JP3833563B2 - 耐光堅牢性に優れた感温変色性組成物 - Google Patents
耐光堅牢性に優れた感温変色性組成物 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感温変色性組成物の耐光性の改善に関する。詳細には、感温変色性組成物に特定の構造を有する耐光性向上剤を添加することにより、紫外線、可視光、及び光酸化に対する安定性を向上させることに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ロイコ色素(電子供与性化合物)、顕色剤(電子受容性化合物)、及び呈色反応の生起温度を制御する変色温度調整剤の3成分からなる感温変色性組成物に関しては、米国特許3,560,229号公報や特公昭62−28990号公報等により公知であり、又上記変色特性において昇温時と降温時に履歴現象が為されること等も、前記米国特許公報をはじめ特開平7−40660号公報等により公知である。
又、感温変色性組成物に紫外線吸収剤、一重項酸素消光剤、酸化防止剤等を添加し耐光性を向上させることにおいても、前記公報等において公知となっている。
【0003】
しかしながら、従来知られている耐光性向上剤は、紫外線に対する安定化を目的としたサリチル酸フェニル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の有機の紫外線吸収剤、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム等の無機の紫外線吸収剤;βカロチン、第三級アミン、ニッケル又は銅のクェンチャー等の一重項酸素消光剤;ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤等が挙げられるが、従来知られているいずれの添加剤を用いたとしても、感温変色性組成物の耐光性を著しく改善することはできなかった。
即ち、従来技術の前記の3成分からなる感温変色性組成物の耐光性を向上させることは困難であり、現状は短時間の紫外線や可視光線によって感温変色性組成物は分解又は酸化を受け、著しく発色濃度が低下したり、消色時の残色が強く現れ、感温変色性組成物の本来の可逆的な消発色機能を直射日光又は蛍光灯下に、長期間安定に保つことが困難であって、暗所又は薄暗い室内でしか長期間安定に保たれなかった。
その結果、感温変色性組成物の各用途は、室内向けのものに限られていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、紫外線及び可視光に対する優れた耐光堅牢性を有した感温変色性組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、これ等要因に対し複合的に効果のある、特定の構造を有する耐光性向上剤を発見し、該剤を感温変色性成分に添加することにより、紫外線、可視光及びそれ等による光酸化の影響が少なく、長期に優れた耐光性を有する感温変色性組成物が得られるということを知り、更に研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、以下の構成からなるものである。
1.ロイコ色素及び顕色剤、又は更に変色温度調整剤を有効成分とする感温変色性組成物において、化1又は化2で示される化合物からなる耐光性向上剤を含有することを特徴とする感温変色性組成物。
2.上記1記載の感温変色性組成物に、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を含んでなる感温変色性組成物。
3.マイクロカプセルに内包させてなる上記1又は2記載の感温変色性組成物。
4.上記3記載のマイクロカプセル化した感温変色性組成物表面を樹脂で被覆した感温変色性組成物。
5.マイクロカプセル化した上記3又は4記載の感温変色性組成物を水溶性固着剤又は油溶性固着剤に分散させてなる感温変色性インキ組成物。
6.マイクロカプセル化した上記3又は4記載の感温変色性組成物と熱可塑性樹脂を加熱溶融分散してなる感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
7.上記5記載の感温変色性インキ組成物、又は請求項6記載の感温変色性マスターバッチ若しくはカラーペレット組成物に、化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を配合してなる感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
8.ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体が、分子量3000以上のものである上記7記載の感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
9.ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を0.1〜40%の範囲で配合した上記7又は8記載の感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
10.上記5、7、8又は9記載の感温変色性インキ組成物を塗工した感温変色性インキ塗工物。
11.上記6、7、8又は9記載の感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物から成型された成型物又は糸状物。
【0007】
なお、本発明の塗工物とは、印刷物、コーティング物、塗装物、筆記物等の塗工物をいう。
【0008】
従来の光安定剤は、以下のような問題点を有していた。
(イ)紫外線に対して、紫外線吸収剤としての効果は認められるが、紫外線或いは可視光によって生じる光酸化に対しては効果を発揮するものではなかった。
即ち、従来の感温変色性組成物の構成成分は、紫外線での分解のみならず、可視光での分解、及び紫外線、可視光によって二次的に発生する酸素ラジカルによる光酸化による酸化劣化が生起するため、感温変色性組成物の本来の機能である可逆的な温度による色変化機能が短時間で失われるという欠点があった。
(ロ)従来の紫外線吸収剤は低分子であるため、該剤をマイクロカプセル系外に多量に添加すると、経時的にマイグレーションし、製品表面に結晶として析出し、商品価値を損ねると言う欠点を有していた。
【0009】
これに対して、本発明は、以下のような方策により、その解決を図った。
1)問題点(イ)に対して
本発明は、前記の化1又は化2の化合物からなる耐光性向上剤を用いることにより、その解決を図った。
また、本発明は、上記の化合物からなる耐光性向上剤と共に、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を併用することにより、更なる耐光性の向上を達成した。
【0010】
2)問題点(ロ)に対して
本発明は、従来の低分子紫外線吸収剤の分子量を高分子化する、即ち、該吸収剤に特定の化合物を付加して、その分子量を3000以上のものにすると、マイクロカプセル系外に多量に添加しても、従来のように、マイグレーションを起こさないという意外な事実を発見した。
【0011】
このような事実の知見に基づいて、本発明は、前記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を用いることにより、従来のような、経時的なマイグレーションを防止した。
以上のように、本発明は、従来の感温変色性組成物に、特定の耐光性向上剤、又は更には特定の紫外線吸収剤を併用することにより、従来にはない、紫外線、可視光及び光酸化に対する安定性を有する感温変色性組成物を得たものである。
【0012】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、(A)ロイコ色素及び顕色剤、必要により変色温度制御剤、前記の化1又は化2の化合物からなる耐光性向上剤、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤等を構成成分とする感温変色性組成物、(B)マイクロカプセル化した該感温変色性組成物、(C)該感温変色性組成物からなる感温変色性インキ組成物とその塗工物(D)該マイクロカプセル化した感温変色性組成物からなる感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物とその成型物又は糸状物等からなる。
【0013】
以下、上記の(A)感温変色性組成物、(B)マイクロカプセル化した感温変色性組成物、(C)感温変色性インキ組成物とその塗工物(D)感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物とその成型物又は糸状物等について、説明する。
【0014】
(A)感温変色性組成物
本感温変色性組成物は、温度の変化に応じて、可逆的に変色するものであり、温度の上昇又は下降時において、変色挙動に履歴を伴う準可逆的なものも含まれる。
本感温変色性組成物は、(a)ロイコ色素、(b)顕色剤、(c)変色温度制御剤、(d)耐光性向上剤、(e)紫外線吸収剤等を構成成分とする。
【0015】
(a)ロイコ色素
本ロイコ色素は、電子供与性化合物からなるものであって、以下の顕色剤と呈色反応を生起して発色(変色)する成分であり、本発明では必須の成分である。
本色素としては、 無色又は淡色のロイコ色素を用いることができるが、該色素としては、感圧複写紙用色素、感熱記録紙用色素として通常知られているものやその他の感温変色性組成物を構成するロイコ色素として従来公知のもの等何れも用いることができ、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、フェノチアジン系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系、ローダミンラクタム系、トリフェニルメタン系、トリアゼン系、スピロフタランキサンテン系、ナフトラクタム系、アゾメチン系等の従来公知のものであればいかなるものも使用可能である。
このようなロイコ色素の具体例としては、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジブトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−クロロ−6−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7−フェニルアミノフルオラン、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチル)フェニル−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、2′−(2−クロロアニリノ)−6′−ジブチルアミノスピロ〔フタリド−3,9′−キサンテン〕等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
本発明においては、これらのロイコ色素を1種または2種以上組み合わせて用いることができ、これにより発色時の色彩を黄、橙、赤、桃、赤紫、紫、青、青緑、緑、茶、黒等の任意の色彩とすることができる。
【0016】
(b)顕色剤
本顕色剤は、電子受容性化合物からなるものであって、上記(a)のロイコ色素と呈色反応を生起して発色(変色)する成分であり、本発明では必須の成分である。
本顕色剤としては、例えば、トリアゾール類、フェノール類、ビスフェノール類、芳香族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸類、チオ尿素類、リン酸類、又はこれらのエステル類、エーテル類や金属塩類等の感圧・感熱複写紙用として知られているものを用いることができる
顕色剤は、顕色性物質を各単独で、あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることができる。その使用量は特に限定されないが、通常、ロイコ色素1重量部に対して、0.1〜1000重量部程度の範囲内で選択することができる。
【0017】
(c)変色温度制御剤
本発明の感温変色性組成物は、上記(a)のロイコ色素と(b)の顕色剤との2成分を必須成分とするものであるが、所望により、有機媒体からなる変色温度制御剤を更に添加することが好ましい。本変色温度制御剤を用いることにより、変色温度を自由に制御することができる。
本変色温度制御剤としては、この種の感温変色性組成物において、変色温度制御剤として使用されている、従来公知の有機媒体であれば何れも用いることができる。例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アマイド類、アゾメチン類、脂肪酸類、炭化水素類等の中から広範囲のものが選択できる。
【0018】
(d)耐光性向上剤
本耐光性向上剤は、前記の化1又は化2で示される化合物からなり、本発明の中核をなすものである。
