JP3830787B2 - ユニットの引出支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体に対し引き出し可能にユニットを支持するユニットの引出支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀行等の金融機関では、入金する紙幣を一枚ずつ取り込むとともに、その取り込んだ紙幣の金種等を識別し振り分けて、金種別に設けられる一時貯留・収納繰出部の上部の複数の一時貯留部にその入金が確定するまで一時貯留させるとともに、入金の確定後、その紙幣を一時貯留・収納繰出部の下部の収納繰出部に収納する一方、収納繰出部に収納した紙幣を、出金処理において出金用の紙幣として出金させる還流式の紙幣入出金機が用いられている。
【0003】
このような紙幣入出金機においては、例えば、入金された紙幣を入金確定操作により収納するまで返却可能とするために入金時に紙幣を一時貯留させる複数の一時貯留部が一つのユニットに設けられてこのユニットごと機体に対し引き出し可能な構造とされたり、メンテナンス等のために紙幣を収納する複数の収納繰出部が一つのユニットに設けられてこのユニットごと機体に対し引き出し可能な構造とされたりしている。
【0004】
ところで、例えば上記のようなユニットに関し、下面側に設けられた搬送路で紙幣を搬送させる構造ものがある。この構造を採用した場合に、この搬送路で紙幣にジャム等を生じたりしたときに、従来は、ユニットを機体から引き出し、ユニットの搬送路を手動で動かして取り出し可能な位置まで紙幣を移動させてからこの紙幣を取り除くようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、手動で搬送路を動かして紙幣を取り除くのでは、例えばジャムの度合いがひどい場合に、取り除く作業に多くの時間と労力が必要となってしまう場合があった。このため、本出願人は、引き出したユニットの下面側に直接作業することを考えたが、特にユニットが機体の下部に設けられている場合に下面側への直接作業が困難になってしまうという新たな問題の発生が予想された。このような問題は、紙幣入出金機に限らず、機体に対し引き出し可能なユニットの下面側に対し何らかの作業が必要な場合には同じように生じる問題である。
【0006】
したがって、本発明は、機体に対し引き出し可能に設けられたユニットの下面側に対する直接作業を容易に行うことができるユニットの引出支持構造の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のユニットの引出支持構造は、機体に対し引き出し可能にユニットを支持するものであって、前記機体から引き出した状態で前記ユニットをその前部を上方に位置させるように揺動可能に支持しており、さらに、前記ユニットをその前部を上方に位置させるように揺動させた揺動状態に維持する揺動状態維持手段を具備し、前記機体から限度位置まで水平に引き出された前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して前記ユニットの後側下部を前記機体に対し強制的に前方に移動させる強制移動機構を有することを特徴としている。
【0008】
これにより、機体から引き出した状態でユニットをその前部を上方に位置させるように揺動させ、この揺動状態を揺動状態維持手段で維持することにより、ユニットの下面が前方に露出することになる。
強制移動機構が、機体から限度位置まで水平に引き出されたユニットの揺動時に該揺動に連動してユニットの後側下部を機体に対し強制的に前方に移動させるため、機体から限度位置まで水平に引き出されたユニットをそのまま揺動させる場合に比して、その上側にある機体または他のユニットによって決められるユニットの揺動角度を大きくとることができる。
【0011】
本発明の請求項2記載のユニットの引出支持構造は、請求項1記載のものに関して、前記強制移動機構は、前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して該ユニットに対し後方に移動する作動部材を有し、該作動部材が前記機体を押圧することにより、前記ユニットの後側下部を前記機体に対し強制的に前方に移動させることを特徴としている。
【0012】
このように、強制移動機構は、ユニットの揺動時に該揺動に連動してユニットに対し後方に移動する作動部材が機体を押圧することにより、ユニットの後側下部を機体に対し強制的に前方に移動させるため、ユニットの後側下部を機体に対し前方に移動させるための構造が簡素にできる。
【0013】
本発明の請求項3記載のユニットの引出支持構造は、請求項2記載のものに関して、前記作動部材は、前記機体を押圧する押圧部を、前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して前記ユニットの引き出し方向に交差する方向に移動させることを特徴としている。
【0014】
このように、作動部材が、機体を押圧する押圧部を、ユニットの揺動時に該揺動に連動してユニットの引き出し方向に交差する方向に移動させるため、ユニットの機体に対する引き出し時および装填時には、作動部材を退避させておくことになり、該作動部材の機体との干渉を防止できる。
【0015】
本発明の請求項4記載のユニットの引出支持構造は、請求項2または3記載のものに関して、前記ユニットをその後側下部に設けられた回動軸を中心に揺動可能に支持し、前記強制移動機構は、前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して前記回動軸を前記機体に
【0016】
このように、ユニットをその後側下部に設けられた回動軸を中心に揺動可能に支持し、強制移動機構は、ユニットの揺動時に該揺動に連動して回動軸を機体に対し強制的に前方に移動させるため、ユニットの揺動および前方移動を簡素な構成で行うことができる。
【0017】
本発明の請求項5記載のユニットの引出支持構造は、請求項4記載のものに関して、前記強制移動機構は、前記ユニットの前記回動軸より下側に固定され該ユニットの前記揺動時に前記回動軸に対し前方に移動する押出作動部と、該押出作動部の前記回動軸に対する前方への移動で前記作動部材を前記回動軸に対し後方に移動させるリンク機構とを有することを特徴としている。
【0018】
これにより、ユニットの回動軸より下側に固定された押出作動部が、ユニットの揺動時にユニットの回動軸に対し前方に移動すると、この移動でリンク機構が作動部材を回動軸すなわちユニットに対し後方に移動させるため、ユニットの前方移動をより簡素な構成で行うことができる。
【0019】
本発明の請求項6記載のユニットの引出支持構造は、請求項5記載のものに関して、前記リンク機構は、前記回動軸に対し前後移動可能となるように前記作動部材を支持する支持ベースと、前記ユニットの揺動時における前記押出作動部の前記回動軸に対する前方への移動で前記回動軸に対し前方に移動する第1リンクアームと、該第1リンクアームに揺動可能に一端部が連結されるとともに他端部が前記作動部材に連結され、さらに中間部が前記支持ベースに回動可能に支持されており、前記回動軸に対し前方に移動する第1リンクアームで押圧されて前記中間部を中心に揺動し、他端部に連結された前記作動部材を前記回動軸に対し後方に移動させる第2リンクアームとを有することを特徴としている。
【0020】
これにより、ユニットの回動軸より下側に固定された押出作動部が、ユニットの揺動時にこのユニットの回動軸に対し前方に移動すると、この移動でリンク機構の第1リンクアームが回動軸に対し前方に移動し、これに連結された第2リンクアームの一端部を前方に押す。すると、中間部において支持ベースに回動可能に支持された第2リンクアームの他端部が後方に移動し、これに連結された作動部材をユニットの回動軸に対し後方に移動させる。よって、ユニットの前方移動をより一層簡素な構成で行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態のユニットの引出支持構造が適用された貨幣入出金機を図面を参照して以下に説明する。なお、図2〜図11における紙面下側が、操作を行うオペレータ側すなわち前方(正面側)を示す。また、以下における「前」はオペレータ側、「後」はオペレータに対し反対側であり、左右は、オペレータ側から見たときの左右である。
【0022】
この貨幣入出金機は、銀行等の金融機関のテラーカウンタの下側に配置され、左右の二人のテラー等のオペレータに共用で使用可能とされるとともに、使用時には左右の二人のオペレータのいずれか一人に占有使用されるものであって、図1に示すように、紙幣の入金、収納、回収および出金等、紙幣に関する各処理を行う紙幣入出金部11と、硬貨の入金、収納、回収および出金等、硬貨に関する各処理を行う硬貨入出金部12とが一体的に設けられたものである。
