JP3987195B2 - 広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法並びに箱 - Google Patents

広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法並びに箱 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法、並びに該発泡板を基材とした箱に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート系樹脂発泡体は、耐熱性、耐老化性、耐水性、絶縁性等が高く、電気的及び機械的性質もよいことから、自動車や建造物の内層材、包装材、各種容器等種々の用途が展開されつつある。
前記ポリカーボネート系樹脂発泡体を発泡板として利用する場合には、押出発泡シートの製造の際に生じるマンドレルカールや、発泡体の切開きの際にできるフレアー等のない発泡板が望ましい。殊に、発泡板を箱体製造のための底板や側板等の基材とする場合には、前記マンドレルカールに基づく発泡板の反りやフレアーに基づく発泡板幅方向両端部の波打ちは極めて不都合である。
【0003】
ポリカーボネート系樹脂発泡板の製造に当って、前記反り等があまり発生しない方法として、特開平9−104093号公報に提案されているような発泡シート同士を積層する方法がある。この方法は、ポリカーボネート系樹脂の押出し直後に得られる筒状(チューブ状)発泡体を、バルーン(押出機先端からマンドレルの上流部にかけての部分)の内面が接着可能な状態のうちに挾圧ロールでバルーンを挟み込み、その内面同士を貼り合わせる方法である。しかしこの方法では、筒状発泡体を切り開いて発泡シートとしたものに比べて発泡シートの幅(押出し方向と直行する方向)が約半分になってしまうことから、シート幅が500mm以上の実用的な発泡シートの製造は困難である。その訳は、円筒状発泡体の伸びが小さいために、環状ダイス直径より250%程度以上直径が大きいマンドレルでは、押し出された円筒状発泡体を円滑に引取るのが難しいからである。そうかといって、大型の押出機を使用して環状ダイスの直径を大きくして広幅のシートを得ようとしても、この場合は環状ダイス直径が大きいことから押出機先端のダイス圧力を保持するのが難しく、そのためにダイス内部で発泡現象が起こって得られる発泡シートの表面状態や機械的物性等の品質が低下してしまう。
また、押出された筒状発泡体を切り開いて得られる発泡シートの複数枚を熱風で加熱し、加熱面同士を融着積層させる方法もあるが、この方法では得られる発泡板の反り等の解消のために、切り開かれた発泡シートの内面側(マンドレル面側)を加熱して該内面側同士を融着積層しなければならない等の製法面での制約も多く、得られる発泡板は反り等が解消したとしても発泡シートの融着面の気泡構造が連泡化したり、あるいは発泡倍率が低下する等の不具合が発生するおそれがあり、また、製造工程数が増えるため製造コストが高くなる等の問題を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、積層によることなく、反りや波打ちの殆ど無い広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板及びその製造方法、並びに該広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板を基材とした箱を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、発泡剤を含有するポリカーボネート系樹脂溶融混練物を押出し発泡することによって得られたシート状発泡体の延伸物からなる発泡板であって、該発泡板の押出方向の長さが500mm以上、押出方向と直交する幅方向の長さが500mm以上であり、かつ該発泡板の密度が0.06〜0.6g/cm、厚みが1〜10mm,反り値が15mm以下であることを特徴とする広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板が提供される。また、本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂を押出機内で発泡剤と混練して発泡性樹脂溶融混練物とし、該混練物を押出機先端に設けた環状ダイスを通して押出して筒状発泡体とする工程、該筒状発泡体を押出方向に切り開いてシート状発泡体とする工程、及び該シート状発泡体を押出方向に1.05倍以上、かつ押出方向と直交する幅方向に1.02倍以上それぞれ加熱延伸する工程を含み、該シート状発泡体を加熱延伸する際の発泡体表裏面の加熱温度が発泡体を構成するポリカーボネート系樹脂の熱変形温度以上であることを特徴する前記広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板の製造方法が提供される。更にまた、本発明によれば、前記広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板を基材とした箱が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板を得るには、まず、ポリカーボネート系樹脂を押出機内で発泡剤と溶融混練した後環状ダイスより押出して筒状発泡体とし、これを切開いてシート状発泡体とする。
