JP2004339111A - アセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルからアリルアルコールを、装置材質を腐食することなく、素早く、実質的に完全に除去することができる。
【解決手段】アリルアルコールを不純物として含有するアセトニトリルに酸無水物を接触させた後に蒸留することを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法。また、酸無水物を接触させるに際し、触媒(特にp−トルエンスルホン酸)を存在させることを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコール除去する方法。特に、酸無水物が無水酢酸であることを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコール除去する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】アリルアルコールを不純物として含有するアセトニトリルに酸無水物を接触させた後に蒸留することを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法。また、酸無水物を接触させるに際し、触媒(特にp−トルエンスルホン酸)を存在させることを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコール除去する方法。特に、酸無水物が無水酢酸であることを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコール除去する方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アセトニトリルの精製方法に関し、さらに詳しくは、アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリル等から不純物として含まれるアリルアルコールを除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法として、従来、粗アセトニトリルに硫酸を加えて、含有アリルアルコールを硫酸エステルとして高沸点化し、蒸留により分離する方法が知られている(例えば特許文献1)。また、次亜塩素酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の水溶液と接触させてアリルアルコールを高沸点化し、蒸留により分離する方法が知られている(例えば特許文献2)。また、塩化水素を作用させ、生成するアリルクロライドを蒸留する方法も知られている(例えば特許文献3)。また、塩素または臭素で処理する方法も知られている(例えば特許文献4)。さらに、過硫酸塩または有機過酸化物の存在で酸化分解または高沸点化合物とし、蒸留により分離除去する方法(例えば特許文献5)が報告されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭51−23218号公報
【特許文献2】
特開昭51−32518号公報
【特許文献3】
特開昭52−156815号公報
【特許文献4】
英国特許第1500329号明細書
【特許文献5】
特開昭53−82722号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プロピレン等のアンモオキシテーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生するアセトニトリルは、有機化合物合成の出発原料や各種有機化合物の合成反応における溶媒として用いられるが、最近では液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略記)用、医薬品製造やフィルム現像用、大型液晶フィルム製造用の溶媒などとして使用され、特に最近では高純度アセトニトリルには大きな需要がある。粗アセトニトリルにはアリルアルコールやオキサゾール、青酸、アクリロニトリル、水、アセトン、アクロレイン、プロピオニトリル、cis−およびtrans−クロトンニトリル、メタクリロニトリル等の不純物を含有する。このうち特にアリルアルコールは強い刺激臭を持った毒物で、1%以下の含有量であっても目や鼻を刺激するなど作業上種々の好ましからざる影響を与えるため、除去することが望まれる。特にアリルアルコールは紫外線吸収が強く、UVカットオフが190nm未満であるHPLC溶媒等の用途へ使用する際には完全に除去しなければならない。
【0005】
特許文献1は粗アセトニトリルに硫酸を加えて、含有アリルアルコールを硫酸エステルとして高沸点化し、蒸留により分離除去する方法である。この方法では系内に水分が存在すると、硫酸が触媒となってアセトニトリルの加水分解が進行し、また装置の材質によっては、硫酸により腐食されるという問題点を持っている。
【0006】
特許文献2または特許文献5では、有機相と水相の二相から有機相を分離し、その有機相には相当量の水分が残存するため、脱水工程が必要となる。また使用する薬剤によってはアセトニトリルが着色するという問題があり、さらにアリルアルコールを100ppm以下にするのは困難であるという問題点を持っている。
【0007】