【0023】
硬貨入出金部12は、機体10における上部に主として配置されており、紙幣入出金部11と硬貨入出金部12の一部とが、機体10における下部に硬貨入出金部12よりも前方に突出するように配置されている。なお、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11は、機体10の正面側に引き出し可能となっており、これらを機体10に対しロックおよびロック解除する引出キー13が紙幣入出金部11の正面側に設けられている。
【0024】
貨幣入出金機には、その機体10の上面の正面(前面)側の左右両側に、上方に向いて、左右のオペレータにより各処理の操作が入力される操作部14と処理状態等を表示する表示ランプ部15とが設けられており、また、右側にのみ、処理のガイドメニュー、処理状態および処理結果等を表示する表示パネル16が設けられている。なお、これら操作部14、表示ランプ部15および表示パネル16は、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11に対し共用とされている。
【0025】
また、機体10の上面の正面より若干後側の左右方向における中央には、硬貨入出金部12に入金硬貨を投入するための硬貨入金口17が設けられており、硬貨入出金部12の下部すなわち紙幣入出金部11側には、正面から後方に凹んで受皿挿入口18が設けられている。この受皿挿入口18には図示せぬ受皿が挿入されることになり、硬貨入出金部12は、このように受皿挿入口18に挿入された状態の受皿に硬貨の出金を行う。受皿挿入口18と隣り合う位置にはリジェクト硬貨を返却するための硬貨リジェクト口19が設けられている。
【0026】
紙幣入出金部11の硬貨入出金部12よりも正面側に突出する部分の上面には、その最も正面側の左右方向の中央に、紙幣入出金部11の内部から紙幣が送り出される紙幣出金口20が設けられるとともに、この紙幣出金口20の後に、入金する紙幣がオペレータによりセットされる紙幣入金口21が設けられている。なお、紙幣出金口20には、これを開閉するシャッタ22が設けられている。ここで、紙幣入出金部11のこれら紙幣出金口20および紙幣入金口21と隣り合う側方位置には、硬貨入出金部12の一部である硬貨一括金庫23が設けられている。この硬貨一括金庫23は硬貨を収納するもので、機体10に対し着脱可能とされており、この硬貨一括金庫23の正面側には、これを機体10に対しロックおよびロック解除する取出キー23aが設けられている。また、紙幣入出金部11の下部正面には電源スイッチ27が設けられている。
【0027】
紙幣入出金部11は、紙幣入金口21にその長手方向を左右方向とした状態でセットされる紙幣を入金させて収納する入金処理を行うとともに、収納した紙幣を必要に応じて紙幣出金口20ヘ出金させる出金処理等の紙幣における各処理を行う。
【0028】
以下に、本発明の要部である紙幣入出金部11について説明する。
紙幣入出金部11は、主として紙幣入金口21から取り込まれた紙幣、あるいは紙幣出金口20に向け出金させられる紙幣を搬送する上層ユニット24と、入金され上層ユニット24で搬送された紙幣を入金確定操作により収納するまで返却可能に金種別に一時貯留させる中層ユニット(ユニット,一時貯留ユニット)25と、中層ユニット25に一時貯留させた紙幣を入金確定後に収納する一方、収納した紙幣を出金用として繰り出す下層ユニット26とを有しており、これら上層ユニット24、中層ユニット25および下層ユニット26は、それぞれ個別に貨幣入出金機の機体10から正面側に引き出し可能とされている。
【0029】
〔上層ユニット〕
上層ユニット24は、入金処理時において入金紙幣がセットされ該セットされた入金紙幣を一枚ずつ機内に取り込む上記した紙幣入金口21と、入金処理時等における識別不能なリジェクト紙幣が繰り出されるとともに、出金処理時において機内から出金紙幣が繰り出される上記した紙幣出金口20と、この紙幣出金口20を開閉する上記したシャッタ22と、入金紙幣を必要な場所に搬送するとともに出金紙幣を必要に応じた場所に搬送する搬送路28と、この搬送路28の搬送途中に設けられ、入金処理時等において紙幣入金口21から繰り出され搬送路28で搬送される紙幣の真偽、金種、正損、重送および斜行の識別を行う識別部29とを有している。なお、搬送路28の途中には、識別部29の識別結果から紙幣の表裏を判断し、紙幣の表裏を取り揃えるために必要により紙幣の表裏を反転させる表裏反転部30が設けられている。
【0030】
〔中層ユニット〕
中層ユニット25には、上層ユニット24の搬送路28にそれぞれつながりこの搬送路28から振り分けられた入金紙幣を取り入れる各紙幣取入部32が設けられており、また、これら紙幣取入部32のそれぞれの前側に、入金紙幣(貯留物)を、その取り引きが確定するまで一時貯留させる複数具体的には三つの同形状の一時貯留部(貯留部)33a,33b,33cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして直線状に配列されている。ここで、これら三つの一時貯留部33a〜33cは、紙幣取入部32側からは紙幣の送り込みのみが可能となっており、紙幣取入部32側への紙幣の繰り出しは不可となっている。なお、これら一時貯留部33a〜33cに一時貯留された紙幣を入金確定せずに返却する場合、中層ユニット25を機体10から引き出すことによって、これら一時貯留部33a〜33cをすべて機体10の外側に露出させることになり、その結果、内部に一時貯留させた紙幣のオペレータによる取り出しを可能とする。
【0031】
一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、対応する紙幣取入部32から紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体35と、筐体35の下部に設けられ、筐体35内に取り込んだ一時貯留紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に順次集積させながら載置させる開閉可能な一対のシャッタ36,36とを有しており、一対のシャッタ36,36は高さが一定で水平移動することにより筐体35の下部を開閉する。なお、筐体35の内側のシャッタ36,36よりも上側の部分が紙幣を一時貯留させる貯留空間37となっている。
【0032】
〔下層ユニット〕
下層ユニット26には、各一時貯留部33a〜33cの下側に、これらのうち対応するものに一時貯留された紙幣を入金確定後に受け入れて内部に収納する一方、内部に収納した紙幣を最下のものから一枚ずつ紙幣繰出部39によって繰り出し可能な複数具体的には三つの同形状の収納繰出部38a,38b,38cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして配列されている。
【0033】
ここで、中層ユニット25および下層ユニット26がともに機体10に適正に装填された状態で、各一時貯留部33a〜33cとそれぞれの真下の各収納繰出部38a〜38cとで一時貯留・収納繰出部40a〜40cを構成することになり、同形状のこのような三つの一時貯留・収納繰出部40a〜40cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして配列されることになる。
【0034】
すなわち、最も前側の一時貯留部33aと最も前側の収納繰出部38aとが最も前側の一時貯留・収納繰出部40aを構成し、前から二番目の一時貯留部33bと前から二番目の収納繰出部38bとが前から二番目の一時貯留・収納繰出部40bを構成し、前から三番目の一時貯留部33cと前から三番目の収納繰出部38cとが前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cを構成している。なお、これら三つの一時貯留・収納繰出部40a〜40cのうち、後側の二つは、金種別のものであり、具体的には前から二番目の一時貯留・収納繰出部40bは流通量の多い万券(一万円札)用、前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cは流通量の多い千券(一千円札)用となっている。また、最も前側の一時貯留・収納繰出部40aは一金種のみに対応するものではなく、各処理に応じて適宜の紙幣を収納させたり補充用の紙幣を収納させる運用カセットとして使用される。このため、収納繰出部38a〜38cのうち、最も前側の収納繰出部38aは、機体10から引き出された下層ユニット26に対し着脱可能とされており、残りの収納繰出部38b,38cは、下層ユニット26に対し固定されている。
【0035】
