JP3662773B2 - ねじ切り工具及びねじ切り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は低コストのねじ切り工具及びこの工具で実施するねじ切り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16(a)〜(c)は従来の代表的なねじ切り方法を示す図である。
(a):鋳抜き穴101にドリル102を臨ませ、ねじ下穴の加工を開始する。ドリル102の先端角θは一般に120°である。
(b):103はドリルで開けたねじ下穴であり、深さはD1である。この様なねじ下穴103にねじ切りタップ104を臨ませ、ねじ切りを開始する。
(c):105はねじ切りタップで立てたねじであり、このねじ105の入口を面取り具106で面取りする。107は面取り部を示す。この面取り部107を含むねじ105の長さをD2とすれば、長さ(D1−D2)の非ねじ部が残ることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ねじ105を切るために、ドリル、タップ及び面取り具が必要であり、工具の数が多く、工具の調達費用が嵩むとともに、工具の管理費用が嵩むことになる。
また、長さ(D1−D2)の非ねじ部が不可欠であるため、深さD1に余裕を見た長さを鋳物に見込まなければならず、鋳物を薄くすることができないことになる。
そこで、本発明の目的は▲1▼ねじ切りに必要な工具の数を少なくすること、及び▲2▼非ねじ部を廃止することのできる技術を提供することになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、シャンクと、このシャンクに取付けたチップとからなり、
前記チップは、CBN若しくはダイヤモンドの高硬度焼結体を第2層とし、この第2層を超硬合金などの工具材料からなる第1層及び第3層でサンドイッチした3層積層体からなり、
前記ねじ切り工具を正面から見ると、前記第2層は工具の回転中心を通る帯状の層であり、この帯状の層に底刃及びねじ切り刃を形成するとともに、第2層の両側を第1層及び第3層で補強する構造であるねじ切り工具であって、
前記ねじ切り刃の奥にねじ切り刃より小径でシャンクより大径のさらえ刃を形成し、前記第2層に底刃、ねじ切り刃、さらえ刃をこの順に形成したことを特徴とする。
【0005】
ねじ切り工具の底刃でねじ下穴を開け、ねじ切り工具のねじ切り刃でねじ切りをなし、ねじ切り刃もしくは底刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
この1本の工具は、3層積層体を条切り(筋状に切ること)し、得た柱状素材から多数個のチップ半完成品を切出し、これらのチップ半完成品をシャンクに取付けて、チップを仕上げることでねじ切り工具を得る。歩留りが極めてよいので、チップの製造コストを大幅に下げることができるから、ねじ切り工具の製造コストを下げることができる。
【0006】
更に請求項1では、ねじ切り刃でねじを切り、これに並行してさらえ刃でねじ山の頂きを切削し、底刃でねじ穴の底を仕上げる。ねじ山の頂きを切削するのはシャンクがねじ山に接触するのを防ぐためである。
【0007】
請求項2のねじ切り工具は、シャンクに油孔を設けるとともに、チップの第2層に油孔を設け、前記2つの油孔を一直線上に連結したことを特徴とする。
切削のときに、油孔を通じて切削油を噴射することができる。これらの孔はチップをシャンクに取付けるときに位置決め部として活用することができる。
【0008】
請求項3のねじ切り方法は、請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつ鋳抜き穴に進入させることで、前記ねじ切り工具の外径と同径のねじ下穴をあける下穴加工工程と、
ねじ下穴の底に達した前記ねじ切り工具の軸を、ねじ穴軸から一定距離オフセットさせてねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りを開始するオフセット工程と、
ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具を徐々に引抜くことで、ねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、からなる。
【0009】
ねじ切り工具の底刃でねじ下穴を開け、ねじ切り工具のねじ切り刃でねじ切りをなし、ねじ切り刃もしくは底刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
ねじ下穴の深さとねじ深さが実質同一となるため、非ねじ部を廃止することができる。
【0010】
