JP3828279B2 - 表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法並びに箱 - Google Patents

表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法並びに箱 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法、並びに該発泡板を基材とした箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート系樹脂発泡シートを基層とし、ポリカーボネート系樹脂フィルムを表層とした共押出し法又は押出しラミネート法による積層ポリカーボネート系樹脂発泡シートは、特開平8−174780号公報に提案されている。そして、これらの共押出し法又は押出しラミネート法においては、表層樹脂フィルムに用いられるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は20000未満が好ましく、該分子量が20000以上では共押出し又は押出しラミネート用としては流動性が悪く、積層体の厚みが不均一になりやすいと記載され、実施例として粘度平均分子量が18000、15000及び10000のポリカーボネート樹脂を使用した場合が示されている(実施例1、7及び9)。しかしながら、前記方法により得られる発泡シートは、板材として使用してもその曲げ強度等の機械的強度が必ずしも充分ではないし、また、一般にロール状に巻かれている発泡シートを単に加熱して巻きぐせをとり、板状に加工しようとしても発泡シートの幅方向端部に波打ちが生ずる等、外観及び平滑性に劣るものとなってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面外観が良好でかつ曲げ強度の向上した、表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法、並びに該発泡板を基材とした箱を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂発泡シートを基層とし、該基層の少なくとも片面に形成されたポリカーボネート系樹脂フィルム又はシートを表層とするシート状積層発泡体からなる発泡板であって、該発泡板の基層の密度が0.06〜0.6g/cm、基層の厚みが1〜10mm、該発泡板の表層フィルム又はシートを形成するポリカーボネート系樹脂の250℃における溶融張力が2.0g以上、該発泡板の表層フィルム又はシート面の中心線平均粗さが3.0μm以下、かつ該発泡板の曲げ強度Y(kg/cm)が下記式を満足するものであり、該積層発泡体が共押出し法により得られたものであることを特徴とする表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板。
Y>266X2+147X
(但し、Xは発泡板のみかけ密度(g/cm)を表わす)
また、本発明によれば、発泡剤含有ポリカーボネート系樹脂からなる基層用樹脂と、250℃における溶融張力が2.0g以上のポリカーボネート系樹脂からなる表層用樹脂をそれぞれ各別に押出機内で溶融混練し、後者の溶融混練物が前者の溶融混練物外周面もしくは内周面又は外周面と内周面の両面に積層されるように環状ダイスを用いて共押出ししてフィルム又はシート積層筒状発泡体を形成する工程、該筒状発泡体を押出方向に切り開いてシート状積層発泡体とする工程、及び該シート状積層発泡体を押出し方向に1.05倍以上、押出し方向と直交する幅方向に1.02倍以上加熱延伸する工程を含むことを特徴とするポリカーボネート系樹脂発泡板の製造方法が提供される。更にまた、本発明によれば、前記ポリカーボネート系樹脂発泡板を基材とした箱が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板を得るには、まず、従来公知のいわゆる共押出し法によってシート状積層発泡体を製造する。前記共押出し法は、基層となるポリカーボネート系樹脂発泡シートと、表層となるポリカーボネート系樹脂フィルム又はシート(以下、「フィルム又はシート」を単に「フィルム」と略記する)を、押出機を用い、それぞれの原料樹脂の溶融混練物をダイスより同時に押出して発泡積層させることによってシート状積層発泡体として得る方法である。
【0006】
