JP3832435B2 - ステッピングモーターの制御装置、その制御方法および計時装置 - Google Patents

ステッピングモーターの制御装置、その制御方法および計時装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステッピングモータの制御装置および制御方法に関し、特に、低消費電力の電子時計などに適した制御装置および制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ステッピングモータは、パルスモータ、ステッピングモータ、階動モータあるいはデジタルモータなどとも称され、デジタル制御装置のアクチュエータとして多用されているパルス信号によって駆動されるモータである。近年、携帯に適した小型の電子装置あるいは情報機器が開発されており、これらのアクチュエータとして小型、軽量化されたステッピングモータが多く採用されている。このような電子装置の代表的なものが電子時計、時間スイッチ、クロノグラフといった計時装置である。図7にステッピングモータを用いた腕時計装置などの計時装置の一例を示してある。この計時装置9は、ステッピングモータ10と、このステッピングモータ10を駆動する制御装置20と、ステッピングモータ10の動きを伝達する輪列50、および輪列50によって運針される秒針61、分針62および時針63を備えている。ステッピングモータ10は、制御装置20から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル11と、この駆動コイル11によって励磁されるステータ12と、さらに、ステータ12の内部において励磁される磁界により回転するロータ13を備えており、ロータ13がディスク状の2極の永久磁石によって構成されたPM型(永久磁石回転型)のステッピングモータ10となっている。ステータ12には、駆動コイル11で発生した磁力によって異なった磁極がロータ13の回りのそれぞれの相(極)15および16に発生するように磁気飽和部17が設けられている。また、ロータ13の回転方向を規定するために、ステータ12の内周の適当な位置には内ノッチ18が設けられており、コギングトルクを発生させてロータ13が適当な位置に停止するようにしている。
【0003】
ステッピングモータ10のロータ13の回転は、かなを介してロータ13に噛合された五番車51、四番車52、三番車53、二番車54、日の裏車55および筒車56からなる輪列50によって各針に伝達される。四番車52の軸には秒針61が接続され、二番車54には分針62が接続され、さらに、筒車56には時針63が接続されており、ロータ13の回転に連動してこれらの各針によって時刻が表示される。輪列50には、さらに、年月日などの表示を行うための伝達系など(不図示)を接続することももちろん可能である。
【0004】
この計時装置9では、ステッピングモータ10の回転によって時刻を表示するために、ステッピングモータ10には基準となる周波数の信号をカウント(計時)して定期的に駆動パルスが供給される。ステッピングモータ10を制御する本例の制御装置20は、水晶振動子などの基準発振源21を用いて基準周波数の基準パルスやパルス幅やタイミングの異なるパルス信号を発生するパルス合成回路22と、パルス合成回路22から供給された種々のパルス信号に基づきステッピングモータ10を制御する制御回路23を備えている。さらに、制御回路23は、後述する駆動回路を制御する駆動制御回路24と、回転検出などを行う検出回路25を備えている。駆動制御回路24は、駆動回路を介して駆動コイル11に対しステッピングモータ10の駆動用ロータ13を駆動するための駆動パルスを供給する駆動パルス供給部24aと、駆動パルスに続いて駆動用ロータ13の回転検出用に誘導電圧を誘起する回転検出パルスを出力するための回転検出パルス供給部24bと、駆動用ロータ13が回転しなかったときに駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスを出力するための補助パルス供給部24cと、補助パルスに続いて消磁用に補助パルスと極性の異なる消磁パルスを出力するための消磁パルス供給部24dと、さらに、駆動パルスの実効電力を調整するためのレベル調整部24eを備えている。また、検出回路25は、回転検出パルスによって得られた回転検出用の誘導電圧を設定値と比較して回転の有無を検出し、その結果を駆動制御回路24にフィードバックできるようになっている。
【0005】
駆動制御回路24の制御の基にステッピングモータ10に様々な駆動パルスを供給する駆動回路30は、直列に接続されたnチャンネルMOS33aとpチャンネルMOS32a、およびnチャンネルMOS33bとpチャンネルMOS32bによって構成されたブリッジ回路を備えており、これらによって電池41からステッピングモータ10に供給される電力を制御できるようになっている。さらに、pチャンネルMOS32aおよび32bとそれぞれ並列に接続された回転検出用抵抗35aおよび35bと、これらの抵抗35aおよび35bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS34aおよび34bを備えている。従って、これらのMOS32a、32b、33a、33b、34aおよび34bの各ゲート電極に駆動制御回路24の各パルス供給部24a〜24eからそれぞれのタイミングで極性およびパルス幅の異なる制御パルスを印加することにより、駆動コイル11に極性の異なる駆動パルスを供給したり、あるいは、ロータ13の回転検出用のパルスを供給することができる。
【0006】
