JP3828103B2 - 車両用燃料タンク - Google Patents

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Description

本発明は、トラック、乗用車などに搭載される車両用燃料タンクに関する。
車両に搭載される燃料タンク(ガソリン、軽油、重油などの液体燃料のタンク)は、燃料の残量が少なくなって液面が低下した場合、燃料の片寄りによりエンジンに燃料を送る供給パイプの先端の吸入口が燃料の液面から離れることがある。特に、車両の加速時、坂道走行時、或いは旋回時など、燃料が燃料タンクの一方の隅に片寄って、燃料の吸入が行えず燃料の供給に不都合をきたすおそれがある。この改善策として、従来では燃料が減少して液面レベルが低下した場合、特許文献1及び特許文献2のように燃料タンクの底面部にサブタンクを設置して燃料の供給を確保する等の措置が取られている。
実開平5−24950号公報 特開平7−125550号公報
例えば、特許文献1の燃料タンクは、図5に示すように、燃料タンク60の底面61にサブタンク62を設置したものである。この燃料タンクは、このサブタンク62内に燃料ポンプ63を突入させ、吸い込まれた燃料をフィードパイプ64でエンジン65に供給し、余分な燃料をエンジン65側からサブタンク62内に戻すフィードパイプ66の先端部を突入させたチャンバ構造である。
また、出願人においても図6に示す燃料タンク70を採用していた。この燃料タンクは、液面73が低下したときに、燃料を取り込んで溜めるリザーブ容器72を内部に設けたものである。このリザーブ容器72は、溶接等により燃料タンク70の底面部71に固定されている。そして、燃料をエンジンに送る送給パイプ74(サクションパイプ)、及びエンジンからの余剰の燃料を燃料タンク70に戻すリターンパイプ76が、燃料タンク70の上面部78から取り込まれ、ともにリザーブ容器72内に突入形成されている。
上記燃料タンクの取付構造において、特に車両のフレーム間に燃料タンクが配置固定された構造の場合には、車両の振動が燃料タンクに及ぼす影響が大きい。このため、大量の燃料を蓄えた燃料タンクの底面部は、燃料の重みに路面からの振動の揺れが加わって、固有振動を発生する。上記従来の燃料タンクでは、リザーブ容器等が燃料タンクの底面部に溶接等により固定されており、上記底面振動の影響により、リザーブ容器の固定箇所の固定強度が低下するなどの問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れ、液面が低下した場合においても安定した燃料供給が行える燃料タンクを提供することを課題とする。
本発明は、液面が低下した燃料を溜めることが可能なリザーブ容器4を内部に有する車両用の燃料タンク2において、エンジンに燃料を送る送給パイプ14、及びエンジンからの余剰燃料を戻すリターンパイプ16の下端部を上記リザーブ容器内に突入させた状態で、リザーブ容器を上記両パイプの下部に取り付ける一方、上記送給パイプ及びリターンパイプの上部を、上記燃料タンクの上面部に挿通状態で固定して上記リザーブ容器を吊り下げ、上記リザーブ容器の底面部と上記燃料タンクの底面部との間に隙間を設けて配置したものである。
本発明に係る車両用燃料タンクは、燃料タンクの上面部に固定される固定支持板10と、この固定支持板の下面部に下方に突出して取り付けられたブラケット12とを設け、上記固定支持板に上記送給パイプ及びリターンパイプを挿通状態で固定する一方、上記ブラケットの下部に上記両パイプの中間部を固定したものである。
本発明に係る車両用燃料タンクは、上記リザーブ容器4の下部近傍に燃料の流入用の孔部24を設け、上記孔部にリザーブ容器からの燃料の流出を阻止する逆止弁26を配置したものである。
本発明に係る車両用燃料タンクは、上記リザーブ容器4の水平断面形状を円形とする一方、上記燃料タンクの上面部に、上記リザーブ容器4の径よりも少し大きな径の円形の取付孔部54を設け、このリザーブ容器を上記円孔から突入可能に形成したものである。
