JP3980297B2 - 入出金機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に貯留された紙幣または硬貨を機体からユニットを引き出すことで取り出し可能とする入出金機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀行等の金融機関では、入金する紙幣を一枚ずつ取り込むとともに、その取り込んだ紙幣の金種等を識別し振り分けて、金種別に設けられる一時貯留・収納繰出部の上部の複数の一時貯留部にその入金が確定するまで一時貯留させるとともに、入金の確定後、その紙幣を一時貯留・収納繰出部の下部の収納繰出部に収納する一方、収納繰出部に収納した紙幣を、出金処理において出金用の紙幣として出金させる還流式の紙幣入出金機が用いられている。このような紙幣入出金機としては、既に特許第2587113号公報に開示されたもの等がある。
【0003】
上記公報に開示された紙幣入出金機は、入金された紙幣を入金確定操作により収納するまで返却可能に一時貯留させる一時貯留ユニットが機体に対し引き出し可能とされており、入金された紙幣を収納せずに返却する際には、テラーがこの一時貯留ユニットを機体から引き出して内部の一時貯留紙幣を取り出すようになっている。この紙幣入出金機は、左右の二人のテラーで共用されるものであり、一時貯留ユニットの引き出し時に露出する上面に、複数の一時貯留部のうちどの一時貯留部に紙幣が一時貯留されているかを示すランプが、左右の二人のテラーそれぞれに対して設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の紙幣入出金機におけるランプは、複数の一時貯留部のうちどの一時貯留部に紙幣が一時貯留されているかを示すランプであり、一時貯留ユニットを機体から引き出して初めて視認できるものであるため、この一時貯留ユニットが機体に装填された状態では、一時貯留ユニット内に紙幣が存在しているか否かを判断することができないという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、引き出し式のユニットを機体に装填した状態においても、内部に貯留物があるか否かを確実に判断することができる入出金機の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の入出金機は、左右の二人のオペレータに共用で使用可能とされるとともに、使用時には左右の二人のオペレータのいずれか一人に占有使用されるものであって、機体に対して引き出し可能とされるとともに内部の貯留部に紙幣および硬貨の少なくともいずれか一方からなる入金された貯留物を入金確定操作により収納するまで返却可能に一時貯留させる一時貯留ユニットを有し、該一時貯留ユニットが前記機体から引き出されることにより前記貯留部から前記貯留物が取り出し可能とされる入出金機において、前記一時貯留ユニットには、該一時貯留ユニットを前記機体から引き出す際に把持される取っ手が左右両側にそれぞれ設けられるとともに、これら取っ手のそれぞれに近接しかつ該一時貯留ユニットが機体に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置にランプが設けられていて、前記貯留部に前記貯留物が存在する場合に前記両側のランプのうち占有使用中のオペレータ側のランプのみを点灯または点滅させる制御部を有するもので、両側の前記取っ手が、側面部から内側に凹む凹部を有しており、前記凹部の後方側を透光性を有するランプカバーで形成し、該ランプカバーの後側に前記ランプを設けていることを特徴としている。
【0007】
これにより、ユニットの貯留部に貯留物が存在する場合に、制御部は、このユニットを機体から引き出す際に把持される取っ手に近接しかつこのユニットが機体に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置に設けられたランプを点灯または点滅させる。
また、ユニットの左右両側にそれぞれ取っ手が設けられている場合に、これら取っ手のそれぞれに近接してランプが設けられているため、左側の取っ手を用いてユニットを機体から引き出す場合は左側の取っ手に近接するランプの発光を視認でき、右側の取っ手を用いてユニットを機体から引き出す場合は右側の取っ手に近接するランプの発光を視認できる。
さらに、制御部は、左側のオペレータに占有状態にあるときには、左側の取っ手に近接するランプを点灯または点滅させる一方、右側のオペレータに占有状態にあるときには、右側の取っ手に近接するランプを点灯または点滅させることになる。
加えて、ユニットが、入金された紙幣または硬貨を入金確定操作により収納するまで返却可能に一時貯留させる一時貯留ユニットであるため、機体に対し頻繁に引き出しが行われる一時貯留ユニットについて、貯留部に貯留物が存在する場合にランプを点灯または点滅させることになる。
【0008】
本発明の請求項2記載の入出金機は、請求項1記載のものに関して、両側の前記取っ手が、左右に鏡面対称形状をなしていることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項3記載の入出金機は、請求項2記載のものに関して、前記ランプカバーが、前記凹部の後方側を形成する、後方側が外側に位置するように傾斜する傾斜板部と、該傾斜板部の後端部から後方に延出する延出板部とを有することを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の入出金機の一実施形態である貨幣入出金機を図面を参照して以下に説明する。なお、図2における紙面下側および図3〜図10における紙面左側が、操作を行うオペレータ側すなわち前方(正面側)を示す。また、以下における「前」はオペレータ側、「後」はオペレータに対し反対側であり、左右は、オペレータ側から見たときの左右である。
【0015】
この貨幣入出金機は、銀行等の金融機関のテラーカウンタの下側に配置され、左右の二人のテラー等のオペレータに共用で使用可能とされるとともに、使用時には左右の二人のオペレータのいずれか一人に占有使用されるものであって、図1に示すように、紙幣の入金、収納、回収および出金等、紙幣に関する各処理を行う紙幣入出金部11と、硬貨の入金、収納、回収および出金等、硬貨に関する各処理を行う硬貨入出金部12とが一体的に設けられたものである。
【0016】
硬貨入出金部12は、機体10における上部に主として配置されており、紙幣入出金部11と硬貨入出金部12の一部とが、機体10における下部に硬貨入出金部12よりも前方に突出するように配置されている。なお、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11は、機体10の正面側に引き出し可能となっており、これらを機体10に対しロックおよびロック解除する引出キー13が紙幣入出金部11の正面側に設けられている。