図8に、制御装置20の動きをフローチャートに纏めて示してある。まず、ステップST1で計時用の基準パルスをカウントして1秒を計測する。1秒が経過すると、ステップST2において駆動パルス供給部24aの制御によって駆動パルスP1を出力する。続いて、ステップST3で回転検出用パルス供給部24bの制御によって回転検出用パルスSP2を出力し、得られた電圧を検出回路25で設定値を比較してロータ13の回転を確認する。回転が確認できない場合は、補助パルスを用いて確実にロータ13を回転させるサブルーチンを実効する。このサブルーチンにおいては、まず、ステップST4において、補助パルス供給部24cの制御の基に実効電力の大きな補助パルスP2を供給してロータ13を確実に回転させる。補助パルスP2が出力されるとステップST5において消磁パルス供給部24dの制御の基に消磁パルスPEを出力する。次いで、レベル調整部24eにおいて、次に出力される駆動パルスP1の実効電力を1段階アップする。そして、これらのステップを行うとメインルーチンに戻り、以下のプロセスを実効する。
【0007】
ステップST3において、ロータ13の回転が確認された場合は、上記のサブルーチンを行わずステップST7においてカウンタnを加算する。そして、ステップST8において、カウンタnの値が第1の設定値N0に達していない場合はステップST1に戻って上記の工程を繰り返す。カウンタnの値が第1の設定値N0に達している場合は、一定の実効電力の駆動パルスP1によってロータ13が第1の設定値N0回だけ連続して回転したことになるので、ステップST9においてレベル調整部24を用いて次の駆動パルスP1の実効電力を1段階下げる。そして、ステップST10においてカウンタnを零クリアして次のサイクルに備える。
【0008】
図9にステッピングモータ10を回転駆動するために駆動コイル11に一方の極性の磁界を励起するpチャンネルMOS33a、nチャンネルMOS32aおよびサンプリング用のpチャンネルMOS34aの各ゲートGP1、GN1およびGS1と、逆方向の磁界を励起するためのpチャンネルMOS33b、nチャンネルMOS32bおよびサンプリング用のpチャンネルMOS34bの各ゲートGP2、GN2およびGS2に供給される制御信号をタイミングチャートを用いて示してある。このステッピングモータの制御装置20は、計時装置9のステッピングモータ10を制御するために1秒ごとの運針を行うようになっており、駆動回路30にはサイクリックに1連の制御信号が供給される。まず、時刻t1に、例えばパルス幅W10の駆動パルスP1を出力するための制御信号が駆動制御回路24の駆動パルス供給部24aから駆動極側のnチャンネルMOS32aのゲートGN1およびpチャンネルMOS33aのゲートGP1に供給される。駆動パルスP1に続いて、時刻t2にロータ13の回転検出を行う回転検出用のパルスSP2を出力するための制御パルスが駆動制御回路24の回転検出パルス供給部24bから駆動極側のpチャンネルMOS33aのゲートGP1およびサンプリング用のMOS34aのゲートGS1に供給される。この回転検出パルスSP2は、デューティーが1/2程度のチョッパパルスであり、ロータ13が回転したときに駆動コイル11に励起される誘導電流を回転検出用抵抗35aの出力電圧として得られるようにしている。そして、回転検出用抵抗35aの電圧が検出回路25で設定値と比較され、ロータ13が回転したか否かが判るようになっている。
【0009】
回転検出パルスSP2によって励起される誘導電圧が設定値に達しない場合は、ロータ13が回転しなかったものと判断され、ステップST4において時刻t3に補助パルスP2を出力するための制御信号が駆動制御回路24の補助パルス供給部24cから駆動極側のnチャンネルMOS32aのゲートGN1およびpチャンネルMOS33aのゲートGP1に供給される。補助パルスP2は、ロータ13が必ず回転する程度のエネルギーをもった駆動パルスP1よりも実効電力の大きなパルス幅W20の駆動用のパルスである。補助パルスP2が出力されると、これに続いて時刻t4にステップST5において消磁用のパルスPEを出力するための制御パルスが駆動制御回路24の消磁パルス供給部24dから逆極側のnチャンネルMOS32bのゲートGN2およびpチャンネルMOS33bのゲートGP2に供給される。この消磁パルスPEは、実効電力の大きな補助パルスP2によって発生したステータ12および駆動コイル11の残留磁束を低減するためのものであり、補助パルスP2とは逆極となるパルスを供給することによって実現している。消磁パルスPEを供給することによりステッピングモータ10を1ステップアングル回転駆動する一連のサイクルは終了する。
【0010】
時刻t1から1秒経過した時刻t11からステッピングモータ10をさらに1ステップアングル回転するための次のサイクルが開始される。このサイクルでは、前のサイクルと反対側のMOS32b、33bおよび34bが駆動極側になる。先のサイクルと同様に、まず、時刻t11に駆動パルスP1が出力されるが、前回のサイクルで補助パルスP2が出力されているので、レベル調整部24eによって実効電力が1段階上昇した駆動パルスP1が選択されており、例えば、前のサイクルの駆動パルスより広いパルス幅W11の駆動パルスP1が時刻t11に出力される。さらに、時刻t12に回転検出用のパルスSP2が出力され、これによってロータ13の回転が検出されないと、さらに、時刻t13に補助パルスP2が出力され、これに続いて時刻t14に消磁パルスPEが出力される。
【0011】
次の時刻t21に開始されたサイクルでは、時刻t21にさらに幅の広いパルス幅W12の駆動パルスP1が出力される。この実効電力が上昇した駆動パルスP1によってロータ13が回転したことが時刻t22に出力された回転検出用パルスSP2によって検出されるとサイクルは終了する。パルス幅W12の駆動パルスP1によって連続して所定の回数N0だけロータ13が回転すると、次の時刻t31から開始されるサイクルでは、実効電力が1段下がった、例えば、パルス幅W11の駆動パルスP1が出力される。
【0012】
