JP3830182B2 - α,β−不飽和エステルを精製する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、α,β−不飽和カルボン酸エステル、特にアクリル酸又はメタクリル酸(以下において、「(メタ)アクリル酸」と称する)エステルにおけるカルボニル含有不純物を減少させる方法に関するものである。かかるエステルを製造する方法であって、酸化工程、例えばプロピレン、イソブチレン、tert−ブタノール、メタアクロレイン、アクロレイン、またはイソブチルアルデヒドの気相酸化によりアクリル酸又はメタクリル酸を得、次にそのそれぞれの(メタ)アクリル酸エステルにエステル化する工程を含む方法によると、アルデヒド及びケトン、例えばベンズアルデヒド、フルフラール、プロトアネモニン、メタアクロレイン及びアクロレインのようなカルボニル含有不純物を相当量含む生成混合物が得られることが知られている。これらの不純物は、引き続く反応においてα,β−不飽和エステルと反応したり、引き続く反応においてエステルと反応させることを意図する他の反応物質と相互作用を起こしたり、反応して着色不純物を形成したり、或いは引き続く反応を直接妨害する可能性があるので、望ましくない。更に、これらの不純物は、エステルの引き続く精製を妨げる可能性がある。これらの理由によって、エステル、特に(メタ)アクリル酸エステルからこれらの不純物を除去することが非常に望ましい。
【0002】
(メタ)アクリル酸のようなα,β−不飽和カルボン酸から、アルデヒド及びケトンのようなカルボニル不純物を除去するためにアミンを用いることが知られている。残念ながら、α,β−不飽和カルボン酸から不純物を除去するのに有効なアミンは、α,β−不飽和エステルから不純物を減少又は除去するのには必ずしも有効ではない。例えば、アニリンは、アクリル酸からカルボニル不純物を減少させるのに非常に有効であるが、ブチルアクリレート中の不純物を減少させるのには全く有効でないことが分かった。参照文献である特開昭52−23017においては、R1 −NH−R−NH−R2 のタイプのポリアミンの存在下で蒸留することによって、(メタ)アクリル酸及びエステルを精製する方法が開示されている。この方法は、中性条件を用いることが必要であり、Rがフェニレン基である場合には、この方法は、アミノ基が互いに直に隣接している(即ち、1,2又はオルト位置である)場合にしか有効ではない。特開昭52−23017においては、教示されているように、ジアミンとカルボニル不純物との間に形成される環状化合物は、1,2−の位置関係を有するもの以外のジアミノフェニレンからは得られないので、オルト隣接が必要である。したがって、例えば、メタ−及びパラ−フェニレンジアミンは、それらの低いコスト及び入手容易性の理由のためにこのようなジアミンを用いることが有利であるのにも拘わらず、特に排除されている。
【0003】
本発明によって解決しようとする問題は、α,β−不飽和エステル、特に(メタ)アクリル酸エステルにおける不純物を減少させて、高い純度のα,β−不飽和エステルを、効率的で且つ低いコストの工程で与える方法を提供することである。
【0004】
本発明者らは、エステルを、酸、通常は無機酸又はアクリル酸又はメタクリル酸のようなカルボン酸の存在下で、1以上の選択されたフェニレンジアミンによって処理することにより、カルボニル含有不純物を、α,β−不飽和カルボン酸エステル、例えば(メタ)アクリル酸エステルから、実質的に減少させるか又は完全に除去することができることを見出した。処理されたエステル混合物は、場合によっては、水性塩基による酸中和工程、水洗浄及び蒸留にかけることができる。本発明者らの発見によって、α,β−不飽和エステルを精製するための新規で低コストで簡単で効率的な方法が提供される。すなわち、本発明はカルボニル不純物を含むα,β−不飽和カルボン酸エステルを精製する方法であって、
(a)カルボニル不純物を含むα,β−不飽和カルボン酸エステルを、
(1)カルボニル不純物のモル数を基準として1〜100モル比の、次式:
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、XはNR1 R2 であり、R1 、R2 及びYは、独立して、水素、C1 〜C4 アルキル、フェニル又はナフチルから選択される)
を有するフェニレンジアミン;及び
(2)フェニレンジアミンの当量を基準として1〜1500当量比の、C1 〜C4 カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸又はこれらの混合物から選択される酸;
と混合して、処理されたエステル混合物を形成し;
