JP3830846B2 - ガスセンサ起動時のガス濃度予測方法およびガス検知方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガス接触燃焼式ガスセンサの起動時におけるガス濃度予測方法と、ガス接触燃焼式ガスセンサを利用したガス検知方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば固体高分子膜型燃料電池は、固体高分子電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されたスタックを備えており、アノードに燃料として水素が供給され、カソードに酸化剤として空気が供給されて、アノードで触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過してカソードまで移動して、カソードで酸素と電気化学反応を起こして発電するようになっている。
【0003】
また、このような固体高分子膜型燃料電池等の燃料電池においては、カソードから排出される未反応の空気(空気オフガスという)は系外に排出するのが一般的であるが、その場合には、空気オフガス中に水素ガスが存在しないことを確認する必要がある。
そこで、従来から、特公平6−52662号公報や特開平6−223850号公報等に開示されているように、燃料電池のカソード側の排出系に水素センサを設置し、この水素センサによって空気オフガス中に水素ガスが存在していないことを確認するシステムが開発されている。
これらのシステムにおいては、前記水素センサの出力に基づいて空気オフガス中のガス検知が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記水素センサにガス接触燃焼式のガスセンサを用いることが考えられている。このガス接触燃焼式ガスセンサは、触媒が付着されている検出素子と触媒が付着されていない温度補償素子とを備えて構成されており、被検知ガス(水素センサの場合は水素)が触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子と温度補償素子との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するものである。
【0005】
このようなガス接触燃焼式ガスセンサからなる水素センサでは、水素濃度に応じた大きさの電気信号(電流値等)を出力するが、触媒燃焼による熱を利用しているため、触媒が十分に活性していないと水素濃度に応じた大きさの電気信号を出力することができない。ここで、触媒の活性は触媒温度に依存し、一般的に、触媒温度が高い方が触媒は活性化される。
このため、水素センサの起動時には、触媒が十分に活性するまでの間、水素センサの出力が安定せず、正しい水素濃度を検出することができないので、水素センサの出力が安定した後に、その出力値に基づいてガス検知を実行せざるを得ない。
【0006】
しかしながら、このようにすると、水素センサを起動してから水素センサの出力が安定するまでの間はガス検知を実行しないこととなるため、センサ起動時のガス検知実行の早期化が求められた。
そこで、この発明は、ガスセンサ起動時にガスセンサの出力が安定する前に被検知ガスのガス濃度を予測することができるガス接触燃焼式ガスセンサのガス濃度予測方法と、ガスセンサ起動時にガスセンサの出力が安定する前に被検知ガスを検知することができるガス検知方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この出願に係る第1の発明は、被検知ガスが触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子と温度補償素子との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するガス接触燃焼式ガスセンサの起動時に、前記被検知ガスのガス濃度を予測する方法であって、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に前記ガスセンサを起動してから所定時間後における該ガスセンサの出力値の変化速度に基づいて、前記被検知ガスのガス濃度を予測することを特徴とするガスセンサ起動時のガス濃度予測方法である。
【0008】
ガス接触燃焼式ガスセンサにおいては、ガスセンサの起動時に、触媒が十分に活性するまでの間、被検知ガスのガス濃度に応じて一定の規則性を持って徐々に増大変化し、その増大変化の変化速度は被検知ガスのガス濃度が高いほど速い。このセンサ起動時の出力変化特性を、この出願ではガスセンサの起動特性と称す。したがって、このガスセンサの起動特性が既知であれば、ガスセンサの出力が被検知ガスのガス濃度に対応する出力値に安定する時(以下、安定時期と称す)よりも前の所定時期におけるガスセンサの出力値、あるいは、出力上昇の傾き(すなわち、出力増大の変化速度)から、前記安定時期のガスセンサの出力、すなわち、被検知ガスのガス濃度を予測することができる。
【0009】
ここで、安定時期より前の所定時期におけるガスセンサの出力値、あるいは、出力増大の変化速度を、前記所定時期の「出力特性値」と定義すれば、前記所定時期の出力特性値は、そのガスセンサの起動特性により決定されるということができる。したがって、ガス接触燃焼式ガスセンサの起動時においては、ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値に基づいて、被検知ガスのガス濃度を予測することができる。
これにより、ガスセンサの出力が安定する前に被検知ガスの濃度を予測することができる
【0010】
前記第1の発明において、前記出力特性値は、前記ガスセンサを起動してから所定時間後における該ガスセンサの出力値の変化速度とする。
【0011】
