JP3834830B2 - リミットスイッチの構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば工作機械、生産機器などの位置決め、物体検知などの用途に用いられるリミットスイッチの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、リミットスイッチのアクチュエーター部のプランジャとして、ローラータイプのプランジャが成型機、工作機械などに数多く使用されている。このようなリミットスイッチは、工作機械に取付ける際に、例えはケースの両サイドに形成された2つの取付孔を利用する場合と、図8〜図10に示すように、ケース1′の筒部2の外周にネジ部80を形成し、このネジ部80に付属の六角ナット90等を螺合してパネルに取付ける場合の2種類がある。図中の40はローラーである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リミットスイッチは取付孔を利用する方法と、ネジ部80に付属の六角ナット90等を締結して取付ける方法のいずれかで取付けられるが、実際にどちらの取付け方法が採用されるかはリミットスイッチの製造段階では不明であるため、従来ではネジ部80を利用して取付ける方法が採用される場合を考慮してネジの強度を強めるようにしており、このため、ケース1′の材質はダイカスト等の金属材料しかなかった。このようなダイカスト等の金属は強度的に強く、防水性能に優れているが、その反面、加工性が悪く、コストが高くつくという問題がある。また、用途的には高強度、防水性を必要とする用途ばかりではなく、例えば室内用の軽機械の分野では、強度、防水性は絶対必要要件ではなく、むしろ経済的に低価格のリミットスイッチの要望が多かった。
【0004】
そこで、リミットスイッチのケース1′を安価な樹脂製にすることが考えられるが、この場合、ケース1′のネジ部80の強度を強める必要があり、そのために剛性の樹脂を選択し、さらにネジ部80の肉厚(図9のt″)を大きくしたりすることで解決できるが、筒部2′の肉厚t″を大きくするためには、この部分を摺動するプランジャ3′の径D′を如何にして小さくするかが新たな問題点となる。
【0005】
ところが、従来はプランジャ3′にあってはツバ60が突出しているために、プランジャ3′の径D′が大きくなり、このツバ60がケース1′との当たり面となっているため、ケース1′の筒部2′の内壁面2aに凹みが生じ、筒部2′の肉厚を大きくすることができなかった。しかも、プランジャ3′に対して作動軸5′を位置決め、抜け止めする場合には止めリング70を用い、この止めリング70をプランジャ3′でカシメる構造がとられているため、ケース1′を樹脂化することができなかった。そのうえ、従来では、止めリング70によるカシメのばらつきに起因して動作特性上にばらつきが生じ易く、リミットスイッチの精度低下をきたしたり、或いはプランジャ3′にツバ60を必要とするため削り加工が増え、組立て性と加工性の両方が低下するという問題もある。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、プランジャの摺動部分の肉厚を大きくして強度を持たせることによりケースの樹脂化を実現でき、しかもスイッチ組立て時のカシメ工程を無くして組立て性及び加工性を向上させて、低価格でしかも高精度なリミットスイッチの構造を提供するにあり、別の目的とするところは、スイッチ組立て時に復帰スプリングのスプリング受板がケース外に飛び出すのを容易に防止でき、組立て性の一層の向上を図ることができるようにしたリミットスイッチを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ケース1の筒部2にプランジャ3を摺動自在に収納し、プランジャ3の内部に内蔵スイッチ4の切替動作を行なう作動軸5を挿入し、作動軸5が復帰スプリング13により上方にバネ付勢されて成るリミットスイッチの構造において、上記作動軸5を上方にバネ付勢するための復帰スプリング13の下端部がスプリング受板15で支承され、ケース1の筒部2下部にはケース1内外に連通すると共にスイッチ組立て時にスプリング受板15を仮保持するための支え治具21が抜き差し自在な連通孔20が穿孔され、スイッチ組立て後に支え治具21が連通孔20から抜き取られた状態でスプリング受板15がケース1内部の所定位置に当接していることに特徴を有している。
【0008】
【作用】
しかして、本発明によれば、作動軸5を上方にバネ付勢するための復帰スプリング13の下端部がスプリング受板15で支承され、ケース1の筒部2下部にはケース1内外に連通すると共にスイッチ組立て時にスプリング受板15を仮保持するための支え治具21が抜き差し自在な連通孔20が穿孔され、スイッチ組立て後に支え治具21が連通孔20から抜き取られた状態でスプリング受板15がケース1内部の所定位置に当接していることにより、ケース1外部より連通孔20を介して支え治具21を挿入し、この支え治具21にてスプリング受板15を支えることによってスイッチ組立て途中でスプリング受板15がケース1外部に飛び出すのを容易に防止でき、組立て性を一層向上させることができる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1〜図4は本発明の基本構成を説明する図である。このリミットスイッチは、図1、図4に示すように、樹脂製のケース1に外周にネジ部80が形成された筒部2が一体形成され、この筒部2の内部にローラータイプのプランジャ3が摺動自在に収納され、このプランジャ3の内部に内蔵スイッチ4の切替動作を行なう作動軸5が挿入されて構成されている。尚、プランジャ3はローラー40以外に、例えばレバーが装着されたものであってもよい。