本発明において、出発原料として用いられる前記ポリカーボネート系樹脂は、炭酸とグリコール又はビスフェノールから形成されるポリエステルである。そして、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐候性及び耐酸性に優れているから好適である。このようなポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導されるポリカーボネートが例示される。
【0007】
そして、本発明では、表層、即ち樹脂フィルムを形成させるポリカーボネート系樹脂は、溶融張力が250℃で2.0g以上、好ましくは2.3g以上であることを必要とする。前記特開平8−174780号公報には共押出し法や押出しラミネート法によるフィルム積層ポリカーボネート系樹脂発泡シートの製造においては、表層樹脂フィルムに用いられるポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は20000未満が好ましく、該分子量が20000以上では、共押出し又は押出しラミネート用としては流動性が悪く、得られる積層体の厚みが不均一になりやすいとされ、粘度平均分子量が20000より低いものが使用されている。そして、前記で好ましいとされている粘度平均分子量が20000未満のポリカーボネート系樹脂は、その250℃における溶融張力が通常2.0g未満である。本発明においては溶融張力が2.0g(250℃)以上のポリカーボネート系樹脂を表層、即ち樹脂フィルム層用樹脂として用いると、意外にも、表面外観が良好でかつ曲げ強度の向上した、表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板を得ることができ、また、共押出し法により表層を設けることにより基層である発泡体の発泡倍率を十分に上げることができる。なお、溶融張力が2.0g(250℃)以上のポリカーボネート系樹脂は、その粘度平均分子量が通常20000を超えるものである。
溶融張力が2.0g(250℃)未満であると、樹脂の溶融張力が低いため、基層となる発泡体と表層となる樹脂フィルムとが融着する際、発泡体表面のセルの凹凸が樹脂フィルム表面にも現われてしまい、得られる積層発泡体の表面がざらつくと共に、発泡板の曲げ強度が著しく低下する。また、共押出し時や、得られた積層発泡体の反り、波打ち等の除去などのために行う二次加熱の際、該発泡体の表面にヤケ等を生じやすく、表面の外観及び平滑性がよいものや曲げ強度の向上したものは得られない。溶融張力の上限は特に限定されないが通常30gである。
なお、本明細書において溶融張力は、以下のようにして測定されたものである。
測定装置として、(株)東洋精機製作所製メルトテンションテスターII型を使用し、ASTM D1238に準拠して250℃、ピストン速度10mm/分、オリフィス径2.095mm、オリフィス長8.00mm、巻き取り速度15.7m/分の条件にて測定した。
【0008】
本発明においては、前記共押出し法が用いられる。以下、共押出し法によるシート状積層発泡体の製造方法について詳述する。共押出し法による場合は、発泡剤含有ポリカーボネート系樹脂からなる基層用樹脂と、250℃における溶融張力が2.0g以上のポリカーボネート系樹脂からなる表層用樹脂とをそれぞれ別に押出機内で溶融混練した後環状ダイスより共押出ししてフィルム積層筒状発泡体とし、これを切開いてシート状積層発泡体とする。
【0009】
前記表層用ポリカーボネート系樹脂は、その250℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度が5×103〜2×105ポイズが好ましく、1×104〜1.7×105ポイズがより好ましい。溶融粘度があまり低すぎると、発泡層(基層)外周及び/又は内周と押出機シリンダー壁面に流動性の高い樹脂が存在することとなり押出圧力が低下しすぎ、基層の良好な発泡が困難になる。また溶融粘度が高くなりすぎると、表層用樹脂は発泡剤を含有せず基層用樹脂に比べ非常に粘度が高いことからその押出時の樹脂温度が高温となり、250℃における溶融張力2g以上の樹脂をもってしても発泡体表面のヤケを防止することが難しくなる。
なお、本明細書において溶融粘度は、以下のようにして測定されたものである。
測定装置としてチアスト社製レオビス2100を使用し、オリフィス径1mm、オリフィス長10mm、測定温度250℃、剪断速度100sec-1の条件にて測定した。
そしてまた、前記表層用ポリカーボネート系樹脂は、その粘度平均分子量が20000以上であると好ましい。より好ましくは22000以上である。粘度平均分子量があまり低いと十分な溶融粘度が得られず前記不具合を生ずる虞れがある。一方、粘度平均分子量が高すぎると溶融粘度が高くなりすぎる虞れがある。通常、粘度平均分子量の上限は50000である。