下層ユニット26には、前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cの後側において、中層ユニット25を介して搬送路28につながるとともに、すべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cの下側を通って、最も前側の一時貯留・収納繰出部40aの前方で、中層ユニット25を介して搬送路28につながり、各収納繰出部38a〜38cから繰り出された出金紙幣等を搬送する搬送路42が設けられている。搬送路42の途中に、搬送する紙幣の重送および斜行等を判別する判別部43が設けられている。
【0036】
なお、搬送路42は、下層ユニット26の下面側に部分的に露出するようになっており、この搬送路42において搬送中の紙幣にジャム等を生じた場合に、オペレータが下層ユニット26を引き出し前部を上側に位置させるように揺動させることで、搬送路42に対し直接作業できるようになっている。すなわち、搬送路42のジャム紙幣を直接排除したりできるようになっているのである。
【0037】
さらに、下層ユニット26には、出金処理時において搬送路42で搬送される出金紙幣のうち判別部43で重送あるいは斜行等と判別された出金紙幣を収納するリジェクト収納部44が、前方に開閉自在に設けられている。なお、下層ユニット26の前面には、図1に示すように、リジェクト収納部44内のリジェクト紙幣を取り外す際に開閉される扉44aとこれを開く際に必要なキーと44bが設けられている。
【0038】
収納繰出部38a〜38cは、それぞれ、一時貯留部33a〜33cのうちの対応する一つから一時貯留紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体45を有しており、また、筐体45内に取り込んだ収納紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に集積させながら載置させる昇降可能かつ開閉可能な一対の扉式のフラッパ46,46とを有している。
【0039】
フラッパ46,46は、筐体45の前後に互いに平行をなしかつ同高さとなるよう配置されるとともにこの状態でガイド軸47,47に沿って一体に昇降する支持軸48,48を有しており、これら支持軸48,48を中心に揺動する。そして、フラッパ46,46は、自身が互いの支持軸48に対し反対の端部同士を近接させることにより共に筐体45内で水平配置される閉状態となり、この状態で、一時貯留部33a〜33cの対応する一つから投入された紙幣をその上側に載置させる。また、フラッパ46,46は、この閉状態から下方に旋回することで開状態となると、載置させていた紙幣を、筐体45内のこれらフラッパ46,46より下側の出金紙幣収納用の収納空間49に落とし込んで収納させる。さらに、フラッパ46,46は、この開状態から上方に旋回することで閉状態に戻る。なお、収納空間49の最下部に紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部39が設けられている。
【0040】
機体10内における中層ユニット25および下層ユニット26の後側には、搬送路28および搬送路42で搬送され対応する紙幣取込部50から送り込まれる紙幣を一時貯留させる一時貯留部51d,51eが上下に離間して設けられており、各一時貯留部51d,51eの下側には、一時貯留部51d,51eの対応するものに一時貯留された紙幣を受け入れて収納する一方、収納した紙幣を最下のものから紙幣繰出部54により繰り出し可能な収納繰出部52d,52eがそれぞれ設けられている。
【0041】
各一時貯留部51d,51eとそれぞれの真下の各収納繰出部52d,52eとで一時貯留・収納繰出部53d,53eを構成することになり、これら複数具体的には二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eが、上下に重ねられた状態で配置されている。すなわち、一時貯留部51dと収納繰出部52dとが上側の一時貯留・収納繰出部53dを構成し、一時貯留部51eと収納繰出部52eとが下側の一時貯留・収納繰出部53eを構成している。
【0042】
これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、幅および奥行きが等しいもので、互いに左右方向および前後方向の位置を合わせた状態で、上下に重ねられるように配置されている。結果的に、これら上下に重ね状態で配置された二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら一時貯留・収納繰出部53d,53e以外のすべての上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cよりも機体10の後部側に配置されている。これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、保守時には機体10からの引き出しが可能とされている。
【0043】
これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、それぞれ、搬送路28あるいは搬送路42の対応する紙幣取入部50から対応金種の紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体55を有しており、また、筐体55内に取り込んだ一時貯留紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に順次集積させながら載置させる高さ位置固定で開閉可能な仕切手段としての一対の扉式のフラッパ56,56と、筐体55のフラッパ56,56よりも上側に設けられ、フラッパ56,56に載置された一時貯留紙幣を上側から下方に向けて押圧しフラッパ56,56を開作動させながら下側に落とし込むプッシャ57と、筐体55内のフラッパ56,56よりも下側において昇降可能に設けられたエレベータ58とを有している。ここで、筐体55内のフラッパ56,56より下側かつエレベータ58より上側の部分が出金用の紙幣を収納する収納空間61とされている。なお、これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、紙幣取入部50側からは紙幣の送り込みのみが可能となっており、紙幣取入部50側への紙幣の繰り出しは不可となっている。また、収納空間61の最下部に紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部54が設けられており、この紙幣繰出部54は、エレベータ58が最下位置に位置した状態で紙幣を繰り出すようになっている。
【0044】
そして、フラッパ56,56によって筐体55内の上下方向に連続する空間を上下に区画することになり、これによって、一時貯留・収納繰出部53dにおいては、フラッパの56,56の上側の空間を紙幣を一時貯留させる一時貯留部51dの貯留空間60とするとともに、フラッパ56,56の下側の空間を紙幣を収納する収納繰出部52dの収納空間61とし、プッシャ57によるこのフラッパ56,56の開作動を伴う紙幣の落とし込みにより一時貯留部51dの貯留空間60から収納繰出部52dの収納空間61への紙幣の受け渡しを行うようになっている。同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいては、フラッパの56,56の上側の空間を紙幣を一時貯留させる一時貯留部51eの貯留空間60とするとともに、フラッパ56,56の下側の空間を紙幣を収納する収納繰出部52eの収納空間61とし、プッシャ57によるこのフラッパ56,56の開作動を伴う紙幣の落とし込みにより一時貯留部51eの貯留空間60から収納繰出部52eの収納空間61への紙幣の受け渡しを行うようになっている。
【0045】
フラッパ56,56は、それぞれ、筐体55の前後に互いに平行をなしかつ同高さとなるよう配置される位置固定の支持軸63,63を有しており、これら支持軸63,63を中心に揺動する。そして、フラッパ56,56は、支持軸63に対し反対の端部同士を近接させることにより共に筐体55内で水平配置される閉状態となり、この状態で、上側の貯留空間60に投入された紙幣をその上側に載置させる。ここで、フラッパ56,56は、閉状態になるように図示せぬバネ等で付勢されている。また、フラッパ56,56は、この閉状態から付勢力にこうして下方に旋回することで開状態となると、載置させていた紙幣を下側の収納空間61に落とし込む。さらに、フラッパ56,56は、この開状態から上方に旋回することで閉状態に戻る。
【0046】
ここで、上下に重ね状態で配置された二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、両方とも同一の大きさで構成されているが、その収納部を異なる大きさで構成するようにしても良い。
【0047】
