JP3850304B2 - 紙幣入出金機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入金された紙幣を収納する一方、収納した紙幣を出金用として繰り出す還流式の紙幣入出金機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀行等の金融機関では、入金する紙幣を一枚ずつ取り込み、その取り込んだ紙幣の金種等を識別し振り分けて、金種別に設けられた一時貯留・収納繰出部の上部の一時貯留部に一時貯留させるとともに、必要に応じて、その紙幣を一時貯留・収納繰出部の下部の収納繰出部に収納し、さらに、収納繰出部に収納した紙幣を、出金処理において出金用の紙幣として出金させる還流式の紙幣入出金機が用いられている。このような紙幣入出金機としては、既に、特開平1−296397号公報に開示されたもの等がある。
【0003】
この種の紙幣入出金機の一時貯留・収納繰出部においては、内部に紙幣の集積不良、取込不良あるいは繰出不良等を生じた場合や、内部の紙幣を取り出す必要が生じた場合に、一時貯留・収納繰出部内に手を入れて作業を行わなければならず、このために、一時貯留・収納繰出部の側部にヒンジ式の開閉扉が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように、一時貯留・収納繰出部内に対して作業を行う場合には開閉扉を揺動させて一時貯留・収納繰出部の側部を開放することになるが、ヒンジ式の開閉扉では、開閉扉が作業者の作業手前側に突出することになるため、作業の邪魔となり、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、一時貯留・収納繰出部内に対して作業を行う場合の作業性を向上させることができる紙幣入出金機の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙幣入出金機は、揺動することで開閉可能な複数の仕切部材を有し投入された紙幣を閉状態の前記複数の仕切部材上に一時貯留させる一時貯留部と、前記複数の仕切部材が下方向に揺動して開かれることにより前記一時貯留部から紙幣を受け入れてこれを収納する収納繰出部と、を有する一時貯留・収納繰出部を備えた紙幣入出金機であって、前記一時貯留・収納繰出部には、スライドすることにより側部を開閉させるスライド体が設けられており、前記スライド体には、前記一時貯留部の側部を開放する小開口部と該小開口部を開閉可能な小扉とが設けられていて、前記小扉の開作動に連動して前記複数の仕切部材のうちの前記小扉側の一の仕切部材を上方向に揺動させる仕切部材上昇機構部を有することを特徴としている。
【0007】
これにより、スライド体をスライドさせることで、一時貯留・収納繰出部の側部を開放することができるため、一時貯留・収納繰出部の側部を開放させてもスライド体は、作業者の作業手前側に突出することがなく、作業の邪魔にならない。
【0009】
また、スライド体には、一時貯留部の側部を開閉可能な小扉が設けられているため、一時貯留部の紙幣を取り出す場合等には、スライド体を開けずに小扉をあけるのみで作業できる。
【0011】
さらに、一時貯留部の紙幣を取り出す場合等に小扉を開作動させると、この開作動に連動して一時貯留部の該小扉側の仕切部材を仕切部材上昇機構部が上昇させることになる。よって、小扉を開いた開口より低い位置に仕切部材があっても、一時貯留部の紙幣を容易かつ良好に取り出すことができる。
【0012】
本発明の請求項2記載の紙幣入出金機は、開閉可能な仕切部材を有し投入された紙幣を前記仕切部材上に一時貯留させる一時貯留部と、前記仕切部材が開かれることにより前記一時貯留部から紙幣を受け入れてこれを収納する収納繰出部と、を有する一時貯留・収納繰出部を備えた紙幣入出金機であって、前記一時貯留・収納繰出部には、スライドすることにより側部を開閉させるスライド体が設けられており、閉位置にある前記スライド体を該閉位置に位置決めするとともに該閉位置から一旦前記スライドの方向とは異なる方向に移動させるように移動を案内し該移動がなければ前記スライドを規制する案内部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
これにより、スライド体をスライドさせることで、一時貯留・収納繰出部の側部を開放することができるため、一時貯留・収納繰出部の側部を開放させてもスライド体は、作業者の作業手前側に突出することがなく、作業の邪魔にならない。
また、閉位置にあるスライド体を閉位置から一旦スライドの方向とは異なる方向に移動させなければスライドさせることができないため、閉位置からそのままスライドさせるのでは他部材に干渉等してしまう場合に、このような干渉を防止することができる。
本発明の請求項3記載の紙幣入出金機は、請求項1記載のものに関して、閉位置にある前記スライド体を該閉位置に位置決めするとともに該閉位置から一旦前記スライドの方向とは異なる方向に移動させるように移動を案内し該移動がなければ前記スライドを規制する案内部が設けられていることを特徴としている
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の紙幣入出金機の一実施形態である貨幣入出金機を図面を参照して以下に説明する。なお、各図において矢印X方向が、操作を行うオペレータ側すなわち前方(正面側)を示す。また、以下において特に記載のない場合、「前」はオペレータ側、「後」はオペレータに対し反対側であり、左右は、オペレータ側から見たときの左右である。
【0015】
この貨幣入出金機は、銀行等の金融機関のテラーカウンタの下側に配置され、左右の二人のテラー等のオペレータに共用で用いられるもので、図1に示すように、紙幣の入金、収納、回収および出金等、紙幣に関する各処理を行う紙幣入出金部11と、硬貨の入金、収納、回収および出金等、硬貨に関する各処理を行う硬貨入出金部12とが一体的に設けられたものである。
【0016】
硬貨入出金部12は、機体10における上部に主として配置されており、紙幣入出金部11と硬貨入出金部12の一部とが、機体10における下部に硬貨入出金部12よりも前方に突出するように配置されている。なお、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11は、機体10の正面側に引き出し可能となっており、これらを機体10に対しロックおよびロック解除する引出キー13が紙幣入出金部11の正面側に設けられている。
【0017】
貨幣入出金機には、その機体10の上面の正面(前面)側の左右両側に、上方に向いて、左右のオペレータにより各処理の操作が入力される操作部14と処理状態等を表示する表示ランプ部15とが設けられており、また、右側にのみ、処理のガイドメニュー、処理状態および処理結果等を表示する表示パネル16が設けられている。なお、これら操作部14、表示ランプ部15および表示パネル16は、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11に対し共用とされている。
【0018】
また、機体10の上面の正面より若干後側の左右方向における中央には、硬貨入出金部12に入金硬貨を投入するための硬貨入金口17が設けられており、硬貨入出金部12の下部すなわち紙幣入出金部11側には、正面から後方に凹んで受皿挿入口18が設けられている。この受皿挿入口18には図示せぬ受皿が挿入されることになり、硬貨入出金部12は、このように受皿挿入口18に挿入された状態の受皿に硬貨の出金を行う。受皿挿入口18と隣り合う位置にはリジェクト硬貨を返却するための硬貨リジェクト口19が設けられている。
【0019】
紙幣入出金部11の硬貨入出金部12よりも正面側に突出する部分の上面には、その最も正面側の左右方向の中央に、紙幣入出金部11の内部から紙幣が送り出される紙幣出金口20が設けられるとともに、この紙幣出金口20の後に、入金する紙幣がオペレータによりセットされる紙幣入金口21が設けられている。なお、紙幣出金口20には、これを開閉するシャッタ22が設けられている。ここで、紙幣入出金部11のこれら紙幣出金口20および紙幣入金口21と隣り合う側方位置には、硬貨入出金部12の一部である硬貨一括金庫23が設けられている。この硬貨一括金庫23は硬貨を収納するもので、機体10に対し着脱可能とされており、この硬貨一括金庫23の正面側には、これを機体10に対しロックおよびロック解除する取出キー23aが設けられている。また、紙幣入出金部11の下部正面には電源スイッチ27が設けられている。
【0020】
紙幣入出金部11は、紙幣入金口21にその長手方向を左右方向とした状態でセットされる紙幣を入金させて収納する入金処理を行うとともに、収納した紙幣を必要に応じて紙幣出金口20ヘ出金させる出金処理等の紙幣における各処理を行う。
【0021】
以下に、本発明の要部である紙幣入出金部について説明する。
図2に示すように、紙幣入出金部11は、主として紙幣入金口21から取り込まれた紙幣、あるいは紙幣出金口20に向け出金させられる紙幣を搬送する上層ユニット24と、入金され上層ユニット24で搬送された紙幣を入金確定操作前に金種別に一時貯留させる中層ユニット25と、中層ユニット25に一時貯留させた紙幣を入金確定操作後に収納する一方、収納した紙幣を出金用として繰り出す下層ユニット26と、中層ユニット25および下層ユニット26の後側に配置された状態で上部ユニット24に着脱可能に連結される後部ユニット24Aとを有している。中層ユニット25および下層ユニット26は、それぞれ個別に貨幣入出金機の機体10から正面側に引き出し可能とされており、上部ユニット24は、後部ユニット24Aとの連結が解除された状態では単独で正面側に引き出し可能とされ、後部ユニット24Aと連結させられた状態では、中層ユニット25および下層ユニット26を引き出した状態でのみ正面側に引き出し可能とされている。なお、図1に示すように、機体10の右側部の正面側には、後端縁部において鉛直軸回りに回転可能となるように支持された開閉扉10Aが設けられている。
【0022】
〔上層ユニット〕
上層ユニット24は、入金処理時において入金紙幣がセットされ該セットされた入金紙幣を一枚ずつ機内に取り込む上記した紙幣入金口21と、入金処理時等における識別不能なリジェクト紙幣が繰り出されるとともに、出金処理時において機内から出金紙幣が繰り出される上記した紙幣出金口20と、この紙幣出金口20を開閉する上記したシャッタ22と、入金紙幣を必要な場所に搬送するとともに出金紙幣を必要に応じた場所に搬送する搬送路28と、この搬送路28の搬送途中に設けられ、入金処理時等において紙幣入金口21から繰り出され搬送路28で搬送される紙幣の真偽、金種、正損、重送および斜行の識別を行う識別部29とを有している。なお、搬送路28の途中には、識別部29の識別結果から紙幣の表裏を判断し、紙幣の表裏を取り揃えるために必要により紙幣の表裏を反転させる表裏反転部30が設けられている。
【0023】
〔中層ユニット〕
中層ユニット25には、上層ユニット24の搬送路28にそれぞれつながりこの搬送路28から振り分けられた入金紙幣を取り入れる各紙幣取入部32が設けられており、また、これら紙幣取入部32のそれぞれの前側に、入金紙幣を、その取り引きが確定するまで一時貯留させる複数具体的には三つの同形状の一時貯留部33a,33b,33cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして直線状に配列されている。ここで、これら三つの一時貯留部33a〜33cは、紙幣取入部32側からは紙幣の送り込みのみが可能となっており、紙幣取入部32側への紙幣の繰り出しは不可となっている。なお、これら一時貯留部33a〜33cに一時貯留された紙幣を入金確定せずに返却する場合、中層ユニット25を機体10から引き出すことによって、これら一時貯留部33a〜33cをすべて機体10の外側に露出させることになり、その結果、内部に一時貯留させた紙幣のオペレータによる取り出しを可能とする。
【0024】
一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、対応する紙幣取入部32によって、厚み方向を略上下方向に向けかつ厚み方向を投入方向に対し略直交させた姿勢で投入される紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体35と、筐体35の下部に設けられ、筐体35内に取り込んだ一時貯留紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に順次集積させながら載置させる開閉可能な一対のシャッタ36,36とを有しており、一対のシャッタ36,36は高さが一定で水平移動することにより筐体35の下部を開閉する。なお、筐体35の内側のシャッタ36,36よりも上側の部分が紙幣を一時貯留させる貯留空間37となっている。
【0025】
〔下層ユニット〕
下層ユニット26には、各一時貯留部33a〜33cの下側に、これらのうち対応するものに一時貯留された紙幣を入金確定後に受け入れて内部に収納する一方、内部に収納した紙幣を最下のものから一枚ずつ紙幣繰出部39によって繰り出し可能な複数具体的には三つの同形状の収納繰出部38a,38b,38cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして配列されている。
【0026】
ここで、中層ユニット25および下層ユニット26がともに機体10に適正に装填された状態で、各一時貯留部33a〜33cとそれぞれの真下の各収納繰出部38a〜38cとで一時貯留・収納繰出部40a〜40cを構成することになり、同形状のこのような三つの一時貯留・収納繰出部40a〜40cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして配列されることになる。
【0027】
すなわち、最も前側の一時貯留部33aと最も前側の収納繰出部38aとが最も前側の一時貯留・収納繰出部40aを構成し、前から二番目の一時貯留部33bと前から二番目の収納繰出部38bとが前から二番目の一時貯留・収納繰出部40bを構成し、前から三番目の一時貯留部33cと前から三番目の収納繰出部38cとが前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cを構成している。なお、これら三つの一時貯留・収納繰出部40a〜40cのうち、後側の二つは、金種別のものであり、具体的には前から二番目の一時貯留・収納繰出部40bは流通量の多い万券(一万円札)用、前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cは流通量の多い千券(一千円札)用となっている。また、最も前側の一時貯留・収納繰出部40aは一金種のみに対応するものではなく、各処理に応じて適宜の紙幣を収納させたり補充用の紙幣を収納させる運用カセットとして使用され、通常は、入金された流通量の少ない五千券(五千円札)および二千券(二千円札)の複数金種を共用で収納させるようになっている。運用カセットとして使用されることから、収納繰出部38a〜38cのうち、最も前側の収納繰出部38aは、機体10から引き出された下層ユニット26に対し着脱可能とされており、残りの収納繰出部38b,38cは、下層ユニット26に対し固定されている。
【0028】
下層ユニット26には、前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cの後側において、中層ユニット25を介して搬送路28につながるとともに、すべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cの下側を通って、最も前側の一時貯留・収納繰出部40aの前方で、中層ユニット25を介して搬送路28につながり、各収納繰出部38a〜38cから繰り出された出金紙幣等を搬送する搬送路42が設けられている。搬送路42の途中に、搬送する紙幣の金種、重送および斜行等を判別する判別部43が設けられている。
【0029】
さらに、下層ユニット26には、出金処理時において搬送路42で搬送される出金紙幣のうち判別部43で重送あるいは斜行等の搬送異常と判別された出金紙幣を、繰り出し不可な状態で収納させるリジェクト収納部44が、前方に開閉自在に設けられている。なお、下層ユニット26の前面には、図1に示すように、リジェクト収納部44内のリジェクト紙幣を取り外す際に開閉される扉44aとこれを開く際に必要なキー44bとが設けられている。
【0030】