請求項4のねじ切り方法は、請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具の軸をねじ穴軸から一定距離オフセットさせた後にねじ切り工具をねじ穴軸を中心に旋回させると共にねじ切り工具を回転させ、このねじ切り工具をねじのリードに対応して前進させることにより、ねじ切り刃で鋳抜き穴にねじを切込むねじ切り工程と、
ねじ切り刃で切出したねじの山の頂きを、前記さらえ刃にてさらうねじ山のさらえ工程と、
ねじ穴の底を、前記底刃にて仕上げる底仕上げ工程と、
からなる。
【0011】
鋳抜き穴を対象に、ねじ切り刃でねじを切り、これに並行してさらえ刃でねじ山の頂きを切削し、底刃でねじ穴の底を仕上げる。ねじ山の頂きを切削するのはシャンクがねじ山に接触するのを防ぐためである。
請求項3では、ねじ切り工具の前進動作で下穴を開け、後退動作でねじ切りを行ったが、この請求項4では、鋳抜き穴にねじ下穴を開けることなく前進動作でねじ切りを実行する。後退はねじ切り工具を撤去するだけであるから急速後退が可能であり、ねじ切りの所要時間を大幅に短縮することができる。
【0012】
そして、請求項3と同様に、ねじ切り刃もしくは底刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができ、ねじ下穴の深さとねじ深さが実質同一となるため、非ねじ部を廃止することができる。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
なお、請求項1のねじ切り工具は図13、請求項3のねじ切り方法は図10,11、請求項4のねじ切り方法は図14,15で具体例を示す。
【0014】
図1は本発明で採用した3層構造体の断面図であり、3層構造体10は、CBN若しくはダイヤモンドの高硬度焼結体を第2層11とし、この第2層11を超硬合金などの工具材料からなる第1層12及び第3層13でサンドイッチした積層体である。例えば第2層11の厚さは1mm程度、第1層12や第3層13の厚さは5mm程度、3層構造体10の厚さは11mm程度とする。
【0015】
なお、CBNはcubic boron nitride、すなわち立方晶窒化ほう素を略したものであり、ダイヤモンドとともに広く採用されている人造砥粒である。CBNは鉄系ワークの切削に、ダイヤモンドは非鉄系ワークの切削に好適である。
【0016】
前記3層構造体10の製造方法の一例を説明すると、先ず4〜16μmのダイヤモンド粒若しくはCBN粒を、HIP(熱間静水圧プレス)にて等圧的に加圧しながら焼結することで、第2層11を製造し、この第2層11の上下にWC粉末を重ねHIPで加圧しながら焼結することで、3層構造体10を得る。
HIPをHP(ホットプレス)やCIP(冷間静水圧プレス)に替えることは自在であり、周知の焼結法であれば製造法は特に限定するものではない。
【0017】
図2は本発明で採用した3層構造体の平面図(図1の平面図に相当する図)であり、想像線15・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)に沿って且つ第1層12の上面に垂直若しくはほぼ垂直に、3層構造体10を切断することで、多数本の柱状素材20・・・を切出す。このことを条切りということもある。
図から明らかなように、極めて歩留りよく(例えば歩留り90%)、柱状素材20・・・を切出すことができる。
【0018】
図3は本発明に係る柱状素材の斜視図であり、柱状素材20はa×bの矩形断面の長尺材であり、第1層12、第2層11及び第3層13の積層体である。この柱状素材20の対向する切断面のうち、図で右のものを一方の切断面21、左のものを他方の切断面22と呼ぶことにする。そして、便宜上、柱状素材20を矢印cのように倒して、一方の切断面21を上に向ける。
【0019】
図4は本発明の油孔を有する柱状素材の図であり、柱状素材20の第2層11に、所定のピッチで油孔24・・・を開ける。具体的には、パイプ電極を用いた放電加工法にて、一方の切断面21から他方の切断面、すなわち図面の表から裏に向って穿孔する。
【0020】
図5は本発明におけるチップ半完成品の切出し要領図であり、油孔24・・・を有する柱状素材20を一方の切断面21から他方の切断面、すなわち図面の表から裏に向って切断することで、多数個のチップ半完成品30・・・を切出す。具体的には、ワイヤカット放電加工法にて、切出す。
【0021】
図6は本発明によるチップ半完成品をシャンクに取付けるときの要領図であり、工具鋼の丸棒に油孔51を開け、丸棒を所定の外径に仕上げてなるシャンク50の先端に、チップ半完成品30を添え、好ましくはピン54を油孔24,51に連通させて、チップ半完成品30の位置決め精度を上げるようにして、シャンク50にろー(ろー材)52にてチップ半完成品30をろー付けする。