このように、レベル調整部24eによって駆動パルスP1としてはロータ13を連続して回転駆動できる低い実効電力を備えたものが選択されるようになっており、低消費電力で正確な運針を行い、小型で薄く、寿命の長い計時装置を提供できるようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、腕時計装置などの計時装置は、さらに小型化するために電池スペースは小さくなり、その一方で長寿命化が図られている。このため、ステッピングモータで消費される電力をいっそう低減することが要求されている。また、計時装置内にユーザの腕の動きなどを捉えて発電を行える発電装置を内蔵し、電池なしでも駆動できる腕時計装置などが開発されている。このような自己発電型の計時装置では、放置されている間などの発電が行われない状態でも長時間継続して動作することが要求されるので、ステッピングモータの消費電力を低減することは重要な課題の1つである。
【0014】
ステッピングモータを駆動するための駆動パルスの電力は上述したような制御装置あるいは制御方法を採用することによって低減されている。しかしながら、発明者らがさらに詳しく検討したところによると、ほぼ最低限のトルクの駆動パルスによって回転していたステッピングモータが若干のトルク不足によってロータが回転せず補助パルスが出たケースにおいて、次のサイクルで1段階だけ実効電力の大きな駆動パルスが供給されてもトルク不足になるケースが多いことが判った。従って、いったん補助パルスが出力されるとトルク不足の状態が連続して発生し、1段階のレベルアップではたりず一気に2〜3段階レベルアップされた駆動パルスが出力されてしまうケースが多い。このような現象は、運針ミスによって駆動パルスに続いて補助パルスが出力されたときに輪列の歯車に加わるトルクが大きく変動するので、歯車のシャフトと軸受けの位置関係が微小に変動したり、歯車同士の噛み合い位置が変動するなどの原因によって噛み合い負荷が大きく増加してしまうことが原因と考えられる。補助パルスが出力されていったん2〜3段階レベルアップした駆動パルスになってしまうと、その後、複数回、例えばN0回連続して駆動できると駆動パルスP1の実効電力は1段階下がり、さらにN0回連続して駆動できるとようやく元の実効電力の駆動パルスに戻ることになる。さらに、この間に噛み合い負荷が大きくなるケースがあると再び駆動パルスP1の実効電力は1〜2段階あるいはそれ以上に上昇してしまう。従って、連続してロータが回転して輪列の状態が補助パルスが出力される前の状態に復帰し、回転に必要なトルクが低くなった状態でも駆動パルスP1の実効電力は必要な最低限の電力より多少、例えば、1あるいは2段階程度、さらにそれ以上に大きな値のままになる。
【0015】
また、補助パルスP2が出力される原因を検討すると、その多くは輪列の噛み合い負荷が偶然に増加したことによるケースが多いと考えられる。すなわち、ステッピングモータ10の動力を時針などに伝達する輪列50は、複数のギアが組み合わされているので、これらのギアの製造公差あるいは組み立て公差などに起因して周期的に噛み合い負荷が増加するケースがある。上述した制御方法では、1ステップアングルでも噛み合い負荷が増加すると補助パルスP2が出力されるので駆動パルスP1の実効電力は1段階上昇してしまい、例えば、輪列が稼働する適当な周期の中で2ステップアングル分だけ噛み合い負荷が大きくなる状態があるとすると、このときに駆動パルスP1の実効電力は2段階上昇してしまう。さらに、上記のように補助パルスのトルクによって輪列の状態に変動すると、さらに数ステップはトルクが大きな状態が続くことがある。従って、従来の制御装置あるいは制御方法では、ロータを回転するために必要な最低限のトルクを供給できる実効電力の駆動パルスが供給できる制御方式を採用しているにもかかわらず、実際には、それより数段高いエネルギーの駆動パルスが常時供給されていることが多い。
【0016】
そこで、本発明においては、このような補助パルスあるいは組み立て公差などに起因する輪列の噛み合い具合によって効率の悪くなるタイミングが発生する場合でも、他の効率の良いタイミングはできるだけ低い実効電力の駆動パルスを供給することにより、ステッピングモータの駆動電力をさらに低下することが可能な制御装置および制御方法を提供することを目的としている。そして、小型で長寿命の計時装置や、自己発電型で長時間放置しておいても継続して計時のできる計時装置を実現できる制御方法および制御装置を提供することも本発明の目的の1つである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、駆動パルスに続いて補助パルスが供給されたことによって噛み合い負荷が増加した場合でもロータが数ステップ回転する間に元の状態に復帰してトルクが低くなることが多いこと、および、歯車の公差などに起因して噛み合い負荷が大きくなってしまうのも1あるいは数ステップに限定されることが多いことに着目し、供給されたときに駆動パルスの実効電力を一様に上昇するのではなく、補助パルスから所定の期間内だけ実効電力が多少大きな駆動パルスを供給し、その後は先に設定された低い実効電力の駆動パルスを供給できるようにしている。すなわち、本発明の、多極磁化されたロータと駆動コイルを備えたステータ内で回転駆動可能なステッピングモータの制御装置であって、前記駆動コイルに対し前記ロータを駆動するための第1の駆動パルスを供給する第1の駆動手段と、前記駆動コイルに供給された駆動パルスによって前記ロータが回転したか否かを検出する回転検出手段と、前記ロータの回転が検出できなかったときに前記第1の駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスを供給する補助パルス供給手段と、第1の設定回数だけ連続して前記ロータが回転したときに前記第1の駆動パルスの実効電力を段階的に調整するレベル調整手段と、前記補助パルスが供給された後に、第2の設定回数だけ、前記補助パルスが供給された直前の前記レベル調整手段によって調整された駆動パルスの実効電力より数段階だけ大きな実効電力の第2の駆動パルスを供給するようにしている。この第2の駆動パルスはパルス幅を変更したり、あるいは、駆動パルスの電圧を変更することによって駆動パルスの実効電力を制御することができる。
