JP3829388B2 - TiAl製タービンローター - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の過給機の部品であるTiAl製タービンローターに関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、内燃機関の過給機のタービンローターとしては、高温強度に優れた鋳造用のNi基超合金Inconel-713Cのような材料を精密鋳造して得たタービン羽根車に、構造用鋼からなるシャフトを、摩擦接合や電子ビーム溶接によって接合した製品が用いられてきた。
【0003】
近年、タービン羽根車の耐熱性を高めるとともに、軽量化によるイナーシャの低下によってエンジンの応答性を向上させることを意図して、窒化珪素からなるセラミックスローターが実用化された。
【0004】
しかし、このセラミックス羽根車には、1)材料の靱性が乏しいため、従来の金属性の羽根車より肉厚を厚くしなければならないこと、および、2)熱膨張が小さいため、ケーシングなど周囲の金属製の部品との間で熱膨張のバランスが取りにくいこと、などの欠点があった。
【0005】
そこで、セラミックスに替わる新しい材料として、比重が3.8とセラミックスに近く、高温の比強度(強度を密度で割った値)は前記したようなNi基超合金と同等以上で、しかも、セラミックスよりも靱性が高く、かつ熱膨張率が金属に近いTiAl金属間化合物が注目され、これをタービン羽根車の材料とすることが提案された(たとえば、特開昭61−229901)。 実用されている材料はTiAl金属間化合物を主成分とする合金であり、組成によりその内容には多少の変動があるが、以下の説明においては一括して「TiAl」とよぶ。
【0006】
このTiAlを材料とするタービン羽根車は精密鋳造または恒温鍛造によって製造され、この羽根車に構造用鋼のシャフトを接合してローターが製造される。ただし接合に当って、従来のNi基超合金の羽根車と構造用鋼のシャフトとを接合する手段として採用されている摩擦接合を適用することはできない。 その理由は、摩擦接合を行なっても、冷却時に構造用鋼がオーステナイトからマルテンサイトに変態する際に発生する体積膨張によって残留応力が発生し、TiAlはセラミックスにない靱性を有し脆くはないものの、室温延性は1%程度しかないためにTiAlが割れるという問題と、接合界面において構造用鋼中の炭素とTiAl中のTiとが反応して炭化物を生成し、界面強度を低下させるという問題とにある。
【0007】
これらの問題を解決するために、真空ロウ付けによって接合する方法や、TiAl羽根車と構造用鋼のシャフトとの間にマルテンサイト変態をしないオーステナイト系材料を中間材として挿入し、摩擦接合により接合することが提案された(たとえば、特開平2−133183)。
【0008】
しかし、真空ロウ付けは高真空中で実施しなければならず、真空雰囲気の形成を含めて処理に時間がかかり、コストが高くなる。 オーステナイト系材料を中間材として使用する摩擦接合法は、まず中間材をたとえばシャフトに摩擦接合した後、中間材を接合したシャフトをさらに羽根車に接合するか、またはこの逆の順で、いずれにせよ2回の接合をしなければならないから、やはり接合コストが高い。 それに加えて、中間材の接合後の厚さをコントロールすることが難しい、という問題もあった。
【0009】
そこで、迅速かつ低コストに実施できる高周波ロウ付けが試みられた。 しかし、ロウ付けは接合界面が平面のため、ディスクの軸とシャフトの軸とを正確に合致させることが難しく、偏心したまま接合することがある。 また、TiAlは熱伝導率が高く、従って運転中に高温にさらされたTiAl羽根車からシャフトへの熱伝導が大きいため、シャフトの温度が高くなり、軸受け部が焼き付くことがあるという経験もした。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、TiAl羽根車の軸と鋼製のシャフトの軸とを正確に合致させ、かつ羽根車からシャフトへの熱伝導を少なくしたTiAl製タービンローターを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のTiA1製タービンロ一タは、図1に示すような、精密鋳造により製造したTiAl製タービン羽根車にローターシャフトを接合したタービンローターにおいて、シャフト材料として構造用鋼またはマルチンサイト系耐熱鋼を使用し、羽根車基部とシャフト端部にそれらの輪郭と同心円状の凹部(または凸部)および凸部(または凹部)を形成して凹部と凸部とをはめ合わせ、凹凸の外