JP3831167B2 - ねじ切り工具及びねじ切り方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低コストのねじ切り工具及びこの工具で実施するねじ切り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15(a)〜(c)は従来の代表的なねじ切り方法を示す図である。
(a):鋳物101にドリル102を臨ませ、ねじ下穴の加工を開始する。ドリル102の先端角θは一般に120°である。
(b):103はドリルで開けたねじ下穴であり、深さはD1である。この様なねじ下穴103にねじ切りタップ104を臨ませ、ねじ切りを開始する。
(c):105はねじ切りタップで立てたねじであり、このねじ105の入口を面取り具106で面取りする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ねじ105を切るために、ドリル、タップ及び面取り具が必要であり、工具の数が多く、工具の調達費用が嵩むとともに、工具の管理費用が嵩むことになる。
そこで、本発明の目的はねじ切りに必要な工具の数を少なくすることのできる技術を提供することになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、シャンクと、このシャンクの先端に取付け、少なくとも、すくい面、逃げ面、並びにドリル刃とねじ切り刃を、形成する一体化したチップとからなるねじ切り工具において、
前記チップは、CBN若しくはダイヤモンドの高硬度焼結体を第2層とし、この第2層を超硬合金などの工具材料からなる第1層及び第3層でサンドイッチし、加圧焼結されて製造された3層積層体からなり、
前記ねじ切り工具を正面から見ると、前記第2層は工具の回転中心を通る細い帯であり、この細い帯にドリル刃及びねじ切り刃のみから構成される切れ刃を形成するとともに、 少なくともすくい面及び逃げ面が形成された第1層及び第3層で、第2層の両側を補強する一体化構造であって、ドリル刃、ねじ切り刃、シャンクをこの順で形成し、チップで形成するねじのねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応してねじ切り工具のねじ切り刃を徐々にめねじの入口まで引抜くことで、ねじ切り刃でねじを切込むもので、ドリル刃に連ねてドリル刃の外径と同径に、且つ、シャンクの外径より大径にねじ切り刃を形成し
前記ねじ切り刃は、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成していることを特徴とする。
【0005】
ねじ切り工具のドリル刃でねじ下穴を開け、ねじ切り工具のねじ切り刃でねじ切りをなし、ドリル刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
この1本の工具は、3層積層体を条切り(筋状に切ること)し、得た柱状素材から多数個のチップ半完成品を切出し、これらのチップ半完成品をシャンクに取付けて、チップを仕上げることでねじ切り工具を得る。歩留りが極めてよいので、チップの製造コストを大幅に下げることができるから、ねじ切り工具の製造コストを下げることができる。
【0006】
請求項2のねじ切り工具は、シャンクに油孔を設けるとともに、前記チップの第1層若しくは第3層又は第1層及び第3層に油孔を設け、前記シャンクの油孔をチップの油孔に連結したことを特徴とする。
切削のときに、油孔を通じて切削油を噴射することができる。これらの孔はチップをシャンクに取付けるときに位置決め部として活用することができる。
【0007】
請求項3のねじ切り方法は、請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつねじ切り工具のドリル刃でワークに所定の深さに下穴の底があるねじ下穴をあける下穴加工工程と、ねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りを開始するに当り、ねじ下穴の底に達した回転するねじ切り工具の軸を、深さを保ってねじ穴軸から一定距離オフセットさせるオフセット工程と、ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具のねじ切り刃をめねじの入口まで徐々に引抜くことで、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、ねじ切り工具のねじ切り刃がねじの入口に達したら、ねじ切り工具をねじ穴軸から大きくオフセットさせて、ドリル刃で面取り部を形成する工程とからなる。
【0008】
ねじ切り工具のドリル刃でワークにねじ下穴を開け、ねじ切り工具のねじ切り刃でねじ切りをなし、ドリル刃で入口の面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