【0010】
樹脂製のケース1の筒部2の内壁面2aは、図2、図3に示すように、直筒面に形成されると共に、プランジャ3の外壁面3aはケース1の筒部2の内壁面2aに沿う直筒状に形成されており、これにより、従来のツバを突出させたプランジャと比較して、プランジャ3の径D(図3(a))を小さくでき、これに伴いケース1の肉厚tを大きく設定できるようになっている。更にケース1の筒部2の内壁面2aの一部には、後述するプランジャ3のピン孔8から突出するピン7の先端部分7aが挿入される小径の凹所9(図3(b))が形成されている。尚、図1中の80はネジ部、90は締結用ナットである。
【0011】
プランジャ3の構造は、プランジャ3内部にOT(オーバートラベル)吸収用スプリング10を介して作動軸5が挿入され、この作動軸5は復帰スプリング13によって上方に常にバネ付勢されると共に、プランジャ3に対する作動軸5の位置決めが位置決め用及び回転止め用のピン7で行なわれている。このピン7は、作動軸5の位置決めストッパとしてだけでなく、回転防止用としても機能するものであり、プランジャ3の下部に径方向Aに貫通形成されている。一方、プランジャ3内に収納される作動軸5の上部にはプランジャ3のピン孔8と連通し且つ作動軸5の軸方向Bに沿って細長く延びた長孔11が穿孔され、上記ピン7がプランジャ3のピン孔8から作動軸5の長孔11を貫通することによって作動軸5がプランジャ3に対して位置決め及び回転止めされ、作動軸5の下端が内蔵スイッチ4の押釦12を押圧し、内蔵スイッチ4の切り替えが行なわれるようになっており、OT吸収の段階になると作動軸5の長孔11の距離だけ摺動する。
【0012】
しかして、プランジャ3の内部にOT吸収用スプリング10を介して作動軸5を挿入し、プランジャ3の一方のピン孔8から作動軸5の長孔11を介してプランジャ3の他方のピン孔8にピン7を貫通させることにより、プランジャ3に対して作動軸5を位置決めできる。そして、プランジャ3の両側のピン孔8より突出したピン7の先端部分7aをケース1の筒部2の内壁面2aに形成された凹所9に位置合わせした状態で、プランジャ3を作動軸5と一緒にケース1の筒部2内に挿入し、その後、復帰スプリング13とスプリング受板15を挿入し、さらに、押釦12、内蔵スイッチ4等を挿入して、内蔵スイッチ4を固定ピン16にてケース1に固定することによってリミットスイッチ6の組立てが完了する。
【0013】
このように、プランジャ3と作動軸5との位置決めをピン7を利用して行なうようにしたから、従来のような位置決め等のためのツバをプランジャ3から突出させる必要がなくなり、ツバを廃止できる分だけプランジャ3の径Dを小さくすることができ、その分だけケース1の筒部2の肉厚tを大きくすることができる。従って、樹脂製のケース1の筒部2の内壁面2aを直筒面に形成すると共に、プランジャ3の外壁面3aをケース1の筒部2の内壁面2aに沿う直筒状に形成することができると共に、ケース1の筒部2の内壁面2aの一部にプランジャ3のピン孔8から突出するピン7の先端部分7aが挿入される凹所9を形成することにより、ケース1の凹所9が設けられた部位の肉厚t′を薄くするだけで済み、樹脂製のケース1であってもプランジャ3の摺動部分の強度が得られ、ケース1の樹脂化を図ることができ、リミットスイッチの低価格化を達成できる。しかも、位置決め用及び回転止め用のピン7によって作動軸5をプランジャ3に回り止め状態で位置決めしているので、従来のようなプランジャ3に対する作動軸5のカシメ方法は採用しなくて済み、カシメ工程のばらつきに起因する動作特性上のばらつきを無くして、高精度のリミットスイッチ6が得られる上に、プランジャ3のツバが無くなるため、プランジャ3の削り加工が無くなり、組立て性と加工性の両方が向上するという利点がある。
【0014】
図5乃至図7は本発明の実施例を示す。この実施例では、図1の構造に加えて、ケース1の筒部2下部に両サイドから内部に貫通する2個の連通孔20を形成し、スイッチ組立て時にプランジャ3の復帰スプリング13を受けるスプリング受板15をケース1外部より2本の真っ直ぐな棒状の支え治具21にてスプリング受板15がケース1外部に飛び出ないようにして組立てるようにしたものである。
【0015】
ところで、従来では図9に示すように、OT吸収構造を有するプランジャ3を復帰スプリング13にて上方にバネ力を付加し、この復帰スプリング13をリング状のスプリング受板15′で受ける構造にあっては、スプリング受板15′をケース1′にカシメることで固定し、その後のスイッチの組立て工程、押釦12の挿入、押釦12のガイド板17の挿入などを簡単に行なえるようにしていた。ところが、スプリング受板15′をケース1′にカシメるためには、ケース1′がダイカスト等の金属に限られ、ケース1′の樹脂化を図ることができず、しかも、スプリング受板15′の肉厚が小さいため、カシメ時の管理が厳しく、組立て途中で復帰スプリング13のバネ力でスプリング受板15′が飛び出すこともあり、この点でも従来のリミットスイッチは組立てが困難であった。