(b)処理されたエステル混合物を、20℃〜150℃の温度に100時間以下保持する;
工程を含む方法を提供する。
【0007】
本発明は、また、処理されたエステル混合物を水性塩基中和及び水性洗浄する、工程を任意に含む。また、任意の工程である酸中和及び水性洗浄工程とともにまたはこれを含まずに、実質的にカルボニルを含まないα,β−不飽和カルボン酸エステルを単離するための好ましい方法として、処理されたエステル混合物を蒸留することができる。
【0008】
(詳細な説明)
本発明を用いて精製することのできるα,β−不飽和カルボン酸エステル(以下、「エステル」と称する)としては、C3 〜C10−α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、2−ブテン酸、シクロヘキセノイック酸、マレイン酸又はイタコン酸と、C1 〜C10アルコール、例えばメタノール、エタノール、ノルマル及びイソ−プロパノール、ブチルアルコール類、例えばノルマル、イソ、sec及びtert−ブタノール、シクロヘキサノール、オクタノール、エチルヘキサノール、グリコール類及びデカノールとから製造されるものが挙げられる。好ましいエステルは、C3 〜C5 カルボン酸とC1 〜C5 アルコールとから製造されるものであり、より好ましくはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びブチルメタクリレートであり、商業的な重要性及び生産量の大きさのため、これらの中で最も好ましいものはエチルアクリレート及びブチルアクリレートである。
【0009】
エステルは、生のままか、或いは溶液中、即ち、ベンゼン、トルエン、キシレン又はエチルベンゼンのような芳香族溶媒及びn−ヘキサン、n−ヘプタン又はシクロヘキサンのような炭化水素溶媒のような水不溶性有機溶媒中に溶解して処理することができる。好ましい溶媒としては、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられるが、生のエステルを処理して溶媒の使用を避けることが好ましい。フェニレンジアミン及び酸の添加順序は、カルボニル不純物除去の有効性には重要ではないと考えられる。エステルは、バッチ法で、即ち、ジアミン及び酸をエステルに加え、攪拌又は振とうによって混合し、水性塩基処理を行い、次に、所望の場合には水性洗浄を行い、次に所望の場合には蒸留することによって処理することができ、あるいは、連続法、即ち、エステル、ジアミンおよび酸成分をミキサーに導入し、これらを攪拌又は振とうしながら連続的に混合し、混合物を静置容器中に供給して、ここで層を分離し、エステル及び水性層を別々に且つ連続的に容器から回収することによって処理することができる。エステルから分離した後、1以上の水溶液は、廃棄するか、又は更なるエステルを処理するのに用いることができる。水溶液は、また、フレッシュな水溶液と混合し、エステルを抽出することができる。
【0010】
1以上の重合禁止剤、例えばヒドロキノン(HQ)、HQのモノメチルエーテル、メチレンブルー、フェノチアジン、銅サリチレート又は銅ジアルキルジチオカルバメートの存在は、本方法に悪影響を与えるものではない。
【0011】
多くのアミンは、エステル中のカルボニル含有不純物を減少させるのに有効でない。例えば、アルキルアミンは、一般に、おそらくは過度に塩基性であるために比較的有効ではないことが分かった。アニリンもまた、酸の存在下及び不存在下の両方で有効でないことが分かった。本発明の有効なジアミンは、上記に示したものであり、例えば、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン及び2,4−ジアミノトルエンを特に包含するものであり、これらは、その低コスト及び入手容易性のために好ましい。これらのジアミンの1以上を組み合わせて用いることができるが、一般にこれらは単独で用いる。本発明のジアミンは、酸の存在下において、エステル中のカルボニル不純物と複合体化して縮合生成物を形成すると考えられ、これらの生成物は、溶液から沈殿するか、あるいは、上記の水性塩基処理及び洗浄及び/又は蒸留によってエステルから分離することができる。
【0012】