【0017】
貨幣入出金機には、その機体10の上面の正面(前面)側の左右両側に、上方に向いて、左右のオペレータにより各処理の操作が入力される操作部14と処理状態等を表示する表示ランプ部15とが設けられており、また、右側にのみ、処理のガイドメニュー、処理状態および処理結果等を表示する表示パネル16が設けられている。なお、これら操作部14、表示ランプ部15および表示パネル16は、硬貨入出金部12および紙幣入出金部11に対し共用とされている。
【0018】
また、機体10の上面の正面より若干後側の左右方向における中央には、硬貨入出金部12に入金硬貨を投入するための硬貨入金口17が設けられており、硬貨入出金部12の下部すなわち紙幣入出金部11側には、正面から後方に凹んで受皿挿入口18が設けられている。この受皿挿入口18には図示せぬ受皿が挿入されることになり、硬貨入出金部12は、このように受皿挿入口18に挿入された状態の受皿に硬貨の出金を行う。受皿挿入口18と隣り合う位置にはリジェクト硬貨を返却するための硬貨リジェクト口19が設けられている。
【0019】
紙幣入出金部11の硬貨入出金部12よりも正面側に突出する部分の上面には、その最も正面側の左右方向の中央に、紙幣入出金部11の内部から紙幣が送り出される紙幣出金口20が設けられるとともに、この紙幣出金口20の後に、入金する紙幣がオペレータによりセットされる紙幣入金口21が設けられている。なお、紙幣出金口20には、これを開閉するシャッタ22が設けられている。ここで、紙幣入出金部11のこれら紙幣出金口20および紙幣入金口21と隣り合う側方位置には、硬貨入出金部12の一部である硬貨一括金庫23が設けられている。この硬貨一括金庫23は硬貨を収納するもので、機体10に対し着脱可能とされており、この硬貨一括金庫23の正面側には、これを機体10に対しロックおよびロック解除する取出キー23aが設けられている。また、紙幣入出金部11の下部正面には電源スイッチ27が設けられている。
【0020】
紙幣入出金部11は、紙幣入金口21にその長手方向を左右方向とした状態でセットされる紙幣を入金させて収納する入金処理を行うとともに、収納した紙幣を必要に応じて紙幣出金口20ヘ出金させる出金処理等の紙幣における各処理を行う。
【0021】
以下に、本発明の要部である紙幣入出金部11について説明する。
紙幣入出金部11は、主として紙幣入金口21から取り込まれた紙幣、あるいは紙幣出金口20に向け出金させられる紙幣を搬送する上層ユニット24と、入金され上層ユニット24で搬送された紙幣を入金確定操作により収納するまで返却可能に金種別に一時貯留させる中層ユニット(ユニット,一時貯留ユニット)25と、中層ユニット25に一時貯留させた紙幣を入金確定後に収納する一方、収納した紙幣を出金用として繰り出す下層ユニット26とを有しており、これら上層ユニット24、中層ユニット25および下層ユニット26は、それぞれ個別に貨幣入出金機の機体10から正面側に引き出し可能とされている。
【0022】
ここで、図2および図3に示すように、中層ユニット25の正面側の左右両側面部80には、それぞれ取っ手81が左右に鏡面対象形状をなして形成されている。これら取っ手81は、左右方向に沿う係止板部82と、この係止板部82の側面部80側から後方に若干突出する係止突起部83と、これら係止板部82および係止突起部83でその正面側が形成される、側面部80から内側に凹む凹部84とで構成されており、オペレータは、手先をこの凹部84に挿入して係止板部82および係止突起部83を係止しつつ正面側に引くことで中層ユニット25を機体10から引き出すようになっている。
【0023】
そして、両取っ手81の凹部84の後方側は、それぞれ、後方側が外側に位置するように傾斜する傾斜板部86で形成されており、この傾斜板部86の後端部には後方に延出して側面部80の一部を形成する延出板部87が連結されていて、これら傾斜板部86および延出板部87からなるランプカバー88は機外に臨む位置に設けられている。ここで、連結された傾斜板部86および延出板部87からなるランプカバー88は、プラスチック等からなる半透明の一体成形品とされている。なお、中層ユニット25においては、ランプカバー88よりも後方側の部分が、機体10への装填時に機体10内に隠れる部分となる。言い換えれば、ランプカバー88は、取っ手81とともに、中層ユニット25の機体10への装填時においても外部に臨む位置に設けられているのである。
【0024】
両取っ手81のそれぞれに近接するランプカバー88の内側には、ランプカバー88に発光方向を向けてランプ89が配置されている。その結果、中層ユニット25には、これを機体10から引き出す際に把持される取っ手81に近接しかつこの中層ユニット25が機体10に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置にランプ89が設けられている。すなわち、ランプ89は、点灯または点滅すると、その光が半透明の傾斜板部86および延出板部87からなるランプカバー88を透過して外部に照射される。
【0025】
〔上層ユニット〕
上層ユニット24は、入金処理時において入金紙幣がセットされ該セットされた入金紙幣を一枚ずつ機内に取り込む上記した紙幣入金口21と、入金処理時等における識別不能なリジェクト紙幣が繰り出されるとともに、出金処理時において機内から出金紙幣が繰り出される上記した紙幣出金口20と、この紙幣出金口20を開閉する上記したシャッタ22と、入金紙幣を必要な場所に搬送するとともに出金紙幣を必要に応じた場所に搬送する搬送路28と、この搬送路28の搬送途中に設けられ、入金処理時等において紙幣入金口21から繰り出され搬送路28で搬送される紙幣の真偽、金種、正損、重送および斜行の識別を行う識別部29とを有している。なお、搬送路28の途中には、識別部29の識別結果から紙幣の表裏を判断し、紙幣の表裏を取り揃えるために必要により紙幣の表裏を反転させる表裏反転部30が設けられている。
【0026】
〔中層ユニット〕
中層ユニット25には、上層ユニット24の搬送路28にそれぞれつながりこの搬送路28から振り分けられた入金紙幣を取り入れる各紙幣取入部32が設けられており、また、これら紙幣取入部32のそれぞれの前側に、入金紙幣(貯留物)を、その取り引きが確定するまで一時貯留させる複数具体的には三つの同形状の一時貯留部(貯留部)33a,33b,33cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして直線状に配列されている。ここで、これら三つの一時貯留部33a〜33cは、紙幣取入部32側からは紙幣の送り込みのみが可能となっており、紙幣取入部32側への紙幣の繰り出しは不可となっている。なお、これら一時貯留部33a〜33cに一時貯留された紙幣を入金確定せずに返却する場合、中層ユニット25を機体10から引き出すことによって、これら一時貯留部33a〜33cをすべて機体10の外側に露出させることになり、その結果、内部に一時貯留させた紙幣のオペレータによる取り出しを可能とする。