収納繰出部38a〜38cは、それぞれ、一時貯留部33a〜33cのうちの対応する一つから一時貯留紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体45を有しており、また、筐体45内に取り込んだ収納紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に集積させながら載置させる昇降可能かつ開閉可能な一対の扉式のフラッパ46,46とを有している。
【0031】
フラッパ46,46は、筐体45の前後に互いに平行をなしかつ同高さとなるよう配置されるとともにこの状態でガイド軸47,47に沿って一体に昇降する支持軸48,48を有しており、これら支持軸48,48を中心に揺動する。そして、フラッパ46,46は、自身が互いの支持軸48に対し反対の端部同士を近接させることにより共に筐体45内で水平配置される閉状態となり、この状態で、一時貯留部33a〜33cの対応する一つから投入された紙幣をその上側に載置させる。また、フラッパ46,46は、この閉状態から下方に旋回することで開状態となると、載置させていた紙幣を、筐体45内のこれらフラッパ46,46より下側の出金紙幣収納用の収納空間49に落とし込んで収納させる。さらに、フラッパ46,46は、この開状態から上方に旋回することで閉状態に戻る。なお、収納空間49の最下部に紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部39が設けられている。
【0032】
〔後部ユニット〕
機体10内における中層ユニット25および下層ユニット26の後側に設けられた後部ユニット24Aには、搬送路28および搬送路42で搬送され対応する紙幣取入部50から送り込まれる紙幣を一時貯留させる一時貯留部51d,51eが上下に離間して設けられており、各一時貯留部51d,51eの下側には、一時貯留部51d,51eの対応するものに一時貯留された紙幣を受け入れて収納する一方、収納した紙幣を最下のものから紙幣繰出部54により繰り出し可能な収納繰出部(収納部)52d,52eがそれぞれ設けられている。
【0033】
各一時貯留部51d,51eとそれぞれの真下の各収納繰出部52d,52eとで一時貯留・収納繰出部53d,53eを構成することになり、これら複数具体的には二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eが、上下に重ねられた状態で配置されている。すなわち、一時貯留部51dと収納繰出部52dとが上側の一時貯留・収納繰出部53dを構成し、一時貯留部51eと収納繰出部52eとが下側の一時貯留・収納繰出部53eを構成している。なお、これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、機体10に対し引き出しは可能であるものの着脱は不可とされている。
【0034】
これら複数組の一時貯留・収納繰出部53d,53eは、幅および奥行きが等しいもので、互いに左右方向および前後方向の位置を合わせた状態で、上下に重ねられるように配置されている。結果的に、これら上下に重ね状態で配置された二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら一時貯留・収納繰出部53d,53e以外のすべての上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cよりも機体10の後部側に配置されている。
【0035】
これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、それぞれ、搬送路28あるいは搬送路42の対応する紙幣取入部50によって、厚み方向を略上下方向に沿わせかつ厚み方向を投入方向に対し略直交させた姿勢で投入される対応金種の紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体55を有している。
【0036】
また、一時貯留・収納繰出部53d,53eは、それぞれ、紙幣取入部50によって筐体55内に側方から投入される紙幣を表裏方向を上下方向にして上下方向に順次集積させながら載置させる扉式(回転式)の上部フラッパ(仕切部材)56Aを複数有している。これら上部フラッパ56Aは、すべて、揺動中心が同高さで位置固定とされており、内側に突出し水平に沿う状態を維持するように付勢されている。これら上部フラッパ56Aは、この付勢力に抗して下方向に揺動可能とされる一方、上方向の揺動が一つを除いて規制されている。
【0037】
加えて、一時貯留・収納繰出部53d,53eは、それぞれ、上部フラッパ56Aよりも所定量下側に、扉式(回転式)の下部フラッパ(仕切部材)56Bを複数有している。これら下部フラッパ56Bは、揺動中心が同高さで位置固定とされており、内側に突出し水平に沿う状態を維持するように付勢されている。これら下部フラッパ56Bは、この付勢力に抗して下方向に揺動可能とされる一方、上方向の揺動がすべて規制されている。
【0038】
さらに、一時貯留・収納繰出部53d,53eは、それぞれ、筐体55の上部フラッパ56Aよりも上側で待機するとともに、複数の上部フラッパ56Aに載置された一時貯留紙幣を上側から下方に向けて押圧し複数の上部フラッパ56Aおよび複数の下部フラッパ56Bを順次開作動させながら、これら上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを越えるように下方に押し込む昇降可能なプッシャ57と、筐体55内の複数の下部フラッパ56Bよりも下側においてのみ昇降可能に設けられ、プッシャ57で上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを越えて押し込まれた紙幣を載置させる紙幣載置台58とを有している。
【0039】
そして、一時貯留・収納繰出部53d,53eは、いずれにおいても、複数の上部フラッパ56Aおよび複数の下部フラッパ56Bによって筐体55内の上下方向に連続する空間を上下に区画することになり、これによって、一時貯留・収納繰出部53dは、上部フラッパ56Aより上側に配置された状態にあるプッシャ57と、複数の上部フラッパ56Aと、これらプッシャ57および上部フラッパ56Aの筐体55内における間の貯留空間60とで、紙幣を一時貯留させる一時貯留部51dが構成される。それとともに、下部フラッパ56Bと、紙幣載置台58と、これら下部フラッパ56Bおよび紙幣載置台58の筐体55内における間の収納空間61と、筐体55の最下部に設けられて紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部54とで、紙幣を収納するとともに必要に応じて繰り出す収納繰出部52dが構成される。そして、一時貯留部51dの貯留空間60に一時貯留されていた紙幣をプッシャ57が上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを越えて下方に押し込むことにより収納繰出部52dの収納空間61に収納させることになる。なお、収納繰出部52dの収納空間61に収納される紙幣は出金用の紙幣になる。
【0040】
同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいては、上部フラッパ56Aより上側に配置された状態にあるプッシャ57と、上部フラッパ56Aと、これらプッシャ57および上部フラッパ56Aの筐体55内における間の貯留空間60とで、紙幣を一時貯留させる一時貯留部51eが構成される。それとともに、下部フラッパ56Bと、紙幣載置台58と、これら下部フラッパ56Bおよび紙幣載置台58の筐体55内における間の収納空間61と、筐体55の最下部に設けられて紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部54とで、紙幣を収納するとともに必要に応じて繰り出す収納繰出部52eが構成される。そして、一時貯留部51eの貯留空間60に一時貯留されていた紙幣をプッシャ57が上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを越えて下方に押し込むことにより収納繰出部52eの収納空間61に収納することになる。なお、収納繰出部52eの収納空間61に収納される紙幣も出金用の紙幣になる。
【0041】
ここで、一時貯留・収納繰出部53d,53eにおいては、紙幣取入部50側からは紙幣の送り込みのみが可能となっており、紙幣取入部50側への紙幣の繰り出しは不可となっている。
【0042】
また、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、筐体55の最下部に設けられた紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部54は、紙幣載置台58が最下の繰出位置に位置した状態でこの紙幣載置台58上の紙幣を最下のものから繰り出すようになっている。
【0043】
上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bについて、主に図3〜図12を参照してさらに説明する。
【0044】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、図3および図4に示すように、複数の上部フラッパ56Aは、それぞれ、筐体55の内面に沿って水平かつ同高さとなるように配置される位置固定の支持軸63Aを基端部側に有しており、支持軸63Aを中心に揺動する。複数の上部フラッパ56Aは、それぞれの支持軸63Aに対し反対の先端部同士を互いに近接させることにより共に筐体55内で水平配置される閉状態となり、この状態で、上側の貯留空間60に投入された紙幣をその上側に載置させる。ここで、上部フラッパ56Aは、支持軸63Aを挿通させた状態のネジリバネ64Aで閉状態を維持するように付勢されており、この閉状態から先端部を上昇させる方向への揺動は規制され下方向にのみ揺動可能とされている。そして、上部フラッパ56Aは、この閉状態からネジリバネ64Aの付勢力に抗して先端部を下降させるように旋回することで筐体55の内面に近接し略鉛直に沿う開状態となる。さらに、上部フラッパ56Aは、この開状態からバネ等の付勢力で先端部を上昇させるように旋回することで閉状態に戻る。ここで、上部フラッパ56Aのネジリバネ64Aは、載置させる紙幣の重量程度では上部フラッパ56Aの閉状態を確実に維持できる付勢力を有している。
【0045】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、図3および図4に示すように、複数の下部フラッパ56Bは、それぞれ、筐体55の内面に沿って水平かつ同高さとなりしかも上記支持軸63Aよりも所定量低い位置に配置された位置固定の支持軸63Bを基端部側に有しており、支持軸63Bを中心に揺動する。複数の下部フラッパ56Bは、それぞれの支持軸63Bに対し反対の先端部同士を互いに近接させることにより共に筐体55内で水平配置される閉状態となり、この状態で、下側の収納空間61に収納された紙幣の上昇を規制する。ここで、下部フラッパ56Bは、支持軸63Bを挿通させた状態のネジリバネ64Bで閉状態を維持するように付勢されており、この閉状態から先端部を上昇させる方向への揺動は規制され下方向にのみ揺動可能とされている。そして、下部フラッパ56Bは、この閉状態からネジリバネ64Bの付勢力に抗して先端部を下降させるように旋回することで筐体55の内面に近接し略鉛直に沿う開状態となり、その結果、紙幣を下側の収納空間61に受け渡す。さらに、下部フラッパ56Bは、この開状態からネジリバネ64Bの付勢力で先端部を上昇させるように旋回することで閉状態に戻る。
【0046】
ここで、一時貯留・収納繰出部53dにおいて、複数の上部フラッパ56Aは、紙幣取入部50によって厚み方向を投入方向に対し略直交させた姿勢で側方から筐体55の投入口55Aを介して一時貯留部51d内に投入された紙幣を載置させるものであるため、可能な限り一時貯留部51d内における面積が広くなるように設定されている。これに対して、複数の下部フラッパ56Bは、一時貯留部51dから収納繰出部52dに押し込まれた紙幣の一時貯留部51dへの戻りを規制することにより一時貯留部51dの紙幣と収納繰出部52dの紙幣との区分けを明確にするものであり、しかも紙幣載置台58との間で紙幣を挟持状態で安定的に収納できるものであるため、収納繰出部52d内における面積が上部フラッパ56Aよりも狭くなるように設定されている。
【0047】
上記のように広い面積を確保するため、上部フラッパ56Aの揺動半径(揺動中心から先端部までの長さ)は、下部フラッパ56Bの揺動半径よりも大きく設定されており、しかも、下部フラッパ56Bの揺動半径に、これら上部フラッパ56Aと下部フラッパ56Bとの配置間隔を加算した長さ以下とされている。このように設定すれば、収納繰出部52dの紙幣収納能力が下部フラッパ56Bの開時の先端部の高さによって決められることになり、上部フラッパ56Aの影響を受けずに済む。
【0048】
同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいて、複数の上部フラッパ56Aは、紙幣取入部50によって厚み方向を投入方向に対し略直交させた姿勢で側方から筐体55の投入口55Aを介して一時貯留部51e内に投入された紙幣を載置させるものであるため、可能な限り一時貯留部51e内における面積が広くなるように設定されている。これに対して、複数の下部フラッパ56Bは、一時貯留部51eから収納繰出部52eに押し込まれた紙幣の一時貯留部51eへの戻りを規制することにより一時貯留部51eの紙幣と収納繰出部52eの紙幣との区分けを明確にするものであり、しかも紙幣載置台58との間で紙幣を挟持状態で安定的に収納できるものであるため、収納繰出部52e内における面積が上部フラッパ56Aよりも狭くなるように設定されている。
【0049】
上記のように広い面積を確保するため、上部フラッパ56Aの揺動半径(揺動中心から先端部までの長さ)は、下部フラッパ56Bの揺動半径よりも大きく設定されており、しかも、下部フラッパ56Bの揺動半径に、これら上部フラッパ56Aと下部フラッパ56Bとの配置間隔を加算した長さ以下とされている。このように設定すれば、収納繰出部52eの紙幣収納能力が下部フラッパ56Bの開時の先端部の高さによって決められることになり、上部フラッパ56Aの影響を受けずに済む。
【0050】
図5に示すように、プッシャ57および紙幣載置台58を昇降させるように駆動する昇降機構部70は、上下に複数組設けられた一時貯留・収納繰出部53d,53eに対し共用で設けられている。すなわち、昇降機構部70は、下側の一時貯留・収納繰出部53eの左右方向における一側に配置されたモータ71とこのモータ71の回転を伝達するギアボックス72と、このギアボックス72を介してモータ71により回転させられる下部軸73とを有しており、この下部軸73は、下側の一時貯留・収納繰出部53eの下方かつ後方において左右に延在している。
【0051】
また、昇降機構部70は、上側の一時貯留・収納繰出部53dの上部かつ後方において左右に延在する左右一対の上部軸75と、下部軸73の軸線方向における両側に固定されたプーリ76と、各上部軸75に支持されたプーリ77と、左右方向における同側のプーリ76,77同士の間に掛けられることにより上下に沿う左右一対の無端ベルト78と、両無端ベルト78に固定される昇降部79とを有している。
【0052】
これにより、図示せぬ制御部からの電気的な指令によりモータ71が駆動され、このモータ71の正逆回転によって下部軸73、プーリ76、無端ベルト78およびプーリ77が同期回転して、無端ベルト78に連結された昇降部79を昇降させることになる。
【0053】
昇降部79は、図6にも示すように、左右方向における中央の連結板部81と、連結板部81の上端部に、連結板部81よりも左右方向に延出するように設けられた上板部82と、連結板部81の下端部に、連結板部81よりも左右方向に延出するように設けられた下板部83とを有する昇降板84を有しており、この昇降板84が上板部82および下板部83のそれぞれの両延出先端側において両側の無端ベルト78に固定されている。
【0054】
また、昇降板84の上板部82および下板部83には、それぞれ、左右方向における中央に前方に突出するように左右一対の支持ピン86が固定されており、上板部82の各先端部側および下板部83の各先端部側に、それぞれ揺動可能な連結機構部87が設けられている。なお、上板部82には、図5に示すように、側方に延出する検出片88が一体的に設けられており、昇降板84が昇降する際に検出片88を検出可能な所定の上限位置に、上限位置センサ89が位置固定で設けられ、昇降板84が昇降する際に検出片88を検出可能な所定の下限位置に、下限位置センサ90が位置固定で設けられている。図示せぬ制御部は、検出片88が上限位置センサ89で検出されると、昇降部79が上限位置に位置すると判定し、検出片88が下限位置センサ90で検出されると、昇降部79が下限位置に位置すると判定する。そして、昇降部79をこれら上限位置センサ89で検出片88が検出される上限位置と下限位置センサ90で検出片88が検出される下限位置との間で昇降させるようになっている。
