JP3834429B2 - 給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給湯装置に関する。
【0002】
ガス給湯装置は、ガスバーナと、このガスバーナからの熱を受ける熱交換部と、熱交換部を貫く受熱管とを備えている。この受熱管の入口端に給水管が接続され、出口端に給湯管が接続されて、給湯系配管が構成されている。
上記構成の給湯装置では、給湯栓が開いて給湯系配管に水が流れた時に、ガスバーナでの燃焼を実行して、給湯を行う。給湯管には温度センサが設けられており、その検出温度が、燃焼制御や他の制御のために提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記給湯側温度センサは給湯時に高温の湯にさらされるため、故障の可能性が高くなる。通常のオープン故障やショート故障の時には、異常な検出値が出力されるので故障検出が容易である。しかし、オープンとショートの間の中間の抵抗値で故障した時には、故障検出がされず、この固定の中間値に基づいて制御を行うと、出湯温度が異常になることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、(イ)熱発生部と、(ロ)上記熱発生部からの熱を受ける熱交換部と、(ハ)上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、この受熱管の出口端に接続された給湯管と、バイパス路とを有し、このバイパス路を上記受熱管と並列をなして給水管と給湯管に接続してなる給湯系配管と、(ニ)上記給湯管において、上記バイパス路との接続点より上流側と下流側にそれぞれ設けられた熱交出口温度センサおよび出湯温度センサと、(ホ)上記給水管に設けられた給水温度センサと、(ヘ)上記熱交出口温度センサおよび出湯温度センサでの検出温度を含む情報に基づいて上記熱発生部を含む構成要素を制御する制御部と、を備えた給湯装置において、
上記制御部は、上記熱発生部を制御して給湯を実行している際に、上記熱交出口温度センサと出湯温度センサの一方での検出温度と、上記給水温度センサでの検出温度と、上記熱交換部からの湯と上記バイパス路からの水との混合比に基づいて、上記熱交出口温度センサと出湯温度センサの他方を通過する湯の温度を演算し、この演算値と当該他方の温度センサでの検出温度とを比較し、その差が閾値以上の場合には少なくとも一方の温度センサの故障であると判断することを特徴とする。
【0006】
請求項2は、請求項1に記載の給湯装置において、さらに、上記給湯系配管にフローセンサを設け、上記制御部は、少なくとも一方の温度センサの故障であると判断した時には、さらに、熱発生部での発熱量と、フローセンサで検出される流量と、給水温度センサで検出される給水温度を含む情報に基づいて、熱交出口温度センサと出湯温度センサのいずれか一方を通過する湯の温度を演算し、この演算値を当該一方の温度センサでの検出温度と比較し、この演算値と検出温度の差が閾値以上の場合には当該一方の温度センサが故障であると判断し、この演算値と検出温度の差が閾値より小さい場合には、他方の温度センサが故障であると判断することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の給湯装置において、上記制御部は、上記演算値と上記他方の温度センサでの検出温度の差が閾値以上の場合には、上記熱交出口温度センサが故障であると判断することを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、(イ)熱発生部と、(ロ)上記熱発生部からの熱を受ける熱交換部と、(ハ)上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、この受熱管の出口端に接続された給湯管と、バイパス路とを有し、このバイパス路を上記受熱管と並列をなして給水管と給湯管に接続してなる給湯系配管と、(ニ)上記給湯管において、上記バイパス路との接続点より上流側と下流側にそれぞれ設けられた熱交出口温度センサおよび出湯温度センサと、(ホ)上記給水管に設けられた給水温度センサと、(ヘ)上記出湯温度センサでの検出温度に基づいて上記熱発生部をフィードバック制御することにより熱発生部を制御する制御部と、を備えた給湯装置において、