【0022】
図7はシャンク−チップ半完成品結合体の側面図であり、52はろーであり、このろー52でシャンク50の先端にチップ半完成品30を結合したことを示す。
図8はシャンク−チップ半完成品結合体の仕上げ加工図、図9は図8の9矢視図であり、チップ半完成品30にすくい面(正面すくい面41a及び側面すくい面41b)、切れ刃(底刃42a及びねじ切り刃42b)、逃げ面(正面逃げ面43a及び側面逃げ面43b)、先端油溝44などを形成することでチップ40を仕上げたことを示す。なお、すくい面、切れ刃及び逃げ面は、図において先端油溝44の下方にも形成するが、符号が錯綜するので、符号の記入は省略した。
【0023】
この結果、図9に示す通り、ねじ切り工具60を正面から見ると、第2層11は工具の回転中心を通る縦長の細い帯であり、この細い帯に底刃42a,ねじ切り刃42bを形成するとともに、第2層11の両側を第1層12及び第3層13で補強する構造であることを特徴とする。
【0024】
なお、油孔24にクロスする様に先端油溝44を設けることで、十分な量の切削油を切削面若しくは切削部位へ供給することができる。
【0025】
以上の説明から明らかな如く、本発明の切削用チップの製造方法は、図1の3層積層体10を対象に、第1層12の上面にほぼ垂直に第1層12、第2層11、第3層13の順に切断することで、図3に示した矩形断面の柱状素材20を切り出す第1切断工程と、
前記柱状素材20の一方の切断面21から他方の切断面22へ向って切断することで前記第2層11を中央に含むチップ半完成品30・・・(図5参照)を切出す第2切断工程と、
このチップ半完成品30を、別途準備したシャンク50に接合する接合工程と、
チップ半完成品30にすくい面41a,41b、切れ刃42a,42b、逃げ面43a,43bを形成してチップ40を得る仕上げ工程と、からなることを特徴とする。
【0026】
この製造方法を採用することにより、図2並びに図5から明らかな如く、製品歩留りが極めて高くなり、チップを大量に安価に製造することができる。この結果、ねじ切り工具も低コストで製造することができる。
【0027】
図10(a)〜(c)は本発明に係るねじ切り工程図(前半)である。
(a):鋳抜き穴62に回転させたねじ切り工具60を臨ませ、ねじ下穴加工を開始する。
(b):ねじ下穴63の内径は、ねじ切り工具60の外径とほぼ同一であることを示す。所定の深さに達したらねじ切り工具60の前進(下降)を止める。
(c):ねじ穴軸64から距離δだけねじ切り工具の軸66をオフセットさせる。ねじ切り工具60は回転しているので、ねじ下穴63を容易に切込むことができる。
【0028】
図11(a)〜(c)は本発明に係るねじ切り工程図(後半)である。
(a):ねじ穴軸64を中心にしてねじ切り工具の軸66を回転させつつ、ねじ68のリードLに対応してねじ切り工具60を徐々に引抜くことで、ねじ切り刃42bでねじ68を切込む。
(b):ねじ切り工具60のねじ切り刃42bがねじ68の入口に達したら、ねじ切り工具の軸66をねじ穴軸64から大きくオフセットさせて、面取り部69を形成する。
(c):ねじ切り工具60を撤去し、ねじ切り加工を完了する。
【0029】
図12(a),(b)は完成したねじの比較図である。
(a)は、図16(c)を転写したもので、従来のねじ切り方法で製造したねじ105を示し、深さ(D1−D2)の非ねじ部を含む。
(b)は、図11(c)を転写したもので、本発明のねじ切り方法で製造したねじ68を示し、深さ(D1−D2)の非ねじ部は存在しない。
従って、本発明方法によれば、鋳物を薄くすることができる。すなわち、ねじを形成するために肉厚を増す必要がないため、鋳物の軽量化が図れる。
【0030】
図13(a)〜(c)は本発明に係るねじ切り工具の別実施例を示す図であり、(a)はシャンク−チップ半完成品結合体の仕上げ加工図、(b)は(a)のb−b矢視図、(c)は(a)のc−c線断面図であるが、(a)は図8に近似し、(b)は図9と同じであるから、図8,9に付した符号を流用する。
【0031】
(a)に示す通り、ねじ切り工具60Bは、シャンク50にろー52にてチップ40をろー付けしたものであり、チップ40のシャンク50側に、ねじ切り刃42bより小径で且つシャンク50より大径の、されえ刃71を形成したことを特徴とする。
(b)に示す通り、工具を正面から見ると、第2層11は工具の回転中心を通る縦長の細い帯であり、この細い帯に底刃42a,42a、ねじ切り刃42b,42bを形成するとともに、第2層11の両側を第1層12及び第3層13で補強する構造であることが分かる。
そして、(c)に示す通り、されえ刃71,71は第2層11に形成したものであり、第2層11の両側を第1層12及び第3層13で補強する構造であることが分かる。
