JP3862191B2 - ポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物に関するものであり、更に詳しくは、帯電防止性、導電性に優れたポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂発泡体は、耐熱性、耐老化性、耐水性等が高く、しかも電気的及び機械的性質も良いことから、自動車や建造物の内装材の他、包装材や各種容器等への用途展開が期待されている。また、耐熱性が要求される電子レンジ用やレトルト食品用の容器材料としては特に有望である。ポリカーボネート樹脂発泡体の場合、このように利点は多いが、ポリカーボネート樹脂の流動開始点がポリスチレン等のそれより大幅に高い上に、溶融粘度が低く、加熱シートの伸びが少ないから、通常の押出発泡法で所望の発泡体を得るのは困難である。
【0003】
そこで、本発明者らは、先にポリカーボネート樹脂と発泡剤とを溶融混練して得られる特定気泡のポリカーボネート樹脂押出発泡体を提案し、更に、発泡体の表面にポリカーボネート樹脂シートを積層することにより、加熱成形性が向上することを見い出し先に出願した(特開平8−174780号公報)。
ところで、ポリカーボネート樹脂押出発泡体は、表面固有抵抗値が1×1016Ωであり静電気を帯電しやすい性質がある。近年、ポリカーボネート樹脂押出発泡体の利用分野が広がるにつれて、用途によっては発泡体への静電気の帯電等が大きな問題となっており、発泡体に帯電防止性能、導電性能を付与する必要性が生じている。
しかし、帯電防止性能、導電性能をポリカーボネート樹脂押出発泡体に付与することについては、ポリカーボネート樹脂の押出し温度が200℃前後とポリスチレン、ポリオレフィン等の汎用樹脂発泡体の押出し温度と比較して高温であることによる帯電防止剤の分解による機能低下、帯電防止剤等の添加によるポリカーボネート樹脂の分解による物性低下、帯電防止剤や導電性付与剤の添加による発泡性、熱成形等の二次加工性への悪影響、得られた発泡体の帯電防止性能、導電性能の発現性、持続性等の課題があり、未だ良好な帯電防止性能、導電性能を有するポリカーボネート樹脂押出発泡体は得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、帯電防止性、導電性に優れたポリカーボネート樹脂発泡体/フィルム積層物を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂押出発泡体とポリカーボネート樹脂フィルムとの多層構造体の構成を採用することにより、前課題を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明によれば、ポリカーボネート樹脂押出発泡体とその表面の少なくとも一部に積層接着されたポリカーボネート樹脂フィルムとからなり、該フィルムの表面固有抵抗値が5×1013Ω以下であり、該発泡体を構成するポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が25000以上であり、該フィルムを構成するポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が20000以上であって、該発泡体と該フィルムとは共押出し法により積層接着されていることを特徴とするポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体(以下、単に発泡体とも言う)は、少なくともその表面の一部に、ポリカーボネート樹脂フィルム(以下、単にフィルムとも言う)を積層接着したものである。発泡体の形状は、フィルム、シート、板体、筒体、棒体、容器等の種々の形状であることができるが、その用途の点からは、通常は、シート状体や板状体である。
【0008】
本発明で用いる発泡体は、従来公知の方法によって製造されるが、以下に、シート状体又は板状体の発泡体の製造について詳述する。この発泡体の製造は次の工程を包含する。
(1)押し出し機内に樹脂と気泡調整剤等の添加剤とを仕込み、該機内で加熱・溶融・混練する工程、
(2)混練物に所望量の発泡剤を圧入して混練物に発泡剤を練り込み発泡性溶融得物とする工程、
(3)発泡性溶融物を、所定温度で押出機先端のサーキュラダイスから低圧部に筒状に押出し、これを円柱形状の樹脂発泡体冷却装置(マンドレル)の表面上に引取って円筒状発泡体を形成させてから、押出方向に切り開いてシート状又は板状発泡体とする工程、また、上記の工程の代わりに発泡性溶融物を、所定温度で押出機先端のサーキュラダイスから低圧部に筒状に押出し、これをロール間で挟圧することにより筒状の発泡体の内面を融着させて板状の発泡体とする工程を採用することができる。