側のリング状部分をロウ付けにより接合してなり、ロウ材として、Ag,Ni,CuまたはTiを主成分とする融点が800℃以上の合金からなり、その液相線温度がシャフト材料のオーステナイト化温度より高いものを使用し、ロウ付けを、ロウ材と被接合部材との界面に0.01kgf/mm2以上であって接合温度における被接合部材の降伏応力以下である圧力を加え、不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気中で、高周波誘導加熱によって接合界面付近をロウ材の液相線温度以上であって液相線温度+100℃以下である温度に加熱・保持しつつ、90秒以内に完了したことを特徴とする。
【0012】
図2および3に示した例は、羽根車基部が凸、シャフト端部が凹の組み合わせであり、図4に示した例はそれと逆の、羽根車基部が凹でシャフト端部が凸の組み合わせである。
【0013】
タービン羽根車は、高温の使用条件下に高速回転する部品であるから、その材料とするTiAlは高温強度および延性にすぐれ、かつ耐酸化性をもつことが必要である。 この観点から、TiAlは基本的には、Al:31〜35%を含有し残部が実質上Tiからなる合金組成をもつべきである。 この合金は、さらに下記の添加元素グループのひとつまたはふたつ以上を含有することが好ましく、
1)Cr,MnおよびVからえらんだ1種または2種以上(2種以上の場合は合計で):0.2〜4%
2)Nb,Ta,WおよびReからえらんだ1種または2種以上(2種以上の場合は合計で):0.2〜10%
3)Si:0.01〜1.00%
さらに不純物は下記のように規制することが好ましい:
4)Zr:1.0%未満、Fe:1.0%未満、C:0.2%未満、O:0.2%未満、かつN:0.2%未満。
【0014】
タービンローターを構成するTiAl製タービン羽根車は、精密鋳造または恒温鍛造のいずれの方法によって製造したものでもよい。 TiAl製タービン羽根車は1200℃〜1350℃の範囲での熱処理によって延性を改善することが可能で、精密鋳造材については、1200℃〜1350℃の温度と1000kgf/cm2 以上の圧力でHIP熱処理を加えることにより内部の鋳造欠陥をなくし、信頼性を向上させるとともに、強度および延性を改善することが可能である。
【0015】
ロウ付けによる接合は、前記した羽根車基部とシャフト端部との接合部において、界面に0.01kgf/mm2以上の圧力、ただし接合温度において羽根車基部およびシャフトの降伏応力のいずれよりも低い圧力を加え、非酸化性つまり不活性または還元性のガスの雰囲気中で、高周波誘導加熱により加熱することによって行なえる。このとき、凹凸外側のリング状部分の形状・寸法に適合させて箔を打ち抜いてリング状にしたロウ材を使用すると、好適である。接合面に圧力を加えることは、濡れを促進してロウ付けされていない部分ができることを防ぎ、さらに凹凸のはめ合い部にもロウが回って接合面積を実質上増大させ強度を高めるはたらきをする。とくに接合面のアラサが大きいときは圧力を高くするとよい。加熱温度は、ロウ材の液相線温度以上でなければならないが、温度があまり高くなると被接合材とロウ材とが反応して接合界面に化合物を生成し、接合強度が低下するおそれがあるから、それを避けるため、ロウ材の液相線温度以上+100℃以下の温度をえらぶのがよい。
【0016】
ロウ材としては種々のものが使用可能であるが、Ag,Ni,CuまたはTiを主成分とするものであって、融点が800℃以上の合金が好適である。 ロウ材の使用に当っては、ロウ材の液相線温度がシャフト材のオーステナイト化温度より高くなるようなものをえらぶとよい。
【0017】
接合部に形成する凹凸の径の差は、実質上ゼロであるとシマリバメとなってはめ合が容易でなくなるから、若干の差があるスキマバメの状態が好ましい。 それにより接合時にロウ材が隙間に入り、強度を高めることが期待できる。 ただし、羽根車基部とシャフトとの芯が一致した状態でロウ付けするという観点からは、差はあまり大きくない方がよい。 通常は、径の差が1mm以内であれば問題ない。
【0018】
凹凸部分とロウ付けされるリング状部分との面積比は、リング状部分が全断面積の20%以上を占めるようにすれば、必要な強度が得られる。
【0019】
接合部において、凹部の深さを凸部の高さより大きくし、内部に空洞が形成されるようにすると、凹凸部分における羽根車からシャフトへの熱伝導が妨げられて、シャフト温度の上昇度合が低くなる。 この態様は、軸受部の保護という観点から好ましいものである。 空洞部分の高さは、いうまでもなく凹部の深さと凸部の高さの差によって決定される。 数mm〜15mmが適当である。 空洞の形成にはいくつかの態様が可能であり、図5Aに示すような単純な深さ/高さの差を設けたもののほか、図5Bに示すように凹部の底をスリバチ型にしたものであってもよい。 この逆に、凸部の先端をくぼませてもよいことは、もちろんである。