【0032】
図14(a)〜(c)は別実施例に係るねじ切り工具の第1作用図である。
(a):先ず、鋳抜き穴62に所定の速度で回転させたねじ切り工具60Bを臨ませる。
(b):そして、ねじ切り工具60Bで鋳抜き穴62の入り口を切削することで、面取り部69を形成する。
(c):次に、ねじ穴軸64から一定距離δだけオフセットさせた後に、ねじ切り工具60Bをねじ穴軸64を中心に旋回させると共にねじ切り工具60Bを切削速度で回転させ、且つねじ切り工具60Bをねじ68のリードに対応して前進(図では上から下へ進める)させることにより、ねじ切り刃42bで鋳抜き穴62にねじ68を切込む。同図のA部詳細を次に詳しく説明する。
【0033】
図15(A)〜(C)は別実施例に係るねじ切り工具の第2作用図である。
(A)は、図14(c)のA部詳細図であり、ねじ切り刃42bでねじを切った直後に、具体的にはねじのリードの1/2だけ遅れて、すなわち工具1/2回転分だけ遅れて、さらえ刃71でねじの山の頂き68aをカットする。この結果、ねじの山の頂き68aとシャンク50との間に隙間βを確保することができる。もし、このカットを行わないと、山の頂きがシャンク50と接触し、ねじとシャンク50の双方が傷むことになる。この点、本例の様にねじ切り直後にねじの山の頂き68aをさらえば、その様なトラブルが発生することはない。
【0034】
(B)において、所定の深さまでねじ68を切った後に、底刃42aでねじ穴の底73を仕上げて平坦にする。
(C)にて、ねじ切り工具60Bを撤去する。この撤去工程、すなわち、ねじ切り工具60Bを後退させるときには格別の作用をさせないので、ねじ切り工具60Bをクイックモーションで撤去することができる。
【0035】
図10,11の実施例では、ねじ切り工具の前進動作で下穴を開け、後退動作でねじ切りを行ったが、図14,15の別実施例では、下穴を開けることなく前進動作でねじ切りを実行する。後退はねじ切り工具を撤去するだけであるから急速後退が可能であり、ねじ切りの所要時間を大幅に短縮することができる。
【0036】
尚、本発明のねじ切り工具は、アルミニウム合金鋳物のねじ切りに好適である。アルミニウム合金鋳物は軟らかく切削抵抗が比較的小さいため、ねじ切り工具の寿命が十分に見込めるからである。しかし、本発明のねじ切り工具で、ねずみ鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)、ステンレス鋳物(SCS)などの各種の鋳物又は樹脂、鋼材にねじ切ることは差支えない。
【0037】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1のねじ切り工具は、底刃でねじ下穴を開け、ねじ切り工具のねじ切り刃でねじ切りをなし、ねじ切り刃もしくは底刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
この1本の工具は、3層積層体を条切り(筋状に切ること)し、得た柱状素材から多数個のチップ半完成品を切出し、これらのチップ半完成品をシャンクに取付けて、チップを仕上げることでねじ切り工具を得る。歩留りが極めてよいので、チップの製造コストを大幅に下げることができるから、ねじ切り工具の製造コストを下げることができる。
【0038】
更に請求項1のねじ切り工具は、ねじ切り刃の奥にねじ切り刃より小径でシャンクより大径のさらえ刃を形成し、第2層に底刃、ねじ切り刃、さらえ刃をこの順に形成したことを特徴とし、ねじ切り刃でねじを切り、これに並行してさらえ刃でねじ山の頂きを切削し、底刃でねじ穴の底を仕上げる。ねじ山の頂きを切削するのはシャンクがねじ山に接触するのを防ぐためである。
【0039】
請求項2のねじ切り工具は、シャンクに油孔を設けるとともに、チップの第2層に油孔を設け、2つの油孔を一直線上に連結したことを特徴とし切削のときに、油孔を通じて切削油を噴射することができる。これらの孔はチップをシャンクに取付けるときに位置決め部として活用することができる。
【0040】
請求項3のねじ切り方法は、請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつ鋳抜き穴に進入させることで、前記ねじ切り工具の外径と同径のねじ下穴をあける下穴加工工程と、ねじ下穴の底に達した前記ねじ切り工具の軸を、ねじ穴軸から一定距離オフセットさせてねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りを開始するオフセット工程と、ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具を徐々に引抜くことで、ねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、からなり、ねじ切り工具の底刃でねじ下穴を開け、ねじ切り工具のねじ切り刃でねじ切りをなし、ねじ切り刃もしくは底刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができる。
