JP3829923B2 - 転写装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法を用いる複写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置において感光体上のトナー像を用紙に転写する転写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法を用いるカット紙レーザプリンタや複写機の転写装置では、用紙等の被転写材の搬送と転写の目的を兼ねて、誘電体ベルトや絶縁ドラムからなる転写材を用いる方式がある。この転写ベルト方式では、誘電体ベルトの裏面からコロナ放電によって電荷を与えることでベルト表面に電荷を誘起させて、この電荷で用紙を吸着して搬送し、ドラム上に形成された画像を用紙に転写する。従来多用されているコロナ放電によって転写分離するコロトロン転写方式と比較して、用紙をドラムに押し付けて、その後、分離する機構が不要となるので、簡単な構成で安定して用紙を搬送できるという特徴がある。更に、ベルトによって、用紙を感光体に密着させて、転写を行なうので、画質がコロトロン転写よりも優れており、特に用紙の先端から後端まで均一に印刷できるというメリットがある。
【0003】
その一方で、転写ベルトは、使用するに伴い、コロナ放電によって発生するオゾンにさらされるうえ、用紙との摩擦によって、電気抵抗や弾性率が変動し、劣化する。電気抵抗が大きく変動すると、用紙上にトナー画像を転写する効率、すなわち転写効率が低下するので、画質が劣化する。また、転写ベルトは、両端をローラ類によって張力を持たせて、支持し、一方のローラを駆動するので、弾性率が変動すると、移動速度が変わってしまい、その結果、感光体との速度差が顕著になる。この結果、用紙に転写した画像の文字ぶれを生じるなどの印刷品質の低下を招くことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プリンタ、複写機では、保守を容易にするため、転写ベルトをユニットとして構成し、引き出し可能な収納機構にユニットを実装し、本体から簡単に着脱して、転写ベルト寿命時にユニット毎交換する方式がある。この場合、スライドレールやユニットを収納する収納機構が必要となるため、部品点数が増え、コストが増大する。また、転写ベルトの内部には、前述したローラ類の他に、コロナ転写器と転写ベルトを感光体に押し付ける支持ローラ等を内蔵している。これらのうち、主に機能が劣化するのは、転写ベルトのみであるが、ユニット交換時には、これらの内蔵部品も交換することとなるので、大量に印刷を行なうプリンタにおいては、ユニット毎の交換は、装置を維持するためのコストすなわち、ランニングコストが増大することになる。
【0005】
一方、ユニット構成の方式で転写ベルトのみを交換しようとすると、転写ユニット内部の内蔵部品を取り外して、再度、取り付けなければならず、作業に時間を要してしまう。通常部品交換などのメンテナンス時には、装置を止めて作業を行なうので、転写ベルト交換時に長時間、装置を止めなければならない。このようにメンテナンスに長時間を要すると、その間の業務に差し支えが生じるばかりでなく、保守にかかる費用も莫大なものとなる。
【0006】
そこで、本発明では、転写ベルトの寿命時には、転写ベルトのみ簡単に交換できるようにするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、転写ベルトを保持する転写ベルト保持ユニットと、転写ベルト保持ユニットを保持する収納ユニットからなり、転写ベルト保持ユニットは、転写ベルトを駆動する駆動ローラと、駆動ローラの両端を支持する一対の駆動ローラ保持部材とを有し、収納ユニットは、転写ベルト保持ユニットの着脱方向に開口した略U字形状をした一対の転写ベルト保持ユニット固定部と、連結シャフトと、連結シャフトの両端に設けられた同一の位相形状を持つ一対の保持部材とを有し、転写ベルト保持ユニット固定部にはめ込まれた駆動ローラ保持部材を開口側から保持部材で保持することにより、転写ベルト保持ユニットを収納ユニットに保持することを特徴とするものである。
【0008】
また、転写ベルト保持ユニットの転写ベルトは、駆動ローラと従動ローラにより支持され、従動ローラは収納ユニットに設けられた張力付与部材によって画像形成装置本体フレームの位置決め部材に突き当てられることを特徴とするものである。
【0009】
