JP3829172B2 - 吸遮音体及び足場併用型の吸遮音壁体 - Google Patents

吸遮音体及び足場併用型の吸遮音壁体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として車両等の走行に伴う騒音を遮音及び吸音するために、高速道路や鉄道の沿線等に沿って設置される防音壁として、また橋梁や高架橋、掘割、半地下道路等の構造体の下面部や天井面等に吊設される吸遮音壁体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の吸音体としては、例えば特開平4−174109号公報に記載されている如く、金属繊維マットの両面をパンチングメタルやエキスパンドメタルのような多孔板で挟んで圧縮成形してなる吸音板を、円筒形に成形して筒状体を形成し、その内部にグラスウールやロックウール等の多孔質吸音材を挿入して筒状の吸音体を形成したもの(これを従来技術1という)、また特開平3−290514号公報に記載されている如く、発泡アルミニウムからなる金属多孔質吸音体により多孔板を形成し、その多孔板を筒状体に加工して筒状の吸音体を形成したもの(これを従来技術2という)があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような従来技術1,2の吸音体には次のような問題点があった。
【0004】
すなわち、特開平4−174109号公報や特開平3−290514号公報に記載された吸音体は、筒状体自体が金属多孔質吸音材により形成されているが、この金属多孔質吸音体は軽量という特徴を有しているものの強度が非常に弱く、従って運搬や施工時等に局所的な衝撃が加わると、へこみ、曲がり等の変形が生じ、扱いにくいものであった。また、金属多孔質吸音体は、それ自体のコストが高い上に、加工しにくいこの金属多孔質吸音体をさらに筒状に加工して組み立てるため、組み立てが容易でなく、製品として出来上がった吸音体は非常に高価なものとなっていた。
【0005】
そこで、このような問題に対処するために、特開平7−82708号公報や特開平7−90816号公報に記載されている如く、まずパンチングメタルからなる多孔板を筒状に加工して、周壁に多数の開口部を有する筒状体を形成し、その筒状体内にグラスウールやロックウール等の多孔質吸音材を長手方向に沿って挿入してなる吸音体(これを従来技術3という)が提案されている。
【0006】
しかしながら、この従来技術3の吸音体においても、パンチングメタルの板厚が薄ければ、従来技術1,2の吸音体と同様に局所的な衝撃が加わると、へこみ、曲がり等による塑性変形を起こして元に戻らず、逆に板厚を厚くすると重量的に重くなり、その吸音体を取り付ける構造体への負担が大きくなるといった問題があった。また、パンチングメタルはそれ自体安価であるものの、やはりこのパンチングメタルを筒状に加工して組み立てるのが容易ではなく、また構造も複雑となり、製品として出来上がった吸音体は、同様に高価なものとなっていた。
【0007】
さらに、この吸音体を高架橋の桁裏面等に複数個並設して吊設した場合、設置後のメンテナンス等のために桁内部に作業員が入ろうとしても、パンチングメタルの板厚を非常に厚くしないと、この吸音体の上に作業員が直接乗ることができず、また乗れたとしても、足場となる面が平坦面でないことから安定した状態で作業ができず、メンテナンスの点からも問題があった。
【0008】
さらにまた、従来技術1,2,3の如き形状の吸音体を高架橋の桁裏面等に複数個並設して吊設しただけでは、路面を通して漏れてくる高架道路上を走行する車両の騒音や、地上道路を走行する車両の騒音を広範囲にかつ確実に吸音又は遮音することができず、吸音効果及び遮音効果が十分ではないといった問題もあった。
【0009】
本発明は係る問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、軽量かつ安価であり、組み立てや着色化が容易であり、局所的な衝撃に強く、十分な吸音効果及び遮音効果が得られ、設置後のメンテナンス等が容易に行える吸遮音体及び足場併用型の吸遮音壁体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1記載の吸遮音体は、断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部と、周壁に多数の開口部を有する断面がU字形状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部とが一体的に連設されるとともに、前記上枠部内に平板形状の吸音材が長手方向に沿って挿入され、前記下枠部内に円筒形状の吸音材が長手方向に沿って挿入されたものである。