【0009】
一方、本発明において発泡体の表面に積層接着させるフィルムは、従来公知の方法によって製造された非発泡のフィルムである。本発明では、このフィルムを発泡体の表面の一部又は全部に積層接着させるが、この場合、そのフィルムは、その表面固有抵抗値を5×1013Ω以下に保持することが必要である。このためには、積層接着前のフィルム表面にあらかじめ帯電防止剤や導電性付与剤からなる被膜を形成させたり、あるいはそのフィルム中にあらかじめ帯電防止剤や導電性付与剤を配合させたりするか、さらに積層接着後のフィルム表面に帯電防止剤や導電性付与剤からなる被膜を形成させる。
【0010】
発泡体に対するフィルムの積層接着方法を具体的に示すと、以下の方法が例示されるが、本発明の発泡体/フィルム積層物は < > の方法により製造される
< >帯電防止剤又は導電性付与剤をポリカーボネート樹脂に所定量添加したものを基材樹脂として用い、これをインフレーション法により機能性フィルムを形成した後、該フィルムを熱ロールにより発泡体に積層接着する方法。
< >ポリカーボネート樹脂フィルムをポリカーボネート樹脂発泡体に積層接着した積層発泡体のそのフィルム面に、帯電防止剤又は導電性付与剤からなる被膜を、噴霧、塗布、プリント印刷、スパッタリング等により形成する方法。
< >ポリカーボネート樹脂フィルムに帯電防止剤又は導電性付与剤からなる被膜を、噴霧、塗布、プリント印刷、スパッタリング等により形成したものを、と同様に熱ロールにより発泡体に積層接着する方法。
< >帯電防止剤又は導電性付与剤をポリカーボネート樹脂に所定量添加した非発泡性溶融物を前述の発泡体を得る工程(3)で使用する押出機先端のダイス内部で押出し後、発泡体を形成する発泡性溶融物と合流積層させ、サーキュラダイスから低圧部に筒状に押出し(所謂、共押出し法)て発泡体を得ると同時に該発泡体の表面にフィルムを形成させる方法。
< >帯電防止剤又は、導電性付与剤をポリカーボネート樹脂に所定量添加した非発泡性溶融物を、発泡体表面上に押出してラミネートする方法。
【0011】
本発明による表面の少なくとも一部にフィルムを積層接着させた発泡体を得るための前記方法の内、導電性能、帯電防止性能の持続性、機能の均一発現性の面からは、特に、< >< >< >の方法が好ましい。更に、帯電防止剤等の分解による機能低下等を考慮すると、< >< >の方法が好ましい。更に、フィルムをシート状や板体状発泡体の両面に形成する場合や厚みの薄いフィルム層を形成する場合は、< >の方法が特に好ましく、本発明の発泡体/フィルム積層物は < > の方法により製造されるものである
【0012】
本発明で基材となる発泡体を製造する場合の原料や発泡剤は限定される場合もあるが、通常は特に制約されるものではなく、選択使用可能な原料や発泡剤等の範囲について一般的に記述すると以下の通りである。
該発泡体原料として使用されるポリカーボネートは、炭酸とグリコール又はビスフェノールから形成されるポリエステルである。そして、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐候性及び耐酸性に優れているから好適である。このようなポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導されるポリカーボネートが例示される。
【0013】
本発明で発泡体原料として用いる基材樹脂の粘度平均分子量は、25000以上であり、250℃における溶融張力が2.3g以上のものが好ましい。その粘度平均分子量の上限値及び溶融張力の上限値は、通常、50000及び25gである。このようなポリカーボネート樹脂としては、三菱ガス化学社製ユーピロンS−1000〔粘度平均分子量26000、溶融張力2.4g(250℃)〕、ユーピロンE−1000〔粘度平均分子量32000、溶融張力6.4g(250℃)〕、ユーピロンE−2000〔粘度平均分子量29000、溶融張力2.6g(250℃)〕等が例示される。尚、上記溶融張力としては、東洋精機製作所社製メルトテンションテスターII型を使用しオリフィスとその真下に位置するロードセルと連結しているプーリーとの間隔を250mmとし捲き取り速度10m/min、樹脂押出ピストン速度10mm/min、120℃で3時間乾燥させたポリカーボネート樹脂を測定し、ロードセルに検出される値の平均値を採用する。
【0014】
本発明で用いる発泡体製造の際に使われる発泡剤は、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれも使用可能であるが、押出発泡法の場合は、分解型発泡剤のみを使うと発泡倍率の高い発泡体が得られにくいので、揮発性発泡剤を使用するのが好ましい。又、無機発泡剤としては、二酸化炭素、窒素等が用いられる。
揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の低級脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の低級脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の低級芳香族炭化水素;メタノール、エタノール等の脂肪族低級一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン等の低沸点ハロゲン化炭化水素等が用いられる。
以上に詳記した発泡剤は、単独又は2種以上混合して使用可能であり、例えば無機発泡剤と揮発性発泡剤のように異なった型の発泡剤の併用も可能である。又、気泡径調節の為に分解型発泡剤の併用も可能である。
【0015】
発泡剤使用量は発泡剤の種類や所望する発泡倍率によっても異なり、発泡倍率によって該発泡体の密度が定まるから、主に所望する発泡体の密度で発泡剤の使用量が定まると言える。そして、本発明で用いる発泡体の密度は、0.03〜0.6g/cm3、好ましくは0.06〜0.24g/cm3であり、この範囲となるように発泡剤を使えばよい。なお、発泡体密度が0.03g/cm3未満では成形品の強度が小さすぎるし、その密度が0.6g/cm3を超えると断熱性低下や重量増加の上に製造原価も増加する。
発泡体の密度は0.06〜0.24g/cm3とするのが好ましく、そのために必要な発泡剤量は樹脂100重量部当り揮発性発泡剤では0.5〜10重量部(ブタンを使用した場合)、無機発泡剤では0.2〜3.0重量部(二酸化炭素を使用した場合)程度である。
【0016】
本発明で基材を構成する発泡体は、ポリカーボネート樹脂を円滑に発泡させるために、樹脂と発泡剤との溶融混練物中に必要に応じて気泡調整剤を添加することができる。この場合の気泡調整剤としては、タルクやシリカ等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの混合物等が好ましい。その添加量は、樹脂100重量部当り0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが良い。0.01重量部より少ないとポリカーボネート樹脂を事実上発泡せしめることが困難となり、一方5.0重量部よりも多いと得られた発泡成形品の物性が低下し、好ましくない。
【0017】
本発明の基材発泡体の表面に積層接着させるフィルムを構成するポリカーボネート樹脂としては、前記発泡体を構成するポリカーボネート樹脂と同様の原料から製造されるものが用いられる。フィルム形成に用いられるポリカーボネート樹脂、特に共押出し法により積層させる表層フィルム用のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は20000以上であり、その上限は35000であることが好ましい。35000以上では共押出又押出ラミネート用としては流動性が悪く、得られる発泡体/フィルム積層物の厚みが不均一になりやすい。一方、20000未満ではその積層物の表面状態が悪く平滑性の面で不十分なものとなる虞がである。本発明におけるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量はSchnellによって与えられた下記粘度式
【数1】
〔η〕=1.23×10−40.83
(但し、〔η〕は極限粘度であり、Mは粘度平均分子量である)
を基に塩化メチレン(20℃)を溶媒として浸透圧法によって求められる値である。尚、〔η〕はオストワールド粘度計でを各樹脂濃度での比粘度ηspを測定し各濃度C〔g/100cm〕とηsp/Cとをグラフにプロットし、下記の値を求める。
【数2】
Figure 0003862191
基材発泡体に積層接着させるフィルムとしては、二軸延伸、一軸延伸、無延伸のフィルムのどれを用いても良く、成形性の面から好ましくは延伸フィルム特に二軸延伸フィルムが良い。
【0018】
表面フィルム層の厚さは、20μm〜500μmとすることが好ましく、50〜200μmが特に好ましい。表面フィルム層の厚さが20μm未満の場合、ピンホールが発生したり、サージング(吐出の微妙な変動)による厚みむらが発生したりして、安定したフィルム層が得られにくく、又、加熱成形時、独立気泡率の低い発泡体に積層した時には、真空成形時穴があいてしまう等の問題がある。
一方、500μmをこえると発泡体の二次加工性に欠ける。
また、発泡体/フィルム積層物の寸法は特に制約されないが、シート状や板状体状発泡体の場合は、その全体の厚みは0.5mm〜10mmの範囲が好ましく、更に1mm〜5mmの範囲が好ましい。この発泡体/フィルム積層物の厚みが0.5mmよりも薄いと成形品に強度がなく、10mmを超えると金型成形における加熱時、積層発泡体の内部まで均一に加熱する為に強力な遠赤外線加熱ヒーター等を使用する等の工夫が必要である。