上記制御部は、熱発生部を制御して給湯を実行している際に、上記出湯温度センサでの検出温度が安定した状態で、この検出温度と設定温度とを比較し、両者の差が閾値を超えている場合に、この出湯温度センサが故障であると判断し、上記比較において上記出湯温度センサでの検出温度と設定温度の差が閾値以内である場合には、上記熱交出口温度センサでの検出温度と、上記給水温度センサでの検出温度と、熱交換部からの湯とバイパス路からの水の分配比に基づいて出湯温度センサを通過する湯の温度を演算し、この演算値と設定温度とを比較し、両者の差が閾値以上である場合には、熱交出口温度センサと出湯温度の少なくとも一方の故障と判断することを特徴とする。
【0008】
請求項5の発明は、請求項4に記載の給湯装置において、上記給湯系配管にフローセンサを設け、上記制御部は、フローセンサで検出される流量と、給水温度センサで検出される給水温度と、設定温度に基づいて、フィードフォワード出力分を演算し、上記出湯温度センサで検出される出湯温度と設定温度との差に基づいてフィードバック出力分を演算し、両者を加算した制御値に基づいて上記熱発生部を制御し、しかも、上記制御部は、上記演算値と設定温度が閾値以上相違している場合に、上記制御値とフィードフォワード出力分の差が閾値より大きいか否かを判断し、小さい場合には出湯温度センサが正常で熱交出口温度センサが故障と判断し、大きい場合には出湯温度センサが故障で熱交出口温度センサが正常であると判断することを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の給湯装置において、上記給湯系配管において、上記パイパス路と、バイパス路と並列をなす回路の少なくとも一方に流量制御弁を設け、上記制御部は、給湯初期に上記熱交出口温度センサでの検出温度を含む情報に基づいて上記流量制御弁を制御することにより、熱交換部からの湯とバイパス路からの水を混合するミキシング制御を行い、その後で上記出湯温度センサでの検出温度を含む情報に基づいて通常の給湯制御を行い、この通常の給湯制御において、上記故障検出を実行することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6記載の給湯装置において、上記制御部は、上記熱交出口温度センサの故障と判断した場合、上記出湯温度センサでの検出温度に基づいてミキシング制御を実行することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6または7に記載の給湯装置において、上記制御部は、上記出湯温度センサが故障であると判断した場合に、通常の給湯制御において、熱交出口温度センサでの検出温度に基づいて出湯温度センサを通過する湯の温度を演算し、この演算値に基づいて熱発生部を制御することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の給湯装置において、上記制御部での故障検出を記憶する記憶部と、表示部と、表示指令部とを有し、この表示指令部での操作に応答して、上記表示部が上記記憶部に記憶された故障検出の履歴を表示することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、ガス給湯装置を示す。この給湯装置は、缶(図示しない)の下部にガスバーナ1(燃焼部,熱発生部)を収納し、上部に熱交換部2を収納することにより、構成されている。缶の底部には、燃焼空気を供給するためのファン(図示しない)が設けられている。上記バーナ1へガスを供給する手段は、ガス管3と、このガス管3に設けられた電磁開閉弁4と電磁比例弁5とを有している。バーナ1の近傍には点火機構(図示しない)が配置されている。
【0011】
上記熱交換部2に受熱管11が貫通している。この受熱管11の入口端には、給水管12が接続され、出口端には給湯管13が接続されており、これにより、給湯系配管10が構成されている。給湯管13の末端には給湯栓14が設けられている。これら給水管12と給湯管13との間には、受熱管11と並列をなす2本のバイパス管15,16(バイパス路)が接続されている。図において、バイパス管15と給水管12,給湯管13との接続点を符号P1,P2で表し、バイパス管16と給水管12,給湯管13との接続点を符号P3,P4で表わす。