【0055】
上板部82の一対の支持ピン86および上板部82の連結機構部87は、上側の一時貯留・収納繰出部53dに対し専用のものである。すなわち、上板部82の支持ピン86は、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57のみを下側から支持可能であり、しかも、一時貯留・収納繰出部53dの紙幣載置台58のみを上側から押圧可能である。また、上板部82の連結機構部87は、高さ位置に応じて一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57のみを昇降部79に対し連結および連結解除するものである。
【0056】
同様に、下板部83の一対の支持ピン86および下板部83の連結機構部87は、下側の一時貯留・収納繰出部53eに対し専用のものである。すなわち、下板部83の支持ピン86は、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57のみを下側から支持可能であり、しかも、一時貯留・収納繰出部53eの紙幣載置台58のみを上側から押圧可能である。また、下板部83の連結機構部87は、高さ位置に応じて一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57のみを昇降部79に対し連結および連結解除するものである。
【0057】
上板部82および下板部83のそれぞれの連結機構部87は、前後方向に沿う支持軸91により中央において昇降板84に揺動可能に連結された揺動部材92と、揺動部材92の一端部に支持軸91と平行に設けられた連結ピン93と、揺動部材92の他端部に支持軸91と平行に設けられたガイドローラ94と、支持軸91を中心に連結ピン93を内側にガイドローラ94を外側に位置させる方向に揺動部材92を付勢するネジリバネ95とを有している。そして、昇降部79が昇降することにより、各連結機構部87の各外側にそれぞれ位置固定で設けられた図5に示すガイド部材96でガイドローラ94が案内され、その結果、揺動部材92はガイド部材96の形状に応じて連結ピン93を内側に位置させたり外側に位置させたりする。ここで、ガイド部材96は、上部所定範囲が外側に凹む凹状ガイド部96aとされるとともに下部所定範囲が内側に突出する凸状ガイド部96bとされており、凹状ガイド部96aで案内される際にガイドローラ94は連結ピン93を内側に位置させ、凸状ガイド部96bで案内される際にガイドローラ94は連結ピン93を外側に位置させる。
【0058】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのそれぞれの後側には、上下方向に沿う左右一対のガイド支柱99が位置固定で設けられている。そして、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57および紙幣載置台58は、プッシャ57が上側に紙幣載置台58が下側に配置された状態で、一時貯留・収納繰出部53dの後側に配置された共通のガイド支柱99によって昇降が案内されるようになっている。同様に、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57および紙幣載置台58は、プッシャ57が上側に紙幣載置台58が下側に配置された状態で、一時貯留・収納繰出部53eの後側に配置された共通のガイド支柱99によって昇降が案内されるようになっている。
【0059】
一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57は、一時貯留・収納繰出部53dの後側のガイド支柱99によって姿勢を維持したままで昇降が案内されるとともに昇降部79の上板部82の支持ピン86により下側から支持され、しかも一部が前方に延出する形状をなす図3に示すプッシャアーム101を有しており、同様に、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57は、一時貯留・収納繰出部53eの後側のガイド支柱99によって姿勢を維持したままで昇降が案内されるとともに昇降部79の下板部83の支持ピン86eにより下側から支持され、しかも一部が前方に延出する形状をなすプッシャアーム101を有している。
【0060】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、プッシャ57は、プッシャアーム101に前後方向に沿って設けられた支持軸102と、この支持軸102に支持されることにより前後方向に沿う軸回りに揺動可能に設けられた支持部材103と、この支持部材103に左右方向に沿って設けられた揺動軸104と、この揺動軸104に支持されることにより左右方向に沿う軸回りに揺動可能に設けられたプッシャ本体105とを有しており、このプッシャ本体105の下面において、上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを越えて紙幣を下方に押し込む際に紙幣に接触する。ここで、このプッシャ本体105は、自重のみによっては水平状態とされ、紙幣等に接触することによって支持軸102および揺動軸104を中心に水平面に対し若干の角度範囲で傾斜可能に支持されている。
【0061】
ここで、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャアーム101には、図5に示すように、左右方向における両側に内側に凹む凹部107が形成されており、この凹部107に対し上板部82に設けられた連結機構部87の連結ピン93が進退する。同様に、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャアーム101には、左右方向における両側に内側に凹む凹部107が形成されており、この凹部107に下板部83に設けられた連結機構部87の連結ピン93が進退する。
【0062】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、ガイド部材96の凹状ガイド部96aでガイドローラ94が案内される状態では連結ピン93は凹部107の下面109と水平方向において重なり合う一方、ガイド部材96の凸状ガイド部96bでガイドローラ94が案内される状態では連結ピン93は凹部107の下面109と水平方向において重なり合わない状態となる。なお、凹部107の下側には上部ほど外側に位置するように傾斜する傾斜面110が形成されている。
【0063】
そして、一時貯留・収納繰出部53dにおいては、プッシャアーム101が昇降部79の上板部82の支持ピン86に支持された状態にあって上板部82の連結機構部87のガイドローラ94がガイド部材96の凹状ガイド部96aで案内される状態では、上板部82の連結機構部87の連結ピン93は凹部107内において下面109と水平方向において重なり合う状態となる。その結果、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャアーム101はその一部が昇降部79の上板部82の連結ピン93と上板部82の支持ピン86とで上下から挟まれて昇降部79に対する昇降方向の移動が規制され、昇降部79と一体的に昇降可能に連結させられた状態になる。
【0064】
他方、一時貯留・収納繰出部53dにおいては、プッシャアーム101が昇降部79の上板部82の支持ピン86に支持された状態にあって上板部82の連結機構部87のガイドローラ94がガイド部材96の凸状ガイド部96bで案内される状態では、上板部82の連結機構部87の連結ピン93は凹部107内において下面109と水平方向において重なり合わない状態となり、その結果、プッシャアーム101は昇降部79の上板部82の支持ピン86で下側からのみ支持された状態となって、プッシャアーム101は昇降部79に対し単独で上方移動可能に切り離された状態になる。
【0065】
同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいては、プッシャアーム101が昇降部79の下板部83の支持ピン86に支持された状態にあって下板部83の連結機構部87のガイドローラ94がガイド部材96の凹状ガイド部96aで案内される状態では、下板部83の連結機構部87の連結ピン93は凹部107内において下面109と水平方向において重なり合う状態となる。その結果、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャアーム101はその一部が昇降部79の下板部83の連結ピン93と下板部83の支持ピン86とで上下から挟まれて昇降部79に対する昇降方向の移動が規制され、昇降部79と一体的に昇降可能に連結させられた状態になる。
【0066】
他方、一時貯留・収納繰出部53eにおいては、プッシャアーム101が昇降部79の下板部83の支持ピン86に支持された状態にあって下板部83の連結機構部87のガイドローラ94がガイド部材96の凸状ガイド部96bで案内される状態では、下板部83の連結機構部87の連結ピン93は凹部107の内において下面109と水平方向において重なり合わない状態となり、その結果、プッシャアーム101は昇降部79の下板部83の支持ピン86で下側からのみ支持された状態となって、プッシャアーム101は昇降部79に対し単独で上方移動可能に切り離された状態になる。
【0067】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、プッシャ57のプッシャ本体105は、図3に示すように、左右方向に沿う揺動軸104から前方に延出する状態でこの揺動軸104に揺動可能に支持された前側板(板状部材)115と、揺動軸104から後方に延出する状態でこの揺動軸104に揺動可能に支持された後側板(板状部材)116とを有しており、その結果、これら一対の前側板115および後側板116は揺動軸104で連結されてヒンジ構造とされている。また、前側板115および後側板116は、前側板115および後側板116の下面同士が互いに平面状をなす状態からそれぞれの揺動軸104に対し反対側を下降させる方向にのみ揺動可能とされている。プッシャ本体105は、これら前側板115および後側板116が互いの下面同士を平面状とする状態からそれぞれの揺動軸104に対し反対側を上昇させる方向にさらに揺動するのを規制する規制板120と、これら前側板115および後側板116の下面同士を互いに平面状をなす状態に維持するように付勢力を発生させるネジリバネ121とを有している。
【0068】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、紙幣載置台58は、ガイド支柱99によって水平状態を維持したままで昇降が案内されるとともに一部が前方に延出する形状をなしており、図5に示すように、上端部の高さ位置が固定とされた引張バネ122の下端部に支持されている。
【0069】
その結果、一時貯留・収納繰出部53dにおいて、紙幣載置台58は、引張バネ122によって上方向に常時付勢されており、その上面に上板部82の支持ピン86で当接する昇降部79によって下方向に押圧されることにより引張バネ122の付勢力に抗して昇降部79と一体的に下降する一方、昇降部79による押圧が解除された状態では、引張バネ122の付勢力で上方に位置させられることになり、紙幣載置台58は直接または紙幣を介して下部フラッパ56Bに下方から当接して停止することになる。
【0070】
同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいて、紙幣載置台58は、引張バネ122によって上方向に常時付勢されており、その上面に下板部83の支持ピン86で当接する昇降部79によって下方向に押圧されることにより引張バネ122の付勢力に抗して昇降部79と一体的に下降する一方、昇降部79による押圧が解除された状態では、引張バネ122の付勢力で上方に位置させられることになり、紙幣載置台58は直接または紙幣を介して下部フラッパ56Bに下方から当接して停止することになる。
【0071】
そして、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、紙幣載置台58は、その前側において水平延在する前側台部125と、その後側において水平延在する後側台部126とを有しており、前側台部125が後側台部126よりも若干低くなるようにこれらの間が折り曲げられた形状をなしている。
【0072】
また、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、紙幣繰出部54は、前側の水平延在する前側ベース部130とその後側の一段低い位置で水平延在する後側ベース部131とを有する位置固定の繰出ベース132と、この繰出ベース132の前側ベース部130から一部上方に突出するように設けられた蹴出ローラ133と、前側ベース部130の前方に設けられた上下一対の分離ローラ134,135とを有している。
【0073】
ここで、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、前側ベース部130には、紙幣載置台58の前側台部125を進入させることが可能なスリットが形成されており、紙幣載置台58の前側台部125には繰出ベース132の前側ベース部130および蹴出ローラ133を進入させることが可能なスリットが形成されている。その結果、昇降部79が下限位置まで下降した状態では、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、昇降部79に押圧されて下降した紙幣載置台58はその前側台部125が繰出ベース132の前側ベース部130および蹴出ローラ133を越えて下がることになる。
【0074】
ここで、昇降機構部70が昇降部79を上限位置まで上昇させると、図3に示すように、一時貯留・収納繰出部53dにおいては、昇降部79に一体的に連結されたプッシャ57が投入口55A(紙幣取入部50側)の若干上側の所定の案内位置に位置することになるが、この上昇途中で、位置固定の当接部材137にプッシャ本体105が後側板116で当接し、この状態から、昇降部79が上限位置まで上昇させられることで、プッシャ本体105は、前側板115および後側板116の下面同士が互いに平面状をなす状態のまま、前側板115すなわち投入口55A側(紙幣取入部50側)を上側に位置させるように傾斜する状態となる。
【0075】
同様に、昇降機構部70が昇降部79を上限位置まで上昇させると、一時貯留・収納繰出部53eにおいても、昇降部79に一体的に連結されたプッシャ57が投入口55A(紙幣取入部50側)の若干上側の所定の案内位置に位置することになるが、この上昇途中で、位置固定の当接部材137にプッシャ本体105が後側板116側で当接し、この状態から、昇降部79が上限位置まで上昇させられることで、プッシャ本体105は、前側板115および後側板116の下面同士が互いに平面状をなす状態のまま、前側板115すなわち投入口55A(紙幣取入部50側)を上側に位置させるように傾斜する状態となる。
【0076】
なお、このように、プッシャ本体105を傾斜させるためには、昇降部79がプッシャ57を少なくとも下側から支持していればよく、昇降部79に連結されている必要はない。すなわち、昇降部79が上限位置にあるとき、プッシャ57との連結を解除するようにしてもよい。
【0077】
上記の結果、昇降部79を上限位置で停止させた状態では、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57は、その一時貯留部51dに紙幣取入部50によって側方から筐体55の投入口55Aを介して投入される紙幣を、投入先端側が徐々に下方に位置するように案内することで良好に下方の上部フラッパ56A上に集積させるように案内する案内状態になるとともに、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57も、一時貯留部51eに紙幣取入部50によって側方から筐体55の投入口55Aを介して投入される紙幣を、投入先端側が徐々に下方に位置するように案内することで良好に下方の上部フラッパ56A上に集積させるように案内する案内状態になる。なお、このように、昇降機構部70が昇降部79を上限位置に位置させ上側のプッシャ57および下側のプッシャ57を案内状態にした状態がこれらの待機状態となる。
