JP2003097213A - セラミック製タービンローター - Google Patents

セラミック製タービンローター

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JP2003097213A
JP2003097213A JP2001292300A JP2001292300A JP2003097213A JP 2003097213 A JP2003097213 A JP 2003097213A JP 2001292300 A JP2001292300 A JP 2001292300A JP 2001292300 A JP2001292300 A JP 2001292300A JP 2003097213 A JP2003097213 A JP 2003097213A
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collar
shaft
turbine
ceramic
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Kazusane Katsuyama
和実 勝山
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セラミック製タービンローターにおける修正前
の初期動的アンバランスの量が小さく、研削除去量の少
ないタービンローターの接合方法を提供する。 【解決手段】セラミック製のタービン羽車1aを有する
回転体1と、該回転体1の回転軸部1bの外周に固定さ
れたカラー2と、該カラー2に接合されたタービンシャ
フト3とからなるセラミック製タービンローターであっ
て、上記カラー2の外周端部に凹部2aを有し、且つタ
ービンシャフト3の外周端部に凸部3aを有する段差部
4を設け、該段差部4の軸芯側及び外周側の2つの当接
面で上記カラーと突き合わせるともに、電子ビーム溶接
によって接合してなることを特徴とするセラミック製タ
ービンローター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック製のタ
ービン羽車を備えた自動車等のエンジンに装着され超高
速回転にて作動するセラミック製タービンローターに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】各種の産業機械装置における高温ガス流
体が作用するタービンローターには、耐熱性、耐摩耗
性、耐蝕性に優れたNi基耐熱合金である低熱膨張金属
や工具鋼等が使用されてきた。また、近年では、機械的
強度、耐熱性、耐摩耗性に優れた比重が小さく応答性の
良いセラミックス、とりわけジルコニア、窒化珪素、サ
イアロン、炭化珪素等の焼結体を適用した種々のセラミ
ック製タービンローターが提案されてきた。
【0003】ところが、セラミックス材料のみでエンジ
ン部品のような機械部品を形成することは難しく、一般
には、セラミック製のタービン羽車を有する回転体とシ
ャフトとなる金属製部材とを結合した複合構造体として
用いられている。
【0004】例えば、自動車エンジンに搭載されるセラ
ミック製タービンローターは、図4に示すように、回転
軸部の外周にセラミック製のタービン羽車11aを有す
る回転体11と、該回転体11の回転軸部11bの外周
にロウ材で固定されたNi基耐熱合金である低熱膨張金
属からなるカラー12と、該カラー12に電子ビーム溶
接により接合されたクロム鋼、クロム・モリブデン鋼等
の耐熱金属からなるタービンシャフト13で構成されて
おり、上記カラー12の端面及びタービンシャフト13
の端面は、両者を当接させた状態で上下から圧着し、回
転させながら電子ビームを固定して照射し、両端面の当
接部外周から一定の深さまで溶融させて電子ビーム溶接
される。
【0005】このようなセラミック製タービンローター
は、排気ガスをタービン羽車11aに当てることによっ
て回転体11を例えば5〜15万rpm程度の高速で回
転駆動させ、タービンシャフト13の他端に装着されて
いるコンプレッサー側のローターが連動回転して空気を
エンジンに過給する、あるいは排気ガスの一部をエンジ
ンに供給する仕組みである。
