JP3835247B2 - チップ形電子部品の端面電極形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に使用されるチップ形電子部品の端面電極形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のチップ形電子部品、例えばチップ形抵抗器は、図5に示すような製造工程図にもとづいて製造していた。
【0003】
まず、シート状の絶縁基板の上面にスクリーン印刷工法により銀を主成分とする複数対の上面電極1を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより複数対の上面電極1を安定な膜とする。次に、複数対の上面電極1を跨ぐように、スクリーン印刷工法により酸化ルテニウム系の複数の抵抗体2を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより、抵抗体2を安定な膜とする。次に、複数の抵抗体2を覆うように、スクリーン印刷工法により複数のガラスを主成分とする第1の保護層3を形成し、ピーク温度600℃の焼成プロファイルで焼成することにより、ガラスを主成分とする第1の保護層3を安定な膜とする。次に、複数対の上面電極1間の抵抗体2の抵抗値を一定の値に修正するために、レーザートリミング工法によりトリミング4を行う。次に、複数のガラスを主成分とする第1の保護層3を覆うとともに、上面電極1の一部に重なるように、スクリーン印刷工法により樹脂を主成分とする複数の第2の保護層5を形成し、ピーク温度200℃の硬化プロファイルで硬化することにより、第2の保護層5を安定な膜とする。次に、端面から上面電極1が露出するようにシート状の絶縁基板に形成されている分割溝に沿って一次分割6を行うことにより、複数の短冊状基板を形成する。次に、前記上面電極1と電気的に接続されるように、短冊状基板の端面にNi,Cを導電成分とするエポキシ系樹脂ペースト材料をローラー転写により印刷し、かつ乾燥を行い、さらにピーク温度165℃の硬化プロファイルで硬化することにより、端面電極7を形成する。次に、短冊状基板に形成されている分割溝に沿って短冊状基板の二次分割8を行うことにより、複数の個片状基板を形成する。そして最後に、端面電極7を覆うように、ニッケルめっき等からなる第1のめっき層と、この第1のめっき層を覆うはんだまたはスズ等からなる第2のめっき層を有するめっき9を形成することにより、チップ形抵抗器を製造していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のチップ形抵抗器においては、上面電極1と電気的に接続されるように、短冊状基板の端面にNi,Cを導電成分とするエポキシ系樹脂ペースト材料をローラー転写により印刷し、かつ乾燥を行い、さらにピーク温度165℃の硬化プロファイルで硬化することにより、端面電極7を形成するようにしているが、この端面電極7は、Ni,Cを導電成分とするエポキシ系樹脂ペースト材料をローラー転写により印刷して膜厚を得るものであるため、この膜厚は季節変動による外気温度の変化の影響を受けやすく、すなわち、季節変動により外気温度の変化があった場合、膜厚の厚いものや薄いものが発生するという具合に、端面電極7の膜厚のばらつきが発生し、その結果、製品寸法の安定化が図れないという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、季節変動による外気温度の変化の影響を受けることなく、均一な膜厚が得られ、製品寸法の安定化が図れるチップ形電子部品の端面電極形成方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、端面電極を有するチップ形電子部品の端面電極形成方法において、前記端面電極を形成する前に予備加熱を行い、その後、この予備加熱されたものに端面電極を形成するようにしたもので、この端面電極形成方法によれば、端面電極を形成する前に予備加熱を行うようにしているため、端面電極をペースト材料の塗布、ペースト材料中への浸漬、ペースト材料の転写等により形成する場合、ペースト材料の粘性が季節変動による外気温度の変化によって変動するということはなくなり、その結果、端面電極の膜厚のばらつきも小さい範囲におさえることができるため、端面電極の膜厚は、季節変動による外気温度の変化の影響を受けることなく、均一なものを得ることができ、これにより、製品寸法の安定化が図れるという作用効果を有するものである。