【0078】
ここで、昇降部79が上記した上限位置から下側の所定の上部昇降範囲で昇降する際には、各連結機構部87のガイドローラ94がすべてガイド部材96の凹状ガイド部96aで案内されることになり、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57の凹部107の下面109に水平方向において重なり合うように上板部82の連結機構部87の連結ピン93が位置するとともに一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57の凹部107の下面109に水平方向において重なり合うように下板部83の連結機構部87の連結ピン93が位置する。その結果、この上部昇降範囲では、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57は上板部82の連結機構部87の連結ピン93と上板部82の支持ピン86とで昇降部79に対する上下両方向の相対移動が規制されることになり、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57も下板部83の連結機構部87の連結ピン93と下板部83の支持ピン86とで昇降部79に対する上下両方向の相対移動が規制されることになる。よって、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれのプッシャ57も上部昇降範囲では昇降部79と一体的に昇降するように連結させられる。
【0079】
ここで、この上部昇降範囲の最下位置まで下降すると、昇降部79は、図8に示すように、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57のプッシャ本体105を一時貯留・収納繰出部53dの上部フラッパ56Aさらには下部フラッパ56Bを開作動させてこれらを下側に越える位置まで下降させると同時に、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57のプッシャ本体105を一時貯留・収納繰出部53eの上部フラッパ56Aさらには下部フラッパ56Bを開作動させてこれらを下側に越える位置まで下降させることになる。
【0080】
また、昇降部79が、上記した上部昇降範囲よりも若干下側の連結解除位置から下限位置までの下部昇降範囲で昇降する際には、図9に示すように、各連結機構部87のガイドローラ94がガイド部材96の凸状ガイド部96aで案内されることになり、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57の凹部107の下面109に対し上板部82の連結機構部87の連結ピン93を水平方向に重なり合わないように退避させるとともに一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57の凹部107の下面109に対し下板部83の連結機構部87の連結ピン93を水平方向に重なり合わないように退避させることで上下のプッシャ57に対する一体的な連結を解除する。その結果、図9〜図11に示すように、各プッシャ57は、昇降部79に対し連結が解除されることになり、昇降部79に対し相対的に昇降が可能となり、紙幣を自重により押圧可能となる。なお、昇降部79がこの連結解除位置に位置することは、所定の高さ位置に設けられたプッシャ位置センサ138が連結が解除された直後位置のプッシャ57の遮蔽板200を検出することで判断される。
【0081】
以上により、昇降機構部70が昇降部79を図3および図5に示す上限位置から上部昇降範囲で下降させることにより、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57が、昇降部79に連結されてこれと一体的に下降し、一時貯留部51dの上部フラッパ56Aに一時貯留紙幣が載置されている場合は互いに平面状をなす前側板115および後側板116の下面で一時貯留紙幣を上側から押圧する。より詳しくは、プッシャ57は、昇降部79の支持ピン86に支持されて昇降部79とともに下降することになるが、下降中に、一時貯留紙幣に当接すると一時貯留紙幣で一時的に移動が規制されることで凹部107の下面109が昇降部79の連結ピン93に当接することになって、連結ピン93を含む昇降部79の下降により強制的に下降させられるのである。そして、このように昇降部79と連結状態で下降して一時貯留紙幣を上側から押圧すると、一時貯留・収納繰出部53dのプッシャ57は、前側板115および後側板116の下面同士を互いに平面状としたまま、上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを直接または紙幣を介して押圧して下方に開作動させつつ下部フラッパ56Bを越える位置すなわち収納繰出部52dまで下降することになる(図8参照)。
【0082】
上記と同期して、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57も、昇降部79に連結されてこれと一体的に下降し、一時貯留部51eの上部フラッパ56Aに一時貯留紙幣が載置されている場合は互いに平面状をなす前側板115および後側板116の下面で一時貯留紙幣を上側から押圧する。そして、このように昇降部79と連結状態で下降して一時貯留紙幣を上側から押圧すると、一時貯留・収納繰出部53eのプッシャ57は、前側板115および後側板116の下面を互いに平面状としたまま、上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを直接または紙幣を介して押圧して下方に開作動させつつ下部フラッパ56Bを越える位置すなわち収納繰出部52eまで下降することになる(図8参照)。
【0083】
なお、以上においては、一時貯留・収納繰出部53d,53eで一時貯留紙幣の量が異なることも勿論あり、このような場合は、紙幣量が多くて先に一時貯留紙幣に当接したプッシャ57は昇降部79の連結ピン93で凹部107の下面109が押圧されて下降する状態となり、紙幣量が少なくて一時貯留紙幣に当接していないプッシャ57は昇降部79の支持ピン86で支持されて自重により下降する状態となることもある。
【0084】
そして、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、上記したプッシャ57による押圧で下部フラッパ56Bを越えた新たな収納紙幣がある場合、この新たな収納紙幣が下部フラッパ56Bと紙幣載置台58あるいは紙幣載置台58に既に載置されていた収納紙幣との間に押し込まれるとともに、この押し込みに応じて紙幣載置台58が引張バネ122の付勢力に抗して下降させられる。その結果、プッシャ57と紙幣載置台58とで新たな収納紙幣を既に載置されていた収納紙幣と整列状態で一緒にして挟持する。
【0085】
ここで、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、プッシャ57が下部フラッパ56Bを完全に越える連結解除位置まで昇降部79を下降させて停止させると、その停止直前に、下部フラッパ56Bおよび上部フラッパ56Aは水平状態に戻ることになり、その一方で、連結解除位置においてプッシャ57の昇降部79に対する連結が解除される。すると、プッシャ57と紙幣と紙幣載置台58とが一体的に引張バネ122の付勢力で上昇する。
【0086】
このとき、一時貯留・収納繰出部53dにおいて、プッシャ57と紙幣載置台58との間の収納紙幣の収納量が所定量以上である場合、上昇する紙幣載置台58が昇降部79の上板部82の支持ピン86に当接する前にプッシャ57が下部フラッパ56Bに当接して上昇が規制され、プッシャ57と紙幣と紙幣載置台58とが停止することになる。一方、プッシャ57と紙幣載置台58との間の収納紙幣の収納量が所定量より少ない場合、上昇する紙幣載置台58が昇降部79の上板部82の支持ピン86に当接して上昇が規制され、プッシャ57と紙幣と紙幣載置台58とが停止することになる。このときプッシャ57と下部フラッパ56Bとの間には隙間が生じることもある。
【0087】
同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいて、プッシャ57と紙幣載置台58との間の収納紙幣の収納量が所定量以上である場合、上昇する紙幣載置台58が昇降部79の下板部83の支持ピン86に当接する前にプッシャ57が下部フラッパ56Bに当接して上昇が規制され、プッシャ57と紙幣と紙幣載置台58とが停止することになる。一方、プッシャ57と紙幣載置台58との間の収納紙幣の収納量が所定量より少ない場合、上昇する紙幣載置台58が昇降部79の下板部83の支持ピン86に当接して上昇が規制され、プッシャ57と紙幣と紙幣載置台58とが停止することになる。このときプッシャ57と下部フラッパ56Bとの間には隙間が生じることもある。
【0088】
一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、この連結解除位置から昇降部79を上限位置に向け上昇させると、プッシャ57と紙幣載置台58との間の収納紙幣の収納量が少ない状態では、プッシャ57が下部フラッパ56Bから下側に離間しており、言い換えればプッシャ57の凹部107が連結ピン93に対し高さ方向に近接しているため、ガイド部材96によるガイドローラ94の案内により連結ピン93が内側に移動すると、連結ピン93はネジリバネ95の付勢力で直接プッシャ57の凹部107内にその下面109に水平方向において重なり合うように入り込み、連結ピン93がプッシャ57の凹部107の上面108に当接しながらプッシャ57を上昇させる。一方、プッシャ57と紙幣載置台58との間の収納紙幣の収納量が多い状態では、プッシャ57が下部フラッパ56Bに近接しており、言い換えればプッシャ57の凹部107が連結ピン93に対し高さ方向に離間しているため、ガイド部材96によるガイドローラ94の案内により連結ピン93がネジリバネ95の付勢力で内側に移動すると、プッシャ57の凹部107よりも下側で内側に移動することになるが、凹部107よりも下側の傾斜面110で案内されて外側に移動した後にネジリバネ95の付勢力で凹部107の下面109に水平方向において重なり合うように凹部107に入り込み、その後、連結ピン93がプッシャ57の凹部107の上面108に当接しながらプッシャ57を上昇させる。
【0089】
この上昇の際に、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、下部フラッパ56Bは水平状態が維持されることから、プッシャ57は、下部フラッパ56Bに押圧されてネジリバネ121の付勢力に抗して前側板115および後側板116を揺動軸104を中心に折り畳むように揺動させて、下部フラッパ56Bを通過する。このときに、プッシャ57は、紙幣の上部の押さえを下部フラッパ56Bに渡すことになり、その結果、収納紙幣が下部フラッパ56Bと紙幣載置台58との間に引張バネ122の付勢力で挟持される。次に、プッシャ57は、図12に二点鎖線で示すように、上部フラッパ56Aに押圧されてネジリバネ121の付勢力に抗して前側板115および後側板116を揺動軸104を中心に折り畳むようにさらに揺動させて、上部フラッパ56Aを通過し、その後、ネジリバネ121の付勢力で前側板115および後側板116の下面同士を平面状に戻す。なお、上記のようにプッシャ57が下部フラッパ56Bおよび上部フラッパ56Aを越える直前から昇降部79が上限位置まで上昇する範囲において、すべての連結ピン93が凹部107の下面109に水平方向において重なり合うことになり両プッシャ57は昇降部79と一体的に連結させられて上昇する。
【0090】
以上の結果、一時貯留・収納繰出部53dにおいては、プッシャ57が案内位置に位置する状態を含んで下部フラッパ56Bよりも上側に位置した状態では、収納紙幣が下部フラッパ56Bと紙幣載置台58との間に引張バネ122の付勢力で挟持された状態で収納繰出部52dに収納されることになる。同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいても、プッシャ57が案内位置に位置する状態を含んで下部フラッパ56Bよりも上側に位置した状態では、収納紙幣が下部フラッパ56Bと紙幣載置台58との間に引張バネ122の付勢力で挟持された状態で収納繰出部52eに収納されることになる。
【0091】
一方、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、昇降部79を上記した連結解除位置からさらに下限位置まで下降させると、支持ピン86が紙幣載置台58に当接してこの紙幣載置台58を引張バネ122の付勢力に抗して下降させることになり、紙幣載置台58を紙幣繰出部54による紙幣の繰り出しが可能な繰出位置に位置させる。このとき、昇降部79はプッシャ57に対し支持のみ可能となっているため、プッシャ57は、収納紙幣に支持されることになり、その自重のみで収納紙幣を上から下方に押圧する状態で収納紙幣とともに下降することになる。
【0092】
ここで、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、図10に示すように、昇降部79が下限位置に位置する状態では、紙幣載置台58は、繰出位置に位置することになり、その前側台部125が紙幣繰出部54の位置固定の繰出ベース132の前側ベース部130よりも下側に位置し、その結果、紙幣載置台58上の紙幣は、繰出側の先端部が繰出ベース132の前側ベース部130上に載置されることになる(図10においては、紙幣が前側ベース部130および蹴出ローラ133上に載置されていないが、これらは図示の便宜上のためであり、実際には非剛体である紙幣は、前側ベース部130および蹴出ローラ133上に載置されることになる)。そして、この状態で蹴出ローラ133が紙幣を最下のものから分離ローラ134,135の方向に蹴り出し、分離ローラ134,135で一枚ずつに分離しながら搬送路42に繰り出させることになる。このときに、昇降部79に対し連結が解除されているプッシャ57が自重のみにより紙幣を下方に押圧し、蹴出ローラ133による蹴り出し時の摩擦力を増大させるビルプレスとして機能する。なお、紙幣載置台58の全部を紙幣繰出部54の位置固定の繰出ベース132よりも下側に位置させ、紙幣載置台58上の紙幣を、全体にわたって繰出ベース132上に載置させるようにしても良い。このように、可動体である紙幣載置台58の前側台部125を位置固定の繰出ベース132の前側ベース部130よりも下に下げて、紙幣載置台58上の紙幣の前側部(繰出側)を繰出ベース132の前側ベース部130上に載せることで、繰り出す際の紙幣の位置を安定させることができ、良好な繰り出しを行うことが可能となる。
【0093】
そして、昇降部79を下限位置から上昇させると、昇降部79が支持ピン86で支持している紙幣載置台58とその上に支持された収納紙幣およびプッシャ57を上昇させる。そして、昇降部79の連結解除位置からの上昇は、上記と同様にして行われる。
【0094】
ここで、上下に重ね状態で配置された二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、両方とも同一の大きさで構成されているが、その収納部を異なる大きさで構成するようにしてもよい。
【0095】
また、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eのそれぞれの上下方向長さは、これら一時貯留・収納繰出部53d,53e以外の上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cの上下方向長さよりも小さく設定されており、幅および奥行きは同等に設定されている。その結果、これら一時貯留・収納繰出部53d,53eの収納繰出部52d,52eは、それぞれ、これら以外の一時貯留・収納繰出部40a〜40cの収納繰出部38a〜38cのいずれよりも紙幣の収納容量が少なくなっている。
【0096】
さらに、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eを合わせた全体の上下方向長さは、これら以外の上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cのそれぞれの上下方向長さとほぼ同等とされており、上側の一時貯留・収納繰出部53dの最上部の高さ位置は、一時貯留・収納繰出部40a〜40cの最上部の高さ位置に対し同等以下、具体的には同高さ位置に設定されている。
【0097】
また、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら以外のすべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cとともに、左右方向の位置を合わせた状態で機体10の前後方向に配列されている。
【0098】
さらに、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら以外のすべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cよりも機体10の後部側に配置されている。
【0099】
加えて、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは金種別のものであり、いずれか一つが流通量の少ない五千券(五千円札)用とされ、他のいずれか一つが流通量の少ない二千券(二千円札)用とされている。例えば、上側の一時貯留・収納繰出部53dは二千券が収納され、他の一つである下側の一時貯留・収納繰出部53eは五千券が収納されるようになっている。ここで、一時貯留・収納繰出部53d,53eに上記以外の金種の紙幣を収納するようにしてもよい。
【0100】
機体10から中層ユニット25および下層ユニット26を引き出した状態で上層ユニット24を引き出すと、この上層ユニット24の後部に連結された後部ユニット24Aも上部ユニット24と一体に前方に移動する。そして、上層ユニット24および後部ユニット24Aを最も引き出した状態で、図1に示す機体10の右側部の開閉扉10Aを開けると、後部ユニット24Aの右側部が機外に露出するようになっている。
【0101】
このようにして露出される後部ユニット24Aの右側部には、図13〜図15に示すように、一時貯留・収納繰出部53dの右側部および一時貯留・収納繰出部53eの右側部が含まれており、図16に示すように、両一時貯留・収納繰出部53d,53eの右側部には両一時貯留・収納繰出部53d,53e内を上下方向および前後方向の略全長にわたって開放可能な開口部141が両一時貯留・収納繰出部53d,53eに連続するように形成されている。そして、この開口部141を開閉させる引き戸式のスライド体142が両一時貯留・収納繰出部53d,53eに対し共用で一つ設けられている。
【0102】
スライド体142の高さ方向の中間所定位置には、前後方向に沿うハンドルバー143がスライド体142から機体右方に突出する状態で固定されており、オペレータは、このハンドルバー143を持った状態でスライド体142を手動によって機体前後方向にスライドさせる。また、スライド体142の下部所定位置には、スライド体142を閉じた状態にロックするキーシリンダ144が設けられている。
【0103】
後部ユニット24Aの右側部には、開口部141の上側となる位置に前後方向に沿ってガイドレール146が取り付けられており、開口部141の下側となる位置にも前後方向に沿ってガイドレール147が取り付けられている。そして、これらガイドレール146,147に、機体前後方向にスライドするように上記スライド体142が支持されている。ここで、スライド体142には、上部の前端部に上下左右に沿う支持部148が形成されており、また、下部の前端部および後端部にも上下左右に沿う支持部149が形成されていて、支持部148には、左右方向に長い長穴150が、支持部149にも左右方向に長い長穴151がそれぞれ形成されている。
【0104】
そして、上側の長穴150に上側のガイドレール146が挿通されるとともに、下側の長穴151に下側のガイドレール147が挿通されている。その結果、上下の長穴150,151が上下のガイドレール146,147に沿って移動することによりスライド体142が機体前後方向にスライドするとともに、長穴150,151の範囲内でスライド体142が機体左右方向にも移動可能となっている。
【0105】
また、後部ユニット24Aの右側部には、段付軸状の位置出部(案内部)153が左右方向に沿う状態で前後の複数カ所具体的には三カ所に設けられており、具体的には、前部の上下方向における中央位置と、後部の上部位置と、後部の下部位置とに配置されている。そして、スライド体142には、閉時にこれら位置出部153に嵌合する複数具体的には三つの嵌合穴154がそれぞれ対応位置に形成されている。
【0106】
位置出部153は、嵌合穴154を嵌合させる小径軸部155とこの小径軸部155に対し同軸かつ大径で嵌合穴154を嵌合させることがない大径軸部156とを有しており、各嵌合穴154に各小径軸部155を嵌合させることにより、スライド体142を各大径軸部156の小径軸部155側の端面157に当接させると、スライド体142は開口部141を適正に閉塞させる閉位置に位置決めされる。そして、この状態で、キーシリンダ144に鍵158を差し込み回転させることでスライド体142を閉位置にロックすることになる。
【0107】
一方、この状態から、キーシリンダ144に鍵158を差し込み回転させることでスライド体142のロックを解除した上で、小径軸部155を抜くようにスライド体142を長穴150,151の範囲で機体右方に引くことで、スライド体142は機体後方へのスライドが可能な状態となる。すなわち、位置出部153は、閉位置にあるスライド体142を閉位置から一旦スライドの方向とは異なる方向に移動させるように移動を案内し、この移動がなければスライドを規制するのである。
【0108】
スライド体142には、これによって開口部141を閉塞した状態においても、一時貯留部51d,51eのそれぞれの右側部を個別に開放可能な小開口部160が上下に形成されており、各小開口部160には、それぞれを個別に開閉可能な小扉161がそれぞれに設けられている。各小扉160は、後端縁部が鉛直方向に沿う軸に回転可能に支持されている。各小扉160には、下部に機体右方に突出するハンドル部162が形成されており、また、その機体後端部に小扉160を閉状態に付勢するネジリバネ163が支持されている。
【0109】
そして、一時貯留部51d,51eのいずれにおいても、右側部の上部フラッパ56Aに、近接する小扉161の開作動に連動してその先端側を上昇させるフラッパ上昇機構部(仕切部材上昇機構部)165が設けられている。すなわち、スライド体142の小開口部160の近傍において筐体55に固定されるサイドガイド166に、図17に示すように、前後方向に沿って支持軸63Aが設けられており、この支持軸63Aに右側部の上部フラッパ56Aと、この上部フラッパ56A用のネジリバネ64Aと、レバー168とが支持されている。ネジリバネ64Aの付勢力によって上部フラッパ56Aおよびレバー168は機体前方から見て時計回り方向に付勢されている。具体的には、ネジリバネ64Aが上部フラッパ56Aを直接付勢し、さらに上部フラッパ56Aがその当接部170においてレバー168に当接することでレバー168を付勢するようになっていて、レバー168はその当接部171においてサイドガイド166に当接することで所定位置からの回転が規制され、これらにより上部フラッパ56Aも所定位置からの回転が規制されている。その結果、レバー168が当接部171においてサイドガイド166に当接した状態では、右側部の上部フラッパ56Aがその先端部を基端部に対し所定量上側に位置させるように傾斜する。
【0110】
そして、図18にも示す小扉161のネジリバネ163は、その一端の押圧部173がレバー168に当接可能とされており、小扉161が閉じられた状態ではレバー168を押圧し揺動させて右側部の上部フラッパ56Aを水平にする一方、オペレータがハンドル部162を引いて小扉161を開くと、押圧部173がレバー168から離れ、その結果、レバー168および右側部の上部フラッパ56Aがネジリバネ64Aの付勢力で、レバー168の当接部171がサイドガイド166に当接するまで揺動し、上部フラッパ56Aの先端部が上昇する。すると、上部フラッパ56Aに紙幣が載置されていた場合には、この紙幣の右側部を上昇させることになり、小開口部160の高さ位置に合わせることになって、紙幣の取り出しが容易となる。
【0111】
なお、ネジリバネ163でレバー168を揺動させるのではなく、小扉161の一部に小扉161を閉状態にする際にレバー168に接触して、これをネジリバネ64Aの付勢力に抗して揺動させる接触部材を設けてもよい。
【0112】
上側の小扉161は、一時貯留部51dに通じる小開口部160を開閉させるものであり、収納繰出部52dに収納させる前の一時貯留部51dに一時貯留された紙幣を機体外へ回収する際に使用されるものである。同様に、下側の小扉161は、一時貯留部51eに通じる小開口部160を開閉させるものであり、収納繰出部52eに収納させる前の一時貯留部51eに一時貯留された紙幣を機体外へ回収する際に使用されるものである。なお、各小扉161の開作動で取り出される紙幣は入金確定前の一時貯留部51d,51eに一時貯留された紙幣であるが故に、返却作業を行い易くするように各小扉161に鍵は設けられていない。
【0113】
以上に述べた紙幣入出金部11の各処理について説明する。
【0114】
「入金処理(入金確定前)」
オペレータにより入金させる紙幣が紙幣入金口21にセットされ操作部14に「入金処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、紙幣入金口21により、紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28および紙幣取入部32の所定部分で構成される図19に太線で示す入金処理ルートで搬送させ、その途中の識別部29の識別結果に基づいて振り分ける。すなわち、偽券を含む識別不能紙幣、重送、斜行等の搬送異常紙幣と判別された紙幣は紙幣出金口20に送り出され、真券と判別された紙幣のうち真かつ汚損と識別された紙幣と、一時貯留・収納繰出部40b,40cに収納しきれない真かつ正の紙幣とが、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに紙幣取入部32から送り込まれ、その他の真かつ正と識別された紙幣は、適宜表裏反転部30を通過させることで表裏が取り揃えられた後、一時貯留・収納繰出部40a〜40cの一時貯留部33a〜33cの対応する一つに、それぞれの紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させる。
【0115】
具体的には、真かつ正と識別された紙幣のうち、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに一時貯留され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留される。ここで、これら以外の二千券および五千券は、混合状態で一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに一時貯留される。さらに、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aには、上記したように、真かつ汚損の各紙幣と、一時貯留・収納繰出部40b,40cに収納しきれない真かつ正の紙幣も送り込まれる。
【0116】
そして、紙幣入金口21からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留・収納繰出部40a〜40cの一時貯留部33a〜33cのいずれかに送り込まれると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、識別部29の識別結果を図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが入金確定操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。この場合、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bにおいて一時貯留部33bから収納繰出部38bに収納され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cにおいて一時貯留部33cから収納繰出部38cに収納されることになるが、それ以外の二千券および五千券は、一時貯留・収納繰出部53d,53eが紙幣の返却処理に適していないことから、混合状態で、返却処理に適した一時貯留・収納繰出部40aにおいて一時貯留部33aから収納繰出部38aに一時貯留される。すなわち、二千券および五千券は、「入金処理」から「収納処理」の流れでは、一時貯留・収納繰出部53d,53eには収納されず、後述する「内部充填分配補充処理」によって、一時貯留・収納繰出部53d,53eに収納される。他方、オペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0117】
「出金処理」
オペレータにより上位機または操作部14に「出金処理」の実行入力がなされると、制御部は、金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのそれぞれの収納繰出部38b,38c,52d,52eに収納させていた紙幣を紙幣繰出部39,54で最下のものから一枚ずつ分離して繰り出させ、搬送路42,28の所定部分で構成される図20に太線で示す出金処理ルートに沿って搬送させ、その途中の判別部43の判別結果に基づいて振り分ける。
【0118】
すなわち、判別部43で正常と判別された紙幣は、紙幣出金口20に送り出される一方、判別部43で異常と判別された紙幣のうち重送および斜行と判定された搬送異常紙幣はすべてリジェクト収納部44に送り込まれ、さらに、判別部43で異常と判別された紙幣のうち、搬送異常以外と判定された紙幣すなわち判別不能紙幣および汚損紙幣は、運用カセットとしての一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに一時貯留させる。
【0119】
このとき、一時貯留・収納繰出部53d,53eの収納繰出部52d,52eのうち少なくともいずれか一方から出金紙幣を繰り出す場合には、図示せぬ制御部が、待機状態にあった昇降部79を昇降機構部70によって上限位置から下限位置に下降させる。すると、一時貯留・収納繰出部53d,53eの両方のプッシャ57が昇降部79と一体に連結された状態で下降し、プッシャ57は、それぞれ、複数の上部フラッパ56Aを下方向に揺動させつつこれら上部フラッパ56Aを越えた後、複数の下部フラッパ56Bを下方向に揺動させつつこれら下部フラッパ56Bを越える。その際に、下部フラッパ56Bで押さえていた収納紙幣の上部をプッシャ57で押さえることになる。その後、プッシャ57は昇降部79に対する連結が解除され自重のみで収納紙幣上に載置される状態になるとともに、昇降部79が紙幣載置台58を繰出位置まで下降させる。すると、収納紙幣の前端側が繰出ベース132上に載置されることになるとともにプッシャ57が自重により紙幣を押圧しビルプレスとして機能する。そして、収納繰出部52d,52eのうち紙幣を繰り出させるものについてのみ紙幣繰出部54の蹴出ローラ133および分離ローラ134,135を駆動して紙幣を搬送路42に一枚ずつ繰り出させることになる。
【0120】
一方、一時貯留・収納繰出部53d,53eの収納繰出部52d,52eの出金紙幣の繰り出しが終了すると、昇降機構部70により昇降部79を下限位置から上限位置に上昇させる。すると、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、引張バネ122の付勢力で紙幣載置台58が昇降部79とともに上昇する。そして、複数の下部フラッパ56Bの下側で、昇降部79が両プッシャ57を一体的に連結させる。すると、昇降部79とともに上昇するプッシャ57は、それぞれ、下部フラッパ56Bに当接し下部フラッパ56Bによって前側板115と後側板116とを折り畳みながらこれを越えた後、同様にして上部フラッパ56Aを越える。プッシャ57がそれぞれ下部フラッパ56Bを越える際に、プッシャ57で押さえられていた収納紙幣の上部が水平状態の下部フラッパ56Bで押さえられることになり、引張バネ122の付勢力で紙幣載置台58は、収納紙幣を下部フラッパ56Bに押し付け、その結果、収納紙幣を下部フラッパ56Bと紙幣載置台58とで挟持する。昇降部79が上限位置まで上昇すると、これに連結されたプッシャ57が当接部材137に当接し案内位置に至って待機状態となる。
【0121】