【0027】
一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、対応する紙幣取入部32から紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体35と、筐体35の下部に設けられ、筐体35内に取り込んだ一時貯留紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に順次集積させながら載置させる開閉可能な一対のシャッタ36,36とを有しており、一対のシャッタ36,36は高さが一定で水平移動することにより筐体35の下部を開閉する。なお、筐体35の内側のシャッタ36,36よりも上側の部分が紙幣を一時貯留させる貯留空間37となっている。
【0028】
なお、中層ユニット25の左右両側の取っ手81にそれぞれ近接して設けられたランプ89は、一時貯留部33a〜33cのいずれかに紙幣が存在する場合に、図示せぬ制御部により点灯または点滅させられることになり、より詳しくは、一時貯留部33a〜33cのいずれかに紙幣が存在し、かつ中層ユニット25が機体10から引き出される状況下において、点灯または点滅させられる。
【0029】
しかも、制御部は、操作部14への操作入力により、左右いずれのオペレータによって貨幣入出金機が占有されているか否かを認識しており、一時貯留部33a〜33cのいずれかに紙幣が存在する場合に、左右両側のランプ89のうち占有使用中のオペレータ側のランプ89のみを点灯または点滅させる。すなわち、左側のオペレータにより操作が行われる左側の操作部14への入力で実行される処理に関連して一時貯留部33a〜33cのいずれかに紙幣が存在する状態になった場合には左側のランプ89を点灯または点滅させる一方、右側のオペレータにより操作が行われる右側の操作部14への入力で実行される処理に関連して一時貯留部33a〜33cのいずれかに紙幣が存在する状態になった場合には右側のランプ89を点灯または点滅させる。
【0030】
〔下層ユニット〕
下層ユニット26には、各一時貯留部33a〜33cの下側に、これらのうち対応するものに一時貯留された紙幣を入金確定後に受け入れて内部に収納する一方、内部に収納した紙幣を最下のものから一枚ずつ紙幣繰出部39によって繰り出し可能な複数具体的には三つの同形状の収納繰出部38a,38b,38cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして配列されている。
【0031】
ここで、中層ユニット25および下層ユニット26がともに機体10に適正に装填された状態で、各一時貯留部33a〜33cとそれぞれの真下の各収納繰出部38a〜38cとで一時貯留・収納繰出部40a〜40cを構成することになり、同形状のこのような三つの一時貯留・収納繰出部40a〜40cが、左右方向および高さ方向の位置を互いに合わせた状態で前後方向に位置をずらして配列されることになる。
【0032】
すなわち、最も前側の一時貯留部33aと最も前側の収納繰出部38aとが最も前側の一時貯留・収納繰出部40aを構成し、前から二番目の一時貯留部33bと前から二番目の収納繰出部38bとが前から二番目の一時貯留・収納繰出部40bを構成し、前から三番目の一時貯留部33cと前から三番目の収納繰出部38cとが前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cを構成している。なお、これら三つの一時貯留・収納繰出部40a〜40cのうち、後側の二つは、金種別のものであり、具体的には前から二番目の一時貯留・収納繰出部40bは流通量の多い万券(一万円札)用、前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cは流通量の多い千券(一千円札)用となっている。また、最も前側の一時貯留・収納繰出部40aは一金種のみに対応するものではなく、各処理に応じて適宜の紙幣を収納させたり補充用の紙幣を収納させる運用カセットとして使用される。このため、収納繰出部38a〜38cのうち、最も前側の収納繰出部38aは、機体10から引き出された下層ユニット26に対し着脱可能とされており、残りの収納繰出部38b,38cは、下層ユニット26に対し固定されている。
【0033】
下層ユニット26には、前から三番目の一時貯留・収納繰出部40cの後側において、中層ユニット25を介して搬送路28につながるとともに、すべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cの下側を通って、最も前側の一時貯留・収納繰出部40aの前方で、中層ユニット25を介して搬送路28につながり、各収納繰出部38a〜38cから繰り出された出金紙幣等を搬送する搬送路42が設けられている。搬送路42の途中に、搬送する紙幣の重送および斜行等を判別する判別部43が設けられている。
【0034】
さらに、下層ユニット26には、出金処理時において搬送路42で搬送される出金紙幣のうち判別部43で重送あるいは斜行等と判別された出金紙幣を収納するリジェクト収納部44が、前方に開閉自在に設けられている。なお、下層ユニット26の前面には、図1に示すように、リジェクト収納部44内のリジェクト紙幣を取り外す際に開閉される扉44aとこれを開く際に必要なキーと44bが設けられている。
【0035】
収納繰出部38a〜38cは、それぞれ、一時貯留部33a〜33cのうちの対応する一つから一時貯留紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体45を有しており、また、筐体45内に取り込んだ収納紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に集積させながら載置させる昇降可能かつ開閉可能な一対の扉式のフラッパ46,46とを有している。
【0036】
フラッパ46,46は、筐体45の前後に互いに平行をなしかつ同高さとなるよう配置されるとともにこの状態でガイド軸47,47に沿って一体に昇降する支持軸48,48を有しており、これら支持軸48,48を中心に揺動する。そして、フラッパ46,46は、自身が互いの支持軸48に対し反対の端部同士を近接させることにより共に筐体45内で水平配置される閉状態となり、この状態で、一時貯留部33a〜33cの対応する一つから投入された紙幣をその上側に載置させる。また、フラッパ46,46は、この閉状態から下方に旋回することで開状態となると、載置させていた紙幣を、筐体45内のこれらフラッパ46,46より下側の出金紙幣収納用の収納空間49に落とし込んで収納させる。さらに、フラッパ46,46は、この開状態から上方に旋回することで閉状態に戻る。なお、収納空間49の最下部に紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部39が設けられている。