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、予備加熱の温度を45℃〜120℃の範囲に設定したもので、この端面電極形成方法によれば、予備加熱温度を45℃〜120℃の範囲に設定しているため、予備加熱温度が45℃以下の場合のように周囲の外気温度に左右されて膜厚がばらつき、均一な膜厚が得られないという不具合をなくすることができるとともに、予備加熱温度が120℃以上の場合のようにペースト材料の粘性変化が起こってかすれ不良を発生させ、端面電極を良好に形成できないという不具合もなくすることができ、これにより、端面電極の膜厚も均一なものが得られるとともに、ペースト材料の粘性変化も防止できて端面電極を良好に形成することができるという作用効果を有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるチップ形抵抗器の端面電極形成方法について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態1におけるチップ形抵抗器の製造方法を示す工程図で、この工程図にもとづいて、本発明の実施の形態1におけるチップ形抵抗器の端面電極形成方法について説明する。
【0011】
図1において、まず、シート状の絶縁基板の上面にスクリーン印刷工法により銀を主成分とする複数対の上面電極11を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより複数対の上面電極11を安定な膜とする。次に、複数対の上面電極11を跨ぐように、スクリーン印刷工法により酸化ルテニウム系の複数の抵抗体12を形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成することにより、抵抗体12を安定な膜とする。次に、複数の抵抗体12を覆うように、スクリーン印刷工法により複数のガラスを主成分とする第1の保護層13を形成し、ピーク温度600℃の焼成プロファイルで焼成することにより、ガラスを主成分とする第1の保護層13を安定な膜とする。次に、複数対の上面電極11間の抵抗体12の抵抗値を一定の値に修正するために、レーザートリミング工法によりトリミング14を行う。次に、複数のガラスを主成分とする第1の保護層13を覆うとともに、上面電極11の一部に重なるように、スクリーン印刷工法により樹脂を主成分とする複数の第2の保護層15を形成し、ピーク温度200℃の硬化プロファイルで硬化することにより、第2の保護層15を安定な膜とする。次に、端面から上面電極11が露出するようにシート状の絶縁基板に形成されている分割溝に沿って一次分割16を行うことにより、複数の短冊状基板を形成する。
【0012】
次に、図2に示すような短冊状基板保持具17、あるいは図3に示すような短冊状基板保持具18に複数の短冊状基板19を一方の端面が上向きとなるように並べ、そしてこの短冊状基板保持具17あるいは18を近赤外線ランプ等の加熱手段で加熱することにより、複数の短冊状基板19の予備加熱20を行う。この場合、予備加熱20の温度は45℃〜120℃の範囲が好ましいものである。
【0013】
次に、前記上面電極11と電気的に接続されるように、予備加熱20を行った複数の短冊状基板19の一方の端面にNi,Cを導電成分とするエポキシ系樹脂ペースト材料をローラー転写により印刷して端面電極21aを形成し、その後、乾燥22を行う。
【0014】
次に、図2に示すような短冊状基板保持具17、あるいは図3に示すような短冊状基板保持具18に、複数の短冊状基板19を他方の端面が上向きとなるように並べ替え、そしてこの短冊状基板保持具17あるいは18を近赤外線ランプ等の加熱手段で加熱することにより、複数の短冊状基板19の予備加熱23を行う。この場合、予備加熱23の温度は45℃〜120℃の範囲が好ましいものである。
【0015】
次に、前記上面電極11と電気的に接続されるように、予備加熱23を行った複数の短冊状基板19の他方の端面にNi,Cを導電成分とするエポキシ系樹脂ペースト材料をローラー転写により印刷して端面電極21bを形成し、その後、乾燥24を行う。
【0016】
次に、ピーク温度165℃の硬化プロファイルで硬化25を行うことにより、端面電極21a,21bを安定な膜とする。
【0017】
次に、短冊状基板19に形成されている分割溝に沿って短冊状基板19の二次分割26を行うことにより、複数の個片状基板を形成する。そして最後に、端面電極21a,21bを覆うように、ニッケル等からなる第1のめっき層と、この第1のめっき層を覆うはんだまたはスズ等からなる第2のめっき層を有するめっき27を形成することにより、チップ形抵抗器を製造しているものである。