フェニレンジアミンの置換位置において用いることのできるC1 〜C4 アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−及びイソ−プロピル及びn−、sec−及びイソ−ブチル基が挙げられる。本発明のジアミンと共に用いるのに有効であることが分かった酸としては、上記に記載のものが挙げられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ポリアクリル酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸及びトルエンスルホン酸が挙げられる。スルホン酸は、遊離して用いるか、あるいは、アンバーリスト15及びアンバーリスト16イオン交換樹脂のような強酸性イオン交換樹脂の酸基として結合した状態で用いることができる。これらの酸の中で、アクリル酸及びメタクリル酸が、それらの入手容易性及び殆どの不飽和エステルとの相溶性のために好ましい。用いる酸の比は、ジアミン中の全アミンの当量を基準とするものであり、最大でアミンの1500当量比までの大過剰であってよい。大きな比では、相当のレベル、例えば流れの約10重量%以下のアクリル酸のような酸を含むエステル流が得られる。好ましい酸の比は、酸の当量のアミン当量に対する比が、約5〜1000、より好ましくは約10〜800である。選択した酸がエステル又はその溶液中に非混和性である場合、即ち、強酸性イオン交換樹脂中におけるように、スルホン酸のような酸がポリマー支持体に結合して不均一系を形成する場合には、エステル又はエステル溶液からの酸の分離は容易となる。
【0013】
エステルの処理のための温度は、約20℃乃至エステルの標準沸点以下の範囲であり、150℃未満でなければならない。好ましい処理温度は、エステルに応じて約40〜120℃の範囲であり、その標準沸点を超えない温度である。より好ましい処理温度は、フェニレンジアミンとカルボニル化合物との反応速度が効率的であり、エステル分解及び副生成物の形成速度が高くない60〜90℃の範囲である。
【0014】
十分な時間が与えられてアミンとカルボニル含有不純物との反応が完了した後(100時間以下)、処理されたエステルを、任意に、例えば炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム及び同様の塩基から選択される塩基の水溶液と接触させることができる。塩基の水溶液は、塩基の当量対添加した酸のそれぞれの当量が少なくとも1.1の範囲で塩基が過剰の当量で存在するような組成のものである。十分な接触時間により、攪拌条件下で酸触媒の中和が行われる。処理されたエステルは、塩基で中和された場合には、次に水で洗浄される。処理されたエステルの直接の蒸留又は塩基中和及び洗浄後の処理されたエステルの蒸留を公知の方法で行うことにより、カルボニル含有不純物を実質的に含まない高度に生成されたエステルを得ることができる。
本発明は、以下の態様を包含する。
1)カルボニル不純物を含むα,β−不飽和カルボン酸エステルを精製する方法であって、(a)カルボニル不純物を含むα,β−不飽和カルボン酸エステルを、(1)カルボニル不純物のモル数を基準として1〜100モル比の、次式:
【化2】
(式中、XはNR 1 R 2 であり、R 1 、R 2 及びYは、独立して、水素、C 1 〜C 4 アルキル、フェニル又はナフチルから選択される)を有するフェニレンジアミン;及び(2)フェニレンジアミンの当量を基準として1〜1500当量比の、C 1 〜C 4 カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸又はこれらの混合物から選択される酸;と混合して、処理されたエステル混合物を形成し;
(b)処理されたエステル混合物を、20℃〜150℃の温度に100時間以下保持する;工程を含む方法。
2)処理されたエステル混合物を、水性塩基中和及び水性洗浄する工程を更に含む1)に記載の方法。
3)工程(b)の保持に続いて、処理されたエステル混合物を蒸留する工程を更に含む1)に記載の方法。
4)水性塩基中和及び水性洗浄工程に続いて、処理されたエステル混合物を蒸留する工程を更に含む2)に記載の方法。
5)α,β−不飽和カルボン酸エステルが、C 3 〜C 10 カルボン酸とC 1 〜C 10 アルコールとの1以上のエステルから選択される1)に記載の方法。
6)α,β−不飽和カルボン酸エステルが、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルから選択される5)に記載の方法。
7)α,β−不飽和カルボン酸エステルが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート又はブチルメタクリレートから選択される6)に記載の方法。
8)フェニレンジアミンが、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン又は2,4−ジアミノトルエンから選択される1)に記載の方法。
9)C 1 〜C 4 カルボン酸が、アクリル酸又はメタクリル酸から選択される1)に記載の方法。
