JP2021015131A - 不可逆性紫外線発色組成物及びその関連技術 - Google Patents

不可逆性紫外線発色組成物及びその関連技術 Download PDF

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陽介 北川
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正三 末福
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Tatsuhiro Takai
達広 高井
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智浩 水原
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Abstract

【課題】紫外線照射により発色濃度高く不可逆的に発色し、初期状態の安定性が良好な不可逆性紫外線発色組成物並びにその組成物を用いる不可逆性紫外線発色材料、紫外線照射記録用材料、記録方法及び前記組成物が発色した発色組成物の提供。【解決手段】化合物Aと、化合物Aを溶解し得る化合物Bを含有してなる組成物。化合物Aの具体例としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ヒドロキシベンゾイルロイコメチレンブルー、メタアミノベンゾイルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、エトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、パラトルエンスルホニルロイコメチレンブルー等を挙げることが出来る。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線照射により不可逆的に発色する不可逆性紫外線発色組成物並びにその組成物を用いる不可逆性紫外線発色材料、紫外線照射記録用材料、記録方法及び前記組成物が発色した発色組成物に関する。
初期状態は無色で、紫外線を照射する事で有色に変化する材料は、例えばスピロピラン、スピロオキサジン、クロメン化合物を用いたフォトクロミック材料が知られているが、これらの化合物は可逆的な色変化を呈するものであり、紫外線照射後の色変化を記録することができるものではない(特開2007−89823号公報)。
また、準不可逆的変化をするものとしてジアリルエテン化合物が知られており、この化合物は紫外線照射後に不可逆の発色を呈するが、可視光を照射すると消色するため、紫外線照射後の記録を残すには不適当である(特許第4238075号公報)。
一方、不可逆的に変色するものとしては、酸化発色可能なロイコ染料と光酸化剤を用いた紫外線感知シート(特開2014−163798)、光酸化剤と酸化発色可能なロイコ染料と還元剤を用いた紫外線感知シート(特開2014−174505)が知られている。これらは、発色速度が速く、低照度において不可逆的に発色するが、その反面、初期状態での安定性が悪く、初期無色状態で日常の室内環境に短時間放置しても発色してしまうという欠点を有していた。
また、紫外線照射により遊離基が生成する光活性剤と、この遊離基の作用により可視的な色変化を示す変色剤とを含む第一層及び紫外線吸収剤を含む第二層をこの順に積層し、照射される紫外線の一部を第二層により吸収して第一層で光活性剤から発生する遊離基の量を少なくすることで色の変化を緩やかにして色の変化による紫外線量の測定精度を高める事が知られている(特公平7−54269)。しかしこの方法は、構成が複雑であると共に、いまだ発色速度が速く、初期の安定性が良くないものであった。
特開2007−89823号公報 特許第4238075号公報 特開2014−163798号公報 特開2014−174505号公報 特公平7−54269号公報
本発明は、紫外線照射により不可逆的に発色し、その発色濃度が高く、紫外線照射前の初期状態の安定性が良好な、不可逆性紫外線発色組成物並びにその組成物を用いる不可逆性紫外線発色材料、紫外線照射記録用材料、記録方法及び前記組成物が発色した発色組成物を提供することを目的とする。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物並びにその組成物を用いる不可逆性紫外線発色材料、紫外線照射記録用材料、記録方法及び前記組成物が発色した発色組成物は、次のように表わすことができる。
(1) 式(I)で表わされる化合物Aと、化合物Aを溶解し得る化合物Bを含有してなる組成物であって、
化合物Aが化合物Bに溶解しており、紫外線が照射されることにより、前記化合物AからXが脱離して不可逆発色する不可逆性紫外線発色組成物。
Figure 2021015131
・・・(I)
[式(I)中、R乃至Rはそれぞれ独立的に炭素数1乃至4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Qは酸素、窒素又は硫黄を示し、Xはベンゾイル基又はトルエンスルホニル基を示す。]
(2) 化合物Bがエステル類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種である上記(1)記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(3) 重量比において化合物Aに対し化合物Bが1乃至2000である上記(1)又は(2)に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(4) ビスフェノール類を含有する上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(5) 光増感剤Dを含有する上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(6) 紫外線吸収剤Eを含有する上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(7) 紫外線照射により上記化合物AからXが脱離する前より組成物として着色しており、紫外線が照射されることにより、前記化合物AからXが脱離して不可逆発色する上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