一方、特許文献3または特許文献4は気液接触であり効率が悪く、用いるガスの取り扱いには注意を要し、装置が腐食されることもある。またアリルアルコールを100ppm以下にするのは困難であるという問題点を持っている。
【0008】
本発明の目的は、アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルからアリルアルコールを、装置材質を腐食することなく、素早く、実質的に完全に除去する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、アリルアルコールを不純物として含有する粗アセトニトリルに、酸無水物を接触させた後に蒸留することにより、アセトニトリルからアリルアルコールを、装置材質を腐食することなく、素早く、実質的に完全に除去することができることを見い出して本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、アリルアルコールを不純物として含有するアセトニトリルに酸無水物を接触させた後に蒸留することを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる(粗)アセトニトリルは如何なる製法によって得たものでもよいが、特にプロピレン、プロパン、イソブチレン、イソブタン等のアンモオキシデーションで副生した(粗)アセトニトリルの精製に有効である。
【0012】
プロピレン等のアンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルには、アリルアルコールやオキサゾール、水、アセトン、青酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、プロピオニトリル、cis−およびtrans−クロトンニトリル等の不純物を含有するが、それらは本発明のプロセスの前工程で低減され、いずれも1重量%以下となっている。蒸留塔等の条件次第で不純物含量は変動するが、例えばアリルアルコール180ppm、オキサゾール50ppm、水500ppm、プロピオニトリル8500ppm、その他は10ppm以下である。ただし、水分は酸無水物を加水分解するため、なるべく少ないことが好ましく、含水量が大きい場合は予め脱水することが好ましい。
【0013】
この粗アセトニトリルと酸無水物を接触させることにより、アリルアルコールはエステル化する。その結果、アセトニトリルとの沸点差が拡大し、蒸留で容易に分離される。酸無水物は、(1)式で表される化合物でR1=R2の単純無水物でもR1≠R2の混合無水物でも良く、ジカルボン酸の環状無水物でも良い。
R1COOCOR2 ・・・・・・・ (1)
例えば、無水酢酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられるが、無水酢酸が好ましい。
【0014】
本発明では、アリルアルコールを不純物として含むアセトニトリルに酸無水物を接触させる際に、触媒を共存させることができる。触媒としてはアルコールと酸無水物の反応を促進するものであれば特に限定されず、酸触媒、塩基触媒、金属塩触媒などが用いられる。触媒の具体例としてはp−トルエンスルホン酸(PTS)、酢酸ナトリウム、塩化亜鉛、ピリジンなどが挙げられるが、PTSが特に好ましい。
【0015】
本発明で使用する酸無水物の量はアリルアルコールのモル数に対して0.5〜300倍モルであり、好ましくは1〜100倍モルである。触媒量はアセトニトリル中、0.0001〜5重量%が好ましいが、0.001〜0.1重量%がより好ましい。反応時間は常温下であれば5〜50時間であるが、沸点付近まで加熱すれば0.01〜5時間である。反応はラインミキサー内や攪拌槽で行うが、反応が速いため反応槽は無くても良い。反応後、生成したカルボン酸は中和してもよいが、結晶が析出することがあるため、その場合は蒸留の前に晶析分離したり、フィルターを通すのが好ましい。
【0016】
このように酸無水物処理したアセトニトリルを蒸留することにより、過剰の酸無水物、触媒と反応生成物とをアセトニトリルから分離するが、蒸留の方法は任意である。段数を増やしたり、還流器を備えた蒸留塔で還流しながら蒸留すればアセトニトリル純度は上がる。留出液は塔頂流、または側流を抜き出す。蒸留のほかに吸着処理などをして、さらに高純度化することもできる。
【0017】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0018】
アリルアルコール濃度は以下の条件で測定した。
(1) 装置 : 島津キャピラリーガスクロマトグラフ GC−17A AF V3
(2) カラム : HP−Wax Bonded Polyethylene Glycol
(長さ60m×内径0.25mmφ×膜厚0.5μm)
(3) 注入口温度 : 200℃
(4) 注入量 : 1.5μl
(5) 検出器 : FID(温度250℃)
(6) キャリアガス : He
(7) スプリット比 : 50.0 : 1
(8) 昇温 : 50〜170℃
(9) 内部標準 : Toluene
【0019】
実施例1
プロピレンのアンモオキシデーションによるアクリロニトリル製造において、副生物として得られるアセトニトリルを精製した結果、以下の不純物を含有する粗アセトニトリルを得た。
アリルアルコール 51ppm