【0020】
ロウ付けのための高周波誘導加熱は、接合部付近だけを対象に行なえばよいが、このときにシャフト全体をも同時に高周波加熱により加熱し、ロウ付け後、シャフトに冷却ガスたとえばArやHe、または冷却液たとえば水を吹き付けて急冷することによって、シャフトの焼入れを同時に行なうことができる。 本発明のタービンローターは、多くの場合にシャフトの焼入れ・焼戻しと、機械加工の後のシャフト表面の硬化処理とを施して製品とする。
【0021】
加熱中にロウ材および被接合面が酸化されるとロウ材の濡れ性が低下して非接合部ができ、その結果、接合強度が低下する。 これを避けるため、TiAlタービン羽根車とシャフトとを耐熱ガラスなどで覆い、耐熱ガラスとこれら部品との間に不活性ガスまたは還元性ガスを流し、酸化を防止する。 ロウ材が活性金属を含む場合には、還元性ガス(たとえば水素を5%含むHeガス)を流すことが望ましい。
【0022】
ロウ付けに要する時間は短く、通常30秒間で十分な接合強度が得られることが判明した。 直径17mmのシャフトの例では、加熱開始からの時間を含め接合終了まで、約90秒という短時間で接合が可能であった。
【0023】
接合後にシャフトの焼入れ・焼戻しを行なう場合には、シャフトの焼入れ時にロウ材が再び溶融して接合に不都合が生じることのないように、用いるロウ材とシャフトとの組み合わせを吟味し、前記したように、ロウ材の液相線温度がシャフトのオーステナイト化温度以上であるものをえらぶ。 実際には、接合後の接合部のロウ材は、接合中に接合部からの他元素の拡散によって、液相線温度が本来ロウ材がもっていた液相線温度よりは若干高くなるため、ロウ材の液相線温度がシャフトのオーステナイト化温度とほぼ同じ組み合わせであっても一般に大きな支障はない。
【0024】
【作用】
本発明のTiAl製タービン羽根車の材料とする合金の組成を前記のように限定した理由は、つぎのとおりである。
【0025】
Al:31〜35%
AlはTiと結合して金属間化合物TiAlおよびTi3 Alを生成する。TiAlおよびTi3Al の単相はいずれも脆く、強度が低い化合物であるが、Alが31〜35%の範囲になると、TiAl相中にTi3 Alが体積率で5〜30%を含まれるようになり、二相状態になって延性および強度が高くなる。 Alが31%以下になってTi3 Al量が過大になるか、または、Alが35%以上になってTi3 Al量が過少になると、強度および延性が著しく低下する。
【0026】
Cr,MnおよびVの1種および2種以上(2種以上のときは合計):0.2〜4.0%
これらはいずれもTiAlの延性を改善する元素である。 この効果は0.2%以上の存在で得られる。 添加量が4%を超えると、耐酸化性が低下するとともにβ相が生成し、高温強度が低下するという不都合が生じる。
【0027】
Nb,Ta,WおよびReの1種および2種以上(2種以上のときは合計):0.2〜10.0%
これらの元素はTiAlの耐酸化性を改善する。 この効果も0.2%以上の添加で得られる。 添加量が10%を超えると、延性が低下するとともに、高比重のためTiAl合金の密度を高くして、低密度というTiAlの利点がうすれてくる。
【0028】
Si:0.01〜1.00%
Tiと反応してシリサイド(Ti5 Si3 )を生成し、TiAlのクリープ特性を改善するばかりでなく、耐酸化性を改善する。 こうした効果があらわれるのは添加量0.01%以上であり、1.00%を超えて添加すると延性が低下する。
【0029】
Zr:<1.0%、Fe:<1.0%、C:<0.2%、O:<0.2%、N:<0.2%
Zr,Fe,C,OおよびNは、TiAl製ローター羽根車の精密鋳造の工程および原料から混入する不純物であり、これらが多量に混入すると、TiAlの延性が著しく低下する。 そこで、これらの上限値をそれぞれ、1.0%、1.0%、0.2%、0.2%および0.2%とした。
【0030】
【実施例】
〔実施例1〕
TiAl製タービン羽根車として、Ti−33.5Al−4.8Nb−1.0Cr−0.2Si(wt%)の組成を有するTiAlを精密鋳造して、直径52mmの製品を用意した。 シャフト材としては、外径D0 =17mm、長さ110mmのJIS−G4103に規定される構造用鋼SNCM439を用いた。 ロウ材には、Ag−35.3Cu−1.7Ti(wt%)の組成を有する銀ロウの、厚さ50μmの箔を用いた。 タービン羽根車とシャフトの接合部における形状・寸法を、表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003829388