このような、紫外線照射により化合物AからXが脱離する前より着色している不可逆性紫外線発色組成物の例としては、化合物Aおよび/または化合物B自体の色により組成物として着色しているものや、染料、顔料、その他の着色性物質を含有することにより組成物として着色しているものを挙げることができる。
(8) マイクロカプセルに内包されてなる上記(1)乃至(7)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(9) マイクロカプセルの平均粒子径が0.5乃至10μmであり、20μm未満の粒子を90%以上含む上記(8)記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(10) マイクロカプセルの壁膜がメラミン樹脂又はイソシアネート樹脂からなる上記(8)又は(9)記載の不可逆性紫外線発色組成物。
(11) 上記(1)乃至(10)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物を含有する着色用材料。
(12) 上記(1)乃至(10)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物を部分又は全体である所要箇所に含有し、前記所要箇所における所望位置に紫外線を照射してその位置における化合物AからXを脱離させて不可逆発色させることにより所望の着色記録を行うための紫外線照射記録用材料。
(13) 上記(1)乃至(10)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物を部分又は全体である所要箇所に含有する材料に対し、前記所要箇所における所望位置に紫外線を照射してその位置における化合物AからXを脱離させて不可逆発色させることにより所望の着色記録を行う記録方法。
(14) 上記(1)乃至(10)の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物において上記化合物AからXが脱離して不可逆発色した発色組成物。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物、不可逆性紫外線発色材料、紫外線照射記録用材料、記録方法及び前記組成物が発色した発色組成物は、紫外線照射により不可逆的に発色し、その発色濃度が高く、紫外線照射前の初期状態の安定性が良好である。
本発明の実施の形態を説明する。
尚、本明細書において"乃至"の前後に数値が記載されている場合は、"乃至"の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表わすものとする。
(1) 化合物A
化合物Aは上記一般式(I)で表わされる。式(I)中のR乃至Rの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルを挙げることができる。
化合物Aの具体例としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ヒドロキシベンゾイルロイコメチレンブルー、メタアミノベンゾイルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、エトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、パラトルエンスルホニルロイコメチレンブルーなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、化合物Aを1種含有するものとすることができる他、化合物Aを2種以上含有するものとすることもできる。
(2) 化合物B
化合物Bは、化合物Aを溶解し得るものである。
本明細書中、溶解とは、気体、液体、固体である物質(溶質)が、ほかの液体や固体と混合して均一な相の混合物、すなわち溶体(solution)をつくることを言う。
化合物Bとしては、化合物Aとの間に反応性がないものが望ましい。
化合物Bは、例えば、エステル類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、その他の高分子化合物及びオリゴマーから選ばれる少なくとも1種とすることができる。
化合物Bの具体例としては、
ステアリン酸ラウレート、ミリスチン酸ラウレート、カプリン酸セチル、ステアリン酸パルミテート、ラウリン酸ラウレート、ラウリン酸パルミテート、カプリン酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、マロン酸ジセチル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビフェノールジカプテート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビフェノールジラウレート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビフェノールジミリステート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビフェノールジパルミエート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビフェノールジウンデカノエート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビフェノールジトリデカエートなどのエステル類;
セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコールなどのアルコール類;