オキサゾール 10ppm
プロピオニトリル 144ppm
H2O 164ppm
その他の不純物は1ppm以下であった。
この粗アセトニトリルに97重量%無水酢酸を粗アセトニトリルに対し0.3重量%(対アリルアルコール32倍モル)添加し、還流しながら反応を行った。この反応液中のアリルアルコール濃度は10分後には20ppmとなり、その後変化しなかった。
【0020】
実施例2
実施例1で使用した粗アセトニトリルに97重量%無水酢酸を粗アセトニトリルに対し0.3重量%(対アリルアルコール32倍モル)添加し、触媒としてPTSを対粗アセトニトリル300ppmを添加した。これを還流しながら反応を行った。この反応液中のアリルアルコール濃度は10分以内という短時間で検出限界以下となった。この反応液を材質SUS304の蒸留塔で蒸留して得た留出液は透明で、アリルアルコールは検出されず、実質的に完全にアリルアルコールを除去することができた。また釜残液も透明で、釜が腐食されなかったことを示した。
【0021】
比較例1
実施例1で使用した粗アセトニトリルに97重量%硫酸を粗アセトニトリルに対し0.3重量%(対アリルアルコール34倍モル)添加し還流しながら反応を行った。この反応液中のアリルアルコール濃度は4時間後に検出限界以下となった。この反応液を材質SUS304の蒸留塔で蒸留して得た留出液は透明であり、アリルアルコールは検出されず、実質的に完全にアリルアルコールを除去することができたが、釜残液は緑青色となり、釜が腐食されたことを示した。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルからアリルアルコールを、装置材質を腐食することなく、素早く、実質的に完全に除去することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アセトニトリルの精製方法に関し、さらに詳しくは、アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリル等から不純物として含まれるアリルアルコールを除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法として、従来、粗アセトニトリルに硫酸を加えて、含有アリルアルコールを硫酸エステルとして高沸点化し、蒸留により分離する方法が知られている(例えば特許文献1)。また、次亜塩素酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の水溶液と接触させてアリルアルコールを高沸点化し、蒸留により分離する方法が知られている(例えば特許文献2)。また、塩化水素を作用させ、生成するアリルクロライドを蒸留する方法も知られている(例えば特許文献3)。また、塩素または臭素で処理する方法も知られている(例えば特許文献4)。さらに、過硫酸塩または有機過酸化物の存在で酸化分解または高沸点化合物とし、蒸留により分離除去する方法(例えば特許文献5)が報告されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭51−23218号公報
【特許文献2】
特開昭51−32518号公報
【特許文献3】
特開昭52−156815号公報
【特許文献4】
英国特許第1500329号明細書
【特許文献5】
特開昭53−82722号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プロピレン等のアンモオキシテーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生するアセトニトリルは、有機化合物合成の出発原料や各種有機化合物の合成反応における溶媒として用いられるが、最近では液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略記)用、医薬品製造やフィルム現像用、大型液晶フィルム製造用の溶媒などとして使用され、特に最近では高純度アセトニトリルには大きな需要がある。粗アセトニトリルにはアリルアルコールやオキサゾール、青酸、アクリロニトリル、水、アセトン、アクロレイン、プロピオニトリル、cis−およびtrans−クロトンニトリル、メタクリロニトリル等の不純物を含有する。このうち特にアリルアルコールは強い刺激臭を持った毒物で、1%以下の含有量であっても目や鼻を刺激するなど作業上種々の好ましからざる影響を与えるため、除去することが望まれる。特にアリルアルコールは紫外線吸収が強く、UVカットオフが190nm未満であるHPLC溶媒等の用途へ使用する際には完全に除去しなければならない。
【0005】
特許文献1は粗アセトニトリルに硫酸を加えて、含有アリルアルコールを硫酸エステルとして高沸点化し、蒸留により分離除去する方法である。この方法では系内に水分が存在すると、硫酸が触媒となってアセトニトリルの加水分解が進行し、また装置の材質によっては、硫酸により腐食されるという問題点を持っている。
【0006】
特許文献2または特許文献5では、有機相と水相の二相から有機相を分離し、その有機相には相当量の水分が残存するため、脱水工程が必要となる。また使用する薬剤によってはアセトニトリルが着色するという問題があり、さらにアリルアルコールを100ppm以下にするのは困難であるという問題点を持っている。