具体的には、6−ヒドロキシ−2,7−ジメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,4,4,7−テトラメチルクロマン、6−メトキシ−2,7−ジメチルクロマン、6−メトキシ−2,4,4,7−テトラメチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−メチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−メチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2,4,4−トリメチルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−エチルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−エチルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−エチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−エチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−エチルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−エチルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−プロピルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−プロピルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−プロピルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−プロピルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−ブチルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−ブチルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−ブチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−ブチルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,7−ジメチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−2,4,4,7−テトラメチルチオクロマン、6−メトキシ−2,7−ジメチルチオクロマン、6−メトキシ−2,4,4,7−テトラメチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−メチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−メチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2,4,4−トリメチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−エチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−エチルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−エチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−エチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−エチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−エチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−プロピルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−プロピルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−ブチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−ブチルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルチオクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジメトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジメトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジエトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジプロポキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジプロポキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジメトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジメトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジエトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジプロポキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジプロポキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、5−ヒドロキシ−1−ブチル−3,3,6−トリメチルインダン、5−エトキシ−1−ブチル−3,3,6−トリメチルインダン、5−ヒドロキシ−2−ブチル−3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン、5−エトキシ−2−ブチル−3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン、5−ヒドロキシ−2−ブチル−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチオフェン、5−エトキシ−2−ブチル−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチオフェン、5−ヒドロキシ−7−ブチル−4−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン、5−エトキシ−7−ブチル−4−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン、5,5′−ジヒドロキシ−3,3−ジメチル−2,2′−スピロビインダン、5,5′−ジエトキシ−3,3−ジメチル−2,2′−スピロビインダン、5,5′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾフラン]、5,5′−ジエトキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾフラン]、5,5′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾチオフェン]、5,5′−ジエトキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾチオフェン]、5,5′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメチル−7,7′−スピロビ[ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン]、5,5′−ジエトキシ−4,4′−ジメチル−7,7′−スピロビ[ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン]等が挙げられる。
本耐光性向上剤の使用量は、感温変色性組成物に対し、0.1%〜20.0%の重量比で添加するのが良く、より好ましくは0.5%〜10.0%の重量比で添加するのが良い。0.1%未満の添加量では耐光性向上の効果が少なく、20.0%を超える添加量では変色の鋭敏性を損なうためである。
【0019】
(e)紫外線吸収剤
本紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物からなり、本発明では任意成分である。
本紫外線吸収剤は、それのみでも紫外線に対する安定効果はあるが、本発明の上記の耐光性向上剤と共に用いることにより、相乗的に光安定性が向上するという特性を有するものである。
本紫外線吸収剤の有効成分であるベンゾトリアゾール化合物としては、2−〔5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン−PS、チバガイギー(株)製〕、2−〔5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(a,a−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン328、チバガイギー(株)製〕、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300〔商品名:チヌビン1130、チバガイギー(株)製〕、2−〔3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300、2−〔3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン384、チバガイギー(株)製〕、2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−オクトキシ−フェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3′,4′,5′,6′−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、骨格にベンゾトリアゾール基を有し紫外線吸収効果を奏するものであれば、これ等のみに限定するものでない。
本紫外線吸収剤の使用量としては、感温変色性組成物に対し、0.1%〜30.0%の重量比の範囲で良く、より好ましくは1.0%〜25.0%の重量比の範囲が良い。0.1%未満の添加量では耐光性向上の効果が少なく、30.0%を超える添加量では変色の鋭敏性を損なうためである。
【0020】
(B)マイクロカプセル化した感温変色性組成物
上記の本発明の感温変色性組成物は、通常の染顔料類と同様にして、インク、塗料、合成樹脂等に均一に分散させて用いることが可能であるが、独立した微小閉鎖系内に本発明の組成物を内包して用いることが好ましい。
この目的を達成するためには、従来公知の各種マイクロカプセル化技法を適用することができる。
本感温変色性マイクロカプセルのマイクロカプセル化方法としては、従来の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法、in situ(インサイチュ)重合法、液中硬化被覆法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等を挙げることができる。但し、これ等に限定されることなく、又2種以上異なる方法を組み合わせて採用することもできる。
そして、マイクロカプセル化壁膜物質としては、例えば、ポリ尿素壁膜を形成するための多価アミンとカルボニル化合物、ポリアミド壁膜を形成するための多塩基酸クロライドと多価アミン、ポリウレタン壁膜を形成するための多価イソシアネートとポリオール化合物、エポキシ樹脂壁膜を形成するためのエポキシ樹脂化合物と多価アミン、メラミン樹脂壁膜を形成するためのメラミン・ホルマリンプレポリマー、メチロールメラミンプレポリマー、メチル化メラミンプレポリマー、尿素樹脂壁膜を形成するための尿素・ホルマリンプレポリマー、フェノール樹脂壁膜を形成するためのフェノール樹脂プレポリマー、ビニル系壁膜を形成するための酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等の各種モノマー類、ゼラチン、アラビアガム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができるが、これ等に限定されるものでなく、又2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。
更に、第一次マイクロカプセル壁膜を形成した後、再度、壁膜樹脂を被覆硬化して二重の壁膜とすることにより、マイクロカプセルの物理的強度を更に向上させても良い。
【0021】
(C)感温変色性インキ組成物とその塗工物
1)感温変色性インキ組成物
上記(B)のマイクロカプセル化された感温変色性組成物は、水溶性固着剤又は油溶性固着剤に配合することにより、感温変色性の水性インキ又は油性インキが得られる。
本発明の感温変色性の水性インキ又は油性インキには、前記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を配合することができる。
上記の紫外線吸収剤を添加することにより、感温変色性インキの耐光堅牢度をより向上させることができる。