ジオクチルケトン、ジノニルケトン、ジウンデシルケトン、ジトリデシルケトン、ジペンタデシルケトン、フェニルトリデシルケトン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノンなどのケトン類;
ジエイコシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジドコシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジトリデシルエーテルなどのエ−テル類;
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の高分子化合物又はオリゴマーとして、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレンオリゴマー等が挙げられる。但し、これらに限定されるものでなく、本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、化合物Bを1種含有するものとすることができる他、化合物Bを2種以上含有するものとすることもできる。
(3) 不可逆性紫外線発色組成物
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、化合物Aと化合物Bを含有してなる組成物であり、化合物Aが化合物Bに溶解しており、紫外線が照射されることにより、前記化合物AからXが脱離して不可逆発色するものであって、例えば、化合物Aを化合物B中に加熱下(例えば50乃至250℃)で溶解させることにより得ることができる。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、常温で固体であっても液体であってもよい。また本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、含有する化合物Aの全量が化合物Bに溶解していることを要するものではなく、含有する化合物Aの実質上全量が化合物Bに溶解しているものの他、含有する化合物Aのうち相当量が化合物Bに溶解し、残部は化合物Bに均一状に分散しているものを、その例として挙げることができる。
例えば、化合物Bとして、化合物Aとの間に反応性がないエステル類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いることにより、化合物Aを化合物Bに安定的に溶解させることができる。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物においては、重量比において化合物Aに対し化合物Bは例えば1乃至2000であるものとすることができる。
得られた組成物に対し、紫外線(例えば3000mj/cm以上の紫外線)を照射することにより、次に示すように化合物AからXが脱離する化学分解が生じ、Xが脱離した化合物Aが不可逆発色した発色組成物となる。すなわち例えば、初期状態が無色の組成物が紫外線照射後は有色に不可逆的に変化した発色組成物となる。
Figure 2021015131
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、100乃至500mj/cmを下回る紫外線量の照射によっては不可逆発色が生じにくいものであることが好ましい。100乃至500mj/cmを下回る紫外線量の照射により何らかの不可逆発色が生じるとしても、その不可逆発色の前後の色差ΔEは、1.6以下であるものであることが好ましい。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物を、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はポリプロピレンオリゴマー中に加熱混合等により配合することにより、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を含有する各種成形物やフィルムを得ることができる。
(4) ビスフェノール類
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、紫外線照射による発色濃度を高める上で、ビスフェノール類(ビスフェノール又はその誘導体)を含有するものとすることが望ましい。
ビスフェノール類の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、2,2’ビフェノール、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2−2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルヘキサンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、ビスフェノール類を1種含有するものとすることができる他、ビスフェノール類を2種以上含有するものとすることもできる。
なお、ビスフェノール類が、本発明の不可逆性紫外線発色組成物において紫外線照射による発色濃度を高める上で有効に作用する理由は、上記化合物Aを化合物B中に(好ましくは加熱下で)溶解させる場合に、化合物Bとビスフェノール類における水酸基が化合物Aと相互作用して化合物Bに対する化合物Aの溶解状態の安定性を高め、紫外線による不可逆性発色の濃度を高めるものと推定される。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物における化合物Aに対するビスフェノール類の含有量は、重量比において0.2乃至10であることが好ましい。
(5) 光増感剤D
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、光増感剤Dを含有するものとすることができる。本発明における光増感剤Dは、化合物AにおけるX基の脱離を助長する物質を言う。ビスフェノール類を併せて含有するものとすることもできる。