本発明は、上記燃料タンクに、車両の骨組みを形成するフレーム間に配置搭載するための取付部36,37を設けたものである。
本発明に係る車両用燃料タンクによれば、送給パイプ及びリターンパイプの下部をリザーブ容器に取り付け、両パイプの上部を燃料タンクの上面部に固定してリザーブ容器を吊り下げ、リザーブ容器の底面部と燃料タンクの底面部との間に隙間を設けて配置したから、リザーブ容器に対する燃料タンクの底面振動の影響がなくなり、安定した構造で耐久性に優れ、液面が低下した場合においても安定した燃料供給が行えるという効果を奏する。
本発明に係る車両用燃料タンクによれば、固定支持板に送給パイプ及びリターンパイプを固定しブラケットの下部に両パイプの中間部を固定したから、両パイプの保持が安定しリザーブ容器が確実に支持されるという効果がある。
本発明に係る車両用燃料タンクによれば、リザーブ容器を円形とし、燃料タンクの上面部にリザーブ容器の径よりも少し大きな径の取付孔部を設けてリザーブ容器を突入可能に形成したから、燃料タンク内へのリザーブ容器の組み込みが容易且つ簡単に行えるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態に係る燃料タンク2の内部の説明図である。この燃料タンク2は図1,2に示すように、全体が直方体状の形状であり、上面部40、底面部42、左側面部44、右側面部45、前方側面部46、及び後方側面部47からなる。
上記燃料タンクは、トラックの車体の骨組みを構成する2本のフレーム8,9間に搭載されるものであり、図2において上側が車両の前方となる。この燃料タンク2の内部には、燃料の量が減少して液面が低下したときに、燃料を溜めることが可能なリザーブ容器4が設けられている。また燃料タンク2には、通気のためのブリーザパイプ48、燃料の量測定のためのハーネス部49、安全弁50、燃料注入口52等が設けられている。この燃料タンク2は鋼製からなる。
図1〜図3に示すように、上記リザーブ容器4は、リザーブ容器の保持機構6の下端部に取り付けられている。この保持機構6は、燃料タンク2の上面部に固定される固定支持板10、この固定支持板10の下面部に下方に突出して取り付けられたブラケット12、送給パイプ14、リターンパイプ16、及びリザーブ容器4を有している。この保持機構6の各部材は鋼製からなる。
上記固定支持板10は円板状の部材であり、中央部の左右にはそれぞれ送給パイプ14、リターンパイプ16を挿通させる孔部が設けられている。上記ブラケット12は板材をコの字状に屈曲形成し、左右の側板部20,21及び下板部22からなる部材である。送給パイプ14は、リザーブ容器4から吸入した燃料をエンジンに送る管であり、リターンパイプ16はエンジンに過剰に供給された燃料が戻される管である。
この保持機構6におけるブラケット12は、各側板部20,21の上端部を外向きに屈曲したフランジ部23,23が、それぞれ固定支持板10の下面部に溶接(ロウ付)により固定されている。送給パイプ14及びリターンパイプ16は、固定支持板10の孔部及びブラケット12の下板部22に設けた孔部にそれぞれ挿通した状態で接合され、接合部は溶接(ロウ付け)により固定されている。このように、上記送給パイプ14及びリターンパイプ16の中間部をブラケット12の下板部22に保持固定することで、これらパイプ14,16の揺れ等を防止し固定を強固にする。
図1に示すように、上記リザーブ容器4は、水平断面が円形で上部が開口した器であり、容器の下部近傍に燃料の流入用の孔部24が設けられている。この孔部24の内側には逆止弁26(チャッキ弁)が設けられ、この逆止弁26は、流体の流れが一方向になるよう逆流を防止する機構のある弁で、スイング、リフト、ボールなどの型式がある。この逆止弁26により、燃料タンクから孔部24を通過してリザーブ容器4内へと燃料が流入するが、リザーブ容器4内の燃料が孔部24から流出することはない。
リザーブ容器4には、上端の開口部3から少し下方の位置に、水平に支持板30が配置され、この支持板30の左右の端部には上向きに屈曲したフランジ部32が形成され、このフランジ部とリザーブ容器4の内壁部とがリベット31で固定されている。また支持板30には2箇所に孔部が設けられ、これら孔部にそれぞれ送給パイプ14、リターンパイプ16の下部を挿通させ、各接合部は溶接(ロウ付け)により固定されている。