【0006】また、上記セラミック製タービンローター
は、高温・高速回転(約900℃、5〜15万rpm)
に曝されるため、回転軸線周りにおける質量のアンバラ
ンスが極めて微少であっても、非常に大きな振動や軸受
けの耐摩耗が生じ、その結果、回転振動音の発生や、長
期間の使用に供することができなくなるだけでなく、セ
ラミック製タービンローターに大きな曲げモーメントが
作用し、タービン羽車11aがタービン室の壁面に接触
してセラミック製タービンローター自体を破損させ、さ
らには装置全体をも破壊する重大な事態を招くことにな
る。
【0007】従って、高速回転をするセラミック製ター
ビンローターは高精度な動的バランスを必要とし、動的
バランスの修正は、回転体11の回転軸部11aとター
ビンシャフト13との芯出し仕上げ加工が終了した後、
動的アンバランスの円周上の方向とアンバランスの量を
計測し、これに基づいて回転体11のタービン羽車11
aのトップ側、ボトム側の修正面を、各々研削除去する
ことにより行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4に
示すようなセラミック製タービンローターは、カラー1
2及びタービンシャフト13の当接面が平面状であるた
め、両者を電子ビーム溶接によって接合する際、電子ビ
ームの照射によってカラー12及びタービンシャフト1
3の当接面の一部が溶融するため、上下からの圧着力に
耐えきれなくなり、電子ビームの照射開始位置に向かっ
て傾きや、軸ずれが発生しやすく、セラミック製タービ
ンローターが偏芯して動的アンバランスの量が大きくな
るという欠点を有していた。
【0009】また、上記動的アンバランスの量が大きく
なるのにともなって、回転体11のタービン羽車11a
を研削除去する量が増加するため、硬度がHv硬度(荷
重0.98N)で15GPaと非常に高いセラミックス
からなるタービン羽車を研削する際、ダイヤモンド砥石
を用いても容易に速く研削加工することができず、加工
時間の増大を招くという欠点を有していた。
【0010】また、回転体を5〜15万rpmの高速回
転させた際、回転時の重量バランスのずれによって回転
のモーメントによる大きな応力が発生し、溶融部に亀裂
が発生した場合、その進展は速く、溶融部における強度
が低下し、タービンローターの破損を招くという欠点を
有していた。
【0011】本発明は、上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的はセラミック製タービンローターにおける
カラー及びタービンシャフトの電子ビーム溶接時の傾き
を防止して、動的アンバランスの量が小さく研削除去量
の少ないセラミック製タービンローターを提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック製タ
ービンローターは、セラミック製のタービン羽車を有す
る回転体と、該回転体の回転軸部の外周に固定されたカ
ラーと、該カラーに接合されたタービンシャフトとから
なるセラミック製タービンローターであって、上記カラ
ーの外周端部に凹部を有し、且つタービンシャフトの外
周端部に凸部を有する段差部を設け、該段差部の軸芯側
及び外周側の2つの当接面で上記カラーと突き合わせる
ともに、電子ビーム溶接によって接合してなることを特
徴とするものである。
【0013】また、本発明のセラミック製タービンロー
ターは、上記カラー及びタービンシャフトの軸芯側の当
接面から外周側の当接面までの距離をA、上記回転軸部
の端面から上記軸芯側の当接面までの距離をBとしたと
き、A≧0.6mm、且つA<Bであることを特徴とす
るものである。
【0014】本発明のセラミック製タービンローターに
よれば、カラーの外周端部に凹部を、タービンシャフト
の外周端部に凸部を有する段差部を設け、該段差部の軸
芯側及び外周側の2つの当接面で上記カラーと突き合わ
せるとともに、電子ビーム溶接によって接合してなるこ
とから、電子ビーム溶接時に電子ビームが照射されるこ
とによって、外周側の当接面に溶融部が形成され、軸芯
側の当接面が位置合わせをするとともに、上下からの圧
着力を保持することによって、カラーやタービンシャフ
トが傾くのを防止し電子ビーム溶接後の回転体とタービ