光増感剤Dを含有する本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、比較的に低い紫外線量の照射により上記化合物AからXが脱離して不可逆発色するものとすることができるが、紫外線照射前の初期状態の安定性が低下するおそれがある。
光増感剤Dの含有量は、例えば、紫外線照射量と発色濃度等の関係を考慮して決めることができる。
本発明における光増感剤Dの具体例としては、p−ニトロベンゾトリブロマイド、ブロモトリクロロメタン、ペンシトリクロライド、ヘキサブロモエタン、1,1,1−トリブロモ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,2,2−テトラブロモエタン、2,2,2−トリブロモエタノール、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−ブロパノール、o−ニトロ−α,α,α−トリブロモアセトフェノン、m−ニトロ−α,α,α−トリブロモアセトフェノン、p−ニトロ−α,α,α−トリブロモアセトフェノン、α,α,α−トリブロモ3,4−シクロアセトフェノン、2,4−ジニトロベンゼンスルホニルクロライド、o−ニトロベンゼンスルホニルクロライド、m−ニトロベンゼンスルホニルクロライド、3,3−ジフェニルスルフォンジスルホニルクロライド、エタンスルホニルクロライド、p−ブロモベンゼンスルホニルクロライド、ヘキサブロモジメチルスルホオキサイド、ペンタブロモジメチルスルホオキサイド、ヘキサブロモジメチルスルフォン、トリクロロメチルフェニルスルフォン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、トリクロロメチルフェニルスルフォン、トリクロロ−p−クロロフェニルスルフォン、トリ−p−トリスルフォニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリブロモキナルジン、2−トリブロモメチル−4−メチルキノリン、4−トリブロモメチルピリミジン、4−フェニル−6−トリブロモメチルピリミジン、2−トリクロロメチル−6−ニトロベンゾチアゾールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、光増感剤を1種含有するものとすることができる他、光増感剤を2種以上含有するものとすることもできる。
(6) 紫外線吸収剤E
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、紫外線吸収剤Eを含有するものとすることができる。
紫外線吸収剤Eを含有する本発明の不可逆性紫外線発色組成物においては、照射された紫外線の一部が紫外線吸収剤Eにより吸収されるので、化合物Aに作用する紫外線量(エネルギー光量)が低減する。そのため、前記組成物において化合物AからXが脱離して不可逆発色する速度を遅らせることができ、また紫外線照射前の初期状態の安定性を向上させることができる。紫外線吸収剤Eは、更には、前記組成物中の化合物AからXが脱離した発色物の耐光性の向上にも資する。
紫外線吸収剤Eの含有量は、例えば、重量比において化合物Aに対して0.1乃至10とすることができる。
本発明における紫外線吸収剤Eの具体例としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。具体例としては、2,4ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(4−((2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5トリアジン、2,4−ビス((2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−(1−(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ)フェニル)−6−(2,4−ビス(1−(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、フェニルサリチレートなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、紫外線吸収剤Eを1種含有するものとすることができる他、2種以上含有するものとすることもできる。
(7) 着色組成物
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、紫外線照射により化合物AからXが脱離する前は実質上無色で、紫外線が照射されることにより、化合物AからXが脱離して不可逆発色するものの他、紫外線照射により化合物AからXが脱離する前より組成物として着色しており、紫外線が照射されることにより、化合物AからXが脱離して更に不可逆発色し、それらが総合された色を呈するものとすることもできる。
紫外線照射により化合物AからXが脱離する前の組成物の着色は、例えば、化合物Aおよび/または化合物B自体の色によるもののほか、染料、顔料、その他の着色性物質を含有させることにより実現し得る。
(8) マイクロカプセル化
本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、マイクロカプセルに内包されたものとすることができる。
(8-1) 化合物Aが化合物Bに溶解した本発明の不可逆性紫外線発色組成物は、必要に応じ更にビスフェノール類、光増感剤D、紫外線吸収剤E等を含有した状態でマイクロカプセルに内包されることにより、より安定性が高いものとなる。すなわち、本発明の不可逆性紫外線発色組成物をマイクロカプセルに内包しない状態で用いた場合における各種外部要因による変色阻害、例えは印刷インキに用いて印刷したり合成樹脂等に含有させて成形物とした場合に、化合物Bやビスフェノール類等が系外にブリードして紫外線発色機能を喪失したり紫外線発色速度が変化することが、マイクロカプセルに内包することにより有効に防止される。