出金用に繰り出されたすべての紙幣が、リジェクト収納部44、紙幣出金口20および一時貯留部33aに送り込まれると、一時貯留部33aは、シャッタ36,36を開作動させて、閉状態にある収納繰出部38aのフラッパ46,46上に紙幣を落とし込む。なお、フラッパ46,46上に載置された紙幣は、適宜のタイミングでフラッパ46,46から下方に落とし込まれ収納繰出部38aの収納空間49に収納される。
【0122】
以上により、出金処理時に、金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eから繰り出された紙幣のうち、判別部43で搬送異常と判別された紙幣を、紙幣を繰り出し不可に収納させるリジェクト収納部44に収納する一方、判別部43で判別不能と判別された紙幣を、すべて複数金種に共用の一時貯留・収納繰出部40aに収納することになる。そして、この複数金種に共用の一時貯留・収納繰出部40aにおいては、後述する「内部充填分配補充処理」で、収納した紙幣を判別部43で判別しかつ識別部29で識別しつつ一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのうちの対応金種のものに分配収納させ、その後の「出金処理」において、各金種の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eから出金させることになるため、出金処理時に判別不能紙幣と判別された紙幣がいずれの金種の紙幣であってもこの分配収納により一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのうち適正な金種のものに収納されて、ここから出金させられることになる。
【0123】
「入金口分配補充処理」
金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eの収納繰出部38b,38c,52d,52eに紙幣を紙幣入金口21から補充する場合、オペレータにより補充紙幣が紙幣入金口21にセットされ操作部14に「入金口分配補充処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、紙幣入金口21により、紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28,42および紙幣取入部32,50の所定部分で構成される図21に太線で示す入金口分配補充処理ルートで搬送させ、その途中の識別部29の識別結果に基づいて振り分ける。
【0124】
すなわち、識別部29において偽券を含む識別不能紙幣、重送、斜行等の搬送異常紙幣と判別された紙幣は、紙幣出金口20に送り出され、真かつ汚損と識別された紙幣は、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33aは、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになる。そして、それ以外の真かつ正と識別された紙幣は、適宜表裏反転部30を通過させることで表裏が取り揃えられた後、金種別の一時貯留部33b,33c,51d,51eの対応する一つに、それぞれの紙幣取入部32,50から送り込まれる。このとき、一時貯留部33b,33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から取り入れた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになり、一時貯留部51d,51eは、それぞれ、フラッパ56,56が閉状態とされており、紙幣取入部50から取り入れた紙幣をフラッパ56,56の上側の貯留空間60に一時貯留させることになる。
【0125】
具体的には、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに一時貯留され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留され、二千券は一時貯留・収納繰出部53dの一時貯留部51dに一時貯留され、五千券は一時貯留・収納繰出部53eの一時貯留部51eに一時貯留される。また、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aには、真かつ汚損の各紙幣が送り込まれる。
【0126】
このとき、一時貯留・収納繰出部53d,53eの一時貯留部51d,51eのいずれかに紙幣が一時貯留される場合には、昇降機構部70によって昇降部79が上限位置まで上昇させられた待機状態にあって、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、プッシャ本体105は、前側板115および後側板116の下面同士が互いに平面状をなす状態まま、前側板115すなわち紙幣取入部50側を上側に位置させるように傾斜させる案内位置に位置している。その結果、一時貯留・収納繰出部53dの一時貯留部51dおよび一時貯留・収納繰出部53eの一時貯留部51eのいずれにおいても、紙幣取入部50によって側方から投入される紙幣は、プッシャ57により投入先端側が徐々に下方に位置するように案内されて上部フラッパ56A上に良好に集積されながら載置されることになる。
【0127】
そして、紙幣入金口21からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留部33a〜33c,51d,51eのいずれかに送り出されると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、補充処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが補充完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。
【0128】
「内部充填分配補充処理」
「入金処理」により一時貯留・収納繰出部40aの収納繰出部38aに収納された紙幣(主として二千券および五千券)を、金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eに補充する場合には、操作部14に「内部充填分配補充処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、収納繰出部38aから、最下の紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28,42および紙幣取入部32の所定部分で構成される図22に太線で示す内部充填分配補充処理ルートで搬送させ、その途中の判別部43の判別結果および識別部29の鑑別結果に基づいて振り分ける。
【0129】
すなわち、判別部43で重送あるいは斜行の搬送異常とされた紙幣は、入金処理時に偽券でないことがすでに確認されているため、リジェクト収納部44に送り込まれ、それ以外の紙幣は、識別部29へと搬送される。そして、識別部29で識別不能および汚損と判別された紙幣は、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33aは、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになる。そして、それ以外の紙幣は適宜表裏反転部30を通過させることで表裏が取り揃えられた後、金種別の一時貯留部33b,33c,51d,51eの対応する一つに、それぞれの紙幣取入部32,50から送り込まれる。このとき、一時貯留部33b,33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から取り入れた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになり、一時貯留部51d,51eは、それぞれ、フラッパ56,56が閉状態とされており、紙幣取入部50から取り入れた紙幣をフラッパ56,56の上側の貯留空間60に一時貯留させることになる。
【0130】
具体的には、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに一時貯留され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留され、二千券は一時貯留・収納繰出部53dの一時貯留部51dに一時貯留され、五千券は一時貯留・収納繰出部53eの一時貯留部51eに一時貯留される。また、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aには、入金処理によって真かつ汚損の各紙幣が収納されるため、このような紙幣は、再び、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに送り込まれる。なお、入金時の二千券および五千券は返却処理に対応するために一旦混合状態で一時貯留・収納繰出部40aに収納されることになり、その後、このような「内部充填分配補充処理」で出金用に各一時貯留・収納繰出部53d,53eにそれぞれ分配されるのである。
【0131】
このとき、一時貯留・収納繰出部53d,53eの一時貯留部51d,51eのいずれかに紙幣が一時貯留される場合には、「入金口分配補充処理」と同様に、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、プッシャ本体105は、案内位置に位置しているため、一時貯留・収納繰出部53dの一時貯留部51dおよび一時貯留・収納繰出部53eの一時貯留部51eのいずれにおいても、紙幣取入部50によって側方から投入される紙幣は、プッシャ57により投入先端側が徐々に下方に位置するように案内されて上部フラッパ56A上に良好に集積されながら載置されることになる。
【0132】
このようにして、順次、収納繰出部38aに収納されている紙幣が、一時貯留部33b,33c,51d,51eに送り込まれ、そのうちのいずれか一つが満杯となると、制御部は、一旦、収納繰出部38aからの紙幣の繰り出しを停止し、一時貯留部33b,33cについてはシャッタ36,36を開作動させ、それ自身またはそれに載置された紙幣をシャッタ36,36に近接させて閉状態で待機している収納繰出部38b,38cのフラッパ46,46に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させ一時貯留部33b,33cを空にする。一方、一時貯留部51d,51eについては、プッシャ57で押し込むことにより上部フラッパ56A,56Aおよび下部フラッパ56B,56Bを開作動させつつ紙幣を紙幣載置台58上に受け渡し、その後、プッシャ57を案内位置まで上昇させることにより、下部フラッパ56B,56Bと紙幣載置台58とで紙幣を挟持させる。なお、以上の動作を一時貯留部33b,33c,51d,51eのうち満杯になった一つについてのみ行うようにしてもよいが、収納繰出部38aからの繰り出し中断の回数を減らすために、上記のように満杯になっていないものも含めてすべてについて行うようにする。
【0133】
そして、一時貯留部33b,33cのシャッタ36,36の閉作動および一時貯留部51d,51eのプッシャ57の案内位置への移動が完了すると、制御部は、再び収納繰出部38aの収納空間49から紙幣繰出部39により紙幣を繰り出させ、紙幣の分配補充を再開する。
【0134】
以上を繰り返して、収納繰出部38aの収納空間49からすべての紙幣が一旦繰り出され、リジェクト収納部44および一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eの一時貯留部33a〜33c,51d,51eのいずれかに送り出されると、制御部は、補充処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが補充完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。
【0135】
「外部充填分配補充処理」
なお、上記は、「入金処理」を経て収納繰出部38aに収納された紙幣を分配補充する「内部充填分配補充処理」を例にとり説明したが、機体10外において補充紙幣を収納繰出部38aに充填しこれを機体10に装填して同様の分配補充処理を行う「外部充填分配補充処理」の場合は、基本的には上記した「内部充填分配補充処理」と同様の図23に太線で示す外部充填分配補充処理ルートで処理を行うことになるが、収納繰出部38aから送り出される紙幣には、偽券が含まれる可能性もあるので、判別部43あるいは識別部29で、偽券を含む判別不能紙幣とされた紙幣および重送、斜行等の搬送異常紙幣とされた紙幣は、すべて紙幣出金口20に送り出すことになる。
【0136】
そして、収納繰出部38aの収納空間49からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留部33a〜33c,51d,51eのいずれかに送り出されると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、補充処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが補充完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。
【0137】
「収納処理」
一時貯留・収納繰出部40a〜40cにおいて、一時貯留部33a〜33cに一時貯留させた紙幣等を収納繰出部38a〜38cの収納空間49に収納させる。
【0138】
すなわち、上記した「入金処理」で入金確定操作が入力された場合、または、「入金口分配補充処理」、「内部充填分配補充処理」および「外部充填分配補充処理」で補充完了確認操作が入力された場合、制御部は、一時貯留部33a〜33cの紙幣を収納繰出部38a〜38cに、図24に太線で示す収納処理ルートのように、受け渡す。
【0139】
このとき、一時貯留・収納繰出部40a〜40cについて、一時貯留部33a〜33cのそれぞれのシャッタ36,36を開作動させ、シャッタ36,36にそれ自身またはそれに載置されている紙幣の上部を近接させて待機している収納繰出部38a〜38cの閉状態のフラッパ46,46に紙幣を受け渡す。続いて、制御部は、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させる。さらに、フラッパ46,46を既に収納空間49に収納されている紙幣量に干渉しない範囲で下げて開作動させ、フラッパ46,46からすでに収納空間49に収納されている紙幣の上に紙幣を受け渡す。その後、フラッパ46,46を上部待機位置まで上昇させて、閉作動させる。
【0140】
「一時貯留部51d,51eの満杯時の処理」
なお、一時貯留・収納繰出部53d,53eにおいては、上記「収納処理」では特に、一時貯留部51d,51eに一時貯留させた紙幣を収納繰出部52d,52eの収納空間61に収納させることは行わず、一時貯留部51d,51eが満杯になった場合にのみ自動的に一時貯留部51d,51eに一時貯留させた紙幣を収納繰出部52d,52eの収納空間61に収納させることになる。勿論、上記「収納処理」で、一時貯留部51d,51eに一時貯留させた紙幣を収納繰出部52d,52eの収納空間61に収納させるようにしてもよい。
【0141】
一時貯留部51d,51eが満杯になった場合に、制御部は、一時貯留・収納繰出部53d,53eについて、待機状態にあった共用の昇降部79を昇降機構部70によって上限位置から連結解除位置まで下降させる。すると、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、プッシャ57が昇降部79に連結されてこれと一体的に下降し、上部フラッパ56Aに載置され一時貯留されている紙幣を上側から押圧し、上部フラッパ56Aおよび下部フラッパ56Bを紙幣を介して押圧して下方に開作動させつつ下部フラッパ56Bを越える位置まで下降することになる。
【0142】
すると、プッシャ57による押圧で下部フラッパ56Bを越えた新たな収納紙幣が下部フラッパ56Bと紙幣載置台58あるいは紙幣載置台58に既に載置されていた収納紙幣との間に押し込まれるとともに、この押し込みに応じて紙幣載置台58が引張バネ122の付勢力に抗して下降させられる。その結果、プッシャ57と紙幣載置台58とで新たな収納紙幣を既に載置されていた収納紙幣と整列状態で一緒にして挟持する。
【0143】
ここで、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、プッシャ57が下部フラッパ56Bを完全に越える連結解除位置まで昇降部79を下降させて停止させると、停止直前に下部フラッパ56Bおよび上部フラッパ56Aは水平状態に戻ることになり、その一方で、停止位置では、プッシャ57の昇降部79に対する連結が解除される。すると、プッシャ57と紙幣と紙幣載置台58とが一体的に引張バネ122の付勢力で上昇するものの、水平状態とされている下部フラッパ56Bをプッシャ57が越えることはない。