【0019】
本発明の発泡体/フィルム積層物を構成するフィルムはその表面又は内部に帯電防止剤又は導電性付与剤が含有されている。この場合の帯電防止剤としては、モノグリセリンの高級脂肪酸エステル、ジグリセリンの高級脂肪酸エステル、グリセリンと高級脂肪酸の完全エステル、ソルビタン高級脂肪酸エステル、アルキルエタノールアミド、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸、芳香族ホスホン酸、硫酸エステルのアルカリ金属塩、リン酸ジエステル等が挙げられる。この帯電防止剤としては、特に、アニオン系又はノニオン系の界面活性剤であることが表面フィルム層基材樹脂の物性維持等の面で好ましく、更にノニオン系の界面活性剤が熱安定性に優れ、帯電防止性能、難溶出性の面でも好ましい。また、その他の帯電防止剤としては、帯電防止剤をフィルム形成用基材樹脂中に練り込んだ場合、耐熱性の面でブロックコポリアミド樹脂が好ましい。ブロックコポリアミド樹脂としては、ポリアミドブロックとポリエーテルエステルブロックを有し両者がエステル結合又はアミド結合によって連結されているものが好ましく用いられる。そして、ポリアミドブロックを構成する繰り返し単位は、1)炭素数6以上のアミノカルボン酸又はラクタムの場合、2)炭素数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩の場合とがあり、好ましいものとしてはカプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩等が挙げられる。一方、ポリエーテルエステルブロックを構成する繰り返し単位は、炭素数4〜20のジカルボン酸及び数平均分子量200〜6000のポリ(アルキレンオキシド)グリコールのポリエーテルセグメントであり、好ましいものの例示として、テレフタル酸、アジピン酸、イソフタル酸及びポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの帯電防止剤は単独又は二種類以上を混合して用いることができる。
【0020】
前記帯電防止剤の添加量は帯電防止剤の種類によって異なるが、表面フィルム層の基材樹脂中に0.1〜40重量%であり、特に、ブロックコポリアミド樹脂の場合は2〜40重量%が好ましい。添加量が不十分な場合は十分な帯電防止効果が発揮されない虞があり、添加量が過剰な場合は樹脂組成物の機械的強度が不十分となる虞がある。
【0021】
また、表面フィルム層に含有される導電性付与剤としては、炭素繊維、アセチレンブラック、ファーネスブラック、金属紛等が挙げられる。特に少ない添加量で高い導電性を付与できるファーネスブラックが好ましい。ファーネスブラックとしては、ブチルフタレート吸油量が300ml/100g以上で、BET比表面積が700m2/g以上のものが特に少量の配合で高い導電性を付与でき、基材樹脂の曲げ物性も向上するため特に好ましい。これらは単独又は二種類以上を混合して用いることができる。
【0022】
前記導電性付与剤の添加量は表面フィルム層の基材樹脂中に5〜30重量%、好ましくは6〜20重量%である。その添加量が5重量%未満の場合は十分な導電効果が発揮されない虞があり、添加量が30重量%を越えると流動性が悪くなるため加工性の問題が発生する虞がある。
前記した帯電防止剤又は導電性付与剤を基材樹脂中に分散させるにあたっては、押出機、三本ロール、バンバリーミキサーや加圧ニーダー等を用いて予備混合させた混合物(マスターバッチ)を作成しておくことが好ましい。得られた混合物を前述の表層形成方法▲1▼、▲4▼又は▲5▼にて芯層に積層接着することができる。
【0023】
本発明において表面フィルム層には上述の通り帯電防止剤、導電性付与剤が含有されているため、5×1013Ω以下、好ましくは1×1013Ω以下の表面固有抵抗値の帯電防止性能を示すものであり、更に、上記導電性付与剤を使用することにより表面固有抵抗値が1×104Ω〜5×108Ω、好ましくは1×104Ω〜5×106Ωの導電性能を示すものである。尚、本発明において表面固有抵抗値はASTM D257の方法により、23℃、相対湿度50%の条件で7日間放置した後の試験片を測定した値である。
【0024】