また、収納ユニットに設けられた張力付与部材は、転写ベルト保持ユニットの移動量を規制する機能を有し、収納ユニットに設けられた高圧給電部に転写ベルト保持ユニットに設けられた転写器の接点部を挿入した際の転写材保持ユニットの移動方向の逃げ領域をb、転写材保持ユニットの移動量をcとするとき、c<bとすることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を電子写真法を用いるレーザビームプリンタに適用した実施例を図を用いて以下説明する。
【0011】
図1では、複写機、プリンタ等で用いられている有機光導電体(OPC)の場合、感光体1は、帯電器2のコロナ放電によって表面を−極性に帯電する。プリンタで多用されている反転現像方式では、半導体レーザ等の光学系3によって、潜像が形成され、現像機4によって感光体1表面の電位と同極性である−極性トナー5を感光体1上に付着させる。用紙走行部材によって搬送された用紙6は、ガイド板7を経て、転写ベルト8に至る。転写ベルト8は、両端を駆動ローラ9と従動ローラ10によって支持され、駆動ローラ9が回転することによって矢印方向に回転する。転写ベルト内部に設けられた転写器11のワイヤ12には、高圧電源13から高電圧が印加されるので、コロナ放電によって、転写ベルト8表面には、トナーと逆極性の電荷が発生する。搬送された用紙6は、この電荷によってトナー画像を転写すると同時に用紙6を転写ベルト8に吸着し搬送する。転写ベルト8によって搬送された用紙6は、駆動ローラ9に至った後、除電器14によって除電された後、定着機15で定着され、一方、転写後の残留した感光体1上のトナーは、プレチャージ16、イレーズランプ17を経てクリーナ18で清掃される。
【0012】
前述したように、転写ベルト8は、使用するに伴い、電気抵抗や弾性率のような特性値が経時的に変動するので、定期的に交換する必要がある。本発明では、容易に転写ベルト8を交換するために、以下のような構成としている。転写装置19は、図2のように、転写ベルト保持ユニット20と収納ユニット21が独立して構成されている。転写ベルト保持ユニット20は転写ベルト8、駆動ローラ9、従動ローラ10、転写器11、ベルト蛇行防止ローラ22、駆動ローラ保持部材23等からなる構成部品を両サイドから金属板のサイドプレート24で挟み込む構成としている。収納ユニット21は金属板フレーム25、保持部材26、連結シャフト27、転写ベルト保持ユニット押付部28、転写器11に高電圧を供給する高圧ケーブルや電装品を制御する電装ケーブル等から構成される。
【0013】
転写ベルト8と感光体1の位置決めは図3のように、駆動ローラ9両端の駆動ローラ保持部材23を介して、装置の本体フレームで支持し、転写ベルト保持ユニット20の従動ローラ10両端の軸受け29と本体フレーム側に設けられた突き当て部材30を突き当てることにより行なう。従来の収納機構部に転写ユニットを実装する方式においては、収納機構部と本体フレーム、転写ユニットと収納機構部取り付け間において、機械的な精度のばらつきを生じるので、正確な位置が得られにくいばかりでなく、位置関係が装置によってばらつく要因となる。転写ベルト8と感光体1との精度が得られないと印刷品質の低下や感光体に用紙が巻き付く障害を発生しやすく、信頼性を損なうことになる。本方式では、駆動ローラ9を直接本体フレームに取り付けているので、位置関係の精度が得られ易く、また大掛かりな収納機構部が不要であるので、装置の低コスト化が可能である。
【0014】
一方、転写ベルト8と感光体1の駆動は別モータで行なっているため、転写ベルト8が感光体1に押し付けられた状態で同時に駆動させると転写ベルト8と感光体1の回転速度の差によりモータの負荷が増加する。そのため、転写ベルト8と感光体1の駆動開始時は転写装置を感光体1から離して、転写ベルト8と感光体1の間に隙間を設けた状態で駆動を開始し、回転速度が安定した状態で転写ベルト8を感光体1に押し付ける制御を行なう。転写装置の昇降動作は、本体フレーム側に設けられたモータ駆動のアーム31により行なわれる。図3のように本体フレーム側に設けられたモータ駆動のアーム31はローラ32、バネ33、ローラ保持用金属板34、シャフト35、ギア36等から構成され、そのバネ33により収納ユニット21が押し付けられ、転写ベルト保持ユニット20が押し付けられることにより、転写ベルト8を感光体1に押し付ける構造となっている。しかしながら、収納ユニット21及び転写ベルト保持ユニット20の歪みにより、本体フレーム側に設けられた突き当て部材30と転写ベルト保持ユニット20の従動ローラ10の軸受け29が操作側か反操作側の片側しか突き当たらない場合があるため、収納ユニット21に転写ベルト保持ユニット押付部28を設け、収納ユニット21及び転写ベルト保持ユニット20の歪みを吸収できる構造となっている。