また、この出願に係る第2の発明は、被検知ガス(例えば、後述する実施の形態における水素ガス)が触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子(例えば、後述する実施の形態における検出素子32)と温度補償素子(例えば、後述する実施の形態における温度補償素子33)との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するガス接触燃焼式ガスセンサ(例えば、後述する実施の形態における水素センサ25)により、前記被検知ガスが所定濃度(例えば、後述する実施の形態における許容水素濃度)を越えたか否かを検知するガス検知方法であって、前記ガスセンサの起動時に、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期(例えば、後述する実施の形態における起動時判定時間Ta,Ta1,Ta2)に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値(例えば、後述する実施の形態における水素センサ25の出力値、あるいは、出力増大の変化速度)が所定の判定値(例えば、後述する実施の形態における判定値A,A1,A2,V,V1,V2)を越えたときは、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定し、前記判定値は前記検出素子の温度に応じて変更することを特徴とするガス検知方法である。
また、この出願に係る第3の発明は、被検知ガス(例えば、後述する実施の形態における水素ガス)が触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子(例えば、後述する実施の形態における検出素子32)と温度補償素子(例えば、後述する実施の形態における温度補償素子33)との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するガス接触燃焼式ガスセンサ(例えば、後述する実施の形態における水素センサ25)により、前記被検知ガスが所定濃度(例えば、後述する実施の形態における許容水素濃度)を越えたか否かを検知するガス検知方法であって、前記ガスセンサの起動時に、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期(例えば、後述する実施の形態における起動時判定時間Ta,Ta1,Ta2)に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値(例えば、後述する実施の形態における水素センサ25の出力値、あるいは、出力増大の変化速度)が所定の判定値(例えば、後述する実施の形態における判定値A,A1,A2,V,V1,V2)を越えたときは、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定し、前記所定時期は前記検出素子の温度に応じて変更することを特徴とするガス検知方法である。
【0012】
前述したように、ガス接触燃焼式ガスセンサの起動時においては、ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値に基づいて、被検知ガスのガス濃度を予測することができるので、このガス接触燃焼式ガスセンサを用いて被検知ガスが所定濃度を越えたか否かを検知する場合、出力安定前に予測したガス濃度と前記所定濃度とを比較することにより、出力安定前に被検知ガスが前記所定濃度を越えたか否かを判定することができる。
【0013】
さらに、ガス接触燃焼式ガスセンサでは、前記所定濃度に対応するガスセンサの出力値を安定後判定値と設定した場合、安定時期にガスセンサの出力が安定後判定値となるときの起動特性を予め実験的に求め、この起動特性における安定時期前の所定時期における出力特性値を求めて、これを安定時期前の前記所定時期における「起動時判定値」とすれば、実際にガスセンサを起動してガス検知を実行した時の前記所定時期におけるガスセンサの出力特性値を検出して、この検出された出力特性値と前記「起動時判定値」とを比較して、被検知ガスが前記所定濃度を越えたか否かを判定することができる。
【0014】
したがって、ガス接触燃焼式ガスセンサによりガス検知をする場合には、前記ガスセンサの起動時に、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値が所定の判定値を越えたときは、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定することができる。
これにより、被検知ガスが前記所定濃度を越えた虞がある時には、ガスセンサの出力が安定する以前にこれを検知することができ、ガス検知の早期化を図ることができる。
【0015】
また、前記第2、第3の発明において、前記出力特性値は、前記ガスセンサを起動してから所定時間後における前記ガスセンサの出力値とすることができる。
また、前記第2、第3の発明において、前記出力特性値は、前記ガスセンサを起動してから所定時間後における前記ガスセンサの出力値の変化速度とすることができる。
【0016】
そして、前記第2の発明においては、前記検出素子の温度に応じて前記判定値を変更する。
このように構成することにより、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができる。
【0017】
また、前記第3の発明においては、前記検出素子の温度に応じて前記所定時期を変更する。
このように構成することにより、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができる。
【0018】
また、第2、第3の発明においては、前記被検知ガスが水素ガスであり、燃料電池(例えば、後述する実施の形態における燃料電池2)のカソードから排出されるカソードオフガス(例えば、後述する実施の形態における空気オフガス)中の水素ガス濃度が所定濃度を越えたか否かを検知するガス検知方法とすることができる。
このように構成することにより、万が一、空気オフガス中の水素ガス濃度が所定濃度を越えた虞がある時には、前記ガスセンサの出力が安定する前にこれを検知することができ、ガス検知の早期化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るガス接触燃焼式ガスセンサのガス濃度予測方法およびガス検知方法を説明する。
初めに、この発明に係るガス接触燃焼式ガスセンサのガス濃度予測方法の原理を図1の図面を参照して説明する。
前述したように、ガス接触燃焼式ガスセンサは、触媒が付着されている検出素子と触媒が付着されていない温度補償素子とを備えて構成され、被検知ガス(水素センサの場合は水素)が触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子と温度補償素子との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するものであるため、ガスセンサの起動時には、触媒が十分に活性するまでの間、ガスセンサの出力が安定しない。