効果的に紫外線から感温変色性色素を保護するため、マイクロカプセル系外に、多量のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する低分子量の紫外線吸収剤を添加すると、低分子量の紫外線吸収剤ではマイグレーションの問題が避けられなかったが、低分子量の紫外線吸収剤を、上記の化3で示すようなポリマー化を行い、これを添加すると、マイグレーションは生起せず、より効果的な紫外線に対する保護作用をはたすことが可能となった。
本紫外線吸収剤の配合量は、感温変色性インキに対して、重量比で0.1%〜40.0%、より好ましくは0.5%〜20.0%添加するのがよい。
なお、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する低分子量の紫外線吸収剤をインキ、マスターバッチ又はカラーペレットに多量に添加した場合は、表面にマイグレーションし商品価値を損ねることは前記した通りであるが、マイクロカプセル系内に添加した場合はその壁膜により保護され、添加する紫外線吸収剤が低分子量であっても、製品表面にマイグレーションし商品価値を損ねることはない。
【0022】
(水性インキ)
水溶性固着剤としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等のエマルジョン、それ等のモノマーやオリゴマーと増感剤をエマルジョン化し紫外線硬化或いは電子線硬化したもの、又はカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸共重合体等の水溶性の固着剤を用いることができるが、これ等に限定されるものでなく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
そして、上記の水性インキには、必要に応じて、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、触媒、増粘剤、光増感剤、不変色としての一般の有機顔料或いは無機顔料、体質顔料、蓄光性顔料、フォトクロミック色素、パール顔料、金属粉、金属石ケン等を添加することができる。
【0023】
(油性インキ)
マイクロカプセル化された感温変色性組成物を油溶性固着剤に配合して、感温変色性の油性インキが得られるが、感温変色性マイクロカプセルを水中で製造した場合には、該マイクロカプセルは、濾過及び乾燥して、油性インキに用いる。乾燥方法としては、特に方法を選ばず、スプレードライ或いはフリーズドライ法等の従来からの方法によって得ることができる。
油溶性固着剤としては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂等を有機溶剤に溶解したもの或いは加熱溶解したもの、又はそれらのモノマー及びオリゴマーと増感剤で紫外線硬化又は電子線硬化したものを用いることができるが、これ等に限定されるものでなく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、上記油性インキにも、必要に応じて、体質顔料、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、触媒、不変色として一般の有機顔料又は無機顔料、蓄光性顔料、フォトクロミック色素、パール顔料、金属粉、金属石ケン等を添加することができる。
【0024】
2)塗工物
本発明の塗工物は、印刷物、コーティング物、塗装物、筆記物等の塗工物をいうが、該塗工物は、本感温変色性インキ組成物を、印刷、コーティング、塗装、筆記等の手段を用いて、被対象物に適用することにより得ることができる。
【0025】
(印刷物)
上記のインキは、グラビア印刷、ロータリースクリーン印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、タンポ印刷、溶融印刷等の方法により、繊維、紙、プラスチックフィルム、プラスチック容器、金属、ガラス、不織布等に印刷することにより、長期に亘り優れた耐光堅牢性の感温変色性の印刷物が得られる。
【0026】
(コーティング物)
上記のインキは、ナイフコーター、コンマコーター、パッディング、ワイヤーコーター、リバースコーター、ロールコーター、溶融コート等によって、布、紙、プラスチックフィルム、金属等にコーティングすることによって、長期に亘り優れた耐光性の感温変色性のコーティング物が得られる。
【0027】
(塗装物)
上記のインキは、布、紙、プラスチック類、金属、ガラス、爪等にハンドスプレー、静電塗装又は刷毛塗装することによって、長期に亘り優れた耐光堅牢性の感温変色性の塗装物が得られる。
【0028】
(筆記物)
上記インキを用い、各種マーカーペン容器への充填、クレヨンの製造が可能であり、それら筆記具を用いて、布、紙、プラスチック類、ガラス類等に筆記することによって、長期に亘り、優れた耐光堅牢性の感温変色性の筆記物が得られる。
【0029】
(D)感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物とその成型物
1)感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物
本感温変色性のマスターバッチ又はカラーペレットは、前記(B)のマイクロカプセル化された感温変色性組成物を、熱可塑性の樹脂に配合することにより得ることができる。
この感温変色性のマスターバッチ又はカラーペレットに、上記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を配合することにより、耐光堅牢度をより向上させることができる。
本紫外線吸収剤の配合量は、感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット中に、重量比で0.1%〜40.0%、より好ましくは0.5%〜20.0%添加するのがよい。
なお、感温変色性マイクロカプセルを水中で製造した場合には、該マイクロカプセルを濾過及び乾燥して、パウダー状の感温変色性マイクロカプセルとして用いる。乾燥方法としては、特に方法を選ばず、スプレードライ又はフリーズドライ法等の方法によって得ることができる。
【0030】
(マスターバッチ)
マスターバッチは、高濃度に感温変色性マイクロカプセルを分散させたものであり、成型時には、通常の熱可塑性樹脂で希釈して用いる。
用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、スチレン樹脂、アクリルニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられるが、これ等に限定されるものでなく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、これ等に必要に応じて、体質顔料、ワックス、金属石ケン、不変色として有機顔料又は無機顔料、蓄光顔料、金属顔料、パール顔料、可塑剤、フォトクロミック色素等を併用することもできる。
【0031】
(カラーペレット)
カラーペレットは、そのまま成型する濃度に感温変色性マイクロカプセルを分散させたものである。
【0032】
2)感温変色性成型物
上記の感温変色性マスターバッチは、一般の熱可塑性樹脂で希釈して、また、感温変色性カラーペレットは、希釈することなく、通常の成型法、例えば、射出成型法や押し出し成型法により、所望の各種形状の成型物に成型することができる。又、押し出し成型後、延伸処理をなし、糸状物として、人形のヘア、刺繍糸等も得られる。得られた成型物は、長期に亘り、優れた耐光性を有する感温変色性のものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれ等に限定されるものではない。
以下の実施例において「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り、「重量部」、「重量%」を意味する。
【0034】
【実施例1】
200ccのビーカーに、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド1.5部、ビスフェノールA 3部、ラウリルパルミテート10部、セチルアルコール10部、及び本発明の耐光性向上剤としての6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン1部、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤(チヌビン326:チバガイギー(株)製)5部を入れ、100℃に加熱溶解させて、感温変色性溶液を調製した。
次いで、1リッターのビーカーに保護コロイド剤として、NaOHにて中和溶解させた10%メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合樹脂(GANTREZ AN−179:GAF CHEMICALS製)水溶液400部を入れ、95〜100℃に加熱した。得られた1リッター容器中の溶液を撹拌しながら、上記の感温変色性溶液を徐々に添加し、乳化した後撹拌機の速度を調整し、油滴の平均粒子径を2μに調整した。
調整後、撹拌を継続しながらカプセル膜剤として50%メチロールメラミン水溶液200部を徐々に添加し、4時間加熱撹拌して、耐光堅牢性に優れた感温変色性マイクロカプセルを得た。
得られた感温変色性マイクロカプセル溶液30部に、水溶性固着剤としてマツミンバインダーS(アクリル酸エステルエマルジョンを含んだクリヤーバインダー:(株)松井色素化学工業所製)60部、前記の化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤のエマルジョン重合体10部を混合し、水性の感温変色性インキを得た。
次いで、得られた感温変色性インキを80メッシュのスクリーン版を用いて綿ブロード上にプリント、乾燥して、目的とする耐光堅牢性に優れた感温変色性のプリント布を得た。
得られたプリント布は、35℃未満では青色を呈し、35℃以上では無色に可逆的に変化するものであった。
また、このプリント布をフェードメーター、日光暴露、蛍光灯により耐光堅牢性を試験した結果、下記の表1のように、従来のものに比べて極めて優れた耐光堅牢性を示すものであった。
【0035】
【実施例2〜6】
実施例1で用いた本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマンに代え、同じく本発明の耐光性向上剤として、実施例2は、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、実施例3は、6−ヒドキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、実施例4は、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、実施例5は、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、実施例6は、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマンを用いた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0036】
【実施例7〜12】
実施例1〜6の感温変色性インキに用いた、前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換え、及び感温変色性溶液に用いたベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を除いた以外は、全て実施例1〜6と同様にして、夫々対応した実施例7〜12の感温変色性のプリント布を得た。
【0037】
【実施例13〜18】
実施例1〜6の感温変色性インキに用いた前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1〜6と同様にして、夫々対応した実施例13〜18の感温変色性のプリント布を得た。
【0038】
【比較例1】
実施例1で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤、及び前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0039】
【比較例2】
実施例1で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、及び感温変色性インキに用いた前記の化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0040】
【比較例3】
実施例1で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマンに代えて、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤のアデカスタブAO−30(旭電化工業(株)製)1部を添加し、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤、及び前記の化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0041】
【比較例4】