10)スルホン酸が、メタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸から選択される1)に記載の方法。
11)スルホン酸が、強酸性イオン交換樹脂の酸である1)に記載の方法。
12)1)に記載の方法によって製造されるα,β−不飽和カルボン酸エステル。
13)2)に記載の方法によって製造されるα,β−不飽和カルボン酸エステル。
14)3)に記載の方法によって製造されるα,β−不飽和カルボン酸エステル。
15)4)に記載の方法によって製造されるα,β−不飽和カルボン酸エステル。
【0015】
(実施例)
以下の実施例によって本発明を説明する。
【0016】
(概要)
本発明のα,β−不飽和カルボン酸エステルの良好な代表例として、ノルマル−ブチルアクリレート(BA)を選択した。BAは、アクリル酸とブチルアルコールとの酸触媒エステル化によって調製し、アクリル酸(AA)は酸化によってプロピレンから調製した。それぞれの実験日において、試験目的のために、アクリル酸1部をブチルアクリレート99部に加えることによって新しいBA/AA原料溶液を調製した。代表的なBA/AA原料溶液試料の分析によって、フルフラール51ppm及びベンズアルデヒド(PhCHO)38ppmの存在が示された。具体的なBA/AA原料溶液の分析値は、必要に応じ記載された。
【0017】
較正条件下におけるガス/液クロマトグラフィー(GLC)によってカルボニル不純物の分析を行った。100ppm以下の量では、数ppm程度の不純物レベルが、±1ppmという測定誤差で検出可能であった。
【0018】
(比較実施例C1及びC2)
BA/AA原料溶液の試料に、混合されたアルデヒドのモル量に対して10倍モル比に相当する量で記載されたアミンを加えた。次に、アミンで処理された溶液を攪拌しながら60℃に加熱した。この温度で4時間保持した後、それぞれの溶液を23℃に冷却し、次にガス/液クロマトグラフィーによってフルフラール及びベンズアルデヒド含量に関して分析した。アミン不使用、n−ブチルアミン使用(C1)及びアニリン使用(C2)の比較例に関する分析結果を表1に要約する。これらにより、カルボニル不純物の減少は全くないか少ししかなく(<10%)、したがって、不飽和酸中のカルボニル不純物の減少におけるこれらのアミンの公知の有効性とは異なり、カルボニル不純物を減少させるのには有効でないことが示された。
【0019】
【表1】
【0020】
(比較実施例C3〜C6)
比較実施例C3〜C6においては、比較実施例C1及びC2と同様の方法で、但し酸の不存在下で処理を行った。これらの試験のためのBA溶液は、100%ブチルアクリレートからなっており、酸を加えなかった。これらの比較試験の結果を表2に示す。表においては、酸の不存在下においては、C3(ブチルアミン)を除いて、カルボニル不純物の減少が実質的になかった(10%未満)ことが示された。(ブチルアミンは、酸の不存在下で有効であったが、酸の存在下では極めて有効性が低かった(C1)。また、これは、マイケル付加及びアミド基転移反応(transamidation)を介して副生成物を生成する一因となることが知られている。
【0021】
【表2】
【0022】
(実施例1及び2)
実施例1及び2は、それぞれアミンとしてパラーフェニレンジアミン及び2,4−ジアミノトルエンを用い、BA/AA原料溶液中にアクリル酸を存在させた他は比較実施例1及び2に関して上述したのと同じように行った。これらのアミンの、BA/AA原料溶液中のカルボニル不純物の減少における有効性の結果を表3に示す。これらの試験条件下において、それぞれ、実質的に、フルフラールについては39%及び61%の減少、ベンズアルデヒドについては11%及び29%の減少がみられた。
【0023】
【表3】
【0024】
(実施例3)
実施例3においては、BA/AA原料溶液を、10当量の2,4−ジアミノトルエンの存在下で90℃に加熱した他は実施例1及び2と同様の方法で処理を行った。より高い温度のために、追加の重合禁止剤(ヒドロキノンのメチルエーテル;MeHQ、100ppm)を加え、試験時間中においてはモノマー溶液に空気をスパージするという注意を払った。原料溶液の分析によって、フルフラール及びPhCHOをそれぞれ47ppm及び43ppm含んでいることが示された。処理後の混合物の分析によって、フルフラール及びPhCHOをそれぞれ6ppm及び1ppm未満含んでおり、それぞれのアルデヒドの減少率は87%及び98%以上であることが示された。
【0025】
(比較実施例C7〜C9及び実施例4〜7)