熱交換部2に近い方のバイパス管15は、弁等を装備せず、接続点P1を通過した水は、所定の割り合いで受熱管11とバイパス管15に別れ、接続点P2で再び合流するようになっている。
【0012】
給湯管13には、接続点P2,P4間において流量制御弁GM1が設けられている。また、熱交換部15から遠い方のバイパス管16にも流量制御弁GM2が設けられている。
上記給湯系配管10には2つのフローセンサQ1,Q2が装備されている。フローセンサQ1は、給水管12において接続点P1,P3間に設けられている。フローセンサQ2は、給湯管13において接続点P4と給湯栓14との間に設けられている。
【0013】
上記給湯系配管10には、給水温度センサTIN,熱交出口温度センサTOUT,出湯温度センサTMIXが設けられている。給水温度センサTINは、接続点P3より上流側の給水管12に設けられている。熱交出口温度センサTOUT(給湯側温度センサ)は、受熱管11(熱交換部2)の出口端近傍(給湯管13において接続点P2より上流側)に設けられている。出湯温度センサTMIX(給湯側温度センサ)は、接続点P4の下流側の給湯管13に設けられている。
【0014】
給湯装置は、制御部50と、記憶部55と、リモートコントローラ60とを備えている。この制御部50は、ガス供給手段の電磁開閉弁4,電磁比例弁5と、点火機構と、ファンと、流量制御弁GM1,GM2とを制御するものである。この制御部50には、種々の検出手段からの検出信号が入力される。検出手段としては、前述した温度センサTIN,TOUT,TMIXや、フローセンサQ1,Q2がある。以下の説明において、これらセンサの検出値には、センサの符号と同番号を付すことにする。記憶部55は、後述する故障検出の履歴(エラーコード)を記憶する。
リモートコントローラ60は、設定温度を入力する温度入力部61と、設定温度やエラーコード等を表示する表示部62と、エラーコード表示を指令するための表示指令部63とを有している。
【0015】
上記構成の給湯装置において、制御部50で実行される給湯制御について説明する。給湯栓14を開くと、給水管12,受熱管11,給湯管13の順に水が流れる。給水管12に設けられたフローセンサQ1がこの水流を検出し、この検出信号に応答して制御部50が、電磁開閉弁4を開くとともに点火動作を行うことにより、バーナ1での燃焼が開始される。その結果、熱交換部2が加熱され、ひいては受熱管11を通る水が加熱され、湯となって給湯栓14から吐出される。
【0016】
通常の給湯制御では、流量制御弁GM2は全閉となっている。制御部50は、フローセンサQ1で検出された流量と、給水温度センサTINで検出された給水温度と、リモートコントローラ60で設定された設定温度TSとに基づいてフィードフォワード制御成分を演算し、出湯温度センサTMIXで検出された出湯温度と上記設定温度TSに基づいてフィードバック制御成分を演算する。そして、このフィードフォワード制御成分にフィードバック制御成分を加算した制御値に基づいて、電磁比例弁5の開度を制御し、燃焼熱量(発熱量)を制御する。これにより、給湯栓14から吐出される湯の温度すなわち出湯温度を、高精度で設定温度TSにすることができる。
【0017】
なお、流量制御弁GM1は基本的には全開位置にある。しかし、設定温度が高く給湯栓14の開度が大きい場合には、器具の最大能力をオーバーすることがあり、この場合には、出湯温度を設定温度にするために、流量制御弁GM1の開度を小さくして流量を絞ることもある。
上記通常の給湯制御では、バイパス管16からの水は遮断されているが、受熱管11からの湯は、バイパス管15からの水と混合されて出湯されるので、受熱管11内の湯の温度を設定温度TSより高くした状態で燃焼制御を行うことができる。
【0018】
上記給湯制御は、給湯栓14が閉められて、フローセンサQ1で水流が検出されなくなった時点で終了する。給湯制御の終了後、熱交換部2に蓄えられた熱により、給湯系配管10の受熱管11の滞留水が非常に高い温度まで上昇する。そのため、給湯の初期には、バイパス管15からの水を混合しただけでは、設定温度TSを遥かに越える温度が出湯されることがある。そこで、上記通常の給湯制御に先立って、ミキシング制御をする必要がある。