本発明の発泡体/フィルム積層物を構成する発泡体及び/又はフィルムには、難燃剤、熱安定剤、耐候性向上剤、着色剤等のように、通常の発泡体等に添加されるその他の添加剤を添加することができる。また、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム等の無機亜硫酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の無機硫酸塩、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機酸化物、タルク、クレー、カオリン、ゼオライト等の粘度又は天然鉱物等の無機充填剤を5〜30重量%添加することもできる。
【0025】
本発明のポリカーボネート樹脂発泡体/フィルム積層物は、ポリカーボネート樹脂本来の優れた特性を有するものであるとともに、その発泡体の表面にはそれと接着性の良いポリカーボネート樹脂からなるフィルムを積層接着したものであるから、機械的強度は極めて優れたものである上、加熱成形に際して金型再現性、成形性が良好で、特に深絞り加工性が優れている。
そして、その表面フィルム層の表面固有抵抗値は5×1013Ω以下に保持されているため、静電気が大きな問題となっている各種分野に利用できるものである。
【0026】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
参考例1
ビスフェノールAから得られたポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量29000)100重量部に対し、核剤としてタルク0.05重量部を加えた原料樹脂を押出機中で、加熱、溶融、混練した後、発泡剤としてn−ペンタンをポリカーボネート樹脂1kg樹脂当たり0.20モル押出機中へ圧入し、樹脂温度210℃で押出し、バルーンを形成させ、これを直径200mmのマンドレルで引き取ってから押出方向に沿って切り開いてシート状発泡体を得た。なおサーキュラダイ直径は65mm、ダイスクリアーは、0.7mmである。また円筒状発泡体の吐出量は50kg/hr、該発泡体の引取速度は6.5m/分とした。この発泡体は、独立気泡率80%、密度0.24g/cm、平均セル径0.3mm、発泡体厚み2mm、シート幅640mmとなり、この発泡体の片面に厚さ100μmとなるようにナイロン6とポリエチレングルコール・ジエステルとのブロック共重合体を10重量%含有するビスフェノールAより得られたポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量28000)を押出しラミネートして発泡体/フィルム積層物を得た。その発泡体/フィルム積層物の表面固有抵抗値を測定した結果、0.9×1013Ωであった。
【0028】
参考例2
参考例1と同様な発泡体を芯層とし、その両面に、ファーネスブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製『ケッチェンブラックEC』、ジブチルフタレート吸油量360ml/100g、BET比表面積800m/g)を8重量%含有する厚さ100μmのポリカーボネート樹脂フィルム(粘度平均分子量30000)を熱ラミネートして発泡体/フィルム積層物を得た。その積層物の表面固有抵抗値を測定した結果、1.0×10Ωであった。
【0029】
実施例
ビスフェノールAより得られたポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量29000)100重量部に対し、核剤としてタルク0.05重量部を加えた原料樹脂を押出機に供給し、押出機中で、加熱、溶融、混練した後、発泡剤としてブタンを0.22モル/kg樹脂、押出機中より圧入し樹脂温度210℃で押出し、バルーンを形成させ、これを直径200mmのマンドレルで引き取ってから押出方向に沿って切り開いてシート状発泡体を得た。なお、サーキュラダイ直径は65mm、ダイスクリアーは0.7mmである。また円筒状発泡体の吐出量は53kg/hr、該発泡体の引取速度は6.8m/分とした。その際、ナイロン6とポリエチレングルコール・ジエステルとのブロック共重合体を10重量%及び数平均分子量51000のポリエチレンテレフタレートを10重量%含有するビスフェノールAより得られたポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量28000)を共押出して、厚さ40μmの表面フィルム層を両面に設けた。この発泡体/フィルム積層物は、芯層の独立気泡率82%、芯層の密度0.25g/cm、芯層の平均セル径0.35mm、発泡体/フィルム積層物の全体厚み2.1mmとなった。その積層物の表面固有抵抗値を測定した結果、3.0×1013Ωであり、また、表面平滑性の優れたものであった。
【0030】
実施例
ファーネスブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製『ケッチェンブラックEC』、ジブチルフタレート吸油量360ml/100g、BET比表面積800m2/g)を10重量%含有するビスフェノールAよりなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量28000)を共押出した以外は実施例3と同様にして厚さ40μmの表面フィルム層を両面に設けた発泡体/フィルム積層物を得た。この積層物は、芯層の独立気泡率83%、芯層の密度0.25g/cm、芯層の平均セル径0.33mm、積層物全体厚み2.0mmとなった。その積層物の表面固有抵抗値を測定した結果、6.0×10Ωであり、また、表面平滑性の優れたものであった。
【0031】
なお、前記表面固有抵抗値及び独立気泡率は以下のようにして測定されたものである。
[表面固有抵抗値]
表面固有抵抗値はASTM D257の方法により試験片を23℃、相対湿度50%の条件で7日間放置した後、アドバンテスト社製:ウルトラ・ハイ・レジスタンス・メーターにて測定した。
〔独立気泡率〕
独立気泡率Fc(%)の測定は、空気比較式比重計〔930型 東芝・ベックマン(株)製〕を使用しASTM D2856(エアピクノメータ法)と同様の方法によりVxを計測して下式により求めた。但し、サンプルサイズ、見掛け容積Va(cm3)は以下の通りとする。
・サンプルサイズ:表面フィルム層を除く発泡体層を25mm角に切り、積み重ねて約30mmになるようにする。
・見掛け容積Va(cm3):上記積み重ねサンプルを構成する各々の発泡体層をノギスにより10μmの単位まで測定し容積を求める。
Fo=〔(Va−Vx)/Va〕×100
Fc=100−Fo
Fo(%):連続気泡率
Vx(cm3):エアピクノメーター法により求められるサンプルの実容積
【0032】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂発泡体/フィルム積層物は、発泡体表面の少なくとも一部に積層接着されたポリカーボネート樹脂フィルムからなる表層の表面固有抵抗値が5×1013Ω/cm以下であるため静電気等の帯電を防ぐことができ、帯電防止性、導電性に優れたものとなり、その積層物及びそれから得られた成形体に、埃、ほこり、細菌等が付着することを防止することができる。従って、本発明の積層物から得られた成形体に電子部品等を包装した場合の短絡の問題や、食品容器とした場合の衛生上の問題が解決される。また、本発明のポリカーボネート樹脂発泡体/フィルム積層物は、ポリカーボネート樹脂本来の優れた特性を有し、機械的強度、熱成形、二次加工性に優れたものであり、得に導電性カーボンを導電性付与剤として表面フィルム層に含有させた場合、曲げ等の機械的強度が向上する。また、ブロックコポリアミド樹脂を帯電防止剤として表面フィルム層に含有させた場合、帯電防止性能、耐熱性の面で特に良好なものが得られる。更に本発明のポリカーボネート樹脂発泡体/フィルム積層物を構成する発泡体層及び表面フィルム層のそれぞれのポリカーボネート樹脂前記特定の分子量のものなので、加熱加工性に優れ、得られる積層物の厚みも均一となる他、共押出が容易である。

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂押出発泡体とその表面の少なくとも一部に積層接着されたポリカーボネート樹脂フィルムとからなり、該フィルムの表面固有抵抗値が5×1013Ω以下であり、該発泡体を構成するポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が25000以上であり、該フィルムを構成するポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が20000以上であって、該発泡体と該フィルムとは共押出し法により積層接着されていることを特徴とするポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物。
  2. 該フィルムが、2〜40重量%のブロックコポリアミド樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物。
  3. 該フィルムが、5〜30重量%の導電性カーボンを含有することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物。
  4. 該発泡体が0.03〜0.6g/cmの密度を有するシート状又は板状体からなり、該フィルムの厚みが0.02〜0.5mmであり、積層発泡体/フィルム積層物の厚みが0.5〜10.0mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂押出発泡体/フィルム積層物。
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