【0018】
多極磁化されたロータと駆動コイルを備えたステータ内で回転駆動可能なステッピングモータの制御方法であって、前記駆動コイルに対し前記ロータを駆動するための第1の駆動パルスを供給する第1の駆動工程と、前記駆動コイルに供給された駆動パルスによって前記ロータが回転したか否かを検出する回転検出工程と、前記ロータの回転が検出できなかったときに前記第1の駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスを供給する補助工程と、第1の設定回数だけ連続して前記ロータが回転したときに前記第1の駆動パルスの実効電力を段階的に低減するレベル調整工程と、前記補助パルスが供給された後に第2の設定回数だけ、前記補助パルスが供給された直前の前記レベル調整工程において調整された前記第1の駆動パルスの実効電力より数段階大きな実効電力の第2の駆動パルスを供給する第2の駆動工程とを有するようにしている。
【0019】
このような第2の駆動手段あるいは第2の駆動工程を設けることにより、連続してロータを回転した実績に基づき実効電力が低くなった第1の駆動パルスの実効電力を上げずに、何らかの原因によって輪列の噛み合い負荷などが増加し、短時間だけ実効電力の大きな駆動パルスが必要とされる状況に対応することができる。従って、小さな実効電力の駆動パルスで運針できるタイミングでは、必要最小限のエネルギーに設定された第1の駆動パルスを供給することができるのでステッピングモータで消費される電力をさらに低減することが可能になる。一方、負荷が大きくなるステップアングルでは補助パルスに続いて実効電力の大きな第2の駆動パルスが出力されるので、消費電力の大幅な増加に繋がる補助パルスを連続して出力ような事態も防止することができる。
【0022】
このように、低消費電力でステッピングモータを確実に回転することができる本発明の制御装置と、駆動パルスにより時計針を運針するステッピングモータと、複数の周波数のパルス信号を出力するパルス合成手段とを備えた計時装置を実現することにより、精度が高く、さらに、消費電力が非常に小さな小型で長寿命の計時装置を提供することができる。また、発電装置を内蔵した計時装置に本発明の制御方法あるいは制御装置を採用することにより長時間放置しても運針を継続して行える計時装置を実現することができる。
【0023】
また、本発明のステッピングモータの制御方法は、論理回路や、マイクロプロセッサーの制御用プログラムなどとしてコンピュータに読み取り可能な媒体に記憶された状態で提供することができ、計時装置にかぎらず低消費電力で精度の高いモータ駆動の要求される装置に適用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施の形態〕
以下に図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。図1に、本発明の第1の実施の形態に係る計時装置1の概略構成を示してある。本例の計時装置1は、ステッピングモータ10を制御装置20によって駆動し、ステッピングモータ10の動きを輪列50を介して秒針61、分針62および時針63に伝達して運針を行うようになっている。ステッピングモータ10および輪列50、さらに、制御装置20の主な構成は図7に基づき説明したものと同様につき、共通する部分には同じ符号を付して以下では詳細な説明を省略する。
【0025】
本例の計時装置1の制御装置20に採用されている制御回路23も駆動制御回路24と検出回路25を備えている。本例の駆動制御回路24は、駆動回路30を介して駆動コイル11に駆動パルスP1を供給する第1の駆動パルス供給部24aと、駆動パルスに続いて回転検出用のパルスSP2を供給する回転検出パルス供給部24bと、駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスP2を供給する補助パルス供給部24cと、補助パルスに続いて消磁パルスPEを供給する消磁パルス供給部24dと、駆動パルスP1の実効電力を制御できるレベル調整部24eと、さらに、第1の駆動パルス供給部24aから供給される駆動パルスP1より実効電力の大きな第2の駆動パルスP11を供給できる第2の駆動パルス供給部24fを備えている。この第2の駆動パルス供給部24fは、第1の駆動パルスP1よりも実効電力が数段階大きな第2の駆動パルスP11を補助パルスP2から所定の第2の設定回数(本例においてはM0回のサイクル)だけ連続して供給するようになっている。
【0026】
また、本例の計時装置1は、電池41から出力された電力を昇降圧回路49を介して制御装置20の駆動回路30に供給できるようになっている。本例の昇降圧回路49は、複数のコンデンサ49a、49bおよび49cを用いて多段階の昇圧および降圧ができるようになっており、制御装置20の駆動制御回路24から制御信号φ11によって駆動回路30に供給する電圧を調整することができる。また、昇降圧回路49の出力電圧はモニタ回路φ12によって駆動制御回路24にも供給されており、これによって出力電圧をモニタすることができる。従って、第1の駆動パルスP1および第2の駆動パルスP11の実効電力は、レベル調整部24eが昇降圧回路49を制御することによって設定することが可能である。このように、本例の計時装置1においては、パルス幅と電圧によって第1の駆動パルスP1および第2の駆動パルスP11の実効電力を制御できるので、きめの細かい駆動電力の制御が可能であり、ロータ13を回転するのに適した電力の駆動パルスを供給して省電力化を図っている。