【0011】
また、本発明の請求項2記載の吸遮音体は、請求項1記載のものにいて、前記下枠部の底面部分と円筒形状の前記吸音材との間に、下枠部と吸音材との接触を防止するための支持部材が挿入されたものである。
【0012】
また、本発明の請求項3記載の吸遮音体は、断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部と、周壁に多数の開口部を有する断面が半円状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部とが一体的に連設され、前記上枠部内に平板形状の吸音材が長手方向に沿って挿入されるとともに、この吸音材は前記上枠部内の下部に若干の隙間を残して挿入されており、この隙間と前記下枠部内の空間とで騒音の減衰空間が形成されているものである。
【0013】
また、本発明の請求項4記載の吸遮音体は、請求項1、2又は3記載のものにおいて、前記下枠部の周壁に形成された開口部の開口率を50%以上としたものである。
【0014】
また、本発明の請求項5記載の足場併用型の吸遮音壁体は、請求項1、2、3又は4記載の吸遮音体を、構造体の下面部や天井面に複数個並設して吊設することにより、隣接する吸遮音体の上枠部の上面をぼぼ平坦面に形成したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の吸遮音体の実施の一形態を示す断面図、図2は図1に示す吸遮音体の側面図、図3及び図4は下枠部の断面図及び底面図、図5及び図6は本発明の吸遮音体の組み立て手順を示す斜視図、図7は上枠部に下枠部を連設した状態の断面図、図8は吸遮音体の縦断面図である。
【0017】
この吸遮音体Pは、断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部1と、周壁に多数の開口部3,3・・・を有する断面がU字形状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部2とで枠体が形成されている。そして、上枠部1内に平板形状の吸音材(以下、平型吸音材という)4が長手方向に沿って挿入され、下枠部2内に円筒形状の吸音材(以下、筒型吸音材という)5が長手方向に沿って挿入されたものである。また、上枠部1及び下枠部2の両端部には、端部カバー6,6がそれぞれ取り付けられた構造となっている。因みに、この吸遮音体Pの平面から見た有効面積は、300mm×2000mmである。
【0018】
上枠部1は、箱を伏せたような形状であって、その上面11には、後述する高架道路の橋梁等に取り付けるための入口が幅狭となされた取付溝部12,12が、両側部の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。また、両垂下片13,13には、その内面側に袋状溝部14,14が長手方向の全長にわたってそれぞれ形成されている。また、垂下片13,13の前後両端部には、後述する端部カバー6,6を取り付けるためのタップスクリュー受け部15,15が複数箇所(本実施形態では左右2箇所の計4箇所)に形成されている。
【0019】
このような構造の上枠部1は、アルミ板折り曲げ材、アルミ引き抜き材、FRP成形材、FRP引き抜き材等によって形成することができる。
【0020】
下枠部2は、U字形状に形成された下枠本体21の両側縁部を左右外方向にそれぞれ延設し、その延設端部をさらに上方に延設して、上枠部1の袋状溝部14,14に挿入する嵌入片22,22が形成されている。また、嵌入片22,22には、袋状溝部14,14に挿入される突起23,23・・・が長手方向に沿って形成されている。この突起23,23・・・は、袋状溝部14,14から外れず、しかもこの部分にかかる荷重、その他の負荷に耐えうるように、形状、強度等を考慮して設ける必要がある。本実施形態では、長手方向に沿って一定間隔でステンレス製ホッチキスを打ちつけることによって突起23,23・・・を形成している。ただし、これに限定されるものではなく、嵌入片22,22を90度又は180度に折り曲げて突起23を形成してもよい。
【0021】
また、下枠部2の周壁に形成する開口部3,3・・・の開口率を50%以上として、あらゆる角度から入ってくる騒音を有効に吸音できるようにしている。
【0022】
このような構造の下枠部2としては、特にその材質は限定されるものではないが、一般には耐衝撃性に優れたアクリル変成塩化ビニル、ポリカーボネート、FRP等が用いられ、特にアクリル変成塩化ビニルが好ましい。
【0023】