【0020】
ここで、本発明者は、ガスセンサが起動されてから出力が安定するまでの間、ガスセンサの出力は不規則に変化するわけではなく、被検知ガスのガス濃度に応じて一定の規則性を持って変化することに着目した。
図1は、前記ガスセンサの起動時の出力変化を実験的に求めた一例であり、横軸にガスセンサ起動からの時間、縦軸にガスセンサの出力をとっている。図1に示すように、被検知ガスのガス濃度が高い場合および低い場合のいずれの場合も、ガスセンサの出力は、起動から時間が経過するにしたがって徐々に増大していき、被検知ガスのガス濃度に対応する出力値を一旦越えた後、被検知ガスのガス濃度に対応する出力値に収束していき、所定時間Tbが経過した後は出力が安定する。
【0021】
そして、被検知ガスのガス濃度が高いほどセンサ出力の上昇が速いことが、実験的に確認された。しかも、ガスセンサ起動から出力安定までの出力の変化は、被検知ガスのガス濃度に応じて再現性があることも、実験的に確認された。つまり、このガスセンサにおいては、被検知ガスのガス濃度に応じて、ガスセンサ起動からセンサ出力が安定するまでの出力変化パターンが決まる。この起動時の出力変化特性を、この出願ではガスセンサの起動特性と称す。
【0022】
したがって、このガスセンサの起動特性が既知であれば、ガスセンサの出力が被検知ガスのガス濃度に対応する出力値に安定するまでにかかる所定時間(以下、これを安定時間という)Tbよりも前の所定時期(例えば、図1における時間Ta)におけるガスセンサの出力値、あるいは、出力上昇の傾き(すなわち、出力増大の変化速度)から、安定時間Tb経過後のガスセンサの出力、すなわち、被検知ガスのガス濃度を予測することができる。
【0023】
ここで、安定時間Tbより前の所定時期におけるガスセンサの出力値、あるいは、出力上昇の傾き(すなわち、出力増大の変化速度)を、前記所定時期の「出力特性値」と定義すると、安定時間Tbより前の所定時期の出力特性値は、そのガスセンサの起動特性により決定されるということができる。
つまり、ガス接触燃焼式ガスセンサの起動時においては、ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値に基づいて、被検知ガスのガス濃度を予測することができる。
これにより、ガスセンサの出力が安定する前に被検知ガスの濃度を予測することができる
【0024】
また、このガス接触燃焼式ガスセンサを用いて被検知ガスが所定濃度を越えたか否かを検知する場合、このガスセンサの起動時には、ガスセンサの出力が安定する前の所定時期(例えば、図1における時間Ta)に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値に基づいて被検知ガスのガス濃度を予測し、この予測したガス濃度と前記所定濃度とを比較することにより、出力安定前に被検知ガスが前記所定濃度を越えたか否かを判定することができる。
【0025】
さらに、ガス接触燃焼式ガスセンサでは、例えば、図1に示すように、前記所定濃度に対応するガスセンサの出力値を判定値Bと設定した場合、安定時間Tb後にガスセンサの出力が判定値Bとなるときの起動特性を予め実験的に求め、この起動特性における所定時期(Ta)の出力特性値Aを求めて、これを所定時期(Ta)における判定値Aとすれば、実際にガスセンサを起動してガス検知を実行した時の所定時期(Ta)におけるガスセンサの出力特性値を検出して、この検出された出力特性値と前記判定値Aとを比較して、被検知ガスが前記所定濃度を越えたか否かを判定することができる。以下、ガス検知をする場合における安定時間Tb前の前記所定時間Taを起動時判定時間Taと呼ぶこととする。
【0026】
図1を参照して、具体的に説明すると、実際にガスセンサを起動してガス検知を実行した時の起動時判定時間Taにおける出力特性値が、判定値Aよりも小さい「S1」の場合は、被検知ガスが前記所定濃度以下であると判定することができ、判定値Aよりも大きい「S2」の場合は、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定することができる。
すなわち、ガス接触燃焼式ガスセンサの起動時には、ガスセンサの出力が安定する前の起動時判定時間Taに該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値が所定の判定値を越えたときは、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定することができる。これは、出力特性値をガスセンサの出力値とした場合、あるいは、センサ出力増大の変化速度とした場合のいずれの場合にも成立する。
【0027】
<第1の実施の形態>
次に、図2および図3の図面を参照して、この発明に係るガス検知方法の第1の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態では、ガス接触燃焼式ガスセンサは、水素ガスを検出する水素センサとしての態様であり、この水素センサを用いて、燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度(所定濃度)以下であることを確認するガス検知方法の態様である。ここで、許容水素濃度は、例えば、空気オフガス中に水素ガスが存在しないと判断される上限濃度とすることができる。
【0028】
図2は、燃料電池システムの構成図であり、この実施の形態において、燃料電池システムは例えば該燃料電池の発電電力によって駆動する電気自動車等の車両に搭載されている。
燃料電池2は、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されたスタックからなる。この燃料電池2では、水素供給路11を介して燃料として水素ガスが前記アノードに供給されるとともに、空気供給路21を介して酸化剤として空気が前記カソードに供給され、アノードで触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過してカソードまで移動して、カソードで酸素と電気化学反応を起こして発電するようになっている。そして、未反応の水素ガス、すなわち水素オフガスは水素排出路12から排出されて図示しない循環路を介して再利用され、反応済みの空気、すなわち空気オフガス(カソードオフガス)は空気排出路(ガス流路)22から系外に排出される。