【0009】
請求項4のねじ切り方法は、請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつねじ切り工具のドリル刃でワークに完全に若しくはほぼ貫通させたねじ下穴をあける下穴加工工程と、この貫通したねじ下穴内に進入したシャンクをそのままねじ下穴に通した状態で、シャンクの外径より大径でドリル刃の外径と同径のねじ切り刃が備えているドリル刃の背を用いてねじ下穴の出口に面取りを施す面取り加工工程と、面取りに用いたねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りするために、前記ねじ切り工具の軸を、ねじ穴軸から一定距離オフセットさせた後、ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具のねじ切り刃をめねじの入口まで徐々に引抜くことで、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、ねじ切り工具のねじ切り刃がねじの入口に達したら、ねじ切り工具をねじ穴軸から大きくオフセットさせて、ドリル刃で面取り部を形成する工程と、からなる。
【0010】
ねじ切り工具のドリル刃でワークに完全に若しくはほぼ貫通させたねじ下穴を開け、ねじ切り工具のドリル刃の背でねじ下穴の出口に面取りを施し、ねじ切り工具のねじ切り刃でねじ切りをなし、ドリル刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ下穴の出口の面取り加工並びにねじ加工を実行することができる。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明で採用した3層構造体の断面図であり、3層構造体10は、CBN若しくはダイヤモンドの高硬度焼結体を第2層11とし、この第2層11を超硬合金などの工具材料からなる第1層12及び第3層13でサンドイッチした積層体である。例えば第2層11の厚さは1mm程度、第1層12や第3層13の厚さは5mm程度、3層構造体10の厚さは11mm程度とする。
【0012】
なお、CBNはcubic boron nitride、すなわち立方晶窒化ほう素を略したものであり、ダイヤモンドとともに広く採用されている人造砥粒である。CBNは鉄系ワークの切削に、ダイヤモンドは非鉄系ワークの切削に好適である。
【0013】
前記3層構造体10の製造方法の一例を説明すると、先ず4〜16μmのダイヤモンド粒若しくはCBN粒を、HIP(熱間静水圧プレス)にて等圧的に加圧しながら焼結することで、第2層11を製造し、この第2層11の上下にWC粉末を重ねHIPで加圧しながら焼結することで、3層構造体10を得る。
HIPをHP(ホットプレス)やCIP(冷間静水圧プレス)に替えることは自在であり、周知の焼結法であれば製造法は特に限定するものではない。
【0014】
図2は本発明で採用した3層構造体の平面図(図1の平面図に相当する図)であり、想像線15・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)に沿って且つ第1層12の上面に垂直若しくはほぼ垂直に、3層構造体10を切断することで、多数本の柱状素材20・・・を切出す。このことを条切りということもある。
図から明らかなように、極めて歩留りよく(例えば歩留り90%)、柱状素材20・・・を切出すことができる。
【0015】
図3は本発明に係る柱状素材の斜視図であり、柱状素材20はa×bの矩形断面の長尺材であり、第1層12、第2層11及び第3層13の積層体である。この柱状素材20の対向する切断面のうち、図で右のものを一方の切断面21、左のものを他方の切断面22と呼ぶことにする。そして、便宜上、柱状素材20を矢印cのように倒して、一方の切断面21を上に向ける。
【0016】
図4は本発明の油孔を有する柱状素材の図であり、柱状素材20の第1層12及び第3層13に、所定のピッチで油孔24・・・を開ける。具体的には、パイプ電極を用いた放電加工法にて、一方の切断面21から他方の切断面、すなわち図面の表から裏に向って穿孔する。
【0017】
図5は本発明におけるチップ半完成品の切出し要領図であり、油孔24・・・を有する柱状素材20を一方の切断面21から他方の切断面、すなわち図面の表から裏に向って切断することで、多数個のチップ半完成品30・・・を切出す。具体的には、ワイヤカット放電加工法にて、切出す。
【0018】