【0007】
一方、特許文献3または特許文献4は気液接触であり効率が悪く、用いるガスの取り扱いには注意を要し、装置が腐食されることもある。またアリルアルコールを100ppm以下にするのは困難であるという問題点を持っている。
【0008】
本発明の目的は、アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルからアリルアルコールを、装置材質を腐食することなく、素早く、実質的に完全に除去する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、アリルアルコールを不純物として含有する粗アセトニトリルに、酸無水物を接触させた後に蒸留することにより、アセトニトリルからアリルアルコールを、装置材質を腐食することなく、素早く、実質的に完全に除去することができることを見い出して本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、アリルアルコールを不純物として含有するアセトニトリルに酸無水物を接触させた後に蒸留することを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる(粗)アセトニトリルは如何なる製法によって得たものでもよいが、特にプロピレン、プロパン、イソブチレン、イソブタン等のアンモオキシデーションで副生した(粗)アセトニトリルの精製に有効である。
【0012】
プロピレン等のアンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルには、アリルアルコールやオキサゾール、水、アセトン、青酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、プロピオニトリル、cis−およびtrans−クロトンニトリル等の不純物を含有するが、それらは本発明のプロセスの前工程で低減され、いずれも1重量%以下となっている。蒸留塔等の条件次第で不純物含量は変動するが、例えばアリルアルコール180ppm、オキサゾール50ppm、水500ppm、プロピオニトリル8500ppm、その他は10ppm以下である。ただし、水分は酸無水物を加水分解するため、なるべく少ないことが好ましく、含水量が大きい場合は予め脱水することが好ましい。
【0013】
この粗アセトニトリルと酸無水物を接触させることにより、アリルアルコールはエステル化する。その結果、アセトニトリルとの沸点差が拡大し、蒸留で容易に分離される。酸無水物は、(1)式で表される化合物でR1=R2の単純無水物でもR1≠R2の混合無水物でも良く、ジカルボン酸の環状無水物でも良い。
R1COOCOR2 ・・・・・・・ (1)
例えば、無水酢酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられるが、無水酢酸が好ましい。
【0014】
本発明では、アリルアルコールを不純物として含むアセトニトリルに酸無水物を接触させる際に、触媒を共存させることができる。触媒としてはアルコールと酸無水物の反応を促進するものであれば特に限定されず、酸触媒、塩基触媒、金属塩触媒などが用いられる。触媒の具体例としてはp−トルエンスルホン酸(PTS)、酢酸ナトリウム、塩化亜鉛、ピリジンなどが挙げられるが、PTSが特に好ましい。
【0015】
本発明で使用する酸無水物の量はアリルアルコールのモル数に対して0.5〜300倍モルであり、好ましくは1〜100倍モルである。触媒量はアセトニトリル中、0.0001〜5重量%が好ましいが、0.001〜0.1重量%がより好ましい。反応時間は常温下であれば5〜50時間であるが、沸点付近まで加熱すれば0.01〜5時間である。反応はラインミキサー内や攪拌槽で行うが、反応が速いため反応槽は無くても良い。反応後、生成したカルボン酸は中和してもよいが、結晶が析出することがあるため、その場合は蒸留の前に晶析分離したり、フィルターを通すのが好ましい。
【0016】
このように酸無水物処理したアセトニトリルを蒸留することにより、過剰の酸無水物、触媒と反応生成物とをアセトニトリルから分離するが、蒸留の方法は任意である。段数を増やしたり、還流器を備えた蒸留塔で還流しながら蒸留すればアセトニトリル純度は上がる。留出液は塔頂流、または側流を抜き出す。蒸留のほかに吸着処理などをして、さらに高純度化することもできる。
【0017】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0018】
アリルアルコール濃度は以下の条件で測定した。
(1) 装置 : 島津キャピラリーガスクロマトグラフ GC−17A AF V3
(2) カラム : HP−Wax Bonded Polyethylene Glycol
(長さ60m×内径0.25mmφ×膜厚0.5μm)
(3) 注入口温度 : 200℃
(4) 注入量 : 1.5μl
(5) 検出器 : FID(温度250℃)
(6) キャリアガス : He
(7) スプリット比 : 50.0 : 1
(8) 昇温 : 50〜170℃
(9) 内部標準 : Toluene
【0019】
実施例1
プロピレンのアンモオキシデーションによるアクリロニトリル製造において、副生物として得られるアセトニトリルを精製した結果、以下の不純物を含有する粗アセトニトリルを得た。