【0029】
空気排出路22の途中には、その重力方向上側にガス接触燃焼式の水素センサ25が取り付けられており、この水素センサ25により空気オフガス中に水素ガスが存在しないことを確認することができるようになっている。
水素センサ25はケース30を備え、前記空気排出路22の取付座に締め付け固定されている。ケース30の下面には、空気排出路22の貫通孔(図示せず)に外側から挿通される筒状部31が形成されている。筒状部31の内部はガス検出室として形成されており、このガス検出室に空気オフガスが下方から導入されるようになっている。
【0030】
そして、この筒状部31の内部に、白金等の触媒が付着された検出素子32と触媒が付着されていない温度補償素子33とが装着されている。検出素子32と温度補償素子33はガス検出室内で同一高さで所定間隔を隔てて一対設けられている。これら検出素子32と温度補償素子33はケース30内に設けられた回路基板(図示せず)に接続されている。
検出素子32は周知の素子であって、被検出ガスである水素が白金等の触媒に接触した際に燃焼する熱を利用し、水素の燃焼により高温となった検出素子32と雰囲気温度下の温度補償素子33との間に電気抵抗の差が生ずることを利用して、水素ガス濃度を検出し、水素ガス濃度に応じた出力電流を出力信号として制御装置29に出力する。
【0031】
次に、水素センサ25の起動時における水素ガスの検知手順を図3のフローチャートに従って説明する。
図3に示すフローチャートは、センサ起動時ガス検知処理ルーチンを示すものであり、このセンサ起動時ガス検知処理ルーチンは、水素センサ25が起動されるたびにECU30によって実行される。
水素センサ25が起動されると(ステップS101)、ステップS102において、水素センサ25が起動してから起動時判定時間Taを経過したか否かを判定する。ここで、起動時判定時間Taは、水素センサ25の出力が安定する安定時間Tbよりも前に設定する。
【0032】
ステップS102における判定結果が「NO」(起動時判定時間Ta経過前)である場合は、起動時判定時間Taが経過するまで待ち、ステップS102における判定結果が「YES」(起動時判定時間Ta経過)である場合は、ステップS103aに進んで、この時の出力特性値として水素センサ25の出力値を読み込み、この出力値が判定値Aよりも大きいか否かを判定する。
なお、判定値Aの設定方法は、予め実験的に、水素センサ25の出力が安定時間Tb後に許容水素濃度に対応する出力値(すなわち判定値)Bとなるときの起動特性を求め、この起動特性から、起動時判定時間Taにおける出力特性値を求め、これを判定値Aに設定する。
【0033】
ステップS103aにおける判定結果が「YES」(出力値が判定値Aより大)である場合(例えば、図1におけるS2)は、ステップS104に進み、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定して警報を行い、本ルーチンの実行を一旦終了する。
一方、ステップS103aにおける判定結果が「NO」(出力値が判定値A以下)である場合(例えば、図1におけるS1)は、この時点では空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度以下であると判定することができるので、ステップS105に進んで、安定時間Tbを経過するまで待機し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0034】
なお、図示を省略するが、このセンサ起動時ガス検知処理を終了した後で、安定時間Tbを経過後における通常のガス検知処理が実行される。
このように、安定時間Tb前の起動時判定時間Taにおける水素センサ25の出力値に基づいてセンサ起動時ガス検知を実行すると、万が一、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞がある時には、水素センサ25の出力が安定する以前の段階で、早期に警報を発することができる。
【0035】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知を図4のフローチャートに従って説明する。
第2の実施の形態におけるセンサ起動時ガス検知は、起動時判定時間Ta経過後の水素センサ25の出力値の変化速度を出力特性値として用いるものである。
図4に示す第2の実施の形態におけるフローチャートが図3に示す第1の実施の形態のフローチャートと相違する点は、ステップS103aに代えてステップS103bとした点だけであり、その他のステップは第1の実施の形態と同じであるので、同一ステップに同一符号を付してその説明を省略し、相違するステップS103bを中心に説明する。
【0036】
ステップS103bにおいては、起動時判定時間Ta後の水素センサ25の出力値の増大速度、すなわち、出力増大の変化速度を算出し、この変化速度が判定値Vよりも大きいか否かを判定する。なお、出力増大の変化速度は、微小時間における出力の増大量として算出することができる。
なお、判定値Vの設定方法は、予め実験的に、水素センサ25の出力が安定時間Tb後に許容水素濃度に対応する出力値(すなわち判定値)Bとなるときの起動特性を求め、この起動特性から、起動時判定時間Taにおける出力増大の変化速度を求め、これを判定値Vに設定する。
【0037】
ステップS103bにおける判定結果が「YES」(変化速度が判定値Vより大)である場合(例えば、図1におけるS2)は、ステップS104に進み、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定して警報を行い、本ルーチンの実行を一旦終了する。
一方、ステップS103bにおける判定結果が「NO」(変化速度が判定値V以下)である場合(例えば、図1におけるS1)は、この時点では空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度以下であると判定することができるので、ステップS105に進んで、安定時間Tbを経過するまで待機し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0038】