【0015】
図2、4のように転写器11の高圧給電部37は収納ユニット21側に設けられており、高圧給電部37に転写器11の接点部を挿入するようになっている。このため、転写ベルト保持ユニット20の移動量が大きいと転写器11は、転写ベルト保持ユニット押付部28によって上方に押し上げられるので、高圧給電部37と転写器11の接点部が干渉して、破損に至ることがある。このため、高圧給電部37と転写器11の接点部の逃げ領域を大きく設けるため、転写ベルト保持ユニット20の移動量を必要最小限にする必要がある。そこで、転写ベルト保持ユニット押付部28はシャフト38とバネ39、固定するトメワ40で構成し、シャフト38には移動量を規制する段付き加工のような形状を設け、転写ベルト保持ユニット20の移動量を規制する構造とする。それに伴い、バネ39の変位量も規制することができ、押付力もある範囲で安定させることができる。また、図4(c)に示すように、転写ベルト保持ユニット20の移動量は、シャフト38の移動量をcとすると、転写ベルト保持ユニット20の移動量cは、高圧給電部37とこれに勘合する転写器11の図4(d)の逃げ領域bよりも小さい設定としているので、高圧給電部37の破損を防止している。上記構造により転写ベルト保持ユニット押付部28を小型化し、転写ベルト保持ユニット20を容易に着脱可能とした。
【0016】
転写ベルト方式では図2、4のように、転写ベルト8の蛇行防止のため、ベルト蛇行防止ローラ22を設ける必要があるが、転写ベルト保持ユニット20の取外しを容易に行なうように転写ベルト保持ユニット20内にベルト蛇行防止ローラ22を設ける構造としている。蛇行防止ローラ22は、両端のサイドプレート24に取り付けられ、転写ベルト8が蛇行する方向に対して垂直に取り付けられている。このローラ22には、傾斜部が設けられており、転写ベルト8が蛇行して接触すると傾斜部を転写ベルト8が昇ることにより、蛇行した部分の転写ベルト8は張力が増加し、元に戻ろうとする力が作用するため位置を規制することができる。また、蛇行防止ローラ22の設置場所は転写ベルト8の張り側で、駆動ローラ9または従動ローラ10の近傍に設けるのがよい。
【0017】
構造上困難な場合は収納ユニット21側にベルト蛇行防止ローラ22を設けてもよいが、転写ベルト保持ユニット20の取外し時の移動量が増加するので、その分移動領域を広げる必要がある。
【0018】
次に転写ベルト8の交換方法について図2、4、5を用いて説明する。駆動ローラ9の反操作側は、軸受けの保持部材42を介して本体フレームの位置決め部に固定されている。操作側も同様に軸受けの保持部材42を保持カバー43にはめ込んだ後、保持カバー43を本体フレームにネジ止めし、固定している。まず、最初に転写器11を取り外したのち、保持カバー43を外し、操作側の保持部材26を操作する。保持部材26は金属板フレーム25を貫通した連結シャフト27の両端にネジ44にて取り付けられ、収納ユニット21には、ネジ45止めして固定する。連結シャフト27の両端には保持部材26の回り止めと位相を合わせのためのD型形状や二面幅形状のような同一の形状として、位相を合わせて取り付けている。従って、固定ネジ45を外したのち、操作側の保持部材26を回転させることで、それに連動して、反操作側の保持部材26も回転させることができる。
【0019】
転写ベルト保持ユニット20は、収納ユニット21の保持部材26により保持されているので、転写ベルト8の交換作業時には、収納ユニット21の保持部材26を固定しているネジ45を外して、操作側の保持部材26を時計方向に回転させることにより転写ベルト保持ユニット20は、保持が解除される。このため、操作側から保持部材26を操作すれば、収納ユニット21は、本体フレームに取り付けたまま、転写ベルト保持ユニット20のみを取外すことができる。
【0020】