【0010】
次に、前記基層用ポリカーボネート系樹脂は、その粘度平均分子量は好ましくは25000以上、より好ましくは28000以上、及び250℃における溶融張力は好ましくは2.3g以上、より好ましくは5.0g以上である。粘度平均分子量は、あまり低いと溶融張力が低いものとなり易く、またその上限は特に限定されないが、通常50000である。250℃における溶融張力は、低すぎると発泡時の気泡膜の形成維持が困難となり発泡性が不十分なものとなる。その上限は特に限定されないが、通常30gである。
また、前記基層用ポリカーボネート系樹脂は、その温度250℃、剪断速度100sec-1における溶融粘度が、5×104〜2×105ポイズが好ましく、6×104〜1.8×105ポイズがより好ましい。該溶融粘度が、低すぎると発泡に必要な押出圧力を保つことが難しく、また高すぎると押出機内で発熱し、発泡適正温度にまでコントロールするのが困難になる。
前記発泡剤としては、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれも使用可能である。
無機発泡剤としては、二酸化炭素、窒素等が用いられる。
揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン等の低級脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の低級脂環式炭化水素等が用いられる。前記した発泡剤は、単独又は2種以上混合して使用可能であり、例えば無機発泡剤と揮発性発泡剤のように異なった型の発泡剤の併用も可能である。また、気泡径調節のために分解型発泡剤の併用も可能である。
発泡剤使用量は発泡剤の種類や所望する発泡倍率によっても異なり、発泡倍率によって該発泡板の基層の密度が定まるから、主に所望する発泡板の基層の密度に応じて発泡剤の使用量が定まるといえる。
【0011】
前記シート状積層発泡体の製造は、具体的には以下のようにして行う。
押出機において、一方で前記基層用ポリカーボネート系樹脂を前記発泡剤と共に溶融混練して発泡性樹脂混練物とし、他方で、別途前記表層用ポリカーボネート系樹脂を溶融混練して樹脂混練物とし、両者を押出機先端に設けられた環状ダイスを通して押出機内よりも低圧下に共押出しして発泡させ、発泡体を基層とし樹脂フィルムを表層とした筒状積層発泡体を形成させ、この筒状に押出された発泡体をエアーで冷却しながらバルーンを形成させると共にマンドレルを用いて引取り、次いで押出方向に沿って切り開いてシート状積層発泡体とする。このような共押出し法を採用することによって表層と基層の接着強度を高めると共に生産性を著しく向上させることができる。
なお、前記基層用ポリカーボネート系樹脂を円滑に発泡させるために、該樹脂と発泡剤との発泡性樹脂混練物中に必要に応じて気泡調整剤を添加するとよい。この場合の気泡調整剤としては、タルクやシリカ等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの混合物等が好ましい。その添加量は、樹脂100重量部当り0.01〜5.0重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部とするのが良い。0.01重量部より少ないとポリカーボネート系樹脂を事実上発泡せしめることが困難となり、一方5.0重量部よりも多いと得られた発泡成形品の物性が低下することがある。
【0012】
また、前記発泡性樹脂混練物や表層を形成する樹脂混練物中に、難燃剤、熱安定剤、耐候性向上剤、着色剤、帯電防止剤等のように、通常の発泡シート等に添加される公知の添加剤を添加することができる。また、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム等の無機亜硫酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の無機硫酸塩、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機酸化物、タルク、クレー、カオリン、ゼオライト等の粘土又は天然鉱物等の無機充填剤を5〜30重量%添加しても良い。
【0013】
前記で得られたシート状積層発泡体を、更に押出方向及び押出方向と直交する幅方向に二軸延伸することによって、得られる発泡板の反りや波打ち等を解消することができ、また表面の外観及び平滑性を更に良化できる。