(8-2) マイクロカプセルの粒子径は、好ましくは0.5乃至50μm、より好ましくは1乃至10μmである。0.5μmより小さいと、十分な発色濃度が得られない恐れがあり、50μmより大きいと印刷インキに用いて印刷したり合成樹脂等に含有させて成形物とした場合に表面の平滑性が低下したりマイクロカプセルの破壊が生じ易くなる恐れがある。
(8-3) マイクロカプセルの壁膜としては、化合物A及び化合物B並びにビスフェノール類、光増感剤D、紫外線吸収剤E等との反応性のない材料を選択することが好ましく、例えば、メラミン樹脂化合物、又は、イソシアネート化合物とその硬化剤を、好ましく使用し得る。より好ましくはメラミン樹脂化合物である。マイクロカプセルは、無色透明であることが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。
メラミン樹脂化合物としては、尿素−ホルムアルデヒド化合物、メラミン−ホルムアルデヒド化合物、メチロールメラミン、メチル化メラミンなどが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2−4−トリレンジイソシアネート、ジ−フェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられ、これらを架橋により壁膜とするための硬化剤としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン化合物等のポリアミン類を挙げることができる。但し、マイクロカプセルの壁膜材料は、必ずしもこれらに限定されるものではない。
(8-4) 本発明の不可逆性紫外線発色組成物のマイクロカプセル化は、例えば次のように行い得る。
化合物A及び化合物B並びに必要に応じ更にビスフェノール類、光増感剤D、紫外線吸収剤E等を(好ましくは加熱下で)溶解させて、化合物Aが化合物Bに溶解したものとした後、好ましくは分散剤の存在下で、加熱・撹拌しながら水中に投入し、目的の1乃至10μmの粒子径の油滴とし、当該浴中に壁膜材料であるメラミン樹脂化合物、またはイソシアネート化合物と硬化剤化合物を投入し、95乃至100℃で1乃至5時間反応させることにより、化合物Aが化合物Bに溶解した本発明の不可逆性紫外線発色組成物を内包したマイクロカプセルが得られる。
(8-5) 得られたマイクロカプセルは、例えば、マイクロカプセルを含有する水性スラリーの態様で用いること、或いは、噴霧乾燥、自然乾燥、脱水工程を経て乾燥させることによりパウダー化して用いることも可能である。
本発明の不可逆性紫外線発色組成物を内包するマイクロカプセルは、水性スラリーの態様又はパウダーの態様で、各種バインダーを配合した印刷インキ等に含有させて、紙、布、合成樹脂フィルム、又はその他の物品に対し、スクリーン印刷やコーティング等の手段により適用して固着させることができる。
また、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を内包するマイクロカプセルを水性スラリーの態様で配合することにより、そのマイクロカプセルを含有する筆記具用インキを得、その筆記具用インキを用いた筆記具を得ることができる。
また、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を内包するマイクロカプセルをパウダー化したものを配合して合成樹脂等着色用のマスターバッチを得ることができる。このマスターバッチを、インジェクション成形や押し出し成形用の各種合成樹脂等に配合し、又はマイクロカプセルをパウダー化したものを直接に合成樹脂に配合して、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を内包するマイクロカプセルを含有する各種成形体やフィルムなどを得ることができる。
また、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を内包するマイクロカプセルをパウダー化したものを、塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂からなるゾルインキに配合してスラッシュ成形やローテーション成形などにより樹脂成形物を得ることができる。
(9) 本発明の着色用材料は、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を含有するものであり、例えば、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を、印刷インキ、筆記具用インキ、水性又は油性ペイント、各種絵の具、鉛筆、クレヨン、コンテ、パステル等の着色用材料に含有させたものとすることができる。
このような着色用材料は、例えば、対象物に筆記、描画、塗布等により付着又は固着等させた後、対象物に付着又は固着等した着色用材料の所望位置に紫外線を照射してその位置における化合物AからXを脱離させて不可逆発色させることにより所望の着色記録を行うために用いることができる。
(10) 本発明の紫外線照射記録用材料は、本発明の不可逆性紫外線発色組成物を、部分又は全体である所要箇所に含有する、紙、合成樹脂フィルム、布帛、各種材料からなる板、壁、成形物、その他の各種物品である。
前記紫外線照射記録用材料を構成する各種物品は、前記不可逆性紫外線発色組成物を、その物品自体に含有するもの(例えば合成樹脂成形物や合成樹脂フィルムに含有するもの)又はその物品に対する塗膜若しくはその他の付着若しくは固着物等に含有するもの(例えば印刷、筆記、塗布等により固定的に含有するもの又は非流動状態で含有するもの)とすることができ、各種物品自体又はそれらに対する固着物の所望の位置に紫外線を照射してその位置における化合物AからXを脱離させて不可逆発色させることにより文字や図柄等の所望の着色記録を行うための紫外線照射記録用材料とすることができる。