出発原料として用いられる前記ポリカーボネート系樹脂は、炭酸とグリコール又はビスフェノールから形成されるポリエステルである。そして、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐候性及び耐酸性に優れているから好適である。このようなポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導されるポリカーボネートが例示される。
【0007】
また、本発明では、前記ポリカーボネート系樹脂はその粘度平均分子量が、25000以上、好ましくは28000以上で、250℃における溶融張力が2.3g以上、好ましくは5g以上である。その粘度平均分子量の上限値は通常100000であり、その溶融張力の上限値は通常30gである。このようなポリカーボネートとしては、三菱ガス化学社製ユーピロンS−1000〔粘度平均分子量26000、溶融張力2.4g(250℃)〕、ユーピロンE−1000〔粘度平均分子量32000、溶融張力6.4g(250℃)〕、ユーピロンE−2000〔粘度平均分子量29000、溶融張力2.6g(250℃)〕等が例示される。このほか、前記以外のポリカーボネートと特定の発泡剤とを組合せることによって達成可能な場合もある。
なお、本明細書において溶融張力は、次のようにして測定されたものである。
測定装置として、株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターII型を使用し、ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mmのノズルから、120℃で3時間乾燥させることにより調整したポリカーボネート系樹脂を樹脂温度250℃、樹脂押出しピストン速度10mm/分の条件で樹脂を紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力プーリーに掛け、更に下流側に位置する巻き取りローラーで巻き取る。巻き取りローラーの巻き取り速度は直径50mmの巻き取りローラーを使用して100rpmとする。そしてその時の張力検出用プーリーと連結する検出器により検出される紐状物の張力を測定し溶融張力とする。なお、前記において巻き取り速度を100rpmとする際には紐状物が切断しないように徐々に(約5rpm/秒)巻き取り速度を増加させ調整する。また、巻き取り速度100rpmにて紐状物を巻き取ると紐状物が切断してしまう場合は、切断時の巻き取り速度で検出される張力を溶融張力とする。
【0008】
前記発泡剤としては、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれも使用可能である。
無機発泡剤としては、二酸化炭素、窒素等が用いられる。
揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン等の低級脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の低級脂環式炭化水素等が用いられる。前記した発泡剤は、単独又は2種以上混合して使用可能であり、例えば無機発泡剤と揮発性発泡剤のように異なった型の発泡剤の併用も可能である。また、気泡径調節のために分解型発泡剤の併用も可能である。
発泡剤使用量は発泡剤の種類や所望する発泡倍率によっても異なり、発泡倍率によって該シート状発泡体の密度が定まるから、主に所望するシート状発泡体の密度で発泡剤の使用量が定まるといえるが、概ねポリカーボネート系樹脂1kg当り、0.05〜1.0モル使用される。
【0009】
前記したシート状発泡体の製造は、具体的には以下のようにして行う。
前記ポリカーボネート系樹脂を押出機中で溶融し、高温高圧下で前記発泡剤と混練して発泡性樹脂溶融混練物とし、これを押出機先端に設けられた環状ダイスを通して押出機内よりも低圧下に押出して発泡させ、この筒状に押出された発泡体(筒状発泡体)をエアーを吹きかけて冷却しながらバルーンを形成させると共にマンドレルと呼ばれる円柱状冷却装置の円柱側面上を引取り筒状発泡体を内面側から冷却し、次いで押出方向に沿って切り開いてシート状発泡体とする。この場合において、押出機先端より押出された筒状発泡体はその径を拡大させつつ発泡し最終的にマンドレルの径とほぼ同じ径となるが、その際、該筒状発泡体は径の過度の拡大を受けるとポリカーボネート系樹脂の溶融粘弾性特性上、バルーン部が破れてしまう(許容できる径の拡大率は汎用発泡シートの基材であるポリスチレン樹脂発泡シートの製造時の1/2以下)ため、前記した径の拡大に当っては細心の注意を払う必要がある。ポリカーボネート系樹脂発泡シートにおいては、一般に広幅のものを得るのは難しいということができる。
なお、ポリカーボネート系樹脂を円滑に発泡させるために、該樹脂と発泡剤との発泡性樹脂混練物中に必要に応じて気泡調整剤を添加するとよい。
この場合の気泡調整剤としては、タルクやシリカ等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの混合物等が好ましい。その添加量は、樹脂100重量部当り0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが良い。0.01重量部より少ないとポリカーボネート樹脂を事実上発泡せしめることが困難となり、一方5.0重量部よりも多いと得られた発泡体の靭性が低下してしまうおそれがある。
【0010】