また、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eのそれぞれの上下方向長さは、これら一時貯留・収納繰出部53d,53e以外の上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cの上下方向長さよりも小さく設定されており、幅および奥行きは同等に設定されている。その結果、これら一時貯留・収納繰出部53d,53eの収納繰出部52d,52eは、それぞれ、これら以外の一時貯留・収納繰出部40a〜40cの収納繰出部38a〜38cのいずれよりも紙幣の収納容量が少なくなっている。
【0048】
さらに、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eを合わせた全体の上下方向長さは、これら以外の上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cのそれぞれの上下方向長さとほぼ同等とされており、上側の一時貯留・収納繰出部53dの最上部の高さ位置は、一時貯留・収納繰出部40a〜40cの最上部の高さ位置に対し同等以下、具体的には同高さ位置に設定されている。
【0049】
また、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら以外のすべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cとともに、左右方向の位置を合わせた状態で機体10の前後方向に配列されている。
【0050】
さらに、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら以外のすべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cよりも機体10の後部側に配置されている。
【0051】
加えて、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは金種別のものであり、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eのうちの一つである上側の一時貯留・収納繰出部53dは流通量の少ない二千券(二千円札)用とされ、他の一つである下側の一時貯留・収納繰出部53eは流通量の少ない五千券(五千円札)用とされている。
【0052】
そして、上記下層ユニット26を機体10に対し引き出し可能に支持する部分に、本実施形態のユニットの引出支持構造100が適用されている。この引出支持構造について図3〜図5を主に参照して以下に説明する。
【0053】
本実施形態の引出支持構造100は、下層ユニット26を下側で支持する下層ユニット基台101と、機体10の左右内側と下層ユニット基台101の左右外側との間にそれぞれ設けられ、下層ユニット基台101を機体10に対し水平方向に沿って前後に引出可能および装填可能に支持するスライドレール102と、下層ユニット26の後側下部に左右方向に軸線を配置して設けられ、下層ユニット26を位置固定で回動可能に下層ユニット基台101に連結させる回動軸103と、下層ユニット26と下層ユニット基台101との間に介装され、下層ユニット26を回動軸103を中心としてその前部を上方に位置させるように揺動させたときにこの揺動状態を維持するとともにその揺動限界位置を決めるガス式等のダンパ(揺動状態維持手段)104とを有している。
【0054】
下層ユニット26は、水平に沿う非揺動状態で下層ユニット基台101に載置されることになり、この非揺動状態で、機体10に対し水平前後方向の引き出しおよび装填が行われるようになっている。
【0055】
ここで、下層ユニット26の後端部の上端部には、上方に突出するストッパ106が固定されており、水平前方の引き出し時にこのストッパ106が、上側の中層ユニット25の前端部から下方に突出する引出ストッパ107に当接することで、それ以上の下層ユニット26の水平前方の引き出しが規制されることになる。よって、機体10に適正位置まで装填された状態すなわち機体10と一体状態の中層ユニット25の引出ストッパ107に対しストッパ106を当接させる位置が、下層ユニット26の機体10からの水平引き出しの限度位置となっている。なお、スライドレール102は、仮にストッパ106および引出ストッパ107がなければ、この限界位置よりもさらに前方への下層ユニット基台101の移動が可能となるようにそのスライド範囲が余裕を持って設定されている。
【0056】
そして、下層ユニット26および下層ユニット基台101には、上記限界位置よりも後方に下層ユニット26が位置する状態では常にこれを下層ユニット基台101に対し非揺動状態にロックし、上記限界位置に下層ユニット26が位置する状態ではロックを解除してこれを揺動可能な状態とする図示せぬロック機構が設けられている。よって、下層ユニット26は非揺動状態で下層ユニット基台101と一体に水平前方に引き出されることになり、限界位置に達すると、ロック機構によるロックが解除されて、下層ユニット基台101に対し回動軸103を中心に前部を上方に位置させるように揺動可能となる。そして、揺動可能な状態でオペレータが下層ユニット26の前部下面側を支持しつつ下層ユニット26を揺動させると、ダンパ104がこの揺動状態を維持する。
【0057】
また、本実施形態の引出支持構造100は、下層ユニット26の左右両側と下層ユニット基台101との間に強制移動機構110が設けられている。この強制移動機構110は、機体10から上記限度位置まで水平に引き出された下層ユニット26の上記した揺動時にこの揺動に連動して揺動中心である下層ユニット26の後側下部の回動軸103を機体10に対し強制的に前方に移動させるものである。
【0058】
この強制移動機構110は、下層ユニット26の上記した揺動時にこの揺動に連動して下層ユニット26の回動軸103に対し後方に移動する作動部材111を有しており、この作動部材111が後方に移動して機体10を押圧することにより、下層ユニット26の後側下部の回動軸103すなわち下層ユニット26を機体10に対し強制的に前方に移動させるようになっている(後述する)。
【0059】
強制移動機構110は、回動軸103の近傍において下層ユニット26の側面部に固定される押出部材112を有しており、この押出部材112には、回動軸103より下側に延出する押出作動部113が設けられている。この押出作動部113は、回動軸103より下側に配置されていることから、下層ユニット26の回動軸103を中心とした揺動時に、回動軸103に対し前方に移動することになる。
【0060】
さらに、強制移動機構110は、下層ユニット26の回動軸103を中心とした揺動時における上記した押出作動部113の回動軸103に対する前方への移動で、作動部材111を下層ユニット26の回動軸103に対し後方に移動させるリンク機構114を有している。
【0061】
このリンク機構114は、下層ユニット基台101に固定される支持ベース116を有している。支持ベース116は、下層ユニット26の側方において前後方向かつ鉛直方向に沿うように配置される板状のもので、この支持ベース116には、下部の前後に所定距離離間してピン117,118が左右方向に軸線を配置して位置固定で設けられている。また、この支持ベース116には、上部であって、下層ユニット26に固定された押出作動部113よりも前側となる位置に、前後に所定距離離間してピン119,120が左右方向に軸線を配置して位置固定で設けられている。
【0062】
作動部材111は、一方向に長い板状の部材であり、その一端側に、長さ方向に対し垂直に屈曲して略上下左右に沿う押圧部122が設けられている。作動部材111は、この押圧部122において、機体10の下端前部に設けられた当接部123に当接して機体10を押圧するようになっている。
【0063】
作動部材111には、中間部分の押圧部122側に、その押圧部122側が長さ方向に対し傾斜し押圧部122に対し反対側が長さ方向に略沿うように鈍角をなして屈曲する形状の屈曲長孔124が形成されており、また中間部分の屈曲長孔124よりも押圧部122に対し反対側に、長さ方向に略沿う直線状の長孔125が形成されている。そして、作動部材111は、屈曲長孔124を上側凸の状態をなすように支持ベース116の下側かつ後側のピン118に係合させ、長孔125を支持ベース116の下側かつ前側のピン117に係合させることにより支持ベース116に支持されることになる。作動部材111は、屈曲長孔124および長孔125の範囲内でピン117,118に対し移動することで、下層ユニット26の回動軸103に対し前後に移動する。さらに、作動部材111には、押圧部122に対し反対側の端部にピン126が設けられている。
【0064】