なお、図示を省略するが、第2の実施の形態においても、このセンサ起動時ガス検知処理を終了した後で、安定時間Tbを経過後における通常のガス検知処理が実行される。
このように、安定時間Tb前の起動時判定時間Taにおける水素センサ25の出力の変化速度に基づいてセンサ起動時ガス検知を実行した場合にも、万が一、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞がある時には、水素センサ25の出力が安定する以前の段階で、早期に警報を発することができる。
【0039】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知を、図5の起動特性図と図6のフローチャートを参照して説明する。
センサ起動時ガス検知は、水素センサ25の起動特性を利用して行うものであるが、前述したように、この起動特性は水素センサ25の検出素子32に付着している触媒の活性に起因している。したがって、同じ濃度の水素ガスを検出する場合であっても、水素センサ25の起動時における触媒温度(換言すれば検出素子32の温度)によって起動特性が相違し、図5に示すように、起動時における検出素子32の温度が高い場合の方が低い場合よりも、起動時判定時間Taにおける出力特性値(出力値または出力の増大速度)が大きい。
【0040】
そこで、この第3に実施の形態では、水素センサ25を起動した時の検出素子32の温度を検出し、その検出温度に応じて起動時判定時間Taにおける判定値を変更するようにし、検出素子32の温度が所定温度tよりも高いときには大きい判定値を採用し、検出素子32の温度が所定温度t以下のときには小さい判定値を採用することとした。これにより、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができる。
【0041】
次に、第3の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知手順を図6のフローチャートに従って説明する。
第3の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知では、第1の実施の形態の場合と同様に、起動時判定時間Ta経過後の水素センサ25の出力値を出力特性値として用いる。
図6に示すフローチャートは、センサ起動時ガス検知処理ルーチンを示すものであり、このセンサ起動時ガス検知処理ルーチンは、水素センサ25が起動されるたびにECU30によって実行される。
【0042】
水素センサ25が起動されると(ステップS201)、ステップS202において、水素センサ25の検出素子32の温度が所定温度tよりも低いか否かを判定する。
ステップS202における判定結果が「YES」(素子温度が所定温度tより低い)である場合は、ステップS203aに進んで判定値に「A1」を設定し、ステップS202における判定結果が「NO」(素子温度が所定温度t以上)である場合は、ステップS208aに進んで判定値に「A2」を設定する。
【0043】
なお、判定値A1,A2の設定方法は、予め実験的に、水素センサ25の出力が安定時間Tb後に許容水素濃度に対応する出力値(すなわち判定値)Bとなるときの起動特性を、検出素子32が所定温度tよりも低い場合と高い場合についてそれぞれ求め、これら起動特性から、起動時判定時間Taにおける出力特性値をそれぞれ求め、これらを判定値A1,A2に設定する。なお、判定値A1は判定値A2よりも小さい(A1<A2)。
【0044】
ステップS203aの処理を実行した場合はステップS204に進み、ステップS208aの処理を実行した場合はステップS209に進んで、それぞれ水素センサ25が起動してから起動時判定時間Taを経過したか否かを判定する。ここで、起動時判定時間Taは、水素センサ25の出力が安定する安定時間Tbよりも前に設定する。
【0045】
ステップS204あるいはステップS209における判定結果が「NO」(起動時判定時間Ta経過前)である場合は、起動時判定時間Taが経過するまで待つ。
ステップS204における判定結果が「YES」(起動時判定時間Ta経過)である場合は、ステップS205aに進んで、この時の出力特性値として水素センサ25の出力値を読み込み、この出力値が判定値A1よりも大きいか否かを判定する。
【0046】
ステップS205aにおける判定結果が「YES」(出力値が判定値A1より大)である場合(例えば、図5におけるS3)は、ステップS206に進み、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定して警報を行い、本ルーチンの実行を一旦終了する。
一方、ステップS205aにおける判定結果が「NO」(出力値が判定値A1以下)である場合は、この時点では空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度以下であると判定することができるので、ステップS207に進んで、安定時間Tbを経過するまで待機し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0047】
また、ステップS209における判定結果が「YES」(起動時判定時間Ta経過)である場合は、ステップS210aに進んで、この時の出力特性値として水素センサ25の出力値を読み込み、この出力値が判定値A2よりも大きいか否かを判定する。
【0048】
ステップS210aにおける判定結果が「YES」(出力値が判定値A2より大)である場合(例えば、図5におけるS4)は、ステップS206に進み、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定して警報を行い、本ルーチンの実行を一旦終了する。
一方、ステップS210aにおける判定結果が「NO」(出力値が判定値A2以下)である場合は、この時点では空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度以下であると判定することができるので、ステップS207に進んで、安定時間Tbを経過するまで待機し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0049】
なお、図示を省略するが、第3の実施の形態においても、このセンサ起動時ガス検知処理を終了した後で、安定時間Tbを経過後における通常のガス検知処理が実行される。