【0037】
機体10内における中層ユニット25および下層ユニット26の後側には、搬送路28および搬送路42で搬送され対応する紙幣取込部50から送り込まれる紙幣を一時貯留させる一時貯留部51d,51eが上下に離間して設けられており、各一時貯留部51d,51eの下側には、一時貯留部51d,51eの対応するものに一時貯留された紙幣を受け入れて収納する一方、収納した紙幣を最下のものから紙幣繰出部54により繰り出し可能な収納繰出部52d,52eがそれぞれ設けられている。
【0038】
各一時貯留部51d,51eとそれぞれの真下の各収納繰出部52d,52eとで一時貯留・収納繰出部53d,53eを構成することになり、これら複数具体的には二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eが、上下に重ねられた状態で配置されている。すなわち、一時貯留部51dと収納繰出部52dとが上側の一時貯留・収納繰出部53dを構成し、一時貯留部51eと収納繰出部52eとが下側の一時貯留・収納繰出部53eを構成している。
【0039】
これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、幅および奥行きが等しいもので、互いに左右方向および前後方向の位置を合わせた状態で、上下に重ねられるように配置されている。結果的に、これら上下に重ね状態で配置された二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら一時貯留・収納繰出部53d,53e以外のすべての上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cよりも機体10の後部側に配置されている。これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、保守時には機体10からの引き出しが可能とされている。
【0040】
これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、それぞれ、搬送路28あるいは搬送路42の対応する紙幣取入部50から対応金種の紙幣を内部に取り込む略角筒状の筐体55を有しており、また、筐体55内に取り込んだ一時貯留紙幣を表裏方向を上下方向にして、上下方向に順次集積させながら載置させる高さ位置固定で開閉可能な仕切手段としての一対の扉式のフラッパ56,56と、筐体55のフラッパ56,56よりも上側に設けられ、フラッパ56,56に載置された一時貯留紙幣を上側から下方に向けて押圧しフラッパ56,56を開作動させながら下側に落とし込むプッシャ57と、筐体55内のフラッパ56,56よりも下側において昇降可能に設けられたエレベータ58とを有している。ここで、筐体55内のフラッパ56,56より下側かつエレベータ58より上側の部分が出金用の紙幣を収納する収納空間61とされている。なお、これら一時貯留・収納繰出部53d,53eは、紙幣取入部50側からは紙幣の送り込みのみが可能となっており、紙幣取入部50側への紙幣の繰り出しは不可となっている。また、収納空間61の最下部に紙幣を搬送路42に繰り出すための紙幣繰出部54が設けられており、この紙幣繰出部54は、エレベータ58が最下位置に位置した状態で紙幣を繰り出すようになっている。
【0041】
そして、フラッパ56,56によって筐体55内の上下方向に連続する空間を上下に区画することになり、これによって、一時貯留・収納繰出部53dにおいては、フラッパの56,56の上側の空間を紙幣を一時貯留させる一時貯留部51dの貯留空間60とするとともに、フラッパ56,56の下側の空間を紙幣を収納する収納繰出部52dの収納空間61とし、プッシャ57によるこのフラッパ56,56の開作動を伴う紙幣の落とし込みにより一時貯留部51dの貯留空間60から収納繰出部52dの収納空間61への紙幣の受け渡しを行うようになっている。同様に、一時貯留・収納繰出部53eにおいては、フラッパの56,56の上側の空間を紙幣を一時貯留させる一時貯留部51eの貯留空間60とするとともに、フラッパ56,56の下側の空間を紙幣を収納する収納繰出部52eの収納空間61とし、プッシャ57によるこのフラッパ56,56の開作動を伴う紙幣の落とし込みにより一時貯留部51eの貯留空間60から収納繰出部52eの収納空間61への紙幣の受け渡しを行うようになっている。
【0042】
フラッパ56,56は、それぞれ、筐体55の前後に互いに平行をなしかつ同高さとなるよう配置される位置固定の支持軸63,63を有しており、これら支持軸63,63を中心に揺動する。そして、フラッパ56,56は、支持軸63に対し反対の端部同士を近接させることにより共に筐体55内で水平配置される閉状態となり、この状態で、上側の貯留空間60に投入された紙幣をその上側に載置させる。ここで、フラッパ56,56は、閉状態になるように図示せぬバネ等で付勢されている。また、フラッパ56,56は、この閉状態から付勢力にこうして下方に旋回することで開状態となると、載置させていた紙幣を下側の収納空間61に落とし込む。さらに、フラッパ56,56は、この開状態から上方に旋回することで閉状態に戻る。
【0043】
ここで、上下に重ね状態で配置された二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、両方とも同一の大きさで構成されているが、その収納部を異なる大きさで構成するようにしても良い。
【0044】
また、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eのそれぞれの上下方向長さは、これら一時貯留・収納繰出部53d,53e以外の上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cの上下方向長さよりも小さく設定されており、幅および奥行きは同等に設定されている。その結果、これら一時貯留・収納繰出部53d,53eの収納繰出部52d,52eは、それぞれ、これら以外の一時貯留・収納繰出部40a〜40cの収納繰出部38a〜38cのいずれよりも紙幣の収納容量が少なくなっている。
【0045】
さらに、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eを合わせた全体の上下方向長さは、これら以外の上記した一時貯留・収納繰出部40a〜40cのそれぞれの上下方向長さとほぼ同等とされており、上側の一時貯留・収納繰出部53dの最上部の高さ位置は、一時貯留・収納繰出部40a〜40cの最上部の高さ位置に対し同等以下、具体的には同高さ位置に設定されている。
【0046】