また、前記混練物中に、難燃剤、熱安定剤、耐候性向上剤、着色剤等のように、通常の発泡シート等に添加される公知の添加剤を添加することができる。また、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム等の無機亜硫酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の無機硫酸塩、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機酸化物、タルク、クレー、カオリン、ゼオライト等の粘土又は天然鉱物等の無機充填剤を5〜30重量%添加しても良い。
【0011】
次に、前記のようにして得られたシート状発泡体をオンライン又はオフラインで加熱炉に通して加熱し、押出方向に1.05倍以上、好ましくは1.08〜1.20倍、また押出方向と直交する幅方向に1.02倍以上、好ましくは1.05〜1.15倍に加熱延伸し、次いで押出方向所定長さに切断して広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板を得る。なお、前記延伸倍率は特に上限はないが、概ね、押出方向では1.30倍、幅方向では1.20倍である。
前記押出方向の延伸倍率及び押出方向と直交する幅方向の延伸倍率は、得られる延伸物の反りや曲げ強度を考えて適宜定めるが、その延伸倍率は、押出方向の場合、1.05倍以上であり、一方、それと直交する幅方向の場合、1.02倍以上であることが有利である。これより小さい延伸倍率では、マンドレルカールやフレアーによる発泡シートの反りや波打ち、また一度ロール状に巻き取った発泡シートを加熱延伸する場合は巻きぐせが解消できなくなることがある。
【0012】
また、前記加熱延伸の加熱条件としては、発泡体表裏面が基材樹脂であるポリカーボネート系樹脂の熱変形温度(ASTM D648(曲げ応力18.5kg/cm))以上の温度となるように加熱することを要する。また、加熱手段としては赤外線加熱炉、熱ロール等で加熱することができる。なお、前記発泡体表裏面の加熱温度が基材樹脂であるポリカーボネート系樹脂の熱変形温度以上であるとは、発泡体が加熱炉等の加熱手段により加熱されて、加熱手段から出てきた直後の発泡体の表面温度を遅滞なく赤外線による温度測定により求め、その温度が該熱変形温度以上であることをいう。また、熱変形温度以上の加熱温度の上限値は発泡体の表面状態が、脱泡、焼け等により悪化しない温度である。
【0013】
また、前記加熱延伸の方法としては、シート状発泡体を加熱炉により加熱した後、ロールやコンべアにより張力をかけて引取ることにより押出方向に延伸する方法や、熱ロールにより加熱と張力をかけての引取りを同時に行ない押出方向に延伸する方法等により行うことができる。また幅方向への延伸は前記加熱炉等の加熱手段に加えて発泡体の幅方向両端をクランプして拡幅装置により延伸する等の方法により行うことができる。このように、加熱手段と延伸手段との多種の組合せが考えられる。
【0014】
本発明の広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板は、その押出方向の長さが500mm以上、好ましくは1000mm以上、更に好ましくは1200〜2000mmである。また、押出方向と直交する幅方向の長さが500mm以上、好ましくは600〜1500mmである。また、その密度が0.06〜0.6g/cm3、好ましくは0.1〜0.4g/cm3、厚みが1〜10mm、好ましくは1.5〜7mm、反り値が15mm以下、好ましくは10mm以下である。
【0015】
前記広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板において、その押出方向の長さ及び押出方向と直交する幅方向の長さが小さすぎる場合は、施工性、生産効率が悪く、また、用途的にも制約を受ける。一方、それらの長さが大きすぎる場合は、生産性、取り扱い性が悪くなるおそれがある。また、その密度が、0.06g/cm3未満であると、剛性、表面平滑性において不十分なものとなり、0.6g/cm3を超えると軽量性、緩衝性、断熱性において不十分なものとなる。
また、その厚みが1mm未満であると剛性において不十分であり、10mmを超えるものは特殊なフラットダイスを使用しなければ製造が困難であり、また環状ダイスを使用し無理に得ようとすると外観不良が発生する。
そしてまた、その反り値が15mmを超えると板材として商品価値はなく、二次加工性も悪いものとなる。
前記反り値は、加熱温度の調整と延伸倍率とによって調節する。
【0016】
なお、前記発泡板の反り値とは、シート状発泡体を押出方向に500mm、押出方向と直交する方向は発泡体の幅分の方形状に切断した(厚みはそのまま)測定用発泡板サンプルを作製し、このサンプルをこれよりも大きな面積の水平な板状部材上に静置(自重以外の力が加わらない状態)した状態及びサンプルを裏返して同様に静置した状態でのサンプルの最も高さの高い部分から水平な板状部材へ下した垂線の長さを測定し、測定した垂線の長さからサンプルの厚みを引算して求めた表裏各々の値のうち、大きい方の値(mm)をいう。
【0017】
本発明の広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板は、反りや波打ちが殆どなく、また極低温における耐衝撃性、耐熱性、平滑性、耐ヒンジ性に優れ、殊に冷凍保存用容器などの箱体製造のための壁面部材(側壁、底壁等)の基材として極めて有用である。
【0018】
本発明の広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板を基材として用いて、下記のような箱体を作ることができる(但し、これらの箱のみに限定されるものではない)。