物品自体に前記不可逆性紫外線発色組成物を含有する紫外線照射記録用材料(例えば成形物やフィルム)の場合、筆記具用インキや印刷インキのように物品に付着又は固着したものとは異なり、剥離等による記録の消失のおそれが低く、耐久性に優れた記録用材料となる。
前記所要箇所における不可逆性紫外線発色組成物の種類を、部分によって異なるものとすることにより、部分によって紫外線照射による発色の色や発色濃度等の発色態様を異なるものとすることができる。
また、位置に応じて紫外線照射量等の紫外線照射態様を変えることにより、不可逆性紫外線発色組成物の発色態様を位置に応じたものとすることもできる。
(11) 本発明の記録方法は、不可逆性紫外線発色組成物を部分又は全体である所要箇所に含有する本発明の紫外線照射記録用材料に対し、前記所要箇所における所望位置に紫外線を照射してその位置における化合物AからXを脱離させて不可逆発色させることにより文字や図柄等の所望の着色記録を行うものである。
所望位置に紫外線を照射するには、コンピュータ等により紫外線照射の位置や照射量等を自動制御する手段、手動で紫外線照射の位置や照射量等を制御する手段、マスキングフィルム又はその他のマスキングを施した部分以外に紫外線を照射する手段等を適宜用いることができる。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明中、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を意味する。
(実施例1)
2リットルのフラスコに、分散剤としてのガンツレッツAN−179(メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合樹脂の商品名;株式会社ISP製)25部を苛性ソーダ10部及び水500部からなる水溶液に加熱溶解させた95℃の反応浴を用意した。
化合物Aとしてのベンゾイルロイコメチレンブルー1.8部と化合物Bとしてのラウリン酸デシル(融点20℃のエステル化合物)200部を150℃で加熱溶解させた組成物1を、前記95℃の反応浴に対し撹拌しながら徐々に投入して、その組成物1を2乃至3μm径の油滴状に分散させた。
次いで、スミテックスレジンM−3(メラミン樹脂の商品名;株式会社住友化学製)160部を、前記95℃の反応浴に対し撹拌しながら投入し、その反応浴のpHをシュウ酸により4.0乃至4.5に調整して5時間反応を行わせることにより、組成物1をメラミン樹脂で被覆した平均粒子径2.4μmのマイクロカプセルが、そのマイクロカプセルを多量に含有する1000gの水性スラリーの状態で得られた。
得られたマイクロカプセル及びスラリーは、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により青紫色に発色し、その発色は、紫外線照射終了後も青紫色が消色しない不可逆的なものであった。
(実施例2)
組成物1に替えて、組成物1にビスフェノール類としてビスフェノールA25部を加えた組成物2を用いる以外は、実施例1と同様に処理することにより、平均粒子径2.3μmのマイクロカプセルが、そのマイクロカプセルを多量に含有する1000gの水性スラリーの状態で得られた
得られたマイクロカプセル及びスラリーは、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により実施例1よりも濃い青色に発色し、その発色は、紫外線照射終了後も青色が消色しない不可逆的なものであった。
(実施例3)
実施例1で得られた、マイクロカプセルを多量に含有する水性スラリーを、水で10倍に希釈し、それをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥させることにより、一次粒子が二次凝集した平均粒子径12.0μmのマイクロカプセルパウダー380gが得られた。
得られたマイクロカプセルパウダーは、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により青紫色に発色し、その発色は、紫外線照射終了後も青紫色が消色しない不可逆的なものであった。
(実施例4)
2リットルのフラスコに、分散剤としてのガンツレッツAN−179を25部、苛性ソーダ10部及び水500部からなる水溶液に加熱溶解させた95℃の反応浴を用意した。
化合物Aとしてのベンゾイルロイコメチレンブルー2.0部、化合物Bとしてのパルミチン酸ステアリル(融点44℃のエステル化合物)200部、ビスフェノール類としての4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール30部を150℃で加熱溶解させた組成物2を、前記95℃の反応浴に対し撹拌しながら徐々に投入して、その組成物2を2乃至3μm径の油滴状に分散させた。
次いで、160部のスミテックスレジンM−3を、前記95℃の反応浴に対し撹拌しながら投入し、その反応浴のpHをシュウ酸により4.0乃至4.5に調整して5時間反応を行わせることにより、組成物2をメラミン樹脂で被覆した平均粒子径2.4μmのマイクロカプセルが、そのマイクロカプセルを多量に含有する1000gの水性スラリーの状態で得られた。
得られたマイクロカプセル及びスラリーは、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により青色に発色し、その発色は、紫外線照射終了後も青色が消色しない不可逆的なものであった。
(実施例5)
2リットルのフラスコに、分散剤としてのガンツレッツAN−179を25部、苛性ソーダ10部及び水500部からなる水溶液に加熱溶解させた95℃の反応浴を用意した。
化合物Aとしてのベンゾイルロイコメチレンブルー2.0部、化合物Bとしてのセチルアルコール(融点49℃のアルコール類)200部、ビスフェノール類としての4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール25部を150℃で加熱溶解させた組成物3を、前記95℃の反応浴に対し撹拌しながら徐々に投入して、その組成物3を2乃至3μm径の油滴状に分散させた。