【0018】
上記本発明の実施の形態1においては、端面電極21a,21bを形成する前に予備加熱20,23を行うようにしているため、端面電極21a,21bをNi,Cを導電成分とするエポキシ系樹脂ペースト材料のローラー転写による印刷で形成する場合、エポキシ系樹脂ペースト材料の粘性が季節変動による外気温度の変化によって変動するということはなくなり、その結果、端面電極21a,21bの膜厚のばらつきも小さい範囲におさえることができるため、端面電極21a,21bの膜厚は、季節変動による外気温度の変化の影響を受けることなく、均一なものを得ることができ、これにより、製品寸法の安定化が図れるという作用効果を有するものである。
【0019】
(表1)は予備加熱20,23の温度と、端面電極21a,21bのかすれ不良の発生率および膜厚のばらつきとの関係を示したものである。
【0020】
【表1】
Figure 0003835247
【0021】
(表1)から明らかなように、予備加熱20,23の温度が45℃以下、例えば30℃の場合は、膜厚の最小が30μm、最大が79μmという具合に、膜厚のばらつきが、予備加熱20,23の温度を45℃〜120℃の範囲にしたものにおける膜厚のばらつきに比べて大きいものであり、また予備加熱20,23の温度が120℃以上、例えば130℃の場合は、膜厚の最小が15μm、最大が90μmという具合に、膜厚のばらつきが、予備加熱20,23の温度を45℃〜120℃の範囲にしたものにおける膜厚のばらつきに比べて非常に大きいものである。したがって、予備加熱20,23の温度は、45℃〜120℃の範囲に設定すれば、膜厚のばらつきを小さい範囲におさえることができるものである。
【0022】
また(表1)から明らかなように、予備加熱20,23の温度が120℃以上、例えば130℃の場合は、端面電極21a,21bのかすれ不良の発生率が2%という具合に、予備加熱20,23の温度を45℃〜120℃の範囲にしたものにおけるかすれ不良の発生率に比べて非常に大きいものである。したがって、予備加熱20,23の温度は、45℃〜120℃の範囲に設定すれば、端面電極21a,21bのかすれ不良の発生率を小さくすることができ、これにより、端面電極21a,21bを良好に形成することができるものである。
【0023】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2におけるチップ形抵抗器の端面電極形成方法について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図4は本発明の実施の形態2におけるチップ形抵抗器の製造方法を示す工程図で、この工程図にもとづいて、本発明の実施の形態2におけるチップ形抵抗器の端面電極形成方法について説明する。
【0025】
本発明の実施の形態2におけるチップ形抵抗器の端面電極形成方法において、上記本発明の実施の形態1におけるチップ形抵抗器の端面電極形成方法と同じものについては、同一番号を付し、異なる点のみを説明する。
【0026】
図4において、上面電極11の形成からトリミング14までの工程と、一次分割16から予備加熱20までの工程は上記本発明の実施の形態1と同じであるため、その説明は省略し、それ以外の第2の保護層15aの工程と、予備加熱20以降の工程について説明する。
【0027】
すなわち、第2の保護層15aの工程は、複数のガラスを主成分とする第1の保護層13を覆うとともに、上面電極11の一部に重なるように、スクリーン印刷工法により複数のガラスを主成分とする第2の保護層15aを形成し、ピーク温度600℃の焼成プロファイルで焼成することにより、ガラスを主成分とする第2の保護層15aを安定な膜とする。
【0028】
また予備加熱20以降の工程は、予備加熱20を行った後、次に上面電極11と電気的に接続されるように、予備加熱20を行った複数の短冊状基板19の一方の端面に銀とガラスの混合ペースト材料をローラー転写により印刷して端面電極21cを形成し、その後、乾燥22を行う。
【0029】
次に、上記本発明の実施の形態1と同様に、図2に示すような短冊状基板保持具17、あるいは図3に示すような短冊状基板保持具18に、複数の短冊状基板19を一方の端面が上向きとなるように並べ替え、そしてこの短冊状基板保持具17あるいは18を近赤外線ランプ等の加熱手段で加熱することにより、複数の短冊状基板19の予備加熱23を行う。この場合、予備加熱23の温度は45℃〜120℃の範囲が好ましいものである。