図6は本発明によるチップ半完成品をシャンクに取付けるときの要領図であり、工具鋼の丸棒に油孔51,51を開け、丸棒を所定の外径に仕上げ、側部に溝52,52を刻設してなるシャンク50の先端に、チップ半完成品30を添え、好ましくはピン54,54を油孔24,51に連通させて、チップ半完成品30の位置決め精度を上げるようにして、シャンク50にろー(ろー材)53にてチップ半完成品30をろー付けする。
【0019】
図7はシャンク−チップ半完成品結合体の側面図であり、53はろーであり、このろー53でシャンク50の先端にチップ半完成品30を結合したことを示す。
図8はシャンク−チップ半完成品結合体の仕上げ加工図、図9は図8の9矢視図であり、チップ半完成品30にすくい面(正面すくい面41a及び側面すくい面41b)、切れ刃(ドリル刃42a及びねじ切り刃42b)、逃げ面(正面逃げ面43a及び側面逃げ面43b)などを形成することでチップ40を仕上げたことを示す。なお、すくい面、切れ刃及び逃げ面は、図において下方にも形成するが、符号が錯綜するので、符号の記入は省略した。
【0020】
この結果、図9に示す通り、ねじ切り工具60を正面から見ると、第2層11は工具の回転中心を通る縦長の細い帯であり、この細い帯にドリル刃42a,ねじ切り刃42bを形成するとともに、第2層11の両側を第1層12及び第3層13で補強する構造であることを特徴とする。
【0021】
なお、油孔24,24を正面逃げ面43a,43a(左下の43aは不図示)に開口したので、十分な量の切削油を切削面若しくは切削部位へ供給することができる。
【0022】
以上の説明から明らかな如く、本発明の切削用チップの製造方法は、図1の3層積層体10を対象に、第1層12の上面にほぼ垂直に第1層12、第2層11、第3層13の順に切断することで、図3に示した矩形断面の柱状素材20を切り出す第1切断工程と、
前記柱状素材20の一方の切断面21から他方の切断面22へ向って切断することで前記第2層11を中央に含むチップ半完成品30・・・(図5参照)を切出す第2切断工程と、
このチップ半完成品30を、別途準備したシャンク50に接合する接合工程と、
チップ半完成品30にすくい面41a,41b、切れ刃42a,42b、逃げ面43a,43bを形成してチップ40を得る仕上げ工程と、からなることを特徴とする。
【0023】
この製造方法を採用することにより、図2並びに図5から明らかな如く、製品歩留りが極めて高くなり、チップを大量に安価に製造することができる。この結果、ねじ切り工具も低コストで製造することができる。
【0024】
図10(a)〜(c)は本発明に係るねじ切り工程図(前半)である。
(a):ワークであるところの鋳物62に回転させたねじ切り工具60を臨ませ、ねじ下穴加工を開始する。ドリル刃42aで穴を開けることができる。
(b):ねじ下穴63の内径は、ねじ切り工具60の外径とほぼ同一であることを示す。所定の深さに達したらねじ切り工具60の前進(下降)を止める。
(c):ねじ穴軸64から距離δだけねじ切り工具の軸66をオフセットさせる。ねじ切り工具60は回転しているので、ねじ下穴63を容易に切込むことができる。
【0025】
図11(a)〜(c)は本発明に係るねじ切り工程図(後半)である。
(a):ねじ穴軸64を中心にしてねじ切り工具の軸66を回転させつつ、ねじ68のリードLに対応してねじ切り工具60を徐々に引抜くことで、ねじ切り刃42bでねじ68を切込む。
(b):ねじ切り工具60のねじ切り刃42bがねじ68の入口に達したら、ねじ切り工具の軸66をねじ穴軸64から大きくオフセットさせて、面取り部69を形成する。
(c):ねじ切り工具60を撤去し、ねじ切り加工を完了する。
【0026】
図12(a),(b)は完成したねじの比較図である。
(a)は、図15(c)を転写したもので、従来のねじ切り方法で製造したねじ105を示し、その深さはD1である。
(b)は、図11(c)を転写したもので、本発明のねじ切り方法で製造したねじ68を示し、その深さはD3である。
図から明らかなように深さD3は深さD1より浅く、本発明によれば(D1−D3)だけ総深さを従来より浅くすることができる。
従って、本発明方法によれば、鋳物を薄くすることができる。すなわち、ねじを形成するために肉厚を増す必要がないため、鋳物の軽量化が図れる。
【0027】
次に、鋳物にねじを貫通させる場合のねじ切り工程を説明する。
図13(a)〜(c)は本発明に係る貫通ねじ切り工程図(前半)であり、上段に平面図を併記したので、合計6個の図を表わしたものである。
(a):ワークであるところの鋳物72に回転させたねじ切り工具60を臨ませ、ねじ下穴加工を開始する。ドリル刃42aで穴を開けることができる。
【0028】
(b):鋳物72に仮想線で示すドリル刃42aのように完全に若しくは実線で示すようにほぼ貫通させたねじ下穴73を開ける。