【0027】
図2に、本例の計時装置1に採用されているステッピングモータの制御方法の概略をフローチャートを用いて示してある。このフローチャートにおいても、先に図8に基づき説明した制御方法と同様のステップには同じ符号を付してあり、以下では詳しい説明を省略する。まず、ステップST1で運針用に1秒を計測する。本例の制御装置20においては、次にステップST11において、第2の駆動パルスP11のカウンタmの値が第2の設定回数M0に達しているか否かを判断する。カウンタmの値が第2の設定回数M0に達している場合は、ステップST2に移行して第1の駆動パルス供給部24aの制御に基づき従来と同様に駆動パルスP1を出力する。
【0028】
一方、カウンタmが第2の設定回数M0以下である場合は、ステップST12に移行して第1の駆動パルスP1に代わり、第2の駆動パルス供給部24fの制御に基づき実効電力の大きな第2の駆動パルスP11を出力する。そして、ステップST13においてカウンタmを加算する。補助パルスP2が出力されるタイミングは、組み立て公差などの原因によって輪列の噛み合い具合が乱れて効率の悪い状態になっている場合が多い。さらに、このような原因による噛み合い負荷が増加するステップアングルは1ステップあるいは長くても数ステップに限定されているケースが殆どである。また、補助パルスP2が出力されたことによって輪列の状態が代わって噛み合い負荷が増加した状態になっても、ロータが数ステップ回転することによってもとの噛み合い負荷の低い状態に復帰することが多い。このため、本例のように、補助パルスP2に続いて実効電力が多少大きな第2の駆動パルスP11を適当なステップアングル分だけ出力することによって噛み合い負荷が増加する期間を乗り切ることが可能であり、その後は、先に供給されていた実効電力の小さな第1の駆動パルスP1で通常通りの運針を行うことができる。
【0029】
第1または第2の駆動パルスP1またはP11が出力された後は、ステップST3において回転検出用パルス供給部24bによって検出用パルスSP2が供給され、検出回路25でロータ13の回転が正常に行われたか否かが確認される。そして、ロータ13が回転していない場合はステップST4で補助パルス供給部24cによって補助パルスP2が出力され、これに続いてステップST5で消磁パルス供給部24dによって消磁パルスPEが出力される。さらに、ステップST6で駆動パルスの実効電力を1段階レベルアップする。その後、本例の制御装置20において、ステップST15で第2の駆動パルスP11を出力するためのカウンタmを初期化して次のサイクルでは第2の駆動パルスP11が出力されるようにしている。
【0030】
一方、ステップST3においてロータ13の回転が確認されると、ステップST7において第1の駆動パルスP1のカウンタnがアップされる。そして、ステップST8で、第1の駆動パルスP1の実効電力を低減するための第1の設定回数N0と比較される。カウンタnが第1の設定回数N0に到達しているときはステップST9で第1の駆動パルスP1の実効電力が1段階下げられ、ステップST10においてカウンタnが初期化される。
【0031】
図3に、タイミングチャートを用いて本例の制御装置からステッピングモータ10に駆動パルスなどが供給される一例を示してある。図3には、先に説明した図9と同様に、駆動コイル11にある方向の磁界(駆動極側)を励起するpチャンネルMOS33a、nチャンネルMOS32aおよびサンプリング用のpチャンネルMOS34aの各ゲートGP1、GN1およびGS1と、駆動極側に対して反対となる逆方向の磁界を励起するためのpチャンネルMOS33b、nチャンネルMOS32bおよびサンプリング用のpチャンネルMOS34bの各ゲートGP2、GN2およびGS2に供給される制御信号を用いて示してあり、図8と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
まず、上記のフローチャートのステップST1において時間が経過すると、前のサイクルでは補助パルスP2が出力されておらず、また、カウンタmの値が第2の設定回数M0に達しているので、時刻t41に電圧V10の第1の駆動パルスP1が出力され、最初のサイクルが開始される。次に時刻t42にステップST3において回転検出用パルスSP2が出力され、回転が検出されないと時刻t43にステップST4で補助パルスP2が出力される。補助パルスP2が出力されると、時刻t44にステップST5で消磁パルスPEが出力され1つのサイクルを終了する。
【0033】
時刻t41から1秒が経過すると次のサイクルが開始される。前のサイクルで補助パルスP2が出力されているので、カウンタmは零クリアされている。このため、このサイクルでは、ステップST11においてカウンタmが第2の設定回数M0に達していないので、時刻t51にステップST12で第1の駆動パルスP1よりレベルアップされた、すなわち、実効電力の大きな第2の駆動パルスP11が出力される。本例の計時装置1においては、昇降圧回路49によって電圧を制御できるようになっているので、第2の駆動パルスP11として電圧V10より高い電圧V11の駆動パルスが時刻t51に出力される。なお、昇降圧回路49から出力される電圧を制御することによって駆動回路30からステッピングモータ10に供給されるパルスの電圧が決定されるが、以下では、簡単のためタイミングチャートに示された制御用のパルスの電圧で駆動パルスの電圧を示してある。
【0034】