【0030】
次に、前記上面電極11と電気的に接続されるように、予備加熱23を行った複数の短冊状基板19の他方の端面に銀とガラスの混合ペースト材料をローラー転写により印刷して端面電極21dを形成し、その後、乾燥24を行う。
【0031】
次に、ピーク温度600℃の焼成プロファイルで焼成25aを行うことにより、端面電極21c,21dを安定な膜とする。
【0032】
次に、上記本発明の実施の形態1と同様に、短冊状基板19に形成されている分割溝に沿って短冊状基板19の二次分割26を行うことにより、複数の個片状基板を形成する。そして最後に、端面電極21c,21dを覆うように、ニッケル等からなる第1のめっき層と、この第1のめっき層を覆うはんだまたはスズ等からなる第2のめっき層を有するめっき27を形成することにより、チップ形抵抗器を製造しているものである。
【0033】
上記本発明の実施の形態2においても、本発明の実施の形態1と同様に、端面電極21c,21dを形成する前に予備加熱20,23を行うようにしているため、端面電極21c,21dを銀とガラスの混合ペースト材料のローラー転写による印刷で形成する場合、ペースト材料の粘性が季節変動による外気温度の変化によって変動するということはなくなり、その結果、端面電極21c,21dの膜厚のばらつきも小さい範囲におさえることができるため、端面電極21c,21dの膜厚は、季節変動による外気温度の変化の影響を受けることなく、均一なものを得ることができ、これにより、製品寸法の安定化が図れるという作用効果を有するものである。
【0034】
予備加熱20,23の温度と、端面電極21c,21dのかすれ不良の発生率および膜厚のばらつきとの関係については、上記本発明の実施の形態1で説明した(表1)と同じであるため、その説明は省略する。
【0035】
なお、上記本発明の実施の形態1,2においては、端面電極21a,21b,21c,21dを形成する場合、ペースト材料をローラー転写により印刷して形成するようにしていたが、これ以外の例えば、ペースト材料の塗布、ペースト材料中への浸漬により、端面電極21a,21b,21c,21dを形成するようにしてもよいものである。
【0036】
また上記本発明の実施の形態1,2においては、チップ形電子部品の一例として、チップ形抵抗器を挙げて説明したが、本発明の端面電極形成方法は、チップ形抵抗器以外のチップ形セラミックコンデンサ、多連チップ形抵抗器、ネットワーク抵抗器、チップ形コイル等の端面電極形成にも適用できるものであり、チップ形抵抗器に限定されるものではない。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明は、端面電極を有するチップ形電子部品の端面電極形成方法において、前記端面電極を形成する前に予備加熱を行い、その後、この予備加熱されたものに端面電極を形成するようにしたもので、この端面電極形成方法によれば、端面電極を形成する前に予備加熱を行うようにしているため、端面電極をペースト材料の塗布、ペースト材料中への浸漬、ペースト材料の転写等により形成する場合、ペースト材料の粘性が季節変動による外気温度の変化によって変動するということはなくなり、その結果、端面電極の膜厚のばらつきも小さい範囲におさえることができるため、端面電極の膜厚は、季節変動による外気温度の変化の影響を受けることなく、均一なものを得ることができ、これにより、製品寸法の安定化が図れるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるチップ形抵抗器の製造方法を示す工程図
【図2】同チップ形抵抗器における短冊状基板保持具の側面図
【図3】同チップ形抵抗器における別の短冊状基板保持具の斜視図
【図4】本発明の実施の形態2におけるチップ形抵抗器の製造方法を示す工程図
【図5】従来のチップ形抵抗器の製造方法を示す工程図
【符号の説明】
20,23 予備加熱
21a,21b,21c,21d 端面電極

Claims (2)

  1. 端面電極を有するチップ形電子部品の端面電極形成方法において、前記端面電極を形成する前に予備加熱を行い、その後、この予備加熱されたものに端面電極を形成するようにしたチップ形電子部品の端面電極形成方法。
  2. 予備加熱の温度を45℃〜120℃の範囲に設定した請求項1記載のチップ形電子部品の端面電極形成方法。
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