ンシャフトとの同軸度が小さくなり、初期動的アンバラ
ンス量が小さくバランスを修正する際の研削除去量を少
なくすることができる。
【0015】また、回転体を5〜15万rpmの高速回
転させた際、回転時の重量バランスのずれによって回転
のモーメントによる大きな応力が発生したとしても、そ
の応力をカラーの凹部における軸芯側の側壁によって有
効に抑止するため溶融部に破断が生じるのを有効に防止
し、また、溶融部に亀裂が発生したとしても、段差部に
よって亀裂の進展を停留させることができることから、
溶融部における強度が高く、長期間の使用に供すること
ができる。
【0016】またさらに、上記カラー及びタービンシャ
フトの軸芯側の当接面から外周側の当接面までの距離を
A、上記回転軸部の端面から上記軸芯側の当接面までの
距離をBとしたとき、A≧0.6mm、且つA<Bであ
ることから、電子ビーム溶接時の熱が、軸芯側の当接面
及び回転軸部の外周にカラーを固定しているロウ材に作
用しても、当接面の変形や、ロウ材が溶融することな
く、溶融部における強度をより高いものに維持すること
ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に
基づいて説明する。
【0018】図1は、本発明のセラミック製タービンロ
ーターの一実施形態を示す断面図であり、1はタービン
羽車1a及び回転軸部1bを有する回転体、2は回転体
1の回転軸部1bの外周にろう付けされたカラー、3は
カラー2に溶接されたタービンシャフトである。
【0019】上記タービン羽車1aを有する回転体1
は、窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体等から成り、
例えば窒化珪素質焼結体から成る場合、主成分としての
窒化珪素に焼結助剤としての酸化イットリウム(Y
23)等の希土類元素酸化物を2〜10重量%、酸化ア
ルミニウム(Al23)を1〜5重量%、酸化珪素(S
iO 2)を1〜5重量%、タングステン金属の化合物を
0.2〜2重量%添加混合して、原料粉末を調整し、し
かる後この原料粉末を、鋳込成形法等により所定形状に
成形し、脱型、乾燥した後に0.2026〜2.026
MPaの窒素雰囲気中約1700℃〜1900℃で焼成
するとともに、外形加工を施すことによって製作され
る。
【0020】上記回転体1は、窒化珪素質焼結体で形成
しておくと、該窒化珪素質焼結体は、高温強度が高く、
耐熱衝撃性に優れており、金属に比較して比重が小さい
ため、セラミック製タービンローターの回転中のモーメ
ントを容易に調整することができ、耐久性の高いセラミ
ック製タービンローターを提供することができる。
【0021】また、上記回転体1は、その外周にタービ
ン羽車1aを有しており、該タービン羽車1aに排気ガ
スを当てることによって回転体1が例えば5〜15万r
pm程度の高速で回転する。
【0022】さらに、上記回転体1は、その回転軸部1
bの外周に環状のカラー2がロウ材を介して固定されて
おり、該カラー2は回転体に後述するタービンシャフト
3を接合する際の補助部材として作用する。
【0023】上記カラー2は、インコロイアロイと称さ
れるNi基耐熱合金である低熱膨張金属からなり、回転
体1の回転軸部1bの外周に配置するとともに、回転軸
部1bの外周とカラー2内部との間に溶融したろう材を
流入させ、カラー2の内面に接合させるとともに、固化
に伴う体積収縮を利用し、回転軸部1bの外周に強固に
固定する。
【0024】上記カラー2は、Ni基耐熱合金で形成し
ておくと、該Ni基耐熱合金は、耐熱、耐食、応力腐食
割れ抵抗に優れ、また高温時でのクリープ破断強さが大
きいため、約900℃近くまで達する排気ガスにも耐え
ることができる。
【0025】また、上記カラー2を回転体1の回転軸部
1bの外周に固定するロウ材としては、例えば、JIS
−Z3261−1976に銀ロウ材として使用されてい
るBAg−8(Ag:71〜73%,Cu:27〜29
%)が好適である。
【0026】上記カラー2は、またその端面にタービン
シャフト3の端面が電子ビーム溶接されており、回転体
1の回転に連動して回転するよう構成されている。
【0027】上記タービンシャフト3は、クロム鋼、ク