【0019】
上記ミキシング制御では、流量制御弁GM2を開いてバイパス管16の水をも混合し、出湯温度を設定温度まで下げる。すなわち、熱交出口温度センサTOUTで検出された温度に基づいて、流量制御弁GM1,GM2の開度を調節して適切な湯水混合比を得、これにより出湯温度を設定温度TSにする。
詳述すると、温度センサTINで検出される給水温度と、熱交出口温度センサTOUTで検出される熱交換部2の出口温度と、リモートコントローラ60で設定された設定温度TSに基づいて、接続点P4に向かう給湯管13からの湯とバイパス管16からの水の目標混合比すなわち目標流量比を演算し、この目標流量比が得られるように、流量制御弁GM1,GM2の開度を制御する。なお、この目標流量比は、上記熱交換部2の出口温度TOUTの情報だけに基づいて求めてもよい。
【0020】
上記開度制御は、フローセンサQ1,Q2からの検出流量Q1,Q2に基づいて行う。接続点P4に向かう給湯管13からの湯の流量は、Q1で表すことができる。また、バイパス管16からの水の流量は、(Q2−Q1)で表すことができる。制御部50は、フローセンサQ1,Q2の検出流量から次式に基づいて演算された実際の流量比Rrを、上記目標流量比に一致させるように、流量制御弁GM1,GM2の開度を制御する。
Rr=(Q2−Q1)/Q1 ・・・(1)
例えば、実際の流量比Rrが目標流量比より小さい場合には、バイパス側の流量(Q2−Q1)を増やすべく流量制御弁GM2の開度を大きくし、熱交換部2からの流量Q1を減少させるべく流量制御弁GM1の開度を小さくする。これとは逆に、実際の流量比Rrが目標流量比より大きい場合には、バイパス側の流量を減少させるべく流量制御弁GM2の開度を小さくし、熱交換部2からの流量を増やすべく流量制御弁GM1の開度を大きくする。
【0021】
上記のような給湯初期のミキシング制御により、湯と水の混合を適切に行い、受熱管11の滞留湯に起因した出湯温度のオーバーシュートや、バイパス管16側の水を過剰に混合することに起因したアンダーシュートを抑制して、出湯温度を設定温度にすることができる。
また、このミキシング制御に際しては、バイパス側の流量制御弁GM2の開度制御のみならず、これと平行して熱交換部2側の流量制御弁GM1を逆方向に開度制御することにより、湯と水の混合比を迅速に適切な比にすることができ、より一層確実にオーバーシュートやアンダーシュートを抑制できる。
【0022】
上記ミキシング制御は、所定時間経過または出湯温度の安定確認により終了し、上述した通常の給湯制御に移行する。
なお、上記ミキシング制御は、給湯初期において、受熱管11に設けた温度センサ(図示しない)での検出温度または温度センサTOUTでの検出温度が、所定温度例えば55°C以上である場合にのみ実行する。
【0023】
次に、上記制御部50による温度センサTOUT,TMIX,TINの故障検出,特に熱交出口温度センサTOUTについて、図2を参照して説明する。上記給湯開始時点で、温度センサTOUT,TMIX,TINの出力をチェックし、そのオープン故障とショート故障の有無をチェックする(ステップ101)。次に、前述のミキシング制御を行なった後で(102)、通常の給湯制御(103)に移行する。
【0024】
上記通常の給湯制御の最中に、熱交出口温度センサTOUTが故障して、固定の中間値を出力したままの状態になっているか否かを判断する。詳述すると、出湯温度センサTMIXと給水温度センサTINの検出温度を次式に代入して、熱交出口温度センサTOUTを通過する湯の温度TOUT’を演算する(ステップ104)。
TOUT’=(TMIX−TIN・XBP)/XHE ・・・(2)
ここで、XHE,XBPは、接続点P4より下流側の湯の流量を1とした時の、熱交換部2を流れる流量と、熱交換部2を迂回する流量(バイパス管15を流れる流量)とを、それぞれ表し、ともに固定値である。すなわちXHE:XBPが接続点P2での混合比である。なお、通常の給湯制御では、流量制御弁GM2が閉じているので、バイパス管16を流れる水による混合の影響は考慮しなくてよい。
【0025】