その際、ねじ下穴73の出口74の縁にかえり75が発生する。かえり75は、ばりともいい、切削加工の際、縁にできる小さな切り残りである。こういった「かえり」は、ねじ切り工具60のみが形成するものではなく、一般の切削工具でも穴(孔)を開けた場合に当然生じるものである。
ねじ下穴73の内径は、ねじ切り工具60の外径とほぼ同一であり、ねじ下穴73は通し(貫通)である。
【0029】
(c):ねじ穴軸64から距離δ1だけねじ切り工具の軸66を送り、場合によっては、さらにねじ切り工具66を所定の距離だけZ軸(矢印方向)に送り、ドリル刃42aの背42c(ねじ切り刃42b)で面取り76を施す。具体的には、ねじ切り工具60自身を回転させ(矢印▲1▼,▲1▼)ながら、ねじ穴軸64に対し、ねじ切り工具の軸66を距離δ1だけ偏心させ、ねじ切り工具60を出口74の円弧に沿って送り(矢印▲2▼,▲2▼)、ねじ切り刃42bで出口74の縁のかえりを切削しつつ、面取り76を設ける。このようにねじ切り工具60を矢印▲1▼のごとく自転させつつ、矢印▲2▼のように公転させることを、コンタリング加工という。
【0030】
このように、図13に示す通り、ねじ切り工具60のねじ切り刃42bでコンタリング加工を行うことで、ねじ下穴63の出口74に面取り76を施すことができる。その結果、ねじ下穴63を加工後、連続して出口74の面取りを実施することができ、ねじ切り工具60から面取り具へ工具交換する必要がない。従って、必要な工具の数を少なくすることができる。
また、工具交換の時間を省くことができ、加工時間の削減を図ることができる。
【0031】
図14(a)〜(c)は本発明に係る貫通ねじ切り工程図(後半)であり、上段に平面図を併記したので、合計6個の図を表わしたものである。
(a):ねじ穴軸64に対するねじ切り工具の軸66のオフセットをδ(原則として前記のδ1とは異なる寸法。ねじ寸法から定められる値)に変更し、この状態でねじ切り刃42bでねじ下穴73にねじ切りを開始する。
【0032】
(b):ねじ穴軸64を中心にしてねじ切り工具の軸66を回転させつつ、ねじ68のリードLに対応してねじ切り工具60を徐々に引抜くことで、ねじ切り刃42bでねじ68を切込む。
【0033】
(c):ねじ切り工具60のねじ切り刃42bがねじ68の入口に達したら、ねじ切り工具の軸66をねじ穴軸64から大きくオフセットさせて、面取り部69を形成し、ねじ切り工具60を撤去し、ねじ切り加工を完了する。
【0034】
このように、ねじ切り工具60のドリル刃42aの背42c(ねじ切り刃42b)でねじ下穴の出口74に面取り76を施したので、精密部にばりが混入することはなく、また出口74側に相手部品を組合せた際、ばりによる隙間の発生を防止することができる。
【0035】
尚、本発明のねじ切り工具は、アルミニウム合金鋳物のねじ切りに好適である。アルミニウム合金鋳物は軟らかく切削抵抗が比較的小さいため、ねじ切り工具の寿命が十分に見込めるからである。しかし、本発明のねじ切り工具で、ねずみ鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)、ステンレス鋳物(SCS)などの各種の鋳物又は樹脂、鋼材にねじ切ることは差支えない。
【0036】
又、実施例ではシャンクからチップに亘って2本の油孔を開けた。回転中心に対称に油孔を1対開ければ、ねじ切り工具の回転バランスを良好にすることができる。しかし、この油孔は1本又は3本以上であっても差支えなく、要はチップの逃げ面若しくはすくい面に開口するものであれば数は任意である。
【0037】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1のねじ切り工具では、チップで形成するねじのねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応してねじ切り工具のねじ切り刃を徐々にめねじの入口まで引抜くことで、ねじ切り刃でねじを切込むもので、ドリル刃に連ねてドリル刃の外径と同径に、且つ、シャンクの外径より大径にねじ切り刃を形成し、ねじ切り刃は、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているので、ドリル刃でねじ下穴を開けてから、ドリル刃の外径と同径で且つ、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃をねじのリードに対応して徐々にめねじの入口まで引抜くと、ねじ切りをなすことができる。従って、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
また、ドリル刃でめねじの入口に面取りを施すことができ、1本の工具でねじ加工を行うことができる。
この1本の工具は、3層積層体を条切りし、得た柱状素材から多数個のチップ半完成品を切出し、これらのチップ半完成品をシャンクに取付けて、チップを仕上げることでねじ切り工具を得る。歩留りが極めてよいので、チップの製造コストを大幅に下げることができるから、ねじ切り工具の製造コストを下げることができる。