このように、下枠部2を合成樹脂で形成しているので、板厚を厚くしても軽量かつ安価であり、また成形時にコンパウンドに顔料を混合するだけで着色化も自由かつ容易であり、さらに錆等の発生がないため、高架道路の裏面等直射日光が当たらず常に湿気を帯びているような場所にも好適に設置できる。しかも、塑性変形せず局所的な衝撃にも強いものである。
【0024】
なお、合成樹脂は、金属に比べて耐候性が若干劣るため、直射日光に当たる場所に設置される場合は、耐候性の良好な材質を使用するのが好ましい。
【0025】
筒型吸音材5の外径は、下枠部2の内径より若干小径となるように形成されている。つまり、筒型吸音材5の外周面と下枠部2の内周壁面との間に隙間S1が形成されるようになっている。
【0026】
また、筒型吸音材5は中実でもよいが、長手方向に沿って中心部に中空部51が形成されていると、この中空部51で特に低周波域の音が効果的に吸音されるので好ましい。ただし、表面付近の密度を密にし、中心部を粗にした中実であっても、この粗となされた中心部で低周波域の音が効果的に吸音されるので、中空部51を形成した場合と同様の吸音効果が得られるものである。
【0027】
多孔質吸音材である平型吸音材4及び筒型吸音材5の材質としては、アルミ繊維や連続気泡のアルミ発泡体等の金属吸音材であってもよいが、安価で軽量なグラスウールやロックウールの他、連続気泡のポリオレフィン系発泡体、発泡ウレタン等の発泡樹脂、ポリエステル繊維不織布等の樹脂繊維不織布等でもよい。なお、雨水等のかかる場所に用いられるものにあっては、これら多孔質吸音材をポリフッ化フィルム等の防水フィルムで包んだり、溌水処理しておくのが好ましく、特に防水フィルムで包んでおくと、汚れ防止にもなって好ましい。防水フィルムとしては、PVFフィルム等が使用される。
【0028】
端部カバー6は、上枠部1の端部形状に適合する長方形状に形成された上カバー部61と、下枠部2の端部形状に適合する形状に形成された下カバー部62とからなり、下カバー部62の周縁部には、下枠部2の端部に嵌まり合う被覆片63が形成されている。また、下カバー部62には、下枠部2に挿入された筒型吸音材5の中空部51に嵌まり込む円錐状凸部64が形成されている。
【0029】
このような構造の端部カバー6は、下枠部2と同じ合成樹脂材を用いて、樹脂板プレス成形、射出成形等によって形成することが可能である。
【0030】
次に、上記構成の吸遮音体Pの組み立て手順について説明する。
【0031】
上枠部1の一端部と、下枠部2の一端部とを突き合わせるようにして配置(図5参照)し、下枠部2を上枠部1に沿ってスライドさせるようにして、下枠部2の嵌入片22,22を、上枠部1の垂下片13,13に形成された袋状溝部14,14に挿入する。これにより、嵌入片22,22に形成された突起23,23・・・が袋状溝部14,14内に挿入され、袋状溝部14,14の内壁面に係合して、下枠部2が上枠部1に連設される(図7参照)。
【0032】
この後、上枠部1の端部から平型吸音材4を挿入し、下枠部2の端部から筒型吸音材5を挿入する。そして、最後に上枠部1及び下枠部2の両端部にそれぞれ端部カバー6,6を嵌め合わせ、上カバー部61の両端部に、外側から上枠部1のタップスクリュー受け部15,15に対して、タップスクリュー7,7をねじ込んで、吸遮音体Pの組み立てを完了する(図6及び図8参照)。
【0033】
このとき、端部カバー6の円錐状凸部64が筒型吸音材5の中空部51に嵌まり込むことにより、下枠部2の内周壁面と筒型吸音材5の外周面との間に一定の隙間S1を存して、筒型吸音材5が支持されるようになっている。
【0034】
ただし、下枠部2の中央付近では、筒型吸音材5が自重により下方に撓んで、下枠部2の内周壁面と接触する可能性があるので、本実施形態では、下枠部2の中央部分において、下枠部2の内周壁面と筒型吸音材5の外周面との間にスペーサ(支持部材)8を挿入して、一定の隙間S1を確保するようにしている。スペーサ8も、下枠部2と同じ合成樹脂材によって形成する。
【0035】
なお、上記構成の吸遮音体Pを横方向に2個つないで2連型(図9参照)としてもよく、また3個以上つないで多連型としてもよい。
【0036】
図10は、上記構成の吸遮音体Pを、例えば高架道路等の構造体Aの橋梁81に取り付けられた取付枠82に、複数個並設して取り付けることにより、吸遮音壁体80を形成した状態を示している。また、図11は、取付枠82への吸遮音体Pの取り付け構造を示している。
【0037】
すなわち、上枠部1の取付溝部12,12にボルト85の頭部86を摺動可能に嵌入するとともに、取付枠82に穿設された取付孔83に、ボルト85のねじ部87を挿入し、ナット88で締めつけることによって、橋梁81に取り付けられるようになっている。このとき、ボルト85の頭部86を取付溝部12に沿って摺動させることにより、取付枠82の取付孔83に容易に位置合わせすることができる。