接合は、高周波加熱により行なった。 接合界面にロウ材dを挿入した状態で羽根車を固定し、シャフト上部から加圧して接合界面に0.5kgf/mm2 の圧力を負荷した。 加熱時に接合部が不活性雰囲気下にあるようにするため、被接合材の周囲を耐熱ガラスで覆い、被接合材と耐熱ガラスとの間にArガスを流した。高周波誘導加熱は、耐熱ガラスの外側に加熱コイルを置いて通電することにより850℃まで昇温させ、温度が一定になってから30秒間保持した後、電力の供給を止めて冷却した。
【0032】
このようにして製造したタービンローターのシャフトを一定の位置に置いて (8cmの間隔をおいた2点で支持)回転させ、タービン羽根車の最外径の変化の最大値を軸芯の振れとした。(3個の平均) 振れを測定した後、600℃に30分間加熱して空冷する焼戻しを施してから、接合部の捩り試験を行なった。 その結果をD1 2/D0 2(接合部断面積中で凹部が占める割合)、D1−D2(凹部凸部の径の差)およびH1−H2(凸部の深さと凹部の高さの差)の値とともに、表2に示す。 本発明に従い、接合面を凹凸にしてはめ合わせ接合を行なったタービンローターは、比較例1の、接合部を平面にして接合したものにくらべて軸芯の振れが著しく小さいことがわかる。 また、D1 2/D0 0>0.8である比較例3のローターは、接合部のロウ付け面積が小さいため十分な捩り破断トルクが得られなかった。 比較例2のローターはD1−D2>1.0mmであり、凹凸部のはめ合い隙間が大きいことに起因して、接合部が平面の場合と同様に、軸芯の振れが大きかった。
【0033】
【表2】
Figure 0003829388
〔実施例2〕
表3に示した合金組成のTiAl合金を材料として、実施例1と同じ形状・寸法(直径52mm)のTiAl製タービン羽根車を用意した。 これらに、表3に示す、シャフトおよび合金組成のロウ材を組み合わせ、タービンローターを製作した。 シャフト材には実施例1で用いたSNCM439に加えて、JIS−G4311に規定のマルテンサイト系耐熱鋼SUH11を用いた。 接合部は、シャフト材の方が凹で、D1=8mm、H1 =6mmとし、TiAl羽根車は凸で、D2=7.9mm、H2=1mmとした。
【0034】
【表3】
Figure 0003829388
ロウ材には、JIS−Z3251に規定の銀ロウである「BAg−7」および「13A」と、Ag−35.3Cu−1.7Ti(wt%)の組成を有する銀ロウ「A」を、また、JIS−Z3265に規定のニッケルロウである「BNi−3」と、Cu−10Co−31.5Mn(wt%)の組成を有する銅ロウ「B」と、Ti−15Ni−15Cu(wt%)の組成を有するチタンロウ「C」とを用いた。
【0035】
接合は、実施例1と同様に高周波加熱によって行ない、接合部には0.5kgf/mm2 の圧力をかけた。 接合部はロウ材の液相線温度+50℃の温度まで加熱し、温度が一定になってから30秒間保持した後、電力の供給を止めて冷却した。
【0036】
得られたタービンローターは、接合ままのものと、表4に示す各条件でそれぞれ焼入れ・焼戻しを施してから接合部を直径16mmに機械加工したものについて、捩り試験を室温で実施した。 その結果を、表4に示す。 本発明のタービンローターは、接合ままのものも焼入れ・焼戻しをしたものも、10 kgf・m以上の捩り破断トルクを有し、十分な強度を示した。
【0037】
一方、比較例1〜3のローターは、ロウ材の液相線温度がシャフトのオーステナイト化温度と同等であるかまたはそれより低いため、焼入れ・焼戻し後は熱処理前にくらべて強度が著しく低下して、タービンローターとしては不満足なものであった。
【0038】
【表4】
Figure 0003829388
〔実施例3〕
実施例2の本発明No.5と同じ TiAl製タービン羽根車、シャフト材およびロウ材を用いて、同じ条件でシャフトの接合を行ない、続いて焼入れを行なった。 焼入れは、シャフト全体を高周波誘導によって加熱し、加熱・保持して接合を完了したところで、耐熱ガラス製の冷却ガス吹き出しノズルから高圧のArガスをシャフトに吹きつけて、シャフトを急冷することにより行なった。
【0039】
このようにして製造したタービンローターは、室温で接合部の捩り試験を行なうとともに、シャフトの硬さを測定した。 室温における捩り破断トルクは13.7kgf・mと十分な強度を示し、シャフトの表層硬さはHRC55と十分な焼入れ硬さを示した。