【0038】
請求項2のねじ切り工具では、切削のときに、油孔を通じて切削油を噴射することができる。これらの孔はチップをシャンクに取付けるときに位置決め部として活用することができる。
【0039】
請求項3のねじ切り方法は、請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつねじ切り工具のドリル刃でワークに所定の深さに下穴の底があるねじ下穴をあける下穴加工工程と、ねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りを開始するに当り、ねじ下穴の底に達した回転するねじ切り工具の軸を、深さを保ってねじ穴軸から一定距離オフセットさせるオフセット工程と、ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具のねじ切り刃をめねじの入口まで徐々に引抜くことで、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、ねじ切り工具のねじ切り刃がねじの入口に達したら、ねじ切り工具をねじ穴軸から大きくオフセットさせて、ドリル刃で面取り部を形成する工程と、からなるので、オフセット工程では、ドリル刃の外径と同径のねじ切り刃で、底からねじ切りを開始することができ、ねじを形成した深さを浅くすることができる。
ねじ切り工程では、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃によって底のある下穴加工に連続して、底からねじの入口までねじを切ることができる。
すなわち、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃でねじ切りをなし、ドリル刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
従って、ねじ切りに必要な工具の数を少なくすることができる。
【0040】
請求項4のねじ切り方法は、請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつねじ切り工具のドリル刃でワークに完全に若しくはほぼ貫通させたねじ下穴をあける下穴加工工程と、この貫通したねじ下穴内に進入したシャンクをそのままねじ下穴に通した状態で、シャンクの外径より大径でドリル刃の外径と同径のねじ切り刃が備えているドリル刃の背を用いてねじ下穴の出口に面取りを施す面取り加工工程と、面取りに用いたねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りするために、前記ねじ切り工具の軸を、ねじ穴軸から一定距離オフセットさせた後、ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具のねじ切り刃をめねじの入口まで徐々に引抜くことで、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、ねじ切り工具のねじ切り刃がねじの入口に達したら、ねじ切り工具をねじ穴軸から大きくオフセットさせて、ドリル刃で面取り部を形成する工程と、からなるので、面取り加工工程では、貫通したねじ下穴加工に連続して、ねじ切り刃が備えているドリル刃の背でねじ下穴の出口に面取りを施すことができる。
ねじ切り工程では、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃で面取り加工に連続して出口から入口までねじを切込むことができる。
すなわち、ねじ切り工具のドリル刃で貫通させたねじ下穴をあけ、ねじ切り刃が備えているドリル刃の背でねじ下穴の出口に面取りを施すので、1本のねじ切り工具で下穴加工工程、出口の面取り加工工程及びねじ切り工程を実施することができ、出口の面取り工具へ工具交換する必要がない。従って、ねじ切りに必要な工具の数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で採用した3層構造体の断面図
【図2】本発明で採用した3層構造体の断面図
【図3】本発明に係る柱状素材の斜視図
【図4】本発明の油孔を有する柱状素材の図
【図5】本発明におけるチップ半完成品の切出し要領図
【図6】本発明によるチップ半完成品をシャンクに取付けるときの要領図
【図7】シャンク−チップ半完成品結合体の側面図
【図8】シャンク−チップ半完成品結合体の仕上げ加工図
【図9】図8の9矢視図
【図10】本発明に係るねじ切り工程図(前半)
【図11】本発明に係るねじ切り工程図(後半)
【図12】完成したねじの比較図