この第3の実施の形態のようにセンサ起動時ガス検知を実行した場合にも、万が一、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞がある時には、水素センサ25の出力が安定する以前の段階で、早期に警報を発することができる。しかも、この第3の実施の形態では、水素センサ25の起動時における検出素子32の温度に応じて判定値を変更しているので、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができる。
【0050】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知を図7のフローチャートに従って説明する。
この第4の実施の形態の場合も、ガス検知精度を向上するために、水素センサ25を起動した時の検出素子32の温度に応じて起動時判定時間Taにおける判定値を変更するようにし、検出素子32の温度が所定温度tよりも高いときには大きい判定値を採用し、検出素子32の温度が所定温度t以下のときには小さい判定値を採用する。
だだし、第4の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知では、第2の実施の形態の場合と同様に、起動時判定時間Ta経過後の水素センサ25の出力値の変化速度を出力特性値として用いる。
【0051】
図7に示す第4の実施の形態におけるフローチャートが図6に示す第3の実施の形態のフローチャートと相違する点は、第3の実施の形態におけるステップS203a,205a,208a,210aに代えて、それぞれステップS203b,205b,208b,210bとした点だけであり、その他のステップは第1の実施の形態と同じであるので同一ステップに同一符号を付してその説明を省略し、相違するステップを中心に説明する。
【0052】
ステップS202における判定結果が「YES」(素子温度が所定温度tより低い)である場合は、ステップS203bに進んで判定値に「V1」を設定し、ステップS202における判定結果が「NO」(素子温度が所定温度t以上)である場合は、ステップS208bに進んで判定値に「V2」を設定する。
なお、判定値V1,V2の設定方法は、予め実験的に、水素センサ25の出力が安定時間Tb後に許容水素濃度に対応する出力値(すなわち判定値)Bとなるときの起動特性を、検出素子32が所定温度tよりも低い場合と高い場合についてそれぞれ求め、これら起動特性から、起動時判定時間Taにおける出力増大の変化速度をそれぞれ求め、これらを判定値V1,V2に設定する。なお、判定値V1は判定値V2よりも小さい(V1<V2)。
【0053】
ステップS205bにおいては、起動時判定時間Ta後の水素センサ25の出力値の増大速度、すなわち、出力増大の変化速度を算出し、この変化速度が判定値V1よりも大きいか否かを判定する。
また、ステップS210bにおいては、起動時判定時間Ta後の水素センサ25の出力値の増大速度、すなわち、出力増大の変化速度を算出し、この変化速度が判定値V2よりも大きいか否かを判定する。
なお、出力増大の変化速度は、微小時間における出力の増大量として算出することができる。
【0054】
ステップS205bにおける判定結果が「YES」(変化速度が判定値V1より大)である場合(例えば、図5におけるS3)は、ステップS206に進み、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定して警報を行い、本ルーチンの実行を一旦終了する。
一方、ステップS205bにおける判定結果が「NO」(変化速度が判定値V1以下)である場合は、この時点では空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度以下であると判定することができるので、ステップS207に進んで、安定時間Tbを経過するまで待機し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0055】
また、ステップS210bにおける判定結果が「YES」(変化速度が判定値V2より大)である場合(例えば、図5におけるS4)は、ステップS206に進み、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定して警報を行い、本ルーチンの実行を一旦終了する。
一方、ステップS210bにおける判定結果が「NO」(変化速度が判定値V2以下)である場合は、この時点では空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度以下であると判定することができるので、ステップS207に進んで、安定時間Tbを経過するまで待機し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0056】
なお、図示を省略するが、第4の実施の形態においても、このセンサ起動時ガス検知処理を終了した後で、安定時間Tbを経過後における通常のガス検知処理が実行される。
この第4の実施の形態のようにセンサ起動時ガス検知を実行した場合にも、万が一、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞がある時には、水素センサ25の出力が安定する以前の段階で、早期に警報を発することができる。しかも、この第4の実施の形態では、水素センサ25の起動時における検出素子32の温度に応じて判定値を変更しているので、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができる。
【0057】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知を、図5の起動特性図と図8のフローチャートを参照して説明する。
第3の実施の形態および第4の実施の形態では、水素センサ25の起動時における触媒温度(換言すれば検出素子32の温度)によって起動特性が相違することに着目して、起動時の検出素子32の温度に応じて起動時判定時間Taにおける判定値を変更することにより、ガス検知の精度を向上するようにしているが、判定値を変更する代わりに、水素センサ25の起動時の検出素子32の温度に応じて起動時判定時間Taを変更することによっても、同様にガス検知精度を向上することができる。
【0058】