▲1▼ 底面部材と側面部材とが連成され、それらを折り曲げることによって組み立てられた熱融着箱であって、該箱の各部材の結合部が熱融着されているポリカーボネート系樹脂発泡板からなる熱融着箱。
▲2▼ 箱の各部材の接合部分が接着剤を使用したものであるか、接合金具を用いたものであるか、又はリベットによって固定結合されたものであるポリカーボネート系樹脂発泡板からなる組み立て箱。
▲3▼ 四枚の側面部材と、底面部材及び/又は上面部材とを、それらの端縁に形成された嵌合機構によって連結して組み立てられるポリカーボネート系樹脂発泡板からなる組み立て箱。
▲4▼ 平坦に折りたたみ可能な折りたたみ箱であり、少なくとも対向する2つの側面部材は上下方向に少なくとも2分割されると共に、この分割部分はヒンジ機構により連結されており、その連結部は外側又は内側に折りたたみ可能であるポリカーボネート系樹脂発泡板よりなる折りたたみ箱。
【0019】
本発明の前記箱体は、基材である広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板が反りや波打ちを殆ど有しないことからその製造が容易であると共に仕上がりが美麗である。またポリカーボネート系樹脂が前記したような非常に優れた性質を有することから、箱体中に例えば熱いままの食材等を収納できるし、更にそれをそのまま冷蔵庫又は冷凍庫に収容して冷蔵又は冷凍することもできる。本発明の箱体は、特にイクラ等の冷凍保存用食品の収納に好適である。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
【0021】
実施例1,2及び比較例1〜3
ビスフェノールAより誘導されたポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量28000、溶融張力5g)と気泡調整剤としてのタルクを前記樹脂に対して0.05重量%を押出機に投入し加熱、溶融、混練した後、発泡剤としてn−ペンタンを押出機中に圧入し更に混練した後、押出機先端の環状ダイスのリップ部より筒状に押出して、マンドレルにて冷却し筒状発泡体を形成させ、それをマンドレル後部にて、押出方向に沿って切り開き、シート状発泡体とした。
次いでこのシート状発泡体を、送り出しロール、加熱炉及び加熱炉内搬送チェーン、第1の引取ピンチロール、第2の引取ピンチロール、断裁機の順に並んだラインに通し、加熱延伸を行い、第1と第2の引取ピンチロール間でトリミングを行って、得られるシート状発泡体を適当な長さ毎に幅方向に切断してポリカーボネート樹脂発泡板とした。
このとき、加熱炉内搬送チェーンの送り速度と、第1の引取ピンチロールの引取速度との速度比をもって押出方向の延伸倍率とした。また加熱炉内搬送チェーンの入口部の幅と出口部の幅との比をもって、幅方向の延伸倍率とした。
発泡体の加熱の調整方法としては全体のライン速度と加熱炉内ヒーターの出力を調整することにより行い、加熱炉出口に取り付けた赤外線温度測定装置によりシート状発泡体幅方向中央部の温度を測定した。
得られた発泡板の密度、幅、長さ、加熱延伸状況、及び評価を表1に示す。
実施例1,2で得られた発泡板は気泡構造が均一なものであった。
【0022】
【表1】
Figure 0003987195
【0023】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート系樹脂発泡板は、広幅のものであり、反りや波打ちが殆どなく、また、発泡シートを積層することにより得られたものではないため、気泡構造が連泡化したり、発泡倍率が部分的に低下するようなこともない。殊に本発明の発泡板は寸法精度、熱融着性、耐熱性、耐寒性、強度等に優れ箱体等の製造のための基材として極めて有用である。
また、前記ポリカーボネート系樹脂発泡板を用いて製造した箱体は、例えば食材等を熱いままで収納できると共に、それをそのまま直ちに冷蔵庫や冷凍庫等で冷蔵、冷凍することもできるなど極めて利便性の高いものである。

Claims (3)

  1. 発泡剤を含有するポリカーボネート系樹脂溶融混練物を押出し発泡することによって得られたシート状発泡体の延伸物からなる発泡板であって、該発泡板の押出方向の長さが500mm以上、押出方向と直交する幅方向の長さが500mm以上であり、かつ該発泡板の密度が0.06〜0.6g/cm、厚みが1〜10mm、反り値が15mm以下であることを特徴とする広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板。
  2. ポリカーボネート系樹脂を押出機内で発泡剤と混練して発泡性樹脂溶融混練物とし、該混練物を環状ダイスを通して押出して筒状発泡体とする工程、該筒状発泡体を押出方向に切り開いてシート状発泡体とする工程、及び該シート状発泡体を押出方向に1.05倍以上、かつ押出方向と直交する幅方向に1.02倍以上それぞれ加熱延伸する工程を含み、該シート状発泡体を加熱延伸する際の発泡体表裏面の加熱温度が発泡体を構成するポリカーボネート系樹脂の熱変形温度以上であることを特徴する請求項1記載の広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板の製造方法。
  3. 請求項1に記載の広幅ポリカーボネート系樹脂発泡板を基材とした箱。
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