【図13】本発明に係る貫通ねじ切り工程図(前半)
【図14】本発明に係る貫通ねじ切り工程図(後半)
【図15】従来の代表的なねじ切り方法を示す図
【符号の説明】
10…3層構造体、11…第2層、12…第1層、13…第3層、20…柱状素材、24,51…油孔、40…チップ、42a…ドリル刃、42b…ねじ切り刃、42c…ドリル刃の背、50…シャンク、60…ねじ切り工具、62,72…ワーク(鋳物)、63,73…ねじ下穴、64…ねじ穴軸、66…ねじ切り工具の軸、68…ねじ、69…面取り部、74…出口、76…面取り、δ…オフセット量。

Claims (4)

  1. シャンクと、このシャンクの先端に取付け、少なくとも、すくい面、逃げ面、並びにドリル刃とねじ切り刃を、形成する一体化したチップとからなるねじ切り工具において、
    前記チップは、CBN若しくはダイヤモンドの高硬度焼結体を第2層とし、この第2層を超硬合金などの工具材料からなる第1層及び第3層でサンドイッチし、加圧焼結されて製造された3層積層体からなり、
    前記ねじ切り工具を正面から見ると、前記第2層は工具の回転中心を通る細い帯であり、この細い帯に前記ドリル刃及び前記ねじ切り刃のみから構成される切れ刃を形成するとともに、
    少なくともすくい面及び逃げ面が形成された第1層及び第3層で、第2層の両側を補強する一体化構造であって、
    前記ドリル刃、ねじ切り刃、シャンクをこの順で形成し、
    前記チップで形成するねじのねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応してねじ切り工具のねじ切り刃を徐々にめねじの入口まで引抜くことで、ねじ切り刃でねじを切込むもので、
    前記ドリル刃に連ねてドリル刃の外径と同径に、且つ、シャンクの外径より大径にねじ切り刃を形成し
    前記ねじ切り刃は、ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成していることを特徴としたねじ切り工具。
  2. 前記シャンクに油孔を設けるとともに、前記チップの第1層若しくは第3層又は第1層及び第3層に油孔を設け、前記シャンクの油孔をチップの油孔に連結したことを特徴とする請求項1記載のねじ切り工具。
  3. 請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつ該ねじ切り工具のドリル刃でワークに所定の深さに下穴の底があるねじ下穴をあける下穴加工工程と、
    ねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りを開始するに当り、ねじ下穴の底に達した回転するねじ切り工具の軸を、前記深さを保ってねじ穴軸から一定距離オフセットさせるオフセット工程と、
    ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具のねじ切り刃をめねじの入口まで徐々に引抜くことで、前記ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、
    ねじ切り工具のねじ切り刃がねじの入口に達したら、ねじ切り工具をねじ穴軸から大きくオフセットさせて、ドリル刃で面取り部を形成する工程と、
    からなることを特徴としたねじ切り方法。
  4. 請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつ該ねじ切り工具のドリル刃でワークに完全に若しくはほぼ貫通させたねじ下穴をあける下穴加工工程と、
    この貫通したねじ下穴内に進入したシャンクをそのままねじ下穴に通した状態で、シャンクの外径より大径でドリル刃の外径と同径のねじ切り刃が備えているドリル刃の背を用いてねじ下穴の出口に面取りを施す面取り加工工程と、
    前記面取りに用いたねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りするために、前記ねじ切り工具の軸を、ねじ穴軸から一定距離オフセットさせた後、ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具のねじ切り刃をめねじの入口まで徐々に引抜くことで、前記ドリル刃とドリル刃の背とでねじ山の角度と同じ角度を形成しているねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、
    ねじ切り工具のねじ切り刃がねじの入口に達したら、ねじ切り工具をねじ穴軸から大きくオフセットさせて、ドリル刃で面取り部を形成する工程と、
    からなることを特徴としたねじ切り方法。
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