比較例3で感温変色性溶液中に用いた、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤のアデカスタブAO−30(旭電化工業(株)製)に代えて、従来のヒンダードアミン系酸化防止剤のアデカスタブLA−63(旭電化工業(株)製)1部を添加した以外は、全て比較例3と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0042】
【比較例5】
比較例3で感温変色性溶液中に用いた、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤のアデカスタブAO−30(旭電化工業(株)製)に代えて、従来の従来の一重項酸素消光剤としてのシーソーブ612NH(シプロ化成(株)製)1部を添加した以外は、全て比較例3と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0043】
【実施例19】
200ccのビーカーに、3−ジブチルアミノ−7−(2′−クロロアニリノ)フルオラン1.5部、ビスフェノールA3部、ラウリルパルミテート10部、セチルアルコール10部、及び本発明の耐光性向上剤としての6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン1部、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤(チヌビン326:チバガイギー(株)製)5部、エポキシ樹脂(エピコート828:油化シェル(株)製)30部を入れ、100℃に加熱溶解させて感温変色性溶液を調製した。
次いで、1リッターのビーカーに保護コロイド剤として、NaOHにて中和溶解させた10%エチレン・無水マレイン酸共重合樹脂(EMA31:モンサント製)水溶液400部を入れ、95〜100℃に加熱した。得られた1リッター容器中の溶液を撹拌しながら、上記の感温変色性溶液を徐々に添加し、乳化した後撹拌機の速度を調整し、油滴の平均粒子径を2μに調整した。調整後、撹拌を継続しながら、アミン硬化剤(エピキュアU:油化シェル(株)製)5部を徐々に添加し、5時間加熱撹拌し反応させ、耐光性に優れた感温変色成分を内包し壁膜がエポキシ樹脂硬化膜の感温変色性マイクロカプセルを得た。
次に、得られた感温変色性マイクロカプセル溶液に、5%硫酸を加えpHを2.0に調整し、保護コロイド剤であるエチレン/無水マレイン酸の水分散性を調節し、その機能を低下させ、不安定な分散系とした。次いで、それをフィルタープレスにて濾過し、含水率40%の感温変色性マイクロカプセルを得た。
得られた含水率40%の感温変色性マイクロカプセル64部を、再度1リッターのビーカーに入れ、水400部を加えた後、95〜100℃に加熱した。得られた溶液を撹拌しながら、カプセル膜剤として、50%メチロールメラミン水溶液20部を滴下し、4時間反応させた後、フィルタープレスで濾過することにより、含水率37%の感温変色性成分を内包する、壁膜がエポキシ樹脂で、更にメラミン樹脂で被覆された、即ち、二重カプセル化された感温変色性マイクロカプセルが得られた。
次いで、得られた含水率37%の該カプセルを水で10倍に希釈して、スプレードライ機を用いて乾燥させて、該マイクロカプセルをパウダー化した。
得られたパウダー状の感温変色性マイクロカプセル20部、飽和ポリエステル樹脂(バイロン300:(株)東洋紡製)20部、酢酸セロソルブ50部、前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が20万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤10部を配合した油性の感温変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて、紙の上にスクリーンプリントした。
得られたプリント紙は、35℃未満では黒色を呈し、35℃以上では無色に可逆的に変化するものであった。又、このプリント紙をフェードメーター、日光暴露、蛍光灯により耐光堅牢性を試験した結果、下記の表1のように、従来のものに比べて極めて優れた耐光堅牢性を示すものであった。
【0044】
【実施例20】
実施例19で得た、パウダー状の感温変色性マイクロカプセル25部、ポリエチレン樹脂50部、ステアリン酸マグネシウム1部、低分子量ポリエチレンワックス14部、前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が2万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤10部をドライブレンドし、押し出し成型機にて加工して、感温変色性のマスターバッチを得た。
次いで、得られた感温変色性のマスターバッチ10部、ポリエチレン樹脂90部をドライブレンドし、射出成型機にて、厚さ2mmで10cm×10cmの板を成型した。
得られた感温変色性の板状物は、35℃未満では黒色を呈し、35℃以上では無色に可逆的に変化するものであった。
また、この板状物を、フェードメーター、日光暴露、蛍光灯により耐光堅牢性を試験した結果、下記の表1のように、従来のものに比べて極めて優れた耐光堅牢性を示すものであった。
【0045】
【比較例6】
実施例19で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤の6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、及びマイクロカプセル系外の前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が20万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分を飽和ポリエステル樹脂に置き換えた以外は、実施例19と同様にして、感温変色性のプリント紙を得た。
【0046】
【比較例7】
実施例19で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマンを除く以外は、実施例19と同様にして、パウダー状の感温変色性マイクロカプセルを作製し、得られたマイクロカプセルを用いて、実施例20の前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が2万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をポリエチレン樹脂に置き換えた以外は、実施例20と同様の操作を行い、感温変色性の板状物を得た。
【0047】
【表1】
【0048】
なお、評価は各試験の暴露後、感温変色性色素の発色濃度が半減した時間を半減期として記載した。又、残色は、半減期となった時点の消色時の着色程度を○〜×の表示で記載した。
○:着色が認められない。
△:やや着色が認められる。
×:激しい着色が認められる。
日光暴露は、9月に南向きに資料を暴露し試験した。
蛍光灯は、30W×2本を使用し1mの距離から照射し試験した。
【0049】
上記の表1の結果から、以下のことが言える。
(1)本発明の耐光性向上剤を使用する場合(実施例7〜12)、該剤を使用しない場合(比較例1)に比し、その耐光性は、フェードメーターで4〜8倍、日光暴露で6〜10倍、蛍光灯暴露で4〜6倍と大きく向上すること。
【0050】
(2)本発明の耐光性向上剤とベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を併用する場合(実施例13〜18)、両剤を使用しない場合(比較例1)に比し、その耐光性は、フェードメーターで6〜10倍、日光暴露で8〜14倍、蛍光灯暴露で5〜8倍になる。
上記(2)の結果と上記(1)の結果を比較すると、本発明の耐光性向上剤と紫外線吸収剤を併用した場合(実施例13〜18)の方が、本発明の耐光性向上剤のみを使用した場合(実施例7〜12)に比し、その耐光性は高くなっており、両剤併用の相乗効果によるものと認められるところの、耐光性の向上がみられること。
【0051】
(3)本発明の耐光性向上剤とベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を用いるとともに、更にカプセル系外に上記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を添加した場合(実施例1〜6)、該剤を全く使用しない場合(比較例1)に比し、その耐光性は、フェードメーターで10〜16倍、日光暴露で16〜24倍、蛍光灯暴露で6〜10倍になる。
上記(3)の結果と上記(1)、(2)の結果を比較すると、上記(3)の3剤を使用する方が、上記(1)の耐光性向上剤のみを使用する場合(実施例7〜12)や上記(2)の耐光性向上剤とベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を併用する場合(実施例13〜18)に比し、その耐光性は高くなっており、上記3剤の併用の相乗効果によるものと認められるところの、更なる耐光性の向上がみられること。
【0052】
(4)従来から用いられている、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(比較例3)、ヒンダードアミン系酸化防止剤(比較例4)、一重項酸素消光剤(比較例5)を使用する場合の耐光性は、該剤を使用しない場合(比較例1)に比し、フェードメーターで2倍、日光暴露で2倍、蛍光灯暴露で1.2〜1.3倍にしか向上していないところからみて、本発明の耐光性向上剤の方が、従来のものに比し、遙かに耐光性の向上が高いこと。
【0053】
(5)本発明の耐光性向上剤を使用しないものは(比較例1〜7)、フェードメーター、日光暴露、蛍光灯暴露のいずれの試験の光照射後において、感温変色性色素の残色が発生するが、本発明のものは、このような現象は殆ど生起しないこと。
【0054】
(6)以上のことから、本発明の特定構造を有する耐光性向上剤を添加することにより、感温変色性色素の耐光性が著しく向上すること、又はこれに加えてベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤、又は更にはマイクロカプセル系外にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する特定の高分子紫外線吸収剤を併用すると、それらの相乗効果により、更にその耐光性が向上することが分かる。
【0055】
(7)以上のものは、本感温変色性組成物を水性インキとして用いたものであるが、該組成物を、油性インキ(実施例19)やマスターバッチ(実施例20)で使用した場合においても、上記の場合と同様に、耐光性の向上が達成されることが分かる。
【0056】
【発明の効果】
(1)本発明の感温変色性組成物は、特定の耐光性向上剤、又は更には特定の紫外線吸収剤を併用することにより、従来にはない、紫外線、可視光及び光酸化に対する安定性を有するという、優れた耐光性を有している点で非常に優れたものである。
(2)従来の感温変色性組成物は、短時間の紫外線や可視光線によって分解或いは酸化を受け、著しく発色濃度が低下したり、消色時の残色が強く現れ、感温変色性組成物の本来の可逆的な消発色機能を直射日光或いは蛍光灯下、長期間安定に保つことが困難であるため、暗所又は薄暗い室内でしか長期間安定に保たれなかった。その結果、感温変色性組成物の各用途は、室内向けのものに限られていた。
これに対して、本発明の感温変色性組成物は、その耐光性が著しく改善されたため、その用途が広がることとなった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感温変色性組成物の耐光性の改善に関する。詳細には、感温変色性組成物に特定の構造を有する耐光性向上剤を添加することにより、紫外線、可視光、及び光酸化に対する安定性を向上させることに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ロイコ色素(電子供与性化合物)、顕色剤(電子受容性化合物)、及び呈色反応の生起温度を制御する変色温度調整剤の3成分からなる感温変色性組成物に関しては、米国特許3,560,229号公報や特公昭62−28990号公報等により公知であり、又上記変色特性において昇温時と降温時に履歴現象が為されること等も、前記米国特許公報をはじめ特開平7−40660号公報等により公知である。
又、感温変色性組成物に紫外線吸収剤、一重項酸素消光剤、酸化防止剤等を添加し耐光性を向上させることにおいても、前記公報等において公知となっている。
【0003】
しかしながら、従来知られている耐光性向上剤は、紫外線に対する安定化を目的としたサリチル酸フェニル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の有機の紫外線吸収剤、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム等の無機の紫外線吸収剤;βカロチン、第三級アミン、ニッケル又は銅のクェンチャー等の一重項酸素消光剤;ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤等が挙げられるが、従来知られているいずれの添加剤を用いたとしても、感温変色性組成物の耐光性を著しく改善することはできなかった。
即ち、従来技術の前記の3成分からなる感温変色性組成物の耐光性を向上させることは困難であり、現状は短時間の紫外線や可視光線によって感温変色性組成物は分解又は酸化を受け、著しく発色濃度が低下したり、消色時の残色が強く現れ、感温変色性組成物の本来の可逆的な消発色機能を直射日光又は蛍光灯下に、長期間安定に保つことが困難であって、暗所又は薄暗い室内でしか長期間安定に保たれなかった。