例えば、図5において、判定値を「A2」に固定した場合を考えると、実際の水素ガスの濃度が同じであっても、起動時判定時間Taの水素センサ25の出力特性値は、高温時にはS4になって判定値A2よりも大きいので水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定されるが、低温時ではS3となって判定値A2よりも小さくなるので許容水素濃度以下であると判定される場合がある。そこで、起動時の検出素子32の温度に応じて起動時判定時間Taを変更することとし、検出素子32の温度が所定温度tよりも高いときには起動時判定時間を短く設定し、検出素子32の温度が所定温度t以下のときには起動時判定時間を長く設定すると、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができる。
【0059】
次に、第5の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知手順を図8のフローチャートに従って説明する。第5の実施の形態におけるセンサ起動時の水素ガス検知は、第1の実施の形態の場合と同様に、所定時間経過後の水素センサ25の出力値を出力特性値として用いる態様である。
図8に示すフローチャートは、センサ起動時ガス検知処理ルーチンを示すものであり、このセンサ起動時ガス検知処理ルーチンは、水素センサ25が起動されるたびにECU30によって実行される。
水素センサ25が起動されると(ステップS3101)、ステップS302において、検出素子32の温度が所定温度tより低いか否かを判定する。
【0060】
ステップS302における判定結果が「YES」(素子温度が所定温度tより低い)である場合は、ステップS303に進んで所定時間に「Ta1」を設定し、ステップS302における判定結果が「NO」(素子温度が所定温度t以上)である場合は、ステップS308に進んで所定時間に「Ta2」を設定する。
なお、起動時判定時間Ta1,Ta2の設定方法は、予め実験的に、水素センサ25の出力が安定時間Tb後に許容水素濃度に対応する出力値(すなわち判定値)Bとなるときの起動特性を、検出素子32が所定温度tよりも低い場合と高い場合についてそれぞれ求め、これら起動特性から、出力特性値が判定値Aに達するまでの時間をそれぞれ求めて、これらを起動時判定時間Ta1,Ta2に設定する。起動時判定時間Ta1は起動時判定時間Ta2よりも大きい(Ta1>Ta2)。
【0061】
ステップS303の処理を実行した場合はステップS304に進み、水素センサ25が起動してから起動時判定時間Ta1を経過したか否かを判定する。
ステップS304における判定結果が「NO」(起動時判定時間Ta1経過前)である場合は、起動時判定時間Ta1が経過するまで待つ。
ステップS304における判定結果が「YES」(起動時判定時間Ta1経過)である場合は、ステップS305に進んで、この時の出力特性値として水素センサ25の出力値を読み込み、この出力値が判定値Aよりも大きいか否かを判定する。
【0062】
また、ステップS308の処理を実行した場合はステップS309に進んで、水素センサ25が起動してから起動時判定時間Ta2を経過したか否かを判定する。
ステップS309における判定結果が「NO」(起動時判定時間Ta2経過前)である場合は、起動時判定時間Ta2が経過するまで待つ。
ステップS309おける判定結果が「YES」(起動時判定時間Ta2経過)である場合は、ステップS305に進んで、この時の出力特性値として水素センサ25の出力値を読み込み、この出力値が判定値Aよりも大きいか否かを判定する。
【0063】
ステップS305における判定結果が「YES」(出力値が判定値Aより大)である場合は、ステップS306に進み、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞があると判定して警報を行い、本ルーチンの実行を一旦終了する。
一方、ステップS305における判定結果が「NO」(出力値が判定値A以下)である場合は、この時点では空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度以下であると判定することができるので、ステップS307に進んで、安定時間Tbを経過するまで待機し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0064】
なお、図示を省略するが、第5の実施の形態においても、このセンサ起動時ガス検知処理を終了した後で、安定時間Tbを経過後における通常のガス検知処理が実行される。
この第5の実施の形態のようにセンサ起動時ガス検知を実行した場合にも、万が一、空気オフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えている虞がある時には、水素センサ25の出力が安定する以前の段階で、早期に警報を発することができる。しかも、この第5の実施の形態では、水素センサ25の起動時における検出素子32の温度に応じて起動時判定時間を変更しているので、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができる。
【0065】
〔他の実施の形態〕
尚、この発明は前述した実施の形態に限られるものではない。
例えば、被検知ガスは水素ガスに限定されるものではなく、他のガス成分であってもよく、また、ガスセンサは、水素センサに限るものではなく、他のガス成分を検出するものであってもよい。
また、このガス検知方法の実施は、燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガス中の水素ガス濃度が許容水素濃度を越えているか否かを検知する場合に限るものではなく、種々のガス検知に対して実施可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明するように、この出願の第1の発明によれば、ガス接触燃焼式ガスセンサの起動時に、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に前記ガスセンサを起動してから所定時間後における該ガスセンサの出力値の変化速度に基づいて、前記被検知ガスのガス濃度を予測するので、ガスセンサの出力が安定する前に被検知ガスの濃度を予測することができるという優れた効果が奏される。