また、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら以外のすべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cとともに、左右方向の位置を合わせた状態で機体10の前後方向に配列されている。
【0047】
さらに、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは、これら以外のすべての一時貯留・収納繰出部40a〜40cよりも機体10の後部側に配置されている。
【0048】
加えて、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eは金種別のものであり、これら二つの一時貯留・収納繰出部53d,53eのうちの一つである上側の一時貯留・収納繰出部53dは流通量の少ない二千券(二千円札)用とされ、他の一つである下側の一時貯留・収納繰出部53eは流通量の少ない五千券(五千円札)用とされている。
【0049】
以上に述べた紙幣入出金部11の各処理について説明する。
【0050】
「入金処理(入金確定前)」
オペレータにより入金させる紙幣が紙幣入金口21にセットされ操作部14に「入金処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、紙幣入金口21により、紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28および紙幣取入部32の所定部分で構成される図5に太線で示す入金処理ルートで搬送させ、その途中の識別部29の識別結果に基づいて振り分ける。すなわち、識別不能(偽、重送、斜行等)とされた紙幣は紙幣出金口20に送り出され、真かつ汚損と識別された紙幣と、一時貯留・収納繰出部40b,40cに収納しきれない真かつ正の紙幣とが、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに紙幣取入部32から送り込まれ、真かつ正と識別された紙幣は、適宜表裏反転部30を通過させることで表裏が取り揃えられた後、一時貯留・収納繰出部40a〜40cの一時貯留部33a〜33cの対応する一つに、それぞれの紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させる。
【0051】
具体的には、真かつ正と識別された紙幣のうち、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに一時貯留され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留される。ここで、これら以外の二千券および五千券は、混合状態で一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに一時貯留される。さらに、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aには、上記したように、真かつ汚損の各紙幣と、一時貯留・収納繰出部40b,40cに収納しきれない真かつ正の紙幣も送り込まれる。
【0052】
そして、紙幣入金口21からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留・収納繰出部40a〜40cの一時貯留部33a〜33cのいずれかに送り込まれると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、識別部29の識別結果を図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが入金確定操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。この場合、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bにおいて一時貯留部33bから収納繰出部38bに収納され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cにおいて一時貯留部33cから収納繰出部38cに収納されることになるが、それ以外の二千券および五千券は、一時貯留・収納繰出部53d,53eが紙幣の返却処理に適していないことから、混合状態で、返却処理に適した一時貯留・収納繰出部40aにおいて一時貯留部33aから収納繰出部38aに一時貯留される。すなわち、二千券および五千券は、「入金処理」から「収納処理」の流れでは、それら用の収納繰出部52d,52eには収納されず、後述する「内部充填分配補充処理」および「収納処理」によって収納繰出部52d,52eに収納される。他方、オペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0053】
「出金処理」
オペレータにより上位機または操作部14に「出金処理」の実行入力がなされると、制御部は、金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eのそれぞれの収納繰出部38b,38c,52d,52eに収納させていた紙幣を紙幣繰出部39,54で最下のものから一枚ずつ分離して繰り出させ、搬送路42,28の所定部分で構成される図6に太線で示す出金処理ルートに沿って搬送させ、その途中の判別部43の判別結果に基づいて振り分ける。すなわち、判別部43で重送または斜行と判定された搬送異常紙幣はリジェクト収納部44に送り込まれ、判別部43で正常と判別された紙幣は、紙幣出金口20に送り出され、さらに、判別部43で金種的あるいは枚数的に出金紙幣に含まれないと判別された紙幣は、運用カセットとしての一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに一時貯留させる。そして、出金用に繰り出されたすべての紙幣が、リジェクト収納部44、紙幣出金口20および一時貯留部33aに送り込まれると、一時貯留部33aは、シャッタ36,36を開作動させて、閉状態にある収納繰出部38aのフラッパ46,46上に紙幣を落とし込む。なお、フラッパ46,46上に載置された紙幣は、適宜のタイミングでフラッパ46,46から下方に落とし込まれる。
【0054】
「内部充填分配補充処理」
「入金処理」により収納繰出部38aに収納された紙幣(主として二千券および五千券)を、金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eに紙幣を補充する場合には、操作部14に「内部充填分配補充処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、収納繰出部38aから、最下の紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28,42および紙幣取入部32の所定部分で構成される図7に太線で示す内部充填分配補充処理ルートで搬送させ、その途中の判別部43の判別結果および識別部29の鑑別結果に基づいて振り分ける。