なお、作動部材111は、長孔125および屈曲長孔124の形状により、支持ベース116すなわち回動軸103に対し前側に移動すると押圧部122を上側に移動させ、支持ベース116に対し後側に移動すると押圧部122を下側に移動させる。すなわち、作動部材111は、下層ユニット26の上記した揺動時には、この揺動に連動して支持ベース116すなわち回動軸103に対し後方に移動することになるが(後述する)、機体10の当接部123を押圧する押圧部122を、この後方への移動に連動して、下層ユニット26の引き出し方向である水平前後方向に対し交差する上下方向に移動させるのである。そして、押圧部122は、支持ベース116に対し上側に位置するときに、水平前後方向に移動しても当接部123に当接不可となるように当接部123に対し逃げる形状をなしており、支持ベース116に対し下側に位置するときに水平前後方向に移動すると当接部123に当接可能となっている。
【0065】
リンク機構114は、第1リンクアーム128を有している。この第1リンクアーム128は、下層ユニット26の上記した揺動時における押出作動部113の下層ユニット26に対する前方への移動で、この押出作動部113に押圧されて、下層ユニット26の回動軸103に対し前方に移動する。
【0066】
第1リンクアーム128は、一方向に長い板状の部材であり、その一端側に、長さ方向に対し垂直に屈曲して略上下左右に沿う押圧受部129が設けられている。第1リンクアーム128は、この押圧受部129において、押出作動部113に当接し押圧される。また、第1リンクアーム128は、中間所定位置に長さ方向に沿う長孔130が形成されており、この長孔130を支持ベース116の上側かつ後側のピン120に係合させることにより支持ベース116に揺動可能に支持されている。さらに、第1リンクアーム128には、押圧受部129に対し反対側の端部に連結ピン131が設けられている。加えて、第1リンクアーム128と支持ベース116との間には、第1リンクアーム128を後方に付勢するバネ部材132が介装されている。
【0067】
リンク機構114は、第1リンクアーム128の他端側に左右方向に軸線を配して回転可能に連結される第2リンクアーム134を有している。この第2リンクアーム134は、第1リンクアーム128の左右方向に軸線を配した連結ピン131に揺動可能に一端部が連結されるとともに他端部に長さ方向に沿う長孔135が形成されている。そして、第2リンクアーム134は、これらの間の中間部において支持ベース116の上側かつ前側のピン119により回動可能に支持されており、また、他端部の長孔135が作動部材111の左右方向に軸線を配したピン126に係合されている。その結果、第2リンクアーム134は、下層ユニット26に対し前方に移動する第1リンクアーム128で押圧されて中間部のピン119を中心に揺動し、他端部に連結された作動部材111を下層ユニット26の回動軸103に対し後方に移動させる。
【0068】
以上のような引出支持構造100によれば、図3に示すように、機体10に装填された中層ユニット25の引出ストッパ107に対しストッパ106を当接させる限度位置まで、非揺動状態でロックされた下層ユニット26および下層ユニット基台101を一体に水平前方に機体10から引き出すと、この限度位置で下層ユニット26および下層ユニット基台101は停止するとともに、ロック機構による相互のロック状態が解除される。
【0069】
そして、図4および図5に示すように、限度位置まで引き出された下層ユニット26の前部の下面を支持しつつ下層ユニット26をオペレータが持ち上げると、下層ユニット26は、下層ユニット基台101に対して後側下部の回動軸103を中心に揺動することになり、ダンパ104で規定される揺動限界位置までの揺動が可能であり、しかもダンパ104で揺動操作の操作力の軽減がなされるとともに揺動状態の姿勢が維持される。
【0070】
ここで、上記のように、下層ユニット26を、下層ユニット基台101に対して回動軸103を中心に揺動させると、下層ユニット26において回動軸103より下側に設けられた押出部材112の押出作動部113が、回動軸103に対し前方に移動し、第1リンクアーム128の押圧受部129に当接してこれを前方に押圧する。すると、第1リンクアーム128は、バネ部材132の付勢力に抗して長孔130をピン120に対しスライドさせながら回動軸103に対し前方に移動して、連結ピン131で連結された第2リンクアーム134の上端部を回動軸103に対し前方に移動させる。その結果、第2リンクアーム134が、ピン119を中心に揺動し、下端部を後方に移動させる。すると、第2リンクアーム134の下端部にピン126において連結された作動部材111が回動軸103に対し後方に移動する。その結果、作動部材111が支持ベース116のピン117,118に対し屈曲長孔124および長孔125をスライドさせ、これらの形状によって押圧部122が下方に移動し、下方に移動した押圧部122が機体10の当接部123に当接して、これを後方に押圧する。その結果、スライドレール102の余裕分によって機体10に対し回動軸103が前方に移動し、機体10に対し下層ユニット26が前方に移動する。ここで、この下層ユニット26の機体10に対する前方への移動は、下層ユニット26の揺動と並行して行われることになるが、揺動および前方移動の関係は、揺動により上昇しても中層ユニット25の前端かつ下端部に干渉するのを回避するように、下層ユニット26が前方に移動するように設定されている。
【0071】
なお、下層ユニット26の前部が揺動時において、限界位置まで水平前方に引き出されたときの前面位置(図3〜図5に示す二点鎖線Xの位置)よりも前方に突出しないように、回動軸103と略同高さまで、下層ユニット26の前面下部には面取部137が形成されており、下層ユニット26の揺動時の前方への移動量は、この前面位置よりも前方に下層ユニット26を突出させることがないように設定されている。
【0072】
以上に述べた紙幣入出金部11の主要な処理について説明する。
【0073】
「入金処理(入金確定前)」
オペレータにより入金させる紙幣が紙幣入金口21にセットされ操作部14に「入金処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、紙幣入金口21により、紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28および紙幣取入部32の所定部分で構成される図6に太線で示す入金処理ルートで搬送させ、その途中の識別部29の識別結果に基づいて振り分ける。すなわち、識別不能(偽、重送、斜行等)とされた紙幣は紙幣出金口20に送り出され、真かつ汚損と識別された紙幣と、一時貯留・収納繰出部40b,40cに収納しきれない真かつ正の紙幣とが、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに紙幣取入部32から送り込まれ、真かつ正と識別された紙幣は、適宜表裏反転部30を通過させることで表裏が取り揃えられた後、一時貯留・収納繰出部40a〜40cの一時貯留部33a〜33cの対応する一つに、それぞれの紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させる。
【0074】
具体的には、真かつ正と識別された紙幣のうち、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに一時貯留され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留される。ここで、これら以外の二千券および五千券は、混合状態で一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに一時貯留される。さらに、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aには、上記したように、真かつ汚損の各紙幣と、一時貯留・収納繰出部40b,40cに収納しきれない真かつ正の紙幣も送り込まれる。
【0075】