即ち、前記のようにして得られたシート状積層発泡体をオンライン又はオフラインで加熱炉に通して加熱し、押出方向に1.05倍以上、好ましくは1.08倍以上、また押出方向と直交する幅方向に1.02倍以上、好ましくは1.05倍以上に加熱延伸し、次いで押出方向所定長さに切断して表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板を得る。なお、前記延伸倍率は特に上限はないが、普通、押出方向では1.30倍、幅方向では1.20倍である。
前記押出方向の延伸倍率及び押出方向と直交する幅方向の延伸倍率は、得られる延伸物の反りや曲げ強度を考慮して適宜定めるが、その延伸倍率は、押出方向の場合、1.05倍以上であり、一方、それと直交する幅方向の場合、1.02倍以上であることが有利である。これより小さい延伸倍率では、マンドレルカールやフレアーによる発泡シートの反りや波打ち、また一度ロール状に巻き取った発泡シートを加熱延伸する場合は巻きぐせが解消できなくなることがある。
【0014】
前記加熱延伸の加熱条件としては、発泡体表裏面が基層及び表層の基材樹脂であるポリカーボネート系樹脂の熱変形温度(JIS K7207(曲げ応力18.5kg/cm2))以上の温度となるように、加熱することが好ましい。加熱手段としては赤外線加熱炉、熱ロール等を挙げることができる。
なお、前記発泡体表裏面が基材樹脂であるポリカーボネート系樹脂の熱変形温度以上の温度となるように加熱するとは、加熱炉等の加熱手段により加熱されて、加熱手段から出てきた直後の発泡体の表面温度を遅滞なく赤外線による温度測定により求め、その温度が該熱変形温度以上であることをいう。
また、熱変形温度以上の加熱温度の上限値は発泡体の表面状態が、脱泡、ヤケ等により悪化しない温度である。
【0015】
そして、前記加熱延伸の方法としては、シート状積層発泡体を加熱炉により加熱した後、ロールやコンベアにより張力をかけて引取る方法や、熱ロールにより加熱と張力をかけての引取りを同時に行う方法等、加熱手段と引取り手段との多種の組合わせが採用できる。また幅方向への延伸は発泡体の幅方向両端をクランプして拡幅装置により延伸する等の方法により行うことができる。
【0016】
前記のように延伸して得られたポリカーボネート系樹脂発泡板はその反り値が15mm以下であり、表面の平滑性や外観が延伸前よりも更に良化し、そしてその基層の発泡倍率及び厚みの向上、その表層フィルム面の中心線平均粗さの低下並びに発泡板曲げ強度の向上等、延伸前のものと同等以上のものへ変化させることができる。
なお、前記発泡板の反り値とは、シート状発泡体を押出方向に500mm、押出方向と直交する方向は発泡体の幅分の方形状に切断した(厚みはそのまま)測定用発泡板サンプルを作製し、このサンプルをこれよりも大きな面積の水平な板状部材上に静置(自重以外の力が加わらない状態)した状態及びサンプルを裏返して同様に静置した状態でのサンプルの最も高さの高い部分から水平な板状部材へ下した垂線の長さを測定し、測定した垂線の長さからサンプルの厚みを引算して求めた表裏各々の値のうち大きい方の値(mm)をいう。
【0017】
前記反り値が15mmを超えると板材として商品価値はなく、具体的には二次加工性等が悪いものとなる。
前記反り値は、加熱温度や延伸倍率によって調節することができる。
【0018】
前記のようにして得られたポリカーボネート系樹脂発泡板は、表面平滑であって、外観が良好であり、その基層の密度が0.06〜0.6g/cm3、好ましくは0.1〜0.4g/cm3、その基層厚みが1〜10mm、好ましくは1.5〜7mm、該発泡板の表層フィルム面の中心線平均粗さが3.0μm以下、好ましくは2.5μm以下、該発泡板の曲げ強度Y(kg/cm2)が下記式を満足するものである。
Y>266X2+147X
(但し、Xは発泡板のみかけ密度(g/cm3)を表わす。なおここで、発泡板のみかけ密度(g/cm3)とは基層に表層が積層された発泡板の重量(g)をその体積(cm3)で徐した値である。)
なお、本明細書においてフィルム面の中心線平均粗さは、JIS B0601によりカットオフ値0.8mmにて測定して求まる値である。
また、本明細書において発泡板の曲げ強度YはJIS K7171に準拠し、曲げ速度100mm/分、治具先端R5mm、スパン間隔100mm、試験片(幅50mm×長さ150mm×発泡板厚み)の条件にて測定して求まる値である。
【0019】
前記ポリカーボネート系樹脂発泡板において、その基層の密度が、0.06g/cm3未満であると、剛性、表面平滑性において不十分なものとなり、0.6g/cm3を超えると軽量性、緩衝性、断熱性において不十分なものとなる。