【0055】
すなわち、判別部43で判別不能(重送、斜行等)とされた紙幣は、入金処理時に偽券でないことがすでに確認されているため、リジェクト収納部44に送り込まれ、汚損と識別された紙幣は、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33aは、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになる。そして、それ以外の紙幣は適宜表裏反転部30を通過させることで表裏が取り揃えられた後、金種別の一時貯留部33b,33c,51d,51eの対応する一つに、それぞれの紙幣取入部32,50から送り込まれる。このとき、一時貯留部33b,33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から取り入れた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させることになり、一時貯留部51d,51eは、それぞれ、フラッパ56,56が閉状態とされており、紙幣取入部50から取り入れた紙幣をフラッパ56,56の上側の貯留空間60に一時貯留させることになる。
【0056】
具体的には、万券は万券用の一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに一時貯留され、千券は千券用の一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留され、二千券は一時貯留・収納繰出部53dの一時貯留部51dに一時貯留され、五千券は一時貯留・収納繰出部53eの一時貯留部51eに一時貯留される。また、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aには、入金処理によって真かつ汚損の各紙幣が収納されるため、このような紙幣は、再び、一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに送り込まれる。なお、入金時の二千券および五千券は返却処理に対応するために一旦混合状態で一時貯留・収納繰出部40aに収納されることになり、その後、このような「内部充填分配補充処理」で出金用に各一時貯留・収納繰出部53d,53eにそれぞれ分配されるのである。
【0057】
このようにして、順次、収納繰出部38aに収納されている紙幣が、一時貯留部33b,33c,51d,51eに送り込まれ、そのうちのいずれか一つが満杯となると、制御部は、一旦、収納繰出部38aからの紙幣の繰り出しを停止し、一時貯留部33b,33cについてはシャッタ36,36を開作動させ、それ自身またはそれに載置された紙幣をシャッタ36,36に近接させて閉状態で待機している収納繰出部38b,38cのフラッパ46,46に紙幣を受け渡し、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させ一時貯留部33b,33cを空にする。一方、一時貯留部51d,51eについては、エレベータ58をすでに収納している紙幣がフラッパ56,56に干渉しない位置まで上昇させた状態とし、この状態でプッシャ57で押し込むことによりフラッパ56,56を開作動させつつ紙幣をエレベータ58上に受け渡し、その後、エレベータ58を紙幣がフラッパ56,56に干渉しない位置まで下降させ、プッシャ57を上昇させることにより、フラッパ56,56を閉作動させる。なお、以上の動作を一時貯留部33b,33c,51d,51eのうち満杯になった一つについてのみ行うようにしてもよいが、収納繰出部38aからの繰り出し中断の回数を減らすために、上記のように満杯になっていないものも含めてすべてについて行うようにする。
【0058】
そして、一時貯留部33b,33cのシャッタ36,36の閉作動および一時貯留部51d,51eのフラッパ56,56の閉作動が完了すると、制御部は、再び収納繰出部38aの収納空間49から紙幣繰出部39により紙幣を繰り出させ、紙幣の分配補充を再開する。
【0059】
以上を繰り返して、収納繰出部38aの収納空間49からすべての紙幣が一旦繰り出され、リジェクト収納部44および一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eの一時貯留部33a〜33c,51d,51eのいずれかに送り出されると、制御部は、補充処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この上位機の表示からオペレータが補充完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「収納処理」を行うことになる。
【0060】
なお、この貨幣入出金機においては、紙幣を補充する場合に、上記以外にも金種別の一時貯留・収納繰出部40b,40c,53d,53eに紙幣を紙幣入金口21から補充する「入金口分配補充処理」や、機体10外において補充紙幣を収納繰出部38aに充填しこれを機体10に装填して同様の分配補充処理を行う「外部充填分配補充処理」を行うことも可能となっている。
【0061】
「収納処理」
一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eにおいて、一時貯留部33a〜33c,51d,51eに一時貯留させた紙幣等を収納繰出部38a〜38c,52d,52eの収納空間49,61に収納させる。
【0062】
すなわち、上記した「入金処理」で入金確定操作が入力された場合、および上記した「内部充填分配補充処理」で補充完了確認操作が入力された場合は、制御部が、一時貯留部33a〜33c,51d,51eの紙幣を収納繰出部38a〜38c,52d,52eに、図8に太線で示す収納処理ルートのように、一時貯留部33a〜33cのそれぞれのシャッタ36,36を開作動させ、シャッタ36,36にそれ自身またはそれに載置されている紙幣の上部を近接させて待機している収納繰出部38a〜38cの閉状態のフラッパ46,46に紙幣を受け渡す。続いて、制御部は、フラッパ46,46をその上に載置された紙幣がシャッタ36,36に干渉しない位置まで下降させて、シャッタ36,36を閉作動させる。さらに、フラッパ46,46を既に収納空間49に収納されている紙幣量に干渉しない範囲で下げて開作動させ、フラッパ46,46からすでに収納空間49に収納されている紙幣の上に紙幣を受け渡す。その後、フラッパ46,46を上部待機位置まで上昇させて、閉作動させる。
【0063】
また、制御部は、これと同時に、収納繰出部52d,52eのそれぞれについて、既に収納空間61に収納されている紙幣量に応じた高さまでエレベータ58を上昇させた後、一時貯留部51d,51eのそれぞれのプッシャ57を下降させ、フラッパ56,56上の紙幣を下方に押圧しフラッパ56,56を開作動させながら、紙幣を収納空間61に既に収納されているエレベータ58上の紙幣の上に受け渡す。その後、エレベータ58を最下位置まで下げる。