次に、熱交出口温度センサTOUTで検出された温度と、上記演算値TOUT’とを比較し(ステップ105)、両者の差が閾値αより小さい場合には、両者が一致すると判断し、閾値α以上の場合には、両者が相違すると判断する。両者が相違すると判断した時には、熱交出口温度センサTOUTの故障に対応するエラーコードを記憶部55に書き込む(ステップ106)。
【0026】
本実施形態では、上記熱交出口温度センサTOUTが故障であると判断した場合でも、給湯を継続し、この給湯終了後の再給湯開始時には、記憶されたエラーコードに基づき、前述と異なるミキシング制御を行なう。すなわち、出湯温度センサTMIXの検出温度をフィードバック情報として用い、この検出温度TMIXが設定温度TSになるように、流量制御弁GMI,GM2を制御するのである。このようなミキシング制御は、上述した熱交出口温度センサTOUTの検出温度に基づく制御に比べて応答性が悪く、オーバーシュートが出る可能性があるが、ミキシング制御なしで給湯制御を行う場合に比べれば、応答性が良くオーバーシュートを抑制することができる。
なお、ステップ101でいずれかの温度センサの故障検出がなされた時には、給湯を停止してもよいし、他の情報で置き換えて給湯を継続してもよい。
【0027】
上記熱交出口温度センサTOUTの故障に対応するエラーコードは、表示部62で常時表示せず、給湯開始時点のみ、または修理作業者が表示指令部63を操作した時にのみ、表示する。すなわち、隠しエラーとする。修理作業者は、このエラーコードにしたがって、熱交出口温度センサTOUTを交換する。なお、この故障検出から交換までの間は、上述のように通常給湯やミキシング制御を行うので、不便が生じない。
なお、上記熱交出口温度センサTOUTの故障が検出された時には、リモートコントローラ60の表示部62にエラーコードを表示させ、給湯(すなわち燃焼)を停止し、再び給湯栓14を開いた時でもミキシング制御を禁じるようにしてもよい。
【0028】
上記実施形態では、熱交出口温度センサTOUTが出湯温度センサTMIXよりも高い温度の湯にさらされるため、式(2)で求めた演算値TOUT’と検出温度TOUTが相違した時に、熱交出口温度センサTOUTの故障と判断したのであるが、出湯温度センサTMIXの故障の可能性も残されている。そこで、上記相違があった時には、熱交出口温度センサTOUTの故障と特定せず、熱交出口温度センサTOUT,出湯温度センサTMIXのいずれか一方または両方の故障として、それに対応するエラーコードを記憶するようにしてもよい。
【0029】
また、式(2)で求めた演算値TOUT’と検出温度TOUTが相違した時に、すなわちステップ105で否定判断した時に、図3に示すように、他の情報に基づいて熱交出口温度センサTOUTと出湯温度センサTMIXのいずれが故障したのかを特定してもよい。すなわち、給水温度センサTINの検出温度と、フローセンサQ1の検出流量と、熱交換部2での吸収熱量Hとを次式に代入して、熱交出口温度センサTOUTを通過する湯の温度TOUT”を演算する(ステップ107)。
TOUT”=H/(Q1・XHE)+TIN ・・・(3)
ここで吸収熱量Hは、比例弁5への供給電流値Iによって決定される燃焼熱量に、熱効率を乗じることにより得られるものであり、供給電流値Iに基づいてROM上の号数マップから求める。また、(Q1・XHE)は、熱交換部2での流量である。
この演算値TOUT”と検出温度TOUTとを比較し(ステップ108)、相違する時にはこの熱交出口温度センサTOUTの故障と特定し、一致する場合には出湯温度センサTMIXの故障と特定し、それぞれに対応するエラーコードを記憶するのである(ステップ109,110)。
【0030】
さらに、式(3)で求めた演算値TOUT”と検出温度TOUTの比較だけ(図3のステップ108参照)で、熱交出口温度センサTOUTの故障を検出してもよい。
上述のように、熱交出口温度センサTOUTの故障を式(3)で求めた演算値TOUT”と検出温度TOUTの比較だけで、検出する場合、出湯温度センサTMIXの故障検出を独立して実行してもよい。詳述すると、出湯温度センサTMIXを通過する湯の温度TMIX”は次式(4)で表すことができる。
TMIX”=T OUT ”・XHE+TIN・XBP ・・・(4)
式(4)に式(3)を代入すると次式になる.