BAの試料に酸を加え(但し、C7については酸を加えなかった)、次に、アルデヒド及びプロトアネモニン(PTA)のモル量に対して10倍モル比(実施例7においては60倍モル比)に相当する量のメタ−フェニレンジアミン(MPD)を加えた。比較実施例C8はMPDを含まず、実施例4は10重量%のAAを含む。それぞれの溶液を室温で24時間攪拌した。次に、それぞれの溶液を、フルフラール及びPhCHO含量に関してガス/液クロマトグラフィーによって分析した。これらの比較実施例及び実施例において得られた分析結果を表4に示す。
【0026】
これらの試験において用いたBAの処理前の分析によって、フルフラール、PhCHO及びPTAをそれぞれ、33、8及び6ppm含んでいることが示された。10モル比のMPDの存在下で酸を用いない比較実施例(C7)は、カルボニル不純物の減少は少ししか示されなかった(15%未満)。ここでも、このアミンが酸の不存在下で有効でないことが示された)。通常の量の酸の存在下でアミンを用いない比較実施例(C8及びC9)においても、カルボニル不純物の減少はほとんど示されなかった(6%未満。ある種のアミンの不存在下で酸単独では有効ではないことが示された)。MPDと記載された酸の両方が存在する実施例4−7においては、カルボニル含有量の実質的な低下がみられた。
【0027】
【表4】
【0028】
(実施例8:カルボニル含有ブチルアクリレートの処理及び蒸留)
通常のブチルアクリレート試料の分析によって、フルフラール32ppm及びPhCHO 8ppmの存在が示された。BA中のアルデヒドのモルレベルに対して10倍モル比に相当する量のMPDをBA試料に加えた。次に、アクリル酸1部及びアミン添加ブチルアクリレート99部を加え、雰囲気温度で攪拌することによって、反応溶液(2.5kg)を調製した。24時間後の反応溶液試料の分析によって、フルフラール12ppm及びPhCHO 5ppmの存在が示された。更に3日間攪拌された溶液の分析によって、フルフラール1ppm未満及びPhCHO 2ppmの存在が示された。MPDのレベルを増加させ、全添加量が、出発時のアルデヒドのモルレベルに対して20倍モル比に相当する量になるようにした。24時間攪拌した後の分析によって、フルフラールは検出されず、PhCHO 2ppmの存在が示された。次に、溶液を炭酸ナトリウム(添加したアクリル酸に対して1.2モル比)で中和し、脱イオン水で3回洗浄した。20mmHgの圧力において、20cc/分の空気スパージを行って(禁止剤を活性化させるため)、5トレーOldershawカラム中で2回にわけてバッチ蒸留を行うによって、有機層を更に精製した。望ましくないポリマーの形成の度合いを減少させるために、蒸留の前にフェノチアジン禁止剤1000ppmを加えた。それぞれの部分に関する初留物質を廃棄し、残りの留出物を回収し分析した。いずれのバッチにおいても、蒸留物試料の分析によって、アクリル酸、フルフラールおよびPhCHOは検出されない(1ppm未満)ことが示された。
Claims (6)
- α,β−不飽和カルボン酸エステル中の1以上のアルデヒドのレベルを低減する方法であって、
(a)α,β−不飽和カルボン酸エステルを、
(1)1以上のアルデヒドのモル数を基準として1〜100モル比の、次式:
を有するフェニレンジアミン;及び
(2)フェニレンジアミンの当量を基準として1〜1500当量比の、C1〜C4カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸又はこれらの混合物から選択される酸;
と混合して、処理されたエステル混合物を形成し;
(b)処理されたエステル混合物を、20℃〜150℃の温度に100時間以下保持する;
工程を含む方法。 - 処理されたエステル混合物を、水性塩基中和及び水性洗浄する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
- 工程(b)の保持に続いて、処理されたエステル混合物を蒸留する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
- 水性塩基中和及び水性洗浄工程に続いて、処理されたエステル混合物を蒸留する工程を更に含む請求項2に記載の方法。
- α,β−不飽和カルボン酸エステルが、C3〜C10カルボン酸とC1〜C10アルコールとの1以上のエステルから選択される請求項1に記載の方法。
- フェニレンジアミンが、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン又は2,4−ジアミノトルエンから選択される請求項1に記載の方法。
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