次いで、180部のスミテックスレジンM−3を、前記95℃の反応浴に対し撹拌しながら投入し、その反応浴のpHをシュウ酸により4.0乃至4.5に調整して5時間反応を行わせることにより、組成物3をメラミン樹脂で被覆した平均粒子径2.4μmのマイクロカプセルが、そのマイクロカプセルを多量に含有する1000gの水性スラリーの状態で得られた。
得られたマイクロカプセル及びスラリーは、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により青色に発色し、その発色は、紫外線照射終了後も青色が消色しない不可逆的なものであった。
(実施例6)
化合物Aとしてのベンゾイルロイコメチレンブルー0.5部と化合物Bとしてのポリエチレン樹脂(MFR=20g/10分[190℃、2.16kg]99.5部を、成形用ホッパーを用いて混合した。
その混合物を成形機に投入し、200℃に加熱して溶融混練することにより、ベンゾイルロイコメチレンブルー(化合物A)をポリエチレン樹脂(化合物B)に対し分子状に配向させ、その混合物を冷却させた上でペレッターカッターを用いて直径1mm、長さ10mmのペレット状をなすポリエチレン樹脂成形物用のマスターバッチを得た。
得られたマスターバッチは、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により青色に発色し、その発色は、紫外線照射終了後も青色が消色しない不可逆的なものであった。
(実施例7)
実施例3で得られたマイクロカプセルパウダー18部、低密度ポリエチレン樹脂(MFR=45g/10分[190℃、2.16kg])73部、高級脂肪酸ポリイミド誘導体2部、ポリエチレンワックス(融点117乃至123℃)10部、ステアリン酸マグネシウム2部を成形用ホッパーで混合した後、ペレッター成形機を用いて180℃で溶融混練し、次いで冷却した後、ペレッターカッターを用いて直径1mm、長さ10mmのマスターバッチペレットを105部得た。
(実施例8)
実施例2で得られたマイクロカプセルスラリー30部をバインダー50S(水性スクリーン印刷用バインダーの商品名;株式会社松井色素化学工業所製)70部に配合した印刷インキを、花柄の100メッシュスクリーン版を使用して、和紙上にスクリーンプリントした。
得られた和紙は、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により青色の花柄が現れ、その青色花柄の発色は、紫外線照射終了後も消色しない不可逆的なものであった。
(実施例9)
実施例2で得られたマイクロカプセルスラリー30部をバインダー50S(水性スクリーン印刷用バインダーの商品名;株式会社松井色素化学工業所製)70部を配合した印刷インキを、全面ベタ柄の100メッシュスクリーン版を使用して、和紙上にスクリーンプリントした。
得られた和紙は、紫外線照射前は実質上無色で、花柄の黒色マスキングフィルムを重ねて所定量の紫外線を照射することにより青色の花柄が現れ、その青色花柄の発色は、紫外線照射終了後も消色しない不可逆的なものであった。
(実施例10)
実施例2で得られたマイクロカプセルスラリー30部をバインダー50S(水性スクリーン印刷用バインダーの商品名;株式会社松井色素化学工業所製)70部に配合した印刷インキを、全面ベタ柄の100メッシュスクリーン版を使用して、和紙上にスクリーンプリントした。
得られた和紙は、紫外線照射前は実質上無色で、コンピュータ制御により紫外線レーザーマーカーで花柄を描くように紫外線を照射することにより青色の花柄が現れ、その青色花柄の発色は、紫外線照射終了後も消色しない不可逆的なものであった。
(実施例11)
実施例7で得られたマスターバッチペレット10部と低密度ポリエチレン樹脂(MFR=20g/10分[190℃、2.16kg])90部を成形機用ホッパー内で混合したものを、マグカップ成形型をセットしたインジェクション成形機を用いて180℃で射出成型することにより、成形体Aを得た。
得られた成形体Aは、紫外線照射前は実質上無色で、花柄のアルミニウム製マスキング材で覆って紫外線を照射することにより青色の花柄が現れ、その青色花柄の発色は、紫外線照射終了後も消色しない不可逆的なものであった。而も、成形体Aの表面のみならず内方部まで青色が発色しているため、成形体Aの表面を擦過しても青色の花柄は消えないものであった。
(実施例12)
実施例7で得られたマスターバッチペレット10部と低密度ポリエチレン樹脂(MFR=20g/10分[190℃、2.16kg])90部を成形機用ホッパー内で混合したものを、マグカップ成形型をセットしたインジェクション成形機を用いて180℃で射出成型することにより、成形体Aを得た。
得られた成形体Aは、紫外線照射前は実質上無色で、コンピュータ制御により紫外線レーザーマーカーで花柄を描くように紫外線を照射することにより青色の花柄が現れ、その青色花柄の発色は、紫外線照射終了後も消色しない不可逆的なものであった。而も、成形体Aの表面のみならず内方部まで青色が発色しているため、成形体Aの表面を擦過しても青色の花柄は消えないものであった。
(実施例13)
実施例3で得られたマイクロカプセルパウダー19部、40%バイロン300溶液(バイロン300[飽和ポリエステル樹脂の商品名;株式会社東洋紡製]をPGMAc(エステル系溶剤の商品名;株式会社クラレ製)に溶解させたもの)65部、酢酸エチル15部、及びTSE−350(シリコン系消泡剤の商品名;株式会社東芝シリコン製)1部からなる印刷用インキを、全面ベタ柄の150メッシュスクリーン版を使用して、ポリエステルフィルム上にプリントした。
得られたポリエステルフィルムは、紫外線照射前は実質上無色で、コンピュータ制御により紫外線レーザーマーカーで花柄を描くように紫外線を照射することにより青色の花柄が現れ、その青色花柄の発色は、紫外線照射終了後も消色しない不可逆的なものであった。
(実施例14)