そして、紙幣入金口21からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留・収納繰出部40a〜40cの一時貯留部33a〜33cのいずれかに送り込まれると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、識別部29の識別結果を図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが入金確定操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。この場合、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bにおいて一時貯留部33bから収納繰出部38bに収納され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cにおいて一時貯留部33cから収納繰出部38cに収納されることになるが、それ以外の二千券および五千券は、一時貯留・収納繰出部53d,53eが紙幣の返却処理に適していないことから、混合状態で、返却処理に適した一時貯留・収納繰出部40aにおいて一時貯留部33aから収納繰出部38aに一時貯留される。すなわち、二千券および五千券は、「入金処理」から「収納処理」の流れでは、それら用の収納繰出部52d,52eには収納されず、後述する「内部充填分配補充処理」および「収納処理」によって収納繰出部52d,52eに収納される。他方、オペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0076】
「出金処理」
オペレータにより上位機または操作部14に「出金処理」の実行入力がなされると、制御部は、金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのそれぞれの収納繰出部38b,38c,52d,52eに収納させていた紙幣を紙幣繰出部39,54で最下のものから一枚ずつ分離して繰り出させ、搬送路42,28の所定部分で構成される図7に太線で示す出金処理ルートに沿って搬送させ、その途中の判別部43の判別結果に基づいて振り分ける。すなわち、判別部43で重送または斜行と判定された搬送異常紙幣はリジェクト収納部44に送り込まれ、判別部43で正常と判別された紙幣は、紙幣出金口20に送り出され、さらに、判別部43で金種的あるいは枚数的に出金紙幣に含まれないと判別された紙幣は、運用カセットとしての一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに一時貯留させる。そして、出金用に繰り出されたすべての紙幣が、リジェクト収納部44、紙幣出金口20および一時貯留部33aに送り込まれると、一時貯留部33aは、シャッタ36,36を開作動させて、閉状態にある収納繰出部38aのフラッパ46,46上に紙幣を落とし込む。なお、フラッパ46,46上に載置された紙幣は、適宜のタイミングでフラッパ46,46から下方に落とし込まれる。
【0077】
「内部充填分配補充処理」
「入金処理」により収納繰出部38aに収納された紙幣(主として二千券および五千券)を、金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eに紙幣を補充する場合には、操作部14に「内部充填分配補充処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、収納繰出部38aから、最下の紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28,42および紙幣取入部32の所定部分で構成される図8に太線で示す内部充填分配補充処理ルートで搬送させ、その途中の判別部43の判別結果および識別部29の鑑別結果に基づいて振り分ける。
【0078】
すなわち、判別部43で判別不能(重送、斜行等)とされた紙幣は、入金処理時に偽券でないことがすでに確認されているため、リジェクト収納部44に送り込まれ、汚損と識別された紙幣は、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33aは、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになる。そして、それ以外の紙幣は適宜表裏反転部30を通過させることで表裏が取り揃えられた後、金種別の一時貯留部33b,33c,51d,51eの対応する一つに、それぞれの紙幣取入部32,50から送り込まれる。このとき、一時貯留部33b,33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から取り入れた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになり、一時貯留部51d,51eは、それぞれ、フラッパ56,56が閉状態とされており、紙幣取入部50から取り入れた紙幣をフラッパ56,56の上側の貯留空間60に一時貯留させることになる。
【0079】
具体的には、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに一時貯留され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留され、二千券は一時貯留・収納繰出部53dの一時貯留部51dに一時貯留され、五千券は一時貯留・収納繰出部53eの一時貯留部51eに一時貯留される。また、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aには、入金処理によって真かつ汚損の各紙幣が収納されるため、このような紙幣は、再び、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに送り込まれる。なお、入金時の二千券および五千券は返却処理に対応するために一旦混合状態で一時貯留・収納繰出部40aに収納されることになり、その後、このような「内部充填分配補充処理」で出金用に各一時貯留・収納繰出部53d,53eにそれぞれ分配されるのである。
【0080】
このようにして、順次、収納繰出部38aに収納されている紙幣が、一時貯留部33b,33c,51d,51eに送り込まれ、そのうちのいずれか一つが満杯となると、制御部は、一旦、収納繰出部38aからの紙幣の繰り出しを停止し、一時貯留部33b,33cについてはシャッタ36,36を開作動させ、それ自身またはそれに載置された紙幣をシャッタ36,36に近接させて閉状態で待機している収納繰出部38b,38cのフラッパ46,46に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させ一時貯留部33b,33cを空にする。一方、一時貯留部51d,51eについては、エレベータ58をすでに収納している紙幣がフラッパ56,56に干渉しない位置まで上昇させた状態とし、この状態でプッシャ57で押し込むことによりフラッパ56,56を開作動させつつ紙幣をエレベータ58上に受け渡し、その後、エレベータ58を紙幣がフラッパ56,56に干渉しない位置まで下降させ、プッシャ57を上昇させることにより、フラッパ56,56を閉作動させる。なお、以上の動作を一時貯留部33b,33c,51d,51eのうち満杯になった一つについてのみ行うようにしてもよいが、収納繰出部38aからの繰り出し中断の回数を減らすために、上記のように満杯になっていないものも含めてすべてについて行うようにする。
【0081】
そして、一時貯留部33b,33cのシャッタ36,36の閉作動および一時貯留部51d,51eのフラッパ56,56の閉作動が完了すると、制御部は、再び収納繰出部38aの収納空間49から紙幣繰出部39により紙幣を繰り出させ、紙幣の分配補充を再開する。
【0082】
以上を繰り返して、収納繰出部38aの収納空間49からすべての紙幣が一旦繰り出され、リジェクト収納部44および一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eの一時貯留部33a〜33c,51d,51eのいずれかに送り出されると、制御部は、補充処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが補充完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。
【0083】
なお、この貨幣入出金機においては、紙幣を補充する場合に、上記以外にも金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eに紙幣を紙幣入金口21から補充する「入金口分配補充処理」や、機体10外において補充紙幣を収納繰出部38aに充填しこれを機体10に装填して同様の分配補充処理を行う「外部充填分配補充処理」を行うことも可能となっている。
【0084】
「収納処理」
一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eにおいて、一時貯留部33a〜33c,51d,51eに一時貯留させた紙幣等を収納繰出部38a〜38c,52d,52eの収納空間49,61に収納させる。
【0085】