上記支持板30に送給パイプ14及びリターンパイプ16が固定されるが、このとき送給パイプ14の下端部とリザーブ容器4の底面部5との間には数ミリメートルの間隔が設けられている。このように、リザーブ容器4の保持機構6は、2本のパイプ14,16の上部を固定支持板10に固定し、かつ中間部をブラケット12で保持し、これら2本のパイプ14,16でバランス良くリザーブ容器4を支える形態である。
上記リザーブ容器の保持機構6は、燃料タンク2の上面部40の左右方向の略中央部の少し前方寄りの位置に取り付けられる。そして、燃料タンク2の上面部40の該当箇所には、円形の取付孔部54が設けられており、この取付孔部54を利用して保持機構6のリザーブ容器4を燃料タンク2内に入れる。このとき、リザーブ容器4の水平断面を円形、また上記取付孔部54をリザーブ容器4より少し径の大きな円形としていることから、取付孔部54からリザーブ容器4の燃料タンク2内への突入を可能にしている。
図1(c)に示すように、保持機構6の燃料タンク2の上面部40への固定に際しては、上記取付孔部54の周囲に円環状のシート部材56を溶接により固定し、この上に円環状のパッキン57を配置し、このパッキン57の上部に保持機構6の固定支持板10を配置して、この固定支持板10に設けたビス孔59にビス58を止着して固定する。
このように、上記送給パイプ14、リターンパイプ16の上部を固定支持板10とともに燃料タンク2の上面部40に固定し、上記リザーブ容器4を両パイプ14,16で吊り下げて配置する。そして、リザーブ容器4の底面部28と燃料タンクの底面部42との間には、所定の間隔(H)を設けて配置する。この間隔(H)は、燃料タンク2の底面部42の振動による移動(振幅)に応じて定める。この実施の形態に係る燃料タンク2の容量は100リットル程度であり、間隔(H)は13mm程度とした。この間隔は、広すぎると燃料が減って液面が低下したときに十分な燃料をリザーブ容器4内に取り込むことができない。
また、リザーブ容器4の燃料の流入用の孔部24及び逆止弁26は、車両の進行方向に対してリザーブ容器4の右側又は左側(車両進行方向)の下部に位置するように配置する。これら孔部24等の位置は、送給パイプ14、リターンパイプ16など他の部材の配置、及び組み立ての容易性を考慮して定める。
さて、上記燃料タンク2は、トラックのフレーム8,9間に搭載する。これらフレーム8,9は、それぞれ上板部、側板部及び下板部からなる断面コの字状に構成され、互いに開口部が向い合わせに配置されている。この燃料タンク2には、左右の側面部44,45の上から三分の一程度下に取付フランジ部36,37が設けられている。燃料タンク2の取付に際しては、上記フレーム8,9の下板部の上面部にブラケット7を介在させて固定する。そして、燃料タンク2の取付フランジ部36,37を、それぞれ上記フレーム8,9に固定したブラケット7に載置し、取付孔38にボルト等を用いて取り付ける。
燃料の量が十分なときは、リザーブ容器4は燃料中に没しているが、燃料が減少して液面からリザーブ容器4が露出するころから、リザーブ容器4の機能を発揮する。図4に示すように、車両の加速時には、燃料タンク2内の燃料は進行方向の後方に片寄り、液面は前方が下がり後方に向けて高くなる傾斜面(F)を形成する。また、車両の旋回時、カーブを曲がるとき等には、燃料タンク内の燃料は進行方向の右或いは左側に片寄る。
このように、燃料が燃料タンク2内を前後或いは左右の隅部に移動する際に、リザーブ容器4に当たった燃料が燃料の流入用の孔部24からリザーブ容器4内に流入する。このとき、燃料は逆止弁26を通過するが、リザーブ容器4内の燃料は逆止弁26によって流出が阻止される。また、リザーブ容器4の開口部3からも、燃料がリザーブ容器4内に流入可能である。そして、燃料タンク2内の燃料が隅部に移動したときであっても、リザーブ容器4内に溜められた燃料を送給パイプ14が吸入してエンジンに送ることができる。