【0016】
これに対して本実施例では、図5及び図6に示すように、プランジャ3をケース1の筒部2内に挿入し、プランジャ3の内部にOT吸収用スプリング10、作動軸5を挿入し、復帰スプリング13を挿入した後に、スプリング受板15を挿入し、このときケース1の外部から、一方の連通孔20より2本の棒状の支え治具21を挿入して、支え治具21の先端をスプリング受板15の下面側に沿わせながら、ケース1の他方の連通孔20に貫通させるだけで、スプリング受板15を支え治具21にて下方から支えることができ、スプリング受板15がケース1の外部に飛び出ないように保持できるようになる。従って、支え治具21でスプリング受板15を保持した状態で、押釦12、ガイド板17、内蔵スイッチ4を夫々挿入し、内蔵スイッチ4を固定ピン16でケース1に固定した後、支え治具21を抜くと、スプリング受板15は内蔵スイッチ4の押釦12の周辺部に支持される。最後に、ローラー40をプランジャ3に装着する(ローラー40は組立て途中の工程で装着されてもよく、最終工程で装着されてもよい)。尚図6中の41はローラー芯棒である。
【0017】
このように、ケース1外部よりスプリング受板15を支え治具21にて支える構造としたから、従来のようなケースへのスプリング受板15のカシメが不要となり、カシメの信頼性に依存することなく、組立て性の良いリミットスイッチ6が得られると共に、カシメが不要になることに伴い、ケース1の樹脂化がさらに容易となる。また、ケース1の筒部2下部に形成された連通孔20は、ケース1内外に連通しているため、この連通孔20をリミットスイッチのアクチュエーター部のいわゆる呼吸作用防止のための孔としても利用することができる。つまり、アクチュエーター部が密閉されていると、プランジャ3の移動時にアクチュエーター部の内部空気が圧縮、吸引されてプランジャ3の移動や内蔵スイッチ4の切り替えがスムーズに行なわれなくなり、リミットスイッチの動作特性に悪影響を及ぼすという問題が生じるが、連通孔20をケース1の筒部2に穿孔したことによって、かかる問題を解決することができる。尚、リミットスイッチ6のケース1には、元々、呼吸作用による復帰不良を防止するために、筒部2下部に孔をあけているタイプのものもあり、この場合、その孔を支え治具21の連通孔として利用してもよい。
【0018】
【発明の効果】
上述のように、請求項1記載の発明は、作動軸を上方にバネ付勢するための復帰スプリングの下端部がスプリング受板で支承され、ケースの筒部下部にはケース内外に連通すると共にスイッチ組立て時にスプリング受板を仮保持するための支え治具が抜き差し自在な連通孔が穿孔され、スイッチ組立て後に支え治具が連通孔から抜き取られた状態でスプリング受板がケース内部の所定位置に当接しているから、ケースの筒部の下部に設けた連通孔に、ケース外部より支え治具を挿入し、支え治具にてスプリング受板を支えることによってスイッチ組立て途中でスプリング受板がケース外部に飛び出すのを容易に防止でき、組立て性の一層の向上を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の基本構成を説明するリミットスイッチの断面図、(b)は要部拡大断面図である。
【図2】 (a)は同上のプランジャと作動軸の連結状態を説明する断面図、(b)は分解斜視図である。
【図3】 (a)は同上のケースの筒部の肉厚を説明する断面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】 同上のリミットスイッチの斜視図である。
【図5】 本発明の一実施例の断面図である。
【図6】 図5の分解斜視図である。
【図7】 図5の組立て状態の説明図である。
【図8】 従来のリミットスイッチの断面図である。
【図9】 従来のケースの筒部の肉厚を説明する断面図である。
【図10】 (a)は従来のプランジャと作動軸の連結状態を説明する断面図、(b)は分解斜視図である。
【符号の説明】
1 ケース
2 筒部
2a 内壁面
3 プランジャ
3a 外壁面
4 内蔵スイッチ
5 作動軸
7 ピン
8 ピン孔
9 凹所
11 長孔
13 復帰スプリング
15 スプリング受板
20 連通孔
21 支え治具
Claims (1)
- ケースの筒部にプランジャを摺動自在に収納し、プランジャの内部に内蔵スイッチの切替動作を行なう作動軸を挿入し、作動軸が復帰スプリングにより上方にバネ付勢されて成るリミットスイッチの構造において、上記作動軸を上方にバネ付勢するための復帰スプリングの下端部がスプリング受板で支承され、ケースの筒部下部にはケース内外に連通すると共にスイッチ組立て時にスプリング受板を仮保持するための支え治具が抜き差し自在な連通孔が穿孔され、スイッチ組立て後に支え治具が連通孔から抜き取られた状態でスプリング受板がケース内部の所定位置に当接していることを特徴とするリミットスイッチの構造。
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JPH08138482A JPH08138482A (ja) | 1996-05-31 |
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