ねじ下穴の深さとねじ深さが実質同一となるため、非ねじ部を廃止することができる。
従って、ねじ切りに必要な工具の数を少なくすること、及び非ねじ部を廃止することの双方を達成することができる。
【0041】
請求項4のねじ切り方法は、鋳抜き穴を対象に、ねじ切り刃でねじを切り、これに並行してさらえ刃でねじ山の頂きを切削し、底刃でねじ穴の底を仕上げる。
ねじ切り刃もしくは底刃で面取りも可能であるから、1本の工具でねじ加工を実行することができ、ねじ下穴の深さとねじ深さが実質同一となるため、非ねじ部を廃止することができる。
なお、請求項3では、ねじ切り工具の前進動作で下穴を開け、後退動作でねじ切りを行ったが、この請求項4では、鋳抜き穴にねじ下穴を開けることなく前進動作でねじ切りを実行する。後退はねじ切り工具を撤去するだけであるから急速後退が可能であり、ねじ切りの所要時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で採用した3層構造体の断面図
【図2】本発明で採用した3層構造体の断面図
【図3】本発明に係る柱状素材の斜視図
【図4】本発明の油孔を有する柱状素材の図
【図5】本発明におけるチップ半完成品の切出し要領図
【図6】本発明によるチップ半完成品をシャンクに取付けるときの要領図
【図7】シャンク−チップ半完成品結合体の側面図
【図8】シャンク−チップ半完成品結合体の仕上げ加工図
【図9】図8の9矢視図
【図10】本発明に係るねじ切り工程図(前半)
【図11】本発明に係るねじ切り工程図(後半)
【図12】完成したねじの比較図
【図13】本発明に係るねじ切り工具の別実施例を示す図
【図14】別実施例に係るねじ切り工具の第1作用図
【図15】別実施例に係るねじ切り工具の第2作用図
【図16】従来の代表的なねじ切り方法を示す図
【符号の説明】
10…3層構造体、11…第2層、12…第1層、13…第3層、20…柱状素材、24,51…油孔、40…チップ、42a…底刃、42b…ねじ切り刃、50…シャンク、60,60B…ねじ切り工具、62…鋳抜き穴、63…ねじ下穴、64…ねじ穴軸、66…ねじ切り工具の軸、68…ねじ、68a…ねじの山の頂き、69…面取り部、71…さらえ刃、73…ねじ穴の底、δ…オフセット量。
Claims (4)
- シャンクと、このシャンクに取付けたチップとからなり、
前記チップは、CBN若しくはダイヤモンドの高硬度焼結体を第2層とし、この第2層を超硬合金などの工具材料からなる第1層及び第3層でサンドイッチした3層積層体からなり、
前記ねじ切り工具を正面から見ると、前記第2層は工具の回転中心を通る帯状の層であり、この帯状の層に底刃及びねじ切り刃を形成するとともに、第2層の両側を第1層及び第3層で補強する構造であるねじ切り工具であって、
前記ねじ切り刃の奥にねじ切り刃より小径でシャンクより大径のさらえ刃を形成し、前記第2層に底刃、ねじ切り刃、さらえ刃をこの順に形成したことを特徴としたねじ切り工具。 - 前記シャンクに油孔を設けるとともに、前記チップの第2層に油孔を設け、前記2つの油孔を一直線上に連結したことを特徴とする請求項1記載のねじ切り工具。
- 請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具をねじ穴軸廻りに回転させつつ鋳抜き穴に進入させることで、前記ねじ切り工具の外径と同径のねじ下穴をあける下穴加工工程と、
ねじ下穴の底に達した前記ねじ切り工具の軸を、ねじ穴軸から一定距離オフセットさせてねじ切り刃でねじ下穴にねじ切りを開始するオフセット工程と、
ねじ穴軸を中心にしてねじ切り工具の軸を回転させつつ、ねじのリードに対応して前記ねじ切り工具を徐々に引抜くことで、ねじ切り刃でねじを切込むねじ切り工程と、
からなることを特徴としたねじ切り方法。 - 請求項1又は請求項2記載のねじ切り工具の軸をねじ穴軸から一定距離オフセットさせた後にねじ切り工具をねじ穴軸を中心に旋回させると共にねじ切り工具を回転させ、このねじ切り工具をねじのリードに対応して前進させることにより、ねじ切り刃で鋳抜き穴にねじを切込むねじ切り工程と、
ねじ切り刃で切出したねじの山の頂きを、前記さらえ刃にてさらうねじ山のさらえ工程と、
ねじ穴の底を、前記底刃にて仕上げる底仕上げ工程と、
からなることを特徴としたねじ切り方法。
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