第2の駆動パルスP11に続いて時刻t52にステップST3で回転検出用のパルスSP2が供給され、ロータ13の回転が確認される。同様に次のサイクルにおいても時刻t61に第2の駆動パルスP11が出力され、次の時刻t62に回転検出用のパルスSP2が出力される。さらに、次のサイクルにおいても時刻t71に第2の駆動パルスP11が出力され、次の時刻t72に回転検出用のパルスSP2が出力される。本例の計時装置1においては、第2の設定回数M0を例えば3に設定してあり、時刻t81から始まる次のサイクルにおいては、第2の駆動パルスP11のカウンタmが3になる。従って、時刻t81から始まる次のサイクルにおいては、ステップST11からステップST2に移行し、補助パルスP2(時刻t43)が供給される前のサイクルより実効電力が1ランクアップした電圧V10’の第1の駆動パルスP1が時刻t81に出力される。
【0035】
このように、本例の計時装置1に採用されている制御装置20においては、ロータ13を駆動するための負荷が高くなって補助パルスP2が出力される状態になった後に、従来であれば駆動パルス(本例においては第1の駆動パルス)P1の実効電力を1段階づつ上げて対応していたのに対し、第1の駆動パルスP1の実効電力を1ランクだけアップした後に、その第1の駆動パルスP1の実効電力よりも1段階またはそれ以上大きな実効電力の第2の駆動パルスP11を供給して負荷が高くなった状態に対処するようにしている。先に説明したように、ロータ13の負荷が増す主な原因は輪列の噛み合い負荷が微小な製造上のばらつきや組み立て上のばらつきによって増加することに起因しているケースがほとんどである。さらに、その後もロータ13の負荷が大きな状態が継続する原因は、公差によって噛み合い負荷が増加した状態が続くことがあることと、駆動トルクの大きな補助パルスが供給されることによって輪列の噛み合い状態が低トルクの駆動パルスのときから若干変動してしまうことによるものが殆どである。このため、周期的に発生することも多いが、ロータが数ステップ継続して回転することによって元のトルクで回る状態に復帰するので、負荷が増加するために大きな実効電力のパルスが必要となるステップアングルの数は少ない。従って、本例のように補助パルスP2に続いて通常供給される実効電力の駆動パルスP1よりも実効電力が多少大きい駆動パルスP11を供給することによって負荷が増えたステップアングルを回転ミスなく駆動することができる。さらに、トルクの非常に大きな補助パルスを連続して供給せずに済むので、消費電力を低減できると同時に輪列の状態を早期に復帰させることができる。そして、噛み合い負荷が増加するステップアングルを経過した後は、実効電力が最小限に絞られた駆動パルスP1を供給してロータ13を駆動することができる。従って、従来のように、実際に必要とされるエネルギーの1あるいは2段階程度あるいはそれ以上に大きな実効電力の駆動パルスが常時供給されるような事態を避けることができ、ステッピングモータで消費される電力をさらに低減することが可能となる。
【0036】
〔第2の実施の形態〕
図4に、本発明の第2の実施の形態に係る計時装置1の概略構成を示してある。本例の計時装置1は、図1に基づき説明した計時装置とほぼ同じ構成につき、共通する部分については同じ符号を付して以下では詳細な説明は省略する。本例の計時装置1に採用されている制御回路23は、駆動パルスP1を供給する駆動パルス供給部24aと、ロータ13の回転検出用パルスSP2を供給する回転検出用パルス供給部24bと、補助パルスP2を供給する補助パルス供給部24cを備えている。
【0037】
本例の駆動制御回路24の補助パルス供給部24cは、上述した従来の回路と同様に検出回路25でロータ13が回転しないと判定された場合に実効電力の大きな補助パルスP2を供給するようになっている。また、補助パルスP2に続いて出力される消磁パルスPEを制御する本例の消磁パルス供給部24dは、消磁パルスPEを従来よりも遅いタイミングで次の駆動パルスP1の直前に出力するようになっており、これによって次の駆動パルスP1の実質的な実効電力を高めてロータ13を回転するのに十分なエネルギーを与えられるようにしている。従って、駆動パルスP1のエネルギーを増やさずに補助パルスP2に続くサイクルでは実質的な実効電力の大きな駆動パルスを供給することができ、回転不良の原因となった噛み合い負荷の増加するステップアングルを乗り切ることができる。また、補助パルスP2が連続して供給されるのを防止できるので、輪列の噛み合い状態を早期に噛み合い負荷の低い元の状態に復帰させることができる。従って、本例のステッピングモータ10の制御回路20においては、噛み合い公差や軸ずれなどによって負荷が増加したステップアングルを乗り切れば噛み合い負荷の少ない状態に合わせて実効電力がほぼ限界まで低下された駆動パルスP1を用いてステッピングモータ10を駆動できるようになっている。このため、従来のように限界値の数段回上の実効電力の駆動パルスP1が供給される機会が大幅に減少し、ステッピングモータを駆動する際の消費電力をさらに低減することができる。
【0038】
図5に、本例の計時装置1に採用されているステッピングモータの制御方法の概略をフローチャートを用いて示してある。このフローチャートにおいても、先に説明した制御方法と同様のステップには同じ符号を付してあり、共通する部分については以下では詳しい説明を省略する。まず、ステップST1で運針用に1秒を計測し、1秒が経過するとステップST2において駆動パルスP1を出力する。これに続いてステップST3に回転検出用のパルスSP2を出力し、ロータ13が回転したか否かを検出する。回転が検出されなかったときは、補助パルスP2を供給するサブルーチンを実効する。このサブルーチンにおいては、ステップST4で実効電力の大きな補助パルスP2を出力し、次に消磁パルスPEを出力し、さらに、駆動パルスP1の実効電力を通常通り1ランクアップする。本例においては、消磁パルス供給部24dにおいて消磁パルスPEを出力するタイミングを遅らせるようにしており、ステップST21において時間経過を計測し、次のサイクルが始まる直前、すなわち、次の駆動パルスP1が出力される直前にステップST5において消磁パルスPEを出力するようにしている。補助パルスP2が出力された後に消磁パルスPEが出力されるとメインルーチンに戻ってステップST7に移行する。このように、本例の制御方法では、補助パルスP2が出力された後に駆動パルスP1の実効電力を1ランクアップすると共に、消磁パルスPEの電力を用いて大きな力で回転駆動させ、再び補助パルスP2が出力されて駆動パルスP1の実効電力が連続して2ランクあるいはそれ以上に増加するような事態を防止している。