【0064】
「整理計数処理」
複数金種混在した紙幣から指定した金種を計数しつつ分離する場合等の処理で、オペレータにより紙幣が紙幣入金口21にセットされ操作部14に「整理計数処理」の実行入力がなされると、図示せぬ制御部は、紙幣入金口21により、紙幣を一枚ずつ分離して繰り出させることになり、繰り出された紙幣を、搬送路28および紙幣取入部32の所定部分で構成される図9に太線で示す整理計数処理ルートで搬送させ、その途中の識別部29の識別結果に基づいて振り分ける。
【0065】
すなわち、識別不能(偽、重送、斜行等)とされた紙幣と、真かつ汚損と識別された紙幣と、真かつ正で指定されていない金種の紙幣と、真かつ正で指定された金種であって一時貯留部33a〜33cの対応するものに貯留しきれない分の紙幣とが紙幣出金口20に送り出され、真かつ正の紙幣のうち、指定された金種のものが、適宜表裏反転部30を通過することで表裏が取り揃えられた後、金種別に、一時貯留部33a〜33cの対応するものに、それぞれの紙幣取入部32から送り込まれる。このとき、一時貯留部33a〜33cは、それぞれ、シャッタ36,36が閉状態とされており、紙幣取入部32から送り込まれた紙幣をシャッタ36,36の上側の貯留空間37に一時貯留させる。
【0066】
具体的には、例えば、千券、二千券および五千券を整理計数する場合には、真かつ正と識別された紙幣のうち、指定されていない万券は、紙幣出金口20に送り出され、二千券は一時貯留・収納繰出部40aの一時貯留部33aに貯留され、千券は一時貯留・収納繰出部40bの一時貯留部33bに貯留され、五千券は一時貯留・収納繰出部40cの一時貯留部33cに一時貯留される。
【0067】
そして、紙幣入金口21からすべての紙幣が一旦繰り出され、紙幣出金口20および一時貯留部33a〜33cのいずれかに送り込まれると、制御部は、閉状態にあった紙幣出金口20のシャッタ22を開作動させるとともに、整理計数処理が完了した旨を識別部29の識別結果とともに図示せぬ上位機に表示させる。この表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力すると、制御部は、後述の「返却処理」を行うことになる。
【0068】
「返却処理」
上記「入金処理」の結果の上位機の表示に基づいてオペレータが入金キャンセル操作を上位機または操作部14に入力した場合、および、上記「整理計数処理」が完了した旨の上位機の表示からオペレータが整理計数完了確認操作を上位機または操作部14に入力した場合、制御部は、返却処理を許可し、中層ユニット25の機体10からの引き出しを可能とする。
【0069】
この返却処理を許可した時点(このとき一時貯留部33a〜33cのいずれかに紙幣が存在する)において、制御部は、中層ユニット25の左右両側の取っ手81にそれぞれ近接して設けられたランプ89のうち現在占有状態にあるオペレータ側の一方のランプ89を点灯または点滅させる。
【0070】
すなわち、制御部は、上記「入金処理」あるいは上記「整理計数処理」が、左右いずれの操作部14からの操作入力で実行されているものであるかを認識しており、例えば、左側のオペレータにより操作が行われる左側の操作部14への入力で上記入金処理あるいは上記整理計数処理が行われ、今回がこれに一連する返却処理である場合には、左右のランプ89のうち左側のランプ89のみを点灯または点滅させる一方、右側のオペレータにより操作が行われる右側の操作部14への入力で上記入金処理あるいは上記整理計数処理が行われ、今回がこれに一連する返却処理である場合には左右のランプ89のうち右側のランプ89のみを点灯または点滅させる。
【0071】
これにより、オペレータは、貨幣入出金機が自分に占有状態にあることを自分側のランプ89の点灯または点滅で認識しつつ、このランプ89に近接する取っ手81の凹部84に手先を挿入し、この凹部84の正面側の係止板部82および係止突起部83を係止しつつ引くことにより、図3および図10に示すよう中層ユニット25を引き出して一時貯留部33a〜33cから紙幣を取り出すことになる。
【0072】
なお、上記以外にも、貨幣入出金機は、一時貯留・収納繰出部40a〜40c,53d,53eの紙幣を確定する精査処理や機体10内の紙幣を回収する回収処理等を行うことになる。
【0073】
以上に述べたように、本実施形態の貨幣入出金機によれば、その紙幣入出金部11において、中層ユニット25の一時貯留部33a〜33cに紙幣が存在する場合、具体的には中層ユニット25の一時貯留部33a〜33cに存在する紙幣を返却する返却処理時に、制御部は、この中層ユニット25を機体10から引き出す際に把持される取っ手81に近接しかつこの中層ユニット25が機体10に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置に設けられたランプ89を点灯または点滅させる。このように、中層ユニット25の一時貯留部33a〜33cに紙幣が存在する場合に、中層ユニット25が機体10に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置に設けられたランプ89が点灯または点滅するため、引き出し式の中層ユニット25を機体10に装填した状態においても、内部に紙幣があるか否かを確実に判断することができる。
【0074】
しかも、ランプ89は中層ユニット25の取っ手81に近接して設けられているため、ランプ89の点灯または点滅確認から中層ユニット25の引き出しを行うに当たって視認位置の移動が少なくて済む。したがって、中層ユニット25の引き出しを即座に行うことができる。
【0075】
また、中層ユニット25の左右両側にそれぞれ取っ手81が設けられている場合に、これら取っ手81のそれぞれに近接してランプ89が設けられているため、左側の取っ手81を用いて中層ユニット25を機体10から引き出す場合は左側の取っ手81に近接するランプ89の発光を視認でき、右側の取っ手81を用いて中層ユニット25を機体10から引き出す場合は右側の取っ手81に近接するランプ89の発光を視認できる。したがって、左右いずれのオペレータが取っ手81を使用して中層ユニット25を引き出す場合であっても、内部に紙幣があるか否かを確実に判断することができる。
【0076】
さらに、制御部は、貨幣入出金機が左側のオペレータに占有状態にあるときには、左右のうち左側の取っ手81に近接するランプ89のみを点灯または点滅させる一方、右側のオペレータに占有状態にあるときには、左右のうち右側の取っ手81に近接するランプ89のみを点灯または点滅させることになる。したがって、オペレータは、ランプ89の点灯または点滅により紙幣が中層ユニット25に存在することを確認できると同時に自分が占有状態にあることを確認でき、左右のオペレータが紙幣を取り間違えるのを防止できる。