その結果、感温変色性組成物の各用途は、室内向けのものに限られていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、紫外線及び可視光に対する優れた耐光堅牢性を有した感温変色性組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、これ等要因に対し複合的に効果のある、特定の構造を有する耐光性向上剤を発見し、該剤を感温変色性成分に添加することにより、紫外線、可視光及びそれ等による光酸化の影響が少なく、長期に優れた耐光性を有する感温変色性組成物が得られるということを知り、更に研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、以下の構成からなるものである。
1.ロイコ色素及び顕色剤、又は更に変色温度調整剤を有効成分とする感温変色性組成物において、化1又は化2で示される化合物からなる耐光性向上剤を含有することを特徴とする感温変色性組成物。
2.上記1記載の感温変色性組成物に、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を含んでなる感温変色性組成物。
3.マイクロカプセルに内包させてなる上記1又は2記載の感温変色性組成物。
4.上記3記載のマイクロカプセル化した感温変色性組成物表面を樹脂で被覆した感温変色性組成物。
5.マイクロカプセル化した上記3又は4記載の感温変色性組成物を水溶性固着剤又は油溶性固着剤に分散させてなる感温変色性インキ組成物。
6.マイクロカプセル化した上記3又は4記載の感温変色性組成物と熱可塑性樹脂を加熱溶融分散してなる感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
7.上記5記載の感温変色性インキ組成物、又は請求項6記載の感温変色性マスターバッチ若しくはカラーペレット組成物に、化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を配合してなる感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
8.ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体が、分子量3000以上のものである上記7記載の感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
9.ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を0.1〜40%の範囲で配合した上記7又は8記載の感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
10.上記5、7、8又は9記載の感温変色性インキ組成物を塗工した感温変色性インキ塗工物。
11.上記6、7、8又は9記載の感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物から成型された成型物又は糸状物。
【0007】
なお、本発明の塗工物とは、印刷物、コーティング物、塗装物、筆記物等の塗工物をいう。
【0008】
従来の光安定剤は、以下のような問題点を有していた。
(イ)紫外線に対して、紫外線吸収剤としての効果は認められるが、紫外線或いは可視光によって生じる光酸化に対しては効果を発揮するものではなかった。
即ち、従来の感温変色性組成物の構成成分は、紫外線での分解のみならず、可視光での分解、及び紫外線、可視光によって二次的に発生する酸素ラジカルによる光酸化による酸化劣化が生起するため、感温変色性組成物の本来の機能である可逆的な温度による色変化機能が短時間で失われるという欠点があった。
(ロ)従来の紫外線吸収剤は低分子であるため、該剤をマイクロカプセル系外に多量に添加すると、経時的にマイグレーションし、製品表面に結晶として析出し、商品価値を損ねると言う欠点を有していた。
【0009】
これに対して、本発明は、以下のような方策により、その解決を図った。
1)問題点(イ)に対して
本発明は、前記の化1又は化2の化合物からなる耐光性向上剤を用いることにより、その解決を図った。
また、本発明は、上記の化合物からなる耐光性向上剤と共に、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を併用することにより、更なる耐光性の向上を達成した。
【0010】
2)問題点(ロ)に対して
本発明は、従来の低分子紫外線吸収剤の分子量を高分子化する、即ち、該吸収剤に特定の化合物を付加して、その分子量を3000以上のものにすると、マイクロカプセル系外に多量に添加しても、従来のように、マイグレーションを起こさないという意外な事実を発見した。
【0011】
このような事実の知見に基づいて、本発明は、前記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を用いることにより、従来のような、経時的なマイグレーションを防止した。
以上のように、本発明は、従来の感温変色性組成物に、特定の耐光性向上剤、又は更には特定の紫外線吸収剤を併用することにより、従来にはない、紫外線、可視光及び光酸化に対する安定性を有する感温変色性組成物を得たものである。
【0012】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、(A)ロイコ色素及び顕色剤、必要により変色温度制御剤、前記の化1又は化2の化合物からなる耐光性向上剤、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤等を構成成分とする感温変色性組成物、(B)マイクロカプセル化した該感温変色性組成物、(C)該感温変色性組成物からなる感温変色性インキ組成物とその塗工物(D)該マイクロカプセル化した感温変色性組成物からなる感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物とその成型物又は糸状物等からなる。
【0013】
以下、上記の(A)感温変色性組成物、(B)マイクロカプセル化した感温変色性組成物、(C)感温変色性インキ組成物とその塗工物(D)感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物とその成型物又は糸状物等について、説明する。
【0014】
(A)感温変色性組成物
本感温変色性組成物は、温度の変化に応じて、可逆的に変色するものであり、温度の上昇又は下降時において、変色挙動に履歴を伴う準可逆的なものも含まれる。
本感温変色性組成物は、(a)ロイコ色素、(b)顕色剤、(c)変色温度制御剤、(d)耐光性向上剤、(e)紫外線吸収剤等を構成成分とする。
【0015】
(a)ロイコ色素
本ロイコ色素は、電子供与性化合物からなるものであって、以下の顕色剤と呈色反応を生起して発色(変色)する成分であり、本発明では必須の成分である。
本色素としては、 無色又は淡色のロイコ色素を用いることができるが、該色素としては、感圧複写紙用色素、感熱記録紙用色素として通常知られているものやその他の感温変色性組成物を構成するロイコ色素として従来公知のもの等何れも用いることができ、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、フェノチアジン系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系、ローダミンラクタム系、トリフェニルメタン系、トリアゼン系、スピロフタランキサンテン系、ナフトラクタム系、アゾメチン系等の従来公知のものであればいかなるものも使用可能である。
このようなロイコ色素の具体例としては、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジブトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−クロロ−6−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7−フェニルアミノフルオラン、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチル)フェニル−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、2′−(2−クロロアニリノ)−6′−ジブチルアミノスピロ〔フタリド−3,9′−キサンテン〕等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
本発明においては、これらのロイコ色素を1種または2種以上組み合わせて用いることができ、これにより発色時の色彩を黄、橙、赤、桃、赤紫、紫、青、青緑、緑、茶、黒等の任意の色彩とすることができる。
【0016】
(b)顕色剤
本顕色剤は、電子受容性化合物からなるものであって、上記(a)のロイコ色素と呈色反応を生起して発色(変色)する成分であり、本発明では必須の成分である。
本顕色剤としては、例えば、トリアゾール類、フェノール類、ビスフェノール類、芳香族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸類、チオ尿素類、リン酸類、又はこれらのエステル類、エーテル類や金属塩類等の感圧・感熱複写紙用として知られているものを用いることができる
顕色剤は、顕色性物質を各単独で、あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることができる。その使用量は特に限定されないが、通常、ロイコ色素1重量部に対して、0.1〜1000重量部程度の範囲内で選択することができる。
【0017】
(c)変色温度制御剤
本発明の感温変色性組成物は、上記(a)のロイコ色素と(b)の顕色剤との2成分を必須成分とするものであるが、所望により、有機媒体からなる変色温度制御剤を更に添加することが好ましい。本変色温度制御剤を用いることにより、変色温度を自由に制御することができる。
本変色温度制御剤としては、この種の感温変色性組成物において、変色温度制御剤として使用されている、従来公知の有機媒体であれば何れも用いることができる。例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アマイド類、アゾメチン類、脂肪酸類、炭化水素類等の中から広範囲のものが選択できる。
【0018】
(d)耐光性向上剤
本耐光性向上剤は、前記の化1又は化2で示される化合物からなり、本発明の中核をなすものである。
具体的には、6−ヒドロキシ−2,7−ジメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,4,4,7−テトラメチルクロマン、6−メトキシ−2,7−ジメチルクロマン、6−メトキシ−2,4,4,7−テトラメチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−メチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−メチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2,4,4−トリメチルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−エチルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−エチルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−エチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−エチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−エチルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−エチルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−プロピルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−プロピルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−プロピルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−プロピルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−ブチルクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−ブチルクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−ブチルクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルクロマン、6,7−ジメトキシ−2−ブチルクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,7−ジメチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−2,4,4,7−テトラメチルチオクロマン、6−メトキシ−2,7−ジメチルチオクロマン、6−メトキシ−2,4,4,7−テトラメチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−メチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−メチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2,4,4−トリメチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−エチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−エチルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−エチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−エチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−エチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−エチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−エチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−プロピルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−プロピルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−プロピルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−プロピルチオクロマン、6−ヒドロキシ−7−メチル−2−ブチルチオクロマン、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、6−メトキシ−7−メチル−2−ブチルチオクロマン、6−メトキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジヒドロキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−2−ブチルチオクロマン、6,7−ジメトキシ−4,4−ジメチル−2−ブチルチオクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジメトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジメトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジエトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジプロポキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジプロポキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−2,2′−スピロビクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラヒドロキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジメトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジメトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラメトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジエトキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラエトキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジプロポキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′−ジプロポキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−2,2′−スピロビチオクロマン、6,6′,7,7′−テトラプロポキシ−4,4,4′,4′−テトラメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、5−ヒドロキシ−1−ブチル−3,3,6−トリメチルインダン、5−エトキシ−1−ブチル−3,3,6−トリメチルインダン、5−ヒドロキシ−2−ブチル−3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン、5−エトキシ−2−ブチル−3,3,6−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン、5−ヒドロキシ−2−ブチル−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチオフェン、5−エトキシ−2−ブチル−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチオフェン、5−ヒドロキシ−7−ブチル−4−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン、5−エトキシ−7−ブチル−4−メチルビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン、5,5′−ジヒドロキシ−3,3−ジメチル−2,2′−スピロビインダン、5,5′−ジエトキシ−3,3−ジメチル−2,2′−スピロビインダン、5,5′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾフラン]、5,5′−ジエトキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾフラン]、5,5′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾチオフェン]、5,5′−ジエトキシ−3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサメチル−3H,3′H−2,2′−スピロビ[1−ベンゾチオフェン]、5,5′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメチル−7,7′−スピロビ[ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン]、5,5′−ジエトキシ−4,4′−ジメチル−7,7′−スピロビ[ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン]等が挙げられる。
本耐光性向上剤の使用量は、感温変色性組成物に対し、0.1%〜20.0%の重量比で添加するのが良く、より好ましくは0.5%〜10.0%の重量比で添加するのが良い。0.1%未満の添加量では耐光性向上の効果が少なく、20.0%を超える添加量では変色の鋭敏性を損なうためである。
【0019】
(e)紫外線吸収剤
本紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物からなり、本発明では任意成分である。
本紫外線吸収剤は、それのみでも紫外線に対する安定効果はあるが、本発明の上記の耐光性向上剤と共に用いることにより、相乗的に光安定性が向上するという特性を有するものである。
本紫外線吸収剤の有効成分であるベンゾトリアゾール化合物としては、2−〔5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン−PS、チバガイギー(株)製〕、2−〔5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(a,a−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン328、チバガイギー(株)製〕、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300〔商品名:チヌビン1130、チバガイギー(株)製〕、2−〔3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300、2−〔3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン384、チバガイギー(株)製〕、2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−オクトキシ−フェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3′,4′,5′,6′−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、骨格にベンゾトリアゾール基を有し紫外線吸収効果を奏するものであれば、これ等のみに限定するものでない。
本紫外線吸収剤の使用量としては、感温変色性組成物に対し、0.1%〜30.0%の重量比の範囲で良く、より好ましくは1.0%〜25.0%の重量比の範囲が良い。0.1%未満の添加量では耐光性向上の効果が少なく、30.0%を超える添加量では変色の鋭敏性を損なうためである。
【0020】
(B)マイクロカプセル化した感温変色性組成物
上記の本発明の感温変色性組成物は、通常の染顔料類と同様にして、インク、塗料、合成樹脂等に均一に分散させて用いることが可能であるが、独立した微小閉鎖系内に本発明の組成物を内包して用いることが好ましい。
この目的を達成するためには、従来公知の各種マイクロカプセル化技法を適用することができる。
本感温変色性マイクロカプセルのマイクロカプセル化方法としては、従来の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法、in situ(インサイチュ)重合法、液中硬化被覆法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等を挙げることができる。但し、これ等に限定されることなく、又2種以上異なる方法を組み合わせて採用することもできる。
そして、マイクロカプセル化壁膜物質としては、例えば、ポリ尿素壁膜を形成するための多価アミンとカルボニル化合物、ポリアミド壁膜を形成するための多塩基酸クロライドと多価アミン、ポリウレタン壁膜を形成するための多価イソシアネートとポリオール化合物、エポキシ樹脂壁膜を形成するためのエポキシ樹脂化合物と多価アミン、メラミン樹脂壁膜を形成するためのメラミン・ホルマリンプレポリマー、メチロールメラミンプレポリマー、メチル化メラミンプレポリマー、尿素樹脂壁膜を形成するための尿素・ホルマリンプレポリマー、フェノール樹脂壁膜を形成するためのフェノール樹脂プレポリマー、ビニル系壁膜を形成するための酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等の各種モノマー類、ゼラチン、アラビアガム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができるが、これ等に限定されるものでなく、又2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。
更に、第一次マイクロカプセル壁膜を形成した後、再度、壁膜樹脂を被覆硬化して二重の壁膜とすることにより、マイクロカプセルの物理的強度を更に向上させても良い。
【0021】
(C)感温変色性インキ組成物とその塗工物
1)感温変色性インキ組成物
上記(B)のマイクロカプセル化された感温変色性組成物は、水溶性固着剤又は油溶性固着剤に配合することにより、感温変色性の水性インキ又は油性インキが得られる。
本発明の感温変色性の水性インキ又は油性インキには、前記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を配合することができる。
上記の紫外線吸収剤を添加することにより、感温変色性インキの耐光堅牢度をより向上させることができる。
効果的に紫外線から感温変色性色素を保護するため、マイクロカプセル系外に、多量のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する低分子量の紫外線吸収剤を添加すると、低分子量の紫外線吸収剤ではマイグレーションの問題が避けられなかったが、低分子量の紫外線吸収剤を、上記の化3で示すようなポリマー化を行い、これを添加すると、マイグレーションは生起せず、より効果的な紫外線に対する保護作用をはたすことが可能となった。
本紫外線吸収剤の配合量は、感温変色性インキに対して、重量比で0.1%〜40.0%、より好ましくは0.5%〜20.0%添加するのがよい。