【0039】
一方、ステップST3においてロータ13の回転が検出された場合は、補助パルスP2を出力するサブルーチンは実効されず、ステップST7においてカウンタnをアップし、ステップST8において第1の設定回数N0と比較する。そして、設定回数N0にカウンタnが達している場合はステップST9において駆動パルスP1の実効電力をさらに1段階低減して省電力化を図り、ステップST10でカウンタnを初期化する。
【0040】
図6に、タイミングチャートを用いて本例の制御装置からステッピングモータ10に駆動パルスなどが供給される一例を示してある。図6も先に説明した図3と同様に、駆動回路30を構成するpチャンネルMOS33a、nチャンネルMOS32aおよびサンプリング用のpチャンネルMOS34aの各ゲートGP1、GN1およびGS1、さらに、pチャンネルMOS33b、nチャンネルMOS32bおよびサンプリング用のpチャンネルMOS34bの各ゲートGP2、GN2およびGS2に供給される制御信号を用いて示してあり、上述した部分と共通するものについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
時刻t91に最初のサイクルが開始されると、まず、電圧V10の駆動パルスP1が駆動極側から出力され、これに続いて時刻t92に回転検出用のパルスSP2が出力される。そして、輪列の噛み合い公差などに起因してロータ13が回転しない場合は、時刻t93に実効電力の大きな補助パルスP2が駆動極側から出力される。次いで、本例の制御方法においては、次のサイクルが開始される時刻t101の直前に当たる時刻t94に消磁用のパルスPEが逆極側から出力される。消磁用パルスPEが出力されるとすぐに次のサイクルが開始され、時刻t101に前のサイクルの逆極側に相当する駆動極側で次の駆動パルスP1が出力される。このため、消磁パルスPEと駆動パルスP1によってロータ13を駆動するパルスが構成される状態となり実質的な実効電力が増大し、補助パルスP2が出力されることによって噛み合い負荷が増加したアングルでもロータ13を回転させることができる。
【0042】
時刻t102に回転検出用パルスSP2が出力され、回転が検出されると、次のサイクルでは時刻t111に補助パルスP2が時刻t93で出力される前より1ランクアップした駆動パルス、すなわち、電圧V10’の駆動パルスP1が出力される。このように、本例の制御装置および制御方法においては、噛み合い負荷が一時的に増加するために補助パルスP2を用いないとロータ13が回転できない状態となったときに、これに続く駆動パルスP1の実効電力を連続的に複数段階増加させることなく噛み合い負荷の高いタイミングを乗り切って精度の高い運針を行うことができる。
【0043】
以上のように、本例の計時装置1は、補助パルスP2が出力された後に、実効電力の大きな第2の駆動パルスP11を出力したり、あるいは、消磁パルスPEを出力するタイミングを次の駆動パルスP1に近づけるようにして実質的に実効電力の高い駆動パルスを供給できるようにしている。このため、噛み合い公差などに起因する非常に短い間だけステッピングモータ10にかかる負荷の増加に対し、駆動パルスP1の実効電力を必要以上に上げずに対応することができる。従って、噛み合い公差などが元の状態に戻ってステッピングモータ10にかかる負荷も減ると、先に設定した実効電力より1ランクアップした程度の小さな駆動パルスP1が出力される。このため、従来においては、噛み合い公差や、その後の補助パルスが出力されたことによる軸ずれなどに起因する殆ど瞬間的な負荷の上昇によって駆動パルスP1の実効電力が数段階上昇してしまい結果的に必要最小限の実効電力よりも大きな駆動パルスによってステッピングモータが駆動されていたのに対し、本発明では瞬間的な負荷の上昇に対応できると共に負荷が通常に戻った場合には必要最小限の実効電力の駆動パルスを供給することができる。従って、ステッピングモータで消費される電力を従来よりもさらに低減することが可能となり、小型で長寿命の計時装置を実現したり、また、自己発電型の計時装置において長時間放置されても継続的に稼働する計時装置を提供することができる。また、本発明は腕時計装置などの計時装置に限らず、クロノグラフなどの多機能時計やその他の発電装置およびステッピングモータを内蔵しいた装置においても本発明を提供できることはもちろんである。
【0044】
なお、上記において説明したそれぞれの駆動パルスP1、補助パルスP2、および回転検出パルスSP2などの波形は例示であり、計時装置に採用されたステッピングモータ10の特性などに合わせて設定できることはもちろんである。また、上記の例では、計時装置に好適な2相のステッピングモータを例に本発明を説明しているが、3相以上のステッピングモータに対しても本発明を同様に適用できることはもちろんである。また、各相に共通した制御を行う代わりに、各相毎の適したパルス幅およびタイミングで駆動パルスを供給することも可能である。また、ステッピングモータの駆動方式は、1相励磁に限らず、2相励磁あるいは1−2相励磁であっても良いことはもちろんである。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の制御方法および制御装置はステッピングモータが所定の実効電力の駆動パルスによって連続して動いた場合に駆動パルスの実効電力を徐々に減らしながら低消費電力でステッピングモータを駆動できるものである。