸収剤の劣化判定については第一実施例
と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0061】なお上述した実施例の排気温度検出装置は
空燃比センサまたはNOx センサと電気ヒータとを備え
るが本発明はこれに限定されず、空燃比センサまたはN
xセンサは少なくとも排気ガス中の特定成分を検出す
るための特定成分検出手段であればよく、電気ヒータは
少なくともこの特定成分検出手段の温度を予め定められ
た温度に制御すべく加熱または冷却するためにエネルギ
を消費するエネルギ消費手段であればよい。
【0062】また排気温度検出装置を排気ガス以外の対
象物の温度を検出するための温度検出装置として用いる
場合には特定成分検出手段は少なくとも温度を検出すべ
き対象物以外のパラメータまたは温度を検出すべき対象
物の温度以外のパラメータを検出するためのパラメータ
検出手段であればよく、エネルギ消費手段は少なくとも
このパラメータ検出手段の温度を予め定められた温度に
制御すべく加熱または冷却するためにエネルギを消費す
る手段であればよい。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば内燃機関から排出される
排気ガス中の特定成分の濃度を検出するためのセンサの
温度を予め定められた温度に制御するために消費された
エネルギに基づいて排気ガスの温度が検出される。した
がって排気ガスの温度を検出するための専用のセンサを
用いずに排気ガスの温度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例の排気温度検出装置および触媒劣化
判定装置を備えた内燃機関の構成を示す図である。
【図2】三元触媒の浄化特性を示す図である。
【図3】空燃比センサの構成を示す図である。
【図4】空燃比センサの多層膜の構成を示す図である。
【図5】電極間に印加される電圧値Vと電解質層内を流
れる電流値Iとの関係を示す図である。
【図6】電解質層内を流れる電流値Iと排気空燃比A/
Fとの関係を示す図である。
【図7】O2 センサの出力特性を示す図である。
【図8】燃料噴射弁の開弁時間を算出するためのフロー
チャートである。
【図9】空燃比補正係数を算出するためのフローチャー
トである。
【図10】スキップ増大量およびスキップ減少量を算出
するためのフローチャートである。
【図11】空燃比センサの温度を制御するためのフロー
チャートである。
【図12】アドミタンスYと電解質層の温度Tとの関係
を示した図である。
【図13】電解質層の温度と目標温度との間の差ΔTと
ヒータへの通電量Pとの関係を示した図である。
【図14】排気ガスの温度を検出するためのフローチャ
ートである。
【図15】単位時間当たりにヒータに供給された平均通
電量Pと排気ガスの温度Teとの関係を示した図であ
る。
【図16】三元触媒の劣化を判定するためのフローチャ
ートである。
【図17】第二実施例の排気温度検出装置および触媒劣
化判定装置を備えた内燃機関の構成を示す図である。
【図18】NOx 吸収剤の浄化メカニズムを説明するた
めの図である。
【図19】第二実施例のNOx センサの構成を示した図
である。
【符号の説明】
1…機関本体 22…触媒コンバータ 23…上流側空燃比センサ 24…下流側空燃比センサ 31…ヒータ 32…多層膜 43…NOx センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 45/00 358 F02D 45/00 358A 360 360C (72)発明者 沢田 裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G084 BA09 BA24 DA27 EB02 FA07 FA26 FA27 FA30 FA31 FA33 FA39 3G091 AA12 AA13 AA17 AA18 AA23 AA24 AA28 AB03 AB06 BA14 BA15 BA19 BA33 CB02 DA03 DB06 DB07 DB10 DC01 EA01 EA03 EA05 EA07 EA10 EA17 EA26 EA27 EA33 EA34 FB10 FB11 FB12 FC02 FC04 GB01X GB02W GB03W GB04W GB05W GB06W GB10X GB16X HA36 HA37 HA42 3G301 HA01 JA15 JA25 JB09 LA01 LB02 MA11 ND01 NE14 PA01Z PD01A PD01Z PD03A PD03Z PD04A PD04Z PD05A PD05Z PD09A PD09Z PD11Z PE01Z PE04Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関から排出される排気ガス中の特
    定成分の濃度を検出するためのセンサと、該センサの温
    度を予め定められた温度に制御するためにエネルギを消
    費するエネルギ消費手段とを具備し、該エネルギ消費手
    段で消費されたエネルギ量に基づいて排気ガスの温度を
    検出するようにした内燃機関の排気温度検出装置。
  2. 【請求項2】 前記センサの素子インピーダンスを検出
    するためのインピーダンス検出手段を具備し、該インピ
    ーダンス検出手段により検出された素子インピーダンス
    に基づいて前記センサの温度が算出される請求項1に記
    載の内燃機関の排気温度検出装置。
  3. 【請求項3】 前記センサが排気空燃比を検出するため
    の空燃比センサであり、該空燃比センサにより検出され
    た空燃比に基づいて内燃機関の空燃比が制御される請求
    項1に記載の内燃機関の排気温度検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の内燃機関の排気温度検
    出装置と、排気ガスを浄化するための触媒とを具備する
    触媒劣化判定装置において、前記排気温度検出装置を前
    記触媒の下流側に配置し、該排気温度検出装置により検
    出された排気ガスの温度に基づいて前記触媒の劣化を判
    定するようにした触媒劣化判定装置。
  5. 【請求項5】 前記センサの素子インピーダンスを検出
    するためのインピーダンス検出手段を具備し、該インピ
    ーダンス検出手段により検出された素子インピーダンス
    に基づいて前記センサの温度が算出される請求項4に記
    載の触媒劣化判定装置。
  6. 【請求項6】 前記センサが排気空燃比を検出するため
    の空燃比センサであり、該空燃比センサにより検出され
    た空燃比に基づいて内燃機関の空燃比が制御される請求
    項4に記載の触媒劣化判定装置。
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