【0038】
これにより、各吸遮音体P,P・・・の上枠部1,1・・・の上面11,11・・・によって、隙間の無いほぼ平坦な足場面が形成されるから、これら吸遮音体P,P・・・の上に作業員が直接乗ることができ、安定した状態でメンテナンス作業等を行うことができるものである。
【0039】
また、高架道路の下面を透過した騒音は、足場面となる上枠部1の上面11で遮音され、高架下への拡散が防止される。
【0040】
また、上枠部1に挿入されている平型吸音材4は、高架下の路面を走行する車両の騒音を吸音するとともに、上面11から透過し洩れてきた騒音を吸音する。また、平型吸音材4と筒型吸音材5との組み合わせによって、あらゆる角度から入ってくる騒音(高架下の路面を走行する車両による騒音)を、有効に吸音することができる。
【0041】
また、平型吸音材4と筒型吸音材5との間にできる三角形状の空間S2、及び筒型吸音材5の外周面と下枠部2の内周壁面との間に形成された隙間S1において、残騒音の乱反射による減衰が期待できる。
【0042】
図12乃至図14は、上記した吸音及び遮音効果を確認するための実験結果を示すグラフであり、図12は残響室法吸音率試験(JIS A−1409)による吸音減衰特性を示すグラフ、図13は挿入損失試験及び透過損失試験(JISA−1417)による遮音特性を示すグラフ、図14は斜入射吸音率試験による吸音反射特性を示すグラフである。
【0043】
ここで、図14に示す斜入射吸音率試験の試験方法について説明する。
【0044】
吸遮音体Pの設置が予定されている高架構造物の表面を完全反射面として、表面に吸遮音体Pが取り付けられた場合を想定する。このとき、吸遮音体Pを取り付けたときの効果は、吸遮音体Pがないときの反射音の強さに対して、吸遮音体Pを取り付けたときの反射音の強さの比(音圧反射率)から求めたエネルギー吸音率で評価できる。
【0045】
実際の取り付け場所では、様々な方向から高架構造物の表面に騒音が入射するため、取り付けた吸遮音体Pの法線方向に対する入射角に応じた吸音率をもとに吸遮音体Pの吸音特性を評価する必要がある。
【0046】
反射音を測定する方法としてはいくつかの方法があるが、本実施形態では、測定対象とする周波数成分を有する継続時間の短いパルス音を用い、測定対象とする試料(吸遮音体P)若しくは剛床からの反射音と、音源から直接受音点に達する直接音(不要音)とを時間軸上で分離する方法を用いた。
【0047】
さらに、測定を実施した場所が、通常この種の測定を行う半無音響室等ではなく一般の建物内であるため、S/Nの改善を図る目的で信号圧縮法〔「パーソナルコンピュータを利用した信号圧縮法によるパイプ内音場の測定」日本音響学会誌、40巻3号、146(1984)〕を用いた。
【0048】
すなわち、図15に示すように、試料(吸遮音体P)がない状態での剛床(鉄板6000mm×4500mm×22mm)93の表面から半径3mの円周上に音源91と受音点92とを配置した。試験音の入射角は反射面(剛床)93の法線方向に対して、0°(垂直入射)、15°、30°、45°とした。受音点92の位置は、反射角が入射角に等しいように配置した。ただし、入射角0°のときは受音点92と反射面(剛床)93との距離を2.5mとした。また、試料(吸遮音体P)は、反射面(剛床)93から600mm上方の位置に水平に配置した。このようにして入射吸音率を測定した結果が、図14である。
【0049】
図16は、本発明の吸遮音体Pの他の実施形態を示す断面図である。
【0050】
この吸遮音体Pは、断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部1と、周壁に多数の開口部(図示省略)を有する断面が半円形状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部2aとで枠体が形成されている。そして、上枠部1内に平型吸音材4が長手方向に沿って挿入されている。ただし、平型吸音材4は上枠部1内の下部(正確には、下枠本体21aの両側縁部から左右外方向に延設された延設片21b,21bとの間)に若干(数センチ)の隙間S3を残して挿入されており、この隙間S3と半円形状の下枠本体21aの空間S4とで、乱反射等による騒音の減衰空間S5が形成されている。その他の構成は、図1乃至図9において説明した吸遮音体Pの構成と全く同様であるので、ここでは同じ構成部材に同符号を付すこととし、詳細な説明を省略する。
【0051】