さらに、本発明によってステッピングモータの動力を伝達するための輪列の噛み合いの公差や、その後の強制的に回転させるためのトルクの大きな補助パルスの影響によって瞬間的に負荷が増えても、継続的に供給される駆動パルスの実効電力そのものは増加させずに対応することができるので、ほぼ限界まで低減された実効電力の駆動パルスによってステッピングモータを駆動することができる。従って、本発明により、従来にも増して低消費電力でステッピングモータを駆動することが可能となり、今後の小型で長寿命を目指した計時装置や、発電装置を内蔵して電池が不要の計時装置に好適な制御装置および制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係るステッピングモータと発電装置を格納した計時装置の概略構成を示す図である。
【図2】 図1に示す制御装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図3】 図1に示す制御装置の動きを示すタイミングチャートである。
【図4】 本発明の第2の実施の形態に係るステッピングモータと発電装置を格納した計時装置の概略構成を示す図である。
【図5】 図4に示す制御装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図6】 図4に示す制御装置の動きを示すタイミングチャートである。
【図7】 従来の計時装置の概略構成を示す図である。
【図8】 図7に示す制御装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図9】 図7に示す計時装置に採用されている制御装置の動きを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1、9・・計時装置
10・・ステッピングモータ
11・・駆動コイル
12・・駆動用ステータ
13・・駆動用ロータ
20・・制御装置
21・・水晶振動子
22・・パルス合成回路
23・・制御回路
24・・駆動制御回路
24a・・第1の駆動パルス供給部
24b・・回転検出用パルス供給部
24c・・補助パルス供給部
24d・・消磁パルス供給部
24e・・レベル調整部
24f・・第2の駆動パルス供給部
25・・検出回路
30・・駆動回路
41・・電池
49・・昇降圧回路
50・・輪列
51・・五番車
52・・四番車
53・・三番車
54・・二番車
55・・日の裏車
56・・筒車
61・・秒針
62・・分針
63・・時針

Claims (7)

  1. 多極磁化されたロータと駆動コイルを備えたステータ内で回転駆動可能なステッピングモータの制御装置であって、
    前記駆動コイルに対し前記ロータを駆動するための第1の駆動パルスを供給する第1の駆動手段と、
    前記駆動コイルに供給された駆動パルスによって前記ロータが回転したか否かを検出する回転検出手段と、
    前記ロータの回転が検出できなかったときに前記第1の駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスを供給する補助パルス供給手段と、
    第1の設定回数だけ連続して前記ロータが回転したときに前記第1の駆動パルスの実効電力を段階的に調整するレベル調整手段と、
    前記補助パルスが供給された後に、第2の設定回数だけ、前記補助パルスが供給された直前の前記レベル調整手段によって調整された駆動パルスの実効電力より数段階だけ大きな実効電力の第2の駆動パルスを供給することを特徴とするステッピングモータの制御装置。
  2. 請求項1において、前記第2の駆動手段は、前記駆動パルスのパルス幅を変更して実効電力を調整可能であることを特徴とするステッピングモータの制御装置。
  3. 請求項1において、前記第2の駆動手段は、前記駆動パルスの電圧を変更して実効電力を可能であることを特徴とするステッピングモータの制御装置。
  4. 多極磁化されたロータと駆動コイルを備えたステータ内で回転駆動可能なステッピングモータの制御方法であって、
    前記駆動コイルに対し前記ロータを駆動するための第1の駆動パルスを供給する第1の駆動工程と、
    前記駆動コイルに供給された駆動パルスによって前記ロータが回転したか否かを検出する回転検出工程と、
    前記ロータの回転が検出できなかったときに前記第1の駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスを供給する補助工程と、
    第1の設定回数だけ連続して前記ロータが回転したときに前記第1の駆動パルスの実効電力を段階的に低減するレベル調整工程と、
    前記補助パルスが供給された後に第2の設定回数だけ、前記補助パルスが供給された直前の前記レベル調整工程において調整された前記第1の駆動パルスの実効電力より数段階大きな実効電力の第2の駆動パルスを供給する第2の駆動工程とを有することを特徴とするステッピングモータの制御方法。
  5. 請求項4において、前記第2の駆動工程は、前記駆動パルスのパルス
    幅を変更して実効電力を調整することを特徴とするステッピングモータの制御方法。
  6. 請求項4において、前記第2の駆動工程は、前記駆動パルスの電圧を
    変更して実効電力を調整することを特徴とするステッピングモータの制御方法。
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載のステッピングモータの制御装置と、
    前記駆動パルスにより時計針を運針するステッピングモータと、
    複数の周波数のパルス信号を出力するパルス合成手段とを有することを特徴とする計時装置。
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