【0067】
また、この出願に係る第2、第3の発明によれば、ガス接触燃焼式ガスセンサにより被検知ガスが所定濃度を越えたか否かを検知する場合に、前記ガスセンサの起動時に、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値が所定の判定値を越えたときは、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定するようにしているので、被検知ガスが前記所定濃度を越えた虞がある時には、ガスセンサの出力が安定する以前にこれを検知することができ、ガス検知の早期化を図ることができる。
【0068】
そして、前記第2の発明においては、前記検出素子の温度に応じて前記判定値を変更するので、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができるという効果がある。
また、前記第3の発明においては、前記検出素子の温度に応じて前記所定時期を変更するので、ガス検知精度が向上し、ガス検知の信頼性を向上することができるという効果がある。
【0069】
また、前記第2、第3の発明において、前記検知ガスが水素ガスであり、燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガス中の水素ガス濃度が所定濃度を越えたか否かを検知するガス検知方法とした場合には、万が一、空気オフガス中の水素ガス濃度が所定濃度を越えた虞がある時には、前記ガスセンサの出力が安定する前にこれを検知することができ、ガス検知の早期化を図ることができるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るガスセンサ起動時のガス濃度予測方法およびガス検知方法の原理を説明するための図であり、ガス接触燃焼式ガスセンサの起動特性図である。
【図2】 この発明に係るガス検知方法が実施される燃料電池システムの一実施の形態における構成図である。
【図3】 前記第1の実施の形態におけるセンサ起動時のガス検知制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】 この発明に係るガス検知方法の第2の実施の形態におけるセンサ起動時のガス検知制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】 この発明に係るガスセンサ起動時のガス検知方法の原理を説明するための図であり、前記水素センサの起動特性図である。
【図6】 この発明に係るガス検知方法の第3の実施の形態におけるセンサ起動時のガス検知制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】 この発明に係るガス検知方法の第4の実施の形態におけるセンサ起動時のガス検知制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】 この発明に係るガス検知方法の第5の実施の形態におけるセンサ起動時のガス検知制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 燃料電池
25 水素センサ(ガス接触燃焼式ガスセンサ)
32 検出素子
33 温度補償素子
Claims (6)
- 被検知ガスが触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子と温度補償素子との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するガス接触燃焼式ガスセンサの起動時に、前記被検知ガスのガス濃度を予測する方法であって、
前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に前記ガスセンサを起動してから所定時間後における該ガスセンサの出力値の変化速度に基づいて、前記被検知ガスのガス濃度を予測することを特徴とするガスセンサ起動時のガス濃度予測方法。 - 被検知ガスが触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子と温度補償素子との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するガス接触燃焼式ガスセンサにより、前記被検知ガスが所定濃度を越えたか否かを検知するガス検知方法であって、
前記ガスセンサの起動時に、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値が所定の判定値を越えたときは、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定し、前記判定値は前記検出素子の温度に応じて変更することを特徴とするガス検知方法。 - 被検知ガスが触媒に接触した際に燃焼する熱を利用して検出素子と温度補償素子との電気抵抗の差異から前記被検知ガスのガス濃度を検出するガス接触燃焼式ガスセンサにより、前記被検知ガスが所定濃度を越えたか否かを検知するガス検知方法であって、
前記ガスセンサの起動時に、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定時期に該ガスセンサの起動特性により決定される出力特性値が所定の判定値を越えたときは、被検知ガスが前記所定濃度を越えたと判定し、前記所定時期は前記検出素子の温度に応じて変更することを特徴とするガス検知方法。 - 前記出力特性値は、前記ガスセンサを起動してから所定時間後における前記ガスセンサの出力値であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のガス検知方法。
- 前記出力特性値は、前記ガスセンサを起動してから所定時間後における前記ガスセンサの出力値の変化速度であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のガス検知方法。
- 前記被検知ガスは水素ガスであり、燃料電池のカソードから排出されるカソードオフガス中の水素ガス濃度が所定濃度を越えたか否かを検知することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のガス検知方法。
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