なお、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する低分子量の紫外線吸収剤をインキ、マスターバッチ又はカラーペレットに多量に添加した場合は、表面にマイグレーションし商品価値を損ねることは前記した通りであるが、マイクロカプセル系内に添加した場合はその壁膜により保護され、添加する紫外線吸収剤が低分子量であっても、製品表面にマイグレーションし商品価値を損ねることはない。
【0022】
(水性インキ)
水溶性固着剤としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等のエマルジョン、それ等のモノマーやオリゴマーと増感剤をエマルジョン化し紫外線硬化或いは電子線硬化したもの、又はカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸共重合体等の水溶性の固着剤を用いることができるが、これ等に限定されるものでなく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
そして、上記の水性インキには、必要に応じて、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、触媒、増粘剤、光増感剤、不変色としての一般の有機顔料或いは無機顔料、体質顔料、蓄光性顔料、フォトクロミック色素、パール顔料、金属粉、金属石ケン等を添加することができる。
【0023】
(油性インキ)
マイクロカプセル化された感温変色性組成物を油溶性固着剤に配合して、感温変色性の油性インキが得られるが、感温変色性マイクロカプセルを水中で製造した場合には、該マイクロカプセルは、濾過及び乾燥して、油性インキに用いる。乾燥方法としては、特に方法を選ばず、スプレードライ或いはフリーズドライ法等の従来からの方法によって得ることができる。
油溶性固着剤としては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂等を有機溶剤に溶解したもの或いは加熱溶解したもの、又はそれらのモノマー及びオリゴマーと増感剤で紫外線硬化又は電子線硬化したものを用いることができるが、これ等に限定されるものでなく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、上記油性インキにも、必要に応じて、体質顔料、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、触媒、不変色として一般の有機顔料又は無機顔料、蓄光性顔料、フォトクロミック色素、パール顔料、金属粉、金属石ケン等を添加することができる。
【0024】
2)塗工物
本発明の塗工物は、印刷物、コーティング物、塗装物、筆記物等の塗工物をいうが、該塗工物は、本感温変色性インキ組成物を、印刷、コーティング、塗装、筆記等の手段を用いて、被対象物に適用することにより得ることができる。
【0025】
(印刷物)
上記のインキは、グラビア印刷、ロータリースクリーン印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、タンポ印刷、溶融印刷等の方法により、繊維、紙、プラスチックフィルム、プラスチック容器、金属、ガラス、不織布等に印刷することにより、長期に亘り優れた耐光堅牢性の感温変色性の印刷物が得られる。
【0026】
(コーティング物)
上記のインキは、ナイフコーター、コンマコーター、パッディング、ワイヤーコーター、リバースコーター、ロールコーター、溶融コート等によって、布、紙、プラスチックフィルム、金属等にコーティングすることによって、長期に亘り優れた耐光性の感温変色性のコーティング物が得られる。
【0027】
(塗装物)
上記のインキは、布、紙、プラスチック類、金属、ガラス、爪等にハンドスプレー、静電塗装又は刷毛塗装することによって、長期に亘り優れた耐光堅牢性の感温変色性の塗装物が得られる。
【0028】
(筆記物)
上記インキを用い、各種マーカーペン容器への充填、クレヨンの製造が可能であり、それら筆記具を用いて、布、紙、プラスチック類、ガラス類等に筆記することによって、長期に亘り、優れた耐光堅牢性の感温変色性の筆記物が得られる。
【0029】
(D)感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物とその成型物
1)感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物
本感温変色性のマスターバッチ又はカラーペレットは、前記(B)のマイクロカプセル化された感温変色性組成物を、熱可塑性の樹脂に配合することにより得ることができる。
この感温変色性のマスターバッチ又はカラーペレットに、上記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を配合することにより、耐光堅牢度をより向上させることができる。
本紫外線吸収剤の配合量は、感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット中に、重量比で0.1%〜40.0%、より好ましくは0.5%〜20.0%添加するのがよい。
なお、感温変色性マイクロカプセルを水中で製造した場合には、該マイクロカプセルを濾過及び乾燥して、パウダー状の感温変色性マイクロカプセルとして用いる。乾燥方法としては、特に方法を選ばず、スプレードライ又はフリーズドライ法等の方法によって得ることができる。
【0030】
(マスターバッチ)
マスターバッチは、高濃度に感温変色性マイクロカプセルを分散させたものであり、成型時には、通常の熱可塑性樹脂で希釈して用いる。
用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、スチレン樹脂、アクリルニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられるが、これ等に限定されるものでなく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、これ等に必要に応じて、体質顔料、ワックス、金属石ケン、不変色として有機顔料又は無機顔料、蓄光顔料、金属顔料、パール顔料、可塑剤、フォトクロミック色素等を併用することもできる。
【0031】
(カラーペレット)
カラーペレットは、そのまま成型する濃度に感温変色性マイクロカプセルを分散させたものである。
【0032】
2)感温変色性成型物
上記の感温変色性マスターバッチは、一般の熱可塑性樹脂で希釈して、また、感温変色性カラーペレットは、希釈することなく、通常の成型法、例えば、射出成型法や押し出し成型法により、所望の各種形状の成型物に成型することができる。又、押し出し成型後、延伸処理をなし、糸状物として、人形のヘア、刺繍糸等も得られる。得られた成型物は、長期に亘り、優れた耐光性を有する感温変色性のものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれ等に限定されるものではない。
以下の実施例において「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り、「重量部」、「重量%」を意味する。
【0034】
【実施例1】
200ccのビーカーに、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド1.5部、ビスフェノールA 3部、ラウリルパルミテート10部、セチルアルコール10部、及び本発明の耐光性向上剤としての6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン1部、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤(チヌビン326:チバガイギー(株)製)5部を入れ、100℃に加熱溶解させて、感温変色性溶液を調製した。
次いで、1リッターのビーカーに保護コロイド剤として、NaOHにて中和溶解させた10%メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合樹脂(GANTREZ AN−179:GAF CHEMICALS製)水溶液400部を入れ、95〜100℃に加熱した。得られた1リッター容器中の溶液を撹拌しながら、上記の感温変色性溶液を徐々に添加し、乳化した後撹拌機の速度を調整し、油滴の平均粒子径を2μに調整した。
調整後、撹拌を継続しながらカプセル膜剤として50%メチロールメラミン水溶液200部を徐々に添加し、4時間加熱撹拌して、耐光堅牢性に優れた感温変色性マイクロカプセルを得た。
得られた感温変色性マイクロカプセル溶液30部に、水溶性固着剤としてマツミンバインダーS(アクリル酸エステルエマルジョンを含んだクリヤーバインダー:(株)松井色素化学工業所製)60部、前記の化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤のエマルジョン重合体10部を混合し、水性の感温変色性インキを得た。
次いで、得られた感温変色性インキを80メッシュのスクリーン版を用いて綿ブロード上にプリント、乾燥して、目的とする耐光堅牢性に優れた感温変色性のプリント布を得た。
得られたプリント布は、35℃未満では青色を呈し、35℃以上では無色に可逆的に変化するものであった。
また、このプリント布をフェードメーター、日光暴露、蛍光灯により耐光堅牢性を試験した結果、下記の表1のように、従来のものに比べて極めて優れた耐光堅牢性を示すものであった。
【0035】
【実施例2〜6】
実施例1で用いた本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマンに代え、同じく本発明の耐光性向上剤として、実施例2は、6−ヒドロキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルクロマン、実施例3は、6−ヒドキシ−4,4,7−トリメチル−2−ブチルチオクロマン、実施例4は、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、実施例5は、6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビチオクロマン、実施例6は、6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビチオクロマンを用いた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0036】
【実施例7〜12】
実施例1〜6の感温変色性インキに用いた、前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換え、及び感温変色性溶液に用いたベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を除いた以外は、全て実施例1〜6と同様にして、夫々対応した実施例7〜12の感温変色性のプリント布を得た。
【0037】
【実施例13〜18】
実施例1〜6の感温変色性インキに用いた前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1〜6と同様にして、夫々対応した実施例13〜18の感温変色性のプリント布を得た。
【0038】
【比較例1】
実施例1で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤、及び前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0039】
【比較例2】
実施例1で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマン、及び感温変色性インキに用いた前記の化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0040】
【比較例3】
実施例1で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジエトキシ−7,7′−ジメチル−2,2′−スピロビクロマンに代えて、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤のアデカスタブAO−30(旭電化工業(株)製)1部を添加し、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤、及び前記の化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が100万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、減量分をマツミンバインダーSに置き換えた以外は、全て実施例1と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0041】
【比較例4】
比較例3で感温変色性溶液中に用いた、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤のアデカスタブAO−30(旭電化工業(株)製)に代えて、従来のヒンダードアミン系酸化防止剤のアデカスタブLA−63(旭電化工業(株)製)1部を添加した以外は、全て比較例3と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0042】