200部の組成物1に対しHDI(イソシアネートの商品名:東ソー株式会社製)50部を加えて加熱、撹拌して分散液を得た。
分散安定剤としてコロイド状リン酸三カルシウム10部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を含む水溶液2000部を60℃に加熱したものに前記分散液を加え、それを前記水溶液中に2乃至3μm径となるよう分散させた。
このようにして得られた分散液にキシリレンジアミン10部を滴下し、60℃で3時間反応させることにより、組成物1をイソシアネート樹脂で被覆した平均粒子径2.6μmのマイクロカプセルが、そのマイクロカプセルを多量に含有する1000gの水性スラリーの状態で得られた。
得られたマイクロカプセル及びスラリーは、紫外線照射前は実質上無色で、所定量の紫外線照射により青紫色に発色し、その発色は、紫外線照射終了後も青紫色が消色しない不可逆的なものであった。
(比較例1)
化合物Aとしてのベンゾイルロイコメチレンブルー10部を三本ロールミル機を用いてバインダー50S(水性スクリーン印刷用バインダーの商品名;株式会社松井色素化学工業所製)90部中に分散した印刷インキを、花柄の100メッシュスクリーン版を使用して、和紙上にスクリーンプリントした。
得られた和紙は、紫外線照射前は実質上無色で、紫外線を照射してもほとんど発色することはなかった。
(紫外線発色性比較)
実施例8で得られた和紙、実施例11で得られた成形体A、及び、比較例1で得られた和紙について、紫外線発色性を測定した結果を示す。
なお、紫外線光源として、ブラックライトは15Wでメインピークが352nmのものを用い、メタルハライドランプは120wでメインピークが250乃至450nmのものを用いた。また、色差(ΔE)はDatacolor社製のCHECK II PLUSにて測定し、紫外線積算光量は株式会社トプコン製のUVR−36にて測定した。
1.発色濃度の比較(紫外線照射前と照射後の色差)
Figure 2021015131
2.初期安定性比較(紫外線受光前と受光後の色差)
受光条件:日常の室内環境で放置した状態での紫外線受光
Figure 2021015131
3.積算光量と発色濃度(紫外線照射前と照射後の色差)
照射条件:ブラックライトにて紫外線照射
Figure 2021015131
照射条件:メタルハライドランプにて紫外線照射
Figure 2021015131

Claims (14)

  1. 式(I)で表わされる化合物Aと、化合物Aを溶解し得る化合物Bを含有してなる組成物であって、
    化合物Aが化合物Bに溶解しており、紫外線が照射されることにより、前記化合物AからXが脱離して不可逆発色する不可逆性紫外線発色組成物。
    Figure 2021015131
    ・・・(I)
    [式(I)中、R乃至Rはそれぞれ独立的に炭素数1乃至4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Qは酸素、窒素又は硫黄を示し、Xはベンゾイル基又はトルエンスルホニル基を示す。]
  2. 化合物Bがエステル類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  3. 重量比において化合物Aに対し化合物Bが1乃至2000である請求項1又は2に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  4. ビスフェノール類を含有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  5. 光増感剤Dを含有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  6. 紫外線吸収剤Eを含有する請求項1乃至5の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  7. 紫外線照射により上記化合物AからXが脱離する前より組成物として着色しており、紫外線が照射されることにより、前記化合物AからXが脱離して不可逆発色する請求項1乃至6の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  8. マイクロカプセルに内包されてなる請求項1乃至7の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  9. マイクロカプセルの平均粒子径が0.5乃至10μmであり、20μm未満の粒子を90%以上含む請求項8記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  10. マイクロカプセルの壁膜がメラミン樹脂又はイソシアネート樹脂からなる請求項8又は9記載の不可逆性紫外線発色組成物。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物を含有する着色用材料。
  12. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物を部分又は全体である所要箇所に含有し、前記所要箇所における所望位置に紫外線を照射してその位置における化合物AからXを脱離させて不可逆発色させることにより所望の着色記録を行うための紫外線照射記録用材料。
  13. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物を部分又は全体である所要箇所に含有する材料に対し、前記所要箇所における所望位置に紫外線を照射してその位置における化合物AからXを脱離させて不可逆発色させることにより所望の着色記録を行う記録方法。
  14. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の不可逆性紫外線発色組成物において上記化合物AからXが脱離して不可逆発色した発色組成物。
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