その基層の厚みが1mm未満であると剛性において不十分であり、10mmを超えるものは特殊なフラットダイスを使用しなければ製造が困難であり、また環状ダイスを使用し無理に得ようとすると外観不良が発生する。
また、その表層フィルム面の中心線平均粗さが3μmを超えると印刷適性、外観が悪くなる。その下限は特に限定しないが通常0.5μmである。
更にまた、その曲げ強度Yが前記式を満足しないものは板としての剛性が不十分なものである。
なお、前記中心線平均粗さを小さくするには、基層を構成する発泡体の気泡径を小さくすることや表層用樹脂を溶解張力の大きなものとすること等によって調節できる。
また、曲げ強度Yを大きくするには、表皮用樹脂を溶融張力の大きなものとし、更に表層フィルム厚みを大きくすること等によって調節できる。
本発明の前記発泡板においては、表層フィルムのフィルム厚は10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。
【0020】
本発明の表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板は、前記したように表面外観が良好で、曲げ強度に優れ、また極低温における耐衝撃性、耐熱性、平滑性、機械的強度及び耐ヒンジ性に優れるために、包装分野、建築分野、土木分野等の各種基材、施工材等として有用であり、殊に、箱体製造のための壁面部材(側壁、底壁等)の基材として極めて有用である。
【0021】
本発明の前記ポリカーボネート系樹脂発泡板を基材として用いて、下記のような箱体を作ることができる(但し、これらの箱のみに限定されるものではない)。
▲1▼ 底面部材と側面部材とが連成され、それらを折り曲げることによって組み立てられた熱融着箱であって、該箱の各部材の結合部が熱融着されている表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板からなる熱融着箱。
▲2▼ 箱の各部材の接合部分が接着剤を使用したものであるか、接合金具を用いたものであるか又はリベットによって固定結合されたものである表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板からなる組み立て箱。
▲3▼ 四枚の側面部材と底面部材及び/又は上面部材とを、それらの端縁に形成された嵌合手段によって連結して組み立てられる表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板からなる組み立て箱。
▲4▼ 平担に折りたたみ可能な折りたたみ箱であり、少なくとも対向する2つの側面部材は上下方向に少なくとも2分割されると共に、この分割部分はヒンジ機構により連結されており、その連結部は外側又は内側に折りたたみ可能である表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板よりなる折りたたみ箱。
【0022】
本発明の前記箱体は、基材である表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板が表面外観がよく、曲げ強度に優れ、反りを殆ど有しないことから、その製造が容易であると共に仕上がりが美麗かつ堅牢である。また耐熱性、低温脆性において非常に優れた性質を有することから、箱体中に例えば熱いままの食材等を収納できるし、更にそれをそのまま冷蔵庫又は冷凍庫に収容して冷蔵又は冷凍することもできる。
【0023】
【実施例】
次に本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
【0024】
実施例1〜4、比較例1〜3
表1記載のビスフェノールAを使用してなるポリカーボネート樹脂100重量部に対し、核剤としてタルク0.5重量部を加えた原料樹脂を第1の押出機中で加熱、溶融、混練した後、発泡剤としてノルマルペンタン0.17〜0.4モル/kg樹脂を押出機中に圧入混練し、他方、表1記載のビスフェノールAを使用してなるポリカーボネート樹脂を第2の押出機中で溶融混練し、両混練物を前者の溶融混練物の外周及び内周に後者の溶融混練物が積層されるように環状ダイスを用いて共押出しし、円筒状発泡体の内部及び外部をエアーにより冷却しながらバルーンを形成させ、これをマンドレルで引き取ってから押出方向に沿って切り開いてシート状両面フィルム積層発泡体を得た。
次いでこのシート状両面フィルム積層発泡体を、送り出しロール、加熱炉及び加熱炉内搬送チェーン、第1の引取ピンチロール、第2の引取ピンチロール、断裁機の順に並んだラインに通し、加熱延伸を行い、第1と第2の引取ピンチロール間でトリミングを行って、得られる積層発泡体を適当な押出方向長さ毎に幅方向に切断してポリカーボネート樹脂発泡板とした。