【0144】
次に、一時貯留・収納繰出部53d,53eのいずれにおいても、この連結解除位置から昇降部79を再び上限位置に向け上昇させる。すると、プッシャ57は、下部フラッパ56Bより下側にある状態で昇降部79に連結され、水平状態が維持される下部フラッパ56Bに押圧されてネジリバネ121の付勢力に抗して前側板115および後側板116を揺動軸104を中心に折り畳むように揺動させて、下部フラッパ56Bを通過する。このときに、プッシャ57は、収納紙幣の上部の押さえを下部フラッパ56Bに渡すことになり、その結果、収納紙幣が下部フラッパ56Bと紙幣載置台58との間に引張バネ122の付勢力で挟持される。上昇するプッシャ57は、次に、上部フラッパ56Aに押圧されてネジリバネ121の付勢力に抗して前側板115および後側板116を揺動軸104を中心に折り畳むようにさらに揺動させて、上部フラッパ56Aを通過し、その後、ネジリバネ121の付勢力で前側板115および後側板116が平面状に戻された状態で、案内位置に戻り待機状態となる。
【0145】
「整理計数処理」
複数金種混在した紙幣から指定した金種を計数しつつ分離する場合等の処理で、オペレータにより紙幣が紙幣入金口21にセットされ操作部14に「整理計数処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、紙幣入金口21により、紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28および紙幣取入部32の所定部分で構成される図25に太線で示す整理計数処理ルートで搬送させ、その途中の識別部29の識別結果に基づいて振り分ける。
【0146】
すなわち、偽券を含む識別不能紙幣および重送、斜行等の搬送異常紙幣と、真かつ汚損と識別された紙幣と、真かつ正で指定されていない金種の紙幣と、真かつ正で指定された金種であって一時貯留部33a〜33cの対応するものに貯留しきれない分の紙幣とが紙幣出金口20に送り出され、真かつ正の紙幣のうち、指定された金種のものが、適宜表裏反転部30を通過することで表裏が取り揃えられた後、金種別に、一時貯留部33a〜33cの対応するものに、それぞれの紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させる。
【0147】
具体的には、例えば、千券、二千券および五千券を整理計数する場合には、真かつ正と識別された紙幣のうち、指定されていない万券は、紙幣出金口20に送り出され、二千券は一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに貯留され、千券は一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに貯留され、五千券は一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留される。
【0148】
そして、紙幣入金口21からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留部33a〜33cのいずれかに送り込まれると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、整理計数処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0149】
「返却処理」
上記入金処理の結果の上位機の表示に基づいてオペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力した場合、および、上記「整理計数処理」が完了した旨の上位機の表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力した場合、制御部は、中層ユニット25の機体10からの引き出しを可能とする。これにより、オペレータは、図26に示すよう中層ユニット25を引き出して一時貯留部33a〜33cから紙幣を取り出すことになる。
【0150】
「精査処理」
(1)一時貯留・収納繰出部40bの収納繰出部38bの精査処理
収納繰出部38bにおける収納空間49の紙幣枚数、具体的には収納空間49の万券の枚数を確定する精査処理を行う場合は、オペレータにより上位機または操作部14に収納繰出部38bを精査処理する際の入力がなされると、一時貯留部33bおよび収納繰出部38bのフラッパ46,46より上側が空の状態で、制御部は、収納繰出部38bのフラッパ46,46よりも下側の収納空間49に収納させていた紙幣を紙幣繰出部39によって最下のものから一枚ずつ分離して繰り出させ、搬送路42,28の所定部分で構成される図27に太線で示す第1精査処理ルートに沿って搬送させ、その途中の判別部43の判別結果に基づいて振り分けおよび計数を行う。
【0151】
すなわち、判別部43で異常と判別された紙幣のうち重送あるいは斜行と判定された搬送異常紙幣はリジェクト収納部44に送り込まれ、判別部43で異常と判別された紙幣のうち搬送異常以外の紙幣および精査対象金以外と判定された正常な異金種紙幣は、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに送り込まれ、判別部43で正常と判別された精査対象紙幣は、一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに送り込まれる。
【0152】
このようにして、順次、収納繰出部38bに収納されている紙幣が、判別部43で判別計数され、一時貯留部33bに送り込まれ、一時貯留部33bが満杯となると、制御部は、一旦、収納繰出部38bの収納空間49からの紙幣の繰り出しを停止し、一時貯留部33bのシャッタ36,36を開作動させ、シャッタ36,36にそれ自身またはそれに載置された紙幣の上部を近接させていた閉状態のフラッパ46,46に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させて一時貯留部33bを空にする。ただし、この時点では、収納繰出部38bの収納空間49に収納されている紙幣とは分離しておく必要があるため、フラッパ46,46上の紙幣を下方の収納空間49に落とし込むことはない。
【0153】
そして、一時貯留部33bのフラッパ46,46へ紙幣を受け渡しシャッタ36,36の閉作動が完了すると、制御部は、再び収納繰出部38bの収納空間49から紙幣繰出部39により紙幣を繰り出させ、上記と同様にして、判別部43による判別計数を行う。
【0154】
以上を繰り返して、収納繰出部38bの収納空間49のすべての収納紙幣が繰り出され、リジェクト収納部44、一時貯留・収納繰出部40bのフラッパ46,46より上側および一時貯留部33aのいずれかに送り込まれて、収納繰出部38bの収納空間49が空になると、制御部は、一時貯留部33a,33bのシャッタ36,36を開作動させ、紙幣をフラッパ46,46上に受け渡し、続いて、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させる。さらに、一時貯留・収納繰出部40bについては、フラッパ46,46を最下位置まで下降させて開作動させて、空の状態の収納空間49に紙幣を受け渡し、その後、フラッパ46,46をシャッタ36,36に近接する上部待機位置まで上昇させて、閉作動させる。一時貯留・収納繰出部40aについては、フラッパ46,46を既に収納空間49に収納されている紙幣量に応じた高さまで下げて開作動させて、フラッパ46,46からすでに収納空間49に収納されている紙幣の上に紙幣を受け渡し、その後、フラッパ46,46をシャッタ36,36に近接する上部待機位置まで上昇させて、閉作動させる。
【0155】
このようにすることで、一時貯留・収納繰出部40bの収納繰出部38bの収納空間49の紙幣は、すべて精査対象金種の正常紙幣となりその枚数が確定できる。
【0156】
以上により、一時貯留・収納繰出部40bは、精査処理時にその収納繰出部38bの収納空間49から一旦すべての紙幣を繰り出してこの収納空間49を空にする際に、繰り出し紙幣のうち正常紙幣を、当該一時貯留・収納繰出部40b自身の一時貯留部33bに送り込む還流精査型一時貯留・収納繰出部となっている。そして、このような還流精査型一時貯留・収納繰出部である一時貯留・収納繰出部40bは、その収納空間49から一旦すべての紙幣を繰り出す際に当該一時貯留・収納繰出部40b自身の一時貯留部33bに送り込んだ紙幣を、収納空間49から一旦すべての紙幣を繰り出した後に、当該収納空間49に収納することになる。
【0157】
以上により、精査処理時に、一時貯留・収納繰出部40bから繰り出された紙幣のうち、判別部43で搬送異常と判別された紙幣を、紙幣を繰り出し不可に収納させるリジェクト収納部44に収納する一方、判別部43で判別不能と判別された紙幣を、すべて複数金種に共用の一時貯留・収納繰出部40aに収納することになる。そして、この複数金種に共用の一時貯留・収納繰出部40aにおいては、「内部充填分配補充処理」で、収納した紙幣を判別部43で判別しかつ識別部29で識別しつつ一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのうちの対応金種のものに分配収納させ、その後の「出金処理」において、各金種の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eから出金させることになるため、判別不能紙幣がいずれの金種の紙幣であってもこの分配収納により一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのうち適正な金種のものに収納されて、ここから出金させられることになる。
【0158】
(2)一時貯留・収納繰出部40cの収納繰出部38cの精査処理
収納繰出部38cにおける収納空間49の紙幣枚数、具体的には収納空間49の千券の枚数を確定する精査処理を行う場合は、上記収納繰出部38bの精査処理に対し、一時貯留部33bおよび収納繰出部38bを一時貯留部33cおよび収納繰出部38cに置き換えたものとなる。すなわち、収納繰出部38cの収納空間49の紙幣を搬送路42,28の所定部分で構成される図28に太線で示す第2精査処理ルートに沿って搬送させ、収納繰出部38cの収納空間49を一旦空にした後、枚数の確定した紙幣を収納繰出部38cの収納空間49に収納させるのである。
【0159】
この、一時貯留・収納繰出部40cも、一時貯留・収納繰出部40bと同様に、還流精査型一時貯留・収納繰出部となっている。
【0160】
(3)一時貯留・収納繰出部53dの精査処理
一時貯留・収納繰出部53dの紙幣枚数、具体的には二千券の枚数を確定する精査処理を行う場合は、オペレータにより上位機または操作部14に収納繰出部52dを精査処理する際の入力がなされると、制御部は、「出金処理」と同様、待機状態にあった昇降部79を昇降機構部70によって上限位置から下限位置に下降させて、プッシャ57が自重のみで紙幣上に載置される状態にするとともに紙幣載置台58を繰出位置まで下降させる。そして、紙幣を繰り出させる収納繰出部52dについてのみ紙幣繰出部54の蹴出ローラ133および分離ローラ134,135を駆動して紙幣を搬送路に繰り出させることになる。一方、収納繰出部52dのすべての紙幣の繰り出しが終了すると、「出金処理」と同様に、昇降機構部70により昇降部79を下限位置から上限位置に上昇させる。
【0161】
上記のようにして収納繰出部52dから繰り出された紙幣を搬送路42,28の所定部分で構成される図29に太線で示す第3精査処理ルートに沿って搬送させ、その途中の判別部43の判別結果に基づいて振り分けを行う。
【0162】
すなわち、判別部43で重送または斜行と判定された搬送異常紙幣はリジェクト収納部44に送り込まれ、判別部43で正常と判別された正常紙幣は、必要により表裏反転部30で表裏が取り揃えられて、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに送り込まれる。さらに、判別部43で判別不能と判別された紙幣も、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに送り込まれる。
【0163】
このようにして、順次、一時貯留・収納繰出部53dに収納されている紙幣が、一時貯留部33aに送り込まれ、一時貯留部33aが満杯となると、制御部は、一旦、一時貯留・収納繰出部52dからの紙幣の繰り出しを停止し、一時貯留部33aのシャッタ36,36を開作動させ、シャッタ36,36にそれ自身またはそれに載置された紙幣の最上部を近接させた閉状態のフラッパ46,46に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させて、一時貯留部33aを空にする。
【0164】
そして、一時貯留部33aのフラッパ46,46へ紙幣を受け渡しシャッタ36,36の閉作動が完了すると、制御部は、再び一時貯留・収納繰出部53dから紙幣繰出部54により紙幣を繰り出させ、上記と同様にして、判別部43による判別を行いつつ、一時貯留部33aに送り込む。
【0165】
以上を繰り返して、一時貯留・収納繰出部53dのすべての紙幣が繰り出されて、リジェクト収納部44、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aのいずれかに送り込まれ、一時貯留・収納繰出部53dが空になると、制御部は、一時貯留部33aのシャッタ36,36を開作動させ、収納繰出部38aのフラッパ46,46上に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させて一時貯留部33aを空にし、さらに、フラッパ46,46を収納繰出部38aの収納空間49にすでに収納されている紙幣に干渉しない範囲で下降させて、開作動させて、フラッパ46,46上の紙幣を収納空間49に収納させた後、フラッパ46,46を上部待機位置まで移動させ閉作動させる。
【0166】
その後、上記した「内部充填分配補充処理」を実行することで、一時貯留・収納繰出部40aの収納繰出部38aに収納された紙幣を繰り出し、識別部29で識別計数しつつ、その中から収納繰出部52dに収納させる紙幣すなわち二千券のみを、一時貯留・収納繰出部53dに送り込むことで、精査対象金種の紙幣が確定した枚数で一時貯留・収納繰出部53dに収納されることになる。
【0167】
以上により、一時貯留・収納繰出部53dは、精査処理時において、一旦すべての紙幣を繰り出して内部を空にする際に、繰り出した紙幣のうち、主たる紙幣である正常紙幣を、当該一時貯留・収納繰出部53d以外の被使用一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに送り込む他使用精査型一時貯留・収納繰出部となっている。そして、このような他使用精査型一時貯留・収納繰出部である一時貯留・収納繰出部53dは、その内部から一旦すべての紙幣を繰り出した後、内部に被使用一時貯留・収納繰出部である一時貯留・収納繰出部40aから送り込まれた紙幣を収納するようになっている。
【0168】
(4)一時貯留・収納繰出部53eの精査処理
一時貯留・収納繰出部53eにおける紙幣枚数、具体的には五千券の枚数を確定する精査処理を行う場合は、上記収納繰出部53dの精査処理に対し、一時貯留部51d、収納繰出部52dおよび一時貯留・収納繰出部53dを一時貯留部51e、収納繰出部52eおよび一時貯留・収納繰出部53eに置き換えたものとなる。すなわち、紙幣を搬送路42,28の所定部分で構成される図30に太線で示す第4精査処理ルートに沿って搬送させ、一時貯留・収納繰出部53eを一旦空にした後、「内部充填分配補充処理」によって枚数の確定した紙幣を一時貯留・収納繰出部53eに収納させるのである。
【0169】
(5)一時貯留・収納繰出部40aの収納繰出部38aの精査処理
収納繰出部38aの収納空間49の精査処理は、「入金処理」を経て収納した紙幣についての上記した「内部充填分配補充処理」と同じであり(図22参照)、一旦、収納繰出部38aの収納空間49を空にするとともに、一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eのフラッパ46,56Aより上側に金種および枚数の確定した紙幣を集積させ、その後、上記した「収納処理」を行うことで、金種および枚数の確定した紙幣を一時貯留・収納繰出部40a〜40cの収納繰出部38a〜38cの収納空間49に収納するとともに、一時貯留・収納繰出部53d,53eに収納する。