すなわち、本実施形態の吸遮音体Pは、下枠部2aの下枠本体21aを断面U字形状から半円形状とした点、平型吸音材4が上枠部1内の下部(下枠本体21aの延設片21b,21bとの間)に若干の隙間S3を残して挿入されている点、下枠本体21a内に筒型吸音材5が挿入されておらず、隙間S3と下枠本体21a内の空間S4とで、乱反射等による騒音の減衰空間S5が形成されている点、に特徴を有している。
【0052】
そのため、図1乃至図9に示す実施形態の吸遮音体Pでは、下枠本体21に形成された開口部から入った騒音を、筒型吸音材5によって直に近い状態で吸音しているが、本実施形態の吸遮音体Pでは、下枠本体21aに形成された開口部3,3・・・から入った騒音を、減衰空間S5内で乱反射等させて減衰させた後、上枠部1内に挿入された平型吸音材4によって吸音するものである。
【0053】
このように、吸遮音体Pの内部に大きな空間部(減衰空間S5)を形成することで、この空間部を効果的に利用した騒音の減衰が図れるものである。また、図1乃至図9に示す実施形態の吸遮音体Pと同じ高さとした場合、下枠本体21aを断面半円形状とした分、断面U字形状とした場合より下枠本体21aの高さが低くなるため、その分上枠部1の垂下片13,13を長くすることができるので、足場として耐荷重性に優れたものとなる。また、筒型吸音材5を不要としたこと、及び下枠本体21aの表面積を小さくしたこと(U字形から半円形にしたため)によって、低価格化と軽量化とが実現できるものである。
【0054】
図17乃至図20は、図16に示す実施形態の吸遮音体Pの吸音及び遮音効果を確認するための実験結果を示すグラフであり、図17及び図18は残響室法吸音率試験(JIS A−1409)による吸音減衰特性を示すグラフ及び残響時間特性を示すグラフ、図19は挿入損失試験及び透過損失試験(JIS A−1417)による遮音特性を示すグラフ、図20は斜入射吸音率試験による吸音反射特性を示すグラフである。図20に示す斜入射吸音率試験の試験方法は、図15に示す斜入射吸音率試験の試験方法と全く同様である。
【0055】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の吸遮音体は、断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部と、周壁に多数の開口部を有する断面がU字形状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部とを一体的に連設するとともに、上枠部内に平型吸音材を長手方向に沿って挿入し、下枠部内に筒型吸音材を長手方向に沿って挿入した構成としたので、平型吸音材と筒型吸音材との組み合わせによって、あらゆる角度から入ってくる騒音を有効に吸音することができる。また、平型吸音材と筒型吸音材との間にできる三角形状の空間、及び筒型吸音材の外周面と下枠部の内周壁面との間に形成された隙間において、残騒音の乱反射による減衰が期待できる。
【0056】
また、本発明の請求項2記載の吸遮音体は、請求項1記載のものにおいて、下枠部の底面部分と筒型吸音材との間に、下枠部と吸音材との接触を防止するための支持部材を挿入したので、筒型吸音材を自由に振動させることができ、吸音効果を高めることができる。
【0057】
また、本発明の請求項3記載の吸遮音体は、断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部と、周壁に多数の開口部を有する断面が半円状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部とが一体的に連設され、前記上枠部内に平板形状の吸音材が長手方向に沿って挿入されるとともに、この吸音材は上枠部内の下部に若干の隙間を残して挿入されており、この隙間と下枠部内の空間とで騒音の減衰空間を形成した構成としたので、大きな空間部である減衰空間を効果的に利用した騒音の減衰が図れる。また、下枠本体を断面半円形状とした分、下枠本体の高さが低くなるため、その分上枠部の垂下片を長くすることができるので、足場として耐荷重性に優れたものとなる。また、筒型吸音材を不要とし、下枠本体の表面積を小さくしたことによって、低価格化と軽量化とが図れるものである。
【0058】
また、本発明の請求項4記載の吸遮音体は、請求項1、2又は3記載のものにおいて、下枠部の周壁に形成された開口部の開口率を50%以上としたので、あらゆる角度から入ってくる騒音を有効に吸音することができる。
【0059】