ロム・モリブデン鋼、ニッケル・クロム・モリブデン鋼
等で形成されており、特にクロム鋼は、耐熱性に優れて
強靱鋼であり、粘りがあるためセラミック製タービンロ
ーターの高速回転時のバランスが良く、スムーズな回転
を得ることができるため好適に使用し得る。
【0028】本発明においては図2(a)に示すよう
に、上記カラー2の外周端部に凹部2aを有し、且つタ
ービンシャフト3の外周端部に凸部3aを有する段差部
4を設け、該段差部4の軸芯側の当接面5及び外周側の
当接面6で突き合わせ、電子ビーム溶接によって接合し
てなることが重要である。
【0029】上記タービンシャフト3のカラー2への溶
接は、図3に示すような電子ビーム溶接を採用すること
によって行われており、具体的にはカラー2の端面にタ
ービンシャフト3の端面を当接させた状態で上下から圧
着し、しかる後、両端面の当接部外周に電子ビームを収
束レンズ電流で焦点を合わせて照射し、カラー2とター
ビンシャフト3の当接する両端面の当接部外周から一定
の深さまで円周上に互いに溶融させ一体的させることに
よって行われる。
【0030】上記カラー2及びタービンシャフト3を軸
芯側の当接面5及び外周側の当接面6で突き合わせるこ
とによって、図2(b)に示すように電子ビーム溶接の
際、電子ビームを照射し、外周側の当接面6に溶融部7
が形成される。この溶融部7の形成とともにカラー2及
びタービンシャフト3の一部が溶融したとしても、軸芯
側の当接面5が上下からの圧着力を保持することから、
傾きを有効に防止することができる。
【0031】その結果、電子ビーム溶接後の回転体1の
回転軸部1bとタービンシャフト3の同軸度が小さく、
回転軸に対する質量分布が均一であり、セラミック製タ
ービンローターと、回転軸部1bとタービンシャフト3
との接合体の芯出し仕上げ加工が終了した後に計測する
初期動的アンバランスの量が小さいため、回転体1のア
ンバランス部を削りとる研削除去量を少なくすることが
でき、高精度なバランスを有するセラミック製タービン
ローターを提供することができる。
【0032】また、セラミック製タービンローターを5
〜15万rpmで高速回転させた際、回転時の重量バラ
ンスのズレや、回転のモーメントによる大きな応力が発
生したとしても、その応力は軸芯側の当接面5と及びそ
の軸芯側の側壁が位置決めの作用をなし、上記応力を抑
止しして、溶融部7に破断を生じることはなく、さら
に、溶融部7に亀裂が発生したとしても、段差部4によ
って亀裂の進展を停留させることができ、溶融部7の強
度を高いものに維持することができる。
【0033】またさらに、上記カラー2及びタービンシ
ャフト3の軸芯側の当接面5から外周側の当接面6まで
の距離をA、上記回転軸部1bの端面から上記軸芯側の
当接面5までの距離をBとしたとき、A≧0.6mm、
且つA<Bであることが好ましく、軸芯側の当接面5及
び回転軸部1bの外周にカラー2を固定しているロウ材
に作用しても、当接面の変形や、ロウ材の溶融がなく、
溶融部7における強度をより高いものに維持することが
できる。
【0034】上記軸芯側の当接面5から外周側の当接面
6までの距離Aが0.6mm未満となると、電子ビーム
溶接時の熱が軸芯側の当接面5に作用し、変形しやす
く、上下からの圧着力を保持しきれなくなり、カラー2
及びタービンシャフト3との間に傾きが発生し、同軸度
が大きくなる恐れがある。また、中心側の当接面5から
外周側の当接面6までの距離A及び回転軸部1bの端面
から軸芯側の当接面5までの距離Bの関係において、A
がBより大きくなると、電子ビーム溶接時の熱が、回転
軸部1bの外周にカラー2を固定しているロウ材に作用
しやすく、ロウ材が溶融し、セラミック製タービンロー
ターの同軸度が悪化するという恐れがある。
【0035】従って、上記軸芯側の当接面5から外周側
の当接面6までの距離A、回転軸部1bの端面から軸芯
側の当接面5までの距離Bにおいて、A≧0.6mm、
且つA<Bであることが好ましく、特にBを2.5mm
以下とすることによって、回転軸部1bに固定されたカ
ラー2を、曲げ応力および回転時の振動を抑制すること
ができる。さらに、カラー2及びタービンシャフト3の
当接面である凹凸部を容易に、且つ精度良く加工するこ