【0170】
「回収処理」
一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eに収納されている紙幣を回収する場合、オペレータにより上位機または操作部14に回収処理を行う際の入力がなされると、制御部は、一時貯留部33b,33cおよび収納繰出部38b,38cのフラッパ46,46より上側が空の状態で、収納繰出部38b,38cの収納空間49に収納させていた紙幣を紙幣繰出部39によって最下のものから一枚ずつ分離して繰り出させるとともに、一時貯留・収納繰出部53d,53eに収納させていた紙幣を紙幣繰出部54によって最下のものから一枚ずつ分離して繰り出させる。なお、収納繰出部38b,38c,52d,52eからの紙幣の繰り出しは、上記「出金処理」における収納繰出部38b,38c,52d,52eからの紙幣の繰り出しと同様である。そして、これらの紙幣を、搬送路42,28の所定部分で構成される図31に太線で示す回収処理ルートに沿って搬送させ、その途中の判別部43の判別結果に基づいて振り分けを行う。
【0171】
すなわち、判別部43で重送または斜行と判定された搬送異常紙幣および、判別不能と判別された紙幣は、リジェクト収納部44に送り込まれ、判別部43で正常と判別された紙幣は、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aにすべて送り込まれる。
【0172】
このようにして、紙幣が、一時貯留部33aに送り込まれ、一時貯留部33aが満杯となると、制御部は、一旦、収納繰出部38b,38c,52d,52eからの紙幣の繰り出しを停止し、一時貯留部33aのシャッタ36,36を開作動させ、それ自身またはそれに載置された紙幣をシャッタ36,36に近接させて閉状態で待機している収納繰出部38aのフラッパ46,46に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させて一時貯留部33aを空にする。
【0173】
そして、一時貯留部33aのフラッパ46,46へ紙幣を受け渡しシャッタ36,36の閉作動が完了すると、制御部は、再び収納繰出部38b,38c,52d,52eの収納空間49,61から紙幣繰出部39,54により紙幣を繰り出させ、上記と同様にして、一時貯留部33aに送り込む。
【0174】
以上を繰り返して、収納繰出部38b,38c,52d,52eの収納空間49,61からすべての収納紙幣が繰り出されて、リジェクト収納部44および一時貯留部33aのいずれかに送り込まれ、収納繰出部38b,38c,52d,52eの収納空間49,61が空になると、制御部は、一時貯留部33aのシャッタ36,36を開作動させ、収納繰出部38aのフラッパ46,46上に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させて、一時貯留部33aを空にし、さらに、フラッパ46,46を収納繰出部38aの収納空間49にすでに収納されている紙幣に干渉しない範囲で下降させて、開作動させて、フラッパ46,46上の紙幣を収納空間49に収納させた後、フラッパ46,46を上部待機位置まで移動させ閉作動させる。
【0175】
以上のようにして、収納繰出部38b,38c,52d,52eの収納空間49,61の紙幣をすべて収納繰出部38aに収納し、下層ユニット26を機体10から引き出して、収納繰出部38aを機体10から取り出して紙幣を回収する。
【0176】
なお、収納繰出部38b,38c,52d,52eの収納空間49,61の紙幣をすべて収納繰出部38aに収納する前に収納繰出部38aが満杯になることもあるため、そのときは、満杯になった時点で処理を中断し、紙幣が取り出されて空となった収納繰出部38aが再装填されると、処理を再開する。なお、収納繰出部38b,38cの少なくとも一方をも下層ユニット26に対し着脱可能とすることで、収納繰出部38aで収納しきれない場合に、着脱可能な収納繰出部38b,38cに収納して回収するようにしてもよい。
【0177】
以上に述べたように、本実施形態の貨幣入出金機によれば、スライド体142をスライドさせることで、一時貯留・収納繰出部53d,53eの側部を開放することができるため、一時貯留・収納繰出部53d,53eの側部を開放させてもスライド体142は、作業者の作業手前側に突出することがなく、作業の邪魔にならない。したがって、一時貯留・収納繰出部53d,53e内に対して作業を行う場合の作業性を向上させることができる。
【0178】
また、スライド体142には、一時貯留部51d,51eの側部を開閉可能な小扉161が設けられているため、一時貯留部51d,51eの紙幣を取り出す場合等には、スライド体142を開けずに小扉161をあけるのみで作業できる。
【0179】
さらに、一時貯留部51d,51eの紙幣を取り出す場合等に小扉161を開作動させると、この開作動に連動して一時貯留部51d,51eの小扉161側の上部フラッパ56Aをフラッパ上昇機構部165が上昇させることになる。よって、小扉161を開いた小開口部160より低い位置に上部フラッパ56Aがあっても、一時貯留部51d,51eの紙幣を容易かつ良好に取り出すことができる。
【0180】
加えて、閉位置にあるスライド体142を閉位置から一旦スライドの方向とは異なる方向に移動させなければスライドさせることができないため、閉位置からそのままスライドさせるのでは他部材に干渉等してしまう場合に、このような干渉を防止することができる。
【0181】
なお、以上の実施形態においては、一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eから繰り出された紙幣のうち、判別部43で判別不能と判別された紙幣を、すべて複数金種に共用の一時貯留・収納繰出部40aに収納する場合を例にとり説明したが、一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eから繰り出された紙幣のうち、判別部43で判別不能と判別された紙幣を、識別部29で金種を識別し、一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのうちこの識別結果に応じた対応金種のものに収納するようにしてもよい。このように構成すれば、搬送異常以外の何らかの理由で判別部43による判別ができなかった判別不能紙幣については、識別部29で再度識別して一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのうち適正な金種のものに収納することができる。
【0182】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の紙幣入出金機によれば、スライド体をスライドさせることで、一時貯留・収納繰出部の側部を開放することができるため、一時貯留・収納繰出部の側部を開放させてもスライド体は、作業者の作業手前側に突出することがなく、作業の邪魔にならない。したがって、一時貯留・収納繰出部内に対して作業を行う場合の作業性を向上させることができる。
【0183】
また、スライド体には、一時貯留部の側部を開閉可能な小扉が設けられているため、一時貯留部の紙幣を取り出す場合等には、スライド体を開けずに小扉をあけるのみで作業できる。
【0184】
さらに、一時貯留部の紙幣を取り出す場合等に小扉を開作動させると、この開作動に連動して一時貯留部の該小扉側の仕切部材を仕切部材上昇機構部が上昇させることになる。よって、小扉を開いた開口より低い位置に仕切部材があっても、一時貯留部の紙幣を容易かつ良好に取り出すことができる。
【0185】
本発明の請求項2記載の紙幣入出金機によれば、スライド体をスライドさせることで、一時貯留・収納繰出部の側部を開放することができるため、一時貯留・収納繰出部の側部を開放させてもスライド体は、作業者の作業手前側に突出することがなく、作業の邪魔にならない。したがって、一時貯留・収納繰出部内に対して作業を行う場合の作業性を向上させることができる。
また、閉位置にあるスライド体を閉位置から一旦スライドの方向とは異なる方向に移動させなければスライドさせることができないため、閉位置からそのままスライドさせるのでは他部材に干渉等してしまう場合に、このような干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の紙幣入出金機の一実施形態としての貨幣入出金機を示す斜視図である。
【図2】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の概略構成を示す側断面図である。
【図3】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す側断面図であってプッシャが案内位置にある状態を示すものである。
【図4】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットの上部フラッパおよび下部フラッパ等を示す平面図である。
【図5】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す正断面図であってプッシャが案内位置にある状態を示すものである。
【図6】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットの昇降部を示す正面図である。
【図7】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットのプッシャ等を示す平面図である。
【図8】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す側断面図であって昇降部が下部昇降範囲の上部位置にある状態を示すものである。
【図9】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す正断面図であって昇降部が連結解除位置にある状態を示すものである。
【図10】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す側断面図であって昇降部が下限位置にある状態を示すものである。
【図11】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す正断面図であって昇降部が下限位置にある状態を示すものである。
【図12】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す側断面図であってプッシャが上昇中に上部フラッパを越える状態を示すものである。
【図13】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す側面図であってスライド体を閉じた状態を示すものである。
【図14】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットの側部を示す正面図である。
【図15】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットの側部を示す平面図である。
【図16】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットを示す側面図であってスライド体を開いた状態を示すものである。
【図17】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットの一部の上部フラッパを示すもので、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図18】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の後部ユニットのスライド体に設けられる小扉等を示すもので、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図19】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の入金処理ルートを示す側断面図である。
【図20】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の出金処理ルートを示す側断面図である。
【図21】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の入金口分配補充処理ルートを示す側断面図である。
【図22】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の内部充填分配補充処理ルートを示す側断面図である。
【図23】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の外部充填分配補充処理ルートを示す側断面図である。
【図24】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の収納処理ルートを示す側断面図である。
【図25】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の整理計数処理ルートを示す側断面図である。
【図26】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の返却処理時における中層ユニットを引き出した状態を示す側断面図である。
【図27】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の第1精査処理ルートを示す側断面図である。
【図28】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の第2精査処理ルートを示す側断面図である。
【図29】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の第3精査処理ルートを示す側断面図である。
【図30】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の第4精査処理ルートを示す側断面図である。
【図31】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の回収処理ルートを示す側断面図である。
【符号の説明】
51d,51e 一時貯留部
52d,52e 収納繰出部
53d,53e 一時貯留・収納繰出部
56A 上部フラッパ(仕切部材)
142 スライド体
153 位置出部(案内部)
161 小扉
165 フラッパ上昇機構部(仕切部材上昇機構部)

Claims (3)

  1. 揺動することで開閉可能な複数の仕切部材を有し投入された紙幣を閉状態の前記複数の仕切部材上に一時貯留させる一時貯留部と、
    前記複数の仕切部材が下方向に揺動して開かれることにより前記一時貯留部から紙幣を受け入れてこれを収納する収納繰出部と、
    を有する一時貯留・収納繰出部を備えた紙幣入出金機であって、
    前記一時貯留・収納繰出部には、スライドすることにより側部を開閉させるスライド体が設けられており、
    前記スライド体には、前記一時貯留部の側部を開放する小開口部と該小開口部を開閉可能な小扉とが設けられていて、
    前記小扉の開作動に連動して前記複数の仕切部材のうちの前記小扉側の一の仕切部材を上方向に揺動させる仕切部材上昇機構部を有することを特徴とする紙幣入出金機。
  2. 開閉可能な仕切部材を有し投入された紙幣を前記仕切部材上に一時貯留させる一時貯留部と、
    前記仕切部材が開かれることにより前記一時貯留部から紙幣を受け入れてこれを収納する収納繰出部と、
    を有する一時貯留・収納繰出部を備えた紙幣入出金機であって、
    前記一時貯留・収納繰出部には、スライドすることにより側部を開閉させるスライド体が設けられており、
    閉位置にある前記スライド体を該閉位置に位置決めするとともに該閉位置から一旦前記スライドの方向とは異なる方向に移動させるように移動を案内し該移動がなければ前記スライドを規制する案内部が設けられていることを特徴とする紙幣入出金機。
  3. 閉位置にある前記スライド体を該閉位置に位置決めするとともに該閉位置から一旦前記スライドの方向とは異なる方向に移動させるように移動を案内し該移動がなければ前記スライドを規制する案内部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の紙幣入出金機。
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