このとき、加熱炉内搬送チェーンの送り速度と、第1の引取ピンチロールの引取速度との速度比をもって押出方向の延伸倍率とした。また加熱炉内搬送チェーンの入口部の幅と出口部の幅との比をもって、幅方向の延伸倍率とした。
発泡体の加熱の調整方法としては全体のライン速度と加熱炉内ヒーターの出力を調整することにより行い、加熱炉出口に取り付けた赤外線温度測定装置により積層発泡体幅方向中央部の温度を測定した。
この延伸により得られた発泡板の物性値並びに評価は表1に示すとおりであった。
【0025】
なお、前記実施例及び比較例における各物性値の測定方法並びに評価基準は次の通りである。
[中心線平均粗さ]
(株)小坂研究所製表面粗さ測定装置サーフコーダーSE−30Dを使用し、JIS B0601により、縦倍率500、横倍率10、基準長さ8.00mm、カットオフ値0.8mm、触針先端半径2μm、送り速さ0.1mm/secの条件にて発泡板両面の中心線平均粗さを測定し大きい方の値を表1に示した。
[発泡板の曲げ強度]
(株)東洋ボールドウイン製テンシロンUTM III型を使用し、JIS K7171に準拠し、曲げ速度100mm/分、治具先端のR5mm、スパン間隔100mm、試験片(幅50mm×長さ150mm×発泡板厚み)の条件にて測定した。[発泡板の平滑性]
発泡板の反り値によって平滑性を評価した。
○・・・反り値が15mm以下
×・・・反り値が15mm超
【0026】
【表1】
Figure 0003828279
【0027】
【発明の効果】
本発明の表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板は、表面外観が良く、曲げ強度に優れ、反りも殆どなく、殊に箱体等の製造のための基材として極めて有用である。
また、前記ポリカーボネート系樹脂発泡板を用いて製造した箱体は、例えば食材等を熱いままで収納できると共に、それをそのまま直ちに冷蔵庫や冷凍庫等で冷蔵、冷凍することもできるなど極めて利便性の高いものである。

Claims (5)

  1. ポリカーボネート系樹脂発泡シートを基層とし、該基層の少なくとも片面に形成されたポリカーボネート系樹脂フィルム又はシートを表層とするシート状積層発泡体からなる発泡板であって、該発泡板の基層の密度が0.06〜0.6g/cm、基層の厚みが1〜10mm、該発泡板の表層フィルム又はシートを形成するポリカーボネート系樹脂の250℃における溶融張力が2.0g以上、該発泡板の表層フィルム又はシート面の中心線平均粗さが3.0μm以下、かつ該発泡板の曲げ強度Y(kg/cm)が下記式を満足するものであり、該積層発泡体が共押出し法により得られたものであることを特徴とする表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板。
    Y>266X2+147X
    (但し、Xは発泡板のみかけ密度(g/cm)を表わす)
  2. ポリカーボネート系樹脂発泡板が延伸物からなるものであり、かつポリカーボネート系樹脂発泡板の反り値が15mm以下である請求項1記載の表面平滑なポリカーボネート系樹脂発泡板。
  3. 発泡剤含有ポリカーボネート系樹脂からなる基層用樹脂と、250℃における溶融張力が2.0g以上のポリカーボネート系樹脂からなる表層用樹脂をそれぞれ各別に押出機内で溶融混練し、後者の溶融混練物が前者の溶融混練物の外周面もしくは内周面又は外周面と内周面の両面に積層されるように環状ダイスを用いて共押出し発泡させてフィルム又はシート積層筒状発泡体を形成する工程、該筒状発泡体を押出方向に切り開いてシート状積層発泡体とする工程、及び該シート状積層発泡体を押出し方向に1.05倍以上、押出し方向と直交する幅方向に1.02倍以上加熱延伸する工程を含むことを特徴とするポリカーボネート系樹脂発泡板の製造方法。
  4. 基層用樹脂の温度250℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度が、5×10〜2×10ポイズであり、かつ表層用樹脂の温度250℃、剪断速度100sec−1における溶融粘度が5×10〜2×10ポイズである請求項記載のポリカーボネート系樹脂発泡板の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載のポリカーボネート系樹脂発泡板を基材とした箱。
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