すなわち、上記した「入金処理」で入金確定操作が入力された場合、および上記した「内部充填分配補充処理」で補充完了確認操作が入力された場合は、制御部が、一時貯留部33a〜33c,51d,51eの紙幣を収納繰出部38a〜38c,52d,52eに、図9に太線で示す収納処理ルートのように、一時貯留部33a〜33cのそれぞれのシャッタ36,36を開作動させ、シャッタ36,36にそれ自身またはそれに載置されている紙幣の上部を近接させて待機している収納繰出部38a〜38cの閉状態のフラッパ46,46に紙幣を受け渡す。続いて、制御部は、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させる。さらに、フラッパ46,46を既に収納空間49に収納されている紙幣量に干渉しない範囲で下げて開作動させ、フラッパ46,46からすでに収納空間49に収納されている紙幣の上に紙幣を受け渡す。その後、フラッパ46,46を上部待機位置まで上昇させて、閉作動させる。
【0086】
また、制御部は、これと同時に、収納繰出部52d,52eのそれぞれについて、既に収納空間61に収納されている紙幣量に応じた高さまでエレベータ58を上昇させた後、一時貯留部51d,51eのそれぞれのプッシャ57を下降させ、フラッパ56,56上の紙幣を下方に押圧しフラッパ56,56を開作動させながら、紙幣を収納空間61に既に収納されているエレベータ58上の紙幣の上に受け渡す。その後、エレベータ58を最下位置まで下げる。
【0087】
「整理計数処理」
複数金種混在した紙幣から指定した金種を計数しつつ分離する場合等の処理で、オペレータにより紙幣が紙幣入金口21にセットされ操作部14に「整理計数処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、紙幣入金口21により、紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28および紙幣取入部32の所定部分で構成される図10に太線で示す整理計数処理ルートで搬送させ、その途中の識別部29の識別結果に基づいて振り分ける。
【0088】
すなわち、識別不能(偽、重送、斜行等)とされた紙幣と、真かつ汚損と識別された紙幣と、真かつ正で指定されていない金種の紙幣と、真かつ正で指定された金種であって一時貯留部33a〜33cの対応するものに貯留しきれない分の紙幣とが紙幣出金口20に送り出され、真かつ正の紙幣のうち、指定された金種のものが、適宜表裏反転部30を通過することで表裏が取り揃えられた後、金種別に、一時貯留部33a〜33cの対応するものに、それぞれの紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させる。
【0089】
具体的には、例えば、千券、二千券および五千券を整理計数する場合には、真かつ正と識別された紙幣のうち、指定されていない万券は、紙幣出金口20に送り出され、二千券は一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに貯留され、千券は一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに貯留され、五千券は一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留される。
【0090】
そして、紙幣入金口21からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留部33a〜33cのいずれかに送り込まれると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、整理計数処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0091】
「返却処理」
上記「入金処理」の結果の上位機の表示に基づいてオペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力した場合、および、上記「整理計数処理」が完了した旨の上位機の表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力した場合、制御部は、返却処理を許可し、中層ユニット25の機体10からの引き出しを可能とする。
【0092】
これにより、オペレータは、図11に示すよう中層ユニット25を引き出して一時貯留部33a〜33cから紙幣を取り出すことになる。
【0093】
なお、上記以外にも、貨幣入出金機は、一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eの紙幣を確定する精査処理や機体10内の紙幣を回収する回収処理等を行うことになる。
【0094】
そして、上記した「出金処理」等において、下層ユニット26の下面側の搬送路42に紙幣のジャム等が発生した場合には、オペレータは、まず、図3に示すように、機体10に装填された中層ユニット25の引出ストッパ107に対しストッパ106を当接させる限度位置まで、非揺動状態でロックされた下層ユニット26および下層ユニット基台101を一体に水平前方に機体10から引き出す。
【0095】
そして、オペレータは、図4さらには図5に示すように、下層ユニット26の前部の下面を支持しつつ下層ユニット26を持ち上げる。すると、下層ユニット26は、下層ユニット基台101に対して後側下部の回動軸103を中心にダンパ104で補助されながら揺動限界位置まで揺動することになる。また、この揺動に連動して、回動軸103より下側に設けられた押出部材112の押出作動部113が、第1リンクアーム128の押圧受部129に当接してこれを前方に押圧し、第2リンクアーム134を、ピン119を中心に揺動させ、作動部材111を回動軸103に対し後方に移動させる。その結果、作動部材111が押圧部122を下方に移動させるとともに、回動軸103に対し後方に移動して、押圧部122で機体10の当接部123を後方に押圧する。その結果、スライドレール102の余裕分によって機体10に対し回動軸103が前方に移動し、機体10に対し下層ユニット26が前方に移動する。これにより、揺動により上昇しても中層ユニット25の前端かつ下端部に干渉するのを回避するように、下層ユニット26が前方に移動する。
【0096】
このようにして揺動状態とされた下層ユニット26は、ダンパ104で揺動状態が維持されることになり、その下面側を前方に向け露出させることになる。オペレータは、このようにして前方に露出状態となった下層ユニット26の下面側の搬送路42からジャム紙幣を直接取り除く等する。
【0097】
そして、下層ユニット26を前部を下降させるように回動軸103を中心に揺動させて非揺動状態に戻し、下層ユニット26を下層ユニット基台101とともに機体10に押し込み装填する。
【0098】
以上に述べたように、本実施形態の引出支持構造によれば、機体10から引き出した状態で下層ユニット26をその前部を上方に位置させるように揺動させ、この揺動状態をダンパ104で維持することにより、下層ユニット26の下面が前方に露出することになる。したがって、下層ユニット26の下面側の搬送路42等に対する直接作業を容易に行うことができることになる。
【0099】
また、強制移動機構110が、機体10から限度位置まで水平に引き出された下層ユニット26の後側下部の回動軸103を中心とした揺動時に、この揺動に連動して下層ユニット26の回動軸103を機体10に対し強制的に前方に移動させるため、機体10から限度位置まで水平に引き出された下層ユニット26をそのまま揺動させる場合に比して、その上側にある中層ユニット25によって決められる下層ユニット26の揺動角度を大きくとることができる。したがって、下層ユニット26の下面側に対する直接作業をより容易に行うことができることになる。
【0100】
加えて、強制移動機構110は、下層ユニット26の揺動時にこの揺動に連動して下層ユニット26に対し後方に移動する作動部材111が機体10を押圧することにより、下層ユニット26の後側下部の回動軸103を機体10に対し強制的に前方に移動させるため、下層ユニット26の後側下部を機体10に対し前方に移動させるための構造が簡素にできる。したがって、コストを低減することができる。
【0101】
さらに、作動部材111が、機体10を押圧する押圧部122を、下層ユニット26の揺動時にこの揺動に連動して下層ユニット26の引き出し方向である前後方向に交差する上下方向に移動させるため、下層ユニット26の機体10に対する引き出し時および装填時には、作動部材111を退避させておくことができ、作動部材111の機体10との干渉を防止できる。
【0102】
加えて、下層ユニット26をその後側下部に設けられた回動軸103を中心に揺動可能に支持し、強制移動機構110は、下層ユニット26の揺動時に該揺動に連動して回動軸103を機体10に対し強制的に前方に移動させるため、下層ユニット26の揺動および前方移動を簡素な構成で行うことができる。したがって、コストを低減することができる。
【0103】