TMIX”=(H/Q1+TIN・XHE)+TIN・XBP ・・・(5)
式(4)または(5)で求めた演算値TMIX”と検出温度TMIXとを比較して、相違する時にはこの出湯温度センサTMIXの故障と判断するのである。
【0031】
上記温度センサTMIX,TOUTの相互監視の他の態様として、図4に示すような故障検出を行ってもよい。詳述すると、次式に基づいて、出湯温度センサTOUTを通過する湯の温度TMIX’を演算する(ステップ104A)。
TMIX’=TOUT・XHE+TIN・XBP ・・・(6)
次に、式(6)で求めた演算値TMIX’すなわち熱交出口温度センサTOUTでの検出温度に基づく演算値と、出湯温度センサTMIXでの検出温度を比較し(ステップ105A)、相違している場合には、上述の式(4)または(5)により演算値TMIX”を求め(ステップ107A)、この演算値TMIX”と検出温度TMIXとを比較し(ステップ108A)、相違している場合には出湯温度センサTMIXの故障と判断して対応するエラーコードを書き込み(ステップ109A)、一致している場合には熱交温度センサTOUTの故障と判断して対応するエラーコードを書き込む(ステップ110A)。
【0032】
なお、図3において、ステップ108の代わりに図4のステップ108Aを実行してもよいし、図4においてステップ108Aの代わりに図3のステップ108を実行してもよい。
なお、図4において、ステップ105Aの否定判断の後、ステップ107A,108A〜110Aの代わりに、熱交出口温度センサTOUTと出湯温度センサTMIXのいずれかまたは両方の故障であることを示すエラーコード書き込みを行ってもよい。
【0033】
特殊な要因により、熱交出口温度センサTOUTに比べて出湯温度センサTMIXの方が故障の可能性が遥かに高い場合には、ステップ105,105Aでの否定判断の後、出湯温度センサTMIXの故障を表すエラーコードの書き込みを行ってもよい。
【0034】
出湯温度センサTMIXが故障と判断した時には、式(6)に、検出された熱交換部2の出口温度TOUTを代入して、演算による出湯温度TMIX’を求め、この出湯温度TMIX’が設定温度TSになるようにフィードバック出力分を演算し、このフィードバック出力分を前述と同様にフィードフォワード出力分に加算して、通常の給湯制御を実行する。なお、この場合にも、熱交出口温度センサTOUTの故障時と同様に隠しエラーとする。
【0035】
さらに、他の故障検出の実施形態について図5を参照しながら説明する。この実施形態では、設定温度TSの情報を用いる。
詳述すると、出湯温度センサTMIXが安定か否かを判断し(ステップ120)、肯定判断の場合、検出温度TMIXと設定温度TSの差が閾値x以内か否かを判断する(ステップ121)。ここで閾値xを越えるなら、出湯温度センサTMIXの故障と判断し、対応するエラーコードを書き込む(ステップ126)。すなわち、通常制御では、出湯温度センサTMIXの安定は、前述したフィードバック演算によりこの出湯温度センサTMIXを通る湯の温度が設定温度TSにほぼ一致したことを意味している。したがって、検出温度TMIXがこの設定温度TSと比較して一致していない場合には、出湯温度センサTMIXが故障であると即断できるわけである。
【0036】
上記ステップ121で肯定判断となるのは、出湯温度センサTMIXが正常で安定したフィードバック制御の結果、その検出温度TMIXが設定温度TSと一致する場合と、出湯温度センサTMIXが偶然にも設定温度TSと実質的に同じ抵抗値で故障している場合とが考えられる。そこで、次に式(6)により熱交出口温度センサTOUTでの検出温度を用いて、出湯温度センサTMIXを通過する温度の演算値TMIX’を求め、これを設定温度TSと比較する(ステップ123)。両者が一致する場合には、出湯温度センサTMIXが正常(勿論熱交出口温度センサTOUTも正常)と判断し、通常の給湯制御(ステップ103)に戻る。
【0037】
ステップ123で相違していると判断するのは、出湯温度センサTMIXが偶然にも設定温度TSで一致した抵抗値で故障している場合か、熱交出口温度センサTOUTが故障している場合かのいずれかである。そこで、比例弁5への供給電流値Hとそのフィードフォワード出力分FFを比較し(ステップ124)、そのずれが小さい場合には、出湯温度センサTMIXが正常で熱交出口温度センサTOUTの故障であると判断し、この熱交出口温度センサTOUT故障のエラーコードを書き込む(ステップ125)。また、そのずれが大きい場合には、これとは逆の判断を行い、出湯温度センサTMIX故障のエラーコードを書き込む(ステップ126)。
【0038】
なお、上記実施形態において、出湯温度センサTMIX故障の時には、熱交出口温度センサTOUTの検出温度を用いて通常の給湯制御を行い、熱交出口温度センサTOUT故障の時には、出湯温度センサTMIXの検出温度を用いてミキシング制御を行うことができる点が、前述の実施形態と同様である。