また、本発明の請求項5記載の足場併用型の吸遮音壁体は、請求項1、2、3又は4記載の吸遮音体を、構造体の下面部や天井面に複数個並設して吊設することにより、隣接する吸遮音体の上枠部の上面をぼぼ平坦面に形成したので、これら吸遮音体の上に作業員が直接乗ることができるから、メンテナンス時等においてその都度足場を組まなくても、安定した状態で作業等を行うことができるものである。また、高架道路の下面を透過した騒音は、足場面となる上枠部の上面で遮音され、高架下への拡散が防止される。また、上枠部に挿入されている平型吸音材は、高架下の路面を走行する車両の騒音を吸音するとともに、上面から透過し洩れてきた騒音をも吸音し、また平型吸音材と筒型吸音材との組み合わせ、又は平型吸音材と減衰空間との組み合わせによって、あらゆる角度から入ってくる騒音(高架下の路面を走行する車両による騒音)を有効に吸音することができる。また、請求項1記載の吸遮音体を用いた足場併用型の吸遮音壁体では、平型吸音材と筒型吸音材との間にできる三角形状の空間、及び筒型吸音材の外周面と下枠部の内周壁面との間に形成された隙間において、残騒音の乱反射による減衰が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸遮音体の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す吸遮音体の側面図である。
【図3】下枠部の断面図である。
【図4】下枠部の底面図である。
【図5】本発明の吸遮音体の組み立て手順を示す斜視図である。
【図6】本発明の吸遮音体の組み立て手順を示す斜視図である。
【図7】上枠部に下枠部を連設した状態の断面図である。
【図8】吸遮音体の縦断面図である。
【図9】図1に示す吸遮音体を横方向に2個つないで2連型とした実施形態を示す断面図である。
【図10】図1乃至図8に示す吸遮音体を複数個並設して吸遮音壁体を形成した状態を示す説明図である。
【図11】取付枠への吸遮音体の取り付け構造を示す一部拡大した断面図である。
【図12】残響室法吸音率試験(JIS A−1409)による吸音減衰特性を示すグラフである。
【図13】挿入損失試験及び透過損失試験(JIS A−1417)による遮音特性を示すグラフである。
【図14】斜入射吸音率試験による吸音反射特性を示すグラフである。
【図15】斜入射吸音率試験の試験方法の説明図である。
【図16】本発明の吸遮音体の他の実施形態を示す断面図である。
【図17】残響室法吸音率試験(JIS A−1409)による吸音減衰特性を示すグラフである。
【図18】残響室法吸音率試験(JIS A−1409)による残響時間特性を示すグラフである。
【図19】挿入損失試験及び透過損失試験(JIS A−1417)による遮音特性を示すグラフである。
【図20】斜入射吸音率試験による吸音反射特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 上枠部
2 下枠部
3 開口部
4 平型吸音材(平板形状の吸音材)
5 筒型吸音材(円筒形状の吸音材)
6 端部カバー
8 スペーサ(支持部材)
11 上面
80 吸遮音壁体
P 吸遮音体
A 構造体
S3 隙間
S4 空間
S5 減衰空間

Claims (5)

  1. 断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部と、周壁に多数の開口部を有する断面がU字形状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部とが一体的に連設されるとともに、前記上枠部内に平板形状の吸音材が長手方向に沿って挿入され、前記下枠部内に円筒形状の吸音材が長手方向に沿って挿入されたことを特徴とする吸遮音体。
  2. 前記下枠部の底面部分と円筒形状の前記吸音材との間に、下枠部と吸音材との接触を防止するための支持部材が挿入されたことを特徴とする請求項1記載の吸遮音体。
  3. 断面が長方形状に形成された剛性材からなる長尺状の上枠部と、周壁に多数の開口部を有する断面が半円状に形成された合成樹脂製の長尺状の下枠部とが一体的に連設され、前記上枠部内に平板形状の吸音材が長手方向に沿って挿入されるとともに、この吸音材は前記上枠部内の下部に若干の隙間を残して挿入されており、この隙間と前記下枠部内の空間とで騒音の減衰空間が形成されていることを特徴とする吸遮音体。
  4. 前記下枠部の周壁に形成された開口部の開口率を50%以上としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の吸遮音体。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の吸遮音体が、構造体の下面部や天井面に複数個並設して吊設されることにより、隣接する吸遮音体の上枠部の上面がぼぼ平坦面に形成されてなることを特徴とする足場併用型の吸遮音壁体。
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