さらに、下層ユニット26の回動軸103より下側に固定された押出作動部113が、下層ユニット26の揺動時に回動軸103に対し前方に移動すると、この移動でリンク機構114の第1リンクアーム128が回動軸103に対し前方に移動し、これに連結された第2リンクアーム134の一端部を前方に押す。すると、中間部において支持ベース116に回動可能に支持された第2リンクアーム134の他端部が後方に移動し、これに連結された作動部材111を回動軸103に対し後方に移動させる。よって、下層ユニット26の前方移動をより一層簡素な構成で行うことができる。したがって、コストをより一層低減することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載のユニットの引出支持構造によれば、機体から引き出した状態でユニットをその前部を上方に位置させるように揺動させ、この揺動状態を揺動状態維持手段で維持することにより、ユニットの下面が前方に露出することになる。したがって、ユニットの下面側に対する直接作業を容易に行うことができることになる。
【0105】
また、強制移動機構が、機体から限度位置まで水平に引き出されたユニットの揺動時に該揺動に連動してユニットの後側下部を機体に対し強制的に前方に移動させるため、機体から限度位置まで水平に引き出されたユニットをそのまま揺動させる場合に比して、その上側にある機体または他のユニットによって決められるユニットの揺動角度を大きくとることができる。したがって、ユニットの下面側に対する直接作業をより容易に行うことができることになる。
【0106】
本発明の請求項2記載のユニットの引出支持構造によれば、強制移動機構は、ユニットの揺動時に該揺動に連動してユニットに対し後方に移動する作動部材が機体を押圧することにより、ユニットの後側下部を機体に対し強制的に前方に移動させるため、ユニットの後側下部を機体に対し前方に移動させるための構造が簡素にできる。したがって、コストを低減することができる。
【0107】
本発明の請求項3記載のユニットの引出支持構造によれば、作動部材が、機体を押圧する押圧部を、ユニットの揺動時に該揺動に連動してユニットの引き出し方向に交差する方向に移動させるため、ユニットの機体に対する引き出し時および装填時には、作動部材を退避させておくことになり、該作動部材の機体との干渉を防止できる。
【0108】
本発明の請求項4記載のユニットの引出支持構造によれば、ユニットをその後側下部に設けられた回動軸を中心に揺動可能に支持し、強制移動機構は、ユニットの揺動時に該揺動に連動して回動軸を機体に対し強制的に前方に移動させるため、ユニットの揺動および前方移動を簡素な構成で行うことができる。したがって、コストを低減することができる。
【0109】
本発明の請求項5記載のユニットの引出支持構造によれば、ユニットの回動軸より下側に固定された押出作動部が、ユニットの揺動時にユニットの回動軸に対し前方に移動すると、この移動でリンク機構が作動部材を回動軸すなわちユニットに対し後方に移動させるため、ユニットの前方移動をより簡素な構成で行うことができる。したがって、コストをより低減することができる。
【0110】
本発明の請求項6記載のユニットの引出支持構造によれば、ユニットの回動軸より下側に固定された押出作動部が、ユニットの揺動時にこのユニットの回動軸に対し前方に移動すると、この移動でリンク機構の第1リンクアームが回動軸に対し前方に移動し、これに連結された第2リンクアームの一端部を前方に押す。すると、中間部において支持ベースに回動可能に支持された第2リンクアームの他端部が後方に移動し、これに連結された作動部材をユニットの回動軸に対し後方に移動させる。よって、ユニットの前方移動をより一層簡素な構成で行うことができる。したがって、コストをより一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のユニットの引出支持構造が適用された貨幣入出金機を示す斜視図である。
【図2】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の概略構成を示す側断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態のユニットの引出支持構造を示す側断面図であって、下層ユニットを限度位置まで引き出した状態を示すもの。
【図4】 本発明の一実施形態のユニットの引出支持構造を示す側断面図であって、下層ユニットを揺動させている途中の状態を示すもの。
【図5】 本発明の一実施形態のユニットの引出支持構造を示す側断面図であって、下層ユニットを揺動限界位置まで揺動させた状態を示すもの。
【図6】 本発明の一実施形態のユニットの引出支持構造が適用された貨幣入出金機の紙幣入出金部の入金処理ルートを示す側断面図である。
【図7】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の出金処理ルートを示す側断面図である。
【図8】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の内部充填分配補充処理ルートを示す側断面図である。
【図9】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の収納処理ルートを示す側断面図である。
【図10】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の整理計数処理ルートを示す側断面図である。
【図11】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の返却処理時における中層ユニットを引き出した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 機体
26 下層ユニット(ユニット)
100 ユニットの引出支持構造
103 回動軸
104 ダンパ(揺動状態維持手段)
110 強制移動機構
111 作動部材
113 押出作動部
114 リンク機構
116 支持ベース
122 押圧部
128 第1リンクアーム
134 第2リンクアーム
Claims (6)
- 機体に対し引き出し可能にユニットを支持するユニットの引出支持構造において、
前記機体から引き出した状態で前記ユニットをその前部を上方に位置させるように揺動可能に支持しており、さらに、前記ユニットをその前部を上方に位置させるように揺動させた揺動状態に維持する揺動状態維持手段を具備し、
前記機体から限度位置まで水平に引き出された前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して前記ユニットの後側下部を前記機体に対し強制的に前方に移動させる強制移動機構を有することを特徴とするユニットの引出支持構造。 - 前記強制移動機構は、前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して該ユニットに対し後方に移動する作動部材を有し、該作動部材が前記機体を押圧することにより、前記ユニットの後側下部を前記機体に対し強制的に前方に移動させることを特徴とする請求項1記載のユニットの引出支持構造。
- 前記作動部材は、前記機体を押圧する押圧部を、前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して前記ユニットの引き出し方向に交差する方向に移動させることを特徴とする請求項2記載のユニットの引出支持構造。
- 前記ユニットをその後側下部に設けられた回動軸を中心に揺動可能に支持し、前記強制移動機構は、前記ユニットの前記揺動時に該揺動に連動して前記回動軸を前記機体に対し強制的に前方に移動させることを特徴とする請求項2または3記載のユニットの引出支持構造。
- 前記強制移動機構は、前記ユニットの前記回動軸より下側に固定され該ユニットの前記揺動時に前記回動軸に対し前方に移動する押出作動部と、該押出作動部の前記回動軸に対する前方への移動で前記作動部材を前記回動軸に対し後方に移動させるリンク機構とを有することを特徴とする請求項4記載のユニットの引出支持構造。
- 前記リンク機構は、
前記回動軸に対し前後移動可能となるように前記作動部材を支持する支持ベースと、
前記ユニットの揺動時における前記押出作動部の前記回動軸に対する前方への移動で前記回動軸に対し前方に移動する第1リンクアームと、
該第1リンクアームに揺動可能に一端部が連結されるとともに他端部が前記作動部材に連結され、さらに中間部が前記支持ベースに回動可能に支持されており、前記回動軸に対し前方に移動する第1リンクアームで押圧されて前記中間部を中心に揺動し、他端部に連結された前記作動部材を前記回動軸に対し後方に移動させる第2リンクアームとを有することを特徴とする請求項5記載のユニットの引出支持構造。
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