とができる。
【0036】また、上記Aは、Bの40〜80%として
おくことがより好ましく、カラー2とのロウ付け部を溶
融部7からの距離を確保し、カラー2とタービンシャフ
ト3の位置決め精度を高ものに保持することができる。
【0037】さらに、図2に示すように、カラー2の凹
部2a及びタービンシャフト3の凸部3aの幅Cは、カ
ラー2の厚みtの30〜80%とすることが好ましい。
該厚みCがカラーの厚みtの30%未満となると、電子
ビーム溶接後の溶融部7の幅が小さく、溶接強度が低下
する。一方、80%を越えると、軸芯側の当接面5の厚
みが非常に小さくなり、電子ビーム溶接時の熱によって
同軸度が悪化する恐れがある。
【0038】かくして、本発明のセラミック製タービン
ローターによれば、例えば自動車エンジンの排気ガス流
路の途中に搭載され、回転体を5〜15万rpm程度の
高速で回転させ、タービンシャフト3の他端に装着され
ているコンプレッサー側のローターを連動回転させて、
空気をエンジンに過給したり、排気ガスの一部をエンジ
ンに供給したりすることによって、エンジンの燃焼効率
等の改善が図れるようになっている。
【0039】
【実施例】以下、本発明の作用効果を実施例に基づいて
説明する。
【0040】(実施例1)まず、図1に示すようなセラ
ミック製タービンローターを得るため、回転体1を窒化
珪素質焼結体で、カラー2をインコロイアロイと称され
るNi基耐熱合金で、タービンシャフト3をクロム鋼
(SCR440)で形成し、表1に示す如く寸法を有す
る上記カラー2の外周端部に凹部2aを有し、且つター
ビンシャフト3の外周端部に凸部3aからなる段差部4
を設け、該段差部4の軸芯側の当接面5及び外周側の当
接面6で突き合わせた状態で、上下から圧着し、しかる
後、外周側の当接面6の外周に電子ビームを収束レンズ
電流で焦点を合わせて照射し、カラー2とタービンシャ
フト3の外周から一定の深さまで円周上に互いに溶融さ
せ溶融部7を形成することによって接合して本発明の各
種セラミック製タービンローター試料を準備した。
【0041】また、比較例として図3に示すように、カ
ラー2及びタービンシャフト3に段差部を有しないター
ビンローターを上述と同様に作製した。
【0042】そして、上記各試料の回転体1とタービン
シャフト3の同軸度を測定評価した。
【0043】また、各試料を芯出し仕上げ加工終了後、
初期動的アンバランスの量を測定評価した。
【0044】さらに、上記各試料の溶接強度を調べるた
め、破断荷重(片持強度)を測定した。破断荷重の測定
は、図5に示すような片持強度測定装置8に、タービン
シャフト3を強固に固定し、回転体1の先端部9に、回
転軸の軸方向に対して直角に荷重を加える(図5の矢印
K参照)。そして、カラー2とタービンシャフト3の溶
融部7に破断が生じたときの荷重を溶接強度として評価
した。
【0045】上記の結果を表1に示す。
【0046】なお、表1中のAは、上記カラー及びター
ビンシャフトの軸芯側の当接面から外周側の当接面まで
の距離、Bは上記回転軸部の端面から上記軸芯側の当接
面までの距離を示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1より明らかなように、カラー及びター
ビンシャフトに段差部を設けていない比較試料(番号2
0)は、電子ビーム溶接後の回転体とタービンシャフト
の同軸度が0.276(mm)と非常に大きく、動的ア
ンバランスの量はT0P側で0.098(g・cm)、
BOTTOM側で0.156(g・cm)と大きい。ま
た、溶接強度は2180(N)と低いことが判る。これ
は、カラーとタービンシャフトが1つの平面状の当接面
を突き合わせてなることから、電子ビームの照射によっ
て溶融部を形成する際、上下からの圧着力に耐えきれな
くなり、電子ビームの照射開始位置に向かって傾きが発
生するとともに、電子ビーム溶接された回転体とタービ
ンシャフトが回転軸に対する質量分布が非対称となり、
ローターが偏芯して回転することに起因すると考えられ
る。
【0049】これに対し、カラー及びタービンシャフト
に段差部を設けて溶接した試料(番号1〜19)は、回
転体とタービンシャフトの同軸度が0.0008〜0.