アリルアルコール 51ppm
オキサゾール 10ppm
プロピオニトリル 144ppm
H2O 164ppm
その他の不純物は1ppm以下であった。
この粗アセトニトリルに97重量%無水酢酸を粗アセトニトリルに対し0.3重量%(対アリルアルコール32倍モル)添加し、還流しながら反応を行った。この反応液中のアリルアルコール濃度は10分後には20ppmとなり、その後変化しなかった。
【0020】
実施例2
実施例1で使用した粗アセトニトリルに97重量%無水酢酸を粗アセトニトリルに対し0.3重量%(対アリルアルコール32倍モル)添加し、触媒としてPTSを対粗アセトニトリル300ppmを添加した。これを還流しながら反応を行った。この反応液中のアリルアルコール濃度は10分以内という短時間で検出限界以下となった。この反応液を材質SUS304の蒸留塔で蒸留して得た留出液は透明で、アリルアルコールは検出されず、実質的に完全にアリルアルコールを除去することができた。また釜残液も透明で、釜が腐食されなかったことを示した。
【0021】
比較例1
実施例1で使用した粗アセトニトリルに97重量%硫酸を粗アセトニトリルに対し0.3重量%(対アリルアルコール34倍モル)添加し還流しながら反応を行った。この反応液中のアリルアルコール濃度は4時間後に検出限界以下となった。この反応液を材質SUS304の蒸留塔で蒸留して得た留出液は透明であり、アリルアルコールは検出されず、実質的に完全にアリルアルコールを除去することができたが、釜残液は緑青色となり、釜が腐食されたことを示した。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、アンモオキシデーションによりアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する際に副生する粗アセトニトリルからアリルアルコールを、装置材質を腐食することなく、素早く、実質的に完全に除去することができる。
Claims (4)
- アリルアルコールを不純物として含有するアセトニトリルに酸無水物を接触させた後に蒸留することを特徴とするアセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法。
- 酸無水物を接触させるに際し、触媒を存在させることを特徴とする請求項1に記載のアセトニトリルからアリルアルコール除去する方法。
- 酸無水物が無水酢酸であることを特徴とする請求項1または2に記載のアセトニトリルからアリルアルコール除去する方法。
- 触媒がp−トルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項2または3に記載のアセトニトリルからアリルアルコール除去する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003135979A JP2004339111A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | アセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003135979A JP2004339111A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | アセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004339111A true JP2004339111A (ja) | 2004-12-02 |
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ID=33526091
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003135979A Pending JP2004339111A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | アセトニトリルからアリルアルコールを除去する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004339111A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022173933A1 (en) * | 2021-02-11 | 2022-08-18 | Ascend Performance Materials Operations Llc | Acetonitrile separation process |
-
2003
- 2003-05-14 JP JP2003135979A patent/JP2004339111A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022173933A1 (en) * | 2021-02-11 | 2022-08-18 | Ascend Performance Materials Operations Llc | Acetonitrile separation process |
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