図5の実施形態において、ステップ123を省いてもよい。この場合、ステップ124での肯定判断は熱交出口温度センサの故障を意味しない。
【0039】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の形態を採用することができる。例えば、バイパス管15は省いてもよい。
ミキシング制御を必要とする場合において、流量制御弁GM1,GM2のいずれか一方を省いてもよい。
ミキシング制御が不要の場合には、バイパス管15を残し、バイパス管16,流量制御弁GM2を省いてもよい。この場合、熱交出口温度センサTOUTは、給湯制御において熱交換部2からの異常高温を監視するために用いる。
本発明は、給湯と他用途(追焚等)の2つの機能を有する1缶2水路型(複機能型)の給湯装置にも適用できる。この場合には、ガスバーナと熱交換部が共通であるので、追焚を単独実行している際に、給湯系配管の受熱管の滞留水が非常に高い温度になり、給湯初期のミキシング制御を必要とする。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、給湯管に設けられた熱交出口温度センサと出湯温度センサの検出温度に基づき、少なくとも一方の故障を検出できる。
請求項2の発明によれば、発熱量等に基づき、熱交出口温度センサと出湯温度センサのいずれが故障したかを特定することができる。
請求項3の発明によれば、故障の可能性を考慮し、他の演算を要せずに、熱交出口温度センサの方を優先して故障と特定できる。
請求項4の発明によれば、設定温度との比較により、出湯温度センサの故障を即座に検出できる。また、出湯温度センサの検出温度が設定温度と一致した状態で故障しても、熱交出口温度センサでの検出温度等に基づく演算値と設定温度との比較により、いずれかの温度センサの故障として検出できる。
請求項5の発明によれば、制御値とフィードフォワード出力分との比較により、出湯温度センサと熱交出口温度センサのいずれの故障かを特定できる。
請求項6の発明によれば、ミキシング制御でなく通常の給湯制御の際に故障検出を行うので、安定した状態で正確に故障検出をすることができる。
請求項7の発明によれば、熱交出口温度センサの故障検出があっても出湯温度センサの検出温度に基づいてミキシングを行うことができ、熱交出口温度センサの修理や交換までの期間も、不便が生じない。
請求項8の発明によれば、出湯温度センサの故障検出があっても熱交出口温度センサの検出温度に基づいて給湯制御を行うことができ、出湯温度センサの修理や交換までの期間も、不便が生じない。
請求項9の発明によれば、故障検出を常時表示せず、表示指令部の操作に応答して表示するので、ユーザーに不安を与えない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる給湯装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】温度センサ故障検出の態様の一つを示すフローチャートである。
【図3】温度センサ故障検出の他の態様を示すフローチャートである。
【図4】温度センサ故障検出のさらに他の態様を示すフローチャートである。
【図5】温度センサ故障検出のさらに他の態様を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ガスバーナ(熱発生部)
2 熱交換部
10 給湯系配管
11 受熱管
12 給水管
13 給湯管
15,16 バイパス管
50 制御部
55 記憶部
60 リモートコントローラ
61 温度入力部
62 表示部
63 表示指令部
GM1,GM2 流量制御弁
TIN 給水温度センサ
TOUT 熱交出口温度センサ(給湯側温度センサ)
TMIX 出湯温度センサ(給湯側温度センサ)
Q1,Q2 フローセンサ
Claims (9)
- (イ)熱発生部と、
(ロ)上記熱発生部からの熱を受ける熱交換部と、
(ハ)上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、この受熱管の出口端に接続された給湯管と、バイパス路とを有し、このバイパス路を上記受熱管と並列をなして給水管と給湯管に接続してなる給湯系配管と、
(ニ)上記給湯管において、上記バイパス路との接続点より上流側と下流側にそれぞれ設けられた熱交出口温度センサおよび出湯温度センサと、
(ホ)上記給水管に設けられた給水温度センサと、
(ヘ)上記熱交出口温度センサおよび出湯温度センサでの検出温度を含む情報に基づいて上記熱発生部を含む構成要素を制御する制御部と、
を備えた給湯装置において、
上記制御部は、上記熱発生部を制御して給湯を実行している際に、上記熱交出口温度センサと出湯温度センサの一方での検出温度と、上記給水温度センサでの検出温度と、上記熱交換部からの湯と上記バイパス路からの水との混合比に基づいて、上記熱交出口温度センサと出湯温度センサの他方を通過する湯の温度を演算し、