【0040】
〔実施例4〕
実施例1の本発明No.3に示した、接合部に空洞を有するタービンローターと、やはり実施例1の比較例No.1の、接合部が平面で空洞を有しないタービンローターとを対象に、接合部外径D0 =15mmのローターに機械加工し、軸受け部を高周波焼き入れしてターボチャジャーを試作した。 エンジン実用試験はディーゼルエンジンを用い、エンジン回転数4000rpm で耐久試験を実施した。 100時間後、比較例No.1の空洞のないタービンローターの軸受け部は一部変色し、温度が高まったことを示したが、本発明No.3の空洞を有するローターの軸受け部には変色は認められず、温度が高まらなかったことが確認された。
【0041】
【発明の効果】
本発明により、耐熱性に優れたTiAlローター羽根車の芯と構造用鋼または耐熱鋼のシャフトの芯とが精度よく合致し、かつシャフトとローター羽根車の接合強度が高いTiAl製タービンローターが提供される。 その製造コストは既有のものより低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のTiAl製タービンローターの側面図。
【図2】 図1のTiAl製タービンローターの羽根車基部とシャフト端部との、接合に先立つ各部の形状を示す縦断面図。
【図3】 図2に続く、接合後の段階を示す縦断面図。
【図4】 接合部分の、図3とは別の態様を示す縦断面図。
【図5】 AおよびBともに、接合部分のさらに別の態様を示す縦断面図。
【符号の説明】
a TiAl製タービン羽根車
b シャフト
c 接合部
d ロウ材
0 シャフトの外径
1 凹部の内径
2 凸部の外径
1 凹部の深さ
2 凸部の高さ

Claims (9)

  1. 精密鋳造により製造したTiAl製タービン羽根車にローターシャフトを接合したタービンローターにおいて、シャフト材料として構造用鋼またはマルチンサイト系耐熱鋼を使用し、羽根車基部とシャフト端部にそれらの輪郭と同心円状の凹部(または凸部)および凸部(または凹部)を形成して凹部と凸部とをはめ合わせ、凹凸の外側のリング状部分をロウ付けにより接合してなり、ロウ材として、Ag,Ni,CuまたはTiを主成分とする融点が800℃以上の合金からなり、その液相線温度がシャフト材料のオーステナイト化温度より高いものを使用し、ロウ付けを、ロウ材と被接合部材との界面に0.01kgf/mm2以上であって接合温度における被接合部材の降伏応力以下である圧力を加え、不活性ガスまたは還元性ガスの雰囲気中で、高周波誘導加熱によって接合界面付近をロウ材の液相線温度以上であって液相線温度+100℃以下である温度に加熱・保持しつつ、90秒以内に完了したことを特徴とするTiA1製タービンロ一タ。
  2. タービン羽根車を構成するTiAlが、重量で、Al:31〜35%を含有し残部が実質上Tiである合金組成を有する請求項1のTiAl製タービンローター。
  3. タービン羽根車を構成するTiAlが、請求項2に記載の合金成分に加えて、Cr,MnおよびVからえらんだ1種または2種以上(2種以上の場合は合計で):0.2〜4%を含む合金組成を有する請求項2のTiAl製タービンローター。
  4. タービン羽根車を構成するTiAlが、請求項2または3に記載の合金成分に加えて、Nb,Ta,WおよびReからえらんだ1種または2種以上(2種以上の場合は合計で):0.2〜10%を含む合金組成を有する請求項2または3のTiAl製タービンローター。
  5. タービン羽根車を構成するTiAlが、請求項2ないし4のいずれかに記載の合金成分に加えて、Si:0.01〜1.00%を含む合金組成を有する請求項2ないし4のいずれかのTiAl製タービンローター。
  6. タービン羽根車を構成するTiAlが、請求項2ないし5のいずれかに記載の合金組成を有し、Zr:1.0%未満、Fe:1.0%%未満、C:0.2%未満、O:0.2%未満、かつN:0.2%未満である請求項2ないし5のいずれかのTiAl製タービンローター。
  7. ロウ付けされたリング状部分の面積が接合部の断面積の20%以上を占める請求項1ないしのTiAl製タービンローター。
  8. 凹部の深さが凸部の高さより大きく、接合部分の内部に空洞が形成されている請求項1ないしのTiAl製タービンローター。
  9. シャフトが焼入れ・焼戻しされ、かつ表面硬化処理を受けている請求項1ないしのTiAl製タービンローター。
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