【比較例5】
比較例3で感温変色性溶液中に用いた、従来のヒンダードフェノール系酸化防止剤のアデカスタブAO−30(旭電化工業(株)製)に代えて、従来の従来の一重項酸素消光剤としてのシーソーブ612NH(シプロ化成(株)製)1部を添加した以外は、全て比較例3と同様にして、感温変色性のプリント布を得た。
【0043】
【実施例19】
200ccのビーカーに、3−ジブチルアミノ−7−(2′−クロロアニリノ)フルオラン1.5部、ビスフェノールA3部、ラウリルパルミテート10部、セチルアルコール10部、及び本発明の耐光性向上剤としての6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン1部、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤(チヌビン326:チバガイギー(株)製)5部、エポキシ樹脂(エピコート828:油化シェル(株)製)30部を入れ、100℃に加熱溶解させて感温変色性溶液を調製した。
次いで、1リッターのビーカーに保護コロイド剤として、NaOHにて中和溶解させた10%エチレン・無水マレイン酸共重合樹脂(EMA31:モンサント製)水溶液400部を入れ、95〜100℃に加熱した。得られた1リッター容器中の溶液を撹拌しながら、上記の感温変色性溶液を徐々に添加し、乳化した後撹拌機の速度を調整し、油滴の平均粒子径を2μに調整した。調整後、撹拌を継続しながら、アミン硬化剤(エピキュアU:油化シェル(株)製)5部を徐々に添加し、5時間加熱撹拌し反応させ、耐光性に優れた感温変色成分を内包し壁膜がエポキシ樹脂硬化膜の感温変色性マイクロカプセルを得た。
次に、得られた感温変色性マイクロカプセル溶液に、5%硫酸を加えpHを2.0に調整し、保護コロイド剤であるエチレン/無水マレイン酸の水分散性を調節し、その機能を低下させ、不安定な分散系とした。次いで、それをフィルタープレスにて濾過し、含水率40%の感温変色性マイクロカプセルを得た。
得られた含水率40%の感温変色性マイクロカプセル64部を、再度1リッターのビーカーに入れ、水400部を加えた後、95〜100℃に加熱した。得られた溶液を撹拌しながら、カプセル膜剤として、50%メチロールメラミン水溶液20部を滴下し、4時間反応させた後、フィルタープレスで濾過することにより、含水率37%の感温変色性成分を内包する、壁膜がエポキシ樹脂で、更にメラミン樹脂で被覆された、即ち、二重カプセル化された感温変色性マイクロカプセルが得られた。
次いで、得られた含水率37%の該カプセルを水で10倍に希釈して、スプレードライ機を用いて乾燥させて、該マイクロカプセルをパウダー化した。
得られたパウダー状の感温変色性マイクロカプセル20部、飽和ポリエステル樹脂(バイロン300:(株)東洋紡製)20部、酢酸セロソルブ50部、前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が20万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤10部を配合した油性の感温変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて、紙の上にスクリーンプリントした。
得られたプリント紙は、35℃未満では黒色を呈し、35℃以上では無色に可逆的に変化するものであった。又、このプリント紙をフェードメーター、日光暴露、蛍光灯により耐光堅牢性を試験した結果、下記の表1のように、従来のものに比べて極めて優れた耐光堅牢性を示すものであった。
【0044】
【実施例20】
実施例19で得た、パウダー状の感温変色性マイクロカプセル25部、ポリエチレン樹脂50部、ステアリン酸マグネシウム1部、低分子量ポリエチレンワックス14部、前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が2万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤10部をドライブレンドし、押し出し成型機にて加工して、感温変色性のマスターバッチを得た。
次いで、得られた感温変色性のマスターバッチ10部、ポリエチレン樹脂90部をドライブレンドし、射出成型機にて、厚さ2mmで10cm×10cmの板を成型した。
得られた感温変色性の板状物は、35℃未満では黒色を呈し、35℃以上では無色に可逆的に変化するものであった。
また、この板状物を、フェードメーター、日光暴露、蛍光灯により耐光堅牢性を試験した結果、下記の表1のように、従来のものに比べて極めて優れた耐光堅牢性を示すものであった。
【0045】
【比較例6】
実施例19で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤の6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマン、及びマイクロカプセル系外の前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が20万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分を飽和ポリエステル樹脂に置き換えた以外は、実施例19と同様にして、感温変色性のプリント紙を得た。
【0046】
【比較例7】
実施例19で感温変色性溶液中に用いた、本発明の耐光性向上剤6,6′−ジヒドロキシ−4,4,4′,4′,7,7′−ヘキサメチル−2,2′−スピロビクロマンを除く以外は、実施例19と同様にして、パウダー状の感温変色性マイクロカプセルを作製し、得られたマイクロカプセルを用いて、実施例20の前記化3で示されるXがメタクリル酸メチルで分子量が2万のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を除き、その減量分をポリエチレン樹脂に置き換えた以外は、実施例20と同様の操作を行い、感温変色性の板状物を得た。
【0047】
【表1】
【0048】
なお、評価は各試験の暴露後、感温変色性色素の発色濃度が半減した時間を半減期として記載した。又、残色は、半減期となった時点の消色時の着色程度を○〜×の表示で記載した。
○:着色が認められない。
△:やや着色が認められる。
×:激しい着色が認められる。
日光暴露は、9月に南向きに資料を暴露し試験した。
蛍光灯は、30W×2本を使用し1mの距離から照射し試験した。
【0049】
上記の表1の結果から、以下のことが言える。
(1)本発明の耐光性向上剤を使用する場合(実施例7〜12)、該剤を使用しない場合(比較例1)に比し、その耐光性は、フェードメーターで4〜8倍、日光暴露で6〜10倍、蛍光灯暴露で4〜6倍と大きく向上すること。
【0050】
(2)本発明の耐光性向上剤とベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を併用する場合(実施例13〜18)、両剤を使用しない場合(比較例1)に比し、その耐光性は、フェードメーターで6〜10倍、日光暴露で8〜14倍、蛍光灯暴露で5〜8倍になる。
上記(2)の結果と上記(1)の結果を比較すると、本発明の耐光性向上剤と紫外線吸収剤を併用した場合(実施例13〜18)の方が、本発明の耐光性向上剤のみを使用した場合(実施例7〜12)に比し、その耐光性は高くなっており、両剤併用の相乗効果によるものと認められるところの、耐光性の向上がみられること。
【0051】
(3)本発明の耐光性向上剤とベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を用いるとともに、更にカプセル系外に上記の化3で示されるベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有するメタアクリル酸エステル重合体からなる高分子紫外線吸収剤を添加した場合(実施例1〜6)、該剤を全く使用しない場合(比較例1)に比し、その耐光性は、フェードメーターで10〜16倍、日光暴露で16〜24倍、蛍光灯暴露で6〜10倍になる。
上記(3)の結果と上記(1)、(2)の結果を比較すると、上記(3)の3剤を使用する方が、上記(1)の耐光性向上剤のみを使用する場合(実施例7〜12)や上記(2)の耐光性向上剤とベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を併用する場合(実施例13〜18)に比し、その耐光性は高くなっており、上記3剤の併用の相乗効果によるものと認められるところの、更なる耐光性の向上がみられること。
【0052】
(4)従来から用いられている、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(比較例3)、ヒンダードアミン系酸化防止剤(比較例4)、一重項酸素消光剤(比較例5)を使用する場合の耐光性は、該剤を使用しない場合(比較例1)に比し、フェードメーターで2倍、日光暴露で2倍、蛍光灯暴露で1.2〜1.3倍にしか向上していないところからみて、本発明の耐光性向上剤の方が、従来のものに比し、遙かに耐光性の向上が高いこと。
【0053】
(5)本発明の耐光性向上剤を使用しないものは(比較例1〜7)、フェードメーター、日光暴露、蛍光灯暴露のいずれの試験の光照射後において、感温変色性色素の残色が発生するが、本発明のものは、このような現象は殆ど生起しないこと。
【0054】
(6)以上のことから、本発明の特定構造を有する耐光性向上剤を添加することにより、感温変色性色素の耐光性が著しく向上すること、又はこれに加えてベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤、又は更にはマイクロカプセル系外にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する特定の高分子紫外線吸収剤を併用すると、それらの相乗効果により、更にその耐光性が向上することが分かる。
【0055】
(7)以上のものは、本感温変色性組成物を水性インキとして用いたものであるが、該組成物を、油性インキ(実施例19)やマスターバッチ(実施例20)で使用した場合においても、上記の場合と同様に、耐光性の向上が達成されることが分かる。
【0056】
【発明の効果】
(1)本発明の感温変色性組成物は、特定の耐光性向上剤、又は更には特定の紫外線吸収剤を併用することにより、従来にはない、紫外線、可視光及び光酸化に対する安定性を有するという、優れた耐光性を有している点で非常に優れたものである。
(2)従来の感温変色性組成物は、短時間の紫外線や可視光線によって分解或いは酸化を受け、著しく発色濃度が低下したり、消色時の残色が強く現れ、感温変色性組成物の本来の可逆的な消発色機能を直射日光或いは蛍光灯下、長期間安定に保つことが困難であるため、暗所又は薄暗い室内でしか長期間安定に保たれなかった。その結果、感温変色性組成物の各用途は、室内向けのものに限られていた。
これに対して、本発明の感温変色性組成物は、その耐光性が著しく改善されたため、その用途が広がることとなった。
Claims (11)
- ロイコ色素及び顕色剤、又は更に変色温度調整剤を有効成分とする感温変色性組成物において、化1又は化2で示される化合物からなる耐光性向上剤を含有することを特徴とする感温変色性組成物。
R1〜R4は、炭素数1〜5の分岐又は直鎖のアルキル基、水素(H)のいずれかを示す。
R5は、炭素数1〜20の分岐又は直鎖のアルキル基、環状構造の炭化水素基のいずれかを示す。
X1〜X4は、水酸基、炭素数1〜5の分岐又は直鎖のアルキル基、炭素数1〜5の分岐又は直鎖のアルコキシ基、水素(H)のいずれかを示す。
m及びnは、1又は0の整数を示す。
A1及びA2は、酸素(O)、硫黄(S)又は直接結合のいずれかを示す。) - 請求項1記載の感温変色性組成物に、ベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤を含んでなる感温変色性組成物。
- マイクロカプセルに内包させてなる請求項1又は2記載の感温変色性組成物。
- 請求項3記載のマイクロカプセル化した感温変色性組成物表面を樹脂で被覆した感温変色性組成物。
- マイクロカプセル化した請求項3又は4記載の感温変色性組成物を水溶性固着剤又は油溶性固着剤に分散させてなる感温変色性インキ組成物。
- マイクロカプセル化した請求項3又は4記載の感温変色性組成物と熱可塑性樹脂を加熱溶融分散してなる感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
- ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体が、分子量3000以上のものである請求項7記載の感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
- ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる紫外線吸収剤を0.1〜40%の範囲で配合した請求項7又は8記載の感温変色性インキ組成物、マスターバッチ又はカラーペレット組成物。
- 請求項5、7、8又は9記載の感温変色性インキ組成物を塗工した感温変色性インキ塗工物。
- 請求項6、7、8又は9記載の感温変色性マスターバッチ又はカラーペレット組成物から成型された成型物又は糸状物。
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