また、収納ユニット21側転写ベルト保持ユニット固定部を着脱方向に対して略U字型形状とすることにより、片側から転写ベルト保持ユニット20を着脱でき、転写ベルト保持ユニット20を着脱するための移動量を低減させ、移動空間の少ない場合でも着脱を可能とした。このため、図4(a)に示すように、駆動ローラ保持部材23と収納ユニット21側転写ベルト保持ユニット固定部の略U字型形状の引っ掛かり部分の隙間:aのみの移動量で転写ベルト保持ユニット20のみを着脱することができる。図4(b)は、転写ベルト保持ユニットを装着した状態である。
【0021】
前述したように、収納ユニット21には、高圧、電装ケーブルを実装しており、収納ユニット21は、取り外さないで、転写ベルト保持ユニット20を取り外すことが可能である。このため、高圧ケーブルやコネクタなどの接点を抜き差しすることが不要となるので、接点部の劣化を防止できる。
【0022】
転写ベルト保持ユニット20を外したあとは、駆動ローラ保持部材23を固定しているネジ46を外した後、支点を中心に回転させれば、転写ベルト8を弛ませることができるので、容易に交換できる。
【0023】
本実施例は、本体フレームに駆動ローラを直接取付ける構成について示したが、従来のような収納機構にユニットを取付ける構成に適用しても容易に転写ベルトを交換することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、装置の構成を複雑にすることなく、容易に転写ベルト保持ユニットのみを取り外した後、転写ベルトを交換できるので、装置、保守コスト低減のみならず、装置毎の精度ばらつき、接点の接続不良防止のような信頼性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるレーザプリンタの模式図である。
【図2】 転写装置の構成の模式図である。
【図3】 転写装置の押付機構を説明する模式図である。
【図4】 転写ベルト保持ユニット着脱を説明する模式図である。
【図5】 収納ユニット側保持部材の模式図である。
【符号の説明】
1…感光体、2…帯電器、3…光学系、4…現像機、5…トナー、6…用紙、7…ガイド板、8…転写ベルト、9…駆動ローラ、10…従動ローラ、11…転写器、12…ワイヤ、13…高圧電源、14…除電器、15…定着機、16…プレチャージ、17…イレーズランプ、18…クリーナ、19…転写装置、20…転写ベルト保持ユニット、21…収納ユニット、22…ベルト蛇行防止ローラ、23…駆動ローラ保持部材、24…金属板のサイドプレート、25…金属板フレーム、26…保持部材、27…連結シャフト、28…転写ベルト保持ユニット押付部、29…軸受け、30…突き当て部材、31…アーム、32…ローラ、33…バネ、34…ローラ保持用金属板、35…シャフト、36…ギア、37…高圧給電部、38…シャフト、39…バネ、40…トメワ、42…保持部材、43…保持カバー、44…ネジ、45…ネジ、46…ネジ。
Claims (3)
- 被転写材を吸着搬送する転写ベルトをトナー像担持体に押し当て、転写ベルトの裏面にトナーと逆極性の電荷を転写器により付与することによって、トナー像担持体上に形成したトナー像を被転写材に転写する転写装置において、
転写装置は、転写ベルトを保持する転写ベルト保持ユニットと、転写ベルト保持ユニットを保持する収納ユニットからなり、
転写ベルト保持ユニットは、転写ベルトを駆動する駆動ローラと、駆動ローラの両端を支持する一対の駆動ローラ保持部材とを有し、
収納ユニットは、転写ベルト保持ユニットの着脱方向に開口した略U字形状をした一対の転写ベルト保持ユニット固定部と、連結シャフトと、連結シャフトの両端に設けられた同一の位相形状を持つ一対の保持部材とを有し、
転写ベルト保持ユニット固定部にはめ込まれた駆動ローラ保持部材を開口側から保持部材で保持することにより、転写ベルト保持ユニットを収納ユニットに保持することを特徴とする転写装置。 - 転写ベルト保持ユニットの転写ベルトは、駆動ローラと従動ローラにより支持され、従動ローラは収納ユニットに設けられた張力付与部材によって画像形成装置本体フレームの位置決め部材に突き当てられることを特徴とする請求項1記載の転写装置。
- 収納ユニットに設けられた張力付与部材は、転写ベルト保持ユニットの移動量を規制する機能を有し、収納ユニットに設けられた高圧給電部に転写ベルト保持ユニットに設けられた転写器の接点部を挿入した際の転写材保持ユニットの移動方向の逃げ領域をb、転写材保持ユニットの移動量をcとするとき、c<bとすることを特徴とする請求項2記載の転写装置。
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