173(mm)と比較例の同軸度に対して60%以上小
さくすることができ、動的アンバランスの量はT0P側
で0.011〜0.068(g・cm)、BOTTOM
側で0.021〜0.116(g・cm)と小さくなる
ことが判る。また、溶接強度は2450〜2920
(N)と非常に大きく、比較例に対し15%以上大きく
することができることが判った。
【0050】特に、A/Bが0・4〜0.8となってい
る試料(番号7,8,13,14,17,18)は、回
転体とタービンシャフトの同軸度が0.0008〜0.
011(mm)、溶接強度が2890〜2920(N)
と非常に大きくなっていることが判った。
【0051】
【発明の効果】本発明のセラミック製タービンローター
によれば、カラーの外周端部に凹部を、タービンシャフ
トの外周端部に凸部を有する段差部を設け、該段差部の
軸芯側及び外周側の2つの当接面で突き合わすととも
に、電子ビーム溶接によって接合してなることから、電
子ビーム溶接時に電子ビームが照射されることによっ
て、外周側の当接面に溶融部が形成され、軸芯側の当接
面が位置合わせをするとともに上下からの圧着力を保持
してカラーやタービンシャフトが傾くのを防止し電子ビ
ーム溶接後の回転体とタービンシャフトとの同軸度が小
さくなり、初期動的アンバランス量の小さい、研削除去
量の少ないタービンローターを提供することが可能とな
る。
【0052】また、回転体を5〜15万rpmの高速回
転させた際、回転時の重量バランスのずれによって回転
のモーメントによる大きな応力が発生したとしても、そ
の応力をカラーの凹部における軸芯側の側壁によって有
効に抑止するため溶融部に破断が生じるのを有効に防止
し、また、溶融部に亀裂が発生したとしても、段差部に
よって亀裂の進展を停留させることができることから、
溶融部における強度が高く、長期間の使用に供すること
ができる。
【0053】またさらに、上記カラー及びタービンシャ
フトの軸芯側の当接面から外周側の当接面までの距離を
A、上記回転軸部の端面から上記軸芯側の当接面までの
距離をBとしたとき、A≧0.6mm、且つA<Bであ
ることから、電子ビーム溶接時の熱が、中心側の当接面
及び回転軸部の外周にカラーを固定しているロウ材に作
用しても、当接面の変形や、ロウ材の溶融がなく、溶融
部における強度をより高いものに維持することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック製タービンローターの一実
施形態を示す平面図である。
【図2】(a)、(b)は本発明のセラミック製タービ
ンローターの要部拡大断面図である。
【図3】電子ビーム溶接の説明図である。
【図4】従来のセラミック製タービンローターの要部拡
大断面図である。
【図5】本発明のセラミック製タービンローターの片持
強度測定装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1:回転体 1a:タービン 1b:回転軸部 2:カラー 2a:凹部 3:タービンシャフト 3a:凸部 4:段差部 5:軸芯側の当接面 6:外周側の当接面 7:溶融部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック製のタービン羽車を有する回転
    体と、該回転体の回転軸部の外周に固定されたカラー
    と、該カラーに接合されたタービンシャフトとからなる
    セラミック製タービンローターであって、上記カラーの
    外周端部に凹部を有し、且つタービンシャフトの外周端
    部に凸部を有する段差部を設け、該段差部の軸芯側及び
    外周側の2つの当接面で上記カラーと突き合わせるとと
    もに、電子ビーム溶接によって接合してなることを特徴
    とするセラミック製タービンローター。
  2. 【請求項2】上記カラー及びタービンシャフトの軸芯側
    の当接面から外周側の当接面までの距離をA、上記回転
    軸部の端面から上記軸芯側の当接面までの距離をBとし
    たとき、A≧0.6mm、且つA<Bであることを特徴
    とする請求項1に記載のセラミック製タービンロータ
    ー。
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