また、燃料タンク2内に燃料が大量に充填されている場合、燃料タンク2の底面部42は、燃料の重みに車両の振動が加わって所定の固有振動を発生させる。しかし、この振動があっても、燃料タンク2の上面部40は、燃料の重みの影響を受けることがないので振動もなく、リザーブ容器の保持機構6によって上面部40から吊り下げられたリザーブ容器4は振動の影響をうけることはない。もっとも、燃料タンク2内の燃料が少ない状態では、燃料タンク2の底面部42の剛性のため、燃料の重みによる底面部42の振動はない。
なお、上記送給パイプ14については、下端部に燃料ポンプが取り付けられた形態の送給パイプであっても適用は可能である。また上記燃料タンク2については、トラックの側面にブラケット等を介して燃料タンクを取付けた形態への適用、或いはトラック以外の自動車へ搭載する場合への適用が可能である。また、燃料タンク2の材質については、鋼製以外に軽量金属製、合成樹脂製等のものについても適用可能である。
したがって上記実施の形態に係る燃料タンクによれば、リザーブ容器に対する燃料タンクの底面振動の影響がなくなり、安定した構造で耐久性に優れ、液面が低下した場合においても安定した燃料供給が行えるという効果がある。また保持機構の採用により送給パイプ及びリターンパイプの保持が安定することからリザーブ容器が確実に支持され、さらにリザーブ容器を燃料タンクの上面部から突入可能に形成したから、燃料タンク内へのリザーブ容器の組み込みが容易且つ簡単に行えるという効果がある。
本発明の実施の形態に係り、燃料タンク内部の説明図であり、(a)は全体図、(b)はB矢視図、(c)はA部拡大図である。 実施の形態に係る燃料タンクの平面図である。 実施の形態に係るリザーブ容器の保持機構を示す図で、(a)は全体の斜視図であり、(b)は上部の部分図、(c)は下部の部分図である。 実施の形態に係る燃料タンクの液面を示す図である。 従来例に係り、燃料タンク内のチャンバ構造を示す図である。 従来例に係り、リザーブ容器を内部に設けた燃料タンクを示す図である。
符号の説明
2 燃料タンク
4 リザーブ容器
10 固定支持板
12 ブラケット
14 送給パイプ
16 リターンパイプ
24 孔部
26 逆止弁
36,37 取付部(取付フランジ部)
54 取付孔部

Claims (3)

  1. 液面が低下した燃料を溜めることが可能なリザーブ容器を内部に有する車両用の燃料タンクにおいて、
    燃料タンクの上面部に設けられる孔部に上から被せられ、この孔部を閉塞する状態で固定される固定支持板と、この固定支持板の下面部に左右の側板部の上端部が固定され、下方に突出する上記各側板部の下部同士にわたって下板部が取り付けられたブラケットとを有し、
    上記固定支持板に、エンジンに燃料を送る送給パイプ及びエンジンからの余剰燃料を戻すリターンパイプを挿通状態で固定する一方、上記両パイプの中間部を上記ブラケットの下板部に挿通させて固定し、
    上記送給パイプ及びリターンパイプの下端部を上記リザーブ容器内に突入させた状態で、このリザーブ容器を上記両パイプの下部に取り付けて吊り下げ、このリザーブ容器の底面部と燃料タンクの底面部との間に隙間を設けて配置し、
    上記リザーブ容器の下部近傍に燃料の流入用の孔部を設け、上記孔部にリザーブ容器からの燃料の流出を阻止する逆止弁を配置したことを特徴とする車両用燃料タンク。
  2. 上記リザーブ容器の水平断面形状を円形とする一方、上記燃料タンクの上面部に、上記リザーブ容器の径よりも少し大きな径の円形の取付孔部を設け、このリザーブ容器を上記円孔から突入可能に形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用燃料タンク。
  3. 上記燃料タンクに、車両の骨組みを形成するフレーム間に配置搭載するための取付部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用燃料タンク。
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