この演算値と当該他方の温度センサでの検出温度とを比較し、その差が閾値以上の場合には少なくとも一方の温度センサの故障であると判断することを特徴とする給湯装置。 - さらに、上記給湯系配管にフローセンサを設け、
上記制御部は、少なくとも一方の温度センサの故障であると判断した時には、さらに、熱発生部での発熱量と、フローセンサで検出される流量と、給水温度センサで検出される給水温度を含む情報に基づいて、熱交出口温度センサと出湯温度センサのいずれか一方を通過する湯の温度を演算し、
この演算値を当該一方の温度センサでの検出温度と比較し、この演算値と検出温度の差が閾値以上の場合には当該一方の温度センサが故障であると判断し、この演算値と検出温度の差が閾値より小さい場合には、他方の温度センサが故障であると判断することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。 - 上記制御部は、上記演算値と上記他方の温度センサでの検出温度の差が閾値以上の場合には、上記熱交出口温度センサが故障であると判断することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
- (イ)熱発生部と、
(ロ)上記熱発生部からの熱を受ける熱交換部と、
(ハ)上記熱交換部を通る受熱管と、この受熱管の入口端に接続された給水管と、この受熱管の出口端に接続された給湯管と、バイパス路とを有し、このバイパス路を上記受熱管と並列をなして給水管と給湯管に接続してなる給湯系配管と、
(ニ)上記給湯管において、上記バイパス路との接続点より上流側と下流側にそれぞれ設けられた熱交出口温度センサおよび出湯温度センサと、
(ホ)上記給水管に設けられた給水温度センサと、
(ヘ)上記出湯温度センサでの検出温度に基づいて上記熱発生部をフィードバック制御することにより熱発生部を制御する制御部と、
を備えた給湯装置において、
上記制御部は、熱発生部を制御して給湯を実行している際に、上記出湯温度センサでの検出温度が安定した状態で、この検出温度と設定温度とを比較し、両者の差が閾値を超えている場合に、この出湯温度センサが故障であると判断し、
上記比較において上記出湯温度センサでの検出温度と設定温度の差が閾値以内である場合には、上記熱交出口温度センサでの検出温度と、上記給水温度センサでの検出温度と、熱交換部からの湯とバイパス路からの水の分配比に基づいて出湯温度センサを通過する湯の温度を演算し、この演算値と設定温度とを比較し、両者の差が閾値以上である場合には 、熱交出口温度センサと出湯温度の少なくとも一方の故障と判断することを特徴とする給湯装置。 - 上記給湯系配管にフローセンサを設け、上記制御部は、フローセンサで検出される流量と、給水温度センサで検出される給水温度と、設定温度に基づいて、フィードフォワード出力分を演算し、上記出湯温度センサで検出される出湯温度と設定温度との差に基づいてフィードバック出力分を演算し、両者を加算した制御値に基づいて上記熱発生部を制御し、
しかも、上記制御部は、上記演算値と設定温度が閾値以上相違している場合に、上記制御値とフィードフォワード出力分の差が閾値より大きいか否かを判断し、小さい場合には出湯温度センサが正常で熱交出口温度センサが故障と判断し、大きい場合には出湯温度センサが故障で熱交出口温度センサが正常であると判断することを特徴とする請求項4に記載の給湯装置。 - 上記給湯系配管において、上記パイパス路と、バイパス路と並列をなす回路の少なくとも一方に流量制御弁を設け、
上記制御部は、給湯初期に上記熱交出口温度センサでの検出温度を含む情報に基づいて上記流量制御弁を制御することにより、熱交換部からの湯とバイパス路からの水を混合するミキシング制御を行い、その後で上記出湯温度センサでの検出温度を含む情報に基づいて通常の給湯制御を行い、この通常の給湯制御において、上記故障検出を実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の給湯装置。 - 上記制御部は、上記熱交出口温度センサの故障と判断した場合、上記出湯温度センサでの検出温度に基づいてミキシング制御を実行することを特徴とする請求項6に記載の給湯装置。
- 上記制御部は、上記出湯温度センサが故障であると判断した場合に、通常の給湯制御において、熱交出口温度センサでの検出温度に基づいて出湯温度センサを通過する湯の温度を演算し、この演算値に基づいて熱発生部を制御することを特徴とする請求項6または7に記載の給湯装置。
- 上記制御部での故障検出を記憶する記憶部と、表示部と、表示指令部とを有し、この表示指令部での操作に応答して、上記表示部が上記記憶部に記憶された故障検出の履歴を表示することを特徴とする請求項7または8に記載の給湯装置。
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