【0077】
加えて、中層ユニット25は、入金された紙幣を入金確定操作により収納するまで返却可能に一時貯留させる一時貯留ユニットであるため、機体10に対し頻繁に引き出しが行われる一時貯留ユニットについて、一時貯留部33a〜33cに紙幣が存在する場合にランプ89を点灯または点滅させることになる。このように、機体10に対し頻繁に引き出しが行われる一時貯留ユニットにランプ89が設けられるため、上記効果が一層高まることになる。
【0078】
なお、このようなランプ89を紙幣入出金部11の紙幣を収納繰出部38a〜38cに収納させる下層ユニット26に、紙幣が貯留されている状態で点灯または点滅させるように設けたり、硬貨入出金機の一時貯留部や収納繰出部に、硬貨が貯留されている状態で点灯または点滅させるように設けたりすることも可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の入出金機によれば、ユニットの貯留部に貯留物が存在する場合に、制御部は、このユニットを機体から引き出す際に把持される取っ手に近接しかつこのユニットが機体に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置に設けられたランプを点灯または点滅させる。このように、ユニットの貯留部に貯留物が存在する場合に、ユニットが機体に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置に設けられたランプが点灯または点滅するため、引き出し式のユニットを機体に装填した状態においても、内部に貯留物があるか否かを確実に判断することができる。
しかも、ランプはユニットの取っ手に近接して設けられているため、ランプの点灯または点滅確認からユニットの引き出しを行うに当たって視認位置の移動が少なくて済む。したがって、ユニットの引き出しを即座に行うことができる。
【0080】
また、ユニットの左右両側にそれぞれ取っ手が設けられている場合に、これら取っ手のそれぞれに近接してランプが設けられているため、左側の取っ手を用いてユニットを機体から引き出す場合は左側の取っ手に近接するランプの発光を視認でき、右側の取っ手を用いてユニットを機体から引き出す場合は右側の取っ手に近接するランプの発光を視認できる。したがって、左右いずれの取っ手を使用する場合であっても、内部に貯留物があるか否かを確実に判断することができる。
【0081】
さらに、制御部は、左側のオペレータに占有状態にあるときには、左側の取っ手に近接するランプを点灯または点滅させる一方、右側のオペレータに占有状態にあるときには、右側の取っ手に近接するランプを点灯または点滅させることになる。したがって、オペレータは、ランプの点灯または点滅により貯留物がユニットに存在することを確認できると同時に自分が占有状態にあることを確認でき、左右のオペレータが取り間違えるのを防止できる。
【0082】
加えて、ユニットが、入金された紙幣または硬貨を入金確定操作により収納するまで返却可能に一時貯留させる一時貯留ユニットであるため、機体に対し頻繁に引き出しが行われる一時貯留ユニットについて、貯留部に貯留物が存在する場合にランプを点灯または点滅させることになる。このように、機体に対し頻繁に引き出しが行われる一時貯留ユニットに上記ランプが設けられるため、上記効果が一層高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の入出金機の一実施形態としての貨幣入出金機を示す斜視図である。
【図2】 本発明の入出金機の一実施形態としての貨幣入出金機の機体に装填状態にある中層ユニットを示す平面図である。
【図3】 本発明の入出金機の一実施形態としての貨幣入出金機の機体から引き出された状態にある中層ユニットを示す側面図である。
【図4】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の概略構成を示す側断面図である。
【図5】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の入金処理ルートを示す側断面図である。
【図6】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の出金処理ルートを示す側断面図である。
【図7】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の内部充填分配補充処理ルートを示す側断面図である。
【図8】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の収納処理ルートを示す側断面図である。
【図9】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の整理計数処理ルートを示す側断面図である。
【図10】 同貨幣入出金機の紙幣入出金部の返却処理時における中層ユニットを引き出した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 機体
33a〜33c 一時貯留部(貯留部)
25 中層ユニット(ユニット,一時貯留ユニット)
81 取っ手
89 ランプ
Claims (3)
- 左右の二人のオペレータに共用で使用可能とされるとともに、使用時には左右の二人のオペレータのいずれか一人に占有使用されるものであって、機体に対して引き出し可能とされるとともに内部の貯留部に紙幣および硬貨の少なくともいずれか一方からなる入金された貯留物を入金確定操作により収納するまで返却可能に一時貯留させる一時貯留ユニットを有し、該一時貯留ユニットが前記機体から引き出されることにより前記貯留部から前記貯留物が取り出し可能とされる入出金機において、
前記一時貯留ユニットには、該一時貯留ユニットを前記機体から引き出す際に把持される取っ手が左右両側にそれぞれ設けられるとともに、これら取っ手のそれぞれに近接しかつ該一時貯留ユニットが機体に装填された状態においても外部から発光を視認可能な位置にランプが設けられていて、
前記貯留部に前記貯留物が存在する場合に前記両側のランプのうち占有使用中のオペレータ側のランプのみを点灯または点滅させる制御部を有するもので、
両側の前記取っ手が、側面部から内側に凹む凹部を有しており、前記凹部の後方側を透光性を有するランプカバーで形成し、該ランプカバーの後側に前記ランプを設けていることを特徴とする入出金機。 - 両側の前記取っ手が、左右に鏡面対称形状をなしていることを特徴とする請求項1記載の入出金機。
- 前記ランプカバーが、前記凹部の後方側を形成する、後方側が外側に位置するように傾斜する傾斜板部と、該傾斜板部の後端部から後方に延出する延出板部とを有することを特徴とする請求項2記載の入出金機。
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